訪日外国人旅行者を困惑させる銀行ATMのバリア
観光庁のウェブサイトには訪日外国人旅行者数を年間1,000万人にすることが目標として掲げられている。
しかしながら、同庁の現状分析として、「平成20年に我が国を訪れた外国人旅行者は約835.1万人であり、海外を訪れた日本人旅行者約1,599万人と比較して少なく、外国人旅行者受入数では、諸外国と比較しても、世界で第28位、アジアで第6位(平成20年)と低い水準にある。」と書かれている。
要は800万人からさらに200万人を上積みしようというのが政府の目標というわけだ。
そして、鳩山内閣は「観光は6つの成長戦略分野の1つとして位置付け、国をあげて観光立国に取り組む。」とし、溝畑宏観光庁長官は「訪日外国人旅行者を2016年までに2,000万人、2019年までに2,500万人、将来的には3,000万人」に目標を前倒しすると言っている。
外国人観光客を呼び込むことを日本の経済成長のエンジンにするという目標は決して間違いではないと思う。
このまま日本の一般庶民の可処分所得が減り続ければ、国内需要だけに頼る産業は確実にお陀仏だからだ。
ところが、今の海外旅行者の3種の神器とも言える、銀行ATMカード、携帯電話、格安航空路線に対して、日本は極めて閉鎖的とも言える状態にある。
携帯電話に関しては本日付けの読売新聞の記事「携帯端末、全社対応型に・・・総務省が制限解除要請へ」と、訪日外国人向けのウェブサイトJapan-Guide.ComのCell Phones in Japanを、格安航空路線については2007年2月末に朝日新聞で連載された「アジアズームイン-空飛ぶバス上陸へ」を読んでもらうとして、ここでは日本の銀行ATMについて触れてみたいと思う。
実のところ、日本の銀行ATMに関しては橘玲氏のコラム「金融サービスも『ガラパゴス』」という中に書かれているのだが、外国の銀行に口座を開いた日本国内の居住者が、わざわざそのATMカードを使って日本で金を下ろすことなどほとんどないだろう。
従って、外国の銀行で発行されたATMカードが日本で使えるかなどということを検証する人もごく少数ということになる。
しかし、日本から海外へ行く旅行者は、よほど辺鄙なところへ行かなければ自分の銀行口座のキャッシュカードを使って現地通貨を下ろすことができる。
この矛盾に気付く日本人は、外国在住者か、訪日外国人を銀行へ案内した人でなければいないのではないか。
そこで、私も自分自身が持っているHSBC香港のATMカードが使えるか横浜駅周辺の銀行を回ってみた。
| 銀行名 | 英語のウェブ | 英語のATM操作案内 | 外国銀行ATMカードの可否 |
| Citibank銀行 | あり | あり | 可 |
| 新生銀行 | あり | あり | 可 |
| セブン銀行(セブンイレブン) | あり | あり | 可 |
| みずほ銀行 | あり | あり | 否 |
| 三井住友銀行 | あり | あり | 否 |
| 三菱東京UFJ銀行 | あり | あり | 否 |
| ゆうちょ銀行 | あり | あり | 制限付きで可 |
| 横浜銀行 | あり | なし | 否 |
| りそな銀行 | あり | なし | 否 |
調査の結果は橘玲氏のコラムの通りとなったが、一点だけ新しくわかったことが、ゆうちょ銀行のATMのことだ。
これは、私がゆうちょ銀行のATMを使ってみたところ、ATMの前には国際カードが受け入れ可能なPlusのステッカーが貼ってあるにもかかわらず、「このカードは受け付けられないので窓口へ来てください」とのメッセージが出て、どうなっているのか明日にでも聞いてみようと思った矢先に、上記のウェブが見つかったというわけだ。
もちろん、日曜日の夜にカードが使えないなんてことは、ゆうちょ銀行のATMの周辺にはどこにも書いていないし、操作ガイダンスにも出てこない。
念のために英語だけでなく日本語でも操作したが結果は同じだった。
時折、海外投資を楽しむ会の掲示板で、郵便局で外国銀行のカードが使えなかったという投稿があった理由がこれでわかったのだ。
これは、今の旅行者にとってはもの凄くストレスになるだろう。
かつてはハードカレンシーと呼ばれる国際通貨(米ドル、英ポンド、ユーロ、円など)の現金やトラベラーズチェックを持って旅行をしたものだが、今やそういったものは補助手段になっているからだ。
少なくとも私が21世紀になってから行った海外渡航先では、英語ガイダンスのある銀行ATMで引き出しができないというのは、稼動を停止していない限り、ほぼあり得ないことだった。
先進国の都市に行ったとして、銀行が軒を並べているところで金が下ろせないなどと誰が考えるだろう。
ATMの故障や金が底をついたというのが珍しくない海外の常識でいけば、店舗のないところのATMだったら許せるだろう。
しかし、銀行の店舗のあるところのATMが軒並み使えないとなれば、私だったら怒りが爆発すると思う。
正直言って、東京で金が下ろせないということは、ニューヨークやロンドンで金が下ろせないのと同じことだ。
こういう実態を私は最近になって知った。
果たして観光立国を推進するという政府閣僚の方々はこうしたことを理解できるだろうか。
もし、理解できるのであれば、亀井金融相が全国銀行協会の会長に対して、少なくとも都市銀行のATM回線を国際回線に繋ぐように指示すべきだろう。
さもなければ、観光立国の推進など絵に描いた餅になることは間違いない。
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