2017.11.06

FXの証拠金倍率上限の引き下げ案に個人投資家も反対意見を出そう

為替取引の世界でミセスワタナベと呼ばれる日本のFX個人投資家に対して、委託証拠金倍率の規制を強化しようという案が出ている。
現在、通貨関連デリバティブ取引(外国為替証拠金取引/FX)の委託証拠金として最低限必要な額は、金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)第117条第7項にいう約定時必要預託額と、第8項にいう維持必要預託額として、取引額の百分の四と決められている。
つまり、この規定がFX証拠金倍率の上限が25倍という根拠なのだが、金融庁が来年にもそれを変更しようというのが2017年9月28日付の日経新聞の記事として報じられている。
7年前(2010年8月1日)に委託証拠金倍率が引き下げられたときのパブリックコメントの結果が、2009年(平成21年)7月31日付で「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等について」という表題で掲載されているが、パブリックコメントを募集している段階では、ある程度法令改正の方向性が固まっているので、根本的な反対意見は聞き入れられないことも多いという。
今回のように、メディアにリークした時点で、検討に入ったという言い方をしている場合は、所管の官庁が世論に対して観測気球を上げている可能性が高く、この時点で反対意見を言った方が効果的だと思うのだ。

サンワード貿易から出ている月刊情報誌「Rich Life」の2017年11月号で小次郎講師は、「レバレッジ規制によって個人のFX投資家の抱える問題が解決するわけではない。投資家に予期せぬリスクを軽減させるためには投資家教育しかない。投資教育こそが金融庁が推進しなければならない最優先課題である。今後、FXの証拠金倍率の変更案についての話し合いが始まると思うが、この流れを変えることができるのは投資家の声だ。個人投資家の声が大きく広がれば金融庁は考えを変えざるを得ないだろう。」と述べている。
この号では、小次郎講師が証券税制の改正要望について税務署に質したところ、国民が声を上げてないから政府当局者からはニーズがないと思われているとも書かれている。
それならば、来年の通常国会が始まる前に投資家が声を上げようではないか。
もちろん、内閣府令は国会審議は不要なものだが、通常、こうした政令や規則の改正案は国会の会期中に処理されることが多いからだ。
宛先は、麻生太郎内閣府特命担当大臣(金融)と、金融サービス利用者相談室ウェブサイト受付窓口でいいのではなかろうか。
9月28日付で日経新聞で掲載されていたFX証拠金倍率の上限規制の変更について、金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)第117条の改正を望まない旨と、自分なりの理由を書いて送ればいいかと思う。

ところで、皆さんはこの問題が単にFX投資家だけの問題だと思っていないだろうか。
私は、こうした金融庁の規制強化のメンタリティの根底にあるのは、今年の流行語大賞になってもおかしくない「億り人」が、これ以上出ることを望んでないという穿った見方をしている。
2016年8月21日付で私が書いた「65歳での奴隷解放宣言、金持ち父さんが嫌いな霞が関官僚のメンタリティ」というのは、霞が関の役人の心の中に流れる大きな潮流だからだ。
今から13年前、私が敬愛する知日投資家のピーター・タスカ(Peter Tasker)氏は霞が関官僚のメンタリティについて、日本の景気回復を望まない人々(2004年3月31日)と、経済に毒針を刺す官僚というサソリ(2004年11月17日)というコラムを掲載していたが、これは現在でも脈々と続いている。
そう、日本のエスタブリッシュメントたちは国民が社畜を脱して金持ちになって欲しいとは一つも思っていないのだ。

***************************************************

FX証拠金倍率の上限下げへ 金融庁検討、最大25倍から10倍に (2017.9.28 日経新聞)

金融庁は外国為替証拠金取引(FX)の証拠金倍率(レバレッジ)を引き下げる検討に入った。
現行の最大25倍から10倍程度に下げる案が有力。
外国為替相場が急変動した際、個人投資家や金融機関が想定を超える損失を抱えるリスクが高まっていると判断した。
国内取引高は約5千兆円に上る。
規制見直しで日本発の市場混乱を防ぐ。

金融庁はFXの業界団体、金融先物取引業協会と規制見直しに向け協議を開始。
早ければ来年にも内閣府令を改正して実施する可能性がある。

個人投資家は現在、手元資金の25倍までの範囲で取引できる。
手元に4万円の証拠金があれば、100万円まで取引できる計算だ。
レバレッジを10倍にすると、必要な証拠金は10万円になる。
金融庁は過去の為替相場から、変動率がどんなに大きくなっても元本がなくならないようにする方針で、現在は「10倍程度」が妥当とみている。

また金融庁はFX業者の自己資本規制も強化する方向で見直す。
現行は自己資本比率が120%を下回ると業務改善命令の対象になる。
FX業者へのストレステスト(健全性審査)では、取引先が破綻した場合に120%以下になる業者が複数あった。

ただFX業界の反発は必至。
取引量の低下から収益減や為替市場の流動性低下を懸念する声がある。
FX取引をけん引してきた個人の投資行動にも影響が出そうだ。

**************************************************

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017.10.23

総選挙で自民党大勝、日経平均株価史上最長の15連騰

20171023_nikkei225_2

日経平均株価が、昨日の第48回衆議院議員総選挙で自民党が大勝したのを受けて、史上最長となる15連騰を記録した。(2017年10月23日 株探ニュース-日経平均15連騰達成! デフレ脱却へまっしぐら、歴代1位の連騰記録達成
安倍首相が9月28日に衆議院を解散してからというものの(2017年9月26日 BBC Japan-日本の安倍首相、解散・総選挙を表明 「国難突破」と)、翌週の10月2日から負け知らずの連騰記録を更新し続けている。
特に、当初は総選挙で台風の目と見られていた小池百合子東京都知事率いる希望の党が、民進党合流組の一部を排除すると発言してから支持率が急降下(2017年9月30日 日刊ゲンダイ-「希望の党」公認拒否 民進“排除名簿”に載る15人の名前)、自民党の大勝(第4次安倍内閣)が見込めるようになってからは、日経平均株価の上昇に迷いがなくなっていた。

目下のところ、2016年1月24日の「ニューイヤーセミナー 2016年の投資戦略を考える」で登壇した杉村太蔵氏が「安倍首相は株式市場に親和性のある首相、彼の在任中は日本市場の株価上昇が見込める。」と言ったとおりの展開が継続していくことだろう。
ちなみに、東洋経済では、今日の前場の段階で「日本株は2019年に向けて『大相場』になるかも」という記事を配信しているし、株式投資家にとっては昨日の総選挙における自民党大勝は紛れもないグッドニュースに違いない。

ただ、これで既定路線となっている2019年10月(2年後)の消費税増税(8%から10%)が実施されるのは確実となったので、それ以降、日本経済の内需が、よりいっそう冷え込むのは避けられないだろう。(2017年8月5日 日経新聞-首相、消費増税「予定通り」 19年10月に10%
それと、安倍首相の自民党総裁任期が2018年9月に切れるが(2017年3月5日 朝日新聞-自民党、総裁任期「連続3期9年」に延長 党大会で了承)、このときまでに公約となっている憲法改正に道筋を付けられるかどうかが鍵となろうか。
もし、仮に、安倍首相が3期目の自民党総裁に選出されず、首相を退陣するようなことがあれば、これまた杉村太蔵氏の「安倍首相が退陣した後の首相は、たとえ自民党が政権を握っていたとしても、株式相場と親和性のない人が就任する可能性が高い。」という予言が現実のものとなろう。
ただ、現時点で、彼に代わる自民党総裁候補が見当たらないので、株式相場にとっては安心材料と言えるのだろうか。

(注)日経平均株価は10月24日も続伸し、10月2日からの連騰記録を16に伸ばした。(2017年10月24日 ブルームバーグ-日経平均連騰の最長記録「16」に伸ばす、業績期待と出遅れ評価根強い

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017.09.05

ウォルトン社のアップデートセミナー after Canada's CCAA

2017年8月29日、日本地区統括責任者のジャームス・ブキャナン(James Buchanan)氏が香港から来日して、ウォルトン社(Walton International Group)がアルバータ州で会社債権者調整法(CCAA/Companies' Creditors Arrangement Act)の適用を申請した後(Calgary Herald on May 2, 2017 - Calgary developer Walton International Group in creditor protection)、初めてのアップデートセミナーが渋谷ヒカリエで行われた。
私のようなランドバンキングの投資家は5月8日付で、ウォルトン社からの投資家向けリリース(日本語)を受け取っているが、その後の進展などを聞きたいと思って参加してみた。
結論から言うと、カナダの会社債権者調整法(CCAA/Companies' Creditors Arrangement Act)の適用が、アメリカの投資案件に影響を及ぼすものではないことと、現在のところ、アメリカで償還不能になりそうな案件はないとのことだった。
これからも開発計画は継続する予定で、今まで塩漬けになっていたエリアも動き出し始めたところがあるとのことだった。

ちなみに、ウォルトン社のウェブサイトにアカウント登録を行うと、自分の保有明細がいつでも確認できるので、登録を推奨しているみたいだ。
また、ランドバンキングの契約については、自分に万が一のことがあった場合の後継受益者(successor beneficiary=相続人)を複数名指定できるのだが、それについてはウェブサイト上で確認できないので、ウォルトン社へ問い合わせて欲しいとのことだった。
それと、投資家が投資原価を償還前に回収したいということであれば、それに応ずる予定があるとのことで、その場合もウォルトン社へ問い合わればいいようだ。
香港オフィスには日本人スタッフや日本語のわかる香港人スタッフがいるし、ジャームス・ブキャナン(James Buchanan)氏へのメールも日本語でOKとのことなので、四苦八苦して英文を書かないでいいことだけは確かなようだ。
とりあえず、カルガリー(Calgary)の一件で塩漬け覚悟だったアメリカの案件に影響がなかったことだけは朗報と言えるだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017.05.28

金融セミナー講演 IN 名古屋

20170513_nagoya

去る5月13日、名古屋のオフィスパーク名駅カンファレンスセンターで海外金融口座の体験談をお話させていただく機会に恵まれた。
私にとっては、3月25日の大阪での金融講演に引き続いて2回目の副業、お招きいただいたのは、私が海外投資を始めた直後に出会って、オフ会などで親交を深めたReimeiさんこと小河さん、3月の大阪公演の模様をブログに上げた後で、小河さんの主催する勉強会でお話いただきたいという依頼があり、旧知の仲なので快諾してお出かけしたというわけだ。
お話させていただいた内容は、こちらのレジュメ(PDF)をご覧いただければいいと思うが、主として、私が資産運用しているHSBC香港と、ファーストレード証券(Firstrade)の2つについて講演をした。

ここで、あえて今の時点で、海外の金融機関に口座を開いて資産運用した方がいいかと問われた場合の私の答えは、「日本における外国株投資ツールの充実と海外口座を巡る最近の情勢(2015年4月21日)」に書いたとおりだ。
強いて言えば、日本の投資環境は人口の減少(少子高齢化)によって、じり貧のリスクがあり、それを避けたいのあれば、海外口座も意義があるところだろうか。
特に、株式投資の経験が十分でない方や、語学が不得手な方にお勧めしているのが、日本取引所グループに掲載されているETF(Exchange Traded Fund=上場投資信託)で外国株のカテゴリーにあるものを日本の証券会社で買うことだ。
それでも選ぶのに困るという方は、S&P 500指数ETFの積立投資、上場インデックスファンド米国株式(S&P500)(1547)か、外国籍ETFのSPDR S&P500 ETF(1557)のいずれかで良いのではなかろうか。

理由は単純、私たちが生きている間はアメリカが超大国であり続ける可能性が高いこと、そして、日本企業(官公庁を含む)に勤めている私たちは、日本経済が上向けば、その恩恵を給与所得から受けられる可能性があるからで、資産運用はそのリスクヘッジに使うべきだからだ。
そう思えば、アメリカを代表する企業の集合体であるETFに投資するのが最もシンプルだ。
もちろん、本家のETFであるSPDR S&P 500 ETF (SPY)を海外の証券口座(HSBC香港の場合は米国株口座の開設が必要)で買い付けることができる人は、試しに買ってみるといい。
もっとも、リーマンショック級の金融危機が来れば、これらの銘柄も暴落するだろうが、今までの例でいけば数年で復活するだろう。
ちなみに、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入が可能になった方で、どこで加入すればいいかの最大の着眼点は取り扱い商品が豊富なことだ。
そういった点でいえば、今のところお勧めの証券会社はSBI証券だろうか。
ここは、海外株式口座もバラエティに富んでいるから、日本の証券会社をどこか一つ持てと言われたらここでいいと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017.04.07

ラバ吉(Lovers Kitchen)の花見酒に酔いしれた後で投資のことを考えた

20170402_hamacho_park01

20170402_hamacho_park02

去る4月2日、お世話になっているラバ吉(Lovers Kitchen)のお花見会が日本橋(東京都中央区)にある浜町公園で行われた。
今年は天候が不順で、ようやく、今日になって桜がボチボチ咲き始めたという感じで、昨日と打って変わって好天に恵まれたので、桜並木の下であらっきーシェフの作った料理に美酒を味わえるのはこの上ない幸せだった。
参加者も20名弱に上り、ブルーシートの上の料理とお酒は皆の胃袋の中へ・・・
前回、私がラバ吉のイベント「新年のごあいさつ会」に参加したときに手がけていたサンタロース投資はあえなく玉砕(笑)、気を取り直してやった別の投資案件は今のところ順調に軌道に乗っている。
いろいろセミナーに行ったり、試行錯誤を繰り返しているうちにあっという間に3か月たってしまったといったところだろうか。

ところで、この日は、花見参加者の一人が私がブログでたびたび紹介しているダイワ米国リート・ファンド(毎月分配型)に興味を持ってくれた。
私が2012年6月に投資を始めたときには、束の間の宴を楽しむだけのはずが、「金融セミナー講演初舞台 IN 大阪」でクローズアップされたことで、皆が興味を持ち始めたらしい。
そこで、私も久々に自分の投資案件を真剣に見直してみることにした。
この投資信託の設定は、約12年前(先月までで151か月を経過)なので、短命なものが多い日本の投資信託の中にあっては寿命が長い方かもしれない。(長いと書いて大丈夫か?)
とりあえず、本日現在の基準価額は4,388円、買付手数料が約定金額の3.24%なので、500万円(約定金額約484万円)の投資で約11,000,000口買えることになる。
これで10,000口当たりの分配金は月額100円なので、税引き前で110,000円、年額にして1,320,000円、年利にして26.4%になる。
仮に、全額が普通分配金の場合は、20.315%の源泉税が引かれるので、手取り額は年額で約1,050,000円となるが、それでも年利21%となる。

20170402_hamacho_park03

20170402_hamacho_park04

また、分配金修正なしの基準価額で見ると、ここ2年ほどは右肩下がりで来ているので、私が購入して以降、一時期、大きな含み益が出るほどのお化けファンドだったときの勢いはない。
おそらく、近いうちに分配金率の引き下げも当然あり得るだろう。
年率25%以上の配当が続くというのは、投資の常識で言うと考えられないからだ。
事実、米国の毎月配当型のETFであるCornerstone Strategic Value Fund (CLM)も、ずっと年率20%を超える配当金が支給されていたが、今年の1月から配当金率の引き下げがあった。
わずか1週間前とは違うことを書いていると怒られそうだが、花見酒に酔いしれた後はほろ苦い現実が横たわっていた。
数ある毎月分配型の投資信託の中で、私が「掃きだめに鶴」と評したダイワ米国リート・ファンドも、花が散るときがやってきたのだろうか。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2017.04.01

金融セミナー講演初舞台 IN 大阪

20170325_osaka_seminar

去る3月25日、関西の投資仲間のファイナンシャルプランナーである杉本武寛さんのお招きで、リーマンインテリジェンス-ほったらかし資産運用はもうかるの? ~お任せ投資の話題でランチ会~のゲストスピーカーとして、講演させていただくことになった。
私としては、副業の初舞台というわけだ。
テーマは、HSBC香港の口座を使った体験談や苦労話、実際に買ってみた金融資産などの話をしてくれということだった。(参考:HSBC香港の口座開設と活用について
もっとも、当日は司会進行役の吉田さん(彼も私の投資仲間だ)が話題を振ってきて、それに乗って話をすれば良いと言われていたので気が楽だった。

そして、セミナー当日、吉田さんがいきなり話を切り出したのは、何とダイワ米国リート・ファンド(毎月分配型)のことだった。
私がこのファンドに投資したのは2012年6月、首尾よく投資元本とほぼ同額の配当金をもらい終えたのは今年の2月だ。
2016年11月22日に「REIT(不動産投資信託)の宴は終焉間近か」というコラムを書いたものの、嬉しいことに、このファンドの分配金率の切り下げはなく、純資産総額も大きな減少に見舞われることなく推移しているため、私自身、現時点でも保有を継続している。
ワールドインベスターズ時代から交流が続いている吉田さんは、2012年10月28日の関西オフで(2012年11月9日-関西オフの宿泊は高槻の温泉で)、私がこのファンドに投資していると宣言した続報が気になったらしい。(笑)

ところで、肝心のHSBC香港ネタなのだが、やはり苦労するのは英語、海外旅行でホテルを使ったり、公共交通機関に乗るのとはわけが違う。
そうはいっても、すべてのページを読みこなす必要はないので、香港HSBCお助け支店や、アメジスト香港スタッフブログ、各種の翻訳サイトなどを利用しながら、よく使う単語をマスターしていけば、何とか口座を使いこなすことができるだろう。
しかしながら、ATMカードのアクティベート(activate)や、セキュリティ・デバイス(security device)の交換(世代交代)など、口座を何年にもわたって保有している間には、どうしても英語を使わざるを得ない局面が出るので、英文和訳などに時間をかけるだけのモチベーションを高める上でも、口座のステータスはアドバンス(Advance)かプレミア(Premier)にするのが望ましい。
そもそも、パーソナル・インテグレーテッド・アカウント(Personal Integrated Account)(旧スマート・バンテージ)は、香港在住者用との位置づけから、非居住者の開設は困難になっていると聞くし、たとえ開設できたとしても、わざわざ香港までの渡航費用をかけてまでやる意味がないだろう。
もちろん、こうした海外の口座開設は、観光旅行や出張のついでに行くぐらいの気持ちがないと、費用対効果が割に合わないものになるだろう。

それと、私が2016年12月時点でカスタマー・サービスに確認した限りでは、下記のように、パスポート及び英文で住所記載がされた書類と、初期預入金(initial deposit)の持参、そして、英語か中国語で行員とのコミュニケーションが取れることが口座開設要件となっているので、ほとんど外国語ができないという人は注意が必要だろう。
とりあえず、これから新規に口座を開きたいという人は、下記の回答文にかかわらず、Contact HSBCから必要書類の確認と、回答文の印刷をして持参した方がいい。
それと、最も重要なのが香港の銀行に口座を開設する理由だ。
これが英語で説明できないために開設を拒否される場合もあると聞く。
一番無難なのは、「将来の海外移住に際し、日本の金融機関の方針で、海外移住者などの非居住者は口座を閉鎖しなければならないルールになっている。(If I am nonresident in Japan in the near future, most of Japan's financial accounts must be closed under the terms and conditions.)」と、海外移住を仄めかして必要性を説明することだろうか。(2015年4月30日-出国税の導入も決定、海外赴任やロングステイ予定の個人投資家はどうすべきか

また、投資口座を開設するときに行われるRisk Profiling Questionnaire (RPQ)は、英会話が必須となるので、あらかじめウェブサイトから質問項目をチェックしてから臨むようにしよう。
ここまでして、わざわざ香港まで口座を開きに行く意味合いだが、「日本における外国株投資ツールの充実と海外口座を巡る最近の情勢(2015年4月21日)」をご覧いただいた上で判断されるといいだろう。
ただ、HSBC香港で米国株口座を開き、私が投資しているような高配当銘柄や、下落相場に備えた多様なインバース型ETF(Inverse ETF)に投資したいなら苦労する価値はあるだろう。(2012年10月5日-HSBC香港の投資口座保有者は米国株口座の追加は郵送でOK
私のブログ記事を読んでいただいた読者の投稿によれば、日本の証券会社では自社の毎月分配型ファンドと競合するような高配当ETFは買えないところが多いからだ。(2015年11月5日-米国高配当株の新規投資案件をピックアップしてみた

さて、私がセミナーで紹介したHSBC香港で販売している毎月分配型ファンド(monthly dividend funds)だが、実のところ、Search Unit Trustsから検索するのはかなり大変だ。
検索条件をFund typeからFixed Incomeと指定しても200種類以上のファンドが出てくる。
こればかりは私もHSBC香港へ行ったときにリレーションシップ・マネージャー(Relationship Manager)に聞いているのだが、そのうちの一人であるジョン・ラウ(John Lau)さんが私に勧めてくれたのが、高金利通貨である豪ドル建てのAB - American Income Portfolio (Class AT-AUD Hedged-MDIST Cash) (fund code: U62407)と、JPMorgan Asia Equity Dividend (AUDH-MDIST-CASH) (fund code: U62659)の2つで、過去の基準価額(fund price)も比較的安定している。
彼は、オーシャンセンター支店(海洋中心分行:九龍尖沙咀海港城海洋中心三階361-5號 Ocean Centre Branch: Shop 361-5, Level 3, Ocean Centre, Harbour City, Tsim Sha Tsui, Kowloon: tel +852-2233-3000)に在籍しているのだが、日本語が通じることから、最近は彼のところへ行くことが多い。
これらのファンドのリスクレベルは通貨によって異なるので、2年に1回更新が必要なRisk Profiling Questionnaire (RPQ)をチェックしてから購入手続きをした方がいい。

ここまできて、私が紹介しているファンドが毎月分配型のものが多いことにお気づきのことだろう。
いろいろな投資本やセミナーでは否定的な意見が多いが、私は使いようによっては有用なものだと考えている。
詳しくは、「Toward a dream-come-true『経済的自由への扉は開かれた』」でも書いたが、それに加えて、今では毎月の配当金が入ることによって、無用な残業代稼ぎの願望が消え、それによって家族との対話の機会が生まれること、無理に出世を望まなくなることによって、次第に自由な時間が生まれ、それによって新たなビジネス(副業)や投資への可能性が芽生えることがあることだ。
一般的に資産形成期にある30代、40代にとって、毎月分配型のファンドはお勧めできるものではないが、現在の職場が不遇で、転職を考えている人にとっては、一時的な家計の補てんの意味合いで、退職金の一部を投資することもあり得るだろう。
要するに、世間の常識に惑わされずに、自分の目的とライフスタイルにあった投資をすべきというのが私の意見だ。
最後になるが、HSBC香港で投資をされている方で、高額の資産を預けている人はパンダ不動産・田口宗勝氏の「香港裏金実践ガイド:国税が香港口座に甘いワケ」を読んでみるといいかもしれない。
私も先月のマレーシア・カンボジア・タイ旅行の道中でiPadで読ませていただいたが、なかなかユニークな視点で書かれた面白い本だった。

*****************************************************

HSBC香港口座開設必要書類(2016年12月現在)

Thank you for your e-mail of 16 December regarding account application.

We are delighted to learn of your interest in our account services.
We aspire to provide excellent services to our local and international customers, and offer an extensive range of wealth management services.
To learn more about our account services, you can simply visit our website at 'www.hsbc.com.hk', and then select 'Banking' in the top menu bar.

To apply for a new account, you are welcome to visit any of our branches in Hong Kong bringing along the following:

- The original of your identification document, eg passport
- The nationality proof, eg a valid passport, travel document or national identity card
- The proof of your existing residential address bearing your name and current residential address (in English or Chinese), eg valid driving license (bearing address and photo), a bank statement or utility bill issued within the past three months, etc. The residential address must not be a post office box.
- The proof of your permanent address is also required if it is different from your existing residential address.
- An initial deposit (which depends on the account type you choose, eg HKD 2,000 for a Personal Integrated account)

To check our branch details (eg address and business hours), you are welcome to visit the above website and then follow the steps below.

- Click 'And your nearest Express Banking location' under 'Find a branch' at the bottom of the webpage
- Please select a territory and a district

You will see a list of all our branches in the selected location on the left of the webpage.
To view the detailed information, you can click the name of the branch you would like to check.

You can appreciate that the Bank is pleased to consider customers' new account applications at our discretion and after assessment in compliance with our internal guidelines.
You may be required to provide the Bank with further details and supporting documents for her application.

Moreover, the applicants for our accounts are required to understand either English or Chinese, so that they can understand our banking products and services.

If you have any other questions, please call our HSBC Premier Hotline on +852-2233-3322, HSBC Advance Hotline on +852-2748-8333.

Yours sincerely

Customer Support Officer
Retail Banking and Wealth Management

****************************************************

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017.02.25

配当所得に関して個人事業主や国民健康保険加入の個人投資家に朗報

日経ヴェリタス(2017年2月12日~18日号)の「『人生これから』 配当金の節税策 今回から」で紹介されていた平成29年度(2017年度)税制改正の大綱-個人所得課税-6 その他-地方税-個人住民税-(9)にある「上場株式等に係る配当所得等について、市町村が納税義務者の意思等を勘案し、所得税と異なる課税方式により個人住民税を課することができることを明確化する。」というのが、配当所得の節税策として俄かに脚光を浴び始めている。
日経ヴェリタスの記事で、今回の確定申告期(2017年2月16日から3月15日)でも適用できるとあるのは、法改正を伴うものではなく、来年度に向けて現行法(地方税法第317条の3第1項但書)の運用の周知徹底を図るという内容だからだ。
ただ、日本株の配当金に対する源泉所得税は、確定申告書と住民税の申告書を別々に出してまで節税する必要はないという人がほとんどだろう。
ところが、私が持っているダイワ米国リート・ファンド(毎月分配型)(現時点では2016年11月のフィデリティ・USリート・ファンド」(為替ヘッジなし)の分配金率引き下げの余波はなく、純資産総額の減少もそれほどないようだ。)のように普通分配金が出ている投資信託だと、配当課税方法を所得税と住民税と違うものにすることにより、大きな節税になる可能性があるので、検討してみる価値はあるだろう。

ここで、私が表題に「個人事業主や国民健康保険加入の個人投資家に朗報」としたのには理由がある。
大和総研の2017年1月25日付のレポート「上場株式等の住民税の課税方式の実質見直し」に書かれているように、「所得税と住民税で異なる課税方式を選択することが納税者のメリットとなるケースは主に2つある。1つは、上場株式等の配当所得について所得税は総合課税、住民税は申告不要制度(または申告分離課税)を選択することで住民税の税負担を抑えられるケースが挙げられる。もう1つは、所得税は申告分離課税で損益通算や繰越控除を利用する一方、住民税は申告不要制度を選択し国民健康保険料等の増加を抑えられるケースが挙げられる。」とあるのが最もわかりやすいだろうか。
仮に、自分にかかる所得税率が10%になる場合に、配当金の源泉所得税の還付を受けようとして、所得税の確定申告をすると、それがそのまま住民税の合計所得金額や、国民健康保険料(税)の算定基礎額に加算されて、ぬか喜びになりかねないリスクがある。
ところが、住民税の方を申告不要制度を適用すると申告すれば、そういったリスクがなくなるというわけだ。

一方、専業主婦に関しては少し微妙なところだ。
被用者保険(社会保険)の被扶養者認定は住民税であることが多いように思えるが、所得税の被扶養者判定は、国税庁のタックスアンサー「上場株式等の配当所得等に係る申告分離課税制度」にあるように、総合課税を選択すると、配当所得が合計所得金額に算入されてしまい、配偶者の被扶養者を外れる可能性もある。
要は、パート収入103万円超(タックスアンサー「パート収入はいくらまで所得税がかからないか」)、130万円未満(全国健康保険協会-被扶養者とは?)の人たちと同じジレンマを抱えるケースもあるわけだ。
こうした場合は、還付される所得税と、扶養を外されるデメリットを比べて判断するしかないだろうが、一般的には確定申告(還付申告)しない方がベターだと言えるだろう。

ところで、一般的に所得税の確定申告をすると、住民税の申告は不要なので(地方税法第317条の3第1項本文)、居住地の自治体に申告書を提出しようとした場合、本件の解釈の明確化について確認と念押しする必要があるわけだ。
私が市役所に勤める友人に確認したところ、「どちらの申告書が先に出されたかは受付印で確認できるが、住民税の申告書に『今後、所得税の確定申告をするが、配当所得に関しては申告分離あるいは申告不要制度の適用をします。』と明記する方が望ましい」と言っていた。
また、確定申告書の住民税・事業税に関する事項の記載例には、「所得税等の確定申告をした場合は、道府県民税配当割額及び株式等譲渡所得割額を記入します。」と書かれているが、「道府県民税配当割額」は記載しないが、正しい書き方になるだろうか。
いずれにせよ、今回、この方法を使うのであれば、住民税の納税通知書が届いたときに再確認する必要があるのは言うまでもない。

ちなみに、大阪市の「株式等の配当所得等および譲渡所得等の申告・課税方法」には以下のように明記されている。
「所得税等の確定申告書において上場株式等の配当所得等を、総合課税または申告分離課税として申告された場合は、個人市・府民税も同様にその課税方法が適用されます。ただし、納税通知書が送達される日までに、確定申告書とは別に、市民税・府民税申告書をご提出いただくことにより、所得税等と異なる課税方法(申告不要制度、総合課税、申告分離課税)を選択することができます。(例:所得税等は総合課税、個人市・府民税は申告不要制度)
日本の場合は、地方税法の適用が自治体によって異なることはないので、居住地の自治体への説明に窮した場合は、これを参考に見せるといいだろう。
これを見る限り、日経ヴェリタスや大和総研の記事とは異なり、確定申告書をすでに出してしまった人でも、来年度の住民税の納税通知書が送られてくるまでは、居住地の自治体に住民税の申告書を出すことができるということになるだろうか。
しかしながら、地方税法第317条の3第1項但書には、「ただし、同日(確定申告書提出)前に当該申告書(住民税の申告書)が提出された場合は、この限りでない。」と書かれているので、大阪市の解釈が正しいかどうかは議論の余地があるかもしれない。

****************************************************

「人生これから」 配当金の節税策 今回から
日経ヴェリタス 2017年2月12日~18日号

2017年度の税制大綱には、とある節税策がそっと盛り込まれている。
上場株式などの配当所得への課税については、3つの方法がある。
一般的には配当金が支払われるときに、一律20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)が源泉徴収されている。
そのまま確定申告せずに済ませる「確定申告不要制度」。そして、あとの2つは確定申告が必要な方法で、配当所得を他の所得と分けて確定申告する「申告分離課税」と、他の所得と合算して申告する「総合課税」だ。
この3つから1つを納税者が選ぶ。

従来、所得の多い人、具体的には課税所得が695万円を超える人なら、最高でも税率が20.315%に収まる申告不要制度がお得と言われた。
だが、所得税と住民税と異なる課税方式にできると、2017年度の税制改正大綱に明記されたおかげで、合法的な節税策が生まれた。
簡単に言えば、所得税を総合課税、住民税を申告不要制度にすると、課税所得が695万円超から900万円以下という区分にあたる人の正味の税率が、18.273%になる。

従来、申告不要制度で20.315%の税率が最もお得だった層の人の税率が下がるということらしい。
要は、所得税と住民税で課税方法を変えたらお得になる人が結構いるということになり、総合課税がお得だった695万円以下の人も同じ理屈になるようだ。
サラリーマンの場合、年間の給与から給与所得控除と、各種の所得控除を差し引いたものが課税所得だ。
従って、この層は年収でいうと、おおよそ1300万から1400万程度。
この年収以下の人はみんな申告不要制度よりも、所得税は総合課税を、住民税は申告不要制度を選ぶ方が正味の税率が低くなる。

それまで最も有利だった方法を、所得税は総合課税を、住民税は申告不要の方法に変えると、税率で約2%お得になる。
つまり、10万円の配当金に対して約2000円、100万円なら約2万円、500万円の場合は約10万円だ。
その際、申告書を2種類作成する必要がある。
これを面倒だとひるむ人はいると思うが、その労力や手間と節税額を勘案して、どうするか考えてもいいだろう。

国内上場株式の配当所得に課税される税率
課税所得金額所得税・住民税とも
申告不要①
所得税・住民税とも
総合課税②
所得税は総合課税で
住民税は申告不要③
最も税率の
低い課税方式
195万円以下20.315%7.2%5.0%
195万円超330万円以下7.2%5.0%
330万円超695万円以下17.41%15.21%
695万円超900万円以下20.473%18.273%
900万円超1000万円以下30.683%28.483%
1000万円超1800万円以下37.188%33.588%
1800万円超4000万円以下44.355%40.735%
4000万円超49.44%45.84%

「ヴェリーが答えます」 上場株式の配当所得、今回からできる節税とは?
「所得税と住民税で異なる課税方式に」
日経ヴェリタス 2017年2月19日~25日号

2月12日付の連載ドラマ「人生これから」で、2017年度の税制改正大綱で明確になった節税策を紹介したところ、読者から大きな反響があった。
上場株式の配当所得への課税に関して、所得税は他の所得と合算して申告する総合課税を選ぶ一方、住民税は「申告不要」にすれば、課税所得が900万円以下の人なら、それまで最も有利だちた方法よりも税率で約2%お得になる、というものだ。

この節税策は現行の地方税法でも可能であるが、今回の税制改正大綱でその解釈が改めて明確になった。
法改正を伴っているわけではないため、2016年分の所得に対する確定申告、つまり今回分から適用できる。
注意すべきは、税務署に所得税の確定申告書を提出する前に、住民税の申告書を市区町村の税務申告窓口に提出する必要がある点だ。

もっとも、地方税法の解釈が明確化されたことをまだ把握していない市区町村の税務申告窓口も多いようだ。
もし、市区町村の税務申告窓口の担当者と話しても受け付けられない場合は「その窓口に対し、都道府県の市町村課に問い合わせて解釈の明確化を確認してほしいと要望してみる」(地方税法を所管する総務省の自治総務局市町村税課)とよいかもしれない。
配当所得の多い人にとっては魅力的な節税策かもしれないが、周知徹底されるまでたはまだ時間がかかるだろう。
今回の解釈の明確化は個人住民税が対象であり、所得税の確定申告を受け付ける税務署は無関係なので税務署に問い合わせても関知していない可能性は高い。

<地方税法> 第3章 市町村の普通税-第1節 市町村民税-第3款 申告義務

第317条の3

1.第294条第1項第1号の者が前年分の所得税につき所得税法第2条第1項第37号の確定申告書(以下本条において「確定申告書」という。)を提出した場合(政令で定める場合を除く。)には、本節の規定の適用については、当該確定申告書が提出された日に前条第1項から第4項までの規定による申告書が提出されたものとみなす。ただし、同日前に当該申告書が提出された場合は、この限りでない。

2.前項本文の場合には、当該確定申告書に記載された事項(総務省令で定める事項を除く。)のうち前条第1項各号又は第3項に規定する事項に相当するもの及び次項の規定により附記された事項は、同条第1項から第4項までの規定による申告書に記載されたものとみなす。

3.第1項本文の場合には、確定申告書を提出する者は、当該確定申告書に、総務省令で定めるところにより、市町村民税の賦課徴収につき必要な事項を附記しなければならない。

****************************************************

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2017.02.11

ATR (Average True Range)の極意を学んだ小次郎講師無料プレミアムセミナー

20170201_tocom

去る2月1日にサンワード貿易主催の「小次郎講師流 新タートルズトレード講座」の無料プレミアムセミナー東京商品取引所(TOCOM)のセミナールームで行われた。
講演は全部で1時間半、前半は各自のトレードスキルチェックと、リスク管理の要諦であるATR (Average True Range)の理論、後半はトレードエッジ(移動平均線大循環分析)のことについて行われた。
昨年も小次郎講師のセミナーに出席して、移動平均線大循環分析のことはだいたいわかったのだが、そのときに購入した「小次郎講師流 目標利益を安定的に狙い澄まして獲る 真・トレーダーズバイブル」に書いてあったATR (Average True Range)のことが、今ひとつ理解できなかったものが、今回の講演を聞いて、ようやくわかりかけてきた。

要するに、自分の投下できる資金量と、買おうとしている銘柄(通貨ペア)の値動きに対するリスク管理の手法なのだ。
そこで、より理解を深めるために、セミナーでもらったレジュメに書かれていた計算式を小次郎講師流ATR計算(Excel)に入れて、データをはじき出してみた。
ここで使うTR(True Range/1日の最大値動き)の定義と、ATR(Average True Range/1日の最大値動きの20日平均)の計算式は以下のとおりだ。

・「当日高値-前日終値」「前日終値-当日安値」「当日高値-当日安値」の3項目のうちで、最大のものが1日の最大値動き(TR)であり、それが逆方向に出たとき、1日の最大リスクとなる。
・ATRの計算は、初回は過去20日のTRの単純平均(SMA)を使い、21日目からは指数平滑移動平均(EMA)「(前日のATR×19+当日のTR×2)÷21」を使う。

小次郎講師は、移動平均線大循環分析のときに5日平均(短期)、20日移動平均(中期)、40日移動平均(長期)を使って説明するので、私のエクセル表も過去40営業日のデータを入力してみた。
日本株の時系列データの場合、ヤフーファイナンス(株式)の時系列データは、20営業日ごとの表示になるので、それを2ページ分、コピー&ペーストでエクセルに貼り付ける(形式を選択して貼り付け→貼り付ける形式をテキストにする)だけで計算表は完成する。
FX(外国為替証拠金取引)の場合は、マネースクエアー・ジャパンのヒストリカルデータからCSVファイルでダウンロードできるので、そちらで入手する方がいいだろう。

最後に、自分の投資資金(総額)を、例えば200万円(2,000千円)と入れると、それぞれの株式銘柄や通貨ペアに対して、「リスクを1%取ることによる購入可能なユニット数」が算出される。
ここでいう「リスクを1%取ることによる購入可能ユニット数」は、自分の投資資金(総額)、投資対象となる銘柄(通貨ペア)の単元株数や取引単位に応じて異なり、例えば、単元株数が100株の銘柄であれば、100株買うことによって、リスクを1%取っていると見るわけである。
そのリスクを取れる上限は、投資の初級者であれば5%、中級者は10%、それを超えるものは一般投資家には相応しくない(破産する確率が増す)レベルというわけだ。

そして、後半の講義は「移動平均線大循環分析」、単純に言うならば、買い(ロング)にエッジ(優位性)がある銘柄と、売り(ショート)にエッジがある銘柄に投資すれば勝率が高くなるということで、こちらは、私にとっては昨年の講義でやった内容の復習となった。(参考:2016年4月7日-皇居の桜見物の後で完全リタイア(自由人)への光明を見た
買い(ロング)にエッジがある銘柄は、移動平均線が上から短期(5日)、中期(20日)、長期(40日)と並び、チャートは右肩上がり、逆に、売り(ショート)にエッジがある銘柄は、移動平均線が上から長期(40日)、中期(20日)、短期(5日)と並び、チャートが右肩下がりになっているものとある。(日数/パラメータはトレーダーによって異なっても構わない)
そして、それ以外のトレンドのときは方向感が定まらないので、投資をするべきではないと小次郎講師は言う。
このような感じで進んだ先日のセミナーだったが、無料にもかかわらず、学びが多く、内容の濃いセミナーだったと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.11.22

REIT(不動産投資信託)の宴は終焉間近か

私のコラムの中で最も多くの訪問者数を誇る記事に、2012年4月22日に掲載した「500万円の投資で毎月10万円、年率20%の分配金で束の間の宴を楽しもう」というものがある。
このとき私が投資した海外REIT型投信がダイワ米国リート・ファンドで、2012年6月に投資した元本とほぼ同額の税込分配金を貰い終えるのが、現在の水準が維持されると仮定すれば、2017年2月となる予定だ。
しかも、アベノミクス(第二次安倍内閣の経済政策)が花開いた2013年から2015年までは、これだけの高利率の分配金を出しておきながら含み益まで出ていたお化けファンドだった。
そう、おかげさまで「3~4年で終わるかもしれなかった束の間の宴」は5年間にも及ぶロングランになったわけだ。

ところが、米国の利上げが囁かれ始めた頃からRIET指数(Dow Jones Equity REIT INDEX)は下落に転じ、ついに、日本の代表的REITファンドである「フィデリティ・USリート・ファンド」(為替ヘッジなし)の分配金率が、2016年11月(今月)から引き下げられることが報じられた。
おそらく、私の保有しているファンドも同様の運命を辿るのは時間の問題だろう。
「海外REIT型投信は利回りを重視する高齢者などに根強い人気がある。」
毎月分配型投信に関しては、いくら証券会社のカウンターでタコ足分配のリスクがあることを説明されようが(説明されたことを理解できない人も多いと思うが)、老齢年金だけでは快適な生活が営めない現実の前には無力なのだ。(2014年4月6日-公的(老齢)年金受給額試算でわかる厳しい老後の現実
もちろん、私も彼らと同じ渦中にいるようなものだから、来年以降の投資に関してはリバランスを含めてどうするか真剣に考えないといけない。
今週発売された日経ヴェリタス(2016年11月20日~11月26日号)には、「REITから外債ファンドへ」という記事が掲載されていた。
日興リサーチセンターによると、11月は為替ヘッジ付きの外債ファンドに185億円が流入したそうだ。
米国の利上げが現実化するに従って、こういった流れは加速するのだろうか。

*****************************************************

海外REIT型投信、減配の波 個人マネー流出危惧
(2016.11.21 日経新聞)

海外の不動産投資信託(REIT)で運用する投信で、分配金を相次ぎ引き下げる「減配ドミノ」が起きている。
11月15日にはフィデリティ投信が最大の公募投信「USリート」を減配すると発表した。
米国のREIT市況が停滞するなか、過度な分配金で元本を取り崩す現在の状況を見直す。
他の投信にも同様の動きが広がる可能性は大きく、個人マネーの流出を危惧する声が広がっている。

フィデリティは11月から「フィデリティ・USリート・ファンド」(為替ヘッジなし)の分配金を従来の100円から70円に引き下げる。
引き下げはほぼ4年ぶりだ。
70円の分配金を続けた場合、現在の基準価格なら分配金利回りは20%程度に下がる見通しだ。

投信が支払う分配金は2種類ある。
運用で得た収益を分配する普通分配金と、投資家が払い込んだ元本を払い出す特別分配金だ。
運用が不振でも高水準の分配を続けるなら特別分配金を充てるしかないが、元本を支払うと基準価格が下落する。
同ファンドの基準価格は今年に入り3割近く下落しており、実態に見合った分配方針に転換する。

投信を販売する証券会社では警戒ムードが広がる。
「来週が怖い」。フィデリティの発表翌日、大手証券の営業担当者はこんな不安を口にした。
分配金が口座に振り込まれるのは21日だ。「異変に気づいた顧客から問い合わせが殺到しそうだ」と身がまえる。

海外REIT型投信は利回りを重視する高齢者などに根強い人気がある。
特に2月の日銀のマイナス金利導入から資金流入が加速し同タイプの投信には1~10月で2兆円強の資金が流れ込んだ。
純資産残高は8兆円を突破し、今や公募投信全体のほぼ1割を占める。

しかし実態は苦しい。
米REIT指数(S&Pグローバル算出、ドル建て)は2009年から一貫して上昇してきたが、今年半ばに下落に転じた。
米長期金利の上昇も不動産市況には逆風だ。

既に分配金を引き下げた海外REIT型投信は多い。
今年は10月までに22本が減らした。
ただ、純資産残高が1兆円を超える大型投信の減配はフィデリティが初めてだ。

国内では他に2本の1兆円ファンドがある。
いずれも分配金利回りは2割を超え、基準価格の下落に歯止めがかからない。
運用会社は「(分配金は)基準価格の水準などを基に毎月、適切に判断する」(日興アセットマネジメント)と説明するが、「追随するのは時間の問題」(ネット証券大手)との声は多い。

証券業界には苦い記憶がある。
かつて一世を風靡した「グローバル・ソブリン・オープン」は2009年の分配金引き下げを契機に資金が流出した。
2008年には6兆円近い資産残高があったが現在は約6500億円にとどまる。
USリートの決断もマネーの流れを変える転換点になるかもしれない。(井川遼、川上穣)

****************************************************

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2016.11.11

トランプショック(Trump victory shock)で誤魔化された日本市場の大きなリスク

日本時間の11月9日、米国の大統領選挙(2016 Presidential Election)の開票が進む中、共和党(Republican Party)のドナルド・トランプ(Donald Trump)候補が、民主党(Democratic Party)のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)候補に対して優勢と伝わると、日本市場は6月24日の英国国民投票(The UK's EU referendum)のときのデジャブ(deja vu)を見ているかのような暴落に見舞われた。
寄り付き直後に上昇した日経平均株価が11時過ぎから下落に転じ、後場は暴落したところまでそっくりだった。(2016年11月9日 ロイター 〔マーケットアイ〕株式:日経平均は1000円超す下げ、トランプショックでリスク回避 2016年11月9日 ロイター 日経平均は一時1000円超える下落、トランプ氏優勢で全面安
違ったのは、私自身が6月のときは暴落相場に対する備えができていたのに対し、今回はそれほど緊張感を持っていなかったことだろうか。

ところが、夕方(日本時間)の欧州市場が意外に健闘していることや、夜(日本時間)の米国市場がダウ先物の暴落がウソのような堅調ぶりを発揮し、日経225の先物も夜間市場で大きく巻き返した。(2016年11月10日 ロイター 欧州株式市場=続伸、トランプ氏勝利のショックから立ち直る 2016年11月10日 ロイター NY株式:ダウは256ドル高、トランプ銘柄の物色が始まる
中でも、私が昨年末に推奨した防衛産業関連株は鉄板銘柄であった。(2015年12月29日-資産形成のための比較的安全な米国株投資法
これを受けた10日の日本市場は猛烈な買戻しが入って9日の暴落分を帳消しにした。(2016年11月10日 ロイター 日経平均1092円高と今年最大、買い戻し活発化
終わってみれば、いったい何だったのだろうかというほどのジェットコースター相場に見舞われた日本市場、9日の暴落はトランプショックと銘打たれたれて経済記事の多くが配信されていたが、私はそうでないような気がしている。

私が思うに、キーワードは「公的マネー(鯨)」だ。
去る8月31日のコラム「公的マネーが上場企業を席巻、真の民間企業が消えゆく日本市場」で紹介したように、今の日本市場は「日銀が買うか買わないか当てっこをする相場」になっているようだ。
もちろん、日銀年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が直接ファンドマネージャーを雇ってETF(Exchange Traded Funds=上場投資信託)を買うわけではなく、信託銀行などに委託して、そこのファンドマネージャーが市場にアクセスするわけなのだが、随時、公的資金による買いが入るということは、空売りなどによる相場の下落圧力がかかりづらく、本来なら下げそうな環境下にあっても株価が維持される傾向が強くなる。(参考:2016年8月29日 Econo Great-公的マネー(日銀・GPIF)の資金が流入している銘柄を知るには?
そうかといって、上昇基調とは思えないときは買い向かうこともしづらい。
11月に入ってからの日本市場はまさにそんな感じだったのが、9日は一気呵成に日本株の売り浴びせが行われた。
いくら公的資金が「買い」しか行わないとはいえ、9日のように市場が不安定になりそうなときに「買い」は入れないと考えられるので、安心して売れる(空売りできる)と思ったのが、トランプ候補が優勢になったときの相場だったと言えるだろう。
そうでなければ、日本市場がこれほどの暴落に見舞われたことの説明がつかないと思う。
おそらく、日本市場は今後もこうしたイベントが突発的に起こりうる。
まさに、普通の投資家は手を出しにくくなりつつある日本市場とは言えないだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧