2017.09.03

電通女性社員過労自殺事件がもたらす日本の残酷な未来

"Death from Overwork"は、過労死を意味する英語のフレーズだ。
この言葉は、電通の高橋まつりさんが過労自殺したことが大きな事件(電通女性社員過労自殺事件)として取り上げられる前は、英文記事を検索しても国際労働機関((ILO/International Labour Organization)で発表された記事ぐらいしかヒットしなかった。(International Labour Organization - An International Comparison of Unpaid Overtime Work Among Industrialized Countries)
ところが、電通の石井直社長の引責辞任が発表されてから(2016年12月28日 産経新聞-業績に打撃も 社長は引責辞任 広告主、募る不安 2017年1月20日 産経新聞-高橋まつりさん母コメント全文「謝罪、再発防止約束も、娘は二度と帰ってくることはありません」)、海外メディアでも日本の長時間労働の文化が引き起こした過労死事件に関しての報道がクローズアップされるようになった。

例えば、2017年1月12日付のフィナンシャルタイムズ(Financial Times)は、「'Death by overwork' in Japan exposes dangers of overtime culture(日本の過労死事件は長時間労働の文化の脅威を露わにした)」と報じている。
同じく英国国営放送のBBCでは2016年12月30日付で、「Is Japan's culture of overwork finally changing?(日本語版 日本の過重労働の文化はようやく終わりつつあるのか)」という記事が掲載された。
また、2017年6月2日付のBBCは、「The young Japanese working themselves to death(日本語版 死ぬまで働く日本の若者 『karoshi』の問題)」と報じている。
ちなみに、安倍内閣の働き方改革実現会議に関連するものとしては、2017年4月14日付のブルームバーグ(Bloomberg)で、「Japan's Bid to Stop 'Death by Overwork' Seen Falling Short(日本語版 働き方改革に課題、過労死ライン超の100時間残業に改悪と指摘も)」という記事がある。
これら以外でも"death from overwork"あるいは"Japan overwork"検索すればいろいろな英文記事がヒットするだろう。

政府は、高い技術や知識を持つ外国人が日本に来やすい環境をつくり、経済成長につなげたいということで、高スキルを持った外国人の受け入れを促進しようとしている。(2017年1月18日 日経新聞-「高度人材」最短1年で永住権、3月実施へ省令改正)(法務省-高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度
ところが、出井康博氏は、新潮社フォーサイトの記事で、「永住権『安売り』で外国人『高度人材』は集まるのか(2017年2月17日)」という疑問を呈し、「”本物”の高度人材にとって『永住権』の魅力は乏しい。事実、高度人材の資格を得ていながら日本から去っていく人も少なくない。高度人材を国籍別に見ると、圧倒的に多いのが中国人だ。その割合は全体の65パーセントに上る。安倍政権と中国は、決して相性が良いとは言えない。その中国出身者が、政権肝いりの制度で最も恩恵を得ているのは皮肉なことである。」と書いている。
穿った見方をすれば、鈴木傾城氏のコラム「日本にも大量の中国人工作員がなだれ込んでいる事実を知れ(2017年5月22日)」にあるような中国人工作員を優遇している制度と言えなくもない。
これに、私が2015年4月11日付で掲載した「マクロ経済も老後の生活も悲惨にする日本の労働環境」の中で紹介した「日本には遊びに行きたい。でも、働きたいとは思いません。」と考える外国人が電通女性社員過労自殺事件に関する英文記事を目の当たりにして急増することも考えられる。
世界中のどこでも働けるスキルを持った人が、先進国とは思えないような過酷な労働環境で働きたいとは思わないからだ。
つまり、出井康博氏の言う”本物”は日本を去り(あるいは来なくなり)、鈴木傾城氏の言う外国人工作員が政府や企業の要職で跳梁跋扈する時代がやってくるかもしれないのだ。

そうであるならば、「日本の会社は日本人だけの力でやっていけば良い」と考える人は意外なほど多いだろう。
ダイヤモンド・オンラインの記事で、「『43%の企業が「海外からの人材が必要ではない』 外国籍人材活用に消極的な態度に見える、その課題(2012年1月24日)」というものがあり、これは5年前の記事で統計も古いのだが、日本の国内企業が頑迷なまでに保守的なことを考えると、未だに状況は変わっていないように思う。
それでは日本の国内企業は、高スキルを持った日本人を引き留める魅力があるのだろうか。
先月、ある飲み会に参加したとき、参加者の一人が得意顔でこう言った。
「私は社内でのステータスを上げるためならサービス残業も厭いません。私の会社では出世するためにそうすることが常識なんです。」
これが電通女性社員過労自殺事件の元になる日本人サラリーマンのメンタリティなのだと暗澹たる気持ちになりながら、私は、新聞記事の一つを思い起こしていた
それは、「2017年8月27日 日経新聞-役員給与、アジア勢が上 中国4000万円・日本2700万円」、もはや日本の国内企業で過労死の危険を賭して働いても報われることはなくなりつつあるというのが、この記事を読んだ私の率直な感想だ。
それに、私もシンガポール人の友人であるエリック(Tan Eric)さんを通じて薄々感じていたことだが、「シンガポール人の月収は日本人より遥かに高い(2015年12月29日 シンガポール駐在員ブログ)」というのも見つかった。

もはや、言わなくともわかるだろう。
私が15年以上前に海外投資を始めたとき、木村昭二氏の「税金を払わない終身旅行者」の中で、PT (Perpetual Traveler)という言葉を知った。
この終身旅行者(PT: Perpetual Traveler)という概念を提唱したW.G.ヒル(W.G. Hill's)博士曰く、彼らは国籍を持つ国(Passport and Citizenship)、居住国(Legal Residence)、ビジネスを行う国(Business Base)、資産運用を行う国(Asset Haven)、そして、余暇を過ごす国(Playgrounds)の5つを目的に応じて使い分け、合法的な節税を行っているという。
当然ながら、2000年初頭はビジネスを行う国(Business Base)として、日本人が経済大国だった日本を選ぶことに迷いはなかったと思う。
ところが、今では日本経済の先行きの暗さと、公租公課の過酷さがますます増大するにつれて、富裕層ほど日本を選ばなくなくなっている。
これに今後は日本人の高スキル人材が続くというのも自然の成り行きだろう。
死を賭して働いた結果が庶民の怨嗟と酷税ではやっていられないのは当然である。

2017年8月20日付の日経新聞「違法残業『かとく』がにらみ 厚労省の過重労働対策班」というのを読んで、私は驚き呆れ果てている。
「違法残業の慣行は今も多くの企業に残っている。厚生労働省によると、2016年度に全国の労働基準監督署が立ち入り調査した2万3915事業所のうち、43%で違法残業が見つかり、是正勧告をした。『過労死ライン』とされる月80時間を超える事業所は77%に上った。
同省は監督体制を強化する一方で、監督官不足が課題となっている。全国に監督の対象事業所は428万カ所あるが、2015年の監督件数は約15万5千件。監督官不足のため全体の約4%しかカバーできていない。このため政府は2018年度から、監督官の業務の一部を民間の社会保険労務士などに委託する方針だ。」(第9回働き方改革実現会議の金丸恭文氏提出の資料5によれば、2016年度の監督指導対象となる事業場数は428万事業場、対象労働者数は5,209万人。これに対し、労働基準監督官数は3,241人に過ぎない。)
この違法残業が見つかった事業所のうち、是正勧告に応じて不払い賃金を払ったのはもっと少ないようだ。(厚生労働省-監督指導による賃金不払残業の是正結果
この状態で、日本の民間サラリーマンが叫んでいる「私の会社のサービス残業を取り締まってくれ!」というのは何社フォローされるのだろうか。
もはや役所の摘発を待つだけでなく、自分たちで何とかしないことにはどうにもならないことに気づかないのだろうか。
ところで、若年層を雇うと、こうして労働基準監督署へ駆け込みされて困るからと、最近では我慢することだけは世界一優秀だと定評のある日本人中高年サラリーマンをターゲットにえげつないブラック職場が蔓延っている。(2013年6月27日 ダイヤモンドオンライン-中高年退職者を食い物に!ハローワークが紹介する”辞められないブラック企業”)(2015年4月1日 日刊SPA-ブラック雇用主が「中高年バイト」を使いはじめた理由

最近になって私は「エストニア共和国より愛をこめて」というブログを読み始めた。
この中で最も気になったのは、2017年7月6日付の「欧州からは『日本だけが勝手にどんどん貧しくなっている』ように見えている」というもので、記事の中で「今後は『普通の人がやりたがらないような過酷な低賃金労働は、日本人労働者に外注しよう』ってのが一般的になっていくかもしれませんね~。」という一節だ。
サービス残業(unpaid overwork)という悪習を放置し、経営陣に抗議(ストライキやデモさえ)しようともしない日本人サラリーマンに対し、外国人や在外邦人からはNO additional charge(追加料金不要)、NO negotiation(交渉不要)の「便利な下請けくん」としか思われなくなる日がやってくるのではないかとぞっとしたものだ。
再度掲載するが、外国人の中には「日本には遊びに行きたい。でも、働きたいとは思いません。」と言う人が少なくないという。
このことは、7月8日付の「大陸欧州と比べてわかる日本の労働者の働き方の『ヤバさ』について」や、8月5日付の「日本人って勤勉なのに、どうして日本の経済は良くならないの?」 からも読み取れる。
私は自分が生まれた国だからということもあるが、日本は非常にいい国だし、便利さも快適さも世界で有数な国だ。
しかしながら、それを支える側にはなりたくないと考えるのは外国人だけではなくなってきているということだ。(2017年7月4日 キャリコネニュース-人手不足が最も深刻な業界は「宿泊・飲食業」「運輸業」 理由としては「募集をしても応募が無かった」
この悪循環を断ち切るためには、日本の企業が無理難題を吹っ掛けるブラック消費者に対して毅然とした態度を取るようにならないと根本的な解決にはならないだろう。
とりあえず、現状貴方がブラック職場の中で苦しんでいるようなら「お前ら、社畜で人生楽しいか?」を読んでみたらいかがだろうか。

ところで、2017年8月24日付の日経新聞で、「家電や日用品、国内生産回帰じわり」という記事が掲載された。
これを単純に喜んでいるようではいけないと思う。
こうした付加価値の低そうな労働現場が日本に帰ってきたということは、日本企業の経営者からも自国の労働者が前述したように「便利な下請けくん」として認識されているということを感じないといけないのだ。
早坂隆氏の「世界の日本人ジョーク集」という本で、世界最強の軍隊とは「アメリカ人の将軍、ドイツ人の参謀、日本人の兵」、最弱の軍隊は「中国人の将軍、日本人の参謀、イタリア人の兵」というものがある。
日本人の中で世界で活躍している人からすると「えええ~」であろうが、世界の人たちからは「日本人は部下向き」の人材が多いと見られているのだ。

日本が将来的に「世界の下請け」ということになったとき、日本のサラリーマンの多くは今までにない劣悪な老後が待っているに違いない。
おそらく老後という言葉も死語になるかもしれない。
何しろ21世紀初頭まで、アジアの中で有数の高賃金国、経済大国と言われていたのがウソのような状況になるのだ。
内閣府の高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」の第2回検討会(2017年7月18日)における議事録の内容が世間に波紋を広げている。
詳しくは、2017年8月2日付のマネーポストの記事、「社労士が警告『いよいよ70歳定年・年金75歳受給の時代到来』」に書かれているが、仮に公的年金75歳支給開始となった場合、もはや、ほとんどの人にとって、生きた金として使えるものではなくなることを意味する。
しかも、公的年金の支給額は、現役世代の賃金や物価の上昇分がそのまま跳ね返るわけではなく、逆に、賃金水準や物価が下落すれば、それに応じて年金額も引き下げられることになっている。(参考:日本年金機構-マクロ経済スライド
私が予想しているように、将来的に高スキルのサラリーマンが日本を去り、日本が世界の下請けとして甘んじざるを得ない状況になれば、どうなるかは火を見るよりも明らかだろう。
このままいけば、私が2004年2月29日に掲載した「未来へのシナリオ」、その中で敬愛するピーター・タスカ(Peter Tasker)氏が「不機嫌な時代-JAPAN2020の中で書いた「長いさよなら」というのが現実のものとなる日がやってくるのもそう遠いことではないような気がしているのだ。

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2017.08.27

法定相続情報証明制度によって相続手続きは簡略化されるのか

2017年(平成29年)5月29日から「法定相続情報証明制度」というのが始まったのをご存じだろうか。
簡単に言うと、今までは、不動産や金融機関の口座などに関して相続手続きが必要になった場合、亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本(全部事項証明書/除籍・改製原戸籍を含む)の提出を求められることが多かった。
その戸籍等の原本が提出先で返却されない場合は、手続きに必要な通数を揃えて用意しなければならなかったため、その手間と費用がバカにならなかった。
それが、この「法定相続情報証明制度」によって、法務局に一度だけ手続きすれば、あとは無料で証明書が交付されるので、手続きは簡略化されるという。
但し、この制度を利用するには、前述の戸籍等を取得した上で、法定相続情報一覧図を作成しなければならないので、今までと比べると、その手間が一つ増えることになる。(法定相続情報証明制度の具体的な手続について
なお、「被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど、戸除籍謄抄本を提出することができない場合は、本制度を利用することができません。」と書かれているのは、法務局に確認したところ、国際結婚した夫婦の一方が死亡したとき(日本人配偶者の戸籍には婚姻の相手方氏名と婚姻成立日が掲載される)でさえ、外国人側が日本法に基づく身分異動事項が記載された戸籍を添付できないことから適用除外とのことである。

一般的な方の相続の場合だと、父親が亡くなって、相続人が母(配偶者)と子供というのがスタンダードなケースだろう。
相続財産として、持ち家(不動産)と預貯金、証券、生命保険があった場合、生命保険に関しては受取人が決まっているので除外するとして、それ以外のものに対して、被相続人の出生時からの戸籍等の提出が求められることになるだろう。
このケースで、果たして新制度を使うメリットがどの程度あるかは、相続人のパソコンのスキル次第と言えるかもしれない。
仮に、法定相続情報一覧図を手書きするという選択をした場合、面倒になってくることは容易に想像できるからだ。
それならば、従来通りに被相続人の出生時からの戸籍等を複数枚取り寄せた方がいいとなるかもしれない。
仮に、金融機関の窓口で戸籍の確認が終了すれば、原本が返却されるならば、なおのことである。
相続の手続きを専門家(弁護士司法書士税理士行政書士)に依頼するならともかく、自分でやろうとするならば、新旧どちらの制度を使う方が合理的か見極めてからやる方がいい。
もし、新制度について詳しいことが知りたければ、最寄りの法務局か、お住いの自治体で司法書士相談(原則無料)というものがあれば、相続手続きに関連して聞いてみるといいだろう。(参考:日本司法書士会連合会-新しい相続手続「法定相続情報証明制度」
まあ、今まで戸籍等の束を提出されて確認に手間取った金融機関などからすれば、この証明書を出してもらう方がいいということになるが、この制度が浸透するまでには時間がかかりそうな気もするね。

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2017.08.20

外国人観光客誘致による地方再生には外国語情報の充実が不可欠だ

私が7月下旬から8月初旬にかけての四国旅行から帰京し、コラムを連載していたのと時を同じくして、日経新聞のエコノフォーカスに興味深い記事が掲載されていた。
新景インバウンド(上)欧州客、消費の主役(2017年8月13日)」と、「新景インバウンド(下)地方を潤す3つの逆転(2017年8月14日)」という2本の記事だ。
13日の記事では、英国とイタリアからの観光客の1人当たり旅行消費額が、中国人観光客を抜いて、今後は、ヨーロッパからの観光客が訪日観光客の主役に躍り出そうなことが書かれており、14日の記事では、訪日外国人の中のリピーターが地方に目を向け、地方の宿泊客の増加が大都市圏を上回るほどになっており、地方経済の救世主が観光になるのではないかと書かれている。
確かに、そのような兆候はあると私も思う。
2016年10月31日付の日経の記事で「訪日客、初の年間2000万人突破 地方へ分散進む」と掲載されて以降、その傾向は今年になっても続いているのだろう。

今回の旅行に関しても、8月13日のコラムで「外国人にも人気の祖谷渓(Iya Valley)、祖谷のかずら橋と奥祖谷二重かずら橋に行ってみた」と書いたとおり、祖谷渓が外国人に人気があることは、列車やローカルバスに乗っているときでさえ、実感できるほどだったのだ。
私が知らなかっただけかもしれないが、それこそ、ジャパンガイド(Japan Guide.com)という、訪日外国人の旅行バイブルを作成しているステファン・シャウエッカー(Stefan Schauwecker)さんの著書でいう「外国人だけが知っている美しい日本」そのものではないかと思った。
それで思い出しのが、彼が書いている「外国人観光客からの質問で多いのは、交通に関することです。飛行機や新幹線など、観光拠点都市へ行くための第一次交通手段については、すでに十分な情報がありますが、そこから先のバスに関しては、外国語の情報が少ないのです。」というのに触発されて、今までにない熱心さで英語版のウェブサイト(travel to Shikoku region in Japan in 2017)も作った。

これ以外にも日本各地を旅行した後で英語サイトを作る過程で思ったのが、英語の観光情報サイトで、一番肝心な「How to get there(どうやってそこに行くのか)」が書かれていないものが非常に多い。
単に、写真と観光地の説明文だけ載せても、行き方がわからなければ、そこに来てもらえないことがわかってないのだろうか。
このあたりは是非とも改善しなければ、宝の持ち腐れになるだろう。
今までは大都市圏から日本人観光客に来てもらえばいいとしか思っていなかったかもしれないが、日本人サラリーマンの有給休暇取得率の低さは相変わらずで(2016年12月15日 We Love Expedia-「世界28ヶ国 有給休暇・国際比較調査2016」  日本の有休消化率、2013年以来3年ぶりに最下位に)(Expedia Viewfinder on November 15, 2016 - 2016 Expedia Vacation Deprivation Report)、頼みの熟年旅行者の懐もだんだん寂しくなる一方なのだから(2014年9月14日 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上))-高齢者の家計)、週末で来られるような地域を除けば、今後も期待薄といっても過言でない。
従って、地方都市の観光政策担当者は、海外拠点の日系旅行社のように、もはや日本人だけを相手にせず、という方針で臨まないとお先真っ暗と言えるだろう。

ところで、ステファン・シャウエッカー(Stefan Schauwecker)さんが指摘している地方都市のバスだが、この点に関して言えば、日本の地方在住者は車で移動するのが当たり前になっていて、外国人が使うのは公共交通機関だというのがわかっていないと思う。
従って、彼が、「鉄道と連動しないバスの不思議」と書いても、地方交通の当局者が見ているのは地元の中高生の通学と高齢者の通院、役所巡りの利便性だけだから、列車や他の交通機関との連携は二の次になる。
それで利用者が減っているので活性化といっても、利用時間帯や接続が不便な公共交通機関を利用する人がいるわけがない。
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」というものがあるようだが、観光資源のある自治体は、是非とも外国人観光客の利用を視野にした政策を実施して欲しいものだ。
そもそも、地方都市のローカルバスのことについては、何も細かなことまで英語で書く必要はない。
運賃の払い方と下車のときのやり方、時刻表と、主要停留所の近くにある観光地を案内すれば事足りるだろう。
いずれにせよ、これから日本が観光立国を目指すためには、外国人が個人旅行をしやすい環境を整えることが重要なのだ。

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外国人だけが知っている美しい日本 ~スイス人の私が愛する人と街と自然~ by ステファン・シャウエッカー

■これから求められるのは、飛行機や新幹線を降りたあとの交通情報

2008年から、私は国土交通省が主導する「VISIT JAPAN (VJ)大便」を務めています。
これは、海外からの観光客を増やすために、有識者の提言を聞くという取り組みです。
第一期のメンバーには、大手鉄道会社の社長や有名温泉地の代表者など観光のプロに加え、ファッションデザイナーのコシノジュンコさんなどの著名人もいらっしやいます。
ですから第二期に指名されたときには、「私でいいのですか?」と、とまどいました。
それでも非常に光栄なことですので、喜んでお受けしました。

VJ大便の役割は、基本的には「今の仕事の中で、海外からの観光客を増やすために尽力する」ということです。それに加えて、年に数回、ミーティングやシンポジウムが行われています。
私に求められているのは、長きにわたって外国人旅行者の動向を見続けてきたプロとしての立場から意見を述べること、「ジャパンガイド」のサイトを通じて届けられる旅行者たちのナマの声を、他の大便や国土交通省の方々に伝えることだと思っています。

外国人観光客からの質問で多いのは、交通に関することです。
質問が多いということは、情報が足りていないということだと思います。
飛行機や新幹線など、観光拠点都市へ行くための第一次交通手段については、すでに十分な情報がありますが、そこから先のバスに関しては、外国語の情報が少ないのです。

■鉄道と連動しないバスの不思議

日本の公共交通で私が昔から疑問なのは、「なぜ駅前を発着するバスの運行時刻が、鉄道と連動していないのか?」ということです。
それは私が、鉄道とバスが必ず連動しているスイスで生まれ育ったからかもしれません。
スイスでは、駅を出るとバスは必ず待っています。
数分前に出発してしまったとか、次のバスまで長時間待つということは、基本的にありません。
ですから旅をする際に、バスの時刻を気にする必要がないのです。

けれど日本では、不思議なくらいバラバラですよね。
地方のバス路線の場合、ウェブ上に時刻表の情報を掲載していても、日本語だけというサイトがほとんどです。
旅好きな日本人の友人は、「ローカルなバスの時刻を調べるのは大変。しかもいつの間にか変更されていたり、ときには廃線になっていたりするからスリリングだ」と笑っていました。
日本人でさえ苦労するのですから、海外からの旅行者がバスの時刻まで事前に調べることはとても難しいです。

もちろん、ローカルバスを乗りこなして旅する外国人はめったにいませんから、今はまだ大きな問題にはなっていません。
けれど、海外からの観光客は、2013年に 「ビジット・ジャパン・キャンペーン」 の目標でもあった年間1000万人を突破しました。
2020年の東京オリンピックに向けての盛り上がりを考えると、「飛行機を降りたあと」「新幹線を降りたあと」の交通情報を外国人旅行者にどう届けるかは、いずれ取り組まなければならない課題だと思います。

■改善が待たれる京都のバス

バスというと、どうしてもまた京都について触れざるを得ません。
京都は私の大好きな場所なので、だからこそとても残念に思うのです。
地下鉄が網の目のように走っている東京や大阪と違い、京都での観光はバスに頼る部分が大きいです。
しかしこのバスが・・・。

まだ京都の交通事情をよく知らなかった頃、桜を取材した帰りにバスに乗った私は、夕方のラッシュアワー近くに、市内で大渋滞に巻き込まれてしまいました。
そのとき、わずか数百メートル進むのに40~50分かかるという経験をしました。
しかもバスは観光客で満員です。
「ジャパンガイド」に寄せられる京都への不満の意見でいちばん多いのが、交通の便の悪さです。
バスは草体が小さめで本数が少なく、特に桜や紅葉の季節には、私の経験したような渋滞が毎年のように繰り返されています。
ですから「ジャパンガイド」では、「できるだけ地下鉄や鉄道を使い、あとは歩くように」とすすめています。

■ぜひ欲しい、英語で予約できるサイト

今後はインターネットから英語で電車やイベントチケットなどの予約ができるようになるといいと思います。
日本への旅行を準備する際に、みんなインターネットを利用しているからです。
いちばん欲しいのは、電車の指定席の予約ができる英語のサイトです。
現状ではJR東日本の新幹線と一部の特急の予約ができますが、それ以外はほとんどできないのです。
特に作ってほしいのは東海道新幹線です。
最も需要が多いですから。

できれば他の交通機関、たとえば私鉄、バス、フェリーなども英語予約サイトがあれば便利だろうと思いますが、地方では外国人旅行者の需要がない交通機関もありますので、それは無くても仕方ありません。
しかし、全国の主要な交通機関、都市や観光地の交通機関に関しては、海外から英語で予約できるサイトがあったら素晴らしいと思います。

有名観光地で言えば、あの東京スカイツリーですら、海外から予約ができません。
なぜならチケットの購入には、外国で発行されたクレジットカードが使えないからです。
ご存知のように、東京スカイツリーは開業から50日間は予約でしかチケットを買えませんでした。
当日券はまだ販売されていなかったのです。
つまり、その期間はほとんどの外国人観光客が行きたくても行けない状態でした。

当時、このことを知ったときはびっくりしました。
外国人観光客を誘致するキャンペーンを行なっている時代に、東京に新しくオープンしたメジャーアトラクションで、外国人が予約できる英語のシステムがないことに本当に驚きました。
今は当日券がありますので、外国人観光客でも展望デッキまで上れるようになりましたが、いまだにサイトで事前予約することはできません。
英語の案内ページはあっても予約ページはなく、「日本で発行されたクレジットカードしか使えません」と書かれています(2014年6月現在)。
交通機関や観光名所などのチケットも、2020年の東京オリンピックまでには、このような点が改善されていたらいいと思っています。

■外国語のガイドツールが増えると、状況は変わる

「ジャパンガイド」がサイトで観光地を紹介するとき、その説明文に入れるのは、「英語のパンフレットはあるか」「英語の説明表示はあるか」「英語のガイドツアーはあるか」という点です。
外国人観光客が多く訪れる有名観光地のほとんどは英語の表示が併設されています。
特に東京など都市部の交通標識や鉄道の表示は、どんどん改良されていて、とてもわかりやすくなっています。
京都の観光案内所などで入手できる英語版の観光マップは、昔から本当に素晴らしいと感じています。

一方で、もう少し改善すればもっと良くなるのに、と感じる場合もあります。
たとえば北海道の知床国立公園は、世界遺産に登録されて観光客泌増えたことにより、知床五湖を見学するシステムが大きく変わりました。
クマが生息するエリアなので、夏の時期に遊歩道を歩いて見学を希望する観光客は、事前レクチャーを受けたうえでガイドツアーに参加しなければなりません。
個人で行ってはいけないのです。

私が訪問した二年前には、外国語のパンフレットは用意されていましたが、外国語によるツアーはありませんでした。
これは、とてももったいないことだと思いました。
説明がわからなくても、あの美しい風景だけで十分に楽しめるとも言えますが、もし言葉がわかったなら、楽しさはさらに広がったと思います。
外国語のツアーはやはりあったほうがよいと思います。

■外国人アドバイザーによって、地元の魅力はもっと伝わる

私は日本の歴史や仏教などについて少しずつ勉強しています。
知識を持っていると、観光の楽しさが違ってきます。
良きガイドがいれば、日本人からすると「何もない街」でも、訪れる価値のある場所になることがあります。

和歌山県田辺市の熊野ツーリズムビューローでは、カナダ人のブラッド・トウルさんが、プロモーション事業部長として長年にわたり地元の観光のためにがんばっています。
彼が来たことで、英語のホームページや資料が充実してきました。
彼は旅館や土産物店に出向き、どこにどのような英語の表示をつければ外国人観光客は困らないかなどのアドバイスを積極的に行いました。
さらに宿泊施設のために、外国人客と指さし会話ができるマニュアルも作成しました。
ミシュランの『グリーンガイド・ジャポン』で、熊野古道は三つ星を獲得していますが、その陰には、熊野という土地の魅力だけでなく、こうした地道な取り組みがあったからだと私は思います。

長野県の戸倉上山田温泉にも、そんな外国人がいます。
亀清旅館で若旦那を務めるタイラー・リンチさんです。
2005五年に奥さんの実家である温泉旅館を継ぐべく、結婚して10年住んでいた生まれ故郷のシアトルから引っ越してきました。
旅館の仕事をこなしながら、地元の人たちとも幅広く交流し、温泉街を活性化させて、外国人観光客を呼び寄せるための活動にも取り組んでいます。

高野山の無量光院という宿坊には、クルト・キュブリさんというスイス人僧侶がいます。
高野山は、外国人観光客にも人気です。
特に宿坊体験は、「ジャパンガイド」の調査でも非常に満足度が高くなっています。
お寺に泊まり、精進料理を食べ、お勤めに参加するだけでも、もちろん素晴らしい経験になるでしょう。
しかし、さらに高野山、真言宗、弘法大師について直接英語で話してもらえると、旅の味わいがぐっと深まります。

日本には、魅力的な土地、人、ものがたくさんあります。
しかし、それらはまだ十分に世界に伝わっていないと、私は思います。
「ジャパンガイド」は、その名の通り、ありのままの日本の姿を世界に紹介する「良きガイド」でありたいと思います。

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2017.07.01

賃貸住宅入居者や大家向けの孤独死保険は高齢化社会の救世主になり得るか

平成29年(2017)版高齢社会白書の「高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向」によれば、65歳以上の一人暮らし高齢者の増加は男女ともに顕著であり、平成27(2015)年には男性約192万人、女性約400万人、高齢者人口に占める割合は男性13.3%、女性21.1%となっているそうだ。
私も将来的には他人事とは思えないので、6月17日の日経新聞の「おひとり様 『終活』で安心 生前整理・孤独死保険・・・元気なうちから、50~60代も」という記事を関心を持って読んでみた。
この中で気になったのが、孤独死保険のことで、現在の日本では高齢者が賃貸住宅に入居することが敬遠されがちなため、現役世代が持ち家のために、無理して住宅ローンを組むといったファイナンシャルプラン上の悪循環が生じていることが多い。
そういった問題の解決策の一つとして、こうした保険が役立ちそうな気がしたからだ。

大家向けの孤独死保険の市場が拡大してきているという記事は、2015年8月7日付の保険ジャーナルの記事「『孤立死』の片づけ費用を補償する保険が増加中」や、2016年5月17日付の毎日新聞「高齢者孤独死 販売拡大する『家主向け保険』」でも触れられているが、需要の高まりから大手損保が相次いで参入していることから家主側の選択の幅が広がっていることは朗報だろうか。
一方、賃貸住宅入居者側の保険や特約も出始めており、NPO法人「人と人をつなぐ会」が少額短期保険会社のメモリード・ライフと共同で開発した「希望のほけん」は、一人暮らしの引退世代の方のみならず、家族と離れて暮らす高齢者(老親)の加入も検討に値するだろう。
いざというときに備えるのが保険の役割の一つだが、死はいつかは誰にでも訪れるもの、終活の一つとして情報収集してみるといいだろう。
ところで、こうした保険で少しは高齢者の賃貸住宅入居事情は好転するものなのだろうか。

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おひとり様 「終活」で安心 生前整理・孤独死保険・・・元気なうちから、50~60代も (2017.6.17 日経新聞)

自分らしく人生を終えるために元気なうちから備えたい-。
そんな「終活」の裾野が広がってきた。
墓や葬儀について考えるだけでなく、身の回りの物を「断捨離」する生前整理を始めたり、入院などの際の身元保証を第三者に頼んだりするおひとり様が増えている。
人に迷惑をかけずに人生の最期を迎えたいという思いが垣間見える。

「あら、懐かしい。お父さんの還暦の写真だわ。こっちは孫からの手紙ね」。
目を細めるのは千葉県白井市に住む津々木多恵子さん(78)。
傍らではそろいのポロシャツを着たスタッフが所狭しと動き回る。
ある者は履物を箱に詰め、別の者は台所から戸棚を運び出す。

津々木さんは夫を1年半前に亡くした。
築38年の家には夫婦と独立した息子たちの荷物が残った。
「このままじゃいけないと思っていた」。
息子たちの勧めもあり生前整理を決心した。

請け負ったのは遺品・生前整理を手掛けるリリーフ(兵庫県西宮市)。
津々木さんが見守る中、朝9時に始まった作業は午後3時に終了した。
処分品は2トントラックで5台分。
費用は約36万円だった。

リリーフが手掛ける片付けの件数は年間1500件。
亡くなった親の遺品整理を子どもが頼むケースが多いが、「最近は高齢のおひとり様の生前整理が目立ってきた」と赤沢知宣おかたづけ事業部長は話す。
「放置したまま死ぬと家族に迷惑がかかる」という動機の依頼者も少なくないという。

■単身の高齢者増

かつて主流だった三世代同居が減る一方、増加したのはひとり暮らしだ。
2015年には65歳以上の男性の13%、女性の22%を占めた。
「いざという時に頼れる家族がいない」。
おひとり様向けサービスが広がる背景にはこのような事情がある。

NPO法人きずなの会(名古屋市)は家族に代わって病気やケガをしたときの支援や葬送を代行する「生前契約」の老舗だ。
中部・関東の14カ所に事務所を構え、契約者は累計で1万人近くに上る。

病院や施設・賃貸住宅への入居時の身元保証を軸に、手続きを代行したり付き添ったり、必要な物品を届けたりする様々な支援をワンストップで実行する。
契約者が亡くなれば葬儀や納骨もする。
身元保証だけでなく付き添いなどの生活支援や葬送も頼むなら、契約時に190万円の預託金が必要だ。
預託金は弁護士法人が管理する。

今年契約をした都内在住の70代の女性は「息子は遠方に住んでいて、緊急時に頼れない。入院や手術の際に職員に立ち会ってもらい助かった」と話す。
杉浦秀子・東京事務所長によると「将来に備えたいと50~60代の契約も増えている」という。

■家主損失カバー

新しい金融商品も出てきた。
その名も「孤独死保険」。
賃貸住宅の入居者が部屋で亡くなると、その後なかなか借り手が見つからなかったり、原状回復や遺品整理に多額の費用がかかったりすることがある。
孤独死保険はこれらの家主の損失をカバーする。

ジック少額短期保険(千葉県東金市)が販売する「生活安心総合保険」は「孤立死原状回復費用」の特約を付加できる。
入居者が加入するこのような保険は現在20社以上の少短保険が扱う。
家主が加入するものもあり、東京海上日動火災保険などが販売する。

国土交通省の調査では、賃貸住宅の家主の約6割が「高齢者の入居に拒否感がある」という。
生前契約や保険が広がれば、おひとり様の安心老後を後押ししそうだ。

■デジタル遺品(スマホ写真やメールなど)にも目配り

「あなたはパソコンやスマホを残して死ねますか?」
先月26日に開かれた「デジタル終活セミナー」。
講師の伊勢田篤史弁護士が問いかけると、参加者全員が首を横に振った。

デジタル終活とはパソコンやスマートフォン(スマホ)、オンライン上に保存した写真やメール、データなどの「デジタル遺品」について、自分の死後の取り扱いを考える活動だ。
スマホなどは画面にロックを掛けている人が大半だし、その中身は極めて「個人的」なものだ。

「家族には見せたくない写真がパソコンに入っている」という理由でセミナーに参加した会社員の女性(41)は、「データを隠すだけでなく、毎月利用料金を払っているネットの有料サービスなどを引き継いでおかないと死後、無駄に料金を払い続けてしまうことに気づいた」と話す。

伊勢田弁護士は「家族が困ったり悲しい思いをしたりしないよう、まず、残すものとそうでないものを分類する”棚卸”をし、それぞれに適切な対策をしてほしい」と呼びかけている。(土井誠司)

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2017.06.28

不労所得の甘い誘惑、D9 ClubなどのHYIP(ハイプ)に仕込まれた黒い罠

仮想通貨のビットコインを買って口座に入れておくだけで、高金利という概念をはるかに超えた超絶高金利の配当を毎月はおろか毎日でさえもらうことができる。
わずか100万円程度の金を出資すれば、まさに酒を飲んで寝ているだけでお金が降ってくる世界が貴方を待っている。
仮想通貨元年と呼ばれる2017年、今までの概念をすべて超越した新常識の金融商品がここにある。
このメッセージを見ることができた貴方だけがなし得る特権、そんな夢の世界に貴方も行ってみないか、と言われて踏み込んだHYIP(ハイプ)の世界、そこはケシの花畑に蝶が舞い、甘言をささやくビキニの美女に誘い込まれたら最後、ドス黒い罠が幾重にも張り巡らされる死神の住む泉だった。
この罠が張り巡らされた投資案件のHYIP(ハイプ)というのはHigh Yield Investment Program(高利回り投資プログラム)の略で、主として、仮想通貨のビットコインをベースにしたものを指すことが多い。

ところで、貴方はD9 Clubというのを聞いたことがあるだろうか。
つい先週の6月21日、テレビ東京のワールドビジネスサテライト(WBS)でも「超高配当でトラブル急増 『HYIP』被害弁護団結成へ」で取り上げられたので、こうしたHYIP(ハイプ)と呼ばれる高利回り投資プログラムを知っている人も多いと思う。
また、この投資案件は、いろいろな仮想通貨投資ブログ(勧誘サイト)で紹介されているので、検索してもらえればすぐにでも報酬プログラムの内容はわかるのだが、単純に言えば、一番収益率が良いとされるゴールドトレーダープラスの場合、1口2,046USドル(2017年1月4日の為替レート1USドル=118円で計算した場合、約24万円)(これに登録代行業者手数料が加算される)相当のビットコインを投資すれば、毎週170USドル(約20,000円)の報酬が52週間入るというもので、アカウント維持費の月額50USドル(約6,000円)の経費を差し引いても、8,240USドル(約97万円)の利益、投資元本は償還されないので、契約期間の52週間、きちんと配当がもらえれば、純益ベースでも6,194USドル(約73万円)になるというものだ。
つまり、年利360%(3倍)、実際は登録代行業者手数料があるので3倍にはならないが、それを差し引いても投資額の2.5倍が純益となって返ってくるというので、不労所得を得るためのエースのような存在として、2016年秋頃から日本中に広まった。

D9 Clubという日本人の間で爆発的な人気を誇ったHYIP(ハイプ)は、多くのプロモーション動画や、仮想通貨投資セミナーで、ベットフェアー(Betfair)というブックメーカーへの投資利潤を配当原資とし、D9自体、2003年8月に設立されたブラジルに実在する会社であると説明されてきた。
それがゆえに、月利30%(2,046USドルの投資元本に対し、毎週170USドルの配当金、月額50USドルのアカウント維持費)という常識ではあり得ない高金利が人気を呼び、詐欺ではないかという疑念を掻き消しても余りあるギャンブラー(投機家)を呼び込んできた。
私は、このスキームをギャンブル(投機)と呼んでいたが、勧誘者の中には事業投資と呼んで、あたかも確実に配当金が入るような説明をしている者すら見受けられた。
このスキームはMLM(Multi Level Marketing=マルチレベルマーケテイング/連鎖販売取引)を基礎とし、多くのギャンブラー(投機家)を勧誘することによって、通常の配当金に加え、多くの紹介報酬が入る仕組みになっていた。
しかしながら、D9 Clubの場合は、一般のMLMとは異なり、勧誘をしなくとも目をむくような配当金がもらえるとあって、入会者は飛躍的に増加をしていった。
大変お恥ずかしながら、私もギャンブラー(投機家)の一員であった。
今年の初め、サンタクロース投資などと浮かれたことを書いていたことを反省している。

さて、このD9 Clubというギャンブル(投機)が、実はとんでもない詐欺スキームではないかと考え始めたのは、これを日本中に広めたとされるうちの一人、泉忠司氏が、「ノアの泥船」という悪評プンプンの仮想通貨詐欺案件(2017年3月28日-仮想通貨情報局 ノアコインは詐欺コイン!「ノアの泥船」と呼ばれる政府認定の詐欺について 2017年5月2日-香港マイタン日記 「仮想通貨詐欺が横行している!要注意です。詐欺野郎に喝だ」)で悪名を馳せた頃と同じ時期だ。
私が遅まきながら調査し、分析したところによれば、D9 Clubは典型的なポンジ・スキーム(Ponzi scheme)だった。
ウイキペディアによれば、ボンジ・スキーム(Ponzi scheme)とは、詐欺の一種で、「出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に(配当金などとして)還元する」などと謳っておきながら、謳っていることとは異なって実際には資金運用を行わず、後から参加させる別の出資者から新たに集めたお金を既存の出資者に「配当金」などと偽って渡すことで、あたかも資金運用が行われ利益が生まれてそれが配当されているかのように装うもののことであると解説されている。

実際、D9 Club報酬の換金システムが滞って半月ほど経過した5月中旬、MLM上層部からのメッセージではこのように書かれていた。
MLMの典型的な特徴として、会社の然るべき責任者の公式声明というものはなきに等しく、「アップライン」からのメッセージなどという責任者が誰かもわからない曖昧な情報で埋め尽くされ、それに振り回されることを知ったのもこのときだ。
「ダニーロ会長からリーダーに約束をした様です。今後どの様にして、滞納のウィズドローを支払う計画なのか?現在はポジション増殖は、D9ドルが100%使えましたが、今後は、D9ドルが50%、ビットコインが50%で支払する。この改善でポジション増殖の度に世界中からビットコインがD9に入りますから、我々に支払う報酬や配当のビットコイン原資が大量に確保出来ます。D9自体の朗報は、中国のD9の新規売上が爆発的に伸びているそうですから、滞納中のウィズドローの原資にもなるかと思われますので、安心材料の一つだと思います。

この非公式メッセージが事実ならば、D9 Clubの会長自ら既存会員の報酬原資が新規会員のもたらす出資金によって賄われていることを吐露した珍しいものだと私は思っている。
つまり、私はこのメッセージがD9 Clubがポンジ・スキーム(Ponzi scheme)であることの証左だと考えたが、そういったことをMLMのLINEグループなどで公言する人は皆無だった。
仮にそうしたことをすれば、コミュニティ内の異分子として粛清(メンバー削除)され、D9 Clubに関する情報入手経路から遮断されてしまうことを恐れたからだ。
そう、MLMのコミュニティ内では言論の自由というものは存在しない。

それでは、D9 Clubのプロモーション動画や、仮想通貨投資セミナーで言われていたブックメーカーへの投資はどうか。
こちらは、2017年5月17日付の投資案件検証委員会(旧サビアンでキャッシュバックの毎日)のコラム「Betfair社がD9との関係性を否定」という記事で、純然たる投資利潤はないということが暴露されている。
ちなみに、ここで紹介した「投資案件検証委員会(旧サビアンでキャッシュバックの毎日)」というブログは、単なるMLMやHYIP(ハイプ)批判系のものではなく、論理的な検証がされていて、私は信頼に値すると思っている。
また、これと同様のことは、2017年5月14日付のBehind MLM (MLMの裏側)のコラム「Paraguay's Public Prosecutors investigating D9 Clube Ponzi(パラグアイの検察当局、D9 Clubのポンジ・スキームを捜査)」でも紹介されている。
つまり、パラグアイでは検察による捜査が始まっているほどなので、余程悪質なものだと見られているのであろう。

これらにも増して、D9 Clubの悪質性を裏付けるのが、2017年4月25日付のAnti-Scam-Blogのコラム「D9クラブ経営陣の詐欺活動の経歴について」という記事だ。
ここでは、D9 Club会長のダニーロ・サンタナ(Danilo Vunjão Santana Gouvêia)氏や、幹部のカルロス藤山(Carlos Fujiyama)氏が詐欺組織で暗躍していた経歴が紹介されているが、これらが事実であれば、こうした者たちが運営している組織が信頼に値するものだろうか。
常識で考えれば、国際詐欺組織の幹部が一部の日本人(私は泉忠司氏や、配下とされる太陽氏こと松本敏彦氏柿野隆氏佐藤秀樹氏湯田陽太氏連尺野誠氏、その他のグループリーダー諸氏は無色でないと考えている)とタッグを組んで、日本人投資家の金を巻き上げたという見方をするだろう。

面白いことに、D9 Clubが実質的に破綻した後、カルロス藤山氏を含む日本のD9 Clubのトップリーダー有志が被害者の会を立ち上げ、D9 Club本社に対して、債権(未着金分)回収の交渉や、損害賠償請求訴訟に入るというメッセージが流れてきている。
私は、これは彼らが詐欺に加担したとの疑いによる刑事訴追を逃れるためのポーズ、あるいは、SSLにも対応していない、粗雑なウィズドロー滞納請求サイトに個人情報を入れさせることから、フィッシング(phishing)などの新たな詐欺を画策していると見ている。
もし、貴方の被害額が大きく、心から被害回復を図りたいと思っているのであれば、前出のリンクにあるように、テレビ東京のワールドビジネスサテライト(WBS)で報じられた「『あおい法律事務所』が中心になり、来月にも弁護団を結成することになりました。」というものを期待した方がいい。(2017年6月22日-[D9」関係者らに対する集団訴訟等のための弁護団の組成について
この場合、証拠として備えておくべきスクリーンショットは、アカウントの登録日がわかる画面と、該当のアカウントのウィズドロー(withdraw)の結果がわかるものがいいだろう。
もちろん、こうした交渉は難航が予想されるので、被害額が小さい場合は、D9 Clubにおける損失は、勉強代だと思って諦め、証券会社などで買える別の健全な投資案件(月利でなく、年利で概ね10%程度以下)を見つけてやる方が時間の損失という観点から見るといいように思うがいかがだろうか。
あるいは、仮想通貨取引所内で売買できる通貨を買ってみるなど、詐欺に引っかからない方法で投資をやってみることだ。(参考:2017年4月18日-ビットコインがMasterCard店舗やATMで利用可能に
それとも、どうしても彼らに一泡吹かせたいか。

ところで、私はコラムの冒頭で、HYIP(ハイプ)の世界を「ケシの花畑」と書いたのを覚えているだろうか。
D9 ClubのようなHYIP(ハイプ)の超絶高金利が当然という感覚が身についてしまうと、麻薬中毒患者のように高金利中毒症になり、まともな健全投資に戻れなくなることを意味している。
貴方は大丈夫だろうか。
それとも数か月から数年はリハビリが必要だろうか。
D9 Clubが実質的に破綻して、グループリーダーの中には新案件と称するスキームを紹介している者がいる。
彼らの提示しているものがまともなものかどうか判断しかねる場合は、速やかにグループを抜けることをお勧めする。
さもなければ、高金利中毒症にかかった貴方は、新たな詐欺MLMを紹介されかねないからだ。
ジャーナリストの鈴木傾城氏はこう言う。「HYIPは関わった人たちを次々と地獄に突き落としている

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2017.04.18

ビットコインがMasterCard店舗やATMで利用可能に

私が去る2月12日に「仮想通貨のビットコイン(BTC/bitcoin)を買ってみた」という表題でコラムを書いた仮想通貨(virtual currency)が、今月から名実ともに日本でも法的な支払手段とされた。
そして、去る14日に、仮想通貨の代表的なものであるビットコイン(BTC/bitcoin)が、いよいよMasterCard店舗やATMでも利用可能になると報じられている。
もっとも、そのためには仮想通貨取引所の一つであるZaif(ザイフ)に口座を持つことと、マネパカードを保有することが条件になるようだが、現時点では、多くの場合、資産運用したビットコインを取引所を通じて、銀行などに出金してからしか使えないことを考えると、利便性が向上すると言えるだろう。
このマネパカードは、もともと海外旅行用のトラベルプリペイドカードの一つなので、そういった面での利便性は高かったのだが、仮想通貨取引所と連携することによって、先進的な金融投資家の間でも注目されるカードになるかもしれない。
実際、マネパカードを発行しているマネーパートナーズグループ(銘柄コード:8732)の昨日の株価が上がったのは、こうしたニュースも一因であると言えるだろう。(2017年4月17日 フィスコ-マネパG 続急伸、テックビューロとの業務契約書締結を材料視

さて、ビットコインデビットカード(Bitcoin Debit Card)と言えば、すでにXapoWirexといったものがあるようだが、私もこういった面ではまだまだ不勉強なので、あまりよくわかっていない。
そこで、友人が勧めてくれた本が「図解 FinTechが変えるカード決済ビジネス」で、私も一つ買って読んでみようと思う。
こういった感じで次第に世間の認知度も上がってくることが予想される仮想通貨、とりあえず、投資の初級者が買うとすれば、時価総額の大きいビットコイン(BTC/bitcoin)、イーサリアム(ETH/Ethereum)、リップル(XRP/Ripple)あたりを投資のポートフォリオに加えるといいと思う。
この3種類の仮想通貨であれば、どこの取引所でも扱っているだろうし、フィンテックの入門書を読むきっかけにもなるだろう。
ただ、イーサリアムは発行上限が未定の通貨なので、そのあたりが懸念材料と言えるかもしれない。
ちなみに、現在、市場で公開されている仮想通貨の最新の交換価値がランキング形式でわかるサイトとして、Crypto-Currency Market Capitalizations(英語)があるので、参考にするといいだろう。
ここに掲載されている仮想通貨であれば投資詐欺に遭うこともないので、仮想通貨に投資しようという人は是非とも見て欲しい。

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ビットコインがMasterCard店舗やATMで利用可能に-テックビューロ (2017.4.14 ZDNet Japan)

テックビューロは4月14日、運営するビットコイン取引所「Zaif」でマネーパートナーズの発行する「マネパカード」と連携し、 4月19日からビットコインによるチャージ機能を提供開始すると発表した。
チャージ金額は自動的に日本円に変換され、MasterCardのロゴのある店舗にて使用できるほか、マネーパートナーズで外貨に交換して世界中の店舗で買い物に使ったり、ATMから外貨として引き出したりすることが可能という。

マネパカードはマネーパートナーズが発行する、15歳から申し込みが可能なMasterCardロゴ入りの“お財布カード”。
クレジットカードとは異なり、指定した通貨で指定した金額だけをチャージして、店舗やATMで利用でき、外貨に対応している。
あらかじめZaif内でマネパカードとの連携を済ませておけば、Zaifから希望金額を指定するだけで、ビットコイン残高を日本円に変換してチャージできるという。

チャージ金額は、6つの通貨(米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、香港ドル、日本円)に交換でき、日本を含む世界210以上の国と地域にある、MasterCardマークのある3800万以上のMasterCard加盟店で日本最安値(海外専用プリペイドカード比)の手数料で利用できるとした。
また、日本以外の国ではMasterCardマークのある250万以上のATMにて現地通貨として現金を引き出すことも可能という。

この連携によりマネパカードを経由で、Zaifに預けているビットコインを世界中で使えるようになる。
このサービスについて、テックビューロ代表取締役の朝山貴生氏は、ビットコインに対応するカードのほとんどは、欧米のペイロールカードなどの流用であり、現金を引き出すだけで数%や数ドルの手数料がかかっていたと説明。
マルチカレンシー対応を前提としたマネパカードに、Zaifのビットコイン為替エンジンを組み合わせることによって、利便性だけではなく手数料の面の強みがあるとアピールした。

今後は、このサービスのチャージの時間差改善や対応通貨の多様化などに取り組むほか、Zaifで取り扱うビットコイン以外の仮想通貨やトークンでもマネパカードへのチャージを可能にする計画があるという。

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ビットコイン対応26万店 ビックカメラなど導入 ~投資対象から決済へ~ (2017.4.5 日経新聞)

仮想通貨ビットコインを新たな決済手段として店舗に導入する動きが広がり始めた。
ビックカメラは週内に都内2店舗でビットコインによる決済を開始。
リクルート系も今夏をめどに26万店で利用できるようにする。
投資が中心だったビットコインの利用が店舗での決済手段に広がる。
訪日外国人を狙った動きだが、日本の消費者への普及につながる可能性もある。

ビックカメラはビットコイン取引所国内最大手のビットフライヤー(東京・港)と組み、7日から旗艦店の有楽町店(東京・千代田)とビックロビックカメラ新宿東口店(東京・新宿)でビットコインによる決済システムを試験導入する。
決済の上限を10万円相当とするが、現金と同率でポイントも還元する。
利用動向を見ながら、他の店舗への展開を検討する。

リクルートライフスタイルは取引所のコインチェック(東京・渋谷)と組み、タブレットを使ったPOS(販売時点情報管理)レジアプリ「Airレジ」を使う店舗が希望すればビットコインで支払えるようにする。

タブレットなど店舗の端末と消費者のスマートフォン(スマホ)を使って決済すると、その額がビットコイン口座から引き落とされる。
コインチェックが日本円に変換し、店舗に振り込む。

Airレジは小売店や飲食店を中心に全国の26万店が採用している。
決済システムだけの導入も可能。
中国からの訪日客向けにアリババ集団傘下の電子マネー「支付宝(アリペイ)」も利用でき、ビットコインも使えるようにすることで多様な決済に対応する。

国内でビットコインで支払いができる店舗は現在4500カ所程度にとどまる。
現金以外ではSuicaや楽天Edyといった電子マネーの普及が先行している。
リクルート加盟店とビックカメラでの導入によって26万店に急拡大し、38万店のSuicaや47万カ所のEdyの規模に近づく。

ビットコインは世界での利用者数が2000万人を超え、月間取引高は12兆円に達するが、利用者の8割以上が北米と欧州に偏っている。
価格が変動するため投資目的での売買が大半だったが、外貨に両替することなく自分のビットコイン口座で決済できることから、海外渡航先での利用が拡大している。

国内でも決済に対応する店舗が増えることで、ビットコインの口座を持つ消費者が増える可能性がある。

日本では1日に改正資金決済法が施行された。
仮想通貨の取引所に登録制が導入され、安全面での制度整備が進む。
7月からは仮想通貨の購入時にかかっていた消費税がなくなり、ビットコイン利用者の負担が減ることも市場拡大の追い風になるとみられる。

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2017.04.15

接遇とは無縁のユナイテッド航空はChapter 11(米連邦破産法第11条)の適用が最も相応しい

Narita01

ユナイテッド航空(United Airlines)(銘柄コード:UAL)への非難が止まらない。
それはそうだろう。
かねてよりサービスが良いとは思えなかった航空会社だが、よりによって正規の乗客を殴りつけて引きずり下ろしたことが動画撮影され、それが世界中に拡散されているからだ。
2017年4月11日付のNHKのウェブサイトでは「ユナイテッド航空 定員超過で乗客引きずり降ろす」と報じられ、アメリカのメディア、ワシントンポスト(Washington Post)でも「A man wouldn't leave an overbooked United flight. So he was dragged off, battered and limp.(定員超過のユナイテッド航空便から下りなかった男性が、引きずられて滅多打ちにされた。)」と書かれている。
また、ニューズウイーク日本版の記事「ユナイテッド機の引きずり出し事件に中国人激怒、の深い理由」や、「Was that doctor dragged off the United Airlines flight because he was Asian? Many in China think so.(ユナイテッド航空から引きずり降ろされた医者はアジア人だったからか?中国人の多くはそう思っている。)」と題されたワシントンポスト(Washington Post)の記事は、ユナイテッド航空(United Airlines)がドル箱路線だと位置づけたはずの中国人の怒りを買っていることの表れである。
この記事や動画を見たときに、私を含めて非白人なら誰もが思ったことだろうが、白人乗客ならこういう扱いはされなかっただろう。

ところが、その余韻も冷めやらぬうちに「またしてもユナイテッド航空 障がいを持つ94歳女性をビジネスクラスからエコノミーに移動させる(2017年4月14日-Techinsight)」「Mirror on 14 APR 2017 - United Airlines staff 'forced frail grandma, 94, out of £2,800 Business seat into Economy for 16-hour flight' (ユナイテッド航空のクルーが94歳の老母に対し、ビジネスクラスからエコノミークラスへ移動することを強要)」という記事が配信された。
この事実をフェイスブックに投稿したマリアン(Marianne Santos Aguilar)さんも名前からすると白人ではないようだが、もはや、ここまで来ると人種差別云々の問題でなく、ユナイテッド航空(United Airlines)のスタッフが人としての心を持っていないと言わざるを得ないだろう。
おそらく、彼らは乗客を運んでいるという意識が希薄で、貨物でも運んでいるとしか思っていないのかもしれない。
インターネット上では、「こんな航空会社訴えろ」「本当に運行を廃止にすればいい」「良心的な航空会社とは決していえない」「みんなで搭乗をボイコットすべき」といった批判が相次いでいるというが、当然だと思うし、私ですら英文のニュース記事にコメントしたいくらいだ。

私は2011年から2015年までマイレージプラス(Mileage Plus)のプレミアシルバー(Premier Silver)のメンバーだった。
このときは、ユナイテッド航空(United Airlines)に乗ったことも何回かあったが、それほど不快な思いをしたことはなかった。
ただ、特典資格を示すカードの送付が遅れたり(2014年2月2日-マイレージプラスプレミアカード遅延(Mileage Plus 2014 Premier Card delays))、2014年10月の香港・ベトナム旅行で乗ったユナイテッド航空(United Airlines)の香港-ホーチミン線のフライトがLCC(Low Cost Carrier=格安航空)並みの酷さだったりしたことはあったが、エコノミークラスだったこともあって、あまり気になるほどのこともなかった。(単に鈍感だっただけか?)
おそらく、このあたりからユナイテッド航空(United Airlines)の体質がおかしくなっていたのだろうが、幸いなことに、2014年6月のアメリカ旅行のチケットは、ユナイテッド航空(United Airlines)で発券したものの、機材もクルーも日本発着便はANAだった。
それを聞いた私の友人の一人は、「UAじゃなくてANAで良かったね。UAというのはUnited Airlinesでなくて、Unco Air(食事時の人、申し訳ない)だからね」と言った。
そのクソ航空ぶりは、香港マイタン日記の「ユナイテッド航空 香港→グアム ビジネスクラス搭乗記(2016年11月6日)」でも書かれている。

たぶん、というか今回の事件で、ユナイテッド航空(United Airlines)になど乗らないという人は多くなるだろう。
二度と乗らないという宣言をしている人もいるくらいだ。
今まででさえ、できればほかのエアラインが良いという人はかなりいた。
選択肢の多いアジア圏や欧州圏を結ぶ路線の業績は劇的に悪化するに違いない。
かつては、サービスが悪くとも値段が安いからアメリカ系の航空会社に乗る人も多かったが、私がそうであるように、今では、アメリカ系の航空会社は値段が高くてサービスが悪いので敬遠している人が多い。
もはや、ユナイテッド航空(United Airlines)が今のままでサービスが向上すると期待している人などほとんどいないだろう。
巷で噂されているような経済危機がアメリカを襲ったとき、この航空会社もご臨終になることを期待している人の方が多いに違いない。
Chapter 11(米連邦破産法第11条)、この条文が最も相応しいアメリカの会社が、ユナイテッド航空(United Airlines)だと思う。
もし、Firstradeなどアメリカの証券会社や、米国株を信用取引(margin trading)できる口座をお持ちなら空売り(sell short)して一儲けするのも悪くない。(参考:Firstradeの場合はEducation - Margin Loans - Short Sellingで詳細がわかる)
今なら、良心の呵責を感じることもないだろう。

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2017.02.10

クラウド会計ソフトFreeeで初めての青色申告をやってみた

去る12月3日の「個人事業主のための会計研修終了」で触れたように、昨年から私は公的には「個人事業主」ということになっている。
おまけに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出したので、嫌でもきちんとした税務申告書類を作らないといけなくなった。
開業当初は大して活動しないし、経費の仕訳もそれほど大掛かりにしなくていいだろうと、高をくくっていたので、神奈川県青色申告会連合会の会計研修の度に「記帳は毎日してますか」などとアンケートで聞かれても、どこか他人事だと思っていた。
ところが、どっこい、昨年の12月になって、重い腰を上げて申告の準備に取り掛かって唖然、何しろ年初に事業用として定めた銀行預金とクレジットカードを他所に、経費で落とせそうな費用を様々なクレジットカードで引き落としてしまったために、それらをまとめないといけないことに気付いた。
当然のことながら、手作業で明細を見ながら入力なんてことはやってられないので、金融機関の利用明細を自動で取り込めて、領収書などを隙間時間に入力できるiPhoneアプリがある会計ソフトを探したところ、クラウド会計ソフトFreeeというのが目に留まった。

実のところ、この会計ソフトは「トイアンナのぐだぐだ-フリーライターとして初めての青色申告で『freee』を使ったら全作業が3時間で終わった(2016年3月2日)」というコラムを見たときから注目していたのだが、青色申告会で推奨してソフトが「ブルーリターンA」ということもあって、どちらにしようか迷っていたのだが、やはり、自動でいろいろできるということが魅力的だった。(SMBC信託銀行が未だにシティバンクで登録されているが・・・)
しかしながら、金融機関の利用明細を自動で取り込めるのは一般的に過去2~3か月分だけで、残りは手入力しなければならなかったのだ。
昨年12月にそれをやり始めた私は、何と半年分以上を手入力しないといけないハメになった。
幸いにして、資産管理・家計簿ソフトのMoney Foward(古くはMicrosoft Money)を入れているのと並行して、金融機関の利用明細をPDFでダウンロードしていたので、それをコピー&ペーストすれば良かった。
ただ、それでも相当に面倒だったので、自作のエクセル(CSV)ファイルを読み込めないか確認したところ、 freeeヘルプセンターに「手動でfreeeに取り込む明細を用意する」というのがあり、このテンプレート(類似の自作のフォーマットでも可)に数値を入れていけば大丈夫なことがわかった。

これらのおかげで、確定申告期真っ只中に予定している海外旅行(2017年1月29日-マレーシア航空「平成29年初売り」セール中、今年の春はビジネスクラスでタイへ)に間に合うかどうかの危機にあったのが、何と1月中に申告資料の準備がすべて終わってしまったのだ。
そうなれば、トイアンナさんがコラムで書いているように数時間あれば終わる作業だから、確定申告が終わるのは時間の問題だった。
昨年までと違うのは、Freeeからエクスポートできる青色決算書と確定申告書Bデータの拡張子が「申告・申請書データファイル(*.xtx)」なので、e-TaxのWindows版をダウンロードして、それに組み込む必要があった。(確定申告書などの加除訂正が必要なければFreeeからe-Tax WEB版で直接送信できる。
それでも、つい先日、確定申告書と青色決算書の送信が終り、これで心置きなく遊びに行くことができるので、やれやれといったところか。

ちなみに、昨年12月に下取りに出したWindows Vista機(2016年12月17日-Windows VISTA機、ソフマップで下取り価格3千円なり)で使っていた、e-Tax黎明期にもらったCDロムは無論のこと、当時購入したICカードリーダー(日立M-520U)もWindows 10のパソコンでは使えないので、すべて刷新しないといけなかった。(今回買ったICカードリーダーはSONY RC-S380だ。)
私が2004年5月30日に「電子政府は誰のため?」というコラムを書いた当時は、e-Taxを使う人は酔狂以外の何物でもなかったが、システムが年々改良されてだいぶ使い勝手の良いものになっている。
個人向け行政サービスで一番進化を遂げているのが国税庁のe-Taxというのはさすがとしか言いようがないが、マイナンバー(社会保障・税番号)を使った一般の行政サービスも、お粗末だった住民基本台帳カードの時代と比べて進化を遂げられるのであろうか。(参考:公的個人認証サービスで利用できるサービスの一覧

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2016.12.29

政府が会社員の副業・兼業の促進へ、一方で副業バレを防ぐためには

最近、私は金融資産への投資以外の収入源を求めて、様々な投資・ビジネス系のセミナーに出席するようにしている。
その中には、12月22日のコラム「豊川稲荷で商売繁盛、金運UPの願掛けを」で書いたように、手掛けているのもあって、それは幸いにも、成功する機運が出始めている。
もちろん、早々に手仕舞ったものもあり、実際にやってみなければわからないものが多い。
私はセミリタイア状態にあるのでおおらかな気持ちで新しい分野に臨めるが、自分が勤めている会社の先行きに不安があったり、立身出世の目途が立たなかったり、あるいは、待遇が著しく悪いブラック系の企業だったりした場合は、早急に転退職を考えた方がいい場合も多い。
それに、今の時代は、大企業と言えども会社員の一生を保障することなどできないのだから、自分の身は自分で守るという気持ちが芽生えて当然である。

そこで障害になるのが、多くの企業の就業規則にある兼業・副業規制条項、これがあるばかりに自分の可能性にチャレンジできないジレンマを抱える人は数多いと思う。
政府は会社員の副業・兼業を促進するつもりでいるが、企業側は重い腰をようやく上げ始めたという感じが否めない。
私は、2012年9月2日付のコラムで「中高年公務員の処遇を議論するより副業規制を緩和せよ」と書いているし、2016年8月21日付のコラム「65歳での奴隷解放宣言、金持ち父さんが嫌いな霞が関官僚のメンタリティ」では、不動産投資の成功者に対して、公務員と言えども不祥事の当事者みたいなことを言われる筋合いはないと書いているので、副業や兼業に関しては基本的に解禁論者である。
理由は、被雇用者の将来を誰も保障できないからだ。
しかしながら、現実は副業が法律で規制されている公務員(国家公務員法第103条、地方公務員法第38条)はもちろんのこと、企業の多くは未だに社員の副業に関して厳しい目を向けるところが多い。

法令上の観点から言えば、公務員であっても副収入源が給与所得や事業所得を得るものでなければ大丈夫であることが多いのだが、やはり副収入の存在を勤務先に知られたくないという気持ちは大いにあるだろう。
世間ではマイナンバーが副業(副収入)バレに繋がるといった誤った情報が流布されているが、副業(副収入)バレの最たるリスクは、毎年5月に勤務先を通じて配布される住民税(地方税)の特別徴収税額通知書である。
また、支払調書の存在を甘く見たがために、副収入を未申告のまま放置して、後で追徴課税を食らうパターンでも副業(副収入)バレする可能性がある。
これらのリスクを避けるためには、指定期限内(概ね3月15日まで)に副収入分を含めて確定申告をすることと、住民税に関する事項について、自分で納付(普通徴収)を選択することだ。
ただ、節税対策と称して事業所得を赤字申告すると、給与天引きされるはずの住民税が目立って減ることがあり、それによって、副業(副収入)バレするので、注意した方がいいだろう。
概ね、これで大丈夫なはずだが、念を入れるなら、4月中旬ごろに自分の住んでいる自治体へ電話して、住民税の請求が確定申告書に記載した通りに給与所得分以外は普通徴収で来るか確認するといいだろう。(参考:2016年6月5日 副業アフィリエイターの税金戦略-副業がバレないように「普通徴収(自分で納付)」を選んでも無意味な場合まとめ

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正社員の副業後押し 政府指針、働き方改革で容認に転換 (2016.12.26 日経新聞)

政府は「働き方改革」として正社員の副業や兼業を後押しする。
企業が就業規則を定める際に参考にする厚生労働省の「モデル就業規則」から副業・兼業禁止規定を年度内にもなくし「原則禁止」から「原則容認」に転換する。
複数の企業に勤める場合の社会保険料や残業代などの指針もつくる。
働く人の収入を増やし、新たな技能の習得も促す。

安倍晋三首相は副業や兼業について「普及は極めて重要だ」との認識を示している。
少子高齢化による労働力不足を補い、職業能力の向上で成長産業への雇用の流動化も促すためだ。
政府の働き方改革実現会議は年度末にまとめる実行計画に普及の方針を盛り込む。

中小企業庁の委託調査によると副業の希望者は370万人に達する。
IT(情報技術)関連企業では「会社の資産を毀損しない限り報告も不要」(サイボウズ)にし柔軟な働き方を認めている。
自家用車で人を運んで対価を得るライドシェアの米ウーバーテクノロジーズや民泊のようなシェア経済も副業が支える。

副業・兼業の拡大は大きく3段階で進める。
まず厚労省が「モデル就業規則」を年度内にも改定する。
現行規則では、許可なく兼業・副業をした場合は懲戒処分の対象として罰してきた。

新たに改定する規則では、原則的に副業や兼業を認める規定を盛り込む。
「同業他社に企業秘密が漏洩する恐れがある」「長時間労働につながる」など例外的に副業が認められないケースも併記し、企業や社員が判断しやすいようにする。
モデル就業規則は企業への強制力はないが、中小企業ではそのまま転用する例も多いため、波及効果に期待している。

第2段階として、社会保険料負担のあり方などを示した政府指針(ガイドライン)を来年度以降につくる方向だ。
現行の労働法制では、複数の企業で働いた場合「社会保険料や残業代をどの企業が支払うか」「労働災害の原因はどの企業か」の基準がなく、副業・兼業解禁をためらう企業も多いためだ。

第3段階では人材育成のあり方を改革し、来年まとめる成長戦略に明記する。
正社員の実践的な人材育成に特化した大学のコースを新設する。
失業率の低下を踏まえ、厚労省の職業訓練も失業対策から実践的な訓練に重点を置く。
2030年に約79万人の労働力不足が予想されるIT分野では望ましい技術目標を定めて、訓練水準を高める。
今後、正社員の兼業になお慎重な産業界との調整や、過重労働への歯止め策などが課題となる。

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兼業・副業、「積極推進」15% 東商調査「やむなく容認」16% (2016.12.13 日経新聞)

東京商工会議所は13日、中小企業の兼業・副業に関する実態調査をまとめた。
調査対象となった702社のうち、「積極的に推進」が15%、「やむを得ず容認」が16%だった。
「将来的に容認」も25%あった。本業での賃金水準が低く、社員の兼業要望を受け入れざるを得ないケースが多いという。
企業はおおむね人材育成や社外の人脈づくりにつながると好意的だ。
だが、賃上げを要望された場合の余力が乏しく、副業を容認して離職を防いでいる面もある。

「現在も将来も認めない」としたのは43%。長時間労働を助長したり、他社に人材を引き抜かれたり、中小企業への経営に影響があるとの見方は少なくない。
政府の働き方改革実現会議は多様な働き方として兼業・副業の推進を検討している。
東商は労働時間を正確に計る仕組みや社会保険料の負担のあり方といった課題を解決したうえで推進すべきだとする。

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副業・兼業、拡大へ指針 政府、企業に容認促す (2016.10.23 朝日新聞)

政府は、会社員が副業・兼業をしやすくするための指針づくりに乗り出す。
会社勤めを続けながら、勤め先に縛られない自由な発想で新しい事業を起こしたい人を支援し、経済の活性化につなげるのが狙い。
24日に開く「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)の会合で、副業・兼業の環境整備を進める方針を打ち出す予定だ。

日本では社員の副業・兼業を就業規則で禁止・制限する企業が圧倒的に多い。
「働き方改革」を掲げ、柔軟な働き方への移行を目指す政府内には、一つの企業に定年まで勤める終身雇用を背景に「大企業が優秀な人材を抱え込みすぎだ」との見方が強い。
就業規則を見直すときに必要な仕組みなどを盛り込んだガイドライン(指針)を策定し、企業の意識改革を促す。
副業・兼業を容認するよう法律で企業に義務づけるのは難しいため、容認に伴って起きる問題への対応策などをまとめた手引をつくることで、労務管理の見直しを支援することにした。

ロート製薬(大阪市)が今年から、国内の正社員を対象に他の会社やNPOなどで働くことを認める「社外チャレンジワーク制度」を始めるなど、副業・兼業を積極的に認める大手企業も出てきた。
ロートでは、正社員約1500人のうち100人程度から兼業の申し出があったという。
こうした先行事例を参考に、副業・兼業のメリットを指針で示すことも検討する。

欧米の企業では、兼業を認められた社員が起こした新規事業が大きく成長するケースが目立つ。
起業に失敗しても、兼業なら職を失うこともない。
これに対し、中小企業庁が2014年度に国内の約4500社を対象に実施した委託調査によると、副業・兼業を認めている企業は14.7%にとどまった。
本業がおろそかになることや、過労で健康を損なうことへの懸念が大きいうえに、会社への強い帰属意識を求める企業文化も背景にある。
副業・兼業の容認が長時間労働を助長しかねないとの懸念もあることから、複数の企業で兼業する社員の働き過ぎを防ぐ時間管理のルールも示す方針だ。(千葉卓朗)

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関連サイト

首相官邸-働き方改革実現会議
中小企業庁-兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会

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2016.12.04

日本でも休眠預金が10年でお国のものへ

去る12月2日、議員立法で提出されていた「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律案(休眠預金活用法案)」が参議院で可決、成立した。
休眠口座とは、最終の出入金や振込などがあってから10年を経過したものになるのだが、読売新聞の記事にもあるように、預金額が少なくて忘れたまま口座を放置したり、死亡した人の財産を相続した人が預金の存在を知らなかったりする場合にそうなることが多いのは事実だろう。
ただ、法律の規定では、休眠口座になる1年前に、預金者(死亡者名義でも)宛に金融機関からお知らせが来る規定になっている。
おそらく、それは書類で来ることが想定されるので、例えば、亡くなった人がインターネット専業銀行に口座を持っていて、遺族がそれをわからなかったとしても、後になって判明することが期待できる。

ところが、預金額(法律では預金の債権)が1万円未満の場合や、預金者の住所が不明の場合は通知がされないことになっている。
預金者の住所が不明というのは、結婚して姓が変わった後で転居したり、被相続人と同居していた人が全員転居した場合にそうなる可能性が高いと思う。
将来的には、マイナンバーと銀行口座はリンクするので「個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律(平成27年9月9日 法律第65号)の附則第12条(検討)第4項」、住所はそれで判明するのではないかと考える人は多いだろうが、これについては検討課題になっているだけだし、民間利用が認められるかどうかもわからない。

ちなみに、法律の規定には、施行後も預金者が休眠預金の存在に気づいて請求すれば、金融機関は預金の払い戻しを行うとあるが、そもそも遺族などがその存在に気づかないから休眠預金になるケースが多いのだろう。
休眠預金の請求権が最終的にいつで切れるかの規定がないので、結局は現行のままという見方ができなくはないが、とりあえず、休眠預金が預金保険機構へ移管されることで、社会貢献活動にお金を使えるほか、金融機関の事務負担を軽減するためには役立つと言えるだろう。
自戒を込めて書くが、自分の資産が亡くなった後で休眠化するのを防ぐには、2016年11月9日付の日経新聞の記事「デジタル遺品、賢く対処」にあるように、生前からインターネットで取引している金融機関の所在やログインID、パスワードなどを書いたものを信頼できる家族にわかるようにしておくことが必要かもしれない。
ついでながら、日経新聞のインタビューを受けた日本セキュリティ・マネジメント学会理事の萩原栄幸氏の著書「『デジタル遺品』が危ない」も合わせて読むといいだろう。

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休眠預金活用法が成立・・・年1000億円 半分を社会貢献活動に (2016.12.2 読売新聞)

金融機関の口座に預けたまま10年以上お金の出し入れがない「休眠預金」を民間の公益活動に使う休眠預金活用法が2日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。
全国の銀行や信用金庫などで毎年発生する計1000億円程度の休眠預金のうち半分の500億円程度を使って、社会貢献活動を担う非営利組織(NPO)などに融資や助成をする。
休眠預金は、国などが出資する預金保険機構にいったん移し、新設する「指定活用団体」がNPOなどへの配分方法を定める。
夜に家族と一緒に食事ができない子ども向けの食堂の運営や、豪雪地帯での高齢者世帯の雪下ろしなど、行政では行き届かない地域の実情にあった活動への支援を想定している。
2018年半ばまでに施行され、2019年にも実際の活用が始まる。
施行後も預金者が休眠預金の存在に気づいて請求すれば、金融機関は預金の払い戻しを行う。
法案は、自民、民進、公明などの超党派議運が今年5月、通常国会に提出していた。
預金額が少なくて忘れたまま口座を放置したり、死亡した人の財産を相続した人が預金の存在を知らなかったりする場合に休眠口座になることが多い。

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