2008.07.23

10年前と今年の世界経済の奇妙な巡り合わせ

今日発売のニューズウイークの表紙を見て私は10年前に見たものを思い出さずにはいられなかった。
今回(2008年7月30日号)の表紙は「ファニーメイ/フレディマック危機-大恐慌の足音」、そして1998年8月26日号の表紙は「大恐慌の足音-日本売りで現実味を帯びる世界同時不況の悪夢」である。
まるでビデオを巻き戻して見たかのような感じである。

そう、10年前の今頃も世界経済がいつ奈落の底に落ちるかと世界中が気を揉んでいた。
大恐慌の引き金を引くとされたのは、瀕死の経済大国のわが日本とカジノ市場と呼ぶのがふさわしかったロシアだった。
1998年9月9日号では「ロシア発世界経済危機」という見出しが・・・また奇妙なことに前年(つまり1997年)において世界最高の成長を見せた株式市場はロシアであったという。
ちなみに、今年は至るところで「中国バブル崩壊」について語られているが、その前年(2007年)に世界最高の成長を見せたのは中国というのは疑いの余地がなかろう。。
話を元に戻して、10月14日号は、「1999大破局のシナリオ」という見出しが躍り、世界経済はパニックの様相を呈した。
事実、この号の発売日である10月7日の直後に円キャリートレードの手仕舞いが世界的に連鎖、円が空前の大暴騰を演じて世界中はパニックになった。

そして、今年も前年から続くサブプライム危機と、エネルギー高騰によるインフレ懸念から世界経済は崩落の危機にある。
今週になって世界の金融関連株が反騰しているとはいえ、あくまでエコノミストの市場予想より悪くなかったとかいうこじつけに近い理由で上がっているだけのようだ。
ここ1~2年の為替動向が円キャリートレードとの関連で語られるのも10年前と同じだ。
ここまでくると、アメリカの大型金融機関の倒産あるいは国費救済、又は中国市場の崩落といったセリング・クライマックス(売りの最終局面)があると考えられなくもない。
そして、3月9日のブルームバーグで報じられた、アメリカ住宅金融最大手カントリーワイド・ファイナンシャルが証券詐欺の疑いで米連邦捜査局(FBI)の捜査を受けている、というのはどうなったのであろうか。
今年の秋にこれらのものが一気に噴出すのであれば、それが今回のサブプライム金融危機の終焉になる可能性もある。

10年前のときはニューズウイークが「1999大破局のシナリオ」と書いたときが最終章だった。
当時のメリルリンチ日本証券のスタッフは、口座を開いたばかりの私にこう言った。
「日本の小型株が面白いですよ」と・・・
このとき、ファンド(投資信託)でなく、個別株に投資できていたら・・・と今でも思うときがあるが、終わったことは言うまい。
そして、わずか2ヵ月後の12月2日号には「アジア経済-来年は明るい」との見出しがあった。
事実、そこから1999年の世界的ITバブルを謳歌するまで半年とかからなかった。
もし、歴史が繰り返すとすれば、今回も投資のチャンスは秋にやってくるかもしれない。
ただし、その前にやってくるであろう世界市場の大崩落に耐えられるならば、という条件付きであるが・・・
そう、ここまで市場に残っている投資家はそれほど悲観することはない。
あともう少し頑張ればやっていて良かったとクリスマスにシャンパンを開けることができるだろう。

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2008.07.06

原油高はどこまで続くのか

私が2年前に「サマーバカンスに立ちはだかる燃油サーチャージ」という表題を付けてコラムを書いたとき、9月の欧州方面行きのチケットが総額で20万円を超えたということを驚きをもって書いた記憶があるが、もはやキャリア(航空会社)によっては30万円近くになることを覚悟する時代に突入したようだ。

今や当たり前のように上乗せされる燃油サーチャージ(fuel surcharge)だが、この特別上乗せ運賃が導入されたのは2005年のこと、当時は微々たる金額であまり意識するほどでもなかったのが、2006年になってからクローズアップされるようになり、2007年のときはマイレージによる無料チケットでも別建てで請求されるようになった。

その原油価格、昨年の世界株高の当時は100ドル時代が来るのかと言われていたものが、今年に入って年初でいきなりニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX=New York Mercantile Exchange)の原油先物価格が大台を突破、その後膠着状態が続くも3月以降は右肩上がりで上昇を続け、今や200ドル時代が来るのかと、言われる時代になってしまった。
日本旅行業協会(JATA)によれば、燃油サーチャージ額の改訂基準となる燃油価格は、改定時点での直近3ヶ月間のシンガポールケロシン市況価格(Singapore Kerosene-Type Jet Fuel Spot Price: 1バレル当たりの金額(米ドル)に換算するには、表示額×0.42)の平均を用いるとのこと。
ここ3ヶ月間の燃油価格の上昇幅はクレージーとも言えるものだっただけに、燃油サーチャージも驚愕の上昇となったわけだ。

ところで、上がったものは下がる、下がったものは上がるというのが相場の常だが、この原油価格に関しては下がるといっても再度3桁割れがあるのだろうか、と懐疑的にならざるを得ない。
たとえ下がっても110ドル~120ドルの水準から反騰するような気配は十分である。
まして、シンガポールケロシン市況価格が3ヶ月間平均して1バレル当たり45米ドル(1ガロン当たり107.14セント=2004年夏以前の水準)を下回った場合には、燃油サーチャージは廃止になるというが、そんなことはあり得ないレベルにまで達してしまった感がある。
果たして、原油価格の上昇はこのまま世界経済を、また文明社会を破壊するレベルにまで突き進むのだろうか。
それとも人間の英知がそれらを克服するのであろうか。

関連記事
日経新聞-NY原油続伸、145ドル台(2008.7.6)
日経新聞-NY原油が急騰、初の100ドル台に(2008.1.3)

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2008.05.24

日本の司法はコンピューターになるのか

巷の本で日本の司法が悪しき判例主義に陥っていると言われることは多い。
その判例主義の伝統を守るべく、最高裁が稼動させたものが「量刑検索システム」だ。
最高裁は、「類似の事件で量刑に極端な差が出ないよう、裁判員が過去の事例を参考にできるためのシステム」だというが、それが果たして単なる参考資料の検索だけにとどまるのだろうか。

ところで、裁判員制度は、地方裁判所で行われる刑事裁判について導入され、対象事件は、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条の規定に従い、死刑又は無期の懲役・禁錮の判決が下される可能性のある罪と、裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件のうち、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪となる。
具体的には、殺人罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪、危険運転致死罪などがあげられているようだ。

はっきり言ってこういう重罪被疑者を前にどれだけの人が正常な感情を持ちえるのだろうか。
まして、どう考えても死刑だろう、なんてケースはあまりないだろう。
そうなると人の一生を左右するプレッシャーは半端なものではない。
それに2007年8月24日の「今日の一言」でも書いたように、日本で擬似陪審制を導入する場合の最大の問題は、多くの人が自分の意見を公の場で主張することが苦手で、また一つのテーマについて議論をして結論を出すという下地に乏しいこともあげられよう。

それを補完するための道具がこの「量刑検索システム」ということも言えそうだが、この基準±αという安易な判決が続くようなら何のために人間が裁くのだという根本問題になりかねない。
まして、人間が裁いている今でさえ、日本の司法はコンピューター裁判、などと揶揄されるものが、「量刑検索システム」を参考にしなさい、みたいな形で裁判員に暗黙の強制をするようなら、ますます悪しき判例主義が蔓延ることになるだろう。
暗黙の強制という書き方が決して誇張でないのは、門田隆将氏の「裁判官が日本を滅ぼす」に書かれている事例を読むといい。
5月24日号の週間ダイヤモンドの特集「裁判がオカシイ!」の中には、こういう下りもある。
「裁判が抱えている問題の一つは、裁判官のコミュニケーション能力の向上であり、自分が偉いと勘違いしている人も多い。裁判員の意見を尊重し、議論を上手に進行する調整能力も求められる」と・・・

裁判員の制度を導入したことについては、裁判官が世間知らずだから新しい風を入れるべき、それがこの制度なのだ、とも言われている。
しかし、世間知らずなのは本人の資質も問題のみならず、年間3ケタにのぼる残業を強いられていることにも原因があるだろう。
自宅と職場の往復で終わる生活を送っていれば、民間サラリーマンだって「会社人間」と呼ばれる恐ろしいばかりの世間知らずになるのだ。
これらの根本的な問題を解決をしなければ、そのうち「逆切れ裁判官が裁判員を怒鳴る」なんてコラムが週刊誌を賑わすことにもなるだろう。

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量刑のバラツキ防止、裁判員制度へ「検索システム」稼働 (2008.5.23 読売新聞)

来年5月に始まる裁判員制度に向け、最高裁は先月から、裁判員裁判の対象事件の判決をデータベース化し、キーワードを入力するだけで類似事件の刑の重さが検索できる「量刑検索システム」の運用を始めた。

裁判員裁判では、有罪・無罪だけでなく、量刑の判断にも国民の意見が反映される。
最高裁は、類似の事件で量刑に極端な差が出ないよう、裁判員が過去の事例を参考にできるためのシステムを開発した。

全国の地裁・支部にデータベースの端末を設置。
裁判員裁判の対象になる事件の判決を言い渡した裁判官が、

1.事案の概要
2.凶器の種類
3.被害の程度
4.共犯者の有無
5.反省の度合い
6.被害者の処罰感情

など、十数項目の情報を入力していく。
既に約100件が集まり、来年5月までには3000件を超えるデータが蓄積されるという。

この端末に複数の条件を入力すると、類似事件の量刑一覧が検索できる。
例えば、路上で起きた強盗致傷事件の場合、「路上」と「強盗致傷」の二つのキーワードを入力すると、刃物で2週間のケガを負わせ60万円を奪った事件は懲役10年、工具で襲ったが現金は奪えず、被害者との示談が成立している事件では懲役6年など、類似事件の一覧表が示され、どんな事情が量刑に影響を与えているかが一目で比較できる。
また、各事件の量刑分布が棒グラフでも示される。

裁判員裁判では、裁判官がこれらの一覧表やグラフを印刷し、裁判員に示すことになるほか、検察官や弁護士も利用できるようにするという。
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2008.05.06

無期限のイラク駐留米軍の費用を肩代わりさせられる日本

去る4月8日付のガーディアン紙(The Guardian)に、Secret US plan for military future in Iraq(イラクの軍事的未来におけるアメリカの秘密計画)と題された記事が掲載された。
「秘密」と題され、記事には漏れた草案(leaked draft)とあるが、オープンになったとしてもこの協定案を土台としてアメリカ政府はイラクの傀儡政権との間に軍事協定を結べる自信があったに違いない。
しかし、アメリカがイラクと締結しようとしているものは、軍隊の地位協定(SOFA/status of forces agreement)と、長期戦略枠組協定(long-term "strategic framework")からなっているものだが、これを政府当局者は、安全保障条約(security treaty)ではなく、しかも"temporary"(暫定)であって、"permanent"(恒久的)ではないと主張していることが、両政府の議会関係者の反発を招いているようだ。
この協定の行方がどうなるかはわからないが、米軍が無期限(without time limit)にイラクへ駐留することになれば、その費用を日本が一番多く分担させられるに違いない。
私の知る限り、この記事は日本のメディアには紹介されていないが、こういった可能性をどれくらいの日本政府関係者が危惧しているのだろうか。

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Secret US plan for military future in Iraq (イラクの軍事的未来におけるアメリカの秘密計画)
Document outlines powers but sets no time limit on troop presence (軍事を説明する文書に駐留軍の期限の定めがない)
by Seumas Milne, The Guardian, April 8 2008

A confidential draft agreement covering the future of US forces in Iraq, passed to the Guardian, shows that provision is being made for an open-ended military presence in the country.

ガーディアン紙に手渡されたイラクにおける米軍の将来に関わる機密の協定案は、その規約が無期限の米軍のイラク駐留をもたらすことを示している。

The draft strategic framework agreement between the US and Iraqi governments, dated March 7 and marked "secret" and "sensitive", is intended to replace the existing UN mandate and authorises the US to "conduct military operations in Iraq and to detain individuals when necessary for imperative reasons of security" without time limit.

3月7日付で「機密」及び「取扱注意」と印字された、このアメリカとイラクの両政府間の戦略枠組協定草案は、それが現在の国連のマンデート(委任)の代わりとなるように意図されたもので、アメリカが無期限に「イラクで軍事作戦を行い、治安上のやむを得ない理由により必要があるときは特定の個人を拘束するための権限」をアメリカに与えることになっている。

The authorisation is described as "temporary" and the agreement says the US "does not desire permanent bases or a permanent military presence in Iraq". But the absence of a time limit or restrictions on the US and other coalition forces - including the British - in the country means it is likely to be strongly opposed in Iraq and the US.

この権限は「暫定」のものとして記述されており、また協定はアメリカが「イラクにおいて恒久的な軍事基地や駐留を要求していない」としている。しかし、イラクでの駐留期限、あるいは米軍とイギリスを含む同盟軍に対する制約がないことから、この協定はイラクおよび米国で強い反対にあうことが予想される。

Iraqi critics point out that the agreement contains no limits on numbers of US forces, the weapons they are able to deploy, their legal status or powers over Iraqi citizens, going far beyond long-term US security agreements with other countries. The agreement is intended to govern the status of the US military and other members of the multinational force.

イラク人の協定反対派は、この協定が多数の米軍兵士と彼らが配備可能な武器が無制限に入ってくること、彼らがイラク市民より上位の法的地位と権限を持つこと、さらにほかの国々とアメリカが結んでいる長期的治安協定よりもはるかにかけ離れたものであると指摘している。協定は、本来、米軍と多国籍軍兵士の地位を統制するためのものである。

Following recent clashes between Iraqi troops and Moqtada al-Sadr's Mahdi army in Basra, and threats by the Iraqi government to ban his supporters from regional elections in the autumn, anti-occupation Sadrists and Sunni parties are expected to strong opposition in parliament to the agreement, which the US wants to see finalised by the end of July. The UN mandate expires at the end of the year.

イラク政府軍とムクタダ・アル・サドル(Moqtada al-Sadr)のマフディ軍が最近バスラで衝突したあと、また、秋の地方選挙からイラク政府がアル・サドル師の支持者の参加を禁止すると脅したあと、占領に反対するサドル師派とスンニ派諸政党は、議会で協定に強く反対することが予想されている。アメリカはこの協定を7月末までに実現したがっている。国連のマンデート(委任)は今年末で終わることになっている。

One well-placed Iraqi Sunni political source said yesterday: "The feeling in Baghdad is that this agreement is going to be rejected in its current form, particularly after the events of the last couple of weeks. The government is more or less happy with it as it is, but parliament is a different matter."

しかるべきイラクのスンニ派の政治筋は昨日、「イラクでは、特にここ2~3週間の出来事を考えれば、この協定が今の形では受け入れられないと思われている。政府は今のままでも多かれ少なかれこの協定に満足しているが、議会はそうではない。」

It is also likely to prove controversial in Washington, where it has been criticised by Democratic presidential candidate Hillary Clinton, who has accused the administration of seeking to tie the hands of the next president by committing to Iraq's protection by US forces.

協定草案はアメリカでも物議を醸しかねないことがわかっている。民主党の大統領候補ヒラリー・クリントンはこの草案を批判し、米軍がイラクを守ることを確約することで次期大統領の手を縛ろうとするものであると現政権を批判する。

The defence secretary, Robert Gates, argued in February that the planned agreement would be similar to dozens of "status of forces" pacts the US has around the world and would not commit it to defend Iraq. But Democratic Congress members, including Senator Edward Kennedy, a senior member of the armed services committee, have said it goes well beyond other such agreements and amounts to a treaty, which has to be ratified by the Senate under the constitution.

2月、ロバート・ゲイツ国防長官は、計画中の協定はアメリカが世界中で持っている類似した多くの「軍隊の地位」に関する協定であり、イラクを防衛するための約束をするわけではない、と主張した。しかし、軍事委員会(Armed Services Committees)の上級委員でもあるエドワード・ケネディ上院議員を含む民主党議員たちは、イラクとの協定案はほかの協定とは大きく事なり、条約に相当するので、憲法にしたがって上院の批准が必要であると述べた。

Administration officials have conceded that if the agreement were to include security guarantees to Iraq, it would have to go before Congress. But the leaked draft only states that it is "in the mutual interest of the United States and Iraq that Iraq maintain its sovereignty, territorial integrity and political independence and that external threats to Iraq be deterred. Accordingly, the US and Iraq are to consult immediately whenever the territorial integrity or political independence of Iraq is threatened."

政府高官は、もし、この協定がイラクの安全保障を含むことになっているならば、それは議会に提出されるべきであると認めた。しかし、漏れた草案は、イラクが主権、領土的一体性、政治的独立を保持し、イラクへの外部の脅威が抑止されることは「アメリカとイラク相互の利益」である。それに従って、米国とイラクは、イラクの領土の統一と政治的独立が脅威にさらされたとき速やかに協議する、と述べるに留まった。

Significantly - given the tension between the US and Iran, and the latter's close relations with the Iraqi administration's Shia parties - the draft agreement specifies that the "US does not seek to use Iraq territory as a platform for offensive operations against other states".

米国とイランの緊張、そしてイランがイラク政権内のシーア派諸政党と近いことを考えたときに重要な点として、協定草案は、「米国はイラク領土を、ほかの国々への攻撃作戦の踏み台に用いることはしない」としている。

General David Petraeus, US commander in Iraq, is to face questioning from all three presidential candidates on Capitol Hill today when he reports to the Senate on his surge strategy, which increased US forces in Iraq by about 30,000 last year.

イラク駐留米軍司令官デビッド・ペトラウス将軍は、本日(4月8日)、連邦議会(Capitol Hill)で、兵士増派作戦-昨年イラク駐留米軍兵士数を約3万人増やした作戦-について上院に報告する際、大統領候補3人から質問を受けることになっている。

Both Clinton and Democratic rival Barack Obama are committed to beginning troop withdrawals from Iraq. Republican senator John McCain has pledged to maintain troop levels until the country is secure.

クリントン氏と民主党のライバル候補であるバラク・オバマ氏はともに、イラクからの米軍撤退開始を約束し、共和党のジョン・マケイン上院議員は、イラクが安全になるまで駐留軍の水準の維持を公約している。
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ところで、日本の政治の世界で"temporary"(暫定)と言えば、1973年(昭和48年)の第一次オイルショックを機に上乗せされた道路特定財源暫定税率が、今年の3月末に期限切れとなったものの、4月30日に衆議院で関連法案(第169回国会における所得税法等の一部を改正する法律)が3分の2以上の特別多数で再可決されたことによって、向こう10年間は継続されることになったことは記憶に新しいところだ。

さて、この道路特定財源については、暫定税率が期限切れとなる直前に、福田首相がねじれ国会の閉塞状況を打破するため、道路特定財源を平成21年(2009年)度から全額一般財源化するとの新提案を示した。(2008.3.27 産経新聞-道路特定財源を全額一般財源化 首相表明、21年度から
このとき民主党は暫定税率即時廃止を主張したため平行線を辿ったが、今考えると、何かこの福田首相の提案にウラがあるのではなかろうか。
もし、福田首相が本当に道路族の利権の牙城に斬り込むつもりなら、上杉隆氏が言うように「政治力も情熱もない福田首相に道路改革など無理な話だ」とほとんどの人は思うだろう。

それゆえ、アメリカとイラクの軍事協定がリークされた時期と微妙にかちあうのは非常に意味深い。
私の考えすぎであればいいが、福田首相のウラでアメリカの意を汲む狸どもの思惑があるとすれば、将来的に道路特定財源が一般財源となって、それがさらに対米援助資金に代わる可能性もあるからだ。
このままアメリカとイラクの軍事協定の協議が順調に進展すれば今年の夏ごろには結論が出る。
一方の道路特定財源の一般財源化論議が始まるのもおそらくその頃だ。
これを偶然の一致とみるか、それとも・・・・
そう、産経新聞も半年前の社説(2007.11.15 【主張】道路特定財源 どこへ行った一般財源化)で言っているではないか。
「税の性格も国民皆ドライバー化で普通税に近い。環境への負荷を考えれば、一般財源化したまま一部を近い将来、導入も予想される環境税に組み替えることだってできるのだ。」
ここの環境税を対米援助資金と言葉を変えれば、そのまま私の主張するロジックとなる。

最後に、 あなたは小渕内閣のときに"permanent"(恒久的)とされた所得税・住民税の定率減税が小泉内閣時代の法改正により失効したことを覚えているだろうか。(All About - 2007年、あなたの「手取り」が減る!
そう、"temporary"(暫定)は"permanent"(恒久的)であり、"permanent"(恒久的)は"temporary"(暫定)なのだ。
まさにこれはジョージ・オーウェル(George Orwell)が書いた「1984年」(日本語訳本)にある「二重思考(ダブルシンク)」の概念そのものだ。
彼は言う。「War is peace.(戦争は平和である)」「Freedom is slavery.(自由は屈従である)」「Ignorance is strength.(無知は力である)」と・・・
この「二重思考(ダブルシンク)」とは、例えば、実際は戦争状態なのに平和であると自ら信じ、相手に対してそう言いくるめることができる能力のことをいい、以下、自由であるのに相手には違うと信じ込ませる、無知な相手に力があると信じ込ませる、といったことだ。
この本は、スターリン時代のソ連を連想させる全体主義国家によって分割統治された近未来世界の恐怖を描いているものだが、今の日米にも当てはまることではなかろうか。

関連サイト
Falluja, April 2004 - the book - 英語を通して日本から「イラク」を見る
防衛省・自衛隊:防衛関係条約等(日本語)
Japan-U.S. Security Treaty
Agreement regarding the Status of United States Armed Forces in Japan
CNN - U.S., Iraq sign plan for long-term relations (November 26, 2007)
Washington Post - U.S., Iraq Negotiating Security Agreements (April 11, 2008)

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2008.05.03

Unwelcome to Japan?

4月15日の世界の流れをつかむ『World Report』のコラムに「観光立国を笑う(出入国管理システムの欠陥)」というのがあった。
それを読んで思い出したことがある。
去る2月にタイに旅行したときのことだ。
成田空港の出国審査場で、外国人出国者だけがわずか二つしかないブースで長蛇の列を作っていた。
ブースの電光掲示板には、日本人と外国人を区別する表示はなく、ただ空港の警備員らしき人が紙で書かれたボードを持ち、片言の英語で「外国人はこちら」と叫んでいるだけだった。
日本人のブースは比較的スムーズに流れていたので、ある外国人旅行者が、その警備員らしき人に「こっちで並んではいけないのか」という質問をしていたが、英語があまり理解できない彼は単に「外国人はこちら」と繰り返しているだけだった。
少なくとも観光立国を標榜する他の国では、たとえ「** nationals」という電光表示がブースにあったとしても、そこがガラガラになれば、外国人を誘導することさえあるにもかかわらず、生真面目な警備員氏はそうしてはいけないという指示があるかのように振舞っていた。
その光景を異様だと思った日本人が何人いるかわからないが、私の記憶が間違っていなければ、こんな光景を見たのは今年になってからだ。

いったい何が起こっているのか?
『World Report』では、出入国管理を担当するスタッフの絶対数が足りない、とある。
それはそうだろう。
成田空港を運営する母体が特殊法人(公団)から成田国際空港株式会社に変わったのは平成16年(2004年)4月だが、その平成19年(2007年)度中間期の実績を見る限り、航空機発着回数及び航空旅客数は前年同期比で増加し、過去最高を記録、また、Visit Japan Campaign (Yokoso! Japan)などにより外国人旅客数が増えている、とある。
そうであるならば、出入国審査のスタッフを増やさないと捌き切れるものではない。

私の記憶によれば、21世紀に入ってしばらくはスムーズに進んでいたように見える出国審査も、特に昨年あたりは長時間待たされることが多くなったように思える。
1990年代の円高による海外渡航ラッシュの時代、長蛇の列にしびれを切らして執拗な苦情を言い続けた旅行者に逆切れした現場の出入国管理責任者が叫んだ一言が思い出される。
「そういう(もっとブースを増やせとか人はいないのか、などという)ことは国民のあなたが外務大臣に言うことです!今ここで我々に何ができるんですか!」
『World Report』によれば、その外国人バーションが今の成田で起きているという。

一方、入国審査の方はもっと評判が悪そうだ。
世界の空港や航空会社、飛行機の乗り心地のレビューが書かれたSKYLAXというサイトがある。
その中の成田空港(Tokyo Narita Airport)のところを読むと、昨年11月20日から施行された改正入管難民法(出入国管理及び難民認定法)により、訪日外国人に指紋押捺が義務付けられたこと(2007.11.20 産経新聞-外国人の指紋採取始まる 全国の空港、港で)が不満の原因ではなさそうだ。
当時、この改正入管難民法に対し、一部の左派的なブロガーは「外国人差別」と言い、それに対するナショナリスティックなブロガーは、「そんなに(日本の出入国審査が)不満なら来なければいい」などと言っていたが、評点の悪いJ. Davidson氏や、Alan Chick氏の投稿を読むと、指紋押捺に対して文句を言っているのではないことがよくわかる。
要は、入国審査にものすごく時間がかかっていること、その原因として、数少ない外国人ブースと、日本人専用ブースが空いていても誘導してもらえなかったことに対する不満のようだ。

民営化されても、相変わらず臨機応変な対応ができない(そうしてはならない?)のか、とも言えそうだが、ひょっとすると日本人専用ブースには指紋押捺の機械が置いていないとも考えられる。
これは硬直的な思考で生きている中央省庁の天下り幹部が会計責任者であれば十分あり得ることだが、もし、そうであるならば、それこそ笑止千万と言わざるを得ない。
何がwelcomeなのか!
それこそ、「そんなに行列が不満なら日本へ来るな」と言っているようなものだろう。
私は3年前に「外国人観光客増やすなら空港から変えよ」と書いたが、それはどうやら悪い方向に変わっているようだ。
"I have always loved Japan and unlike many foreigners I have never had any problems in Japan.(私は日本が好きだし、多くの外国人と違って日本では少しも問題なく生活している)"と言う在日3年のJ. Davidson氏のような人を日本嫌いにさせるとしたら、紛れもなく日本の玄関である成田空港がその一因となるに違いない。

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2008.04.27

もし外国人投資家なかりせば

今月16日、経済産業省と財務省は英投資ファンド、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI/The Children's Investment Fund)に対し、外国為替および外国貿易法(外為法)に基づき、電源開発(Jパワー)株(9513)の追加取得計画を中止するよう勧告したと発表した。(2008.4.17 ロイターニュース-TCIのJパワー追加投資に政府が中止勧告、外為法で初
これに対し、TCI代表のクリス・ホーン(Chris Hohn)氏はフィナンシャルタイムズ紙のインタビューの中で"The J-Power case sent a poor signal to foreign investors. We are unlikely to make further investments in Japan and warn investors everywhere to avoid Japan,"(Jパワーの問題は外国人投資家によくない印象を与えた、とし、さらに、我々は日本でこれ以上の投資をするつもりはない。そして、あらゆる投資家に日本への投資を避けろ、と警告する)」(2008.4.19 Financial Times - Thwarted TCI in call to avoid Japan)と延べ、25日には日本政府の要請を拒否した。(2008.4.25 ロイターニュース-TCIが株買い増し中止勧告を拒否、政府は5月14日までに中止命令

もちろん、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI/The Children's Investment Fund)の言い分が絶対的に正しいわけではない。
しかしながら、歪なブルドックソース(2804)対スティールパートナーズ(Steel Partners)のTOB(敵対的買収=takeover bid)裁判の判決(“ルール破り”ブルドック判決のツケ)といい、豪投資銀行マッコーリー銀行(Macquarie Bank)が羽田空港ターミナルビルを運営する日本空港ビルデング株(9706)を20%弱取得したときに沸き起こった外資規制論(羽田空港の外資規制議論、もっと大事な問題があるのでは)といい、表面上のキャッチフレーズとは裏腹に外国人による対日投資を歓迎しているとは思えないものが相乗効果を生んで外資が次々に撤退する事態を生むことになるだろう。

思い起こせば今から5年前の2003年(平成15年)4月28日、日経平均株価はバブル崩壊後の最安値(7,603.76円)を付けていた。
その約1ヵ月後、ベンジャミン・フルフォード(Benjamin Fulford)がフォーブス(Forbes)に「日本の救命具(Japan's Lifesavers)」という論文を掲載した。(日本語訳はヤクザ・リセッション さらに失われる10年のP204-P210)

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What are the prospects for the stock market? Once the cross-shareholding selloff subsides, probably this fall, some real appreciation should occur in several key areas. The cross-ownership has kept many Japanese companies buyout-proof; this will no longer be the case. The changes mean that institutional investors, many of them foreigners, are taking over from banks as the main stakeholders in corporate Japan. They are asking for - and getting - improvements in accounting, management and profitability. More good news is that the Bank of Japan, the nation's Federal Reserve, has started to buy equities to help the market.

Meanwhile, great bargains are to be had. An amazing 60% of Japanese listed companies have a market capitalization that is lower than the value of their assets. Another positive note that few have spotted is that much-needed restructuring has occurred among Japanese companies; at the same time, exports over the past year are up 37%. Result: Profits for listed companies (excluding financial concerns like banks) rose 80% in the fiscal year that ended Mar. 31, according to Morgan Stanley's estimates.

株式市場に期待できることは何だろうか?
それは株式相互持合い(cross-shareholding)がなくなりつつあることだ。
株式の持合いをやめることで、日本市場は正常な市場と認識されるようになる。
今まで、日本企業による株式の相互持合いは、企業同士の相互依存(cross-ownership)の証明であった。このようなことは決して長続きしないのだ。
こうした株式の持合いがなくなることによって、機関投資家や海外の投資家が、日本の銀行に代わって日本企業の主要株主となるだろう。
そうなれば、日本企業は徐々にだが、財政的にも経営的にも、収益率でも改善されるだろう。
さらにグッド・ニューズは、中央銀行(nation's Federal Reserve)の日銀が、市場を助けるために、普通株を買い始めたことだ。

そんなわけで、そろそろ大きな買い物をしてもいいだろう。
驚くべきことに、日本の上場企業の60%は、市場価値が実際の資産価値よりも低く評価されている。
そして、さらに前向きな点は、日本企業では必要とされる改革が行われており、同時に、輸出が昨年比37%も増えていることだ。
その結果、いくつかの上場企業の(ただし、銀行などの金融機関は含まないが)経常利益は、3月末決算において、80%も上昇したと、モルガン・スタンレー証券が概算していることだ。
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それと軌を一にするようにヘッジファンドが日本株を買い仕掛け、昨年の2月26日に18,300.39円の高値(7月にも18,000円台を記録しダブルトップ形成)を付けるまでの約4年間は日本市場にも復興の兆しが見えていた。
国民の生活環境はともかく株価の推移だけ見れば、内閣府の月例経済報告にあるように「景気は回復していた」のである。(ちなみに、この月例報告では、今年の2月まで景気が回復途上であるとし、ようやく3月に足踏み状態にあると言及したが、日経平均株価は3月17日の年初来安値(11,691.00円)を記録し、そこで当面の底打ちをしている。)
つまり、2003年(平成15年)春に始まった上昇相場は、外国人投資家が株式相互持合い(cross-shareholding)がなくなって日本がようやくまともな市場になると、政府もそれを(株式譲渡所得の軽減などの投資促進政策によって)バックアップすることを期待して、割安と見られていた日本株に投資をしたことに始まったと言える。

ところが・・・
昨今の政府による市場取引への介入によって、この流れは完全に逆流しようとしている。
まさに政府が行った公共企業の株式売却益だけを得て、美味しいとこ取りをしようという目論見が外れた格好だが、他の案件における投資鎖国まがいの政策とも相俟って、日本市場は外資によって見限られようとしている。

もし外国人投資家が完全に日本株に投資をしなくなったらどうなるだろうか。
株式情報サイトのトレーダーズ・ウェブにある投資主体別売買動向を見れば一目瞭然、簡単に言えば「買い手不在」である。
日本の公的年金積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人の管理・運用の各年度の状況によれば、2007年第3四半期(平成19年12月末)の時点で、国内株式が16兆5974億円(構成比17.88%)も組入れられている。(平成20年度末には構成比率を11%に低下させる予定)
要するに、外国人投資家が日本株に投資してくれないと公的年金の積立金も目減りするということである。
株式投資に見向きもしない人は時として、日経平均がどうなろうと株(ギャンブル)をやっている人だけの問題、と言った論調で意見を言ったり書いたりしている人がいるが、そんなことは断じてないことがおわかりいただけたであろうか。
もっとも、積立金が目減りしている理由として社会保険庁が腐敗しているという面も非常に大きいが、それを書くと論点がずれるのでここではあえて触れないでおきたい。

私は甘利明経済産業相と額賀福志郎財務相に問いたい。
「もし外国人投資家なかりせば」と・・・
Jパワー問題で閉ざされた国との印象を持たれるのは非常に良くない」と述べた渡辺喜美金融担当相の言うことは正論ではないのか、と・・・

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2008.03.30

201*年、日本の食卓から米がなくなる日

3月29日付のFinancial Timesの"Asia scrambles for rice stocks(米を奪い合うアジア)"という記事は現在の日本が置かれている立場を考えたとき、背筋が凍るような内容のものだった。
記事量はそれほど多くはなかったが、まさに地球規模で食糧の奪い合いが起こることを予感させるに十分すぎるほどだった。
もし、一旦ことが起これば、日本はおそらく1994年(平成6年)に起きた「平成の米騒動」以上の大パニックに襲われる可能性があるだろう。

当時の米騒動は、1993年(平成5年)の米の収穫が1933年(昭和8年)以来の凶作ということに端を発して、未曾有の米不足となり、アメリカ、オーストラリア、タイなどから米を緊急輸入したことに始まり、その中でタイ米が日本人の口に合わないことから消費者の中には国産米を求めてパニックの連鎖反応を引き起こした者もいた。
要するに、このときは食うに困って起きたパニックでなく、美食を追及するがための騒動だった。
もっとも、この件を数年後に人づてに聞いたところでは、当時の日本の商社とタイ側の悪徳商人が組んで家畜用の飼料(古米)を日本に輸出していたとのこと。
酷い奴らもいたもので、道理で不味かったわけだ。

しかしながら、近い将来に、この米騒動が国内の天候不順で起きるものでなく、今回のように外国政府による食糧の囲い込みで起きるものであった場合、日本の一般庶民が置かれる状況は極めて厳しいものになるだろう。
第一に、農業従事者の高齢化及び後継者難(参考:河北新報-田園漂流)は、数年後には地方で見慣れた田園風景が次々に喪失することを意味する。
そうでなくとも、燃料費の上昇に伴う生産コストの上昇は、それを消費者価格に転嫁できない以上、農家の収益悪化に直結し、それが離農の一因になる。
つまり、国産米の需給は異常なまでに逼迫し、高値で取引されることになるだろう。

それでは外国産米はどうか。
これも状況は1994年(平成6年)のときに比べて非常に悪くなるだろう。
当時の為替レートは日本経済に強さがあった頃の円高水準だったし、日本の一般庶民の所得水準もまだまだ高かった。
ところが201*年のときは状況は一変するだろう。
おそらく今の円ドルレートは円安に振れるし、日本の一般庶民の所得水準は負担増の連続で地に堕ちる。
一方で外国産米は「囲い込み」で高値に吊り上げられた挙句、原油高で輸送コストも嵩む。
政府が補助金を出そうにも財政難で「無い袖は振られぬ」ことになりかねない。
消費者価格は、うなぎ上りになり、各地で「売り惜しみ」や「米泥棒」が頻発するようになるだろう。

まさに地獄絵のようだ。
はっきり言って想像もしたくない。
ことは主食の問題だから余計に深刻だ。
ところが、今の日本はどうか。
食糧自給率が低いのにもかかわらず、賞味期限が1日過ぎただけでパニックになって騒ぎ立て、販売者側はそれを恐れて大量の食材を廃棄する。
そんなことをしていれば今にバチが当たるだろう。
先人は言ったものだ。「堂に怡(よろこ)ぶ燕雀は後災を知らず(目先の太平に安心して、後日の災難に気のつかぬこと)」と・・・

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Asia scrambles for rice stocks(米を奪い合うアジア)
Financial Times by Daniel Ten Kate in Bangkok

Governments across Asia were rushing to secure rice stocks on Friday in the wake of a 30 per cent price jump in international markets.

先週の金曜日、国際市場で米の価格が(燃料価格高騰の懸念から)30%も急騰したことを契機にアジア各国政府は大挙して米の在庫を確保しようとした。

Vietnam said it would reduce rice exports this year to 3.5m tons, from a projection of between 4m and 4.5m tons. India raised its minimum export price to $1,000 (EUR635, £500) per ton, up from $650 per ton, in a bid to keep domestic prices low.

ベトナムは400万トンから450万トンを予定していた今年の米の輸出を、350万トンに減らすことになるだろう、と言った。
インドは国内価格を安く抑えるために、最低輸出価格を1トン当たり650ドルから1,000ドル(635ユーロ、500英ポンド)に引き上げた。

In Thailand, the world's largest exporter, millers were storing rice and defaulting on contracts with exporters. "Exporters who have stock are making a lot of money, as millers who have supply contracts are not actually delivering the rice," said Vichai Sriprasert, president of Riceland International, a Thai rice exporter. "I believe the losses are running by about $200 per ton for those who don't have physical control of the rice."

世界最大の米の輸出国であるタイでは、精米業者が米を貯めこみ始め、輸出業者との契約が不履行となりつつあった。「在庫がある輸出業者は、契約をしている精米業者が現に米を供給を止めているために大金を儲けている。私は米の物的管理をしていない人たちのために1トン当たり約200ドルの損失が続くと思っている。」と、タイの輸出業者の1つであるライスランド・インターナショナル社のスリプラサート社長は言う。

The moves follow measures by Egypt and Cambodia to ban rice exports, which prompted world prices to hit an all-time high on Thursday. Global rice stocks are at their lowest since 1976.

この動きは米の輸出を禁止したエジプトとカンボジアによる(自国米の囲い込み)政策を他のアジア各国が追随したもので、先週の火曜日には米の国際価格は史上最高値を付ける結果となり、世界の米の在庫は1976年以来、最低となった。

The record prices for Asia's food staple have raised fears of social unrest and prompted donor organisations to ask for more funding to maintain food distribution programmes.

このアジアの主食の高値は社会不安への恐怖を引き起こし、食糧の流通計画を維持するためにもっと資金を供給するよう求めるための資金援助団体の行動を促進した。

The World Food Programme, which appealed for $500m in February, said the price rises would cause its operational costs in Asia to rise by $160m. It said in Afghanistan, $50m would buy 189,000 tons of food last year, which would feed 3.5m people. This year, the same amount would buy only 112,000 tons to feed 1.9m.

去る2月に5億ドルの援助を求めた世界食糧計画は、米の価格の高騰はアジアにおける調達コストが1億6000万ドルまで上昇するだろう、と言った。
アフガニスタンでは昨年、350万人の食糧を確保するための189,000トンの食糧を買うのに5千万ドルかかったと言われている。同じお金で今年は、190万人分、112,000トンしか買えないだろうと言われている。

India said it would sacrifice blistering economic growth in order to tame inflation as latest figures reached a 13-month high of 6.7 per cent on the back of spiralling fuel and commodity prices. "We are determined to curb inflation even if we have to live with slower growth," Palaniappan Chidambaram, the finance minister, said.

インドは、急上昇する燃料と商品価格を背景に、過去13ヶ月で最高の6.7%に達した現在のインフレを抑制するために、急激な経済成長を犠牲にすることになるだろう。「我々は、たとえ経済成長が減速することになろうともインフレを抑制することを決意した」とチダンバラム財務大臣は言った。

関連記事

Food prices rising across the world (Mar 25, 2008)
Cambodia halts rice exports to curb rising domestic prices (Mar. 27, 2008)
Egypt suspends rice and cement exports (Mar 28, 2008)
Jump in rice price fuels fears of unrest (Mar. 27, 2008)
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2008.03.02

海外投資家はe-TAXを必ず使え、ということか?

例年に比べ昨年は試行錯誤で香港株ワラントとか信用売りをやったせいか、短期売買が増えて、おかげで確定申告が面倒なことこの上なかった。
ようやく重い腰を上げ、海外口座分の資料を作り、さあ、申告書を完成させようと国税庁のウェブサイトにアクセスした。
私は今年になって国税庁がやたらキャンペーンをやっているe-Tax(国税電子申告・納税システム)なるものを制度が始まった時から使っている酔狂な男だ。
そして、このe-TAXなるものを使うメリットはほとんどない、と度々書いてきたが、その理由は国税庁のウェブサイトで作成した申告書を印刷して税務署へ郵送するのと大差がなかったからだ。
それを改善してメリットあるものにするために政府は涙ぐましい努力をしている(2007年2月24日「今日の一言」)が、どの程度効果があるだろうか。

ところで、私のように日本居住者で、かつ海外口座で運用する株やファンドに配当金があり、しかも現地で源泉所得税が引かれている場合は、配当所得と外国税額控除を併せて申告することになっている。
昨年までの国税庁のウェブサイトの「確定申告書作成コーナー」では、この外国税額控除のところだけ明細を手書き(PDFファイル)し、結果のみオンライン入力するようになっていたが、今年は明細もオンライン入力ができるようになって、さぞかし便利になったと思いきや、こんな注釈が書かれていた。

外国税額控除の適用を受ける方で、分離長期(短期)譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、退職所得金額がある方又は純損失の繰越控除や居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の各種繰越控除の適用を受ける方は当コーナーをご利用になれません。

要はどうすればいいのか?

1.国税庁ウェブの入力は外国税額控除を除いて行い、e-TAXで電子ファイルを読み込んで、さらに帳票を追加して修正入力する。この方法が王道で、私はこれで昨年までもやっているが、当然ながらe-TAXの利用申請をしていないとこの方法は使えない。

2.2003年(平成15年)以前のようにすべて申告書を手書きする。ITを使いこなしている人間に向かって、今さら何を言っているって、たいていは怒るだろうな。

3.海外分の配当所得も外国税額控除もともに申告しない。はっきり言って脱税になるだろうが、そちらに走る人は多くなるかもしれないな。

で、国税庁からすると、そのようなときはe-TAXを使ってくれ、あなた方だったらパソコン得意でしょ、となるのだろうが、本音は日本の証券会社を使えばいいではないか、などと言うのだろうか。
もし、あなたが当事者ならどうする?
たいていは3番の選択肢を取るだろうな。
こちらの本音はタダでさえ海外分を正直に申告してるんだ、手間かけるようなマネするんじゃねえ、となるからね。

ところで、e-TAXの申請、5000円の税額控除に釣られて今までになく多くなっていると聞くが、新聞などではさっそく「思ったほど便利ではない」との声もある。
だから私は昨年ここで書いたし、国税庁にも意見を送ったのだよ。
「同じような促進策を取るならなぜもっと思い切ってできないのだろうか」と・・・
これで、面倒な割りにメリットがない、という声が大きくなれば、日本が電子政府になるなどとは遠い夢物語、ますます香港やシンガポールのようなIT国家からかけ離れた存在になっていくのだから・・・

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2007.12.31

The way to lost quarter century and...

経済評論家の三原淳雄氏が12月21日付のコラムで「自業自得への道」として、「年末とあって来年を占う勉強会に可能な限り出席してみたが、聞こえてくるのは国はどうしてくれるという嘆き節ばかり。しかもその参加者の多くが、かつての全共闘の年代なのに、自分たちで変えようという意欲に乏しいのはなぜなのだろう。」と書いている。

これを読んで私は大前研一氏が書いた「異端者の時代(1994年6月1日初版)」の「プロローグ 日本経済危機の本質」の部分を思い出した。
そこに書かれていたのは

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毎年新年の仕事始めの頃、東京や大阪の一流ホテルで財界四団体主催の賀詞交換会という大パーティが開かれる。
今年平成六年(1994年)の賀詞交換会は恒例の総理大臣の顔見世がなかったことから、早々に引き上げる人が多かったが、それにしても出席した財界大物たちの発言はみっともなかった。
「この不況をどうしてくれる。政治改革なんてほどほどにして、早く景気対策をやってくれ」の大合唱である。
会社をおかしくしたのは自分たちなのに、その責任は棚上げにしておいて、政府に「なんとかしてくれよ」のお願いだけだ。

レーガノミックス時代のアメリカにも、鉄の宰相サッチャー革命の嵐が吹き荒れたイギリスにも、こんな無責任な経営者はいなかった。
そんな情けない経営者は株主総会で即刻クビ、黙々と会社のリストラに努めたトップだけが生き残っているのである。
労働組合にしても、35年間争議らしい争議をやったこともないから積立金ばかり増えてしまい、肝心なときに経営者の責任を追求する組合もない。
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財界幹部の言っていることが14年前と今とでほとんど変わってないことに気づくだろう。
想像するに14年前の忠犬ハチ公がお殿様に出世しただけということか。
要するに大企業の幹部たちは、若年者には自助努力をしろと言う一方で、自らは相変わらずのおねだりを「無能」と揶揄する政府にしているのだ。
政府が無能ならば与党への献金などやめればいい、お前ら(政府)は黙っていろと一喝すればいいだけの話だ。
それをしないのはドッチもドッチだからだろう。

前出の大前研一氏の著書によれば、日本の就業人口6300万人(1994年当時)のうち、日本の富を稼ぎ出している(自動車やエレクトロニクス産業など)のはわずか13%、残りの87%は公務員や、規制業種などの国際競争力のない就業者で、彼らのぶら下がりということなのだから、政府におねだりしないとやっていけないのは自明の理である。
と、なると、ここ数年の企業業績の回復というのは、従業員や下請けをボロ屑のように虐げて経費を浮かしたことと、世界好況という神風が吹いたことによるものでしかなかったのではないのか。
これで日本経済は本当に再生するのか。
今や、かつての花形産業も国際競争力を失いつつあるというのに・・・

ところで、新年になれば、またぞろ新聞に財界人の年頭挨拶やら今年の経済予測などが掲載されるだろう。
しかし、そんなものは何の意味もない。
政府は言うに及ばず財界トップにすら世界を相手にする気概が感じられないのであれば、もはや日本企業は一部の国際優良企業を除いて世界の投資家から見放される運命にあるからだ。
世界の投資家から見れば、1990年代のAsia Equity Fund (ex Japan)は、日本(先進国)を除くアジア諸国(途上国)の株式に投資する「極めてハイリスクハイリターン」なファンドを意味した。
今や、日本が入っていない分だけ好パフォーマンスが期待できる優良ファンド、という意味になっている。
あと数年後には、特定国に投資するファンドとしてのJapanese Equity Fundは今のフィリピンやインドネシア並みのエマージングファンドの位置づけにしかなっていないだろう。
そうなれば、今でさえ影の薄い日本発の経済ニュースは世界の主要経済紙に掲載されることがほとんどなくなるかもしれない。
そこまでなっても財界首脳は言うのだろうか。「政府が無策だからこうなるんだ」

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2007.12.02

株式譲渡所得の軽減税率の再延長はないのか

衆議院は自民党、参議院は民主党が多数を占めるねじれ現象が続く国会で、投資家にとって焦点であった株式譲渡所得の軽減税率の再延長はしない方向で議論がされているようだ。
この税制は、株価がバブル崩壊後の安値を更新している最中に、個人投資家の比率を高めようと時限立法として打ち出されたもので、昨今は日本の証券会社が海外株式やETFの取り扱いを格段に増やしたことと相俟って、無理して海外口座を開いて投資をしなくても国内証券だけでも十分であるという風潮も感じられるようになってきた。

ところが、海外投資家を国内証券に踏みとどまらせている理由の一つ、株式譲渡所得の軽減税率の再延長がどうやらなくなるようだ。
これによってサブプライム問題の余波を受けてぐらぐらしている日本の株式市場はますます不安定なものとなるだろう。
この税制を巡る議論には、日本市場に投資をさせるためにはどうしたらいいか、という視点が全くないように思える。
まして東京証券取引所に上場している外国企業など微々たるものだし、彼らはなぜ香港やシンガポールがアジアで有数の金融都市となっているのか考えたこともないのだろう。

キャピタルゲインをギャンブルと同じで額に汗して働かないで得た収入などと揶揄して、その所得に軽減税率を適用するなどもってのほか、などという暴論を吐く者がその典型である。
投資で儲けるのは容易なことではない。
周到なリサーチも必要だし将来を見据える先見の明も求められる。
投資が嫌いなら嫌いで結構だが、それでいて投資で成功した人を妬むなと言いたい。
今や世界的に格差社会が進んでいるようだが、少なくとも成功者(金持ち)を妬む風土がある限り、ダイナミックな経済発展など覚束ないだろう。
なぜなら、そのような国では常におねだり君に足を引っ張られることを気にしながら生きていかなくてはならないからだ。
言うなれば、3年前に書いた「ピーター・タスカの予言が現実となる日」がまさに具現化しつつあるのかもしれない。

金融商品取引法の施行により「海外口座を使った場合の株式譲渡所得の申告」の参照法令を一新しました。 海外口座を利用されている方は今年分の確定申告の際に参考になさってください。詳しくはこちらから。

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財務省:証券優遇税制は2009年から原則廃止、小額配当は継続-同省案 (2007.11.30 ブルームバーグ)

財務省は30日、自民党税制調査会(津島雄二会長)に、2008年度税制改正の焦点の1つとなっている証券優遇税制の見直し案を提示した。
それによると、金融所得一体課税に向けて2009年度から株式譲渡益や配当にかかる軽減税率10%を本則の20%に原則的に戻す一方で、少額配当の場合は軽減税率を一定期間維持するほか、譲渡損失と配当との損益通算も限度額を設けたうえで可能にする。
同案では、税率を引き上げる一方で、中低所得者の株式や投信への投資促進を支援するため、一定額の株式・投信から生じる配当について、一定期間10%の軽減税率を継続する方針を示している。
また、軽減税率廃止に伴う市場の不安や変動を回避するための特例措置として、2008年末までに取得した株式を2009年以降の一定期間内に譲渡する場合にも軽減税率10%の適用を認める。
投資リスク軽減のための損益通算は限度額を設ける。
また、投資家の申告を必要とするが、2010年からは特定口座の活用によって申告不要となるよう証券会社のシステムの見直しを行うとしている。

■証券優遇税制の継続求める声相次ぐ

この日の会合では、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題の余波を受けた不安定な株価動向などを理由に軽減税率の延長・恒久化を求める声が相次いだ。
与謝野馨小委員長は同省案を「非常に軟弱な着地」と指摘。
同案をたたき台に、12月中旬の来年度税制改正大綱のとりまとめに向けて詳細を詰める方針を明らかにした。
津島会長は27日、証券優遇税制について「損益通算ができるようにしてほしいとの声を否定できない」とした上で、軽減税率について「単純に延ばすようなことはしたくない」と発言していた。
同税制は2003年度税制改正で、2007年度末までの時限措置として導入されたが、今年度税制改正で1年延長されたため、適用期限は株式譲渡益が2008年末、配当が2009年3月末となった。
これに対し、金融庁は株式譲渡益の軽減税率の再延長と配当課税の軽減税率の恒久化を求めている。

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株配当の税軽減措置-民主、延長認める-証券優遇税制 (2007.11.30 朝日新聞)

民主党税制調査会は29日、2008年度税制改正の焦点の一つになっている証券優遇税制をめぐり、株式の配当に対する軽減措置は延長を認める方針を決めた。
参院選の政権公約では、1年を超える長期保有に限定して軽減措置を維持する考えだったが、「安定的な個人株主を育成する観点などから、長期保有に限らず、軽減措置の維持を考える」(古川元久・税調副会長)という。
株式の売却益に対する軽減措置は廃止を主張している。
軽減措置の延長の是非をめぐっては、株価の下落などを受け、与党内でも延長論が高まるなど賛否が分かれている。
民主党の方針変更は、与党内の議論の行方にも影響しそうだ。
証券優遇税制は、上場株式の売却益や配当にかかる税率を本来の20%から10%に軽減するもの。
民主党は預貯金の利子所得など、ほかの金融所得と同じ税率に戻すべきだとして、軽減措置の廃止を主張。
長期保有の株式の配当に限って軽減措置を続ける考えだった。
だが、法人の株式持ち合いの解消などで株式市場の不安定化が進んだことなどを背景に、 (1)個人の安定株主の育成、(2)法人段階と配当段階の「二重課税」の是正-などが必要と判断。また「長期保有」をどのように特定するかという実務上の課題も浮上したという。
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2007.10.11

歴史に学ばぬバカどもへ

先日、約2年前に起こった耐震強度偽装事件の教訓が全く生かされていないような記事がひっそりと読売新聞の家庭面に掲載されていた。
今度の舞台は国民生活センター、ここは1970年に特殊法人として設立され、2003年から独立行政法人になったところで、言うまでもなく消費者保護行政の隠れた主役である。
現在では職員数は約110人、相談調査部、商品テスト部など7部4課5室1館で構成され、東京都港区高輪に相談調査部などが、神奈川県相模原市に商品テスト部の施設があるが、今年度の予算は35億4700万円、必ずしも多いとは言えない規模だ。

そして、その国民生活センターは先月、内閣府の私的懇談会「国民生活センターの在り方等に関する検討会」の最終報告により、業務縮小方針が示されたと、読売新聞は報じている。
「小さな政府論」を標榜する人たちに言わせれば、行政改革の一環であり、聖域なしになるのは当然とまで言い切るだろうが、これは全くのお門違いだ。
小泉政権が推進した規制緩和政策、これ自体の方向性は間違ってはいないが、これを推進することはレフェリー役(の役人)が今まで以上に必要となるということを意味する。
そうしなければ、ルールを守らせるための監視が緩くなり、結果的に消費者がバカを見るからだ。
要するに、規制緩和とともに実施すべき行政改革とは、手取り足取り行政の官庁をスクラップし、レフェリー官庁を充実させないといけないということが全く認識されていない。
と、言うかわざとそうしているとしか思えないフシもある。
つまり、官はすべて不要と切り捨てにかかった小泉・竹中コンビを私がペテン師だと言ったのはこういう理由によるものだ(2005年8月27日「今日の一言」

そして、2005年11月から翌1月頃にかけて「きっこのブログ」で一大トピックになった耐震強度偽造事件と同じ図式となりそうなことが国民生活センターでも起きようとしている。
つまり、耐震偽装がなぜ起きたかと言えば、レフェリー役が官から民になり、その結果、不動産業界関係者が胴元とレフェリーを兼ねた八百長をやっていたからだ。
耐震強度偽装事件に関してどの程度八百長が行なわれていたかは彼女のブログに詳しく載っているので参考にするといい。

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<耐震強度偽装事件に関する「きっこのブログ」記事一覧>

建築界のゴールデントライアングル(2005.11.20)
信用もマッサカサマ(2005.11.21)
民営化の落とし穴(2005.11.22)
本当の黒幕は?(2005.11.24)
小嶋と犬山のヘッポコ漫才(2005.11.26)
いよいよ大詰めか?(2005.11.30)
これがすべての構図です(2005.12.01)
素人が建てたホテル(2005.12.03)
そうです、変なおじさんです(笑)(2005.12.04)
レイザーラモンHG改めレイザーラモンSG (2005.12.06)
黒幕の黒幕はみんな黒幕だ(笑)(2005.12.08)
政・官・民の三位一体(2005.12.09)
捕らぬジジイの皮算用(2005.12.12)
馬淵議員VS内河健(2005.12.15)
渡辺無能と吉田ドザエモン(2005.12.17)
イーホームズ社長からのメール(2005.12.19)
トカゲのシッポ(2005.12.22)
とっとこハムスケ絶体絶命!(2006.1.16)
オジャマモンの証人喚問(2006.1.17)
オジャマモンとホリエモン(2006.1.18)
嘘つきは誰だ?(2006.1.19)
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この悪夢の歴史がまた繰り返されようとしている。
読売新聞は、「全国消費者団体連絡会事務局長の神田敏子さんは「製品事故が相次ぐ中、国民生活センターの原因究明機能への期待はますます高まっている。現段階で、他の機関がどの程度まで消費者の視点に立ったテストを実施できるか分からず、不安だ」と話す。委託先には産業技術総合研究所や各種の試験研究機関などが挙がっている。しかし、これらの機関は企業からの検査依頼も受けており、消費者の誤使用などを想定した柔軟な検査ができるのかといった指摘もある。」と書いている。

つまり、企業の製品に欠陥があるかないかをテストする検査機関が外部委託されるようだが、その機関が企業の紐付きでない保証はどこにもない、ということを暗に言っているようなものだ。
仮に紐付きでないとすれば、原資は税金なのだから何も組織を複雑化させる必要は全くない。
耐震強度偽装事件で一番問題になったのは検査機関が業者の紐付きであったことなのだから、政府当局者は全く歴史に学んでいないということになる。
はっきり言って「バカ」である。
そうでなければ、やはり「国民にとって重要で権力者の邪魔になるところから」整理縮小するのであろう。
違うというのであれば説明してもらいたいものだ。
あれだけ問題のあるNHK(特殊法人)はなぜ民営化の論議にさえならないのか。

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どうなる国民生活センター (2007.10.6-7 読売新聞家庭欄)

■「縮小前提」改革に異論

消費者被害の解決に取り組んできた国民生活センターの改革案に異論が続出している。
一般消費者からの直接相談の廃止、商品テストの大幅な外部委託化など、業務の縮小が盛り込まれたからだ。
製品事故や消費者トラブルが相次ぐ中、同センターの役割が問われている。

内閣府の私的懇談会「国民生活センターの在り方等に関する検討会」(座長・野村豊弘学習院大教授)が先月25日、東京都内で開かれた。
最終報告案について協議が行われたが、検討会委員の間から相次いで異論が出され、この日予定されていた最終報告の公表が延期となった。
異論が相次いだのは、消費者からの相談を直接受け付ける制度の廃止と、製品事故の原因などを調べる商品テストの大幅な外部委託化についてだった。
同委員で埼玉大学非常勤講師の原早苗さんは「センターは消費者の駆け込み寺的な存在。直接相談の廃止などの業務縮小は、センターから現場感覚を失われてしまう」と指摘する。
しかし、2日後に公表された最終報告も、業務縮小の方針は変わらなかった。

内閣府が一貫して業務縮小にこだわるのは、政府が現在、独立行政法人の整理合理化計画を策定しているためだ。
すべての独立行政法人の事業をゼロから見直し、年内には同計画を閣議決定
する。
同センターも例外ではない。
内閣府の担当者は「消費者行政を充実させたいという要望はよく分かる。一方で、国の財政も厳しい。板挟みの状態」と打ち明ける。
同委員で弁護士の山口広さんは「消費者行政への期待が強まっているのに、そもそも予算削減ありきの中で、センターの役割を検討することに無理がある。独立行政法人の整理合理化の一環として業務の効率化を優先するのはおかしい」と話す。

今回の検討会は、今年4月から始まり、計9回の協議を重ねてきた。
もともとは、来年度から始まる同センターの次期中期計画づくりに向け、同センターの業務内容を検討することが目的だった。
製品事故や消費者トラブルが相次ぎ、同センターの機能強化を求める声は強い。
今回の最終報告では、裁判以外の方法で民事紛争を解決する「裁判外紛争解決手続き(ADR)機関」としての役割を同センターに持たせることになった。
同センターは、消費者から苦情相談を受けた場合、事業者とのあっせんを行ってきた。
しかし、現行の国民生活センター法には、あっせん行為は明文化されておらず、事業者が話し合いを拒絶した場合、その時点で解決の道は閉ざされていた。
同法を改正して法的な位置づけを明確にすることで、被害の救済と防止を図るという。
同センター理事の田口義明さんは「業務の効率化は必要なこと。最終報告を踏まえた改革を進めていきたい」と話す。
紛争解決機能と各地の消費生活センターヘの支援に重点を置いた活動をしていくという。
国民生活センターの今後の役割が注目される。

■商品テストも外部委託

東京都心から電車で約1時間。神奈川県相模原市に国民生活センターの商品テスト施設がある。
食品や家電などを調べる設備のほか、自動車の屋外走行テスト場もある。
ここでは地方の消費生活センターからの依頼や消費者の製品事故情報などをもとに、毎年約60件の商品テストを実施。性能や安全性、欠陥の原因究明などを行い、問題があれば結果を公表する。
「テストがきっかけとなり、国や業界団体、業者が安全対策や製品の改善に向けて動き出すことは多い」と商品テスト部職員は胸を張る。

窒息死の相次いだこんにゃく入りゼリーでは、業界団体が高齢者や子どもは「食べないで」と警告するマークを作成。
ヘナ配合の白髪染めでは、かぶれの原因となる化学物質を含むものもあるため、厚生労働省は使用前に必ずバッチテストをするよう促す注意書きの徹底を求めた。

商品テストは、かつて各地の消費生活センターでも盛んだったが、地方の財政悪化などのあおりを受け、年々減っている。
2007年の消費生活年報によると、2006年度に商品テストを実施したのは全国で25機関。2000年度の69機関に比べて大幅に減っている。
こうした事情を背景に、消費者団体からは、国民生活センターの商品テストを外部委託化することに対して反対の声が上がっている。
全国消費者団体連絡会事務局長の神田敏子さんは「製品事故が相次ぐ中、国民生活センターの原因究明機能への期待はますます高まっている。現段階で、他の機関がどの程度まで消費者の視点に立ったテストを実施できるか分からず、不安だ」と話す。
委託先には産業技術総合研究所や各種の試験研究機関などが挙がっている。