2009.10.10

鳩山政権はミセス渡辺を満足させられるか

8月30日の総選挙で民主党が勝利し、政権交代が実現したことで、イギリスの経済紙であるフィナンシャル・タイムズ(Financial Times)にも日本の特集(In Depth - Japan elections)が組まれている。
鳩山内閣の政策についてはいろいろな意見があるだろうが、国際社会における日本のプレゼンスが低下するに従って、世界のメディアにおいて日本が話題になることが少なくなってきた中で、久々に政治の話題が脚光を浴びていることは素晴らしいことのように思える。
7日付の記事でもVibrant 'Ozawa Girls' to refresh Diet(力強い小沢ガールズが国会を活気づける)として、日本の女性国会議員の数が飛躍的に伸びたと報じられている。

一方の経済政策の方は相変わらず厳しい見方が強いが、少なくとも今までの自民党の政策とは変わるのではないかという期待も少しは感じられるような気がする。
その中でJapan's savers pressed to alter their ways(やり方を変えるよう迫られる日本の預金者)という表題の記事があったので紹介してみたい。
端的に言えば、日本の内需拡大を妨害しているのは貯蓄率の高さであるという預金悪玉論にも見えるが、フィナンシャル・タイムズが見るところ、日本の典型的主婦であるとされるミセス渡辺(仮名)は「日本が北欧諸国のような政策を取れば安心して金を使える」と考えているように論じている。(kaigo web - 北欧の福祉事情
そして、最後の締めくくりとして"DPJ leaders must not merely get the nation's money moving, but also find ways to promote the productivity gains that will raise its long term growth rate.(民主党の指導者たちは国中に金が回るようにするだけでなく、長期成長率を上げるような生産性上昇を促進する手段を見つけなければならない。)"としている。
例えば、ノキアのような世界的企業が経済を引っ張り、福祉が充実しているフィンランド、日本もフィンランドのような国を目指すべきなのか。

ところが私が見たところフィンランドのようになるためにはいくつかのハードルが存在する。

1.トヨタなどの自動車産業が衰退した後の日本のリーディングカンパニーが見当たらない。
2.高負担を支えるための担い手が不足している。特に既婚女性が勤労世代に属する北欧諸国と被扶養者に甘んじざるを得ない日本の格差は大きい。
3.福祉の担い手を外国人に委ねざるを得なくなったとき、北欧諸国では英語が母国語同様に通用するが、日本ではお話にならないくらい言葉のハードルが大きすぎる。
4.かつてフィンランドでは財界が世界に通用する人材を育てよと政府に要請したが、日本では悪名高い「ゆとり教育」のもとで基礎的な常識すら満足に理解できない若者が大量に生じている。

ざっとこんなところだろうか。
詳しくは検証しないが、もし、民主党を支持した人の多くがミセス渡辺のようなことを考えているならば、民主党内閣の閣僚が多少斬新的な政策を打ち出したとしても彼女たちの多くは失望するだろう。
なぜなら、福祉制度や年金制度の再構築といっても、今の制度を前提とするならば、年金問題における社会保険庁の怠慢を別にしても、主婦の大半を被扶養者の立場から勤労者(社会保険料の負担者)の立場へと変えさせるような劇的な変革が必要だし、移民も大幅に受け入れざるを得なくなる。
民主党のマニフェストにある保育所の待機児童の解消は緊急課題となるだろうし、それに加えて、ベビーシッターを雇った場合の補助や税額控除なども検討する必要があるだろう。

何より移民を受け入れるためには、彼らに日本の慣習や文化を知ってもらうにことに加え、お互いの意思疎通のハードルも低くするようにしないといけないだろう。
一番大きなことは、「日本に来るなら日本語を話せ」という一見すると正論だが、北欧諸国の人たちと180度違うメンタリティの払拭だ。
政府自ら「日本語を話せる外国人を云々」と言っているようではよほどの意識変革が必要だろう。
北欧諸国の人たちは外国人が自国語を話せるようになることは難しいから私たちが英語を話すと言って、英語を母国語のように操れるレベルにまでなっている。
これに対して日本は「まるで英語など学ぶ必要がない」と言わんばかりの貧困な教育システムを温存したままになっている。
これらの課題を克服しなければならないことを考えても、ミセス渡辺の要求を満たせる政府は日本には存在しないような気がする。
それとも10年スパンで考えれば変革は可能であろうか。
果たしてミセス渡辺はそれまで忍耐強く待ち続けることができるであろうか。

ところで、ミセス中西の"With the home loan paid off, we've already moved more to the consumption side.(住宅ローンを完済すれば、すでに私たちはもっと消費側に回っている。)"という言葉は民主党のマニフェストの「ノンリコース(不遡及)型ローンの普及を促進する」というのと相俟って消費が促進される可能性がある。
日経ビジネスで「日本の住宅ローンは世界から見れば変則です」というコラムを書いた澁谷征教氏も、投資せずに貯蓄に走る国民性の根本原因が日本型の住宅ローンにあると言っていることから、ノンリコースローンが一般的になれば、今のように持ち家を手放しても借金が残るという悲劇がなくなり、安心感が生まれることになろう。
もっとも資産価値が毀損するリスクを金融機関が持つことになるために、借入金利は高くなるが、欠陥住宅を掴まされるリスクは格段に低くなるため、消費者側のメリットも相当になると思われる。
ただ、今のローン制度の下で借金して苦しんでいる人は救われないし、自己破産や競売案件も増えていると聞く。
亀井金融・郵政担当相が国会へ提出を検討している中小企業向け融資や住宅ローンの返済猶予法案は、経済界からの反対意見も根強いようだが、日本の個人消費を停滞させ、中高年の自殺を多数引き起こしている一つの要因が多額の住宅ローンにあるのだから、資産価値に比べて不相応なローン債権部分については、いわゆる債権放棄(徳政令)のような形でケリを付けざるを得ないところまで来ていると思う。
それにしても1990年代は倒産寸前の大企業に対して債権放棄をし、その補填を公的資金(税金)でしてもらった金融機関が、亀井大臣から同じようなことを個人や中小企業に対してしろと言われて嫌悪感を抱くのはなぜだろうか。

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Japan's savers pressed to alter their ways (やり方を変えるよう迫られる日本の預金者)
(October 8 2009 Financial Times by Mure Dickie)

Can Japan's new leaders persuade their fellow citizens to stop hoarding money and thus ease one of the biggest structural problems plaguing the world's second-largest economy?

日本の新しい指導者たちは国民に対して貯蓄をやめるように説得し、それゆえに生じている世界第二位の経済大国を悩ませている大きな構造的な問題を和らげることができるだろうか?

They have not succeeded with Mrs Watanabe. Not the mythical "Mrs Watanabe" used as shorthand for an archetypal Japanese investor, but Kumiko Watanabe, 57, a real-life Tokyo housewife who believes in patient saving and modest spending.

それらはミセス渡辺のせいでうまくいったことはない。典型的な日本の投資家を簡単に言い表わすために使われる架空の「ミセス渡辺」のみならず、実在の東京の主婦である渡辺久美子(57)も我慢強い貯蓄と慎ましい消費が良いことだと信じている。

This Mrs Watanabe and millions like her are blamed by economists for locking up much of the nation's money in cash and low-return bank deposits, leaving the economy dependent for growth on exports to less cautious consumers elsewhere.

このミセス渡辺と彼女と同じような無数の人々はタンス預金と低金利の銀行預金に多くのお金を仕舞い込んでいることでエコノミストたちから責められている。そして、ほかの所では慎重さがより少ない消費者のために輸出に依存した経済成長のままでいるハメになっている。

Now, however, Democratic party policymakers fresh from their historic general election victory over Japan's long-ruling Liberal Democrats say they are determined to achieve an economic rebalancing that has eluded governments since the 1980s.

しかし、今や、日本を長く支配した自民党を歴史的な総選挙の勝利で破ったばかりの民主党の政治家たちは、1980年代以来の政治を避け続けてきた経済のリバランスを成し遂げる決意であると言っている。

"It's not that exports are bad, but we have to think more about domestic demand," Hirohisa Fujii told the Financial Times in an interview before his appointment as finance minister last month. He cited generous DPJ welfare pledges as an important tool for engineering an economic rebalancing.

先月、藤井裕久氏は財務相に任命される前のインタビューで「輸出は悪いことではない、しかし、我々は内需についてもっと考えるべきである」と本紙に語った。彼は経済のリバランスを画策するための重要な手段として気前の良い民主党の福祉の公約を挙げた。

Success in this effort to stimulate domestic demand would have far-reaching implications. Along with China and Germany, Japan and its structural surplus have been implicated in the global imbalances blamed for contributing to the international economic slump. If Japan could become its own engine of growth, it would ease the path to recovery of deficit nations such as the US.

内需を刺激するこの取り組みの成功は広範囲にわたって密接な関係が出てくるだろう。中国やドイツに加えて日本とその構造的な黒字は国際経済不況の一因となったために、世界的な不均衡に関係しているとみなされ責められ続けられている。もし、日本が成長の原動力になるならば、例えば米国のような赤字国の景気回復もたやすくなるだろう。

Mr Fujii notes that about 60 per cent of the gross domestic product growth recorded by Japan between 2002 and 2007 came from external demand. But DPJ leaders hope that by putting money directly in the hands of parents, cutting taxes and highway tolls and strengthening Japan's welfare and pensions systems they can at last spark a recovery in household spending.

藤井氏は2002年から2007年の間に記録されたGDP(国内総生産)の増加の60%が外需によってもたらされたと言及した。しかし民主党の指導者たちは、子ども手当の支給、高速道路料金の無料化、そして日本の福祉と年金制度の強化によって、最終的には家計支出の回復を引き起こすことができると望んでいる。

There is certainly plenty of spending power to be unleashed. Japanese household savings, held largely in relatively unproductive bank deposits and even cash, total an astonishing JPY1,400,000bn (USD15,800bn, EUR10,700bn, GBP9,800bn).

相当な購買力が発揮されるのは確かである。日本の家計貯蓄は主として相対的に利益を生まない銀行預金と現金で溜め込まれており、驚くべきことに合計で1400兆円(15兆8千億ドル、10兆7千億ユーロ、9兆8千億ポンド)となっている。

And Mrs Watanabe agrees with DPJ policymakers that the high level of savings is in large part the result of a sense of insecurity.

そして、ミセス渡辺は高水準の貯蓄は大部分が不安感の結果であるという民主党の政治家たちの意見に賛成している。

"It's all right not to save much in places like northern Europe, where you pay high taxes but medical expenses are covered and you are looked after in old age," she says. "In Japan nobody can have that kind of confidence and nobody believes in the pension system... You have to keep your own money and the bank is the safest place."

彼女は「北欧諸国のように多額の貯蓄をしないですむことは結構なことだ。それらの国々では高い税金を払わないといけないが、医療費を賄ってくれ、老後の世話をしてくれる。日本では誰もそのような信頼をしていないし、誰も年金制度を信じていない。自分で金を貯めなければならないし、銀行は最も安全なところだ。」と言う。

Although Mrs Watanabe welcomes the DPJ's victory, she doubts its ability to fund its generous pledges and wonders how long its policies will endure, since a future LDP government could undo the changes.

ミセス渡辺は民主党の勝利を歓迎しているにもかかわらず、その気前のよい公約に資金を回す手腕に疑問を抱き、どのくらいの間その政策が維持できるのか懐疑的になっている。なぜなら将来の民主党政権は変革を元に戻すこともあり得るからだ。

So for now she plans to keep putting money away in low-interest, low-risk accounts. "I suppose you can say we [Japanese] are overly sober or too timid. Maybe we are just not good at enjoying ourselves," she says.

今のところ彼女は低金利でローリスクの口座に金をしまっておくつもりだ。「私はあなた方が日本人が非常にまじめか気が小さすぎると言うのではないかと想像している。たぶん私たちはちょっと人生を楽しむのが苦手なだけだろう」と彼女は言う。

Such caution is not universal across the archipelago, as any visitor to centres of conspicuous consumption such as Tokyo's Ginza district knows. Even some housewives in the capital have embraced the mission of getting the nation's money moving.

そのような慎重さは、例えば東京の銀座地区のように目だった消費の中心地へ行く人たちがいるために、日本列島のいたるところで一般的というわけではない。まさに首都圏の一部の主婦たちは、国のお金を巡らせるという任務に喜んで応じているのだ。

Mrs Nakamura, who prefers to be identified only by her surname, says that rather than "rattling on" about their own financial needs, members of the older generation should use their money to ease the economic path of younger compatriots.

ミセス中村(姓によって特定されることを好む)は、自らの金融ニーズについて「ベラベラしゃべり続ける」よりもむしろ、熟年世代の人たちは若い同胞の経済的進路を楽にするためにお金を使うべきだと言う。

"If money doesn't circulate, especially towards young people, then this nation's future is in peril," Mrs Nakamura says. "Whether the DPJ can do what it promises or not, as an older person I think that rather than saving, I should spend my money on something... like travel, or concerts, or little presents for people."

ミセス中村は「もしお金が、特に若い人たちのために回らなければ、この国の将来は危険にさらされることになる。民主党が公約を守れるか否かにかかわらず、熟年世代である私は貯蓄をするよりも、旅行やコンサート、誰かに小さなプレゼントをするとかのためにお金を使うべきだと思う」と言う。

Still, many Japanese first want to see whether the DPJ can match its rhetoric with results.

依然として、多くの日本人はまず民主党の説明と結果が一致するか否かを見たいと思っている。

Noriko Nakanishi, 58, says she hopes the new ruling party will be as successful in reforming the pension system as it was in the past at exposing such failings as bureaucrats' scandalous loss of tens of millions of payment records. Feeling more secure would make it easier to spend, she says.

中西紀子(58)は、「新政権が過去に公表された官僚たちの数千万もの納付記録のけしからぬ紛失という不手際のあった年金制度の立て直しに成功することを期待している。もっと安心感が広がれば気楽に消費できる」と言う。

"With the home loan paid off, we've already moved more to the consumption side," Mrs Nakanishi says. "Of course we have to keep a certain level of savings, but we're looking to enjoy life."

ミセス中西は「住宅ローンを完済すれば、すでに私たちはもっと消費側に回っている。もちろん私たちはある程度の貯蓄を維持しなければならないが人生を楽しむことにも目を向けている」と言う。

Economists warn that even DPJ success in encouraging such spending would hardly be a panacea for an economy that has struggled to shake off the lingering hangover from its late 1980s asset bubble and must now contend with a rapidly ageing and shrinking population. With a trade surplus universally seen as vital to the current fragile economic recovery, any rebalancing will be gradual at best.

エコノミストらは民主党のこのような消費刺激策が成功したとしても、1980年代後半の資産バブルの長引く後遺症を取り除くためにもがき続け、今や少子高齢化に対処しなければならない経済の万能薬にはとてもなり得ないと警告する。今の脆弱な景気回復に対して不可欠と見られている普遍的な貿易黒字のために、どんな経済のリバランスもよくても段階的なものになろう。

Too rapid a drawdown of savings would also be risky. Japan's huge bank deposits have been an important source of stability - not least in ensuring that banks remain complacent buyers of low-yielding government bonds despite a gross state debt that will soon be equivalent to 200 per cent of gross domestic product.

貯蓄の減少が速すぎることもまた危険であろう。日本の大銀行の預金は重要な安定性の源となっている。銀行がいずれGDP(国内総生産)の2倍(200%)に達しようかと言う国の借金の総額にもかかわらず、利率の低い国債の自己満足の買い手のまま留まっているとは少しの保証もないが・・・

In the end, DPJ leaders must not merely get the nation's money moving, but also find ways to promote the productivity gains that will raise its long term growth rate.

最終的に、民主党の指導者たちは国中に金が回るようにするだけでなく、長期成長率を上げるような生産性上昇を促進する手段を見つけなければならない。

Winning over Mrs Watanabe will be just the start.

ミセス渡辺の説得はちょうど始まろうとしている。
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2009.09.06

フードスタンプ受給者増は米国経済のアキレス腱か

米農務省(USDA/U.S. Department of Agriculture)食品栄養局(FNS/food and nutrition services:旧食品消費者局/FCS=Food and Consumer Service)が所管する栄養補給支援プログラム(Supplemental Nutrition Assistance Program:旧フードスタンプ・プログラム/Food Stamp Program)には「アメリカを強くするフードスタンプ・プログラム(Food Stamps Make America Stronger)」という標語が書かれている。

ところが、その言葉とは裏腹に米国経済はフードスタンプの受給者が急増することによって腰折れのリスクが高まっていると、エコノミストたちは恐れている。
確かにウェルス・ファーゴ(Wells Fargo)のチーフエコノミストのジョン・シルビア(John Silvia)氏が言うように、フードスタンプの受給者増は、消費者が立ち直らないことを示唆しているし、消費者が旧来の景気回復のときのように来年の経済成長に寄与することはないだろう。
この問題は個人消費支出が米国経済の原動力であり、GDP(Gross Domestic Product=国内総生産)のおよそ3分の2を占めているという現実からすると、オバマ政権のカンフル剤の効き目が切れたときに経済は再び失速するという指摘も当たっているだろう。
ダウ平均(Dow Jones Industrial Average/^DJI)は4日終値の時点で9,441.27ドルと、今年の3月9日に付けたリーマンショック後最安値の6,440.08ドルから大幅に反発しているが、10,000ドル到達時点が節目となるだろうか。
心理的にも半値戻し(2007年10月9日の最高値は14,198.83ドル)となるだろうし、このあたりで米国経済に先行き明るい材料が存在するか再点検されることになるに違いないからだ。

しかし、フードスタンプの受給者は世界経済が好況を謳歌していた2007年当時でさえ多かったように思える。
21世紀になってからのアメリカは貧富の差が加速度的に広がっていたし、2007年3月11日の「食事も買えない?ニューヨーク市の下級公務員」というコラムで私はこう書いている。

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私が8,000 city workers rely on food stamps(8,000人もの市職員がフードスタンプに依存している)という記事の中で誤訳かと思って何度も辞書を引いた箇所がある。
"The feds have actually praised the city for increasing access to food stamps.(実のところ政府はフードスタンプの利用者が増える自治体を称賛し続けている。)"
何で国家財政が悪化する原因を作る自治体を連邦政府(The fed)が称賛(praise)し続けるのか?
私はわけがわからなくなった。

ところが米国債は世界中の投資家が買ってくれることに気づいた。
それを組入れているファンド(投資信託)も多い。
そして、アメリカは市(地方自治体)の財政は独立採算だし、おそらくニューヨーク市債まで外国人投資家は(直接)買わないだろう。
そうすると納得できる。
要するに、ニューヨーク市債はほとんどアメリカ人のリスクで引き受けることになるが、連邦(国)債は世界中、特に主要購入国である日本政府(国民)に、リスクを分散できる。
ニューヨーク市の財政問題は国内問題で終わる可能性が高いが、アメリカの財政破綻が現実化すれば、それを避けるために、米国債の買い手が協力してくれるからだ。
そう、「総下流時代」の著者、藤井厳喜氏が言う、「アメリカなくして日本なしでなく、日本なくしてアメリカなし」というのはこの記事からも言えることなのだ。
日本政府が何十兆円もの米国債を買って、イラク戦争の戦費を負担し、アメリカ人の低所得者をも(間接的に)助ける一方で、自国民は放置されているどころか、もっと税金を払えというのは怒りを通り越して呆れるしかない。
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つまり、米国のエコノミストが予測しているよりは影響は軽微になる可能性もあるということだ。
ただ、こういったネガティブなニュースがクローズアップされるか否かはそのときの経済情勢によるところが大きい。
ただ、今年になって中国の株価が米国の株価にリンクしないことが多いような気がするので、2007年に新興国の株価が急騰していたときに言われたデカップリング(減速傾向が顕在化しつつある米国経済と、高い成長率を続ける新興国の経済が離れる=違った方向に進む)というのが顕在化し始めたというのは先走りし過ぎなのだろうか。

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US families turn to food stamps as wages drop (賃金下落に伴って米国人一家はフードスタンプに頼る) (September 4 2009 Financial Times) By Sarah O'Connor in Washington

The number of working Americans turning to free government food stamps has surged as their hours and wages erode, in a stark sign that the recession is inflicting pain on the employed as well as the newly jobless.

無料のフードスタンプに頼る米国人労働者の数が、不況が新たな失業者だけでなく、就労者にも痛みを与えている明確な兆しとして、彼らの労働時間と賃金が減るに従って急増し続けている。

While the increase in take-up is often attributed to the sharp rise in unemployment - which on Friday hit 9.7 percent - the Financial Times has learnt that some 40 per cent of the families now on food stamps have "earned income", up from 25 per cent two years ago.

経済の縮みの増加はしばしば失業率(4日の金曜日、9.7%を記録した)の急増につながるが、本紙はフードスタンプを受給中のサラリーマン一家の約40%が、それが「給与所得」となっていて、その比率が2年前の25%から増えていることを突き止めた。

The agriculture department, which runs the programme, attributes this rise to workers having their hours cut back.

フードスタンプを所管する農務省(USDA/U.S. Department of Agriculture)は労働時間の減少がフードスランプ申請の増加につながっているという。

"I'm sort of stunned, it seems like a dire warning...that even the jobs people are retaining in this recession aren't at the wage level and hours level that they need to provide for their families," said Heidi Shierholz, economist at the Economic Policy Institute.

「私は少し愕然としている、仕事を持った人たちでさえ彼らの家族を扶養するために必要な賃金と労働時間の水準にない不況の中に残っていることが怖ろしい警告のように見える」と米経済政策研究所のエコノミスト、ヘイディ・シエーホルツ(Heidi Shierholz)氏は言う。

The pace of outright job losses in the US has started to recede, prompting hopes that the labour market could be stabilising. Official figures on Friday showed that non-farm payrolls dropped by a better than expected 216,000 in August, but still marked the 20th consecutive month that the US economy has shed jobs.

米国の完全失業者数の増加は労働市場が安定し得るという期待が促進されることによって歯止めがかかり始めた。しかし、金曜日の公式統計によれば、8月の非農業部門の雇用者数の減少が21万6千人と予測されたよりは良かったものの、米国企業が雇用を減らしているため20ヶ月連続で減少している。

Less attention has been paid to those still in the workforce, whose incomes are also being squeezed. The average working week is now about 33 hours, the lowest on record, while the number forced to work part-time because they cannot find full-time work has risen more than 50 per cent in the past year to a record 8.8m. Wages and benefits have decelerated.

その統計には所得も圧迫されている労働者のことは、未だに雇用者数の減少といったことよりも注意が払われていない。平均週労働時間は最低記録の約33時間となり、その上、労働者はフルタイムの仕事を見つけることができないためにパートタイムの仕事を余儀なくされ、その数は昨年よりも50%以上も上がって880万人を記録した。賃金と手当ては減り続けている。

The food stamp data suggest that "the labour market problems are more significant than you would expect, given just the unemployment rate", said John Silvia, chief economist at Wells Fargo. "For me it suggests the consumer is not going to rebound or contribute to economic growth for the next year, as the consumer would in a traditional economic recovery."

フードスタンプのデータは「まさに失業率が示す労働市場の問題は予想されているより重大である」ことを示唆する、また、私にとって、そのことは、消費者が立ち直らない、すなわち消費者が旧来の景気回復のときのように来年の経済成長に寄与することはないことを示唆する、とウェルス・ファーゴのチーフエコノミストのジョン・シルビア氏は言う。

Consumer spending has traditionally been the engine of the US economy, making up about two thirds of GDP. Economists fear that people may be unwilling to resume that role.

個人消費支出は伝統的に米国経済の原動力であり。GDP(Gross Domestic Product=国内総生産)のおよそ3分の2を占めている。エコノミストたちは国民がその役割を担うことができないかもしれないことを恐れている。

Kevin Concannon, undersecretary for food, nutrition and consumer services at the agriculture department, called the increased enrolment of working families "very significant".

農務省の食品栄養消費者局(FNS/food, nutrition and consumer services)の担当次官は、サラリーマン一家の登録者数が増えていることは「非常に重大な」ことであると考えた。

Food stamps are distributed once a month on electronic cards that can be spent at many grocery stores. The $787bn stimulus bill added about $80 (Euro 55, Pound 50) to a family's monthly allowance, which now stands at an average $290.

フォードスタンプは多くの食料雑貨店で使うことのできる電子カードとして月1回給付される。7870億ドルの景気対策法により約80ドル(55ユーロ、50ポンド)が一家の毎月の手当てに加わったため、現在は平均で290ドルかかっている。
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関連サイト

米国の公的扶助制度
栄養補給支援(旧フードスタンプ)プログラム多国語版
育児介護食品プログラム多国語版

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2009.09.05

シティバンク、外貨TC発行手数料改訂

シティバンクのウェブサイトにトラベラーズチェック(TC)の発行手数料が10月から改訂される旨の記事が掲載されている。
日本の銀行のキャッシュカードを使って海外ATMから現金を引き出すことなんて考えられなかった時代の海外旅行には必須のアイテムだったトラベラーズチェック(TC)、今ではあまり使うこともなくなってしまった感がある。
従って旅行仲間内でもほとんど話題にならないし、私自身も海外送金をしようかと思ってウェブサイトにアクセスして初めて気付いたというレベルだ。

口座又はクレジットカードのステータス平成21年9月30日(水)まで平成21年10月1日(木)以降
非保有者購入総額の1%購入総額の2%
一般口座無 料購入総額の1%
シティゴールドプレミアム又はシティゴールド口座無 料無 料
シティカードジャパン株式会社発行の
シティプラチナカード又はシティゴールドカード保有者
無 料無 料

最近の旅行でTCを使って得をしたと思えるのは、昨年9月に行ったコルシカ島と今年のゴールデンウイークに行ったメキシコだろうか。
コルシカ島の郵便局はユーロのTCから現金化するときの手数料が無料だったし、メキシコでは円から直接ペソに換えるより、日本で円を米ドルのTCに換え、そこから現地でペソに換える方が得なくらい円のレートが悪かった。
今後、TCの利用方法として一番有効なのは、円高のうちにコツコツと外貨預金をし、円安局面で海外旅行を考える場合に、旅費として活用するのが一番だろうか。
要するに投資とは言わないまでもそういった知識を生かせない限り、今後TCを使うメリットを感じることはないように思える。
一般的には、素直に海外ATMから現金を引き出した方が楽でいいという結論になろうか。
但し、最近では海外ATMでの引き出しに手数料が別枠でかかるようになっているので、あまり細かい引き出しは得策ではない。

ところで、一部の旅行仲間が海外ATMからの現金の引き出しでなく、クレジットカードのキャッシングの方が帰国後に即返済すれば得であると書いているが、これは今後変わってくるだろう。
なぜなら割賦販売法の改正(与信管理規制の強化)によってクレジットカードのキャッシングに業者側の旨みがなくなってくるので、それを穴埋めするための手段を講じてくることは容易に想像がつくからだ。
例えば、三井住友VISAカードは、10月から国内キャッシングの翌月一括返済の取扱いを中止するという。
海外キャッシングは今のところ影響がないようだが、要は「利息を多く払わなければ(リボ払いをしなければ)国内でのキャッシングを認めない」ということだ。
今後、業者側はこういった手段を使ってくるようになるだろう。
逆に考えれば、私たちにはデメリットになる、というわけだ。

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2009.09.02

民主党怒涛の308議席、ついに政権交代

去る8月30日の総選挙で民主党が308議席を獲得して衆議院で第一党となり、来る16日召集の特別国会にて鳩山代表が首相に選出されることが確実となった。(関連記事:日系メディア BBC Financial Times/日本語訳版付
このことに関して詳しく書くのは別の機会にするとして、私が思うに、硬直した日本の政界でようやく民主主義国家としては当然とも言うべき「与野党の獲得議席逆転による政権交代」が実現したということが一番大きなことだと思う。

今まで自民党がどんなに悪政をやろうが、それに代わる野党がなかったことが、1955年体制以降、細川・羽田連立内閣の時期を除けば、55年間も政権交代がないという、世界でも稀有な存在であり得たのだ。
今回、民主党に投票した人の多くは、一度政権交代をした方が日本のためである、といった動機だろう。
私もたびたび書いているが、今までの選挙でも、たとえ野党の政策が不満でも、自民党の長期政権が官僚を堕落させ、政治・行政に緊張感を欠いたと信じているからこそ、彼らに入れてきた。
今回とて、民主党の政策に共感してというよりは、自民党の老醜議員を駆逐するための千載一遇のチャンスとみたからだ。

民主党の政策集にはいろいろ書いてあるが、自民党政権との一番の差異は情報公開になるだろうか。
当然ながら一般紙やテレビでは報道すらされなかったようだが、民主党の鳩山代表は5月16日の代表就任後の会見で政権交代の暁には官邸の記者会見をすべてもメディアに開放することを宣言している。
今週発売の週刊誌、夕刊紙が一様に「歓迎民主党」なのはそういった側面もある。
逆に、テレビ局が早速あら捜しを始めているなどと聞こえてくるのは、記者クラブ開放が彼らにとって割を食うからか。
また、閣僚就任が予想される顔ぶれを見ても、少なくともITがダメなどという老醜議員が大臣になるようなことは確率的に少なくなるだろう。
そういった意味ではITを使った電子行政が進むことも期待できるし、役所のウェブサイトに情報を載せるとオレの仕事(役所の情報をもったいぶって支持者に知らせること)がなくなる、などというバカな地方議員もいなくなるだろう。
理想を言うならばシンガポール並みになって欲しいとも思う。
それに、今まで無駄金ばかり使って役に立たない電子申請システムも、大臣自らが検証できるような人材がトップになれば、今後は改善されるだろう。

電子投票もそうだ。
現行制度下だと全国の自治体で選挙のたびに大量動員される公務員の人件費だってバカにならない。
例えば、電子投票先進国とされているブラジルは、国際経済的にはBRICsの一角を占めているが、未だにスラムなども多く、コンピューターなど知らない住民も多いだろうに、電子投票が全面的に導入されているのだ。
もはや、こういう時代において、自分の名前を自書してもらいたいなどと言って、電子投票法制に反対していた自民党の老醜議員にはお引取りいただくしかない。

一方、大きな懸念は、右派系の人ならずとも気になる外交と国防・治安政策だ。
奇しくも前回の細川連立政権のときの新生党代表幹事は現在の民主党代表代行の小沢一郎氏、彼が当時の社会党に国防政策の「踏み絵」をさせ続けたことが社会党の連立離脱を生み、仰天の村山政権誕生となっただけに、今回も同じ轍を踏まないとも限らない。
当時と今とではお互いの衆参両院の議員数は天と地ほども違うが、今回、民主党が社会民主党、国民新党と連立政権を組むのは、今の参議院の情勢を見据えたものだから来年の夏の参議院選挙まで小沢氏が社会民主党に我慢できるか、というのが大きなカギになるに違いない。

何と言っても連立相手の一つ、社会民主党の福島瑞穂党首は「警察官の拳銃使用は絶対反対。犯罪者と言えども人権はあるから傷一つ付けてはいけない。たとえ凶器を持った凶悪犯と言えども警察官は丸腰で逮捕に向かうべき。警察官がそれで殺されてもやむを得ない。無理に犯人を捕らえなくともいいのでは。」などとテレビで公言して、スタジオ中を仰天させた経歴の持ち主、民主党の隠れ極左議員ともども国防・治安政策のガンになりかねない。

それでも今は日本の政権交代を祝しておきたい。
その理由は最初にも書いたとおり、戦後60年以上たってようやく大正デモクラシー以来の複数政党制が機能することが立証できたからである。

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2009.08.12

新生イラクへ行った男たち

大前研一氏が「マネー力 資産運用力を磨くのはいまがチャンス!」という本の中で「40年間定期的にロシアを見続けてきた私ですら、ここ数年の劇的な変化は、正直想像できなかった。ましてや日本にいて日本人向けのメディアからしか情報を得ていなければ、思い描いていたイメージとあまりに差がありすぎて、言葉を失うのも無理はない。だから、自分の足で歩き、自分の目で現実を確かめることが大切なのだ。」と書いている。

今月の10日夜、東京都港区の麻布区民センターで行われたイラク帰国報告会&ディナール投資セミナーで、石田氏とライズインターナショナルの谷口氏が語っていたことはまさにこのことだった。
日本人が思い描くイラクは、フセイン政権打倒後の自爆テロや殺戮が繰り返されているといったイメージしかない。
私ももちろんそうだ。
現に、外務省の安全情報も基本的には「渡航の延期をお勧めします。」ということになっており、ビジネス渡航すらすべきではない、とのニュアンスが強く感じられる。

しかし、彼らは口を揃えて言う。
「自分たちが行った北部のクルディスタン地域(Kurdistan Area)は安全だったし、イスラム圏なのに女性が肌を見せて歩いていたり、大っぴらに外で酒を飲んでいたりとオープンな雰囲気だった。街にはバスすら走ってないだろうからバス会社をやれば儲かるのではないかと冗談を言っていたら、バスなんか至るところに走っていた。スーパーの品揃えは豊富だし、営業時間も遅くまでやっていた。ドイツ人や中国人、韓国人はビジネスでどんどん進出している。イラク人たちはとても親日的でたくさんの日本人にビジネスで来てもらいたいと思っているが、現実にはほとんどいない。日本人はほかの国の人に比べてアドバンテージがあるのに、チャンスを逃しているようで非常に残念だ。」
ただ、在日イラク大使館の情報では、現在日本人ビジネスマンがイラクへ行くには、査証取得に原則としてイラク政府機関からの招聘状(official invitation from Iraqi authorities)が必要で、その条件が変わらない限り、日本のベンチャー企業が進出するにはハードルが高そうだ。

日本がイラクとビジネス上の接点ができないことは今後の石油戦略上も影響を与える可能性もある。
対米従属を是とする日本の外交が大きな壁になることは承知の上で、私は田中宇氏の「国際情勢 メディアが出さないほんとうの話」という本の中で書かれている一節を紹介したい。
「WTI価格で売買されている石油量は、世界の取引全量からみればごくわずかだ」というベネズエラのチャベス大統領の言っていることが本当なら、今後も我々はバカ正直な属米政府の元で高い石油を買わされ続けることになるだろう。
もしかすると、今のイラクに恩を売ることは、国際戦略上、裏口から石油を買えるルートづくりにもなる可能性があるにもかかわらず、外交上それを放棄しているようにも見えるからだ。
日本政府は、せめて対イラク戦争で米国に協力させられた元を取ろうとか思わないのだろうか。

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国際石油市場は二重価格制?

WTIの「国際石油価格」は1バレル100ドル以上だが、世界の毎日の石油売買のうち、どの程度の割合がこの高値で取引されているかは不明だ。
アラブの産油国は昔から、イスラム諸国や非同盟の発展途上国に対し、安値で石油を売る傾向があった。
OPECは1960年に設立されたときから、発展途上国に安く石油を売ることが目的の一つだった。

現在でも、たとえば先日米上院で問題にされたことは、サウジアラビアがイランに1バレル20ドルという国際価格の5分の1で原油を売っていることだった。
国際政治の「一般常識」としては、スンニ派で親米のサウジと、シーア派で反米のイランとは犬猿の仲で、サウジがイランに超安値で石油を売ることなど考えられない。
しかし現実には、各王子が石油利権を分け与えられているサウジ王室の中には、反米的な王子もおり(王室内で親米と反米を演じる役割分掛をしている)、彼らは石油を安値で各地の反米イスラム勢力に売っており、イランはその一つらしい。
中南米では、ベネズエラのチャベス大統領が、周辺諸国に安値で石油を売り、反米の方に傾ける戦略を採っている。

中東のヨルダンは建国以来、パレスチナ人が反イスラエル化するのを防ぐための米英の傀儡国であるが、フセイン政権が倒されるまで、隣の反米産油国イラクから、石油をほとんど無償(野菜との物々交換)で受け取り続けていた。
イラクが混乱した今では、代わりにサウジから石油を安値(もしくは無償)で得ていると思われる。
国際社会では、産油国から非産油国への政治的な石油の安値供給が各地で行われている。

欧米系の国々や日本、韓国など、米国中心の覇権体制にぶら下がっている先進諸国は、法外に高いWTI価格で石油を買わざるを得ないが、そのほかの非米・反米の傾向がある国々では、政治的に設定されたもっと安い価格で石油を買える。
特に米軍イラク侵攻後は、ロシアのプーチン政権やイランのアフマディネジャード政権、ベネズエラのチャベス政権などが共同し、政治的な石油安値販売の戦略を強化し、サウジや中国も巻き込んで、世界的な非米同盟を構築し、米国の覇権体制を壊すことを狙っている。

つまり世界の石油業界は、世界の多極化に賛成する国は1バレル20ドル程度の「非米価格」で、米英中心主義にぶら下がり続ける国は1バレル100ドルのWTI価格で石油を売る二重価格制になっている。
おそらくWTIがいくら上がっても、非米価格には関係ない。
原油の採掘原価は、多くの場合1バレル10ドル以下なので、20ドルで売れば利益は十分だ。

世界の石油取引のうち、どのくらいの量が非米価格で、どのくらいがWTIで売られているかはわからない。
非米価格での石油取引は国家間の相対取引で、統計に全く出てこない。
だが、すでに述べたように、世界の石油生産の大半を非米・反米諸国の国有石油会社が持っているのだから、少なくとも世界の石油取引の半分ぐらいは非米価格で売られている可能性がある。
以前ベネズエラのチャベス大統領は「WTI価格で売買されている石油量は、世界の取引全量からみればごくわずかだ」と発言していた。
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2009.07.31

サラ金規制の功罪

2010年(平成22年)6月までに改正貸金業法が完全実施されることになっている。
これらの概要については、日本貸金業協会の改正貸金業法に書かれているが、「総量規制の導入」「上限金利の引き下げ」の二つは一見すると借り手の保護につながるように見えるが、別の観点から見ると、そうは言い切れないことがわかる。
改正法の概要を読むと、一つの会社からの借入残高が50万円を超えるか、複数の会社からの借り入れ残高が100万円を超えることになる場合は、年収を証明する書類を提示しなければならず、年収の3分の1を超える借り入れはできなくなると書かれている。
つまり、今の時点でレッドゾーン入りしている債務者は改正法施行後はサラ金から返済を強く迫られることになるだろう。

今まででさえ、借り手が中小のサラ金の門をくぐるときには、すでにレッドゾーン入りしているわけだから、今後は法律を守っている限り、中小のサラ金は融資ができないということになる。
また、平成19年版の「消費者金融白書」にもあるように、上限金利の引き下げで、リスクプレミアムのなくなったサラ金の経営は悪化し、大手のサラ金はともかく、中小の合法金融がバタバタと廃業することになると予想されている。
そもそも金利は債権回収の困難な度合い(リスク)を表しているとも言えるのだから、債権回収という仕事が日陰者扱いされ、法的なバックアップもほとんどない状況の日本では、暴利の禁止とともに債権回収をやりやすくすることも抱き合わせで行うことが必要だ。
そうでなければ、合法業者が消えたあとにはヤミしか残らなくなる。
ここではサラ金のことを取り上げているので関係ないや、という人も多いだろうが、奨学金などの公的融資の焦げ付きが多いのも、離婚裁判や慰謝料の請求裁判後の債権回収が順調にいかないことが多いのも根は同じなのだ。

ところで「ワルの金儲け銭ゲバ術」という本によれば、レッドゾーン債務者を相手に、最近儲けているのが「カード換金屋」だそうだ。
これは、換金屋に来た客に最寄りの旅行代理店に行かせて、クレジットカードで新幹線の回数券などの換金性の高いものを買わせ、それを8掛けで買い取るといった形で、実質的に融資を行うものだ。
その買い取った金券は正規の金券ショップに売却して利益を得るという仕組みだ。
ちなみに、クレジットカードでのショッピングは貸金業法が適用されないので、レッドゾーン債務者でもOKということらしい。
よく考えると彼らがどうやってクレジットカードの審査に通るのか不思議ではあるがね。
もっとも、これが使える使えないにかかわらずレッドゾーン債務者は泥沼の一途を辿るわけだが、そういった意味では貸金業法の改正も彼らにはほとんど役には立たないだろう。
ただレッドゾーンの男がすべてを真っ白にするなら偽装養子縁組か妻氏での婚姻、こういうのも多いのだろうな。

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「5社に1社が撤退検討」19年版消費者金融白書 (2007.11.2 産経新聞)

日本消費者金融協会(JCFA、木下盛好会長=アコム社長)が2日まとめた平成19年版の「消費者金融白書」で、5社に1社が消費者金融からの撤退を検討していることが分かった。
回答があった47社のうち「会社を売却して撤退」と「債権を回収してから撤退」と答えた企業数の合計は19.2%に上り、18年調査の5.6%から大幅に上昇した。
出資法の上限金利引き下げで、消費者金融会社の厳しい経営環境が改めて浮き彫りになった。

白書によると、上限金利引き下げの決定に伴い利息返還請求に基づく19年3月期の支払額は、1402億円と前期に比べて941億円増加した。
経営を圧迫する要因として、95.8%が「利息返還請求の増加」を挙げ、「貸し付け総量規制の導入」(83.3%)、「貸し付け上限金利の引き下げ」(79.2%)が続いた。
同日会見した木下会長は、「経営状況が悪化していることが如実に表れている。
ここ1、2年で会員数も大幅に減っている」と語り、業界の取り巻く環境が急速に悪化していることに懸念を示した。
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そして、小口金融に対する政府の無策が「ヤミ金融対策の強化」という理念とは裏腹に彼らを増長させることになっていることは、当の金融業者も認めている。
夏原武氏の書いた「ザ・闇金融道」の最後に某金融業者の話としてこう書かれている。
「わたしらが一番恐れていたのは、不景気だから、銀行あたりに命じて、個人融資の低利を徹底させるとか、信組や信金に個人枠を行政命令でやらせるといったことでね。そんなのやられたら金融屋はアウトだからね。ところが銀行にドカンとつぎ込みはするものの、個人には回さないというやり方でしょう。万々歳ですよ。金融屋としては、いまの状況ができるだけ長く続いてくれることを祈ってますよ。小泉さんにはできるだけ長く政治をやっていてほしい。いや、ほめ殺しなんかじゃないですよ、心底そう思ってるんだから。」
ヤミ金業者が手放しで喜んだ政府の金融無策、それは次の総選挙で民主党が政権を取っても変えることは難しいだろう。
私が思うに、銀行が保有している住宅ローン債権の焦げ付きの増大が不安視される中で、個人向けの低利融資などという新たなリスクを負うとはとうてい考えられないからだ。
そして、近い将来、日本版サブプライムローン問題が炸裂したとき、果たして政府は溢れかえる破産者を前に有効な施策を取ることができるのだろうか。

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不況のおかげでますます暴走する恐怖ビジネス

去年(2001年)の四月ね。わたしら乾杯したんですよ。小泉政権誕生ですよ。いや、別に自民党の支持者でもないし、小泉ファンでもないですよ、関係ないもの。
そうじゃなくて、あの『痛みを伴う改革』ってやつに喜んだわけ。痛みってなんですか。要するに不況でしょう。経済が上向きません、と政府がはっきり言ったんでしょ。ということはリストラも転職も減給も続くわけです。

ほんの一年前に政府はなんていいました。覚えてます?
税金負けてやるから家を買えといったんですよ。そう、住宅ローンの大奨励を行ったんですよ。
ところが一年で『痛み』ですからね。住宅ローン抱え込んだ人はどうなります。
もしリストラされたら、給料が下がったら、ボーナスがカットされたら。支払いが滞りますよね。
でも、せっかくの家を手放したくない。そうなれば、それを補給するために借金するでしょ。
ということはわれわれが儲かるということです。
風が吹けば桶屋が儲かる、なんてのよりずっとわかりやすいでしょ。
実際、東京じゃあ小泉政権誕生で、登録業者は増えてるし、全国的に見ても高利が増加してるじゃないですか。これが現実というもんですよ。

わたしらが一番恐れていたのは、不景気だから、銀行あたりに命じて、個人融資の低利を徹底させるとか、信組や信金に個人枠を行政命令でやらせるといったことでね。
そんなのやられたら金融屋はアウトだからね。
ところが銀行にドカンとつぎ込みはするものの、個人には回さないというやり方でしょう。万々歳ですよ。
金融屋としては、いまの状況ができるだけ長く続いてくれることを祈ってますよ。
小泉さんにはできるだけ長く政治をやっていてほしい。いや、ほめ殺しなんかじゃないですよ、心底そう思ってるんだから。

金融がね一番困るのは、世の中が安定してるときですよ。ふつうに働いていけばだんだんと給料も上がっていく、なんてのが一番困るんです。
つまりね、急場の金でしょ、われわれが扱ってるのは。
だから、急場を作ってくれるような経済状況が一番なんですよ。それがいま実現されてるんですから。

不良債権処理だってそうじゃないですか。
われわれが不良債権を手に入れた場合、泣くのは誰ですか。銀行だけでしょ。
そして、適正な価格で再び市場へと流れ出していく。こういうのこそ不良債権処理と呼ぶのにふさわしいと思うんですがね。

国民の税金を大量に投与しても減るどころが増えてる不良債権なんて、いかさまでしょう。紅茶きのこじゃないんだから。ちょっと古いか。
これからね、ますます急場の金がいる人、増えるでしょうね。
そういう意味ではいいんだけど、回収できないケースも増えてくるわけですよ、当然ね。だから業界内でも淘汰が起きるわけで、それもまたプラスなんです。
業者数がいまちょっと多過ぎますからね。もう少し減ったほうが効率が良くなる。

ちょうどあれですよ、サラ金地獄の後に出資法や利息制限法が改正されて、中堅ぐらいのサラ金がバタバタつぶれたでしょ。同じですよね。
でも、そのおかげでっていうの変だけど、サラ金業界は少しはまともになったわけでね、
狂ったように貸し付ける競走もしなくてすむようになった。だからその分、企業としての体をなすようになったわけじゃないですか。それがもっと広く起きると思ってるんですよ。

現場にいるとね、政府の言ってることなんて的外れにしか感じませんね。
やれ株価がどうした市場がどうしたなんて言ってるけど、最末端の金融業者の動向なんて歯牙にもかけないでしょう。
でもね、そこでこそ本当の経済が動いているわけだし、その状況が好転しない限り経済全体の状況も好転したとはいえないんですよ。
ま、難しいことはよくわからないけどね、いまの状況が続く限り、金融業者はわが世の春を楽しむことになる。わたしはそう思うね。
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2009.07.05

社畜.com

最近の人気アクセスサイトに社畜.comというのがある。
「社畜」とは、作家の佐高信氏の著書で多く見られた言葉で、「サラリーマンが会社の家畜化している」という意味で、大企業や官公庁において従業員が人格まで支配される構造を指しているのだが、これに加えて、彼はオウム真理教による地下鉄サリン事件(テロ)の当時、大企業はそれぞれが個々の宗教団体と変わらない存在で、社長は教祖、そこの社員はそれぞれの教祖の教えを守る企業教徒であり、また、社宅はサティアン(satyam)とも言っていた。
私はこの社畜というのは終身雇用制下の遺物と思っていたのだが、どうもそうではないらしい。
要するに、未だに社畜という言葉が亡霊のように残っているのは、終身雇用制の崩壊が労働市場の流動化からきているものではなく、従来の終身雇用制下における従業員奴隷化システムを温存したまま首切りだけを容易にするシステムに変わったがための所産なのだろう。
ちなみに、先月末に日本生産性本部から発表された「平成21年度新入社員「働くことの意識」調査結果」の中で、「デートか残業か」では「残業」(82.8%)が「デート」(16.6%)を大きく上回り過去最高の開きとなった。男女別に見ると「残業派」が男性78.6%、女性88.4%と、女性のほうが仕事を優先する傾向が強い、という眉唾ものの調査結果が本当だとすれば、ますます日本の正社員の社畜度はアップするに違いない。

さて、社畜.comの設問内容だが、このコンテンツに作者の意思が入っているのは仕方がないとしても、概ね社畜度を測るには正しいように思える。
参考までに私の場合、「はい」に該当するのは「ここ数年給料が上がっていない」「通勤時間が往復1時間以上である」ぐらいなものだ。
これが社畜と何の関係があるのか、とも言いたいところだが、私は確固たる信念を持って社畜化しないように努力しているのだから「はい」が全くなくとも当然と思える設問ばかりだ。
この設問の中にはないが、私に言わせれば個人的趣味である読書やゴルフでさえ、仕事にしかリンケージさせていない人は典型的な社畜だ。
重ねて言っておくが、私のウェブサイトの旅行記を見て、私と同じ職場にいれば、オレだってなんて思うのは大きな間違いだ。
この社畜.comの設問で15問(半分)以上が「はい」のような場合は、職場環境もさることながら、自分自身が社畜オーラを放っているのだから自分から変わろうとしなければダメだ。
会社ムラから生還せよ―大リストラ時代のサラリーマン自立道」の著者である設楽清嗣氏は言っている。
「サラリーマン諸君、泣き寝入りをやめて、大地を踏みしめる足がふるえようとも、みっともないスタイルでも、ともかくファイティング・ポーズをとろう。うちのめされても、一発ぐらいは反撃のパンチを打ってみよう。そこから新しい世界が見えてくるのだから」

それとこれは私からのアドバイスだが、これから持ち家をしようという人は、そのことを親しくもない上司や会社の人事担当セクションの人に言ってはいけない。
もちろん、「言うな」という意味は、融資を受けたり、年末調整のときに申告することも含んでいる。
持ち家を会社に知られることは、一種の奴隷化宣言と同じで、何をされても文句は言わずに働きます、と言うようなものだからだ。
今はあるかどうかわからないが、持ち家をした途端に転勤になって、遠距離通勤や単身赴任を強いられるのは決して偶然ではない。
会社やその系列の金融機関から融資を受けることが余程のメリットがあるなら止めはしないが、何のしがらみのないところから融資を受けているのに年末調整で住宅ローン控除を申告する(会社に持ち家を報告する)なんて愚の骨頂だ。
年末調整はあくまで確定申告の代替機能でしかないし、今やサラリーマンの還付申告ぐらいは国税庁のウェブサイトで簡単にできるのだからそちらを使うべきだ。

ちなみに、源泉徴収(withholding)は相当する英訳はあっても、年末調整というのに相当するものはないだろう。
だいたい会社の人事給与セクションが税務署の代行機関として無料奉仕していることがおかしいと、企業側から声が上がらないというのは、会社が社員のプライバシーを掴むことが、ものすごくメリットがあることとしか思えないのだ。
それに社畜.comもブラック企業.comも余程日本のエスタブリッシュメントには不都合なサイトなのか、検索サイトのトップにきてもいいはずが、実際のところこれらのサイトは各々のブログからアクセスしないとならないことが多い。
まさに日本の現実を垣間見ているとはこのことだ。

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2009.06.14

1000円高速で得をしたのは誰か

麻生内閣が景気対策の目玉の一つと豪語した1000円高速(今年の3月28日から平成22年度までの2年間の期間限定で地方の高速道路を利用した場合の有料道路料金が上限1000円となる割引制度)で得をしたのは誰か。
それはもちろん国民だよ、ドライバーにとって恩恵大じゃねえか、と言う声が聞こえて来そうだが、それはNO税者(所得税・住民税を払ってない人)に限って、というのが正しい。
第一、18歳以上の国民全員がドライバーではないし、非ドライバーの納税者は実は大損である。
要するに、定額給付金と同じで、多くの納税者は麻生首相と金子国交相を始めとする自民・公明連立内閣の面々にバカにされているのだ。

なぜか?
下の記事をよく読んで欲しい。
「2010年3月期の(高速道路各社の決算の)見通しは、地方圏の休日(土日祝日)通行料を上限1000円とする大幅割引が年間を通して反映される。料金収入の増加は見込めず、減収分を国が穴埋めしても、最終利益は東日本が53.9%減の35億円、中日本が54.2%減の37億円、西日本が60.3%減の23億円と、3社とも大幅な減益を見込む。」
「高速道路1000円で苦境に陥った南海フェリー(本社・和歌山市、和歌山港-徳島港)の支援策として、和歌山、徳島両県が自動車運賃割引のために1億円ずつを上限に拠出することを決めた。」

この高速道路各社の減収分の穴埋めというのは誰がするのか、フェリー会社救済のための地方自治体の拠出金というのは最終的に誰が払うのか。
そのうち、高速バス会社や貨物輸送会社にも補助金を出す、となるのは火を見るよりも明らかだ。
それを考えたら、休日に1000円で旅行できる、なんて浮かれていることができるのか。
おまけに1000円高速の恩恵にあずかるためにはETCを搭載しなければならない。
このETCを付けるために払った金は誰にいくのか考えてみるといい。
ETCを推進する財団法人・道路システム高度化推進機構の理事長はトヨタ自動車会長の張富士夫氏、専務理事(筆頭常勤役員)には元国土交通省北海道局長の村岡憲司氏、常務理事として元国土交通省大臣官房総括監察官の石原孝氏が就任している。
ちなみに、平成20年10月1日現在の役員名簿の中で民間出身の非常勤理事の肩書きが今では消えている。
おそらく官民癒着の財団であることが赤裸々になるので、○○会社社長とか顧問とかいう肩書きを消したのだろう。
そして、ETC搭載のために助成金が出ているが、その原資は税金、最終的な受け取り手は誰か併せて考えて見るといいだろう。

景気対策と称して、2年間限定の1000円高速などという姑息な手を使うなら、民主党が主張するように高速道路をフリーウェイにすべきだろう。
もし、そうなれば収益源がなくなるのだから、小泉政権が改革と称して作った天下り官僚救済(マスコミや国民の特殊法人バッシング回避)のための怪しげな国策道路会社など必要ない。
今やこれらの国策民間会社は、直接の国政調査権も及ばず、株主が国だけなので、法的なチェック機能はなきに等しい。
私に言わせれば高速道路政策は国策として最後まで責任を持つのが筋だし、国会で道路建設の必要性を議論されるべきだ。
それに国策として高速道路がフリーウェイということならば、民間交通や地方自治体も、それに即して最初から対応するだろう。
(現行制度の下でも、全国料金プール制により、高速道路ネットワーク全体について償還が完了した時点で、全路線を無料開放することになっているが、実質的に有名無実化している)
少なくとも高速道路政策のせいで高速バス会社や貨物輸送会社が苦境に陥ることにはなるまい。
それに、フリーウェイになれば少なくとも料金徴収所と各種のETC推進財団(官民癒着の温床)は不要になるだろう。

この1000円高速という愚策の意図するところは、昨年のリーマンショック以降、自動車各社が経営危機に陥ったことに対して、国民に無理やり車を買わせるというものが当然にあるだろう。
しかし、こんな形で景気浮揚をはかったところで、その損失は計り知れないほど大きいものになるに違いない。
第一、片方で環境政策(CO2削減)と言いながら、もう片方で渋滞した道路で排ガスを撒き散らすような推進策を取ること自体が笑止千万である。
1000円高速が始まった当初、数人のブロガーが「休日の渋滞も織り込み済み、GWやお盆に比べればなんてことない」などと書いていた。
もし、そんなことを多くのサラリーマンが思っているなら、次の総選挙でどちらの政党が政権を取ろうとも、誰が会社の経営者になろうともサラリーマンがこき使われ、バカにされ、毟り取られ続けることに変わりはないだろう。

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南海フェリー:和歌山、徳島県が支援 高速1000円に対抗、各上限1億円 (2009.6.12 毎日新聞)

「高速道路1000円」で苦境に陥った「南海フェリー」(本社・和歌山市、和歌山港-徳島港)の支援策として、和歌山、徳島両県が自動車運賃割引のために1億円ずつを上限に拠出することを決めた。
全国初の取り組みという。
両県は「国策による悪影響は、国が面倒をみるべきだ」と主張しつつ、全国でフェリーの航路廃止が相次ぐ中、予算化に踏み切る。夏休み時期をめどに実施する方針。

3月から高速道で和歌山市-徳島市間は、最安ルートで2700円になった。
これに対し、同区間のフェリーの普通車料金は9300円がかかる。
南海フェリーによると、今年4~5月の土日・祝日は、対前年比30%の減収。
経費減などで黒字は維持してきたが、「航路存続の危機」と訴える。

両県は、二酸化炭素排出削減効果や競争条件の平等に加え、災害時の支援ルート確保の観点から航路維持が不可欠とする。
条件として、両県いずれかの宿泊客が割引対象▽期間は夏休みを含む半年間程度▽普通車料金は現在の半額程度以下-などを軸に、両県と南海フェリー、国で詰める。

和歌山県の仁坂吉伸知事は「国がすべきだと抗議してきたが放置できない」、徳島県の飯泉嘉門知事は「フェリーの維持で(防災など)多くの目標が達成でき、国にも対策を要望する」と話している。
国交省内航課は「今回自治体に出した交付金の使途として、フェリー支援を推奨している。国も省エネ策などに補助する」としている。【最上聡、岸川弘明】

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高速道路3社連結 今期も続く2けた最終減益 (2009.6.10 FujiSankei Business i)

高速道路3社の2009年3月期連結決算
会社名営業収益営業利益最終利益単位:億円

カッコ内は前期比増減率%
東日本8,730 (-7.0)103 (-7.7)76 (-11.9)
中日本7,917 (+6.7)117 (-34.5)80 (-25.7)
西日本8,067 (-12.3)78 (-19.2)58 (-24.2)

東日本、中日本、西日本の高速道路3社の2009年3月期連結決算が9日、出そろった。景気低迷やガソリン高騰などによる通行量が減少した上、深夜や早朝割引の実施などで、前期比で3社とも2けたの最終減益となった。
通行量は、東日本が1.9%減、中日本が3.0%減、西日本が1.0%減。料金収入も東日本が4.9%減、中日本が7.7%減、西日本が6.2%減と落ち込んだ。2005年10月に旧道路公団から分割民営化されて以降、各社とも初めての減少。3社の中で唯一、増収となった中日本は、日本高速道路保有・債務返済機構に売却した収入を計上したため。
2010年3月期の見通しは、地方圏の休日(土日祝日)通行料を上限1000円とする大幅割引が年間を通して反映される。
料金収入の増加は見込めず、減収分を国が穴埋めしても、最終利益は東日本が53.9%減の35億円、中日本が54.2%減の37億円、西日本が60.3%減の23億円と、3社とも大幅な減益を見込む。

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バス協会「高速千円」拡大に反対 渋滞激しく利用急減 (2009.6.3 朝日新聞)

全国のバス事業者でつくる日本バス協会(会長・堀内光一郎富士急行社長)が3日、国土交通省が検討している高速道路料金「上限1千円」の割引拡大に反対する方針を決めた。
ゴールデンウイークに高速バスが渋滞に巻き込まれて大幅な遅延が相次ぎ、利用客が減少したためだ。

協会は2280事業者が加盟。3日開いた高速バス委員会で決めた。
近く、高速道路割引の拡充中止と渋滞緩和策の検討を求める要望書を同省に提出する。
協会によると、今年4月24日~5月6日の主要路線の高速バス利用者数は前年比で平均6~7%減少。
渋滞では所要時間が2倍以上になる例や到着が10時間遅れた例もある。
協会は「公共交通の機能がマヒし、経営努力の及ばないところで利用者の利便性を損ねている。環境保護にも反する」と訴えている。

割引は3月からETC車を対象に実施し、土日祝日の高速料金を上限千円にしている。政府の景気対策の目玉の一つ。
金子国交相は「経済効果が出ている」として、お盆や年末年始の平日への拡大を検討している。(渡辺淳基)

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JR西日本の収入大幅減 高速割引や新型インフル影響 (2009.6.2 朝日新聞)

JR西日本は2日、4月1日~5月24日の運賃収入が前年同期比8.5%減になったと発表した。主に新幹線を扱う福岡支社管内は同9.3%減だった。
同支社は「過去にない減少幅。景気低迷に加え、高速道路料金の割引と新型インフルエンザの影響が大きい」と説明している。
期間中の福岡支社管内の輸送人数は、博多-小倉駅間が同7.5%減、小倉-新山口駅間が同7.6%減だった。
政府は高速道路割引を土日祝日だけでなく、8月のお盆や年末年始の平日に拡充することを検討している。
嶋哲久支社長は「影響は大きいが、鉄道の良さ、新幹線の高速性を分かってもらう努力をする」と話した。
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2009.06.03

真の強気相場の始まりか

今年に入って世界の株式市場の騰勢が続いている。
ベアマーケット・ラリー(bear-market rally: 弱気相場における反発局面)かと思われた相場が意外な強さを見せている。
ブルームバーグニュースによれば、S&P500種が12カ月以上200日線を下回る水準で推移した後にこれを上抜けした過去5回の例では、同指数はその後12カ月で平均21%の上昇となったという。
つまり、今までもかなりの上昇を記録しているが、さらなる上昇余地があることを過去のデータは示している。

どうやら私が2月22日に半ば冗談で書き記した「新春オフ三昧で株価上昇のジンクスは生きているか」というのが生きていたようだ。
もちろん、今後どうなるかはわからない。
春の宴で終わるのか、今年の上半期が格好の買い時であったと言えるのか。
ただ、5月の豚インフルエンザ騒ぎでも株式市場が息切れせずに上昇し、GMの破綻も織り込み済とあらば、しばらく相場の下落要因は見当たらないとも言えようか。
9月の5連休に向け、長期投資を見据えながら、短期的な小遣い稼ぎもしてみよう。
夏のボーナスを会社が支給してくれないというならば、株式市場に支給してもらおうではないか。

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S&P500種が200日線超え-2007年10月以降の弱気相場終えんか (2009.6.2 ブルームバーグ)

6月2日(ブルームバーグ):S&P500種株価指数が1日、 200日移動平均線を超え、強気シグナルを出した。
前営業日までは523日連続で同平均線を下回る水準で推移。その期間は1930年代以降最長となっていた。
ブルームバーグの集計データによると、1日のS&P500種は前週末比2.6%高の942.87で取引を終了。終値ベースで過去200日間の平均(926.89)を上回った。

ハリス・プライベート・バンクとモルガン・アセット・マネジメントによると、200日線超えは2007年10月に始まった弱気相場の終了を意味する可能性があり、過去3カ月で39%上昇した同指数の上昇余地が広がったことを意味する。

ハリスの最高投資責任者(CIO)ジャック・アブリン氏は「200日線超えは素晴らしいシグナルであることが証明されている」と指摘。「多くの投資家が強気シグナルと受け止めるだろう。S&P500種の組み入れ率を高める根拠とする公算が大きい」との見方を示した。

投資調査会社ベスポーク・インベストメント・グループ(Bespoke Investment Group)やブルームバーグの集計によると、S&P500種が12カ月以上200日線を下回る水準で推移した後にこれを上抜けした過去5回の例では、同指数はその後12カ月で平均21%の上昇となった。

「真の強気相場」

5回のうち最も大幅に上昇したのは、米経済が1年4カ月のリセッション(景気後退)を脱した1982年。ベスポークの集計によると、S&P500種は同年8月23日、374日間にわたり下回っていた200日線を上抜け。その後の1年間で40%上昇した。
一方、S&P500種が200日線超えした後で12カ月の騰落率がマイナスとなったのは2002年1月の1回だけだった。
S&P500種が最も長期間(838日)にわたり200日線を下回っていたのは1930年4月-1932年8月。その後12カ月の騰落率はプラス40%だった。

モーガン・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、ウォルター・ヘルウィグ氏は「S&P500種が200日線を突き抜け、それを上回る水準にとどまれば、最悪期を脱したことが立証されるだろう」と指摘。
「そうなればベアマーケット・ラリー(弱気相場における反発局面)ではなく、真の強気相場ということになる」との見方を示した。

原題:S&P 500's Rise Past 200-Day Average Signals Gains
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2009.05.31

日本のお寒い電子政府の実態

ここ1、2年、e-Taxが脚光を浴びているが、日本政府の掛け声とは裏腹に電子政府なるプロジェクトの現状はお寒い限りである。
それゆえ、政府が無理やり電子申請システムを使わせようとしているが、すべてがオンラインで完結しないということが大きな障害となって利用率はあまり芳しくない。
その典型が、2006年度(平成18年度)末で休止に追い込まれた旅券(パスポート)の電子申請システムで、そもそもパスポートの申請に必要な住民票や戸籍抄本がオンラインで取得できないのだから、原則として10年に一度しか申請が必要のないパスポートの電子申請などする人がいなくて当然である。(利用者視点に欠けていた行政サービスの実例-パスポートの電子申請
ちなみに、e-Taxについては年々使い勝手が良くなってきているので、私はそれなりに評価したいと思っているが、使った人に対するインセンティブが足らないことは常々言っている通りだ。

ところで、電子政府の総合窓口なるポータルサイトが日本にもあるようだが、個人がいろいろな申請をしたり、証明書を取ろうとする場合は、今のところほとんどが居住地の市(町村)役所の窓口へ行くか郵送するかのどちらかとなる。
政府が多額のコストをかけて住民基本台帳カード(いわゆる諸外国でいうIDカードの一種)を作ってもその利用率がお寒い限りなのは個人がそのメリットを感じられないからだろう。
私に言わせれば、写真のない健康保険証を本人確認の書類にするぐらいなら、写真付きの住民基本台帳カードを無料で配布して、運転免許証などがない人は、それをIDカードとすべきとも思うのだが、そういう政策実行力も日本政府にはない。
そもそも他の市町村に引っ越した場合は、カードを作り直さないといけない、ということ自体がナンセンス以外の何物でもないし、外国人居住者は適用対象外だ。
今回の定額給付金の支給にしても住基ネットワークシステムを利用すれば、それこそ全国どこにいても申請が可能だし、住民登録が違うところにあるネットカフェ難民や、DV被害者への支給問題も生じなかったはずだ。
政府自らがその利用を放棄しているようなシステムなど存在価値があるのだろうか。

一方、地方自治体における証明書の取り寄せのためのオンライン利用のほとんどが、ウェブサイトから申請書類をダウンロードして印刷し、それに書き込んだ上で現物を郵送という形を取っている。
決済(手数料)はどうするかと言えば、郵便局で定額小為替を買って同封しないといけない。
ちなみに、この定額小為替は郵便局の窓口でないと買えないし、料金は郵政民営化に伴って10円から100円に値上がりした。
例えば、300円の住民票を郵送で申請するためには、最低でも住民票の発行手数料とほぼ同額(260円=往復の郵送料含む)かかることになる。
今では、ほとんどの地方自治体が証明書を電子化していると思われるが、この双方向のやりとりと手数料の決済をすべてオンラインで完結できるようにすれば、少しでも個人がメリットを感じられるようになるだろう。
人口が全国で500万のシンガポールと、1億2千万人を超える日本を一概には比較できないが、少なくとも都道府県、政令市単位でシンガポール居住者用のポータルサイトであるMyeCitizenのようなものを作ることは難しいのだろうか。

また、現在、国や地方自治体は納税などの決済方法としてペイジー(Pay-Easy)を使っているが、これは店舗を構えた銀行しか対応していないし、外国居住者は実質的に利用できない(日本に銀行口座が持てない)ことが多い。
そこで、PayPalのビジネスアカウントを地方自治体が決済方法として加えることはできないのだろうか。
これなら申請者がe-mailアドレスを持ってさえいれば決済できるし、もちろん、外国居住者が戸籍謄本などを申請する場合でも対応できる。
それに、大したことではないが、申請者にとってはクレジットカードのポイントも溜まるという隠れたメリットもある。
いずれにせよ、決済方法が今のままでは、電子申請の環境が整っても外国居住者にとっては使いずらいものになるだろう。
グローバル社会が到来した今、日本居住の日本人のためだけのシステムという考え方では、せっかく作ったものも使い勝手の悪いものになるに違いない。

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2009.05.23

漢方薬の銀翹散(Yin Qiao San)は豚インフルエンザに有効なのか

銀翹散(Yin Qiao San)

ついに日本でも豚インフルエンザが大流行(outbreak)し始めた。
最も感染防止に力を入れていたはずの日本が、北米諸国以外では最悪の感染者数を記録したのは皮肉以外のなにものでもない。
もはや感染しない方法云々を言うより、不幸にして感染したら、というところに主眼を置いた方がいいだろう。
ここでHow to Avoid Swine Flu Pandemic Panic(どうやって豚インフルエンザの世界的流行の恐怖から逃れるか)というものがあったので紹介しよう。
その記事の中にあったのは、ステップ4の

Use the antiviral formula Yin Qiao San if you plan to travel by airplane or to a place where there is a flu breakout. Contact a Traditional Chinese Medicine practitioner for that formula. The advice I was given is to use it the entire time of travel plus five days after returning home.(もし、あなたが飛行機で旅行を、あるいは豚インフルエンザが流行している地域への旅行を計画しているなら抗ウイルス薬として処方される銀翹散を使うこと。その処方のために伝統的な漢方医師とコンタクトを取ること。私のアドバイスは旅行中、及び帰国後5日間はそれを服用すること。)

とあった。
彼らのいう銀翹散(Yin Qiao San)という漢方薬(herbal medicine)がどれほどの効き目があるかはわからない。
しかし、今のところ弱毒性と言われている豚インフルエンザの予防薬として、この漢方薬が効き目があるのであれば、海外出張や旅行の際には現地で買い求めることができるのではなかろうか。
ただ、漢方医師の処方箋が必要となれば、そう簡単には入手できないだろうが、パナドール(Panadol Cold & Flu)という解熱鎮痛剤のように薬局で簡単に手に入るレベルであれば、アジア諸国や華僑のいる地域なら入手できる可能性もあるだろう。
どなたか現地の漢方薬局で聞いてみてはいかがだろうか。
ちなみにパナドールはOnline Pharmacyなどで、銀翹散はHealth Factor Online Shopなどのウェブサイトを通じてオンラインで購入できるようだが、2009年6月1日施行の改正薬事法の規定がこうした外国サイトにまで及ぶかどうかについては検証していない。

ところで、今や日本では関西方面は言うに及ばず、関東でも発症者が出始めたことに国民はパニックの様相を呈している。
電鉄会社や銀行、スーパーなどの企業は社員に対し、売り切れ続出で在庫がないことを知りながらマスクを買うことを要求している。
マスクをすることが感染防止に役立つかどうか疑問視されている中で、社員にそうさせることは、彼らの本音が社員の健康を気遣っているのではなく、自社の社員から発症者が出たときのクレームパニックを恐れているのだ。
賢明な人ならばわかるだろうが、社員の健康を気遣うような企業ならば社員を使い捨てするような態度は取らないはずだ。
それゆえ社員にマスクをさせ、感染を防ぐために努力していたというエクスキューズは日本においては最も重要な組織防衛の一つなのだ。
私はアメリカ・メキシコ旅行から帰国後の自宅待機明けに出勤した初日、職場の上司から一週間はマスクを着用するように言われ、そのことを仄めかされたので、それが企業や役所の本音であることはほぼ間違いない。

事実、私の上司が恐れたように、神戸ではバレーボール大会に出た高校生たちが戦犯扱いされ、関東ではニューヨーク帰りの高校生が通う学校関係者がバッシング(bashing)を受けているらしい。
パンデミック(pandemic=世界的大流行)の危機と言われている事態に、たまたま感染被害者となっただけの数人の高校生とその関係者を詰る低レベルな輩に吐き気すら覚える。
そもそも外国に行きさえしなければ感染しないなどという発想が貧困過ぎるし、誰がどこで感染したかなどわからないから各国の医療関係者が苦しんでいるのだ。
私に言わせれば、ゴールデンウイークの最中に、各企業が北米各国から強制帰国させた人たちが潜在感染者でなかった保証はどこにもない。
彼ら駐在員とその家族は、偏執症的な(paranoid)清潔観念を持つ内地のひ弱な日本人よりも病気に対する耐性があるだろうし、今の豚インフルエンザが弱毒性と言われているほどのものなら、余計にその可能性はあるからだ。

そして、不幸にして豚インフルエンザに感染した場合の行政・医療関係者の対応はもはや臨界点に達しようかというレベルとなっている。
私も帰国後10日間(今では7日間)は、何かあったら発熱センターへ連絡しろと管轄の保健所から連絡があったが、当時ならともかく、ここまで国内で感染者が出ている状態だと電話もつながらないだろう。
それではいきなり病院へ駆け込むか。
メキシコやアメリカでは、そうしろと書かれているが、日本ではそうしないでくれというのが公式見解となっている。
今後はそれも変わってくるだろうが、患者が増え続けた場合は、病院でもパニックになるに違いない。
タミフルの備蓄は十分にあるとのことだが、弱毒性と言われている今でさえ、このような状態だと、それが突然変異して鳥インフルエンザや、SARSのようになったときには日本はどうなるか考えたくもない気持ちだ。

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2009.05.08

豚インフルエンザ(swine flu)による死亡者にまつわる謎

Swine_flu

私がアメリカ・メキシコ旅行へ出発した同じ日の25日、日本ではメキシコで豚インフルエンザ(swine flu)が猛威を振るっていると記事が配信された。
その後、日本では豚インフルエンザの記事が毎日トップニュースを飾るようになったと聞かされ、実際にメキシコシティではマスク姿の人も数多く見られた。
そして、運良く無事に帰国してみると、旅行中に連絡を取っていた職場からは数日の自宅待機要請が正式に出た。
これによって、もし、万が一、自分の体調に異変が生じたときに適切に対応できるように、私が旅行中に見ることができなかった豚インフルエンザ関連の記事をじっくりと見る機会を得ることができた。

するとCNNの記事の中にAmong the swine flu mysteries: Why only deaths in Mexico?(豚インフルエンザにまつわる謎-なぜ死亡者はメキシコだけなのか)というのがあった。
海外投資のSNSである、World Investorsの中で医療関係者の女性が、「知人の医師曰く、メキシコ人以外で死亡者が出ていないのは不思議だ」と書いていたのを目にしたこともこの記事に対する私の関心を呼んだ。

それと同時に、ただ不安を増幅させてビクビクするより正しい知識を得ておきたいということが最重要であったからだ。
この記事が配信された後で、アメリカ人女性が1人死亡したというニュースがあったが、不謹慎ながらメキシコ国内のそれに比べれば微々たる数字である。
メキシコへ旅行するアメリカ人の数からすれば、それはまさに不思議の範疇に属する。

しかしながら思う。
元メキシコ保健相のフリオ・フレンク(Julio Frenk)氏が言うように、豚インフルエンザによる死亡者の多くが、貧困からくる栄養不良と粗悪な居住環境によって抵抗力が弱まった人たちであるとすれば、メディアのいう"deadly(死に至る危険のある)"という言葉は大げさ過ぎる感がある。
なぜなら、日本でも一般のインフルエンザで死亡する人は年間で相当にいることだし、途上国では不謹慎ながら数名の伝染病罹患や死亡などニュースにさえならないレベルである。
この記事が配信された後に米国で初の死亡者が出たということであったが、妊産婦であるという特殊要因があった。

私が旅行中、成田空港の検疫体制が厳しくて入国が大変ではないか、ということをさんざん聞かされた。
私はむしろメキシコからアメリカへ入国するときの方が足止めを食うのではないかと思っていたほどなのだが、フェニックスの入国審査で聞かれたことは「日本では何(の仕事)をやっているのか?」だけだった。
出入国カードに、アメリカへ来る前はメキシコということを書いたにもかかわらず、どこの都市に滞在したのかとも、何日いたのかさえ聞かれなかった。
そんなことでいいのかとさえ思ったが、アメリカはメキシコの空港で行われている簡易メディカルチェックを信じているのか、いちいち入国者を足止めしていられないのかわからないが、スルーで通過できてしまった。

そして、「豚インフルエンザにまつわる謎-なぜ死亡者はメキシコだけなのか」という答えは未だに出ていないようだ。
フリオ・フレンク(Julio Frenk)説が正しいのであれば、高齢者にも死亡者が出ていなければおかしいし、サイトカインストーム(感染症への防御反応として産生されるサイトカインという物質が過剰なレベルになって気道閉塞や多臓器不全を引き起こすもの)によって頑健な若者が亡くなっているのだとすれば、メキシコだけで死亡者が多発する理由がわからない。
それに、私がいた都市で一般市民がマスクを付けていたのはメキシコシティだけで、オアハカは主にレストランやバーの従業員だけ、カンクンはほとんど誰もいないというレベルだった。
皮肉なことに、メキシコシティの次にマスク姿の一般市民が目立ったのはロサンゼルスの日本行きのフライトのチェックインカウンターだ。
交通機関のなかった19世紀ならいざ知らず、長距離バスや飛行機で国内各都市を移動できてしまう現在において、疫病の発生がメキシコシティ周辺に留まっているというのも不思議な話だ。

私が思うにフレンク氏の談話にヒントがあるように思える。
「抗ウイルス薬は徴候の始まりの1時間以内に飲む必要があるが、メキシコの人たちは、仮にそうなったとしても、すぐさま治療をしようとはしないであろう。(Antiviral medications need to be taken within hours of the onset of symptoms, but people in Mexico may not have sought treatment immediately, if at all.)」
途上国はどこでも都市部共通の問題があるが、それは言うまでもなく貧者のスラムである。
メキシコシティで死亡者が大量発生した理由は一つ、彼らが手遅れになってから病院に行った。
単純に言えば、そういうことではなかろうかと思う。

4月29日からメキシコ全土の遺跡で観光客の立入りが禁止になった。
私はこのニュースを聞いて、次は交通機関(飛行機やバス)も止まるのか、出国できるのか不安になったものだ。
なぜならメキシコの遺跡は博物館などと違って外にあるものだし、地下にもぐるわけでもない。
ここの立入りを禁止する理由は、そこへ行くバスなどで感染者が増えることを懸念しているのではないかと思ったからだ。
しかし、そうはならなかった。
遺跡の立入り禁止は、WHO (World Health Organization)が警戒レベルを引き上げたために仕方なしに対処したのか、ただ単に、外国人観光客を国外へ追い払う(scare away)ためにやったとしか思えないほどだった。
何しろ、メキシコ政府の言うインフルエンザ対策の一つは「多くの空気と太陽を部屋に」だ。
遺跡で観光することは自分自身を多くの空気と太陽に晒すことになるので、いいことではなかろうか、と単純に思うがいかがだろうか。

今、日本では豚インフルエンザの感染防止に躍起になって取り組んでいる感がある。
しかしながら、当の北米諸国が政府の表向きの姿勢とは裏腹に、メキシコシティを除けば、当事者意識がほとんどないように思える。
一般のメディアはそうしたことを伝えないので、メキシコのカンクンの光景や、アメリカのフェニックスの入国審査風景など想像がつかないであろう。
国民性といってしまえばそれまでなのだが、何とも不思議な光景である。

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Among the swine flu mysteries: Why only deaths in Mexico? (豚インフルエンザにまつわる謎-なぜ死亡者はメキシコだけなのか)(April 29, 2009 CNN)

(CNN) - It's a confounding question on the lips of disease detectives: Why have the only deaths from the swine flu outbreak happened in Mexico?

なぜ、豚インフルエンザの発生による死者はメキシコだけで起きているのか?という質問は疾病調査官たちをまごつかせている。

Investigators also want to know why the disease has killed young adults, who should have the greatest resistance.

調査当局者たちもなぜ大きな抵抗力のあるべき若い大人が病気で死んでいるのか知りたがっている。

"They're good questions that we're asking, too," said Von Roebuck, spokesman for the U.S. Centers for Disease Control and Prevention. "We're still young in this investigation and we're still trying to understand exposure in this country as well as exposure in Mexico."

「それは私たちも聞きたいと思っているいい質問だ」と、米疾病対策予防センター(U.S. Centers for Disease Control and Prevention)の広報担当官であるフォン・ローバック氏は言う。「私たちはこの調査を始めてまだ日がたっていないし、メキシコにおける細菌汚染はもちろん、わが国の汚染をも理解しようとしているところだ。」

Mexico has reported 152 fatalities in flu-like cases in recent days, seven of which have been confirmed as swine flu. Another 19 patients have been confirmed as having swine flu but surviving. About 2,000 people have been hospitalized with symptoms.

メキシコ政府は、ここ数日でインフルエンザに似た症状で152名が死亡したと報告し、そのうち7名は豚インフルエンザであると確認された。あと19名は豚インフルエンザにかかっていることが確認されているが生存していると報告された。およそ2000名の人たちがインフルエンザの徴候があるとして入院している。

By contrast, the United States has had 64 confirmed cases, five hospitalizations and no deaths.

対照的に米国では確認された64名の患者のうち、5名が入院しているが、死亡者は出ていない。

"The difference in seriousness between the known U.S. cases and the Mexican cases is the question that everyone wants to answer," said Maryn McKenna, author of "Beating Back the Devil," a 2004 book on the history of the CDC, and the forthcoming "Superbug," about drug-resistant staph.

「判明した米国の患者とメキシコの患者の重大な違いは、誰もが答えたい質問である」と、2004年に発刊された米疾病対策予防センターの歴史を書いたBeating Back the Devilと、耐性菌について書いた近刊予定のSuperbugの著者であるマリーン・マッケンナ氏は言う。

There are no hard answers, but a consensus is emerging: The disease in Mexico has likely been around longer and infected more people than investigators can confirm.

確かな答えはないが、合意はできつつある。メキシコの疾病がおそらく調査官が確認できるものよりも長く続いていて、それで多くの人たちが感染したらしいということだ。

"Do we really know all of the cases that existed in Mexico or is this just the tip of the iceberg?" asked Louis Sullivan, a physician and former head of Health and Human Services under President George H.W. Bush.

「私たちは本当に、メキシコの中に存在したケースの全てを知っているのか、あるいは、これは氷山のまさに一角なのか?」と、父ブッシュ政権下で保健福祉長官を務めた医師のルイス・サリヴァン氏は言う。

McKenna said it's possible "there is much more flu in Mexico than we know because it hasn't been counted. That would mean that there are mild cases there as well, but that you have to get to a certain number of cases before, statistically, you start to see the very serious ones, and the U.S. hasn't had that many cases yet."

マッケンナ氏は、ありうる可能性として、「数え切れないがために私たちが知っているよりもはるかに多くのインフルエンザがメキシコにはある。それは、軽症の場合であり、その上、以前に確認できた数でしかない。統計学的にあなた方は非常に深刻な症例を見始めているが、米国には未だに多くの症例があるわけではない。」と言う。

It's a view shared on the streets of Mexico City, the hardest-hit area.

それは、一番被害を受けた地域であるメキシコシティの街頭における共有意見である。

"My intuition is that as the medical community starts looking around and at what has happened they may find that swine flu was there and they just didn't catch it," said Ana Maria Salazar, a radio talk show host and political blogger who lives in Mexico City. "Nobody was looking for this. We were all looking for this in Asia."

「私の勘では医学界が目を配り始めた時に、彼らが豚インフルエンザがそこにあるのを見つけたかもしれないが、捕らえることはできなかったということが起こった」と、在メキシコシティのラジオトークショーの司会者で政治ブロガーでもあるアナ・マリア・サラザール氏は言う。「誰もこれを探していなかった。私たち皆でこれをアジアで探していた。」

The new virus has genes from North American swine influenza, avian influenza, human influenza and a form of swine influenza normally found in Asia and Europe, said Nancy Cox, chief of the CDC's Influenza Division.

新しいウイルスは、北米豚インフルエンザ、鳥インフルエンザ、人インフルエンザ、そしてアジアと欧州で普通に見つかる豚インフルエンザ型の遺伝子を持っていると、米疾病対策予防センターのインフルエンザ予防局長のナンシー・コックス氏は言う。

Influenza is basically an extreme upper respiratory infection, and, by itself, is rarely fatal. But it can lead to deadly complications, such as pneumonia. About 36,000 Americans die from flu complications every year.

インフルエンザは基本的に強烈な上部呼吸器感染(URI)であるが、それだけで致命傷になることはめったにない。しかし、それが肺炎のように命取りになる合併症を引き起こすことはあり得る。米国では毎年およそ36,000人がインフルエンザの合併症で亡くなっている。

Swine flu is caused by a virus similar to the type of flu virus that, in various forms, infects people every year, but is a strain typically found only in pigs -- or in people who have direct contact with pigs.

豚インフルエンザは、いろいろな形で、毎年人々を感染させるインフルエンザウイルスのタイプに類似したウイルスに起因するが、豚のみ、または豚と直接接触をする人々において典型的に見つかる病原菌である 。

A couple of factors could be causing the greater death toll in Mexico, said Howard Markel, a physician and director of the Center for the History of Medicine at the University of Michigan.

ニ、三の要因はメキシコでより大きな犠牲を引き起こしていることがありえたと、ミシガン大学医学部・医学史研究センター長で医師のハワード・マーケル氏は言う。

"They may have had cases for several months now and probably have a greater number of people who have the disease, probably tens of thousands," he said. "There may indeed be more cases in the United States. The snapshot we're seeing in the United States may be an incomplete snapshot."

マーケル氏は、「それらはここ数ヶ月間におそらく何万人という病気を持った多くの人々を患者にするかもしれない。実は米国にはもっと多くの患者がいるかもしれないし、私たちが米国で見ているものは、不十分なものかもしれない。」と言う。

Also, he said, the people who have died in Mexico could have had what he called "another co-factor," such as taking medicine or having pre-existing infections that would make them more vulnerable. It's also possible, he said, that those who died had an underlying genetic predisposition or condition.

マーケル氏はまた、メキシコで亡くなった人たちが、薬を飲んでいたり、抵抗力を弱くするような既往の感染症があったりといった、別の複数の要因を持っていたことがあり得たとも言う。それに加え、亡くなった人々は、潜在的に遺伝的な傾向あるいはそうした健康状態があった可能性があると言う。

Sullivan also pointed to possible "complicating factors," such as malnutrition, poor housing or crowded conditions.

サリヴァン氏もまた、栄養失調や粗末な住宅、都市部の雑踏といったような「複雑にする要素」を可能性として指摘した。

Markel noted that "flu was classically called a crowding disease in the 19th century."

マーケル氏は、「インフルエンザは19世紀には群集疾患と古典的に呼ばれていた」と指摘した。

Disease investigators also are concerned by the fact that the outbreak has killed people in the prime of their lives, when they should have peak resistance.

疾病調査官たちは、壮年期の人々の抵抗力がピークであるべきとき、その彼らが病気によって亡くなってしまう事実を懸念している。

"It is certainly a red flag," Markel said.

「それは確実に赤旗だ」とマーケル氏は言う。

Health authorities have pointed out that this swine flu strain has never been seen. That may have a lot to do with the deaths, Markel said.

保健衛生当局はこの豚インフルエンザの病原菌がこれまで見られなかったと指摘した。マーケル氏は、たくさんの死者を処置することになるかもしれないと述べた。

"It's a fairly novel strain," he said, "and the deaths could be from healthy people who have a healthy, robust immune system that overreacts."

「それは全く見たこともない病原菌である。そして、過剰反応するほどの頑丈な免疫力のある健康体を持った人々から亡くなっていくかもしれない。」とマーケル氏は言う。

That could result in a "cytokine storm" in which the body secretes too many chemicals as it tries to kill offending microorganisms.

体が問題のある微生物を殺そうとしたときに過剰な免疫物質を分泌する「サイトカインストーム(感染症への防御反応として産生されるサイトカインという物質が過剰なレベルになって気道閉塞や多臓器不全を引き起こすもの)」となることもあり得る。

The hyper-response can lead to accumulation of fluid in the lungs and a condition called "acute respiratory distress syndrome."

この異常に敏感な反応は、、「急性呼吸障害症候群」と呼ばれている状態と肺水腫を引き起こしかねない。

Julio Frenk, former health minister of Mexico and now dean of the Harvard School of Public Health, holds an opposing view: The disease could be killing people who are not healthy because of their living conditions.

元メキシコ保健相で、現在のハーバード公衆衛生大学院の学長のフリオ・フレンク氏は反対の意見を持っている。病気で亡くなった人たちは、彼らの粗末な居住環境ゆえに健康体ではないことがあり得る。

"There could also be some elements in the host," he said. "These are poor people. Maybe their immune response is not as efficient. So we're going to have to just keep trying to understand why this difference and whether that continues as the epidemic unfolds."

フレンク氏は言う。「いくつかの要素が病原菌の宿主となり得る。彼らは貧しい。たぶん彼らの免疫力は効果的なものではないだろう。私たちは疫病が広がるときにそれが続くかどうかと、その違いはなぜかということについて理解するようにし続けなければならない。」

He also noted that antiviral medications need to be taken within hours of the onset of symptoms, but people in Mexico may not have sought treatment immediately, if at all.

フレンク氏はまた、抗ウイルス薬は徴候の始まりの1時間以内に飲む必要があるが、メキシコの人たちは、仮にそうなったとしても、すぐさま治療をしようとはしないであろう、と指摘した。

As the outbreak continues to unfold, so will the investigation.

病気が発生が広がり続けるにつれて調査をするだろう。

"We're making every effort to truly understand this virus," said CDC's Roebuck. "But some of the reasons for what's happening we may never figure out."

米疾病対策予防センターのローバック氏は言う。「私たちはこのウイルスを真に理解するためにあらゆる努力をしている。しかし、起こっていることの原因のいくつかは、決して解明することができないだろう。」
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2009.04.19

政財界がシカト(無視)した労働者派遣業条約

日本政府が1999年(平成11年)7月28日に批准したILO181号条約、正式名をConvention concerning Private Employment Agencies(民間職業仲介事業所に関する条約)といい、ここでいう民間職業仲介事業所とは、簡単に言えば労働者派遣業のことである。
条約の第1条1(b)では、「労働者に対して業務を割り当て及びその業務の遂行を監督する自然人又は法人である第三者(以下「利用者企業」という。)の利用に供することを目的として労働者を雇用することから成るサービス」と規定されていて、間単に言えば、労働者を第三者(企業)に派遣する目的で雇用することである。
そして、条約第2条2は、船員の雇用を除いて労働者派遣業が「すべての種類の労働者及びすべての部門の経済活動について適用」されるとあるため、この条約を批准した日本もそれに基づいて1999年(平成11年)12月に「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」が改正され、労働者を派遣できる対象業務が大きく広がった。

一方で、条約第11条は、国は法律に基づいて派遣労働者(条約の第1条1(b)に規定する企業に雇用される労働者)を保護するために必要な措置を取るべきことが、第12条では、国が法律により、民間職業仲介事業所(派遣元企業)、利用者企業(派遣先企業)の双方に派遣労働者保護の責任分担をさせることがうたわれている。
朝日新聞の記事にもあるようにこちらはほとんどないに等しい。
特に、法令上の社会保障給付(statutory social security benefits)、訓練を受ける機会(access to training)、職業上の安全及び健康の分野における保護(protection in the field of occupational safety and health)、職業上の災害又は疾病の場合における補償(compensation in case of occupational accidents or diseases)、母性保護及び母性給付並びに父母であることに対する保護及び給付(maternity protection and benefits, and parental protection and benefits)については、派遣労働者が適用される法規定があるのかさえ怪しいものだ。

私は先月12日の「今日の一言」で、「経済界が非正規雇用者を増やさなければ国際競争力云々と言うのであれば、せめて彼らに人間らしい住環境を提供できるような政策を取るように政府に圧力をかける義務がある。」と書いたが、これは雇用のセーフティネットにも言えることだ。
国際条約で決められた最低水準のものさえシカト(無視)して「走ってみて問題が出れば改めればいい」などというのは、およそまともな神経とは思えない。
日本でこうした欠陥制度が是正されるまでに何年の月日を空費しているか知らないわけではなかろう。
改革が必要なときは遅々として何もしないくせに、外圧がかかると何も考えずに突っ走るところは日本のエスタブリッシュメントの性癖としか言いようがないほど、今も昔も何も変わっていない。
それとも今や偽装請負で糾弾されるようなキャノンの御手洗冨士夫氏が経団連会長を務めるだけあって、経営者たちはこんなもの(労働者保護法制を規定した条項)はシカト(無視)に限るとでも思ったのか。
いずれにせよ、今議論されている派遣労働者問題も正規社員と非正規社員の待遇を同等にするという観点は非常に薄いと言わざるを得ない。
日本では労働基準法を始めとする労働法制は、罰則規定の軽さと、労働者の無知に付け込んで経営者にシカト(無視)される傾向が強いが、国際条約の規定まで蔑ろにされているとは私も知らなかった。

そして、紀陸孝・東京経営者協会専務理事の「非正社員は女性や若者」、「夫や親が支えになれるし、次の仕事を見つければいいと考えた」という発言は、私が3年前に掲載したエッセイ「少子化も人口減も止まらない理由」で書いたことが極めて正しかったように思える。
要するに日本の経済界の重鎮が、女性の経済的自立など論外、派遣の若者はパラサイトでいればいい、と公言したのと同じことだからだ。
これでは所謂シングルマザーやドメスティック・バイオレンス(DV)の憂き目にあった女性たち、及びその子供が貧困から抜け出せないようになっているのも当然だ。
以下に私が書いたエッセイの一節を紹介するが、こうしたものの積み重ねが後世のツケとなって跳ね返って来ないことだけを祈りたい。

■森永卓郎氏の言う「人生の不良債権」の衝撃

森永卓郎氏が「年収300万円時代を生き抜く経済学」の中で「住宅ローン・専業主婦・子供」を「人生の不良債権」と位置づけたことは、一般のサラリーマン家庭にとって衝撃的だったに違いない。
高度成長時代から政府が標準モデル世帯としているのは、「住宅ローンで買った郊外の家に住む会社員(公務員)の夫に専業主婦の妻、子供2人」というものだし、生命保険会社や金融機関もそれを前提に商品を勧めていたし、今まで多くのサラリーマンは何の疑いも持たずにそうした生活を送ることを当然視していたのだ。
それを今更「違うんだよ。それは不良債権だ。何とかしろ。」と言われて、ハイそうですか、と言えるだろうか。
つまり、バブル経済崩壊後の低成長時代においても、「中年男性」が高賃金という既得権の牙城を死守しなければならない理由は、誰が何を言おうとも選択肢がそれしかないからだ。

果たして森永卓郎氏の言う「不良債権」は中高年サラリーマンにとってどうにかできるものだろうか?
たぶん答えはNOだ。
彼らに残された道は、少なくなったパイを奪い合う生存競争の中で、かつての仲間といえども蹴落としあうことだけだった。
しかもそこに参入させる若者は少なければ少ないほどいい。
まして女性の参加は論外である。

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派遣労働の自由化だけ急いだ日本 (2009.3.18 朝日新聞特集-世界変動-雇用どこへ)

日本で雇い止めが相次いだ派遣労働は、欧州でも「柔軟な雇用」の一つとして広がっている。
1997年に国際労働機関(ILO)が採択した181号条約で原則自由化が認められ、各国が批准したからだ。
だが、この条約は労働者保護もうたい「業種類制から働き手の保護への転換」の意味も持っていた。
欧州では、派遣社員の賃金や失業給付を正社員と同水準にする「均等待遇」の法制化が広がった。

日本が1999年に実施した派遣労働の原則自由化も、同じILO条約が理由だった。
しかし、安全網の論議は素通り。
製造業派遣の解禁を議論した2002年の労働政策審議会では労働側が「均等待遇や安全網の充実」を訴えたが、経営側は「走ってみて問題が出れば改めればいい」と主張した。

ある公益側委員は「規制改革会議の意向で自由化ありきの結論が先走っていた」と振り返る。
日本経団連の川本裕康常務理事は「当時は不況で失業率が急上昇し、就業の多様化で雇用をつくること自体が安全網だった」という。
「安全軽視」の背景には「非正社員は女性や若者」との見方があった。
紀陸孝・東京経営者協会専務理事は「夫や親が支えになれるし、次の仕事を見つければいいと考えた」という。

だが、家族の支えも「次の仕事」も崩れる。
「9月までの契約が終わったら更新はしません」。神奈川県内に住む契約社員の女性(39)は、昨年8月末、突然言い渡された。
夫は大手自動車メーカーの管理職。専業主婦だったが、子どもが生まれた2002年前後の不況で夫の収入は大きく減った。
仕事を探したが、残業できない子持ちに正社員の口はなかった。
今回の不況でも夫の賃金は3割近く下がり、自分の賃金がないと、保育料や住宅ローンが払えない。
日本の失業手当は最長でも約11カ月。この女性の場合、収入の6割が半年間支給されるだけだ。

欧州でも厳しい不況で雇用が揺らいでいるが、均等待遇、手厚い失業給付や職業訓練、労組の応援という支えはある。
一方、柔軟化だけを急ぎ、いま慌てて手を打ち始めた日本。
暮らしの安心に向け、経済危機をプラスに生かす時だ。
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2009.04.04

崩れ逝くスイスの安全保障

第二次世界大戦においてスイスがナチスドイツに占領されなかったのは、決して中立国(1815年のウィーン会議(Congress of Vienna)で承認)であるという理由だけではない。
かつてはベルギーやオランダも中立を宣言していたが、そんなものは二度の欧州大戦においてドイツ軍がせせら笑って破り捨ててきたからだ。
それではスイスがなぜ戦火に巻き込まれることがなかったのか。
特に条約などクソ食らえのヒトラーがスイスに攻め込んで行かなかったのは、ひとえに汚い金をスイスが扱っていたからだと言われている。
つまり、ヒトラーと言えども、スイス攻撃を命令したとたんに同じ穴の狢によって生命の危険にさらされたと思われるからだ。

ところが昨今の金融危機に端を発したOECD加盟国の圧力によって、銀行の守秘義務をタテに顧客の税務情報の交換を拒絶してきたスイスなどがその情報開示を要求されるようになってきた。
今後はこれらの国々でも脱税やマネーロンダリングなどの犯罪性があるものについては情報を出さざるを得なくなるだろう。
ましてこれだけ金の動きがグローバルになっているのであれば、いずれは国際刑事警察機構(INTERPOL=International Criminal Police Organization)のようなものができる可能性もある。
もっとも、そういう機関ができたとしても完全に金の動きがガラス張りになるはずもないが、一部の人が理由づけするような海外口座を持てば税務当局に情報を捕捉されない、というなどということはなくなっていくに違いない。

匿名銀行口座(anonymous bank account)と言えばスイスがあまりにも有名だが、そのほかにもこういった番号口座(number account)の制度を持つ国がいくつかあるようだ。
前述したように、これらの口座の存在がスイスの安全保障を担っていたと言われているが、その制度が崩れ逝くのは時代の流れとはいえ皮肉なものである。
第二次世界大戦後、欧州では大規模な戦争は起こっていないし、起こさないような協調体制ができている。
従ってOECDの要請がすぐさまスイス、あるいはスイスと同様の銀行口座制度を持つ欧州各国の安全保障を脅かすことにはならないがためにタックスヘイブン関連の交渉は成立したとも言える。
そう考えるとこれも欧州の平和のおかげとも言えるだろうか。

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タックスヘイブンのブラックリスト、OECDが公表へ (2009.4.3 産経新聞)

【ロンドン=木村正人】金融サミットで採択された首脳宣言で、脱税の温床になっているタックスヘイブン(租税回避地)の最新版”ブラックリスト”の公表が決まった。北朝鮮の資金洗浄にも使われたマカオや香港を擁する中国の反対で交渉は当初難航したが、欧米の主要国は脱税摘発を進めるにはリストの公表は不可欠として押し切った。
ブラウン英首相は2日、会合後の記者会見で「タックスヘイブンの息の根を止めることでG20は合意した」と述べ、同日中にリストを公表すると表明した。
今回のサミットでは経済協力開発機構(OECD)が作成した最新版リストをもとに、タックスヘイブンを
税務情報の交換に協力的でない
OECDルールに従う用意がある
など3段階に分類。非協力的な国や地域には制裁を科すことで合意した。
リスト(Progress Report on the Jurisdictions Surveyed)についてはG20が発表する形は取らず、OECDが公表する。

リスト公表を強く求めたのはサルコジ仏大統領だ。
ラガルド仏経済・財政・雇用相は英BBC放送に対し、タックスヘイブンなどの金融規制に進展がなければ同大統領は金融サミットを退席すると述べていた。
複数の交渉筋によると、OECDのトレビニョ事務総長が最新版リストをひそかに議長国・英国に提示。
サルコジ大統領は同リストの公表を要求していた。

OECDは、銀行の守秘義務をタテに顧客の税務情報の交換を拒絶してきたスイスなどについて、「銀行情報のアクセスに大幅な規制を課す国」という新分類を設け、リストに掲載することを検討。
独仏もこれを後押ししており、首脳宣言の最終草案にも「2日にリストを公表する」と、いったん明記された。しかし、OECD未加盟の中国の反対で交渉は難航した。

中国の経済成長に伴い金融業が拡大した特別行政区のマカオや香港は、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジアに北朝鮮の金正日総書記の関連資産が預けられていたことから、資金洗浄の温床になっていると国際的な批判を浴びた。
中国は今年2月以降、マカオや香港についてOECDルールに基づき税務情報の交換に応じる姿勢に転じたため、金融サミットでも「マカオと香港はタックスヘイブンではない」と強硬に主張していた。

関連サイト

OECD - Following G20 OECD delivers on tax pledge
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2009.03.12

日本のゲストハウスの固定資産税を免除してみたら

私がゲストハウスと言われて思い浮かべるのは東南アジアの安宿のことだが、今では日本国内でもゲストハウスが数多く存在するようになっている。
今から2ヶ月前、ゲストハウス.netルームシェア.netのリンクを依頼されてトップページに掲載を続けているが、今あらためてネットで検索すると様々なサイトが引っかかる。
まさか日本でこれほど多くのゲストハウスがあるとは思わなかった。

これらのゲストハウスの中で2~3のサイトをざっと見た感じでは1ヶ月の負担金は都心部で5万円程度、1日にすれば1,700円ぐらいだ。
しかも、一般の賃貸物件を借りるための敷金、礼金、仲介手数料などの初期費用を負担する必要もなさそうだ。
そう考えれば俗にいうネットカフェ難民と呼ばれる人たちは、なぜゲストハウスを探そうとしないのかと思うこともある。
もっとも彼らに言わせれば、光熱費負担なしで、シャワー完備、フリーソフトドリンクでパソコン使い放題のネットカフェのナイトパックに比べれば高いのかもしれないが、定住地があるという精神的な安心感には代えられないような気もする。

そこで私の提案だ。
当然ながらゲストハウスの家賃には公租公課、いわゆるオーナーが負担する固定資産税も加味されているはずだ。
それを一定の家賃帯以下の部屋しかないゲストハウスの固定資産税などは免除してやればいい。
そうなれば、ゲストハウスの家賃ももっと下げることができるだろうし、もし、これらの家賃がネットカフェのナイトパックと比べても遜色なければ、ネットカフェ難民と呼ばれる人の中の一定数はゲストハウスに住むことを選択するだろう。
そんなことは政府がその気になればできることだ。
何でネットカフェを泊まり歩いている人がたくさんいるかと言えば、彼らは住居を借りることができないからだ。
経済界も非正規雇用者を増やさなければ国際競争力云々と言うのであれば、せめて彼らに人間らしい住環境を提供できるような政策を取るように政府に圧力をかける義務がある。

ところで、2009年1月27日号の週刊SPAの記事によれば、副業として、ゲストハウス経営に乗り出す会社員も増えているとのこと。
もし、これが税制面でも得をすることだとなれば、日本の住宅事情が一変することだってあるのだ。
今はゲストハウスの住人は主に単身者だろうが、法律や税制が整備されてくれば家族が暮らせるようなものが出てくる可能性だってある。
三原淳雄氏は2月27日のコラムで、政府が検討している株価対策なるものを批判して、「どうせなら「こっちの水は甘いぞ」という税制にして、おカネを動かすことを考えるべきだろう。カネが動かないからどうにもならなくなっているのなら、どうしたらカネが動くか、それを考え実行するのが政府の本来の役目であろう。民間のカネが動く仕組みを政策・税制で応援すればいい。 」と言っているが至極もっともだ。
いわゆるネットカフェ難民の住居対策も同じだ。
2008年4月から東京都が「TOKYOチャレンジネット」を通じて、彼らの住宅資金や生活資金と合わせて最大60万円を無利子で貸し付ける事業をやっているようだが、こんな一時凌ぎのことをやってもほとんど効果がないばかりか、貸付金が不良債権となる可能性の方が大きい。
そうなった場合の困難を極める債権回収費用もまた税金なのだから、そういうことが重なればネットカフェ難民と呼ばれる困窮者に納税者の怒りの矛先が向かうことになる。
そうなったら誰のための政策だかわからなくなると思うのは私だけだろうか。

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会社員が副業で貧困ビジネス参入!? (2009.1.27 週刊SPA)

住む家のない無職者を狙うのは不良ばかりではない。
最近、頭のいい山っ気たっぷりのカタギの間で流行しつつあるのが「ゲストハウス経営」だ。
事情に詳しい都内の不動産業者に話を聞いた。
「普通の賃貸マンション物件を正規の手続きで借りて、派遣難民の人なんかを集めて集団生活させるだけの商売なんですけどね。以前は本人名義で契約できない風俗嬢や外国人なんかを住まわせるケースはあったけど、風俗嬢は部屋の中を回復不能なぐらいグチャグチャにして逃げる場合が多かった。だけど、派遣難民だと、そのリスクが低い。彼らはとにかくおとなしいそうで、ルールを決めたら必ず守るんです。そこで、サラリーマンみたいな人でも投資のつもりで始める人がいます」
例えば、月14万円の2DKに6人入居させて、3万円ずつの家賃を徴収すれば月4万円の収益。
このご時世、副業としてはなかなか悪くない。
さらに2DKくらいの広さの物件は、いま借り手が少なく、ほかのタイプに比べて家賃が下がっているという。
又貸しは大家との契約違反になるが、法律通反にはならない。
使用状況によっては旅館業法違反になる場合もあるが「旅館業法はザルですから初犯だと、罰金になるかどうかも微妙です」なんだとか。
リスクも少ない!?
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2009.02.03

米国金融再生ビッグバンは功を奏すか

オバマ政権が銀行が抱える不良資産の一掃と信用市場回復のための「ビッグバン」を準備していると1月30日付けのフィナンシャル・タイムズが伝えている。
一昨年来、火を噴き続けている米国のサブプライム問題により、欧米の金融機関のほとんどが不良資産を抱える事態となった。
バッドバンク(金融機関の不良資産を買い取る専門銀行)による不良資産を買い取り、あわせて住宅差し押さえ件数を減らすことによって市場の回復を目指そうというものだが、結局のところ多額の公的資金が投入されることになるのは間違いない。
また、金融機関を救済するにあたって、経営幹部による税金の略奪とも言える行為にストップをかけるための措置が取られるというが、どこまで効き目があるものか。
おそらく、彼らのうちから何人かは刑務所に行く人間が出ないと米国民は納得しないような気もするが、そのあたりのニュースはあまり報じられていないようだ。

そもそも米国のサブプライムローン(信用力の低い個人を対象とした住宅ローン)の多くは「228ローン (2/28 ARM = Adjustable Rate Mortgage)」と呼ばれるもので、最初の2年間は数%の固定金利だが、後の28年は変動金利に移行し、しかも金利は10%前後の高水準になるというものだ。
住宅ローン会社は、その回収リスクの一部を転嫁する目的でその債権を小口証券化し、住宅ローン担保証券(RMBS=Residential Mortgage-Backed Securities)として売り出し、そのRMBSは米国債などに比べて利回りが高かったため、ヘッジファンドなどがこれを購入していた。
住宅価格が右肩上がりで、債務者が低金利のうちに住宅を転売できるか、クレジットヒストリーが積み上げられて低金利のプライムローンに借り換えできているうちは、このシステムが有効に機能するが、そんなものが長続きしないのは歴史が証明しているところでもある。
RMBSの価格はローンの焦げ付きの増大に伴って下落し、住宅ローン会社がそのあおりを食って破綻し始めると、RMBSに投資していたヘッジファンドも、その資金を提供した金融機関も連鎖的に損失を被ることになっていく。

アメリカの場合、日本と違って住宅下落のリスクは、融資を行った金融機関が持つ(ノン・リコース・ローン=借主責任限定型ローン)ことになっているため、住宅価格の下落はそのまま金融機関の損失となって跳ね返る。
債務者は住宅を手放せばやり直しがきくのだが、支払い継続が困難なローンに対する救済事業を用意しているところを見ると、あまりの差し押さえ物件の多さに市場原理に任せておけばいいなどと言っていられないのだろう。
この施策は、実質的には家計が破綻する可能性のある債務者に対する延命措置的な意味合いしかないようにも見えるが、住宅の実質価値を超えるローンの削減支援も行われることになれば、債務者にとっても朗報と言えるかもしれない。
それに住宅ローン問題にケリがつけば個人消費も上向くことが期待できる。

ただ、この「米国金融再生ビッグバン」が本当に功を奏すかと言われれば、懐疑的にならざるを得ない。
しかし、住宅の購入はすべて個人の責任と言われ、放置される日本の住宅ローン債務者よりマシだと私は思う。
日本のメディアでは米国のことばかり書いているが、雇用情勢が悪化すれば日本でも住宅ローン問題が火を噴くのは明らかだ。(2007年9月9日「今日の一言」-日本でも起こりうるサブプライム問題
そのようなリスキーな時代、しかも政府は全く機能していない状態で日本国内の消費が上向くわけがない。
オバマ大統領の政策がどうのこうの言う前に少しは自国民のことを顧みるメディアは一つもないのかと思う。

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US set for ‘big bang’ financial clean-up(米国、金融システムの「ビッグバン」的大掃除を準備)
(January 30, 2009 Financial Times By Krishna Guha in Washington) (日本語訳:翻訳gooニュース by 加藤祐子)

The Obama administration is gearing up for a "big bang" announcement within the next two weeks that will combine a bank clean-up with measures to reduce home foreclosures and probably steps to kick-start credit markets.

オバマ米政権は2週間以内に発表する「ビッグバン」計画の準備を急いでいる。この計画は、金融システムの刷新と併せて、住宅差し押さえ件数を減らすための施策や、信用市場を一気に勢いづける具体案も含むものと見られている。

The plan will involve an overhaul of the troubled asset relief programme - the $700bn bail-out fund - including strict curbs on compensation at banks receiving public aid. The Tarp overhaul is intended to restore public confidence in what is a deeply unpopular programme and ensure that taxpayer money is not used to fund excessive pay, bonuses and dividends to shareholders.

この新計画は、7000億ドル規模の金融機関救済「不良資産買い取り制度(TARP=Troubled Asset Relief Programme)」の全面見直しが柱となる。その中には公的資金支援を受けた金融機関での報酬額を厳しく制限する施策も含まれる見通し。きわめて不人気な「TARP」を見直すことで、「TARP」への国民の信頼を回復し、高額すぎる給料や賞与、株主への配当金のために国民の税金が使われないようにする。

"There will definitely be a cap of some sort on bonuses," said a Wall Street executive who has taken part in talks with the authorities. "The political climate is such that there is a need to punish Wall Street."

「ボーナスに何らかの上限が設けられるのは確実だ」政府との協議に参加しているウォール街企業の重役はこう言う。「今の政治の雰囲気からして、ウォール街に灸をすえる必要があるのだ」

The announcement, which officials said was likely late this coming week or the week after, will follow Friday's news that the US economy contracted at an annualised rate of 3.8 per cent in last year's final quarter - less than analysts were expecting, but still the worst quarter since 1982. The fall was cushioned by ballooning nventories, which suggest the economy could shrink faster than expected in the first quarter.

複数の政府関係者によると、金融再生計画の発表は来週か再来週になるという。これに先立ち1月30日には、昨年の最終四半期(10-12月期)の実質国内総生産が、前期に比べ年率換算で3.8%減少したという発表があった。下げ幅はアナリスト予想よりは少なかったが、1982年以来最悪の四半期だったことには変わりない。急落の緩衝材となったのは膨れ上がる在庫だ。そのため、2009年第1四半期(1-3月期)の経済縮小は予想よりも急速に進むと思われる。

The "big bang" approach reflects the belief of Tim Geithner, Treasury secretary, and Lawrence Summers, National Economic Council director, that the Bush administration was wrong to dribble out policy initiatives. Mr Geithner intends to present a "comprehensive" plan that policymakers hope will command market confidence.

予定される「ビッグバン」方式は、対策を五月雨式に小出ししたブッシュ政権の手法は誤りだったという、ティモシー・ガイトナー新財務長官と国家経済会議(NEC)のローレンス・サマーズ委員長の考えを反映したものだ。ガイトナー長官が提出予定の「包括的」な計画によって、市場の自信回復につながるよう、政策担当者たちは期待している。

Details of the financial overhaul are being finalised and have yet to be approved by President Barack Obama, but it may include both the purchase of toxic assets by a "bad bank" and insurance-style guarantees for problem assets remaining on bank balance sheets.

金融再生計画は今、詳細をつめている段階で、バラク・オバマ大統領の承認を得なくてはならないが、おそらく「バッドバンク(金融機関の不良資産を買い取る専門銀行)」による金融機関の不良資産の買い上げや、銀行の財務諸表にまだ残る不良債権を保証する仕組みが含まれるはずだ。

Anti-foreclosure efforts are likely to focus on subsidising programmes that reduce unsustainable monthly mortgage payments, though there may also be support for schemes that subsidise the partial writedown of loans that exceed the value of the home. Treasury may also unveil new efforts to revitalise dysfunctional securitisation markets.

住宅差し押さえに対抗する手段としてはおそらく、支払い継続が難しい月々のローン返済額を減らす事業を、政府が支援していくことになるだろう。そのほかにも、住宅の実質価値を超えるローンの部分削減支援も組み込まれるかもしれない。また財務省は、機能不全に陥った債権の証券化市場を復活させる方策も発表するのではないかと見られている。
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2009.01.25

オバマ大統領就任

去る20日、第44代アメリカ合衆国大統領に民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)氏が就任した。
聴衆を魅了する演説の巧みさは、ケネディ(John F Kennedy)の再来とも言われ、 彼の就任演説(inauguration address)を聞くために集まった人は200万人を超えたと言う。
凄いことだと思う。
果たして世界の指導者で、自らの演説を聞いてもらうためにこれだけの聴衆を集めることができる人は何人いるのか。
しかもこの数字は秘密警察の監視下にある独裁国家のものではなく、自発的意思でもって寒風が吹きすさむワシントンに集まった人の数だ。

深刻な金融危機下にあって彼の演説は「もしかして」を思い起こさせるインパクトを持っている。
彼の演説を聞いていて、たとえ英語が不得手で言っていることがわからなくても何かをやってくれるのではないかという期待感を感じさせる話し方だ。
現実には彼だけの活躍で今の経済情勢を好転させられるはずがないのだが、彼の演説が米国民に再起のために団結しようという気持ちを持たせることはできる。
それが就任演説会場に200万人もの聴衆を集める原動力となり、就任直後のギャラップ社の世論調査で68%もの高い支持率をはじき出したことは想像に難くない。

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These are the indicators of crisis, subject to data and statistics. Less measurable but no less profound is a sapping of confidence across our land - a nagging fear that America's decline is inevitable, that the next generation must lower its sights.
Today I say to you that the challenges we face are real. They are serious and they are many. They will not be met easily or in a short span of time. But know this, America - they will be met.
On this day, we gather because we have chosen hope over fear, unity of purpose over conflict and discord.
On this day, we come to proclaim an end to the petty grievances and false promises, the recriminations and worn-out dogmas, that for far too long have strangled our politics.

これらは、データと統計で示される危機の指標だ。
測定はより困難だが同様に深刻なのは、米全土に広がる自信の喪失だ。
それは、米国の衰退が不可避で、次の世代は目標を下けなければいけないという、つきまとう恐怖だ。
これらの難問は現実のものだ。深刻で数も多い。短期間で簡単には対処できない。
しかし、アメリカよ、それは解決できる。
今日、私たちは恐怖より希望を、対立と不和より目的を共有することを選び、ここに集まった。
今日、私たちは長らく我が国の政治の首を絞めてきた、狭量な不満や口約束、批判や古びた教義を終わらせると宜言する。
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しかし、米国の基幹産業である金融業が、自業自得という側面も大きいが、大打撃を蒙ったという事実はオバマ大統領が就任したからといって変わるものではない。
従って、もう一つの基幹産業である軍需産業が米国経済の牽引役となることが密かに期待される。
つまり、大統領がブッシュからオバマに変わったとしてもこれだけは変わらない。
オバマ大統領は1月8日、American Recovery and Reinvestment Plan(アメリカの再生及び再投資計画)という演説の中でThe creation of a clean energy economy(クリーンエネルギー経済の創設)により新しい雇用を生み出す(グリーン・ニューディール政策)としているが、元祖ニューディール政策が行われた1930年代も、直後に起きた第二次世界大戦の軍需がなければ、アメリカ経済は回復できなかったという評価もある。
もしもこの説が正しいとするのなら、ブッシュ政権最後に起こった、やらせのようなイスラエルのガザ空爆によって火種を残した中東戦争の危機はオバマ政権下でもなくなることはないだろう。

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We will not apologize for our way of life, nor will we waver in its defense, and for those who seek to advance their aims by inducing terror and slaughtering innocents, we say to you now that our spirit is stronger and cannot be broken; you cannot outlast us, and we will defeat you.

私たちは、私たちの生き方を曲げることはなく、それを守ることに迷いもしない。
自分たちの目的を進めるためにテロを引き起こし、罪のない人々を虐殺しようとする者に対し、私たちは言おう。
いま私たちの精神は一層強固であり、くじけることはない。
先に倒れるのは君たちだ。私たちは君たちを打ち負かす。
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そう、このセリフと似たようなことはブッシュ前大統領もたびたび言っていた。
違うのはオバマ大統領が、国防について安全と理想の二者択一を偽りだと拒絶する(We reject as false the choice between our safety and our ideals.)と言ったことだ。
おそらく、ブッシュ前大統領のように「旗幟を鮮明にしろ(Show the flag!)」とは言わなくなるし、屁理屈をこねて自ら戦争を始める危険性は少ないだろう。
ただ不気味なのはロシアのメドベージェフ(Medvedev)大統領が、昨年夏のグルジア侵攻を非難されて言ったWe are not afraid of anything, including the prospect of a new Cold War.(我々は冷戦の可能性も含めて何をも恐れない)という言葉だ。
オバマ大統領が就任しても世界は何も変わらないどころか、もっと酷くなる、ということも十分に考えられる。
田中宇氏の原油安に窮するロシアというコラムはその前兆を表しているのかもしれない。

関連サイト

  • BBC - Obama inaugural speech
  • 産経新聞-オバマ就任演説()(
  • 朝日新聞-オバマ就任演説()()()(

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    2009.01.14

    麻生内閣が定額給付金にこだわる本当の理由とは

    麻生内閣が提出した2兆円の定額給付金を盛り込んだ2008年度第二次補正予算案が昨夜衆議院を通過した。
    本会議に先立つ予算委員会で、定額給付金を補正予算案から切り離す野党修正案を否決し、世論調査によれば、多くの国民が「こんなことに金を使わず、雇用対策や社会保障に回せ」と言っているのを無視して予算原案のまま採決を強行した理由は何か。
    単なる麻生内閣のメンツなのか、と思いきや、本音が元自民党幹事長の加藤紘一氏から出てきた。

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    給付金「選挙で公明党のお世話になるから賛成」と加藤氏 (2009.1.10 朝日新聞)

    自民党の加藤紘一元幹事長は10日、山形県鶴岡市で講演し、定額給付金について「あまり出来がよくない制度というのが7、8割の自民党議員の心だが、近々総選挙で(制度を提案した)公明党にお世話になるから賛成する」と指摘した。
    13日に衆院本会議で採決される見通しの定額給付金を含む第2次補正予算案と関連法案については「自分も含めて自民党からそんなに造反は出ないだろう」と述べ、反対に回ることを示唆している渡辺喜美元行革担当相に同調する動きは広がらないとの見方を示した。
    また、加藤氏は「公明党も考え抜かないで提案した。今回はみな賛成するが、今後自民党執行部に公明党と話し合ってほしい」とも述べ、定額給付金にからむ部分について参院での修正を検討すべきだとの考えを示した。
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    「あまり出来がよくない制度というのが7、8割の自民党議員の心だが、近々総選挙で(制度を提案した)公明党にお世話になるから賛成する」
    本当にこんなことで2兆円もの歳出予算が可決されるのか。
    いい加減にしろと言いたい。
    本当の意味での景気・雇用対策だったら、地デジ対応(2011年7月24日でアナログ放送終了)のためにチューナーを政府が買い上げて全家庭に配った方が、少なくとも家電業界は潤うとは思うが、そういうことは誰も言わないのだろうか。

    生活困窮者対策と言いながら評判のよくない定額給付金、それもそのはず、今の生活困窮者はネットカフェに寝泊りする人のように、住民票のある場所と生活の本拠が違っていることが多いのだから、彼らは受給対象者から漏れるのだ。
    そして、受給するために住民票のある自治体へ行こうとすれば赤字になる。
    それでは誰のための給付金か。
    加藤氏が言うように公明党員に対する選挙協力費というのが政府・自民党の本音なのか。
    そして、この加藤発言をメディアが大きく取り上げないばかりか、1週間も経たないうちに記事をウェブ上から削除したところすらあるというのはどういうことなのか。

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    2008.12.19

    新年相場は期待できるか

    ワールドインベスターズの香港オフから帰国して以降、世界市場が緩い上昇カーブを描き始めている。
    これが一時的な反発なのか、底打ちのサインなのかはわからないが、最近行われたメリルリンチの月例調査(Merrill Lynch survey)でも悲観論が若干和らいでいるとの見方がされた。
    今日のロイターニュースでも、クレディ・スイスが日本を除くアジア株式市場について、「オーバーウエート」リストのトップに挙げた、と報じられ、一筋の光明が見えてきたような感がでてきた。(日本以外のアジア株をオーバーウエート、回復をけん引=クレディ・スイス

    果たして新年相場は期待できるのか。
    キーはやはり米国のビッグスリーの行方次第か。
    16日にFRBが政策金利を0-0.25%へ引き下げ、実質上のゼロ金利政策と量的緩和策の導入を決定した(FRBが政策金利を0-0.25%へ引き下げ、一段の措置示唆)ことにより、金融政策面では、すべての手を打ち尽くしたとも言える。
    このカンフル剤のおかげで投資家の悲観は和らぎ始めており、悪材料にもそれほど過敏に反応することが少なくなってきているようだ。
    もし、敢然と買いに入るなら、プロのファンドマネージャーが「まだ買い急ぐときではない(There was no rush to buy yet.)と言っている今がチャンスとも言える。

    依然として米国市場の行方が世界市場に与えるインパクトは小さくないが、現在の反騰相場が、オバマ次期大統領就任後、100日間のハネムーンと呼ばれる期間(メディアや議会が大統領の信任に譲歩し挙国一致で共同歩調を取る期間)で終わるのか、あるいは歴史に名を刻むような経済政策を実施することができるのか。
    もし、ハネムーン期間だけの反騰であれば、それこそ1930年代初頭の暗黒時代へタイムスリップすることになる。
    米国大統領選でケネディの再来とも言える人気を博したオバマ氏、その手腕には今後10年の世界経済の浮沈すらかかっていると言っても過言でないだろう。

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    Investor pessimism eases at year end-Merrill poll (投資家の悲観は和らいでいる)
    By Jeremy Gaunt, European Investment Correspondent
    (Dec 17, 2008 Reuters)

    LONDON, Dec 17 (Reuters) - Pessimism among investors is levelling off and there are fewer fund managers expecting the global economy to get worse next year, a monthly Merrill Lynch survey showed on Wednesday.
    The U.S. financial firm's December poll of 196 fund managers across the world also showed a widespread perception that equities are cheap after more than a year of steep declines, although few are prepared to jump back into stocks yet.

    水曜日に発表されたメリルリンチの月例調査によれば、投資家の間では悲観論が横ばいになってきていて、来年の世界経済が悪化すると予測するファンドマネージャーはより少なくなってきていることを示した。
    また、世界中の196人のファンドマネージャーによる米国の金融会社の12月の調査は、1年以上にわたる急落により株価が割安であることは広く認識されているが、今のところ株に戻る準備がなされているのは少数派であるということも示した。

    "Pessimism seems to be bottoming," said Karen Olney, a Merrill equity strategist.
    The poll showed a shift in sentiment about the global economy, which is widely seen to be in a recession. Although most respondents -- 63 percent -- continue to expect more deterioration in 2009, the numbers are falling.
    At 26 percent, more than a quarter now expected the world economy to improve over the next 12 months. That compares with 22 percent in November and 16 percent in October.

    メリルリンチの株式ストラテジストのカレン・オルニー氏は「悲観論は底打ちしたように思える」と述べた。
    この調査は景気後退の中にあると見られている世界経済に関して投資家心理の変化を示した。
    それでも大部分の回答者(63%)は、2009年はもっと悪化すると予測し続けているが、その数は減少してきている。
    四分の一以上の回答者(26%)は今後12ヶ月間に世界経済が改善すると予測した。これは、11月の22%と10月の16%に匹敵している。

    "(There's) a little bit of light at the end of the tunnel," said Gary Baker, Merrill's head of EMEA equity strategy. "There are tentative signs that the (survey) panel is seeing the pace of economic deterioration starting to moderate."

    メリルリンチの欧州・中東・アフリカ(EMEA=Europe, the Middle East and Africa)株式投資戦略部門の責任者であるゲーリー・ベーカー氏は、「トンネルの向こうにかすかな光が見える」と述べ、また、「調査の回答者たちが経済の悪化の速度が鈍化し始めていると考えている不確かな兆候がある」とも述べた。

    He said part of this could be put down to the growing belief among fund managers that monetary policy globally is about right for the economic conditions.
    This was particularly the case regarding the United States, which slashed rates to juts 0.25 percent on Tuesday after the polling, and Britain. Policy in the euro zone and Japan are still considered too restrictive, Baker said.
    "The debate has moved on to fiscal policy," he said.

    彼は、「この結果の一部は、金融政策がこの経済情勢にとって世界的に概ね正しいというファンドマネージャーの間で高まる信仰に帰すことができよう」と言う。
    これは、この調査後の火曜日に突然に0.25%に金利を下げたアメリカとイギリスの場合で顕著だった。ユーロ通貨圏と日本では効果があまりに限定的なため今後も織り込み済みと見られよう。
    議論は財政政策に移っている、と彼は述べた。

    NOT STOCKS YET(株はまだ)

    The poll showed fund managers consider stocks to be cheap, with 86 percent saying equities are fairly valued or undervalued.
    But there was no rush to buy yet. Cash and bonds remain in favour.
    Specifically, 56 percent of respondents were underweight equities while 51 percent are overweight in cash and 47 percent overweight in bonds. Within stocks, only U.S. equities were favoured.

    この調査は86%のファンドマネージャーが株が相当にお買い得であるか過小評価されていると言うくらい安いと見ていることを示した。
    しかし、まだ買い急ぐレベルではなく、現金と債券は相変わらず好まれている。
    具体的に言うと、回答者の56%は株をアンダーウェイト(資産配分を決定する際に、ある投資対象への配分比率を、基準となる資産の配分比率より少なくすること)にしていた上に、51%の回答者は現金をオーバーウェイト(資産配分を決定する際に、ある投資対象への配分比率を、基準となる資産の配分比率より多くすること)に、47%の回答者は債券をオーバーウェイトにしていた。
    株式の中で米国株だけは気に入られていた。

    Baker said all this -- including the heavy cash positions -- pointed to investors adding to recent small gains on stock markets.
    "We see all the ingredients in place for the current rally we are seeing to be sustained into the new year," he said.

    ベーカー氏は、大きなキャッシュポジションを含めて、これすべてが、投資家たちが株式市場で小さな利益を増していることを示した。そして、「我々は新年を持ちこたえると予想しうる、最近の反騰相場のすべての要素を適切に調査している」と述べた。

    関連記事
    投資家心理示す各種データ、株価がまもなく底打ちする可能性を示唆(2008年11月28日)
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    2008.11.16

    世界市場の回復はいまだ遠いのか

    日米欧と中国、インドなど新興国の20カ国・地域(G20)による緊急首脳会合(金融サミット)は15日午後(日本時間16日未明)、金融安定化に向け「あらゆる追加的措置をとる」との首脳宣言を採択して閉幕したと報じられた。
    これによって世界市場は回復へ向かうのか。
    未曾有の危機に連携して立ち向かい、世界経済の成長回復を目指す強い姿勢を打ち出すとのことだが、サミット後に株価が反転するような期待が感じられるかというと、どう考えてもそうは思えない。
    第一、この会議でお題目を唱えただけで市場が反騰するなら「1世紀に一度の信用不安の津波の中にいる(once-in-a-century credit tsunami)」というグリーンスパン(Alan Greenspan)前FRB議長の発言にはならないだろう。

    本日付けのFinancial Timesの記事、World leaders unite to restore global growth(各国指導者、世界成長の回復のために団結)を見ると、アメリカの独善的な姿勢が会議をぶち壊しているとの印象を受けるし、日本の影が薄いのも相変わらずだ。
    米国発の金融危機なのは誰もがわかっているはずなのに、誰もそれを指摘しないとも書いてある。
    「一部の先進国において」ってどこのことなのか。アメリカ以外に同じような国がいくつかあるのだろうか。
    一方で、麻生首相が金融サミット閉幕後に「新しい世界経済と金融に対応した国際的な経済システムの実現に向けて引き続きリーダーシップを発揮してまいりたい」に記者団に表明したそうだが、こんなことはサミットの会議中に具体策を伴って言うことだろう。(日経新聞-世界経済安定へ積極的貢献、麻生首相が意欲表明
    別の記事のLeaders temper G20 ambitions(各国指導者、G20での野心を調整)で日本政府が1000億ドルをIMFに特別供与すると書かれてあったが、麻生首相はサミット中には本当に何の発言もしなかったのであろうか。
    少なくとも英字新聞に発言が掲載されないということは、世界では何も言わなかったのと同じことだ。
    これでリーダーシップとは笑わせる。
    このままでは、インドのシン首相が述べた「G7なんかいらない、経済的実態の変化を反映した国々の適切な代表者を伴った真に国際的な枠組みを作れ」といったものが実現したときに、金の出せなくなった日本が入っていることができるのか大いに疑問だ。

    それにしても、サミットでは決まったのは、結局のところこれから何かをするので、また4月30日に集まろうという感じを持つのは私だけであろうか。
    それともオバマ次期大統領がカリスマ的な働きをするのであろうか。
    いずれにしろ、今回のサミットの結末を見る限り、来年の春までは自律的反発の域を超える反騰はないだろう。
    なぜなら、オバマ氏が大統領に就任するまでの間、米国自身が斬新的な政策を打ち出す可能性がなくなったのだから・・・

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    World leaders unite to restore global growth (各国指導者、世界成長の回復のために団結)
    (November 16 2008 Financial Times)

    World leaders agreed to take "whatever further actions are necessary" to tackle the financial crisis and restore global growth at an emergency summit of the Group of 20 in Washington on Saturday.

    土曜日にワシントンで行われたG20の緊急サミットで、各国の指導者たちは、金融危機と世界成長の回復に果敢に取り組むために「なお一層の行動が必要」とすることに合意した。

    They set out an ambitious agenda for reform of the financial regulatory system and institutions such as the World Bank and International Monetary Fund and agreed to meet again in April to consider more concrete steps.

    彼らは、金融監督システムと、世界銀行や国際通貨基金のような機関の改革のための意欲的な行動を計画し、より具体的な措置を検討するために4月に再会することに合意した。

    The 20 leaders, whose countries represent more than 85 per cent of the world's gross domestic product, also vowed to use "fiscal measures" and monetary policy to shore up the world economy but stopped short of announcing a coordinated stimulus programme.

    世界の国内総生産の85パーセント以上に相当する20カ国の指導者たちは、また、世界経済をテコ入れするための「財政処置」と金融政策を使うと明言したが、組織的な景気刺激策の発表までには至らなかった。

    George W. Bush, the outgoing US president, declared the summit a "very successful" first step but acknowledged it would fall to his successor, Barack Obama, to take the process forward. The next summit will take place on April 30 - 101 days after Mr Obama takes office.

    退陣する米国の大統領であるジョージ・ブッシュは、サミットを「非常に成功した」第一歩と宣言したが、処置を進めることが彼の後継者であるバラク・オバマに(責任が)降りかかることを認めた。次のサミットはオバマ氏の大統領就任101日後の4月30日に行われる予定だ。

    In a five-page communique setting out broad principles for reform and a detailed action plan, the G20 agreed to increase supervision of banks and credit rating agencies, tighten regulation of high-risk financial products such as credit default swaps, and "review" executive compensation practices.

    改革と詳細な行動計画のために大まかな原則を述べている5ページの声明文書において、G20は銀行と信用格付け機関の監視を増やすこと、クレジットデフォルトスワップ(貸付債権の信用リスクを保証してもらうオプション取引)のようなリスクの大きい金融商品の規制を強化すること、役員報酬の慣行を「見直す」ことに合意した。

    In a blunt assessment, the communique blamed the crisis on, "weak underwriting standards, unsound risk management practices, increasingly complex and opaque financial products and consequent excessive leverage".

    率直な評価として声明文書は、「脆弱(ぜいじゃく)な引き受け基準、不健全なリスク管理慣行、複雑で不透明な金融商品と結果としての過度なレバレッジ」による危機であると非難した。

    Without naming the US, the leaders concluded that "policymakers, regulators and supervisors, in some advanced countries, did not adequately appreciate and address the risks building up in the financial markets".

    米国を名指しせずに各国指導者たちは「一部の先進国において、政策・規制当局者と監督者たちは、金融市場で積み重なっているリスクを適切に評価して対処することをしなかった」と結論づけた。

    The agreement represented a partial victory for European leaders who arrived in Washington with a range of proposals to tighten market regulations amid the most serious financial turmoil since the Great Depression.

    合意文書は、世界大恐慌以来の最も深刻な金融不安の中で市場規則を強化するという提案を持ってアメリカに来た欧州の指導者たちにとって部分的な勝利を意味した。

    "It is historic to have here in the United States an American administration - where Republicans and Democrats have refused to move on issues such as these - to have agreed to a shift," said Nicolas Sarkozy, the French president.

    ニコラ・サルコジ仏大統領、は「ここアメリカで、米政権、共和党政権でも民主党政権でも、例えばこれらのような課題に取りかかることを拒否し続けたが、それを転換することに同意したということは歴史的なことだ」と述べた。

    But the US, which remains wary of heavy-handed intervention, secured a commitment that any reforms must be in line with free market principles.

    高圧的な市場介入に対しいまだ慎重な姿勢をとるアメリカは、どんな改革でも自由市場の原則に基づかなければならないという方針を守った。

    In a statement after the summit, Mr Bush said: "Whatever reforms are recommended, we need to be guided by this simple fact: that the best way to solve our problems and solve the people's problems is for there to be economic growth. And the surest path to that growth is free market capitalism."

    サミットの後の声明においてブッシュ大統領は、「たとえどんな改革が推奨されても、我々は次の純然たる事実に沿うことが必要だ。我々の問題、そして国民の問題を解決する最善の方法は当該国の経済成長であり、その成長への最も確かな道は、自由市場資本主義である」と述べた。

    There was broad consensus on the need for an overhaul of the World Bank and IMF, including reopening the vexed question of shareholdings or "quotas" to give emerging economies greater weight in these institutions.

    世界銀行とIMFの中で株主の権利に関する難題の交渉の再開や、より大きな影響力を持つ新興経済国への「定数」のことも含めて、これらの機関の見直しの必要性についての幅広い合意があった。

    A renewed pledge was also made to complete the Doha round of global trade talks, with a goal of settling the basic parameters of a deal before the year end, and all 20 leaders agreed to take no protectionist actions for a year.

    新たな公約は、年末の前に協定の基礎的要素の確定という目標とともに、国際貿易交渉のドーハ・ラウンドを完結することとし、すべてのG20各国の指導者たちは1年間保護貿易主義的な行動を取らないことに同意した。

    The leaders said they would ensure that "all financial markets, products and participants are regulated or subject to oversight, as appropriate" - a catch-all line pushed by the Europeans.

    各国指導者たちは、「すべての金融市場、商品と参加者たちは必要に応じて規制を受け、監督される」ことを保証するつもりだ、と述べた。また、それがどんな場合にも対応可能なように欧州の指導者たちによって後押しされた。

    However US officials denied that this meant direct regulation of hedge funds and other private pools of capital that are currently supervised indirectly through their bank broker dealers.
    The G20 noted that the hedge fund industry was developing best practice codes, and said ministers would review their adequacy.

    しかし、米国の当局者は、この合意が今のところ銀行のブローカー・ディーラー(委託注文と自己取引の双方に携わる)部門によって間接的に管理されるヘッジファンドと、その他の非公開の共同出資の直接規制を指すことを否定した。
    G20は、ヘッジファンド産業によって最高の業務プログラムが開発されていたことに言及した。また、首脳らがそれらが適切かどうかを見直すつもりであることも述べた。

    The leaders also pledged a rapid effort to improve the resilience of over the counter derivatives markets, including the credit default swaps market - which is widely seen as a source of vulnerability for the global financial system. President Bush said there was agreement globally that CDS trades should be run through a central clearing house.

    各国指導者たちは、世界的な金融システムの脆弱さの源と広くみなされているクレジットデフォルトスワップ市場を含む信用デリバティブ市場を反発させるための迅速な努力を誓約した。
    ブッシュ大統領は、CDS(クレジットデフォルトスワップ)取引に際して主要な取引所を通されなければならないという合意が世界的にあったと述べた。

    World leaders tasked finance ministers to examine the procyclical nature of both accounting and regulatory regimes for banks and report back by the Spring.

    各国指導者たちは、銀行に対する会計と監査機関体制の景気循環促進の体質を調査し、春までに報告するよう財務大臣に仕事を課した。

    But US officials said this should not be read as an intention to retreat from mark to market principles.

    しかし、米国の当局者は、これが目標から市場原則へ後退する意向と解釈されるべきではないと述べた。

    There was agreement to set up colleges of national supervisors to regulate global banks.
    Finance ministers will also review compensation schemes in the financial sector, with a view to ensuring there are not excessive incentives for risk-taking.

    世界の銀行を規制するために国家的な総括団体を設立するための合意があった。財務大臣らはリスクを取るための過度の刺激から守るために、金融セクターの補償の仕組みを見直すことになるだろう。

    The leaders agreed to open up a set of key committees that govern the rules of international finance to emerging economies, starting with the Financial Stability Forum (FSF) which has emerged as the key standards-setting body.

    各国指導者たちは、主要な基準設定機関として浮上した金融安定化フォーラム(FSF=Financial Stability Forum)を手始めに、新興国経済への国際金融の規則を決定する一連の主要な委員会を開くことに合意した。

    The absence of Mr Obama, who spent the weekend in Chicago, added a sense of uncertainty to the summit as leaders were left guessing whether the US approach will change after he takes office.

    シカゴで週末を過ごしたオバマ氏の不在は、各国の指導者たちに彼の就任後に米国の姿勢が変わるか否かわからないというような不透明感をサミットに残した。

    Mr Obama sent two emissaries - Madeleine Albright, the former secretary of state, and Jim Leach, a former congressman - to meet the visiting G20 delegations but they played no direct part in the summit.

    オバマ氏はアメリカを訪問したG20代表団と会合するために2人の特使、マデレーン・オルブライト元国務長官とジム・リーチ元下院議員を派遣したが、彼らはサミットにおいて直接の役割を果たさなかった。

    In a statement afterwards, Ms Albright and Mr Leach said the president-elect believed the summit was "an important opportunity to seek a coordinated response" to the financial crisis and conveyed his "determination to continuing to work together on these challenges after he takes office in January".

    その後声明において、オルブライト氏とリーチ氏は、オバマ次期大統領がサミットが金融危機への「組織的な行動を求める重要な機会」であると信じていること、そして、彼が「1月の就任後も、これらの難問に一体となって取り組み続けることへの決意」を伝えた、と述べた。

    The summit was billed as the most important economic meeting since the Breton Woods meeting in 1944, which produced the architecture for the post-world war two economic system.

    このサミットは第二次世界大戦後の2つの経済体制を生んだ1944年のブレトン・ウッズ会合以来、最も重要な経済会議と宣伝されていた。

    While the US has sought to downplay comparisons with Breton Woods, there was a clear sense in Washington of a shifting balance of economic power as emerging markets, such as China, India and Brazil, demanded greater influence over the international financial system.


    米国がブレトン・ウッズ会合との比較でサミットを軽視しようとしている間に、例えば中国、インド、ブラジルといったような新興市場国が国際的な金融システムに対するより大きな影響力を要求したので、米国政府の中に経済力の均衡が変わってきているとの鮮明な感覚があった。

    In addition to pledging reform of the IMF and World Bank to reflect "changing economic weights in the world economy", the communique also called for the immediate expansion of the Swiss-based Financial Stability Forum to a "broader membership of emerging economies".

    「世界経済の経済的影響力の変化」を踏まえたIMFと世界銀行の改革の公約に加えて、声明文書もスイスを拠点とする金融安定化フォーラムに「新興国経済のより幅広いメンバーシップ」のための迅速な拡大を要求した。

    During the meeting, Hu Jintao, the Chinese President, called for "a new international financial order that is fair, just, inclusive and orderly".

    会議中、胡錦濤中国国家主席は「公平で、もっともな、包括的かつ秩序ある新しい国際的な金融体制」を要求した。

    Manmoham Singh, India's prime minister, said elite international bodies such as the Group of Seven were "no longer sufficient to meet the demands of the day".

    インドの首相であるマンモハン・シン氏は、G7のような選り抜きの国際的な組織が「もはや現代に必要とされる会議としては十分ではない」と述べた。

    ”We need to ensure that any new architecture we design is genuinely multilateral with adequate representation from countries reflecting changes in economic realities,” he said.

    「我々は、我々が策定するどんな新しい枠組みでも経済的実態の変化を反映した国々の適切な代表者を伴った真に国際的なものであることを保証する必要がある」と、彼は述べた。
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    関連サイト

  • 金融サミット宣言骨子
  • Decleration: Summit on financial markets and the world economy

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    2008.11.07

    オバマ大統領誕生でアメリカは変わるか

    去る4日に行われたアメリカの大統領選挙で民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)候補が共和党のジョン・マケイン(John McCain)候補を349対162の大差で破り、次期大統領の座を射止めた。
    史上初の黒人大統領の誕生への期待、ブッシュ政権の度重なる対テロを口実とした武力行使への厭戦気分、サブプライム問題に端を発した経済の急降下が重なって、当初の予想を超えたオバマ氏の圧勝になったようだ。
    それにしても米国内の盛り上がりは近年にないもので、新聞は飛ぶようになくなり、911以降はブッシュ政権の広報のような論調が目立ったCNNでさえ、Barack Obama is 'President of the world'Europe wants to love ObamaLatin American leaders laud Obama's 'historic' victoryMideast welcomes Obama, but serious challenges remainというような、まるで世界中が祝福している、といった論調だ。

    ところで、オバマ氏は勝利演説の中で「今夜は祝うにしても、明日から向き合う難題は我々の時代で最大級だ。(イラクとアフガニスタンの)二つの戦争、危機に直面した地球、今世紀最悪の金融危機・・・。さらに、新たなエネルギーの開発、雇用の創出、学校の建設、脅威への対処、修復すべき同盟関係、といった課題が待っている。道のりは長く、険しい。1年、あるいは(大統領任期の)1期(4年)の間には達成できないかも知れない。だが、私は今夜ほどそこに到達できるという希望を持てたことはない。私は約束する。我々が、国民としてそこに到達することを。(For even as we celebrate tonight, we know the challenges that tomorrow will bring are the greatest of our lifetime - two wars, a planet in peril, the worst financial crisis in a century. There is new energy to harness and new jobs to be created; new schools to build and threats to meet and alliances to repair. The road ahead will be long. Our climb will be steep. We may not get there in one year or even in one term, but America - I have never been more hopeful than I am tonight that we will get there. I promise you - we as a people will get there.)」と述べた。

    いずれもブッシュ政権が残した負の遺産とも言える。
    そして、彼はそれらの難題に挑戦し、それらを克服し、新しいアメリカを築くことが我々にはできる、と高らかに宣言した。
    1960年にジョン・F・ケネディが大統領になったときの投票率の63.8%を凌ぎ、過去100年で最高を記録すると言われる今回の選挙の熱気が、そのまま史上初の黒人大統領を生み、その余韻は未だに冷めやらない。
    果たして彼の言うように米国の歴史は変わるのか、いずれにせよオバマ新大統領の率いる米国は間違いなく世界の注目を集めるであろう。
    特にイスラム世界とアメリカの板挟みになってきたパキスタンでは、ブッシュ政権による高圧的な態度がオバマに変わることによって和らぐことが期待されている。(Pakistanis hope U.S. under Obama will be less bossy)
    ただ、このような内外の期待がアメリカの狂信的白人至上主義者の反発を呼び、根深い人種差別の感情が渦巻く中で、悲劇の歴史が繰り返されることもあり得る。
    もし、そうなれば、1995年11月のイスラエルのラビン(Yitzhak Rabin)首相暗殺が中東和平を遠いものにしたように、再びアメリカとイスラム世界のいがみ合いが始まるだろう。
    私はそんなことがないように祈りたい。

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    「米国に変革が到来」 オバマ氏勝利演説(全文)
    (2008.11.6 朝日新聞)(英文:BBC Obama's victory speech

    ■CHANGE HAS COME(変革の到来)

    If there is anyone out there who still doubts that America is a place where all things are possible; who still wonders if the dream of our founders is alive in our time; who still questions the power of our democracy, tonight is your answer.

    もし、米国ではあらゆることが可能であるということを疑ったり、建国者の夢がまだ生きているのか疑問に思っていたり、米国の民主主義の力を疑ったりする人がいたら、こう言いたい。今夜が答えだと。

    It's the answer told by lines that stretched around schools and churches in numbers this nation has never seen; by people who waited three hours and four hours, many for the very first time in their lives, because they believed that this time must be different; that their voices could be that difference.

    この答えは、(投票するために)全国の学校や教会の周りに行列を作ったこれまでにない数の人々、何時間も待ち続けた人々によって示された。これらは多くの人たちにとって初めてのことだった。今回は違うはずで、自分たちの声が変革になりうると信じていたからだ。

    It's the answer spoken by young and old, rich and poor, Democrat and Republican, black, white, Hispanic, Asian, Native American, gay, straight, disabled and not disabled - Americans who sent a message to the world that we have never been just a collection of individuals or a collection of Red States and Blue States: we are, and always will be, the United States of America.

    若者と高齢者、富める者と貧しい者、民主党員と共和党員、黒人と白人、ヒスパニック、アジア系、先住民、同性愛者とそうでない人、障害を持つ人とそうでない人が出した答えだ。我々は決して単なる個人の寄せ集めだったり、単なる青(民主党)の州や赤(共和党)の州の寄せ集めだったりではないというメッセージを世界に伝えた米国人の答えだ。私たちは今も、これからもずっとアメリカ合衆国だ。

    It's the answer that led those who have been told for so long by so many to be cynical, and fearful, and doubtful of what we can achieve to put their hands on the arc of history and bend it once more toward the hope of a better day.

    米国人が達成できることについて、悲観的でおびえていて、懐疑的であるようにとあまりに長い間、あまりに多くの人から言い聞かされてきた人々に対して、歴史の弧に手をかけ、より良い明日の希望に向かって再びそれを動かすように導いた答えだ。

    It's been a long time coming, but tonight, because of what we did on this day, in this election, at this defining moment, change has come to America.

    長い時間がかかった。でも今夜、この決定的な瞬間、この選挙の日に私たちが成し遂げたことにより、米国に変革が到来したのだ。

    ■PARTNERS IN THE JOURNEY(旅の相棒)

    A little bit earlier this evening I received an extraordinarily gracious call from Senator McCain. He fought long and hard in this campaign, and he's fought even longer and harder for the country he loves. He has endured sacrifices for America that most of us cannot begin to imagine. We are better off for the service rendered by this brave and selfless leader.

    先ほど、マケイン上院議員からとても丁重な電話を頂いた。マケイン議員はこの選挙戦で、長い期間懸命に戦った。そして彼は、愛する国のため、もっと長い間、もっと懸命に戦ってきた。彼は米国のために、私たちの大半が想像もつかないほどの犠牲を耐え忍んできた。この勇敢で私心のない指導者の献身のおかげで、私たちはより良い暮らしを享受している。

    I congratulate him, I congratulate Governor Palin, for all they have achieved, and I look forward to working with them to renew this nation's promise in the months ahead.

    私は、マケイン氏とペイリン知事が達成したことについて、彼らを祝福する。
    これから、この国の希望を新たにするため、彼らと共に働くことを楽しみにしている。

    I want to thank my partner in this journey, a man who campaigned from his heart and spoke for the men and women he grew up with on the streets of Scranton and rode with on that train home to Delaware, the vice-president-elect of the United States, Joe Biden.

    この選挙戦での私の相棒に感謝したい。心のこもった演説を行い、スクラントンの街で共に育ち、デラウェアへ帰宅する列車に乗り合わせた、そんな普通の人々のために発言してきた男、合衆国副大統領に選ばれたジョー・バイデンだ。

    And I would not be standing here tonight without the unyielding support of my best friend for the last 16 years, the rock of our family, the love of my life, the nation's next first lady, Michelle Obama. Sasha and Malia, I love you both more than you can imagine, and you have earned the new puppy that's coming with us to the White House.

    さらに私は、過去16年にわたる最良の親友であり、家族の要、生涯愛する人、そして次のファーストレディーとなる(妻の)ミシェル・オバマの揺るぎない支持なくして、今夜ここに立つことはできなかった。(娘の)サーシャとマリア、君たちが想像する以上に私は君たちのことを愛している。新しい子犬と一緒にホワイトハウスに行こう。

    And while she's no longer with us, I know my grandmother is watching, along with the family that made me who I am. I miss them tonight, and know that my debt to them is beyond measure. To my sister Maya, my sister Auma, all my other brothers and sisters - thank you so much for all the support you have given me. I am grateful to them.

    もうこの世にいないが、(母方の)祖母が、私をここまで育ててくれた家族と共に私のことを見守ってくれていることを知っている。亡き家族がここにいないのをとても寂しく思う。彼らへの恩義は計り知れないものだ。姉妹のマヤとアルマ、他のすべての兄弟姉妹たち、君たちの応援にとても感謝している。

    To my campaign manager David Plouffe, the unsung hero of this campaign, who built the best political campaign in the history of the United States of America. My chief strategist David Axelrod, who has been a partner with me every step of the way, and to the best campaign team ever assembled in the history of politics - you made this happen, and I am forever grateful for what you've sacrificed to get it done.

    選挙事務局長のデービッド・プルフ、君はこの選挙戦の隠れた英雄だ。おそらく米国の歴史上で最高の政治運動の態勢を築いてくれた。最高戦略責任者のデービッド・アクセルロッド、君はあらゆる局面で私と共にいてくれた。政治史で最高の選挙チームが勝利を可能にした。このために君たちが払った犠牲に対して永遠に感謝する。

    ■VICTORY FOR THE PEOPLE(国民の勝利)

    But above all, I will never forget who this victory truly belongs to - it belongs to you.

    しかし、何にもまして、この勝利が本当は誰のものかを私は決して忘れない。それは(米国民である)あなたたち、あなたたちのものなのだ。

    I was never the likeliest candidate for this office. We didn't start with much money or many endorsements. Our campaign was not hatched in the halls of Washington - it began in the backyards of Des Moines and the living rooms of Concord and the front porches of Charleston.

    私は大統領の最有力候補であったことがなかった。十分な資金や多くの推薦と共に始めたわけではない。最初は資金も支持者も少なかった。我々の選挙戦はワシントンの大会場ではなく、デモインの裏庭やコンコードの居間、チャールストンの玄関先で始まった。

    It was built by working men and women who dug into what little savings they had to give $5 and $10 and $20 to the cause.

    少ない貯金の中から5ドル、10ドル、20ドルを出してくれた、働く人々のおかげだ。

    It grew strength from the young people who rejected the myth of their generation's apathy; who left their homes and their families for jobs that offered little pay and less sleep; it grew strength from the not-so-young people who braved the bitter cold and scorching heat to knock on the doors of perfect strangers; from the millions of Americans who volunteered, and organised, and proved that more than two centuries later, a government of the people, by the people and for the people has not perished from the Earth.

    力を増したのは、無気力な世代という神話をはねのけた若者たちが、家族から離れ、少ない報酬と睡眠時間の仕事をしてくれたからだ。寒さにも暑さにも負けず、全くの赤の他人の家をノックして回ってくれた、そう若くない人々からも力を得た。ボランティアとして集まって組織を作り、(リンカーン米大統領の言った)「人民の人民による人民のための政治」は200年以上たっても滅びていないと証明した何百万人もの米国人から力を得た。

    This is your victory.

    これは、あなたたちの勝利だ。

    ■THE TASK AHEAD(待ち受ける難題)

    I know you didn't do this just to win an election and I know you didn't do it for me. You did it because you understand the enormity of the task that lies ahead. For even as we celebrate tonight, we know the challenges that tomorrow will bring are the greatest of our lifetime - two wars, a planet in peril, the worst financial crisis in a century.

    そして、あなたたちがこの選挙に勝つためだけに行動したのではないことを私は知っている。私のために行動したのでないことも。あなたたちは、これから待ち受けている膨大な課題を理解しているから行動したのだ。今夜は祝うにしても、明日から向き合う難題は我々の時代で最大級だ。(イラクとアフガニスタンの)二つの戦争、危機に直面した地球、今世紀最悪の金融危機・・・。

    Even as we stand here tonight, we know there are brave Americans waking up in the deserts of Iraq and the mountains of Afghanistan to risk their lives for us.

    我々は今夜、ここに集っていても、イラクの砂漠やアフガニスタンの山地で起床し、我々のために命の危険を冒している勇敢な米国人がいることを知っている。

    There are mothers and fathers who will lie awake after their children fall asleep and wonder how they'll make the mortgage, or pay their doctor's bills, or save enough for their child's college education. There is new energy to harness and new jobs to be created; new schools to build and threats to meet and alliances to repair.

    子供たちが眠りについた後も、多くの父親や母親が、住宅ローンや医療費、子供たちの大学の費用をどうやって工面したらいいか思い悩ませている。新たなエネルギーの開発、雇用の創出、学校の建設、脅威への対処、修復すべき同盟関係、といった課題が待っている。

    ■REMAKING THE NATION(国家の再建)

    The road ahead will be long. Our climb will be steep. We may not get there in one year or even in one term, but America - I have never been more hopeful than I am tonight that we will get there. I promise you - we as a people will get there.
    There will be setbacks and false starts. There are many who won't agree with every decision or policy I make as president, and we know that government can't solve every problem. But I will always be honest with you about the challenges we face. I will listen to you, especially when we disagree.

    道のりは長く、険しい。1年、あるいは(大統領任期の)1期(4年)の間には達成できないかも知れない。だが、私は今夜ほどそこに到達できるという希望を持てたことはない。私は約束する。我々が、国民としてそこに到達することを。
    出だしのつまずきや失敗はあるだろう。大統領としての私の決定や政策のすべてに必ずしも賛成しない人もたくさんいるだろう。政府があらゆる問題を解決することはできないことも我々は知っている。 だが、我々が直面する困難について私は常にあなたたちに正直にいる。特に意見が異なるときほど、あなたたちの声を聞く。

    And above all, I will ask you to join in the work of remaking this nation the only way it's been done in America for 221 years - block by block, brick by brick, calloused hand by calloused hand.

    そして何よりも、あなたたちにこの国の再建に加わってもらいたい。221年間米国がやってきた、ブロックやれんがを一つひとつ、硬くなった手で積み上げるという唯一のやり方で。

    ■ONE NATION, ONE PEOPLE(ひとつの国家、ひとつの国民)

    What began 21 months ago in the depths of winter cannot end on this autumn night. This victory alone is not the change we seek - it is only the chance for us to make that change. And that cannot happen if we go back to the way things were. It cannot happen without you, without a new spirit of service, a new spirit of sacrifice.

    21カ月前の真冬に始まったことは、この秋の夜には終わらない。この勝利だけが、我々が追い求める変革ではない。これは変革を行うためのチャンスに過ぎない。もし以前の状況に戻ってしまったら、変化は起きない。あなたたち抜きではできない。新しい奉仕、犠牲の精神抜きではできない。

    So let us summon a new spirit of patriotism; of service and responsibility where each of us resolves to pitch in and work harder and look after not only ourselves, but each other. Let us remember that if this financial crisis taught us anything, it's that we cannot have a thriving Wall Street while Main Street suffers - in this country, we rise or fall as one nation; as one people.

    仕事に取りかかり、より懸命に働き、そして互いに助け合えるよう、新しい愛国の精神、責任感の精神を呼び起こそう。今回の金融危機が何かを教えてくれたとしたら、町の大通りが疲弊しているときにウォール街だけが栄えていることはできないということだと思いだそう。この国では、我々は一つの国家、つまり一つの国民として栄えたり衰退したりする。

    Let us resist the temptation to fall back on the same partisanship and pettiness and immaturity that has poisoned our politics for so long. Let us remember that it was a man from this state who first carried the banner of the Republican Party to the White House - a party founded on the values of self-reliance, individual liberty, and national unity.

    長い間この国の政治を害してきた狭量で未熟な党派主義に戻ろうという誘惑に耐えよう。初めて共和党からホワイトハウスに乗り込んだのは、この州の出身者だった。共和党は自立と個人の自由、国の団結という価値観に基づいて設立された。

    Those are values that we all share, and while the Democratic Party has won a great victory tonight, we do so with a measure of humility and determination to heal the divides that have held back our progress. As Lincoln said to a nation far more divided than ours: "We are not enemies, but friends… though passion may have strained it must not break our bonds of affection."

    これらの価値観は我々も共有している。今夜、民主党は大きな勝利を得た。だがそれは、一定の謙虚さと、我々の進歩を滞らせてきた分断状態を正常化しようという決意を伴うものだ。リンカーンは、我々以上に分裂していた国民に対し、「我々は敵ではなく友人なのだ」と語った。感情は高まっているかもしれないが、好意のきずなを断ってはいけない。

    And to those Americans whose support I have yet to earn - I may not have won your vote tonight, but I hear your voices, I need your help, and I will be your president too.

    私を支持してくれなかった人たち、あなたたちの票は得られなかったが、あなたたちの声は聞こえている。あなた方の助けが必要だ。私はあなたたちの大統領にもなるのだ。

    ■AMERICA IN THE WORLD(世界の中のアメリカ)

    And to all those watching tonight from beyond our shores, from parliaments and palaces to those who are huddled around radios in the forgotten corners of the world - our stories are singular, but our destiny is shared, and a new dawn of American leadership is at hand.

    今夜、米国の外で見守っている人たち、議会や王宮のみならず、忘れられた世界の片隅で、ラジオの周りに集まっている、あらゆる人々に対して言いたい。我々の物語はそれぞれ独自のものだが、行き先は共有できる。米国の新しい指導力の夜明けは近づいている、と。

    To those who would tear the world down - we will defeat you. To those who seek peace and security - we support you.

    この世界を破壊しようとする者たち、我々はおまえたちを打ち負かす。そして、平和と安全を求める人々、我々はあなたがたを支援する。

    And to all those who have wondered if America's beacon still burns as bright - tonight we proved once more that the true strength of our nation comes not from the might of our arms or the scale of our wealth, but from the enduring power of our ideals: democracy, liberty, opportunity and unyielding hope.

    米国の(指導力の)灯台が今も明るく輝いているのか疑問に思っている人々よ。今夜、我が国の本当の強さが、武力や富の力ではなく、民主主義や自由、機会や希望といった絶えざる理想の力に由来することを改めて証明した。

    For that is the true genius of America - that America can change. Our union can be perfected. And what we have already achieved gives us hope for what we can and must achieve tomorrow.

    これが米国の真の才能だ。米国は変化できる。我々の団結は完遂できる。これまで成し遂げたことから、明日達成できること、そしてしなければならないことへの希望が生まれる。

    ■A HISTORY OF STRUGGLE(奮闘の歴史)

    This election had many firsts and many stories that will be told for generations. But one that's on my mind tonight is about a woman who cast her ballot in Atlanta. She's a lot like the millions of others who stood in line to make their voice heard in this election except for one thing - Ann Nixon Cooper is 106 years old.

    今回の選挙で初めて起きたこと、そして多くの話が、何世代にもわたって語り継がれるだろう。しかし、今夜私の心に浮かぶのは、アトランタで1票を投じた女性のことだ。他の数百万人の有権者と同様に、行列に並んで投票した。ただひとつ他の人たちと違っていたのは、彼女、アン・ニクソン・クーパーさんが106歳だということだ。

    She was born just a generation past slavery; a time when there were no cars on the road or planes in the sky; when someone like her couldn't vote for two reasons - because she was a woman and because of the colour of her skin.

    彼女は奴隷制が終わってわずか1世代後に生まれた。まだ道には車がなく、空には飛行機が飛んでいなかった時代だ。彼女のような人が、女性であるということと、肌の色という2つの理由で投票ができなかった時代だ。

    And tonight, I think about all that she's seen throughout her century in America - the heartache and the hope; the struggle and the progress; the times we were told that we can't, and the people who pressed on with that American creed: Yes, we can.

    今夜、この1世紀に米国で彼女が見たすべてのことに思いをはせたい。傷心と希望、努力と進歩、「不可能だ」と言われ続けたことに対して、「我々はできる」という米国の信条を進めようとした人々。

    At a time when women's voices were silenced and their hopes dismissed, she lived to see them stand up and speak out and reach for the ballot. Yes, we can.

    女性が声を出せず、希望が踏みにじられた時代もあったが、女性が立ち上がって発言し、投票を求める姿を、彼女は目の当たりにした。我々はできるのだ。

    When there was despair in the dust bowl and depression across the land, she saw a nation conquer fear itself with a New Deal, new jobs and a new sense of common purpose. Yes, we can.

    (30年代に中西部で起きた)土埃の嵐の絶望や全土の恐慌の時にも、この国がニューディール政策や新たな雇用、そして新たな共通目標の意識によって、恐怖そのものを克服するのを、彼女は見た。我々はできるのだ。

    When the bombs fell on our harbour and tyranny threatened the world, she was there to witness a generation rise to greatness and a democracy was saved. Yes, we can.

    我々の港が爆撃され、独裁体制が世界を脅かしたが、彼女は、一つの世代が立ち上がり、民主主義が守られるのを目撃した。我々はできるのだ。

    She was there for the buses in Montgomery, the hoses in Birmingham, a bridge in Selma, and a preacher from Atlanta who told a people that "we shall overcome". Yes, we can.

    (黒人解放運動のきっかけとなったアラバマ州)モンゴメリーの通学バスのボイコットやセルマのデモ、「我々は勝利する」というキング牧師の言葉も聞いた。我々はできるのだ。

    A man touched down on the Moon, a wall came down in Berlin, a world was connected by our own science and imagination. And this year, in this election, she touched her finger to a screen, and cast her vote, because after 106 years in America, through the best of times and the darkest of hours, she knows how America can change. Yes, we can.

    人類が月に到達し、ベルリンの壁が崩壊し、世界は科学と想像力でつながった。そして今年、この選挙で彼女は指で画面に触れて一票を投じた。106年の生涯で良いときも暗い時代も経験し、彼女は米国がいかに変化するかを知っているからだ。我々はできるのだ。

    ■THIS IS OUR MOMENT(我々の時代)

    America, we have come so far. We have seen so much. But there is so much more to do. So tonight, let us ask ourselves - if our children should live to see the next century; if my daughters should be so lucky to live as long as Ann Nixon Cooper, what change will they see? What progress will we have made?

    米国よ、我々はここまで来た。いろんなものを見てきた。だが、やるべきことはまだまだある。だから今夜、自らに問おう。我々の子どもたちは次の世紀を見られるのか。私の娘たちがアン・ニクソン・クーパーのように長生きできたら、どんな変化を見るのか。我々はどんな進歩を遂げているのか。

    This is our chance to answer that call. This is our moment.

    これらの問いに我々が答える好機だ。今は、我々の時代なのだ。

    This is our time - to put our people back to work and open doors of opportunity for our kids; to restore prosperity and promote the cause of peace; to reclaim the American dream and reaffirm that fundamental truth - that out of many, we are one; that while we breathe, we hope, and where we are met with cynicism and doubt, and those who tell us that we can't, we will respond with that timeless creed that sums up the spirit of a people: yes, we can.

    人々に仕事を戻し、子どもたちに機会の扉を開こう。繁栄を再建し、平和の大義を推進しよう。アメリカン・ドリームを取り戻し、我々は一つであるという根本的真実を再確認しよう。希望を持つことは息するくらい当たり前だ。皮肉や懐疑心に出会ったり、「できやしない」という人に出会ったりしたら、米国民の精神を要約する不朽の信条で応えよう。「我々はできる」

    Thank you, God bless you, and may God bless the United States of America.

    ありがとう。神の祝福がありますように、そしてアメリカに幸あれ。
    ********************************************

    関連サイト

  • ダイヤモンド・オンライン-米国大統領選
  • 朝日新聞-’08米大統領選
  • 産経ニュース-2008米大統領選
  • 毎日新聞-2008米大統領選
  • 読売新聞-米大統領選
  • CNN Japan-米大統領選
  • BBC - US elections 2008
  • CNN - Election Center 2008

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    2008.10.26

    円高、原油安は日本にとってグッドニュースではないのか

    私が7月6日に「原油高はどこまで続くのか」というコラムを書いたときからすると想像もできないほど外貨もオイルも急落している。
    結果論から言えば、このときがすべての高値だったという気がしないでもない。
    さて、円高も原油安も日本にとっていいニュースであるのに、なぜかメディアは悲観的なコメントばかり流している。
    確かに日本の基幹企業であるトヨタやソニーの業績は円安によって悪化するのは間違いないが、1990年代の超円高時代を乗り切ってきた力があり、今でも世界のトップカンパニーの1つなのだからそれほど悲観することはないだろう。

    むしろ、食料もエネルギーも輸入に頼らなくてはならない日本にとって、円高は大いにメリットがあることではないのか。
    原油価格が最高値を更新し続けた夏場に、あれだけ生き死にの問題だと騒ぎ立てた人たちは、今のうちに備蓄を増やすチャンスだ、将来に備えて安いオイルを買え、と政府になぜ言わないのか、メディアはなぜそれを主張しないのか、呆れてものを言う気にもならない。
    それに、そういうことは経済産業大臣である二階俊博氏の仕事のはずであるが、何も聞こえて来ないのは来る総選挙のことで頭がいっぱいなのであろう。
    まさに、これらは日本がいかに内向きで、国際化というのは言葉だけが一人歩きしていることを如実に示している。

    おそらく、これで日本は千載一遇のチャンスを逃すだろうし、近い将来、原油価格や外貨が反騰すれば、日本は第三次石油危機を迎える可能性が大いにある。
    かつての石油危機のときは日本が高度成長時代のことだったので、官民が一丸となって乗り越えることができたが、第三次が来るとすれば、そこには泥沼のスタグフレーションが待っているだろう。
    もし、そうなったら誰が首相になろうと1年や2年でリカバリーすることなんて不可能だし、下手すれば第二、第三の夕張市が出て、いよいよ公務員ですら失業する時代がやってくる。
    私が思うに、そのババを政権奪取のチャンスと意気込む小沢民主党に引かせようと、自民党はアホのフリをしている(もしかすると本当にアホかもしれないが)としか思えないほど無策である。

    ところで、短期的に見れば原油の先物価格が最高値の半値を割っているのだから、航空運賃の燃油サーチャージや市井のガソリン価格も冬に向けて下がることが期待できる。
    ただ、燃油サーチャージに関して言えば、2008年の第4四半期(10月から12月)に適用される3ヶ月間のサーチャージは、改定時には原油価格がピークを付けていただけに、第3四半期(7月から9月)よりも上がっているところもあるようだ。
    そういう論理でいくと2009年の第1四半期(1月から3月)は下がることが期待できるが、改定時点での直近3ヶ月間のシンガポールケロシン市況価格(Singapore Kerosene-Type Jet Fuel Spot Price: 1バレル当たりの金額(米ドル)に換算するには、表示額×0.42)の9月の価格を見ると、それほど落ちてはいない。
    もっとも100ドルの大台を割ってからの原油価格(Crude Oil Price Forecast)は崩落の状態なので、2007年くらいのレベルには落ちる可能性もある。
    もし、これから海外旅行などを企画するのであれば、今が外貨両替のチャンス、そして旅行の時期は1月から3月がいいのではないだろうか。
    一方の市井のガソリン価格はどうであろうか。
    こちらも石油情報センターの全国のレギュラーガソリン平均店頭価格によれば、8月4日の最高値の185.1円から順調に下げが反映しているようだが、それでも5月時点のレベルである157.4円、地域によってはこれより安いところもあるが、今春の道路特定財源を巡る政界のドタバタ劇は何だったのかとならないように祈るだけだ。

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    NY原油下落、1バレル=64.15ドル (2008.10.25 読売新聞)

    【ニューヨーク=山本正実】24日のニューヨーク原油先物市場は、世界的な景気後退への懸念から売りが優勢となり、原油価格は反落した。
    標となるテキサス産軽質油(WTI)の12月渡し価格は一時、1バレル=62.65ドルまで下落し、約1年5か月ぶりの安値を付けた。終値は前日比3.69ドル安の1バレル=64.15ドルだった。
    石油輸出国機構(OPEC)は24日、日量150万バレルの減産を決めたが、市場の反応は薄かった。
    新興国を含めた景気後退による需要減を見越した売りに加え、米欧の投資ファンドが手元資金を確保するため換金売りの動きを強めている。

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    ガソリン店頭価格、4円安の157.4円で11週連続下落 (2008.10.22 読売新聞)

    石油情報センターが22日発表した全国のレギュラーガソリン平均店頭価格(20日時点、1リットルあたり)は、前週(14日)比4.2円安の157.4円で、11週連続の下落となった。
    調査開始以来の最高値185.1円を記録した8月4日時点から計27.7円の下落となった。160円割れは5月7日時点以来、約5か月半ぶりで、東京や大阪など33都道府県で160円を下回っている。
    原油価格の下落が続いた影響で、新日本石油と出光興産は27日からガソリンなどの卸価格を4週連続で値下げする方針で、今後の店頭価格も値下がりが続く見通しだ。
    全国のハイオクガソリン平均店頭価格(20日時点、1リットルあたり)は前週(14日)比4.3円安い168.2円、軽油は同3.5円安の144.0円、灯油(18リットルあたり)は同57円安の2,018円だった。
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    2008.08.27

    日本の航空3バカトリオ

    国土交通省が国際拠点空港としているのは成田空港、関西国際空港、そして中部国際空港の3つである。
    ところが、これらの空港と地方空港を結ぶフライトは、中部発着のローカル線を除けば、新千歳、福岡、那覇以外の路線はない。
    極論すれば、日本の主要空港は6つ、あとは離島住民の足を確保するという政策的な見地から小型航空機が発着できるコミューター空港があれば事足りるのだが、一県一空港というばかげた政策を推進する政府と、その支持者たちは国際線のジャンボ機が発着できる空港の誘致し続けてきた。
    維持費も莫大になり、実にばかけだことだが、そんなことは利権に群がる泥棒たちを別にすれば、誰もが感じていることだろう。

    ところで、私は海外居住や海外発券の経験がないので、深く調べたことはないのだが、海外から成田(関空・中部)行きのJALかANAのチケットと同料金(もしくはわずかな追加料金)で、さらに近距離の国際線、例えばソウルや台北へ行けたり、国内線のフライトと接続できたりするのだろうか。
    何を言いたいかと言うと、例えばタイ航空で成田-バンコク-チェンマイと飛ぶときのバンコク-チェンマイ間や、ルフトハンザで成田-フランクフルト-ローマと飛ぶときのフランクフルト-ローマ間のようなことが日系キャリアでも可能なのかと言いたいのだ。

    日本の空に格安航空会社が参入しようとするとき、国土交通省航空局の役人やJAL、ANAの経営陣(これを私は日系航空3バカトリオと呼ぶ)は、両者の競合路線では不毛な価格競争を生み、延(ひ)いては収益悪化から安全性が損なわれ、このことは国民(利用者)のためにならないと言う。
    しかし、現実にはバンコク-チェンマイ間にはタイ航空も格安航空のエアーアジアも飛んでいるし、フランクフルト-ローマ間においてライアンエアーとの価格競争の末にルフトハンザが撤退したという話もない。
    日系航空3バカトリオの言い分が事実なら世界中で格安航空会社規制論が出てもおかしくない。

    速さだけが「空の旅」か』を書いた谷川一巳氏も言うように、大手のフラッグキャリアは国際線と国内線の通しチケットによる外国人旅客を確保することで、格安航空との競合路線のシェアーを維持しているのだ。
    例えば日本人がタイ周遊旅行をするときに取りうる選択肢は3つある。

    1.バンコクまでタイ航空で行き、その先の地方都市への国内線を追加フライト(一般的に無料又はわずかな追加料金で購入可)として購入する。この場合の乗り継ぎは一般的にスムーズで、そのように航空会社もスケジュール編成をしている。

    2.バンコクまで米系の安いチケットを買い、国内線はエアーアジアなどの格安航空会社を利用する。この場合、乗り継ぎ空港でのトランジットは長くなることもあり、時間を有効利用できないこともある。

    3.タイ国内の移動は鉄道もしくはバスのみとする。

    いずれにしようか時間との兼ね合いで選択肢が広がるだろう。

    ところが日本に来る外国人がJALやANAを利用したとしたらどうなるか。
    1の選択肢がなければ、日系キャリアを利用しようというモチベーションは、チケット代が他社便と比べて安いか、フライトスケジュールが良くなければ、ほとんどないだろう。
    まして成田から羽田に移動させられるならば、3を取りうる(日本でいえばJRを利用する)と思わないか。
    要は、日系キャリアは日本人のみのためにあると言っても過言でなく、その乗客を奪い合うことになれば、確かに日系航空3バカトリオの言う通り、格安航空の参入は死刑宣告となる。

    ついでながら、ある外国人が、シンガポールからソウルに行くのにJALを使って、帰りに東京見物をしたいと思ったとする。
    私もそういうことはよくやるのだが、メインとなる旅行先へ行くのに、第三国のキャリアを使い、往路は単なる乗り継ぎ、復路でその第三国でストップオーバーをしたいというのはよくあることだ。
    この寄り道が新しい発見につながったり、直行するより体が楽だったりするからだ。
    このとき、シンガポールから成田経由、ソウルへのJALの格安航空券がないとすれば、外国人からすれば、JALのチケットは日本との単純往復以外に使わないだろう。
    私は海外旅行から帰国するたびに思うのだが、いったい、成田へのフライトから、さらに別の国へ行くフライトに乗り換えをする外国人がいったい何人いるのだろうか。
    成田空港でのTransfer(乗り換え)への連絡通路が単なるオブジェにしか見えないのは私だけであろうか。
    日系航空3バカトリオは、JALやANAのチケットのあり方を抜本的に変え、成田や関空、中部をシンガポールのチャンギ空港のようなアミューズメント空港にすれば、そこでトランジットしたいという旅客も増え、それが航空業界の収益増につながると思ったことはないのだろうか。

    *****************************************************
    このコラムを掲載後、別のところで以下のようなコメントをいただいた。
    さっそくのご指摘感謝致します。

    >(日系航空でも海外から成田空港経由で)各地へ定額で乗り継げ、主要空港はそれより安いか成田と同額になっているようです。海外発券、一時やったので調べたことがあります。

    >(日系航空の国際線から)国内の乗り継ぎは別に買うよりは安いチケットをつなげるし、乗り継ぎでディスカウントチケットも販売していますよ。

    ただいすれのコメントも成田での乗り継ぎに難アリとのことだった。
    このあたりが改善されないと苦しいということに変わりはなさそうだ。
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    2008.08.17

    放置国家の無差別殺人者が大手を振って街を歩く

    2009年(平成21年)5月21日から施行される裁判員制度について、私は過去4回にわたって懸念を表明してきた。(2005年4月17日2006年10月15日2007年8月24日2008年5月24日
    そして、今回は裁判員制度が骨抜きにされかねないのではないかという懸念を表明したい。
    ご存知の方も多いだろうが、裁判員が関与する裁判は、殺人罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪、危険運転致死罪などが罪状とされる事件だ。

    最近日本では無差別殺人(テロ)というものが多発している。
    これに関してメディアは、加害者たちが格差社会の底辺で抑圧された云々ということを書き、家庭環境や社会生活における不遇を取り上げ、対する市井のブロガーたちはマスコミが世論をミスリードしようとしていると憤る。
    今は、市井のブロガーはネット上で憤ることしかできないが、来年以降は裁判員に選ばれれば、こうした事件に直接関わる可能性がある。
    そもそもこの制度を導入した理由が、裁判が身近で分かりやすいものにし、司法に対する国民の信頼の向上につながることを期待するということだが、果たしてそうなるのだろうか。

    私の手元に日垣隆氏の「そして殺人者は野に放たれる」という本がある。
    その中で彼は、刑法第39条(心神喪失及び心神耗弱)の規定によって精神鑑定が乱発され、その鑑定結果を検察と裁判所は量刑判断に対する言い逃れの担保とし、自らの目をもって被疑者の責任能力の判断をしなくなって(思考停止して)いる、と述べている。
    また被疑者に対して弁護士が入れ知恵して司法を誘導し、不起訴処分や刑の軽減を勝ち取ることも多いと指摘、この規定は即刻削除すべき条項であると主張している。
    仮に、精神鑑定や刑法第39条を是とするならば、刑法第39条の次に以下の条文を付加すべきとも言う。

    刑法第39条の2 (1974年5月29日法制審議会総会で決定した刑法改正草案の一部)
    1 故意に、みずから精神の障害を招いて罪となるべき事実を生ぜしめた者には、前条の規定を適用しない。
    2 過失により、みずから精神の障害を招いて罪となるべき事実を生ぜしめた者についても、前項と同じである。

    つまり、覚せい剤のような薬物摂取や過度の飲酒によって引き起こした犯罪は精神錯乱を理由として免責しない、ということだ。
    当たり前過ぎることだが、日本ではその常識が通用しないようだ。
    そして、日垣氏曰く、この改正法案は1974年(昭和49年)5月29日に法制審議会総会で正式決定を見ながら、歴代内閣と法務当局もこれを忘却したかのように振舞っていると手厳しい。

    その中で2001年6月の宅間守による大阪池田小児童殺傷事件のとき、当時の小泉首相は「重大な罪を犯した精神障害者の処遇」に関して、刑法改正の検討を指示(参考:法務省・厚生労働省合同検討会)したが、結果は「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」が成立したものの、法律の名前通り、あくまで彼らには医療処置を受けさせるのみで、実質的には薬物乱用、過度の飲酒によるエセ精神障害者であっても刑に服さなくて済む余地が残されたままになっているのが実態と言えそうだ。
    役所言葉で「慎重に」というのが「ほぼどうしようもないが、(官邸や大臣からの頼みなので)断りきれないときに使い、実際には何も行われないということ」といった故宮本政於氏の言うことは正しかったのだ。
    日垣氏も不勉強な森山法相(当時)を自在に操る被害者無視の法務官僚に刑法改正の声は瞬く間に掻き消されたと論じている。

    これで、無差別殺人を行った者が、なぜ警察にイの一番に「むしゃくしゃしていた、酔っていてよく覚えていない」などと一見して不可解なふざけた理由を言うかおわかりだろう。
    いかにも動機がわからない、正気でない風を装えば、うまくいけば起訴されずに済むからだ。
    仮に公判に付されたとしても、こうした犯罪者に対する典型的無罪の判決理由である「被告人は犯行当時、錯乱の状況にあり、自己のおかれた状況を十分に把握できないまま、衝動的に犯行に及んだものとしか言えない。このことからすれば、被告人は自己の行為の是非善悪を弁(わきま)え、それに従って行動する能力を完全に欠如していた可能性が高く、少なくとも合理的な疑いを否定することができない。以上のことから刑法39条1項によって罪とはならない。」を勝ち取ることができると考えているからだ。

    事実、平成19年版の犯罪白書の被疑事件の受理・処理の状況によれば、平成18年に検察庁における凶悪事件の不起訴件数は、殺人が1,347件のうち560件(約40%)、強盗が4,208件のうち621件(約15%)、傷害が32,010件にうち9,791件(約30%)、暴行が12,477件にうち6,175件(約50%)と驚くべき高率だ。
    この中には警察が送検してきたものの証拠不十分と判断されたものや、情状酌量の余地ありというのもあるだろう。
    しかし、こと殺人に関しては介護疲れからやむを得ずといった公判で涙を誘うような(執行猶予が付く)ケースであっても起訴はされるのだ。
    この40%という高率は、証拠不十分という理由を別にすれば、精神障害が少しでも疑われる被疑者を公判に付した結果、刑法第39条の適用による無罪という判決(世界に誇る!?有罪率の低下)を恐れる検察の姿勢の表れと言えよう。

    これでは、無差別殺人者にとっては司法ゲームを楽しんでいるだけだと言っても過言でない。
    少なくとも精神障害者を装えば、死刑にはならない、不起訴なら完封勝利、裁判で無罪なら僅差勝ち、実刑が付けば負け、という単なる司法ゲームだ。
    そう、私に言わせれば最近多発している無差別殺人は日本的な一種の殺人ゲームの結果であることがほとんどだ。
    被害者や遺族、安全な生活を願う良民からすればたまったものではない。
    日垣氏は言う。「何人も、故意に基づく凶悪犯罪に対して、責任と刑罰を免れるべきではない。傷害や死亡事件が明らかに病のみを原因とする過失であるならば、まさに過失犯(刑法第209条、第210条)で裁けばよく、裁判に耐えられないほど重篤な病に雁患している被告に限って(英国では年に4、5件。日本でもせいぜい8、9件程度であろう)現行通り、強制入院を命じれば事足りる。」

    さて、先に述べたように裁判員制度が施行され、犯罪被疑者が起訴されれば、それらの事件に国民が裁判員として関わることもできる。
    今までなら凶悪犯罪者に精神障害者のフリをさせ、「刑法第39条」による無罪を金科玉条のように叫んでいた人権派弁護士主導の裁判に一石を投じることもできよう。
    理屈ではそうだ。

    しかし、産経新聞「正論」-日本が司法界に弑(しい)される日に書かれている高崎経済大学助教授の八木秀次氏の言葉が妙に現実味を帯びる。
    もしかすると、今までよりも殺人を犯したエセ障害者が大手を振って街を歩くことになるかもしれないという警鐘だ。
    「仕事や学業、育児・介護で忙しい人は、裁判員の辞退理由に該当するから、いわゆる「普通の人」は辞退することになる。では実際どのような人たちが裁判員になるのか。考えられるところ、暇な人、人がよくて断れないいわゆる「人のいい人」、社会的な活動に熱心な人々ということになるが、最後の分類の中には当然のこととして、左翼市民運動のプロやセミプロといういわゆる「プロ市民」や創価学会などの巨大宗教団体の信者が含まれることになろう。ここに裁判員制度の導入に日弁連や左翼市民団体、巨大教団が賛成する最大の理由があるのだが、つまり裁判員制度は「普通の人たち」の感覚を反映させると言いながら、実のところ、「特殊な人たち」の意見を裁判に反映させる仕組みなのである。」

    それに不起訴とされる被疑者の増大が危ぶまれる。
    不起訴になった事件には(検察審査会が起訴の正否を審査する権限があるが)裁判員は関与しないからだ。
    今でさえ、殺人事件の被疑者のうち4割が不起訴なのだ。
    暴行事件においては約半分、初犯や軽微な事件で示談が成立するケースも多いだろうが、笑ってしまうのは暴行事件で起訴されても略式命令、つまり罰金刑がほとんどだ。
    司法関係者が人員が不足しているという声もあるが、これではまさに法治国家でなく、放置国家ではないか。
    病院や学校、駅で、相手に罵声を浴びせるだけでなく、時には殴打事件を繰り返すモンスター(確信的犯罪者)たち、彼らもまた放置国家の恩恵を十分に受けていると言えようか。

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    2008.07.28

    日本はドバイからも学ぶべきだ

    私は今までに何回か日本はシンガポールの政策から学ぶべきだと書いてきた。(2005年3月27日2006年5月27日2007年1月8日2007年6月26日2007年12月2日
    ところが、今日の夕刊紙の記事はドバイからも多くのことが学べることが示唆されている。
    双方に共通しているというより、今の世の中で繁栄している都市国家に共通することは、人と金の流れを呼び寄せる政策が実行されていること、特に空港がハブ化して様々な国籍の人が行き来し、国内でもかなりのレベルで英語が通じることだ。
    そして、それらの政策の根本にあるのが、自国民を養うための金を富裕な外国人に払ってもらおうというスタンスだ。

    一方、これらのすべての逆をやっているのがわが日本だ。
    ゴールデンウイークや夏に公費を使って国会議員たちが行く海外旅行はかつての農協ツアーレベル以下のものなのか。
    あれだけの金を使っているのに、外国政府要人と握手し、記念写真を撮って帰ってくるだけしか能がないのか。
    そしてそれをあがめるドメスな有権者たち。
    あげくの果てに、政府も財界もわけのわからない屁理屈をこねて人と金(外資)を遠ざけ、さらに富裕な自国民すら海外逃亡へと追い立てる。
    国際化と言いながら貧困な外国語教育、まるで政府は庶民が外国人と話すのが困るとでも言いたいような有様だ。
    結果として残された人がその穴埋め(増税)のために生贄にされる。
    かつての日本はその時代の先進国からいろいろなものを学んで成長してきた。
    しかし、今やそんな歴史に学ぶ気持ちはさらさらなく、いつまでも経済大国であるような勘違いをしている。
    いったい日本の政官財のトップはどこまでバカなのか。

    ところで、話は変わるが、世界的に不安定な市況が続くが、果たして今のドバイは「買い」なのだろうか。
    得てしてこうした投資推奨的な記事が出たときというのは、「売り」と言えなくもないが、表題にどっちとも言えないようなニュアンスが漂っているときは「買い」続行とも取れる。
    さあ、みんなで買おうぜ、という記事が出るまで安心して投資できるとも言えるのかな(笑)
    それと、来年はドバイのマリオットでバカンス気分に浸るのも悪くないかな。

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    パラダイスか!バブルか!中東・ドバイ「金満騒ぎ」 (2008.7.28 日刊ゲンダイ)

    ペルシャ湾に画するアラブ首長国連邦(UAE)の一角を占め、人口約160万人、埼玉県ほどの広さのドバイに世界中からマネーが流れ込んでいる。
    石油埋蔵量では首都アブダビの30分の1程度なのに、投資家が押し寄せ、欧米などから訪れる年間観光客も1000万人以上.。
    砂漠の”人工都市”が驚異的な発展を遂げている。その秘密とは-。

    ドバイを訪れたことがある「BRICS経済研究所」の門倉貴史所長がこう言う。
    「ドバイに繁栄をもたらしたのはムハンマド首長です。ドバイには政党も政治家も存在せず、彼が独裁で”国”の方針を決めて実行しています。その核となっているのが石油に依存しない経済構造の構築です。そのために中東初の経済特区『ジュペル・アリ・フリーゾーン』をつくり、関税を含めたタックスフリーを掛けて外国企業を誘致。さらに世界最大の人工港や物流システムなどインフラも整備しました」

    目下、特区には160カ国からざっと7000社が進出。この特区の成功が繁栄を築いた第1の秘密だ。
    世界中から投資マネーを集めるため、外国人の土地購入や株式市場への参入を認め、これが第2の秘密。
    そして第3の秘密は観光開発である。その象徴が1999年暮れに完成した世界初の7つ星ホテル「バージュ・アル・アラブ」(全室スイートルームで1泊25万円から)。
    船の帆を連想させる奇抜で斬新な外観デザインはドバイのランドマークになっている。
    世界最大の人工島「パームジュメイラ」は別荘地として売り出され、ベッカム、ビル・ゲイツ、シューマッハの有名人が購入したという。
    世界最大のショッピングモール「モール・オブ・ジ・エミレーツ」には人工スキー場まであるし、来年完成予定のタワー「ブルジュ・ドバイ」は高さ900メートルで、もちろん世界ナンバーワン。
    タワーが観光の超目玉になるのは間違いない。

    また、”免税国家”というのも魅力だ。法人税、所得税、固定資産税、消費税、キャピタルゲイン税、自動車税、たばこ税、相続税などは一切ない。
    税金の代わりに企業からは1年更新で登録料を、個人からは飲食や宿泊のたびに料金の10%の”自治手数料”をとっている。
    イスラム教の国だが、ドバイでは外国人は豚も食べられるし、アルコールも飲めるし、女性の肌の露出もOK。
    アラビア語が公用語だが、どこでも英語が通じる。
    「物価上昇率は10%以上ですが、どこまで繁栄するか見ものですね」(門倉氏)
    ドバイは”オアシス王国”かもしれない。
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    2008.07.23

    10年前と今年の世界経済の奇妙な巡り合わせ

    今日発売のニューズウイークの表紙を見て私は10年前に見たものを思い出さずにはいられなかった。
    今回(2008年7月30日号)の表紙は「ファニーメイ/フレディマック危機-大恐慌の足音」、そして1998年8月26日号の表紙は「大恐慌の足音-日本売りで現実味を帯びる世界同時不況の悪夢」である。
    まるでビデオを巻き戻して見たかのような感じである。

    そう、10年前の今頃も世界経済がいつ奈落の底に落ちるかと世界中が気を揉んでいた。
    大恐慌の引き金を引くとされたのは、瀕死の経済大国のわが日本とカジノ市場と呼ぶのがふさわしかったロシアだった。
    1998年9月9日号では「ロシア発世界経済危機」という見出しが・・・また奇妙なことに前年(つまり1997年)において世界最高の成長を見せた株式市場はロシアであったという。
    ちなみに、今年は至るところで「中国バブル崩壊」について語られているが、その前年(2007年)に世界最高の成長を見せたのは中国というのは疑いの余地がなかろう。。
    話を元に戻して、10月14日号は、「1999大破局のシナリオ」という見出しが躍り、世界経済はパニックの様相を呈した。
    事実、この号の発売日である10月7日の直後に円キャリートレードの手仕舞いが世界的に連鎖、円が空前の大暴騰を演じて世界中はパニックになった。

    そして、今年も前年から続くサブプライム危機と、エネルギー高騰によるインフレ懸念から世界経済は崩落の危機にある。
    今週になって世界の金融関連株が反騰しているとはいえ、あくまでエコノミストの市場予想より悪くなかったとかいうこじつけに近い理由で上がっているだけのようだ。
    ここ1~2年の為替動向が円キャリートレードとの関連で語られるのも10年前と同じだ。
    ここまでくると、アメリカの大型金融機関の倒産あるいは国費救済、又は中国市場の崩落といったセリング・クライマックス(売りの最終局面)があると考えられなくもない。
    そして、3月9日のブルームバーグで報じられた、アメリカ住宅金融最大手カントリーワイド・ファイナンシャルが証券詐欺の疑いで米連邦捜査局(FBI)の捜査を受けている、というのはどうなったのであろうか。
    今年の秋にこれらのものが一気に噴出すのであれば、それが今回のサブプライム金融危機の終焉になる可能性もある。

    10年前のときはニューズウイークが「1999大破局のシナリオ」と書いたときが最終章だった。
    当時のメリルリンチ日本証券のスタッフは、口座を開いたばかりの私にこう言った。
    「日本の小型株が面白いですよ」と・・・
    このとき、ファンド(投資信託)でなく、個別株に投資できていたら・・・と今でも思うときがあるが、終わったことは言うまい。
    そして、わずか2ヵ月後の12月2日号には「アジア経済-来年は明るい」との見出しがあった。
    事実、そこから1999年の世界的ITバブルを謳歌するまで半年とかからなかった。
    もし、歴史が繰り返すとすれば、今回も投資のチャンスは秋にやってくるかもしれない。
    ただし、その前にやってくるであろう世界市場の大崩落に耐えられるならば、という条件付きであるが・・・
    そう、ここまで市場に残っている投資家はそれほど悲観することはない。
    あともう少し頑張ればやっていて良かったとクリスマスにシャンパンを開けることができるだろう。

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    2008.07.06

    原油高はどこまで続くのか

    私が2年前に「サマーバカンスに立ちはだかる燃油サーチャージ」という表題を付けてコラムを書いたとき、9月の欧州方面行きのチケットが総額で20万円を超えたということを驚きをもって書いた記憶があるが、もはやキャリア(航空会社)によっては30万円近くになることを覚悟する時代に突入したようだ。

    今や当たり前のように上乗せされる燃油サーチャージ(fuel surcharge)だが、この特別上乗せ運賃が導入されたのは2005年のこと、当時は微々たる金額であまり意識するほどでもなかったのが、2006年になってからクローズアップされるようになり、2007年のときはマイレージによる無料チケットでも別建てで請求されるようになった。

    その原油価格、昨年の世界株高の当時は100ドル時代が来るのかと言われていたものが、今年に入って年初でいきなりニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX=New York Mercantile Exchange)の原油先物価格が大台を突破、その後膠着状態が続くも3月以降は右肩上がりで上昇を続け、今や200ドル時代が来るのかと、言われる時代になってしまった。
    日本旅行業協会(JATA)によれば、燃油サーチャージ額の改訂基準となる燃油価格は、改定時点での直近3ヶ月間のシンガポールケロシン市況価格(Singapore Kerosene-Type Jet Fuel Spot Price: 1バレル当たりの金額(米ドル)に換算するには、表示額×0.42)の平均を用いるとのこと。
    ここ3ヶ月間の燃油価格の上昇幅はクレージーとも言えるものだっただけに、燃油サーチャージも驚愕の上昇となったわけだ。

    ところで、上がったものは下がる、下がったものは上がるというのが相場の常だが、この原油価格に関しては下がるといっても再度3桁割れがあるのだろうか、と懐疑的にならざるを得ない。
    たとえ下がっても110ドル~120ドルの水準から反騰するような気配は十分である。
    まして、シンガポールケロシン市況価格が3ヶ月間平均して1バレル当たり45米ドル(1ガロン当たり107.14セント=2004年夏以前の水準)を下回った場合には、燃油サーチャージは廃止になるというが、そんなことはあり得ないレベルにまで達してしまった感がある。
    果たして、原油価格の上昇はこのまま世界経済を、また文明社会を破壊するレベルにまで突き進むのだろうか。
    それとも人間の英知がそれらを克服するのであろうか。

    関連記事
    日経新聞-NY原油続伸、145ドル台(2008.7.6)
    日経新聞-NY原油が急騰、初の100ドル台に(2008.1.3)

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    2008.05.24

    日本の司法はコンピューターになるのか

    巷の本で日本の司法が悪しき判例主義に陥っていると言われることは多い。
    その判例主義の伝統を守るべく、最高裁が稼動させたものが「量刑検索システム」だ。
    最高裁は、「類似の事件で量刑に極端な差が出ないよう、裁判員が過去の事例を参考にできるためのシステム」だというが、それが果たして単なる参考資料の検索だけにとどまるのだろうか。

    ところで、裁判員制度は、地方裁判所で行われる刑事裁判について導入され、対象事件は、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条の規定に従い、死刑又は無期の懲役・禁錮の判決が下される可能性のある罪と、裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件のうち、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪となる。
    具体的には、殺人罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪、危険運転致死罪などがあげられているようだ。

    はっきり言ってこういう重罪被疑者を前にどれだけの人が正常な感情を持ちえるのだろうか。
    まして、どう考えても死刑だろう、なんてケースはあまりないだろう。
    そうなると人の一生を左右するプレッシャーは半端なものではない。
    それに2007年8月24日の「今日の一言」でも書いたように、日本で擬似陪審制を導入する場合の最大の問題は、多くの人が自分の意見を公の場で主張することが苦手で、また一つのテーマについて議論をして結論を出すという下地に乏しいこともあげられよう。

    それを補完するための道具がこの「量刑検索システム」ということも言えそうだが、この基準±αという安易な判決が続くようなら何のために人間が裁くのだという根本問題になりかねない。
    まして、人間が裁いている今でさえ、日本の司法はコンピューター裁判、などと揶揄されるものが、「量刑検索システム」を参考にしなさい、みたいな形で裁判員に暗黙の強制をするようなら、ますます悪しき判例主義が蔓延ることになるだろう。
    暗黙の強制という書き方が決して誇張でないのは、門田隆将氏の「裁判官が日本を滅ぼす」に書かれている事例を読むといい。
    5月24日号の週間ダイヤモンドの特集「裁判がオカシイ!」の中には、こういう下りもある。
    「裁判が抱えている問題の一つは、裁判官のコミュニケーション能力の向上であり、自分が偉いと勘違いしている人も多い。裁判員の意見を尊重し、議論を上手に進行する調整能力も求められる」と・・・

    裁判員の制度を導入したことについては、裁判官が世間知らずだから新しい風を入れるべき、それがこの制度なのだ、とも言われている。
    しかし、世間知らずなのは本人の資質も問題のみならず、年間3ケタにのぼる残業を強いられていることにも原因があるだろう。
    自宅と職場の往復で終わる生活を送っていれば、民間サラリーマンだって「会社人間」と呼ばれる恐ろしいばかりの世間知らずになるのだ。
    これらの根本的な問題を解決をしなければ、そのうち「逆切れ裁判官が裁判員を怒鳴る」なんてコラムが週刊誌を賑わすことにもなるだろう。

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    量刑のバラツキ防止、裁判員制度へ「検索システム」稼働 (2008.5.23 読売新聞)

    来年5月に始まる裁判員制度に向け、最高裁は先月から、裁判員裁判の対象事件の判決をデータベース化し、キーワードを入力するだけで類似事件の刑の重さが検索できる「量刑検索システム」の運用を始めた。

    裁判員裁判では、有罪・無罪だけでなく、量刑の判断にも国民の意見が反映される。
    最高裁は、類似の事件で量刑に極端な差が出ないよう、裁判員が過去の事例を参考にできるためのシステムを開発した。

    全国の地裁・支部にデータベースの端末を設置。
    裁判員裁判の対象になる事件の判決を言い渡した裁判官が、

    1.事案の概要
    2.凶器の種類
    3.被害の程度
    4.共犯者の有無
    5.反省の度合い
    6.被害者の処罰感情

    など、十数項目の情報を入力していく。
    既に約100件が集まり、来年5月までには3000件を超えるデータが蓄積されるという。

    この端末に複数の条件を入力すると、類似事件の量刑一覧が検索できる。
    例えば、路上で起きた強盗致傷事件の場合、「路上」と「強盗致傷」の二つのキーワードを入力すると、刃物で2週間のケガを負わせ60万円を奪った事件は懲役10年、工具で襲ったが現金は奪えず、被害者との示談が成立している事件では懲役6年など、類似事件の一覧表が示され、どんな事情が量刑に影響を与えているかが一目で比較できる。
    また、各事件の量刑分布が棒グラフでも示される。

    裁判員裁判では、裁判官がこれらの一覧表やグラフを印刷し、裁判員に示すことになるほか、検察官や弁護士も利用できるようにするという。
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    2008.05.06

    無期限のイラク駐留米軍の費用を肩代わりさせられる日本

    去る4月8日付のガーディアン紙(The Guardian)に、Secret US plan for military future in Iraq(イラクの軍事的未来におけるアメリカの秘密計画)と題された記事が掲載された。
    「秘密」と題され、記事には漏れた草案(leaked draft)とあるが、オープンになったとしてもこの協定案を土台としてアメリカ政府はイラクの傀儡政権との間に軍事協定を結べる自信があったに違いない。
    しかし、アメリカがイラクと締結しようとしているものは、軍隊の地位協定(SOFA/status of forces agreement)と、長期戦略枠組協定(long-term "strategic framework")からなっているものだが、これを政府当局者は、安全保障条約(security treaty)ではなく、しかも"temporary"(暫定)であって、"permanent"(恒久的)ではないと主張していることが、両政府の議会関係者の反発を招いているようだ。
    この協定の行方がどうなるかはわからないが、米軍が無期限(without time limit)にイラクへ駐留することになれば、その費用を日本が一番多く分担させられるに違いない。
    私の知る限り、この記事は日本のメディアには紹介されていないが、こういった可能性をどれくらいの日本政府関係者が危惧しているのだろうか。

    ******************************************************
    Secret US plan for military future in Iraq (イラクの軍事的未来におけるアメリカの秘密計画)
    Document outlines powers but sets no time limit on troop presence (軍事を説明する文書に駐留軍の期限の定めがない)
    by Seumas Milne, The Guardian, April 8 2008

    A confidential draft agreement covering the future of US forces in Iraq, passed to the Guardian, shows that provision is being made for an open-ended military presence in the country.

    ガーディアン紙に手渡されたイラクにおける米軍の将来に関わる機密の協定案は、その規約が無期限の米軍のイラク駐留をもたらすことを示している。

    The draft strategic framework agreement between the US and Iraqi governments, dated March 7 and marked "secret" and "sensitive", is intended to replace the existing UN mandate and authorises the US to "conduct military operations in Iraq and to detain individuals when necessary for imperative reasons of security" without time limit.

    3月7日付で「機密」及び「取扱注意」と印字された、このアメリカとイラクの両政府間の戦略枠組協定草案は、それが現在の国連のマンデート(委任)の代わりとなるように意図されたもので、アメリカが無期限に「イラクで軍事作戦を行い、治安上のやむを得ない理由により必要があるときは特定の個人を拘束するための権限」をアメリカに与えることになっている。

    The authorisation is described as "temporary" and the agreement says the US "does not desire permanent bases or a permanent military presence in Iraq". But the absence of a time limit or restrictions on the US and other coalition forces - including the British - in the country means it is likely to be strongly opposed in Iraq and the US.

    この権限は「暫定」のものとして記述されており、また協定はアメリカが「イラクにおいて恒久的な軍事基地や駐留を要求していない」としている。しかし、イラクでの駐留期限、あるいは米軍とイギリスを含む同盟軍に対する制約がないことから、この協定はイラクおよび米国で強い反対にあうことが予想される。

    Iraqi critics point out that the agreement contains no limits on numbers of US forces, the weapons they are able to deploy, their legal status or powers over Iraqi citizens, going far beyond long-term US security agreements with other countries. The agreement is intended to govern the status of the US military and other members of the multinational force.

    イラク人の協定反対派は、この協定が多数の米軍兵士と彼らが配備可能な武器が無制限に入ってくること、彼らがイラク市民より上位の法的地位と権限を持つこと、さらにほかの国々とアメリカが結んでいる長期的治安協定よりもはるかにかけ離れたものであると指摘している。協定は、本来、米軍と多国籍軍兵士の地位を統制するためのものである。

    Following recent clashes between Iraqi troops and Moqtada al-Sadr's Mahdi army in Basra, and threats by the Iraqi government to ban his supporters from regional elections in the autumn, anti-occupation Sadrists and Sunni parties are expected to strong opposition in parliament to the agreement, which the US wants to see finalised by the end of July. The UN mandate expires at the end of the year.

    イラク政府軍とムクタダ・アル・サドル(Moqtada al-Sadr)のマフディ軍が最近バスラで衝突したあと、また、秋の地方選挙からイラク政府がアル・サドル師の支持者の参加を禁止すると脅したあと、占領に反対するサドル師派とスンニ派諸政党は、議会で協定に強く反対することが予想されている。アメリカはこの協定を7月末までに実現したがっている。国連のマンデート(委任)は今年末で終わることになっている。

    One well-placed Iraqi Sunni political source said yesterday: "The feeling in Baghdad is that this agreement is going to be rejected in its current form, particularly after the events of the last couple of weeks. The government is more or less happy with it as it is, but parliament is a different matter."

    しかるべきイラクのスンニ派の政治筋は昨日、「イラクでは、特にここ2~3週間の出来事を考えれば、この協定が今の形では受け入れられないと思われている。政府は今のままでも多かれ少なかれこの協定に満足しているが、議会はそうではない。」

    It is also likely to prove controversial in Washington, where it has been criticised by Democratic presidential candidate Hillary Clinton, who has accused the administration of seeking to tie the hands of the next president by committing to Iraq's protection by US forces.

    協定草案はアメリカでも物議を醸しかねないことがわかっている。民主党の大統領候補ヒラリー・クリントンはこの草案を批判し、米軍がイラクを守ることを確約することで次期大統領の手を縛ろうとするものであると現政権を批判する。

    The defence secretary, Robert Gates, argued in February that the planned agreement would be similar to dozens of "status of forces" pacts the US has around the world and would not commit it to defend Iraq. But Democratic Congress members, including Senator Edward Kennedy, a senior member of the armed services committee, have said it goes well beyond other such agreements and amounts to a treaty, which has to be ratified by the Senate under the constitution.

    2月、ロバート・ゲイツ国防長官は、計画中の協定はアメリカが世界中で持っている類似した多くの「軍隊の地位」に関する協定であり、イラクを防衛するための約束をするわけではない、と主張した。しかし、軍事委員会(Armed Services Committees)の上級委員でもあるエドワード・ケネディ上院議員を含む民主党議員たちは、イラクとの協定案はほかの協定とは大きく事なり、条約に相当するので、憲法にしたがって上院の批准が必要であると述べた。

    Administration officials have conceded that if the agreement were to include security guarantees to Iraq, it would have to go before Congress. But the leaked draft only states that it is "in the mutual interest of the United States and Iraq that Iraq maintain its sovereignty, territorial integrity and political independence and that external threats to Iraq be deterred. Accordingly, the US and Iraq are to consult immediately whenever the territorial integrity or political independence of Iraq is threatened."

    政府高官は、もし、この協定がイラクの安全保障を含むことになっているならば、それは議会に提出されるべきであると認めた。しかし、漏れた草案は、イラクが主権、領土的一体性、政治的独立を保持し、イラクへの外部の脅威が抑止されることは「アメリカとイラク相互の利益」である。それに従って、米国とイラクは、イラクの領土の統一と政治的独立が脅威にさらされたとき速やかに協議する、と述べるに留まった。

    Significantly - given the tension between the US and Iran, and the latter's close relations with the Iraqi administration's Shia parties - the draft agreement specifies that the "US does not seek to use Iraq territory as a platform for offensive operations against other states".

    米国とイランの緊張、そしてイランがイラク政権内のシーア派諸政党と近いことを考えたときに重要な点として、協定草案は、「米国はイラク領土を、ほかの国々への攻撃作戦の踏み台に用いることはしない」としている。

    General David Petraeus, US commander in Iraq, is to face questioning from all three presidential candidates on Capitol Hill today when he reports to the Senate on his surge strategy, which increased US forces in Iraq by about 30,000 last year.

    イラク駐留米軍司令官デビッド・ペトラウス将軍は、本日(4月8日)、連邦議会(Capitol Hill)で、兵士増派作戦-昨年イラク駐留米軍兵士数を約3万人増やした作戦-について上院に報告する際、大統領候補3人から質問を受けることになっている。

    Both Clinton and Democratic rival Barack Obama are committed to beginning troop withdrawals from Iraq. Republican senator John McCain has pledged to maintain troop levels until the country is secure.

    クリントン氏と民主党のライバル候補であるバラク・オバマ氏はともに、イラクからの米軍撤退開始を約束し、共和党のジョン・マケイン上院議員は、イラクが安全になるまで駐留軍の水準の維持を公約している。
    ******************************************************

    ところで、日本の政治の世界で"temporary"(暫定)と言えば、1973年(昭和48年)の第一次オイルショックを機に上乗せされた道路特定財源暫定税率が、今年の3月末に期限切れとなったものの、4月30日に衆議院で関連法案(第169回国会における所得税法等の一部を改正する法律)が3分の2以上の特別多数で再可決されたことによって、向こう10年間は継続されることになったことは記憶に新しいところだ。

    さて、この道路特定財源については、暫定税率が期限切れとなる直前に、福田首相がねじれ国会の閉塞状況を打破するため、道路特定財源を平成21年(2009年)度から全額一般財源化するとの新提案を示した。(2008.3.27 産経新聞-道路特定財源を全額一般財源化 首相表明、21年度から
    このとき民主党は暫定税率即時廃止を主張したため平行線を辿ったが、今考えると、何かこの福田首相の提案にウラがあるのではなかろうか。
    もし、福田首相が本当に道路族の利権の牙城に斬り込むつもりなら、上杉隆氏が言うように「政治力も情熱もない福田首相に道路改革など無理な話だ」とほとんどの人は思うだろう。

    それゆえ、アメリカとイラクの軍事協定がリークされた時期と微妙にかちあうのは非常に意味深い。
    私の考えすぎであればいいが、福田首相のウラでアメリカの意を汲む狸どもの思惑があるとすれば、将来的に道路特定財源が一般財源となって、それがさらに対米援助資金に代わる可能性もあるからだ。
    このままアメリカとイラクの軍事協定の協議が順調に進展すれば今年の夏ごろには結論が出る。
    一方の道路特定財源の一般財源化論議が始まるのもおそらくその頃だ。
    これを偶然の一致とみるか、それとも・・・・
    そう、産経新聞も半年前の社説(2007.11.15 【主張】道路特定財源 どこへ行った一般財源化)で言っているではないか。
    「税の性格も国民皆ドライバー化で普通税に近い。環境への負荷を考えれば、一般財源化したまま一部を近い将来、導入も予想される環境税に組み替えることだってできるのだ。」
    ここの環境税を対米援助資金と言葉を変えれば、そのまま私の主張するロジックとなる。

    最後に、 あなたは小渕内閣のときに"permanent"(恒久的)とされた所得税・住民税の定率減税が小泉内閣時代の法改正により失効したことを覚えているだろうか。(All About - 2007年、あなたの「手取り」が減る!
    そう、"temporary"(暫定)は"permanent"(恒久的)であり、"permanent"(恒久的)は"temporary"(暫定)なのだ。
    まさにこれはジョージ・オーウェル(George Orwell)が書いた「1984年」(日本語訳本)にある「二重思考(ダブルシンク)」の概念そのものだ。
    彼は言う。「War is peace.(戦争は平和である)」「Freedom is slavery.(自由は屈従である)」「Ignorance is strength.(無知は力である)」と・・・
    この「二重思考(ダブルシンク)」とは、例えば、実際は戦争状態なのに平和であると自ら信じ、相手に対してそう言いくるめることができる能力のことをいい、以下、自由であるのに相手には違うと信じ込ませる、無知な相手に力があると信じ込ませる、といったことだ。
    この本は、スターリン時代のソ連を連想させる全体主義国家によって分割統治された近未来世界の恐怖を描いているものだが、今の日米にも当てはまることではなかろうか。

    関連サイト
    Falluja, April 2004 - the book - 英語を通して日本から「イラク」を見る
    防衛省・自衛隊:防衛関係条約等(日本語)
    Japan-U.S. Security Treaty
    Agreement regarding the Status of United States Armed Forces in Japan
    CNN - U.S., Iraq sign plan for long-term relations (November 26, 2007)
    Washington Post - U.S., Iraq Negotiating Security Agreements (April 11, 2008)

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    2008.05.03

    Unwelcome to Japan?

    4月15日の世界の流れをつかむ『World Report』のコラムに「観光立国を笑う(出入国管理システムの欠陥)」というのがあった。
    それを読んで思い出したことがある。
    去る2月にタイに旅行したときのことだ。
    成田空港の出国審査場で、外国人出国者だけがわずか二つしかないブースで長蛇の列を作っていた。
    ブースの電光掲示板には、日本人と外国人を区別する表示はなく、ただ空港の警備員らしき人が紙で書かれたボードを持ち、片言の英語で「外国人はこちら」と叫んでいるだけだった。
    日本人のブースは比較的スムーズに流れていたので、ある外国人旅行者が、その警備員らしき人に「こっちで並んではいけないのか」という質問をしていたが、英語があまり理解できない彼は単に「外国人はこちら」と繰り返しているだけだった。
    少なくとも観光立国を標榜する他の国では、たとえ「** nationals」という電光表示がブースにあったとしても、そこがガラガラになれば、外国人を誘導することさえあるにもかかわらず、生真面目な警備員氏はそうしてはいけないという指示があるかのように振舞っていた。
    その光景を異様だと思った日本人が何人いるかわからないが、私の記憶が間違っていなければ、こんな光景を見たのは今年になってからだ。

    いったい何が起こっているのか?
    『World Report』では、出入国管理を担当するスタッフの絶対数が足りない、とある。
    それはそうだろう。
    成田空港を運営する母体が特殊法人(公団)から成田国際空港株式会社に変わったのは平成16年(2004年)4月だが、その平成19年(2007年)度中間期の実績を見る限り、航空機発着回数及び航空旅客数は前年同期比で増加し、過去最高を記録、また、Visit Japan Campaign (Yokoso! Japan)などにより外国人旅客数が増えている、とある。
    そうであるならば、出入国審査のスタッフを増やさないと捌き切れるものではない。

    私の記憶によれば、21世紀に入ってしばらくはスムーズに進んでいたように見える出国審査も、特に昨年あたりは長時間待たされることが多くなったように思える。
    1990年代の円高による海外渡航ラッシュの時代、長蛇の列にしびれを切らして執拗な苦情を言い続けた旅行者に逆切れした現場の出入国管理責任者が叫んだ一言が思い出される。
    「そういう(もっとブースを増やせとか人はいないのか、などという)ことは国民のあなたが外務大臣に言うことです!今ここで我々に何ができるんですか!」
    『World Report』によれば、その外国人バーションが今の成田で起きているという。

    一方、入国審査の方はもっと評判が悪そうだ。
    世界の空港や航空会社、飛行機の乗り心地のレビューが書かれたSKYLAXというサイトがある。
    その中の成田空港(Tokyo Narita Airport)のところを読むと、昨年11月20日から施行された改正入管難民法(出入国管理及び難民認定法)により、訪日外国人に指紋押捺が義務付けられたこと(2007.11.20 産経新聞-外国人の指紋採取始まる 全国の空港、港で)が不満の原因ではなさそうだ。
    当時、この改正入管難民法に対し、一部の左派的なブロガーは「外国人差別」と言い、それに対するナショナリスティックなブロガーは、「そんなに(日本の出入国審査が)不満なら来なければいい」などと言っていたが、評点の悪いJ. Davidson氏や、Alan Chick氏の投稿を読むと、指紋押捺に対して文句を言っているのではないことがよくわかる。
    要は、入国審査にものすごく時間がかかっていること、その原因として、数少ない外国人ブースと、日本人専用ブースが空いていても誘導してもらえなかったことに対する不満のようだ。

    民営化されても、相変わらず臨機応変な対応ができない(そうしてはならない?)のか、とも言えそうだが、ひょっとすると日本人専用ブースには指紋押捺の機械が置いていないとも考えられる。
    これは硬直的な思考で生きている中央省庁の天下り幹部が会計責任者であれば十分あり得ることだが、もし、そうであるならば、それこそ笑止千万と言わざるを得ない。
    何がwelcomeなのか!
    それこそ、「そんなに行列が不満なら日本へ来るな」と言っているようなものだろう。
    私は3年前に「外国人観光客増やすなら空港から変えよ」と書いたが、それはどうやら悪い方向に変わっているようだ。
    "I have always loved Japan and unlike many foreigners I have never had any problems in Japan.(私は日本が好きだし、多くの外国人と違って日本では少しも問題なく生活している)"と言う在日3年のJ. Davidson氏のような人を日本嫌いにさせるとしたら、紛れもなく日本の玄関である成田空港がその一因となるに違いない。

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    2008.04.27

    もし外国人投資家なかりせば

    今月16日、経済産業省と財務省は英投資ファンド、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI/The Children's Investment Fund)に対し、外国為替および外国貿易法(外為法)に基づき、電源開発(Jパワー)株(9513)の追加取得計画を中止するよう勧告したと発表した。(2008.4.17 ロイターニュース-TCIのJパワー追加投資に政府が中止勧告、外為法で初
    これに対し、TCI代表のクリス・ホーン(Chris Hohn)氏はフィナンシャルタイムズ紙のインタビューの中で"The J-Power case sent a poor signal to foreign investors. We are unlikely to make further investments in Japan and warn investors everywhere to avoid Japan,"(Jパワーの問題は外国人投資家によくない印象を与えた、とし、さらに、我々は日本でこれ以上の投資をするつもりはない。そして、あらゆる投資家に日本への投資を避けろ、と警告する)」(2008.4.19 Financial Times - Thwarted TCI in call to avoid Japan)と延べ、25日には日本政府の要請を拒否した。(2008.4.25 ロイターニュース-TCIが株買い増し中止勧告を拒否、政府は5月14日までに中止命令

    もちろん、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI/The Children's Investment Fund)の言い分が絶対的に正しいわけではない。
    しかしながら、歪なブルドックソース(2804)対スティールパートナーズ(Steel Partners)のTOB(敵対的買収=takeover bid)裁判の判決(“ルール破り”ブルドック判決のツケ)といい、豪投資銀行マッコーリー銀行(Macquarie Bank)が羽田空港ターミナルビルを運営する日本空港ビルデング株(9706)を20%弱取得したときに沸き起こった外資規制論(羽田空港の外資規制議論、もっと大事な問題があるのでは)といい、表面上のキャッチフレーズとは裏腹に外国人による対日投資を歓迎しているとは思えないものが相乗効果を生んで外資が次々に撤退する事態を生むことになるだろう。

    思い起こせば今から5年前の2003年(平成15年)4月28日、日経平均株価はバブル崩壊後の最安値(7,603.76円)を付けていた。
    その約1ヵ月後、ベンジャミン・フルフォード(Benjamin Fulford)がフォーブス(Forbes)に「日本の救命具(Japan's Lifesavers)」という論文を掲載した。(日本語訳はヤクザ・リセッション さらに失われる10年のP204-P210)

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    What are the prospects for the stock market? Once the cross-shareholding selloff subsides, probably this fall, some real appreciation should occur in several key areas. The cross-ownership has kept many Japanese companies buyout-proof; this will no longer be the case. The changes mean that institutional investors, many of them foreigners, are taking over from banks as the main stakeholders in corporate Japan. They are asking for - and getting - improvements in accounting, management and profitability. More good news is that the Bank of Japan, the nation's Federal Reserve, has started to buy equities to help the market.

    Meanwhile, great bargains are to be had. An amazing 60% of Japanese listed companies have a market capitalization that is lower than the value of their assets. Another positive note that few have spotted is that much-needed restructuring has occurred among Japanese companies; at the same time, exports over the past year are up 37%. Result: Profits for listed companies (excluding financial concerns like banks) rose 80% in the fiscal year that ended Mar. 31, according to Morgan Stanley's estimates.

    株式市場に期待できることは何だろうか?
    それは株式相互持合い(cross-shareholding)がなくなりつつあることだ。
    株式の持合いをやめることで、日本市場は正常な市場と認識されるようになる。
    今まで、日本企業による株式の相互持合いは、企業同士の相互依存(cross-ownership)の証明であった。このようなことは決して長続きしないのだ。
    こうした株式の持合いがなくなることによって、機関投資家や海外の投資家が、日本の銀行に代わって日本企業の主要株主となるだろう。
    そうなれば、日本企業は徐々にだが、財政的にも経営的にも、収益率でも改善されるだろう。
    さらにグッド・ニューズは、中央銀行(nation's Federal Reserve)の日銀が、市場を助けるために、普通株を買い始めたことだ。

    そんなわけで、そろそろ大きな買い物をしてもいいだろう。
    驚くべきことに、日本の上場企業の60%は、市場価値が実際の資産価値よりも低く評価されている。
    そして、さらに前向きな点は、日本企業では必要とされる改革が行われており、同時に、輸出が昨年比37%も増えていることだ。
    その結果、いくつかの上場企業の(ただし、銀行などの金融機関は含まないが)経常利益は、3月末決算において、80%も上昇したと、モルガン・スタンレー証券が概算していることだ。
    ******************************************************

    それと軌を一にするようにヘッジファンドが日本株を買い仕掛け、昨年の2月26日に18,300.39円の高値(7月にも18,000円台を記録しダブルトップ形成)を付けるまでの約4年間は日本市場にも復興の兆しが見えていた。
    国民の生活環境はともかく株価の推移だけ見れば、内閣府の月例経済報告にあるように「景気は回復していた」のである。(ちなみに、この月例報告では、今年の2月まで景気が回復途上であるとし、ようやく3月に足踏み状態にあると言及したが、日経平均株価は3月17日の年初来安値(11,691.00円)を記録し、そこで当面の底打ちをしている。)
    つまり、2003年(平成15年)春に始まった上昇相場は、外国人投資家が株式相互持合い(cross-shareholding)がなくなって日本がようやくまともな市場になると、政府もそれを(株式譲渡所得の軽減などの投資促進政策によって)バックアップすることを期待して、割安と見られていた日本株に投資をしたことに始まったと言える。

    ところが・・・
    昨今の政府による市場取引への介入によって、この流れは完全に逆流しようとしている。
    まさに政府が行った公共企業の株式売却益だけを得て、美味しいとこ取りをしようという目論見が外れた格好だが、他の案件における投資鎖国まがいの政策とも相俟って、日本市場は外資によって見限られようとしている。

    もし外国人投資家が完全に日本株に投資をしなくなったらどうなるだろうか。
    株式情報サイトのトレーダーズ・ウェブにある投資主体別売買動向を見れば一目瞭然、簡単に言えば「買い手不在」である。
    日本の公的年金積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人の管理・運用の各年度の状況によれば、2007年第3四半期(平成19年12月末)の時点で、国内株式が16兆5974億円(構成比17.88%)も組入れられている。(平成20年度末には構成比率を11%に低下させる予定)
    要するに、外国人投資家が日本株に投資してくれないと公的年金の積立金も目減りするということである。
    株式投資に見向きもしない人は時として、日経平均がどうなろうと株(ギャンブル)をやっている人だけの問題、と言った論調で意見を言ったり書いたりしている人がいるが、そんなことは断じてないことがおわかりいただけたであろうか。
    もっとも、積立金が目減りしている理由として社会保険庁が腐敗しているという面も非常に大きいが、それを書くと論点がずれるのでここではあえて触れないでおきたい。

    私は甘利明経済産業相と額賀福志郎財務相に問いたい。
    「もし外国人投資家なかりせば」と・・・
    Jパワー問題で閉ざされた国との印象を持たれるのは非常に良くない」と述べた渡辺喜美金融担当相の言うことは正論ではないのか、と・・・

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    2008.03.30

    201*年、日本の食卓から米がなくなる日

    3月29日付のFinancial Timesの"Asia scrambles for rice stocks(米を奪い合うアジア)"という記事は現在の日本が置かれている立場を考えたとき、背筋が凍るような内容のものだった。
    記事量はそれほど多くはなかったが、まさに地球規模で食糧の奪い合いが起こることを予感させるに十分すぎるほどだった。
    もし、一旦ことが起これば、日本はおそらく1994年(平成6年)に起きた「平成の米騒動」以上の大パニックに襲われる可能性があるだろう。

    当時の米騒動は、1993年(平成5年)の米の収穫が1933年(昭和8年)以来の凶作ということに端を発して、未曾有の米不足となり、アメリカ、オーストラリア、タイなどから米を緊急輸入したことに始まり、その中でタイ米が日本人の口に合わないことから消費者の中には国産米を求めてパニックの連鎖反応を引き起こした者もいた。
    要するに、このときは食うに困って起きたパニックでなく、美食を追及するがための騒動だった。
    もっとも、この件を数年後に人づてに聞いたところでは、当時の日本の商社とタイ側の悪徳商人が組んで家畜用の飼料(古米)を日本に輸出していたとのこと。
    酷い奴らもいたもので、道理で不味かったわけだ。

    しかしながら、近い将来に、この米騒動が国内の天候不順で起きるものでなく、今回のように外国政府による食糧の囲い込みで起きるものであった場合、日本の一般庶民が置かれる状況は極めて厳しいものになるだろう。
    第一に、農業従事者の高齢化及び後継者難(参考:河北新報-田園漂流)は、数年後には地方で見慣れた田園風景が次々に喪失することを意味する。
    そうでなくとも、燃料費の上昇に伴う生産コストの上昇は、それを消費者価格に転嫁できない以上、農家の収益悪化に直結し、それが離農の一因になる。
    つまり、国産米の需給は異常なまでに逼迫し、高値で取引されることになるだろう。

    それでは外国産米はどうか。
    これも状況は1994年(平成6年)のときに比べて非常に悪くなるだろう。
    当時の為替レートは日本経済に強さがあった頃の円高水準だったし、日本の一般庶民の所得水準もまだまだ高かった。
    ところが201*年のときは状況は一変するだろう。
    おそらく今の円ドルレートは円安に振れるし、日本の一般庶民の所得水準は負担増の連続で地に堕ちる。
    一方で外国産米は「囲い込み」で高値に吊り上げられた挙句、原油高で輸送コストも嵩む。
    政府が補助金を出そうにも財政難で「無い袖は振られぬ」ことになりかねない。
    消費者価格は、うなぎ上りになり、各地で「売り惜しみ」や「米泥棒」が頻発するようになるだろう。

    まさに地獄絵のようだ。
    はっきり言って想像もしたくない。
    ことは主食の問題だから余計に深刻だ。
    ところが、今の日本はどうか。
    食糧自給率が低いのにもかかわらず、賞味期限が1日過ぎただけでパニックになって騒ぎ立て、販売者側はそれを恐れて大量の食材を廃棄する。
    そんなことをしていれば今にバチが当たるだろう。
    先人は言ったものだ。「堂に怡(よろこ)ぶ燕雀は後災を知らず(目先の太平に安心して、後日の災難に気のつかぬこと)」と・・・

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    Asia scrambles for rice stocks(米を奪い合うアジア)
    Financial Times by Daniel Ten Kate in Bangkok

    Governments across Asia were rushing to secure rice stocks on Friday in the wake of a 30 per cent price jump in international markets.

    先週の金曜日、国際市場で米の価格が(燃料価格高騰の懸念から)30%も急騰したことを契機にアジア各国政府は大挙して米の在庫を確保しようとした。

    Vietnam said it would reduce rice exports this year to 3.5m tons, from a projection of between 4m and 4.5m tons. India raised its minimum export price to $1,000 (EUR635, £500) per ton, up from $650 per ton, in a bid to keep domestic prices low.

    ベトナムは400万トンから450万トンを予定していた今年の米の輸出を、350万トンに減らすことになるだろう、と言った。
    インドは国内価格を安く抑えるために、最低輸出価格を1トン当たり650ドルから1,000ドル(635ユーロ、500英ポンド)に引き上げた。

    In Thailand, the world's largest exporter, millers were storing rice and defaulting on contracts with exporters. "Exporters who have stock are making a lot of money, as millers who have supply contracts are not actually delivering the rice," said Vichai Sriprasert, president of Riceland International, a Thai rice exporter. "I believe the losses are running by about $200 per ton for those who don't have physical control of the rice."

    世界最大の米の輸出国であるタイでは、精米業者が米を貯めこみ始め、輸出業者との契約が不履行となりつつあった。「在庫がある輸出業者は、契約をしている精米業者が現に米を供給を止めているために大金を儲けている。私は米の物的管理をしていない人たちのために1トン当たり約200ドルの損失が続くと思っている。」と、タイの輸出業者の1つであるライスランド・インターナショナル社のスリプラサート社長は言う。

    The moves follow measures by Egypt and Cambodia to ban rice exports, which prompted world prices to hit an all-time high on Thursday. Global rice stocks are at their lowest since 1976.

    この動きは米の輸出を禁止したエジプトとカンボジアによる(自国米の囲い込み)政策を他のアジア各国が追随したもので、先週の火曜日には米の国際価格は史上最高値を付ける結果となり、世界の米の在庫は1976年以来、最低となった。

    The record prices for Asia's food staple have raised fears of social unrest and prompted donor organisations to ask for more funding to maintain food distribution programmes.

    このアジアの主食の高値は社会不安への恐怖を引き起こし、食糧の流通計画を維持するためにもっと資金を供給するよう求めるための資金援助団体の行動を促進した。

    The World Food Programme, which appealed for $500m in February, said the price rises would cause its operational costs in Asia to rise by $160m. It said in Afghanistan, $50m would buy 189,000 tons of food last year, which would feed 3.5m people. This year, the same amount would buy only 112,000 tons to feed 1.9m.

    去る2月に5億ドルの援助を求めた世界食糧計画は、米の価格の高騰はアジアにおける調達コストが1億6000万ドルまで上昇するだろう、と言った。
    アフガニスタンでは昨年、350万人の食糧を確保するための189,000トンの食糧を買うのに5千万ドルかかったと言われている。同じお金で今年は、190万人分、112,000トンしか買えないだろうと言われている。

    India said it would sacrifice blistering economic growth in order to tame inflation as latest figures reached a 13-month high of 6.7 per cent on the back of spiralling fuel and commodity prices. "We are determined to curb inflation even if we have to live with slower growth," Palaniappan Chidambaram, the finance minister, said.

    インドは、急上昇する燃料と商品価格を背景に、過去13ヶ月で最高の6.7%に達した現在のインフレを抑制するために、急激な経済成長を犠牲にすることになるだろう。「我々は、たとえ経済成長が減速することになろうともインフレを抑制することを決意した」とチダンバラム財務大臣は言った。

    関連記事

    Food prices rising across the world (Mar 25, 2008)
    Cambodia halts rice exports to curb rising domestic prices (Mar. 27, 2008)
    Egypt suspends rice and cement exports (Mar 28, 2008)
    Jump in rice price fuels fears of unrest (Mar. 27, 2008)
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    2008.03.02

    海外投資家はe-TAXを必ず使え、ということか?

    例年に比べ昨年は試行錯誤で香港株ワラントとか信用売りをやったせいか、短期売買が増えて、おかげで確定申告が面倒なことこの上なかった。
    ようやく重い腰を上げ、海外口座分の資料を作り、さあ、申告書を完成させようと国税庁のウェブサイトにアクセスした。
    私は今年になって国税庁がやたらキャンペーンをやっているe-Tax(国税電子申告・納税システム)なるものを制度が始まった時から使っている酔狂な男だ。
    そして、このe-TAXなるものを使うメリットはほとんどない、と度々書いてきたが、その理由は国税庁のウェブサイトで作成した申告書を印刷して税務署へ郵送するのと大差がなかったからだ。
    それを改善してメリットあるものにするために政府は涙ぐましい努力をしている(2007年2月24日「今日の一言」)が、どの程度効果があるだろうか。

    ところで、私のように日本居住者で、かつ海外口座で運用する株やファンドに配当金があり、しかも現地で源泉所得税が引かれている場合は、配当所得と外国税額控除を併せて申告することになっている。
    昨年までの国税庁のウェブサイトの「確定申告書作成コーナー」では、この外国税額控除のところだけ明細を手書き(PDFファイル)し、結果のみオンライン入力するようになっていたが、今年は明細もオンライン入力ができるようになって、さぞかし便利になったと思いきや、こんな注釈が書かれていた。

    外国税額控除の適用を受ける方で、分離長期(短期)譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、退職所得金額がある方又は純損失の繰越控除や居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の各種繰越控除の適用を受ける方は当コーナーをご利用になれません。

    要はどうすればいいのか?

    1.国税庁ウェブの入力は外国税額控除を除いて行い、e-TAXで電子ファイルを読み込んで、さらに帳票を追加して修正入力する。この方法が王道で、私はこれで昨年までもやっているが、当然ながらe-TAXの利用申請をしていないとこの方法は使えない。

    2.2003年(平成15年)以前のようにすべて申告書を手書きする。ITを使いこなしている人間に向かって、今さら何を言っているって、たいていは怒るだろうな。

    3.海外分の配当所得も外国税額控除もともに申告しない。はっきり言って脱税になるだろうが、そちらに走る人は多くなるかもしれないな。

    で、国税庁からすると、そのようなときはe-TAXを使ってくれ、あなた方だったらパソコン得意でしょ、となるのだろうが、本音は日本の証券会社を使えばいいではないか、などと言うのだろうか。
    もし、あなたが当事者ならどうする?
    たいていは3番の選択肢を取るだろうな。
    こちらの本音はタダでさえ海外分を正直に申告してるんだ、手間かけるようなマネするんじゃねえ、となるからね。

    ところで、e-TAXの申請、5000円の税額控除に釣られて今までになく多くなっていると聞くが、新聞などではさっそく「思ったほど便利ではない」との声もある。
    だから私は昨年ここで書いたし、国税庁にも意見を送ったのだよ。
    「同じような促進策を取るならなぜもっと思い切ってできないのだろうか」と・・・
    これで、面倒な割りにメリットがない、という声が大きくなれば、日本が電子政府になるなどとは遠い夢物語、ますます香港やシンガポールのようなIT国家からかけ離れた存在になっていくのだから・・・

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    2007.12.31

    The way to lost quarter century and...

    経済評論家の三原淳雄氏が12月21日付のコラムで「自業自得への道」として、「年末とあって来年を占う勉強会に可能な限り出席してみたが、聞こえてくるのは国はどうしてくれるという嘆き節ばかり。しかもその参加者の多くが、かつての全共闘の年代なのに、自分たちで変えようという意欲に乏しいのはなぜなのだろう。」と書いている。

    これを読んで私は大前研一氏が書いた「異端者の時代(1994年6月1日初版)」の「プロローグ 日本経済危機の本質」の部分を思い出した。
    そこに書かれていたのは

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    毎年新年の仕事始めの頃、東京や大阪の一流ホテルで財界四団体主催の賀詞交換会という大パーティが開かれる。
    今年平成六年(1994年)の賀詞交換会は恒例の総理大臣の顔見世がなかったことから、早々に引き上げる人が多かったが、それにしても出席した財界大物たちの発言はみっともなかった。
    「この不況をどうしてくれる。政治改革なんてほどほどにして、早く景気対策をやってくれ」の大合唱である。
    会社をおかしくしたのは自分たちなのに、その責任は棚上げにしておいて、政府に「なんとかしてくれよ」のお願いだけだ。

    レーガノミックス時代のアメリカにも、鉄の宰相サッチャー革命の嵐が吹き荒れたイギリスにも、こんな無責任な経営者はいなかった。
    そんな情けない経営者は株主総会で即刻クビ、黙々と会社のリストラに努めたトップだけが生き残っているのである。
    労働組合にしても、35年間争議らしい争議をやったこともないから積立金ばかり増えてしまい、肝心なときに経営者の責任を追求する組合もない。
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    財界幹部の言っていることが14年前と今とでほとんど変わってないことに気づくだろう。
    想像するに14年前の忠犬ハチ公がお殿様に出世しただけということか。
    要するに大企業の幹部たちは、若年者には自助努力をしろと言う一方で、自らは相変わらずのおねだりを「無能」と揶揄する政府にしているのだ。
    政府が無能ならば与党への献金などやめればいい、お前ら(政府)は黙っていろと一喝すればいいだけの話だ。
    それをしないのはドッチもドッチだからだろう。

    前出の大前研一氏の著書によれば、日本の就業人口6300万人(1994年当時)のうち、日本の富を稼ぎ出している(自動車やエレクトロニクス産業など)のはわずか13%、残りの87%は公務員や、規制業種などの国際競争力のない就業者で、彼らのぶら下がりということなのだから、政府におねだりしないとやっていけないのは自明の理である。
    と、なると、ここ数年の企業業績の回復というのは、従業員や下請けをボロ屑のように虐げて経費を浮かしたことと、世界好況という神風が吹いたことによるものでしかなかったのではないのか。
    これで日本経済は本当に再生するのか。
    今や、かつての花形産業も国際競争力を失いつつあるというのに・・・

    ところで、新年になれば、またぞろ新聞に財界人の年頭挨拶やら今年の経済予測などが掲載されるだろう。
    しかし、そんなものは何の意味もない。
    政府は言うに及ばず財界トップにすら世界を相手にする気概が感じられないのであれば、もはや日本企業は一部の国際優良企業を除いて世界の投資家から見放される運命にあるからだ。
    世界の投資家から見れば、1990年代のAsia Equity Fund (ex Japan)は、日本(先進国)を除くアジア諸国(途上国)の株式に投資する「極めてハイリスクハイリターン」なファンドを意味した。
    今や、日本が入っていない分だけ好パフォーマンスが期待できる優良ファンド、という意味になっている。
    あと数年後には、特定国に投資するファンドとしてのJapanese Equity Fundは今のフィリピンやインドネシア並みのエマージングファンドの位置づけにしかなっていないだろう。
    そうなれば、今でさえ影の薄い日本発の経済ニュースは世界の主要経済紙に掲載されることがほとんどなくなるかもしれない。
    そこまでなっても財界首脳は言うのだろうか。「政府が無策だからこうなるんだ」

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    2007.12.02

    株式譲渡所得の軽減税率の再延長はないのか

    衆議院は自民党、参議院は民主党が多数を占めるねじれ現象が続く国会で、投資家にとって焦点であった株式譲渡所得の軽減税率の再延長はしない方向で議論がされているようだ。
    この税制は、株価がバブル崩壊後の安値を更新している最中に、個人投資家の比率を高めようと時限立法として打ち出されたもので、昨今は日本の証券会社が海外株式やETFの取り扱いを格段に増やしたことと相俟って、無理して海外口座を開いて投資をしなくても国内証券だけでも十分であるという風潮も感じられるようになってきた。

    ところが、海外投資家を国内証券に踏みとどまらせている理由の一つ、株式譲渡所得の軽減税率の再延長がどうやらなくなるようだ。
    これによってサブプライム問題の余波を受けてぐらぐらしている日本の株式市場はますます不安定なものとなるだろう。
    この税制を巡る議論には、日本市場に投資をさせるためにはどうしたらいいか、という視点が全くないように思える。
    まして東京証券取引所に上場している外国企業など微々たるものだし、彼らはなぜ香港やシンガポールがアジアで有数の金融都市となっているのか考えたこともないのだろう。

    キャピタルゲインをギャンブルと同じで額に汗して働かないで得た収入などと揶揄して、その所得に軽減税率を適用するなどもってのほか、などという暴論を吐く者がその典型である。
    投資で儲けるのは容易なことではない。
    周到なリサーチも必要だし将来を見据える先見の明も求められる。
    投資が嫌いなら嫌いで結構だが、それでいて投資で成功した人を妬むなと言いたい。
    今や世界的に格差社会が進んでいるようだが、少なくとも成功者(金持ち)を妬む風土がある限り、ダイナミックな経済発展など覚束ないだろう。
    なぜなら、そのような国では常におねだり君に足を引っ張られることを気にしながら生きていかなくてはならないからだ。
    言うなれば、3年前に書いた「ピーター・タスカの予言が現実となる日」がまさに具現化しつつあるのかもしれない。

    金融商品取引法の施行により「海外口座を使った場合の株式譲渡所得の申告」の参照法令を一新しました。 海外口座を利用されている方は今年分の確定申告の際に参考になさってください。詳しくはこちらから。

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    財務省:証券優遇税制は2009年から原則廃止、小額配当は継続-同省案 (2007.11.30 ブルームバーグ)

    財務省は30日、自民党税制調査会(津島雄二会長)に、2008年度税制改正の焦点の1つとなっている証券優遇税制の見直し案を提示した。
    それによると、金融所得一体課税に向けて2009年度から株式譲渡益や配当にかかる軽減税率10%を本則の20%に原則的に戻す一方で、少額配当の場合は軽減税率を一定期間維持するほか、譲渡損失と配当との損益通算も限度額を設けたうえで可能にする。
    同案では、税率を引き上げる一方で、中低所得者の株式や投信への投資促進を支援するため、一定額の株式・投信から生じる配当について、一定期間10%の軽減税率を継続する方針を示している。
    また、軽減税率廃止に伴う市場の不安や変動を回避するための特例措置として、2008年末までに取得した株式を2009年以降の一定期間内に譲渡する場合にも軽減税率10%の適用を認める。
    投資リスク軽減のための損益通算は限度額を設ける。
    また、投資家の申告を必要とするが、2010年からは特定口座の活用によって申告不要となるよう証券会社のシステムの見直しを行うとしている。

    ■証券優遇税制の継続求める声相次ぐ

    この日の会合では、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題の余波を受けた不安定な株価動向などを理由に軽減税率の延長・恒久化を求める声が相次いだ。
    与謝野馨小委員長は同省案を「非常に軟弱な着地」と指摘。
    同案をたたき台に、12月中旬の来年度税制改正大綱のとりまとめに向けて詳細を詰める方針を明らかにした。
    津島会長は27日、証券優遇税制について「損益通算ができるようにしてほしいとの声を否定できない」とした上で、軽減税率について「単純に延ばすようなことはしたくない」と発言していた。
    同税制は2003年度税制改正で、2007年度末までの時限措置として導入されたが、今年度税制改正で1年延長されたため、適用期限は株式譲渡益が2008年末、配当が2009年3月末となった。
    これに対し、金融庁は株式譲渡益の軽減税率の再延長と配当課税の軽減税率の恒久化を求めている。

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    株配当の税軽減措置-民主、延長認める-証券優遇税制 (2007.11.30 朝日新聞)

    民主党税制調査会は29日、2008年度税制改正の焦点の一つになっている証券優遇税制をめぐり、株式の配当に対する軽減措置は延長を認める方針を決めた。
    参院選の政権公約では、1年を超える長期保有に限定して軽減措置を維持する考えだったが、「安定的な個人株主を育成する観点などから、長期保有に限らず、軽減措置の維持を考える」(古川元久・税調副会長)という。
    株式の売却益に対する軽減措置は廃止を主張している。
    軽減措置の延長の是非をめぐっては、株価の下落などを受け、与党内でも延長論が高まるなど賛否が分かれている。
    民主党の方針変更は、与党内の議論の行方にも影響しそうだ。
    証券優遇税制は、上場株式の売却益や配当にかかる税率を本来の20%から10%に軽減するもの。
    民主党は預貯金の利子所得など、ほかの金融所得と同じ税率に戻すべきだとして、軽減措置の廃止を主張。
    長期保有の株式の配当に限って軽減措置を続ける考えだった。
    だが、法人の株式持ち合いの解消などで株式市場の不安定化が進んだことなどを背景に、 (1)個人の安定株主の育成、(2)法人段階と配当段階の「二重課税」の是正-などが必要と判断。また「長期保有」をどのように特定するかという実務上の課題も浮上したという。
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    2007.10.11

    歴史に学ばぬバカどもへ

    先日、約2年前に起こった耐震強度偽装事件の教訓が全く生かされていないような記事がひっそりと読売新聞の家庭面に掲載されていた。
    今度の舞台は国民生活センター、ここは1970年に特殊法人として設立され、2003年から独立行政法人になったところで、言うまでもなく消費者保護行政の隠れた主役である。
    現在では職員数は約110人、相談調査部、商品テスト部など7部4課5室1館で構成され、東京都港区高輪に相談調査部などが、神奈川県相模原市に商品テスト部の施設があるが、今年度の予算は35億4700万円、必ずしも多いとは言えない規模だ。

    そして、その国民生活センターは先月、内閣府の私的懇談会「国民生活センターの在り方等に関する検討会」の最終報告により、業務縮小方針が示されたと、読売新聞は報じている。
    「小さな政府論」を標榜する人たちに言わせれば、行政改革の一環であり、聖域なしになるのは当然とまで言い切るだろうが、これは全くのお門違いだ。
    小泉政権が推進した規制緩和政策、これ自体の方向性は間違ってはいないが、これを推進することはレフェリー役(の役人)が今まで以上に必要となるということを意味する。
    そうしなければ、ルールを守らせるための監視が緩くなり、結果的に消費者がバカを見るからだ。
    要するに、規制緩和とともに実施すべき行政改革とは、手取り足取り行政の官庁をスクラップし、レフェリー官庁を充実させないといけないということが全く認識されていない。
    と、言うかわざとそうしているとしか思えないフシもある。
    つまり、官はすべて不要と切り捨てにかかった小泉・竹中コンビを私がペテン師だと言ったのはこういう理由によるものだ(2005年8月27日「今日の一言」

    そして、2005年11月から翌1月頃にかけて「きっこのブログ」で一大トピックになった耐震強度偽造事件と同じ図式となりそうなことが国民生活センターでも起きようとしている。
    つまり、耐震偽装がなぜ起きたかと言えば、レフェリー役が官から民になり、その結果、不動産業界関係者が胴元とレフェリーを兼ねた八百長をやっていたからだ。
    耐震強度偽装事件に関してどの程度八百長が行なわれていたかは彼女のブログに詳しく載っているので参考にするといい。

    *********************************************************
    <耐震強度偽装事件に関する「きっこのブログ」記事一覧>

    建築界のゴールデントライアングル(2005.11.20)
    信用もマッサカサマ(2005.11.21)
    民営化の落とし穴(2005.11.22)
    本当の黒幕は?(2005.11.24)
    小嶋と犬山のヘッポコ漫才(2005.11.26)
    いよいよ大詰めか?(2005.11.30)
    これがすべての構図です(2005.12.01)
    素人が建てたホテル(2005.12.03)
    そうです、変なおじさんです(笑)(2005.12.04)
    レイザーラモンHG改めレイザーラモンSG (2005.12.06)
    黒幕の黒幕はみんな黒幕だ(笑)(2005.12.08)
    政・官・民の三位一体(2005.12.09)
    捕らぬジジイの皮算用(2005.12.12)
    馬淵議員VS内河健(2005.12.15)
    渡辺無能と吉田ドザエモン(2005.12.17)
    イーホームズ社長からのメール(2005.12.19)
    トカゲのシッポ(2005.12.22)
    とっとこハムスケ絶体絶命!(2006.1.16)
    オジャマモンの証人喚問(2006.1.17)
    オジャマモンとホリエモン(2006.1.18)
    嘘つきは誰だ?(2006.1.19)
    ********************************************************

    この悪夢の歴史がまた繰り返されようとしている。
    読売新聞は、「全国消費者団体連絡会事務局長の神田敏子さんは「製品事故が相次ぐ中、国民生活センターの原因究明機能への期待はますます高まっている。現段階で、他の機関がどの程度まで消費者の視点に立ったテストを実施できるか分からず、不安だ」と話す。委託先には産業技術総合研究所や各種の試験研究機関などが挙がっている。しかし、これらの機関は企業からの検査依頼も受けており、消費者の誤使用などを想定した柔軟な検査ができるのかといった指摘もある。」と書いている。

    つまり、企業の製品に欠陥があるかないかをテストする検査機関が外部委託されるようだが、その機関が企業の紐付きでない保証はどこにもない、ということを暗に言っているようなものだ。
    仮に紐付きでないとすれば、原資は税金なのだから何も組織を複雑化させる必要は全くない。
    耐震強度偽装事件で一番問題になったのは検査機関が業者の紐付きであったことなのだから、政府当局者は全く歴史に学んでいないということになる。
    はっきり言って「バカ」である。
    そうでなければ、やはり「国民にとって重要で権力者の邪魔になるところから」整理縮小するのであろう。
    違うというのであれば説明してもらいたいものだ。
    あれだけ問題のあるNHK(特殊法人)はなぜ民営化の論議にさえならないのか。

    ********************************************************
    どうなる国民生活センター (2007.10.6-7 読売新聞家庭欄)

    ■「縮小前提」改革に異論

    消費者被害の解決に取り組んできた国民生活センターの改革案に異論が続出している。
    一般消費者からの直接相談の廃止、商品テストの大幅な外部委託化など、業務の縮小が盛り込まれたからだ。
    製品事故や消費者トラブルが相次ぐ中、同センターの役割が問われている。

    内閣府の私的懇談会「国民生活センターの在り方等に関する検討会」(座長・野村豊弘学習院大教授)が先月25日、東京都内で開かれた。
    最終報告案について協議が行われたが、検討会委員の間から相次いで異論が出され、この日予定されていた最終報告の公表が延期となった。
    異論が相次いだのは、消費者からの相談を直接受け付ける制度の廃止と、製品事故の原因などを調べる商品テストの大幅な外部委託化についてだった。
    同委員で埼玉大学非常勤講師の原早苗さんは「センターは消費者の駆け込み寺的な存在。直接相談の廃止などの業務縮小は、センターから現場感覚を失われてしまう」と指摘する。
    しかし、2日後に公表された最終報告も、業務縮小の方針は変わらなかった。

    内閣府が一貫して業務縮小にこだわるのは、政府が現在、独立行政法人の整理合理化計画を策定しているためだ。
    すべての独立行政法人の事業をゼロから見直し、年内には同計画を閣議決定
    する。
    同センターも例外ではない。
    内閣府の担当者は「消費者行政を充実させたいという要望はよく分かる。一方で、国の財政も厳しい。板挟みの状態」と打ち明ける。
    同委員で弁護士の山口広さんは「消費者行政への期待が強まっているのに、そもそも予算削減ありきの中で、センターの役割を検討することに無理がある。独立行政法人の整理合理化の一環として業務の効率化を優先するのはおかしい」と話す。

    今回の検討会は、今年4月から始まり、計9回の協議を重ねてきた。
    もともとは、来年度から始まる同センターの次期中期計画づくりに向け、同センターの業務内容を検討することが目的だった。
    製品事故や消費者トラブルが相次ぎ、同センターの機能強化を求める声は強い。
    今回の最終報告では、裁判以外の方法で民事紛争を解決する「裁判外紛争解決手続き(ADR)機関」としての役割を同センターに持たせることになった。
    同センターは、消費者から苦情相談を受けた場合、事業者とのあっせんを行ってきた。
    しかし、現行の国民生活センター法には、あっせん行為は明文化されておらず、事業者が話し合いを拒絶した場合、その時点で解決の道は閉ざされていた。
    同法を改正して法的な位置づけを明確にすることで、被害の救済と防止を図るという。
    同センター理事の田口義明さんは「業務の効率化は必要なこと。最終報告を踏まえた改革を進めていきたい」と話す。
    紛争解決機能と各地の消費生活センターヘの支援に重点を置いた活動をしていくという。
    国民生活センターの今後の役割が注目される。

    ■商品テストも外部委託

    東京都心から電車で約1時間。神奈川県相模原市に国民生活センターの商品テスト施設がある。
    食品や家電などを調べる設備のほか、自動車の屋外走行テスト場もある。
    ここでは地方の消費生活センターからの依頼や消費者の製品事故情報などをもとに、毎年約60件の商品テストを実施。性能や安全性、欠陥の原因究明などを行い、問題があれば結果を公表する。
    「テストがきっかけとなり、国や業界団体、業者が安全対策や製品の改善に向けて動き出すことは多い」と商品テスト部職員は胸を張る。

    窒息死の相次いだこんにゃく入りゼリーでは、業界団体が高齢者や子どもは「食べないで」と警告するマークを作成。
    ヘナ配合の白髪染めでは、かぶれの原因となる化学物質を含むものもあるため、厚生労働省は使用前に必ずバッチテストをするよう促す注意書きの徹底を求めた。

    商品テストは、かつて各地の消費生活センターでも盛んだったが、地方の財政悪化などのあおりを受け、年々減っている。
    2007年の消費生活年報によると、2006年度に商品テストを実施したのは全国で25機関。2000年度の69機関に比べて大幅に減っている。
    こうした事情を背景に、消費者団体からは、国民生活センターの商品テストを外部委託化することに対して反対の声が上がっている。
    全国消費者団体連絡会事務局長の神田敏子さんは「製品事故が相次ぐ中、国民生活センターの原因究明機能への期待はますます高まっている。現段階で、他の機関がどの程度まで消費者の視点に立ったテストを実施できるか分からず、不安だ」と話す。
    委託先には産業技術総合研究所や各種の試験研究機関などが挙がっている。
    しかし、これらの機関は企業からの検査依頼も受けており、消費者の誤使用などを想定した柔軟な検査ができるのかといった指摘もある。

    一方、同センターは、消費者から直接受ける相談業務を段階的に廃止する。
    廃止により、深刻な消費者トラブルを早期発見する機能が低下するという見方もある。
    同センター理事の田口義明さんは「消費者から電子メールで送られてくるトラブル情報は引き続き受け付けており、こうした生の声に触れることで、問題点を見いだす『センサー機能』は保てる」と説明する。しかし、「国民生活センターの在り方等に関する検討会」委員で、日本女子大非常勤講師の夷石(いせき)多賀子さんは「一方的に送られてくる文字情報だけでは限界がある。実際に消費者とやり取りする中から、重大な問題点が見えてくることは多い」と言う。

    同センター改革の最終報告では、消費者問題を扱う中核的機関としての役割を求めているが、消費者の視点や現場感覚を失っては中核としての役割は担えない。
    主婦連合会副会長の大河内美保さんは「地方の消費者行政が縮小される中、センターを頼りにしている消費者は多い。整理合理化の波に負けず、センター自身も自分たちの存在意義を、誇りを持って訴えてほしい」と話している。(竹之内知宣、板東玲子)
    ********************************************************

    最後に、私が今から3年前に書いたエッセイ「カルトとヤクザが支配する国」から、バブル以降の歴代の政治家の本音(裏)のメッセージを再度紹介したい。
    これは当時の国政選挙であまりの棄権者の多さに私が皮肉を込めて送ったメッセージであるが、郵政選挙で小泉自民党が大勝した後の政治状況にも十分に当てはまることではなかろうか。

    ********************************************************
    今まで応援(棄権)をしてくれてありがとう。
    (面白くないことはやらないのが一番ですよね。わかります。その気持ち・・・)
    現在、私どもの政党とそのシンパが国政の最大勢力を維持できるのもあなた方の(怠慢)のおかげです。
    政治みたいな難しいことは我々プロに任せていただければ(我々にとって)悪いようには致しません。
    皆さんはもっと仕事を(死なない程度に)してたくさん稼いで(貢いで)ください。
    できるならば国債も買って(金を貸して)いただくともっとありがたいのです。(返せないかもしれませんが)
    いつも本当にありがとう。(あなた方は世界一の貢くんです。)
    そうそう公務員もリストラ・・・あなた方の言うこともっともですよね。
    (検察庁・国税庁・裁判所・公正取引委員会・会計検査院・・・あんなに人いらないですよね。そうすれば私たちに噛み付こうなんて不届きな役人も出ないでしょうから)
    さすがです。役人ももちろん減らしますよ~(国民にとって重要で我々の邪魔になるところから)
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    2007.09.14

    世界史を学ぶということ

    「先住民の権利宣言(The declaration on the rights of indigenous peoples)」というものが、国連総会の議決で143ヶ国、全体の9割もの賛成でもって採択された。(「先住民の権利宣言」国連総会で採択、米豪など4か国反対)(Indigenous rights outlined by UN
    反対したのは、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの4ヶ国だけだ。
    要するに、アメリカはインディアンを、オーストラリアはアボリジニの権利を剥奪して侵略した結果、今の国家が成り立っているわけだから彼らが自国史の中で最も触れてもらいたくないのがこのことであることは間違いない。
    おそらく、カナダやニュージーランドもアメリカやオーストラリアと同じような歴史を辿ってできた国であろうから同様の問題を抱えているのであろう。
    彼らが採択の過程で「宣言は我々の法律とは相容れない(The declaration is incompatible with our own laws.)」と抗議したのはそれを雄弁に物語っている。

    普段から他国に対しては人権だの、くじらが可哀想だの、言っている国だって内実はこんなものだ。
    私が何を言いたいかと言うと、彼らに何かを言われたら、こういうことを挙げて言い返せということだ。
    第二次世界大戦前のアジアの植民地問題にしてもそうである。
    まして、アメリカ人や、イギリス人、オランダ人に謝れだの、賠償しろだの言われる筋合いはどこにもないということだ。

    世界史を学ぶということは、極論すれば外交戦争(交渉)に勝つための理論武装をするということだ。
    昨年10月、大学受験に際して重要視されていないことから高校の必修科目であるにもかかわらず未履修であったこと(世界史未履修問題)が多くの高校(特に進学校)で発覚したが、ことは単に学習指導要領を守らなかったということではなく、将来の政官財の中枢を担う人間が世界史を知らぬまま外国人と付き合わなくてはならない、ということを意味するのだ。
    小泉首相が対米追随外交をするまで、何でアラブ諸国やトルコが親日的なメンタリティを持っていたか。
    多くの場合、それが白人と戦争をして勝った有色人種国家であることが一つの理由なのだ。

    外国との交渉は殺し合いをしない戦争のようなものだ。
    そのとき相手に言われ放しで反論もできずに黙りこくる。
    いくら自分は政府当局者でないと言ってもそんな理屈は通用しない。
    少なくとも外国要人と係わり合いの出るような立場の人が、自分の政治・歴史観と兼ね合わせて意見を述べられないようであれば国際社会では失格の烙印を押されるであろう。
    それがいかに国益を損なうか、考えただけでゾッとするのである。

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    2007.09.09

    日本でも起こりうるサブプライム問題

    日本の金融機関は「低所得者向け」と明示して住宅ローンを貸し出すことはしていない。
    収入の審査も一般的に厳しいというイメージもあり、9月5日号のNewsweek Japanの「私が落ちたローン蟻地獄」で問題になっているような米国の無書類ローン(本人申告だけで審査が通る)といった杜撰な貸し出しもない。
    日本の市場関係者も日系金融機関はサブプライムローンの影響は軽微であり、株安の原因はあくまで米国発の連鎖安であることを言っている。
    確かに表向きはそうであるが、本当に何も問題はないのだろうか。

    同じ9月5日号のAERAで「世界株安震源地の悲劇」という記事がある。
    それによると、低所得者が借りている一般的な住宅ローンは「228ローン (2/28 ARM = Adjustable Rate Mortgage)」と呼ばれるもので、最初の2年間は数%の固定金利だが、後の28年は変動金利に移行し、しかも金利は10%前後の高水準になるというものだ。
    もし、彼らが近年の住宅ブームに乗って不動産を購入していれば、今年あたり変動金利への移行が始まり、債務者はたちまち行き詰まることになるだろう。

    これに似た話はどこかで聞いたことはないだろうか。
    そう、私が「今日の一言(2004.6.27)-気がつけばローン地獄 金利1%落とし穴」で指摘した、日系金融機関が販売していた「固定金利3年型-当初3年間金利1%」というキャンペーン型住宅ローンと全く同じなのだ。
    違いは、日本が変動金利に移行しても米国みたいな高金利に跳ね上がらないことと、一方の米国は不動産の値上がり益による返済が見込めた(今やそれがピークアウトして見込めないから問題になっている)ことだ。

    私は日本のこうした住宅ローン問題がアメリカ発のサブプライム問題から遅れること1年、来年中には表面化するような気がしてならない。
    なぜならここ数年の企業収益の増加は主として外需主導であったため、米国がリセッション入りすれば、それが一気に逆転すること、そして、小泉政権がもたらした国民の負担増がここにきてボディブローのように効いてきていること、小渕政権が発行した大量の10年国債の償還が来年に迫っていること、団塊世代の公務員の退職ラッシュが本格化することを兼ね合わせると、先送りしている消費税率のアップを誰が行なう(ババを引く)かという問題は避けて通れない。
    余談だが、そのババを民主党に引かせるためにわざと自民党は下野するような失態を続ける可能性もある。

    おそらく、キャンペーン金利で住宅ローンを借りた人は、家計におけるローンの返済割合も多いだろうし、今でさえ青息吐息(あおいきといき)だろうから、これで消費税が上がり、生活必需品の価格が原油高との相乗効果で目に見えて上がりだせば、ギブアップとなるだろう。
    日本経済が今の不安定な状況から本格的に不況になり、企業がリストラを再開すれば、こうした住宅ローン債務者にもしわ寄せが来るに違いない。
    そうなれば、住宅ローンを返せなくなる人は激増し、収益のほとんどを国債・地方債の投資、住宅ローンの貸し出しに投資信託の販売に頼っている銀行は一たまりもないだろう。
    特に地方銀行はこれが顕著だと聞くし、民営化される郵貯銀行も同じような感じだという。
    元銀行員で作家の江上剛氏によれば、昨今の低金利の中、本人の年収の10倍の住宅ローンを貸し付けている金融機関もあるといい、今までの常識では考えられないことがまかり通っているという。
    こうしたところが延滞債務者ともどもパンクするのは時間の問題だろう。
    そうなったらまた政府が国債を発行して税金(公的資金)を投入するのか。
    ちなみに、その国債の引き受け手は存在するのだろうか。

    主要国の株式市場が最高値更新のニュースで溢れかえっている中で、ITバブル時代に付けた日経平均20000円台にもはるかに届かない状況から再度独歩安の状況に陥り始めた日本経済、このままいくと在ニューヨーク・ファンドマネージャーでもある大竹慎一氏が言うように「日経平均4000円時代が来る」というのも非現実的でないような気もする。
    私は昨年11月19日の「今日の一言」で「2006年度末を目途に(日本株からの)撤退を視野に入れようかと思う」と書いたが、厳密に言えば買い(ロング)ポジションを閉じる、という意味で書いた。
    実際、今やほとんどが「売り(ショート)ポジション」である。
    生まれた祖国の企業を応援したいという気持ちがないわけではないが、それで自分の資産が増えるわけではない。
    残念ながら今の日本に株価が上がる期待はできないのである。

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    2007.08.24

    もし裁判員に選ばれたら

    平成21年5月までにスタートすることが決まっている裁判員制度についての講座があったので出席してみた。
    講座では法務省が裁判員制度広報用ビデオとして作った中村雅俊監督・出演(裁判長役)、西村雅彦主演の「裁判員制度-もしもあなたが選ばれたら-」が上映された。

    広報用のビデオなので当然のことながら紆余曲折がありながらも結果的にうまくいく、というストーリーだが、西村雅彦氏がドラマで語っている「誠意をもってぶつけた判断なら相手(被害者や被告人)もちゃんと受け止めてくれる」というのはだいぶ甘いものがあるように感じた。
    このような性善説は今どき、というか最も利害が先鋭に対立する場所では通用しないだろう。
    まして裁判員制度の対象となる事件は、殺人や傷害致死などの重大犯罪なのだ。

    それに日本人は人前で自分の意見を表明することに抵抗を感じる人が多い。
    ドラマでは裁判官と裁判員が一同に会しての評議(事件の審理)で活発な意見が出て、それが次第に一つの結論に収束していくような形で演じられているが、「国際会議議長の任務として最も難しいことは、インド人に発言させず、日本人に発言させること」というジョークがあるくらい日本の会議は「皆に意見を言わせることが大仕事」なのだ。
    結果的には、誰かの意見に引きずられる形でいつの間に結論づけられているというのが実情だろう。
    下手すれば司会と1人の提案者以外は全員黙っていることだって考えられるほどだ。

    評議の場で少数の反対意見を勇気を持って言える人がどの程度いるのか。
    裁判が裁判員の都合(繁忙の度合い、スケジュール)に配慮する形で行なわれた結果、拙速な審理が行なわれがちになって、むしろ当事者の利害が損なわれないのか。
    私がかつて疑問視したこと(2005年4月17日2006年10月15日「今日の一言」)はどの程度改善されているのか。
    ドラマを見る限り、ますます懸念が深まったような気がする。

    唯一、正しいと思ったのは、「いつ何時、自分が加害者となり、被害者となる可能性がある。裁判員というものを人ごととは思わないで欲しい。」と言った主演の中村雅俊氏(裁判長役)の言葉だ。
    また、「政治に無関心、投資に無関心、金利に無関心、他人に無関心、他国に無関心、将来に無関心」
    これは衰退国家の末期症状だ、と言ったのはWorld Investorsで交流のある1人の個人投資家だ。
    中村雅俊氏(裁判長役)はこうも言う。「無関心こそ最大の罪なのです。」

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    2007.07.06

    スタグフレーションの足音が聞こえる

    原油高、原材料(素材)費高、円安のトリプルパンチに、小泉政権が決めた2年連続の実質増税、さらに安倍首相が仄めかす参議院選挙後の消費税率アップときているのにもかかわらず、日本のメディアは庶民のパニックを恐れているのか、安倍政権におもねっているのか、日本経済のおかれている状況をまともに報道しているとはとても思えない。
    それにも増して、私は特に原油高が国民生活に与える影響(2006年7月30日2005年12月23日)については、首相が先頭に立って対処すべき問題だと思っているが、これについてもそう考えているようには見えない。
    おそらく、今のままいけば、近いうちに日本にとって最悪のシチュエーションであるスタグフレーション(stagflation=不況下のインフレ)に突入するだろう。

    その兆候は、ここ数日の経済記事を見てもわかる。
    企業間取引のみならず一般消費者向けの製品にも価格転嫁が行なわれ始めているからだ。
    これまではデフレ経済下で消費者物価への転嫁を手控えてきた企業側が、今後はそうは言っていられないとばかりに堰を切ったように転嫁を始めたのが背景にあろうが、財界の主流が一つの流れを作ると一気呵成に追随する日本企業の悪弊が出始めているような気がしてならない。

    私が「統計で作られた景気回復という虚構が崩壊するのにそれほど時間はかからない(2006年10月8日)」と言ったことはもはや現実化しつつある。
    政府とメディアがタッグを組んだ「いざなぎ超え」の提灯報道が春以降はプッツリと見られなくなっているのがその証左だ。
    彼らは今、無理に日本株の先高感を演出したいように見えるが、世界同時株高と言える急騰相場(skyrocket)を前にはかすんで見える。
    しかも私が思うに証券業界が期待した富裕層の団塊マネーの多くは海外市場へ向かったのだろう。
    それがさらなる円安を呼び、場合によっては二度と日本へ還流しない資金となっているに違いない。
    結果的に残されるのは負担増に耐え切れなくなった一般庶民の悲鳴だけなのだ。

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    2007.06.17

    何も解決しない教育問題

    私の敬愛するベンジャミン・フルフォード(Benjamin Fulford)氏が「暴かれた闇の支配者の正体」という新刊を出した。
    その中で最も気になったのが「日本人を奴隷化する戦後教育」というコラムだった。
    これを読んでみると思い当たることはいくらでもある。
    私が最も気になったのは、「自分独自の意見を作らせないこと」「受け身のパーソナリティを作ること」「目立つ人の足を引っ張ること」の3つだ。
    この3つがある限り、活発な議論や討論など起こり得ないだろう。
    私の体感で、会議という名のつくイベントが、「コンセンサスを得る」いう名目で開かれる無駄なものが多いのも、その会議中でさえ何も発言しない出席者が半数近く、場合によっては半数を超えることがあるのもこのためだ。
    さらに言えば、法体系だけは一流先進国のものがありながら、高度成長期以降の首相に無能な者が多いのも、政権交代もほとんどなく、憲法に至っては世界最長寿のものという笑い話にしかならないのも、これらのことが原因としか思えない。
    「国際会議議長の任務として最も難しいことは、インド人に発言させず、日本人に発言させること」というジョークは言い得て妙である。

    しかも、「自分の意見を持たない人」は自分の殻の外へ飛び出す勇気も持ち得ないだろう。
    なぜなら、仲間内では同じような考え方の集まりでストレスを感じずにいられたのが、違う世界へ飛び込むことになれば、今までとは全く違う考え方の人も大勢いるのだ。
    それが外国人相手となればなおのことだろう。
    私の知り合いのインド人が日本人との会話に時々ストレスを感じると言ったことがある。
    私が即座に「日本人は I think (私はこう思う)でなくて、Somebody says (周りの人が言っている)と言う場合が多いからだろう」と言うと、我が意を得たりとばかりに頷いたのが思い出される。
    自分の意見というものを持たない、周囲と合わせることのみに汲々としている人は面白みにも欠けるのだ。

    また、安倍内閣の最重要課題の一つは「教育再生」というものだが、安倍首相が具体策として挙げた

    1.教員免許更新制度、学校評価制度導入などによる質の高い教育の実現と学力向上
    2.体験活動や奉仕活動を通じた規範意識や情操の育成
    3.家庭や地域の教育力向上

    というものがベンジャミン・フルフォード氏の言う戦後教育の弊害の是正に何の役にも立たないことは明白である。
    戦後教育の弊害と言えば、どこもかしこも「日教組の歴史教育」とか言って非難しているが、それが「文部省の英語教育」「大企業の新入社員教育」に置き換えてしまっても同じことだ。
    すべての問題は「講師からの一方通行、かつ、1つの正解を求める教育」に尽きるだろう。
    結果的に、自分で考えさせようとしない、異なる意見や方法を認めようとしない、ことが最大のガンなのだ。
    ここからは独創的、斬新的な考え方が日の目を見る可能性は限りなく低いし、才能ある者は見切りをつけて外へ飛び出すだろう。
    残るのは古臭い考え方に凝り固まった老害経営者と公務員、住宅ローンで身動きの取れないサラリーマン、貧困層に叩き落された人たちになる。
    日本の支配階級にある泥棒たちは、これが将来の日本にとってどれだけ深刻なことかわからないのだ。
    もしかすると、わかっていても、自分たちさえ良ければいい、一般庶民に本当のことを知られて怒りの矛先が自分たちに向かっては困るから、そうした状況を放置し、全く関係ないことばかりやり、時間と金を浪費しているのだろう。

    最後に、ベンジャミン・フルフォード氏の著書、「泥棒国家の完成」の中の一節を紹介して終りにしたい。
    おそらくこれが日本の受け身の教育と拙い英語教育がもたらした最も大きな弊害だと思うからだ。

    「グローバリゼーションの批判はいろいろあるが、若い世代に「世界中が自分たちのステージ」という希望を与えたということは評価に値する。韓国にかぎらず、いまでははとんどあらゆる国の若者たちが、国境を越えて自分の可能性を追求するようになった。
    しかし、この日本ではどうだろうか?日本の若い世代は、まだはんの一部しかこのことに気がついていない。というか、気がつかないように国家やメディアによって洗脳され、臆病としか思えない生活を送らされている。大卒就職率が韓国並みの60%に下がっても、自国内のフリーター人生を続けるか、親の金に頼るバラサイト人生を選択しているのである。しかし、事態がもっと悪化すれば、やがてそれさえもできなくなるだろう。」

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    日本人を奴隷化する戦後教育 (暴かれた「闇の支配者」の正体 by ベンジャミン・フルフォード)

    なぜ日本人はアメリカから離れて独自の道を歩むことができないのか。
    その大きな原因が、まさに今、社会問題になつている”教育”にある。
    教育基本法をはじめとする戦後日本の教育プログラムは、アメリカが作り、日本に押しつけたものである。
    日本人はそれを当たり前のもののように受け止めているが、私のような外国人にいわせると”洗脳プログラム”以外の何物でもない。
    いや、外国人だからこそ、日本人には見えないアメリカの真の思惑がハッキリ見える。

    アメリカの教育プログラムは戦後一貫した意図を持っている。
    日本をアメリカの”奴隷”にし続けておくことである。
    冷戦期は”反共の砦”として活用するため、今は個人資産1500兆円という世界史上誰も手にしたことのない大金を貢がせるためだ。
    文句は一切言わせず、むしろ喜んで、進んで貢ぐようにする。
    かつて日本の教育改革を担当したGHQの役人は、こう豪語したそうだ。「日本の教育を変えて、今後は天才が出ないようにします」
    戦後、彼らが押しっけてきた教育プログラムの要点は、次のようなものである。

    1.白人に対する徹底的な劣等感を植え付けること。
    2.アメリカは素晴らしい国だと信じ込ませること。
    3.自分独自の意見を作らせないこと。
    4.討論や議論を学ばないこと。
    5.受け身のパーソナリティを作ること。
    6.一生懸命勤勉に仕事させること。
    7.目立つ人の足を引っ張ること。

    これらは、イギリスの植民地だったインドで実践された教育方針そのままだ。
    要するに、上からの命令に疑問を持たず、与えられた課題だけ勤勉にこなす”しもべ”を作る教育である。

    日本人は、明治以来優れた教育システムを自前で作り上げてきた。
    実は、世界に通用する日本人は戦前のほうがずっと多い。
    世界で初めて血清療法を開発した北里柴三郎、赤痢菌を発見した志賀潔、黄熱病研究で知られる野口英世など、天才と呼ぶにふさわしい個性的な日本人が世界中で活躍していた。
    戦後の日本人からそういう天才が出なくなり、カネにしか興味のない「エコノミック・アニマル」などと呼ばれるのは、自前の優れた教育システムを捨ててアメリカが押しつけた奴隷教育を採用したからにほかならない。

    今日、多くの日本人がアメリカからの露骨な内政干渉をまったく疑問に思わないのも、この教育の成果だ。
    アメリカがヤクザや”エセ右翼”を使い、自民党、警察、検察を抱き込んで利権をほしいままにしても、見て見ぬふりを決め込んでいる。
    そればかりか、これだけ多くの証拠を突きつけても、「アメリカがそんなことをするわけがない!デマだ!」と、耳をふさいだままだ。
    要するに、ずっと植民地なのである。
    表面上は独立したけれども、本質的にはまだ占領されているのだ。
    こういう卑屈な教育の基盤の上で、アメリカとそれに追随する勢力は、さまざまな批判者や日本の国益を守ろうとする政治家を”抹殺”してきたのである。
    そして日本人の富は着々とアメリカに奪われている。
    安倍政権が誕生した今も、その収奪は終わることなく続いている。
    ここに書いたようなことは、大手メディアは決して報道しない。
    もうそろそろ、こんな恐ろしい政治とはおさらばしてもいいのではないだろうか。
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    2007.05.06

    消費税がフリーターを増やした

    フリーライターで元国税調査官の大村大次郎氏の著書「国税調査官が教える-なぜ金持ちが増えたのか?-税が格差社会を作った(2007年4月5日初版)」の中に「消費税がフリーターを増やした」という一節があった。
    要は、企業にとって正社員を雇うことは消費税の負担増になるので、昨今の不況下ということも相俟って非正規雇用の増加に拍車をかけているとのことだった。
    収入が低い世帯ほど負担が重くなる消費税の逆進性の問題については、至るところで見聞きすることなのであるが、このことを知っている人はどの程度いるのだろうか。
    実は私もこのことは彼の著書を見て初めて知ったことなのだが、もしかすると、国税当局者、経営側(財務・経理部門)や公認会計士、税理士以外の人はほとんど知らないのではないだろうか。

    ここでいう消費税がなぜ非正規雇用者を増やすことになるのか、ということについては消費税法第2条第1項第12号(課税仕入れの意義)の例外規定に原因があるようだ。
    この規定は法人が商品やサービスの対価として支払った金額のうち消費税分に該当するものは、原則として仕入税額控除の対象となるというものだが、所得税法第28条第1項に規定する給与等を対価とする役務の提供(消費税法基本通達11-1-2:雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく給与等を対価とする労務を提供のほか、過去の労務の提供を給付原因とする退職金、年金等も含む)は除く、と明記されている。
    単純に言えば、社員の給与と退職金は消費税法上では経費にならない、ということだ。

    ところが、企業が正社員を雇う代わりに派遣会社から人を受け入れれば、経理上は派遣会社に対する労働者派遣料(外注費)ということになり、消費税の仕入税額控除の対象となる。(消費税法基本通達5-5-11)
    つまり、企業は正社員を直接雇っても派遣社員を受け入れても同じぐらいの経費がかかるとしたら、消費税分を仕入税額に計上できる方を選ぶだろう。
    当然ながら、正社員を雇った場合には、企業が支払うことになっている健康保険料や厚生年金保険料といった法定福利費(労使折半)の負担増のリスクがあるため、これがますます社員の非正規化に拍車をかけているのは言うまでもない。

    経団連は消費税率を2ケタにすることを公然と主張しているし、政府は夏の参議院選挙が終わった後には増税論議に着手するだろう。
    もし、与野党の国会議員が口先だけでなく「格差是正」を本気で掲げるなら、まずは企業が正社員を雇うことによって生じるデメリットを是正するか、非正規雇用者の待遇を企業が改善できるようにしなくてはならない。
    今さら消費税を廃止することが非現実的なことであるならば、少なくとも人件費を消費税法上の課税仕入れとみなす規定を入れ、社会保険料の料率を下げることが必要だろう。
    おそらく、企業が非正規雇用者の待遇改善に二の足を踏むのはこの二つが原因と思われるからだ。

    ただ、それによって短期的には国の収入が減るので、政府は財政の悪化を持ち出して難色を示すだろう。
    しかし、公租公課の負担能力が十分とは言えない非正規雇用の人たちに税金や国民健康保険の請求書を送りつけても滞納になるだけで、事務コストがかさんでかえって財政が悪化することがわからないのだろうか。
    それで増税したり健康保険料を値上げすれば、ますます滞納が増えるばかりだ。
    それよりも、彼らがそれらを負担できるようにすることが長い目で見れば得策だとは考えないのだろうか。
    本来なら野党や労働組合がそういうことは主張すべきなのだが、彼らは非正規雇用者の待遇改善にはあまり興味がないらしい。
    おそらく安倍政権が失態を演じ続けても野党が国民の支持を取れないのはそういう姿勢に原因があるのだろう。
    一方の大企業の経営者でさえ目先のことしか考えずに社員の非正規化を推し進めるが、そのツケが回りまわって自分たちの身に降りかかることがわかっていないのだろうか。
    それとも自分たちだけは海外逃亡を図るからいいというのだろうか。

    *********************************************************
    ■消費税がフリーターを増やした

    消費税の導入というのも、フリーターの増加に大きな影響を与えている。
    消費税というのは間接税である。実際に消費税を負担するのは消費者で、企業は消費者から預かった税金を納付するだけ、という建前になっている。
    しかし、この建前は錯覚でもある。
    企業にとっては、自分が持っている金の中から消費税を払わなければならないわけである。
    それが預かり金であろうとなんであろうと、企業の負担になっていることには変わりはない。
    「社会全体で5パーセント物価を上げましょう、企業はそれで5パーセント利益が増えるはずだから、それを税金として払いなさい」
    それが消費税なのである。

    そして消費税というのは、実は人件費にかかる税金なのである。
    消費税というのは、「課税売上-課税仕入」という式で算出される。客から預かった消費税から、仕入れなどのときに支払った消費税を差し引いた残りが、納付する消費税ということになるのだ。

    この課税売上-課税仕入という式をもっと具体的に表せば、「(売上-経費+人件費)×5%」という図式が成り立つ。
    なぜ人件費がプラスされるのかというと、人件費には消費税はかからないという建前なので、課税仕入の中に人件費を入れることができないのだ。
    売上-経費というのは利益のことだから、消費税を算出する式は「〈利益+人件費)×5%」ということになる。
    つまり、消費税というのは、企業にとっては利益と人件費にかかってくる税金ということになる。
    法人税や住民税は利益にかかってくるものだが、消費税はさらに人件費にもかかってくるのだ。

    たとえば、売上が1億円、経費が7000万円の企業があったとする。
    経費のうち人件費が3000万円だった。
    この企業は、利益は次のとおりだ。
    売上1億円-経費7000万円=利益3000万円
    法人税や住民税は、この利益3000万円に税率をかけたものとなる。
    しかし消費税の計算は次のとおりになる。
    (利益3000万円+人件費3000万円)×消費税率5%

    つまりこうしてみれば消費税は、人件費にかかってくる税金ということがいえる。
    ということは、企業が消費税を減らそうと思えば、当然、人件費を減らす努力をする。
    人を雇って人件費を払うより、アウトソーシングなどを利用したほうが消費税は安くなる。
    ここでも「人を雇うと税金が高くなる」という仕組みになっているのだ。
    そのため企業は正規で人を雇うのを控え、アウトソーシング会社などを利用しだした。
    アウトソーシング会社は、アルバイトや派遣社員など、いつでも首にできる形で人材を用意する。
    この構図が、フリーターを増加させている一因でもあるのだ。
    実際、フリーターが急増したのは消費税が導入されて以降のことなのだ。
    ********************************************************

    関連サイト

    派遣社員に税金のウマ味-消費税で控除対象 (2006.10.20 税務会計情報ねっ島TabisLand-週刊NP)
    派遣社員活用で人件費削減と消費税節税の“一石二鳥” (2000.11.17 税務会計情報ねっ島TabisLand-日替り税ニュース・消費税)
    政府税制調査会
    消費税パーフェクトガイド

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    2007.05.04

    欧州旅行が大変なのは円安ユーロ高のせいだけなのか

    このゴールデンウイークに欧州旅行へ行った人も多いだろうが、最近の円安ユーロ高のせいで、帰国後はことさら懐が寂しくなることだろう。
    それもそのはず、去る4月29日にOANDAによる円の対ユーロレートが、1998年10月4日に付けた162.9円(当時はエキュ/XEU)を9年ぶりに更新し、それ以降は163円台で一進一退の状況が続いている。
    さらに同じ欧州通貨のイギリスポンドも9年ぶりの安値更新は秒読み段階に入っている。
    長期のチャート分析から言えば、ここが円サイドから見てのダブルボトム、ここから反転するか否かというところだが今年の1月21日の「今日の一言」でも触れたように、BRICs発の暴落相場に端を発する円キャリートレードの手仕舞いでもない限り、円高を期待できる状況にはないようだ。
    国際ニュースバリューとしては、1998年6月24日号のNewsweek Japanの特集記事で「円暴落」のことが書かれた時の方がよほど強かったが、当時は「日本発の世界不況を防止せよ」などと言われていた時代、今ではそんなことを言う海外の経済閣僚やエコノミストは一人もいないだろう。
    それだけ日本の国際影響力も少なくなったということだろうか。

    ところで、9年前にも同じくらい円安であったにもかかわらず、なぜ今回の円安の方が国民へのインパクトが強い感じがするのだろうか。
    おそらく当時は円安とか円暴落とか言われても、一部のビジネスマンや海外旅行客以外は、それがどうしたの、というレベルだったからか。
    それに今のように外貨投資がポピュラーでなかったし、インターネットによる海外商取引も一部のマニアがやっている程度だったからか。
    あるいは可処分所得が少なくなる一方の庶民にとって、円安のニュースはますます世の中が悪くなることへの想像をかきたてるからであろうか。

    ユーロという単一通貨がもたらす効果が、特に通貨が弱かった国、例えばスペイン、イタリア、ギリシャ、ポルトガルといった国にとって相当大きいのは事実だろう。
    かつて欧州旅行をしたときは、国境を越えるたびに両替が必要で、通貨が強い国はやはり物価が高く、弱い国は物価が安いように感じたものだった。
    それが通貨統合のおかげで一変したような気がするのだ。

    試しに、1998年のスペイン・オランダ旅行で泊まったホテルの値段をユーロに換算してみたいと思う。
    ちなみに当時スペインで泊まったホテルはすべて中級レベルのところばかりだ。
    まず最初に欧州中央銀行(ECB/European Central Bank)の旧通貨の両替から旧スペインペセタ(Spanish Peseta/ESP)とユーロの交換レートを見てみると、1EUR=166.386pta (Spanish pesetas)とわかる。
    これを例えば、マジョルカ島の中級ホテルであるHorizonteで比較してみよう。
    1998年7月当時の値段は、空港の観光案内所を通じた予約レートで、1泊朝食付ダブル(ツイン)ルームで8500ペセタ、これをユーロ換算すると、約51ユーロといったところだ。
    そして、昨年夏(7月~9月)のスタンダードダブルは76ユーロとなっている。

    これを単純に円換算すると、1998年7月当時は約7800円(1ペセタ=0.92円、ルームチャージ:51ユーロ)、昨年7月1日現在で換算すると約10600円(1ユーロ=140円、ルームチャージ:76ユーロ)、今のレベルだと約12400円(1ユーロ=163円、ルームチャージ:76ユーロ)となる。
    この10年間、スペイン経済は好調でそのおかげで物価が上がったとも言えるが、それでもユーロベースでのルームチャージが約1.5倍になっているのは暴騰のレベルだ。
    デフレ不況が続いた日本以外ではあまり考えられないが、もし、ルームチャージが9年前と変わってないとすれば、今の為替レートで円換算しても、9年前とあまり変わらないというのがわかるだろう。

    これはスペインの一ホテルを例に取っただけだが、もともと通貨が弱かったイタリアやギリシャ、ポルトガルなど、興味があったら比べてみるといいだろう。
    私の場合、1990年代は欧州に行っていたことが多く、当時のホテル代や交通費などは旅行記に明示してあるのでそれを参考にするといいだろう。
    一昔前に比べて欧州旅行にかかる費用が増えたのは必ずしも円安ユーロ高のせいだけではないかもしれないからだ。
    要は通貨の弱かった国の悪く言えば「ユーロ統合による便乗値上げ」かもしれないね。

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    2007.05.03

    郵政民営化の光と影

    小泉内閣が推し進めた郵政民営化の影響がさっそく出てきたようだ。
    私は、ここで「光と影」と書いたが、光の方はあくまでも限定条件付き、影の方は良識がある人なら誰が考えてもそうなるだろうと予想できたことだ。

    今日付の朝日新聞「個人国債、鈍る販売 郵政公社、計画の6割」という記事の中で、

    日本郵政公社の個人向け国債の販売額が今年に入り、計画を下回っている。
    4月発行分は初めて2種類ある個人国債のいずれも計画に届かず、販売額は計画の約6割にとどまった。
    郵政公社が今年秋の民営化を控え、国債よりも手数料収入が高い投資信託の販売に力を入れていることが背景にある。
    国債を販売してほしい財務省には不満がたまりつつある。

    要は国債が売れないのならこれを機に本気で無駄遣いをやめる方向に進むというのであれば、このニュースは決して悪いものではない。
    ただ、郵政民営化の議論のときも小泉政権によるインチキなすり替え(2005年8月27日「今日の一言」)が行なわれて、結局、国民が望んだ無駄遣いの権化たる独立行政法人(旧特殊法人)や公益法人はノウノウと生き延びていることからも、国債の売れ行き悪化が財政規律の見直しにつながる可能性はあまりないだろう。
    むしろ、国債の海外販売を強化するために金利を上げざるを得なくなる可能性の方が高い。
    そうなると、団塊世代の退職ラッシュに見舞われる借金まみれの国や地方自治体は言うに及ばず、国債の含み損を抱えることが予想される金融機関、変動金利で住宅ローンを組んでいる人にとっても多大な負担増になる。
    最悪の場合、第二の夕張、山一、拓銀が現れ、金融パニックは想像を絶するものになるだろう。

    一方で、すでに民営化の弊害も出ている。

    職員の「投信の販売目標」は月約1000万円。
    郵政公社は「ノルマではない」としているが、職員は「上司からは、達成しないとクビだと言われている」。
    職員は客に対し、元本割れのリスクがあることを丁寧に説明しているつもりだ。
    しかし「客が完全には理解していないと思いつつ、ノルマを達成するために投信を売ることがある」と告白する。

    まるで、一昔前の証券会社のノルマ営業みたいな光景だ。
    2005年10月から郵便局での窓口販売が開始されて1年半、従来のイメージしか持っていない私には驚くとしか言いようがない。
    そもそも、証券会社と違って郵便局にお金を預けている人はリスク商品に投資するためではなかろう。
    あくまで生活費、あるいはリスクを嫌うからこそ預けているのだ。

    もともとそういうことをやっていなかった銀行でも1998年12月から投資信託販売が解禁され、今では当たり前のように売っているから郵便局もそのうちそうなる、という人もいるだろう。
    しかし、私に言わせれば郵便局は高齢者比率が銀行に比べれば相当高いように思うし、最後の安全の砦と感じている人も多いように思えるのだ。。
    また、機械操作の苦手な高齢者にとっては、窓口で応対してくれることが一種の安心感を与えているのも事実だ。
    それが、これか・・・と、やり切れない気持ちだ。
    このままいくと、かつて地方の郵便局員が一人暮らしのお年寄りの安全確認も兼ねて郵便配達をし、ときには世間話の相手になってやっていた、などという心安らぐニュースもあった郵便局の情景は早々になくなるだろう。
    それどころかノルマ達成のために詐欺まがいのセールストークで個別営業をかける職員も出てきて社会問題化するのではなかろうか。

    関連サイト
    ゆうちょ-投資信託

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    2007.04.01

    統一地方選挙近し

    初夏のような陽気となった今日、昨夜の強風でせっかく咲き始めた桜が散ってしまったかと不安だったが、買い物がてら通りすがりの公園に寄ってみると見事な桜が咲き誇っていた。
    そして、その公園は住宅街にあるせいか、家族連れが非常に多く、和やかな雰囲気が漂っていた。

    2007cherry_blossom

    その中で、統一地方選挙も近いこともあって、候補者のジャンパーを着た運動員がのぼりを持って歩いていたが、拡声器からの氏名連呼で雰囲気を壊すことを恐れてか、ただ黙って練り歩いていただけだった。
    あんなので選挙運動になるのかな?とも思ったが、花見をしているところで拡声器で名前を連呼すれば反感を買うのは必至、まあ、ジャンパーが目立つし、それを目にした人に名前を覚えてもらえば勿怪の幸いというところなのだろう。

    ところで、今は統一地方選挙のシーズンでもあるが、私は今回の選挙に限らず独自の基準を設けて投票することにしている。

    1.40代から50代前半の候補者であること。

    今の時代、パソコンにさえ縁遠い世代は与野党ともに御免である。そういう人が新しい時代のニーズを汲み取れる可能性は限りなく低い。
    ある自治体ではウェブサイトにあまり詳しい情報を掲載すると、我々(議員)の役割が減るから最小限にしろ、とか抜かしたところがあるらしい。
    要は有権者が議員に情報提供を求めなくなると言いたいのだが、こういうアホ~どもにはお引取りいただくのが一番である。

    ただ、あまりにも若い人は当選しても押しつぶされてしまう可能性が高いので、次善の策といったところか。
    ちなみに、65歳以上の世間で言う引退年齢の世代の候補者は、バブル時代から崩壊に至るときにロクなことをやってないか、逆に何もせずに大過なくと言ってきた元議員、元官僚、勲章欲しさの財界人にブチ当たる可能性が高い(つぶさに見れば違う人もいるだろうが)ので、私は一刀両断に切り捨てる。

    2.国政では野党、地方の首長選挙では談合候補(与野党相乗り)以外へ投票する。

    日本で健全な政権交代が起きないのは、国民がいつまでも腐っても鯛、とか長い物には巻かれよ、とか言っているのが主因、腐ったものは捨てるしかない。
    与野党どちらも腐っていて判断できないときは古いもの(当選回数の多い方)を容赦なく切る。
    地方首長や議員は、露骨な土建首長(議員)や過去のしがらみに結びついていそうな議員でなければ、自民党系も可。

    まあ、こんなところか。
    与野党ともどっちにしても大して変わりはなさそうだが、選挙にも行かないで時事評論などしたくないので、棄権だけはしないようにしている。
    皆さんはどうだろうか。

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    2007.03.11

    食事も買えない?ニューヨーク市の下級公務員

    私が「8,000 city workers rely on food stamps(8,000人もの市職員がフードスタンプに依存している)」というNew York Daily Newsの記事を知ったのは「暗いニュースリンク」というブログで、「米証券業界の好景気とゴールドマン・サックス」というものと「一方ウォールストリート以外のアメリカでは・・・」という2つの記事を対比して読んだときだった。
    私は役人天国(!?)と言われる日本は言うに及ばず、少なくとも先進国の公務員が公的扶助を受けているというのはいくら何でもあり得ないことだと思っていた。
    確かに経済危機に陥った国や発展途上国では公務員の給与の遅配があったり、おそろしく給与水準が低かったりして、副業や、場合によっては汚職(収賄)をしないと食っていけないということは現実問題としてある。
    また、日本の国や自治体も近い将来財政破綻すれば、日本の公務員もこれに近い待遇になる可能性は非常に高いが、この記事の舞台は現在のニューヨークである。
    昨今の財政事情から言って公務員の給与が満足に払えないという状況ではないはずだ。
    そこで、何が背景にあるのか私なりに考察してみた。

    **********************************************************
    8,000 city workers rely on food stamps (8,000人もの市職員がフードスタンプに依存している)
    By Michael Saul, Daily News City Hall Bureau Chief (December 1, 2006 New York Daily News)

    Roughly 8,000 New York City employees - or 3% of the municipal workforce - earn such an abysmally low salary that they are forced to get food stamps to feed themselves and their families, the Daily News has learned.
    And approximately 340 city workers are on welfare, according to the Bloomberg administration. Councilman Bill de Blasio, chairman of the Council's Welfare Committee, said he finds the revelation troubling.
    "The goal of the public sector should always be to pay people enough to feed their family and guarantee that that's a living wage," said de Blasio (D-Brooklyn). And if the city workforce mirrors the general population, he said, there could be thousands of others eligible for food stamps.

    ニューヨーク・デイリー・ニュース社は、およそ8,000人ものニューヨーク市職員(これは職員全体の3%に該当する)が、自らの家族を養うためにフードスタンプ(低所得者向け食糧供給制度)を受給せざるを得なくなるほどの低賃金で働かされていることを知った。
    ニューヨーク市当局によれば、だいたい340人の市職員は生活保護を受けているという。
    市議会の厚生委員会委員長を務めるビル・デ・ブラシオ市議会議員は、驚くべき問題点がわかったと言う。
    ブルックリンのブラシオ市議会議員は、「公共部門は常に彼らの生活費を保証し、家族を養えるだけの賃金を払うべきである。そして、もし市職員の生活が一般の住民を映し出す鏡であるならば、フードスタンプの受給資格者はものすごい数になり得る」と述べた。

    The city's top welfare official, Human Resources Administration Commissioner Verna Eggleston, stunned the Council last week when she revealed many of her staffers go to food kitchens in-between pay periods.
    When questioned by The News, Mayor Bloomberg said there's little he can do to help low-paid ployees.
    "Well, if you want to sponsor higher taxes, we'll have more money," he said.
    "There will be always some jobs that are entry level that don't pay enough."

    市の厚生部門のトップであるヴェルナ・エグルストン人的資源庁長官は、先週、多数の部下が給与を受け取るまでの中間でフードスタンプをもらいに行っているとして、市議会を唖然とさせた。
    ニューヨーク・デイリー・ニュース社がそれを問題にしたとき、ブルームバーグ市長は「私が低賃金の職員に対してできることは少ししかない。そうだね~、もしあなた方がもっと高い税金を払ってもいいというなら、市財政はもっと豊かになるだろう。それに賃金を十分にもらえない初任者レベルの仕事というのは常に存在するのだ。」と述べた。

    At the Human Resources Administration, the agency dedicated to helping the poor, the lowest starting annual wage is $22,099, plus benefits. About 10 employees earn that, and roughly 198 earn less than $26,000.
    "Since New York City has simultaneously achieved record low numbers of people on the welfare rolls and record low unemployment, it's no surprise that some individuals still eligible for food stamps have moved themselves from public assistance to jobs in city agencies," said Stu Loeser, Bloomberg's press secretary.

    人的資源庁は貧困層を助けるための部署であるが、最も低い年収でUS$22,099(約260万円)プラス諸手当、だいたい10人くらいがこれに該当し、198人は年収US$26,000(約310万円)以下である。
    「ニューヨーク市は過去最低の生活保護受給者数と失業率を同時に達成したが、これは少しも驚くに値しない。なぜならフードスタンプの受給資格者が公的扶助を受ける立場から市の仕事をするようになっただけだからだ」と、ブルームバーグ市長の広報担当秘書官であるスチュー・レーザー氏は言う。

    Eligibility for the federal food stamp program depends on a range of criteria, such as family size, resources, expenses and other income. The feds have actually praised the city for increasing access to food stamps.

    合衆国政府のフードスタンプ制度の受給資格は、家族数、資産、支出及びその他の収入といったような判定基準によって決定されるが、実のところ政府はフードスタンプの利用者が増える自治体を称賛し続けている。

    Still, de Blasio said the city should be ashamed workers are paid so poorly.
    "We should hold a standard in public life, that we like to see in private sector as well, of paying people a wage that their family can live on and eat on," he said.

    ブラシオ市議会議員はさらに言う。
    「ニューヨーク市は職員がそれほど貧しいことを恥ずかしく思うべきだ。私たちは民間部門を知りたいと思うと同時に、公務員が彼らの家族の生計を維持し、食べていけるだけの賃金が払われるような水準を維持すべきである」
    *********************************************************

    1999年4月21日のNewsweek Japanに「地方自治体が破産するとき」というのが載っていた。
    「ニューヨーク市はデフォルト(債務不履行)の危機に直面している。」と当時の市長、エイブラハム・ビーム(Abraham Beame)が言ったのは1975年春のこと。
    そこには日本と違って政府の後ろ盾はないため、ニューヨーク市の財政を担っていた金持ちと企業、市債の主要な買い手である機関投資家が市を見限れば破産を意味することが書かれていた。

    翻って今日、不死鳥のように立ち直ったニューヨーク市は今やデフォルトの危機どころか、2006会計年度において、すでに45億ドルの財政黒字を達成し、そのうち12億ドルの積立を差し引いた33億ドルの純益を計上するに至っている。(New York City Budget Surplus on Pace for New Record)
    それにもかかわらず、市長のマイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)は、"There's little he can do to help low-paid employees. If you want to sponsor higher taxes, we'll have more money. There will be always some jobs that are entry level that don't pay enough.(私が低賃金の職員に対してできることは少ししかない。もしあなた方がもっと高い税金を払ってもいいというなら、市財政はもっと豊かになるだろう。それに賃金を十分にもらえない初任者レベルの仕事というのは常に存在するのだ。)"と言っている。

    アメリカでは民間部門の下級労働者がカツカツの生活(ワーキングプア)なのだから下級公務員もそうであっても不思議ではない、日本もそうあるべきだ、と言う人はいるだろう。
    しかし、よく考えてみよう。
    ニューヨーク市の下級公務員の一部はフードスタンプ(低所得者向け食糧供給制度)を受給し、人によっては生活保護まで受けている。
    その出所は双方とも税金なのだから、それならば、最初からきちんと賃金をあげればいいではないか、というのがブラシオ市議会議員の主張だ。
    この記事を読んだ私もそう思った。
    自分たちが食うや食わずの生活環境に置かれていて満足な公共サービスを提供できるのか(もしかするとその懸念は当たっているかもしれないが)、また、下級公務員にフードスタンプを支給するコストがかかるのは余計な税金の無駄ではないかとも考えた。

    しかし、もっとよく考えてみると答えが出る。
    日本の国債や地方債はほとんど国内で消化されているし、地方債の後ろ盾には原則として政府保証が付いているから、サイフがどちらでも最終的には日本人がリスクを負担することになる。
    ところが、私が誤訳かと思って何度も辞書を引いた箇所がある。
    "The feds have actually praised the city for increasing access to food stamps.(実のところ政府はフードスタンプの利用者が増える自治体を称賛し続けている。)"
    何で国家財政が悪化する原因を作る自治体を連邦政府(The fed)が称賛(praise)し続けるのか?
    私はわけがわからなくなった。

    ところが米国債は世界中の投資家が買ってくれることに気づいた。
    それを組入れているファンド(投資信託)も多い。
    そして、アメリカは市(地方自治体)の財政は独立採算だし、おそらくニューヨーク市債まで外国人投資家は(直接)買わないだろう。
    そうすると納得できる。
    要するに、ニューヨーク市債はほとんどアメリカ人のリスクで引き受けることになるが、連邦(国)債は世界中、特に主要購入国である日本政府(国民)に、リスクを分散できる。
    ニューヨーク市の財政問題は国内問題で終わる可能性が高いが、アメリカの財政破綻が現実化すれば、それを避けるために、米国債の買い手が協力してくれるからだ。
    そう、「総下流時代」の著者、藤井厳喜氏が言う、「アメリカなくして日本なしでなく、日本なくしてアメリカなし」というのはこの記事からも言えることなのだ。
    日本政府が何十兆円もの米国債を買って、イラク戦争の戦費を負担し、アメリカ人の低所得者をも(間接的に)助ける一方で、自国民は放置されているどころか、もっと税金を払えというのは怒りを通り越して呆れるしかない。

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    2007.02.24

    ケチくさいe-Tax減税案

    今年も確定申告のシーズンがやってきた。
    私の場合、国税庁が今シーズンはやけに宣伝しているe-Tax(国税電子申告・納税システム)を導入当初から利用している奇特である意味おバカな納税者の1人である。
    ところが、実際に使ってみると、このe-Taxは、私が2005年2月19日の「今日の一言」でも酷評している通り、これを使うことによるメリットがほとんどないのだ。
    今年に関して言えば、唯一のメリットが確定申告書に添付する書類を別送する封筒が「料金受取人払い」であったことだ。
    国税庁は、通常なら還付申告した際に還付金を受け取れるのは約6週間後だが、e-Taxを使えば、約3週間に短縮できることをメリットとして強調しているが、はっきり言ってどうでもいいことだ。(私の場合、所得税の還付を受けるということは前年に投資で儲かってないことを意味するので嬉しくも何ともない)

    そして、政府はこれらの問題を解消し、e-Taxを普及させるために、平成19年度税制改正大綱に、電子政府推進税制及び、電子税務手続の電子化促進措置として、以下のような改善案を盛り込んだ。

    1.電子証明書を取得した個人の電子申告に係る所得税額の特別控除の創設

    電子証明書を取得した人が、平成19年分または平成20年分の所得税の申告をe-TAXを利用して行った場合に、どちらか一方の年分の所得税額から5000円を控除できる。

    2.電子申告における第三者作成書類の添付省略

    所得税の申告をe-TAXを利用して行った場合は、各種控除を受けるための証明書の添付の添付(別送)が不要となること。但し、税務署の提出・呈示要求に応じるため、3年間は書類の保管が必要。

    3.源泉徴収票等の電子交付の対象書類の追加

    4.源泉徴収関係書類の電子提出

    5.電子署名の省略

    これは全員に適用になるわけではなく、税理士などに確定申告書の作成を依頼した場合と、税務署の端末を利用した場合に限られる。つまり、私のように自分で申告をする場合は従来通り「電子証明書」を取得・登録しなければならない。

    6.電子申請等証明制度の創設

    要するに納税者サイドのメリットとしては、5000円の特別控除と、添付書類の別送が不要になるということらしいが、はっきり言ってケチくさい。
    ここの5000円は、2004年5月30日の「今日の一言」で書いたように、電子証明書を取得・登録するための初期投資額がこの程度かかるし、これは毎年控除されるわけではなく、たった1年限りであるため、単なる費用補填の意味合いでしかない。
    しかも添付書類の別送が不要と言っても、逆に3年間は自宅などに保管しないといけないのだからそのスペースは個人にとっては単なる無駄である。

    同じような促進策を取るならなぜもっと思い切ってできないのだろうか。
    世間では格差社会とかいうことが盛んに言われているが、高所得者層は5000円の減税や、郵便代がかからないことで喜ぶ人などほとんどいないのだ。
    逆に低所得者層は税金の申告などしない(損得にかかわらず、そういうリテラシーがない場合も多い)か、かかっていない場合の方が多いから、この政策はほとんど意味がない。
    唯一のターゲットは、国税庁が還付スケジュールのメリットを強調するように、所得税を給与から源泉徴収されたサラリーマンなのだろうが、11月までの(年末調整前)中途退職による確定申告や、医療費控除や住宅取得控除の申告というのは毎年発生するものではないだろう。
    その一時的な申告のためにe-Taxでやるとはとうてい思えないがいかがだろうか。

    このことは、e-TAXのウェブサイトのアンケートページの自由意見欄にも書いて送ったが、5000円なんて瑣末な減税をするよりも、税額の何%(これなら場合によっては数十万単位で減税となる)を控除する、といったことをすれば、高所得者層はそれを消費に回すだろう。
    今までパソコンなんて、と言っていた高齢リッチマンがパソコンを買い、スキルを学びにパソコン教室へ行けば、それが景気浮揚策の1つになり得るかもしれない。
    今までインターネットに無縁と思われてきた彼らが最初はパソコンをe-Tax利用のために買ったとしても、それに端を発した新たな富裕層マーケティングが出現する可能性だってないとは言えない。
    事実ウェブショッピングで高級品を買うヤツなんていないだろう、という常識を覆したSEVEN HILLSの例もあるのだ。

    私が思うに、政府がそうしない理由は大きくわけて3つ。

    1.為政者(政治家・官僚)にメリットがない。
    政治家のほとんどはITを理解していないし、官僚は所得税の申告を自分でする必要がある人が少ない。要するに、自分たちにメリットの可能性すらない政策に対しては冷淡である。
    一方で、同じ勝ち組優遇でも大企業減税策は政治献金に繋がるので、こちらには熱心である。

    2.日本のマスコミは私が言うような減税策をぶち上げれば金持ち優遇と批判する。
    ただでさえ、格差是正が必要と言われており、ここ数年間の税制改革により、低所得者層に負担増の嵐が吹き荒れている時に金持ち(個人)に対する減税策は取れない。

    3.何としてでもe-Tax(国税電子申告・納税システム)の活用を促進せざるを得ない立場にある財務省が苦肉の策で出したものが5000円の費用補填減税だったため。
    2006年度(平成18年度)末で休止に追い込まれた旅券(パスポート)の電子申請システムの利用件数があまりにも少なく(読売新聞によれば、2005年度(平成17年度)の旅券電子申請の利用件数は総発給件数約375万件のうち103件にすぎなかったが、システム維持費は年8億円超かかった)、税金の無駄遣いを指摘されていたが、当のお膝元で同じよ