2009.08.27

新型(豚)インフルエンザ大流行の兆し

お盆休み明けから新型(豚)インフルエンザ関連のニュースが次第に増え始めてきている。
今は30日の総選挙を目前に控え、新聞の一面を飾ることはほとんどないし、5月のときのような気違いじみた雰囲気がないだけ感染者も救われている。
今後、秋から冬に向けて大流行すると予測している厚生労働省もワクチン対策に力を入れているようだ。
ただ、それが急増しそうな患者数に供給が追いつくかどうかは神のみぞ知るところであろう。
そういった意味では総選挙後の新厚労相は大変な時期に就任するハメになるとも言える。

Yinchiao

舛添厚労相は、感染者と感染の疑いがある人は街頭演説会場などの人込みに行くのを自粛するよう呼びかけたようだが、こればかりは感染して即症状が出るわけではないし、これだけ世界的に流行期に入ると、どこで罹患するかわからない。
かといって通勤で「人込み」に行かざるを得ない身としてはマスクを常時着用するかと言えば、夏の盛りにそれをするのは辛いものがある。
事実、ほとんどの人が死ぬ確率はほとんどないと思っているのか、そこまでしている人は5月に比べれば格段に少ない。
要するに、罹患するか否かはその人の持って生まれた運ということになろうか。
私の場合は、「もうメキシコで免疫できたんじゃない?」とか言われることもあるが、そういうものだろうか(笑)

ところで、個人でできる対策として手洗いとうがいは続けているのだが、もう一つ、5月23日の「今日の一言」で書いた漢方薬の銀翹散(Yin Chiao San)、2ヶ月前に行ったシンガポールのチャイナタウンの薬局で100錠(20回分)入り、S$5.8(約400円)で買ってきたのを、喉の調子がおかしいときに飲んだりしている。
まるでビタミン剤みたいな服用の仕方だが、Keep a dozen tablets in your car, purse, or pocket during cold and flu season. Take promptly. Begin taking tablets a half hour before entering airports, airplanes, terminals, or crowded public facilities. (風邪やインフルエンザの流行期には十分な錠剤を車や財布、ポケットに入れておきなさい。空港や、大きな駅、混雑している公共施設に行く30分前に薬を飲み始めなさい)ということが書いてあり、どうやら予防薬みたいな感じで使われている節もある。
私がコラムにした5月末の段階では「銀翹散」と日本語の検索サイトに入れてもあまりヒットしなかったのが、今では相当数の薬局のサイトがヒットする。
何だ日本でも売っているのかと安心した反面、私が密かに銀翹散ブームに火を付けたのか?とも思ったりもした。
とりあえず、私としては今のところ9月の旅行中に入院するハメにならないことを祈りたい。
もし、最悪の事態になった場合、シンガポールかバンコクの病院ならいいが、ラオスのビエンチャンだけは御免だな。

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新型インフル「流行期入り」・・・正式発表 (2009.8.22 読売新聞)

厚生労働省は21日、新型インフルエンザについて「流行シーズンに入った」と正式に発表した。
全国約5000医療機関を対象にした国立感染症研究所の定点調査で、最新の1週間(8月10~16日)の1医療機関あたりの患者数が1.69人となり、流行開始の目安となる1人を超えたため。
この1週間の推計患者数は全国で11万人前後に上るという。

前週(8月3~9日)の1医療機関あたりの患者数が0.99人と1人に迫ったことを受け、舛添厚労相が19日に「本格的な流行が始まっている可能性がある」と事実上の「流行宣言」を行ったが、その後の1週間に発生した患者数は、前週の1.7倍に増えた形。推計患者数は前週は6万人前後だった。

また、流行の目安となる1人を超えたのは、前週の6都府県から26都府県に増えた。
いずれの数値も、新型以外の季節性インフルエンザを含んだものだが、同省では、現在流行しているのはほとんどが新型とみている。

新型による死者はこれまでに3人で、入院した患者数は調査開始の7月28日から8月18日までで計230人に上っている。
入院患者を年代別に見ると、5~19歳が146人(約63%)で最も多く、5歳未満が35人、20~39歳が21人、40~59歳が10人、60歳以上が18人。
入院患者の約8割を未成年が占めており、また、約4割の93人は持病などがある人だった。

新型インフルエンザは、持病のある人や妊婦、乳幼児が感染すると、肺炎などを引き起こして重症化しやすい。
同省は来月、重症化しやすい人に情報が適切に伝わるよう、患者団体や保護者団体向けの説明会を開く。
重症化患者を受け入れ可能な集中治療室(ICU)や人工呼吸器の数などについても医療機関を対象に調査する方針だ。

インフルエンザウイルスは高温多湿の夏は活動が低下するため、これまで夏に流行することはあまりなかった。
しかし、新型の場合、免疫を持っていない人がほとんどのため夏でも流行しているとみられ、同省では、秋から冬にかけて一層の警戒が必要とみている。
季節性の場合、流行のピークは例年11~1月で、流行入りから5~10週間でピークを迎えるが、同省は「新型の今後の展開は予測できない」としている。
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2009.05.28

何気に凄いぞダイキン工業

昨日、インターネットサーフィンをしていたら、ダイキン工業(6367)の空気清浄機に採り入れた技術「ストリーマ放電(streamer discharge technology)」が、鳥インフルエンザウイルスを分解し無害化することを、ベトナム国立衛生疫学研究所(Vietnam's National Institute of Hygiene and Epidemiology)との共同実験で証明したという記事が流れていた。
致死率で言えば、今世界的な流行の兆しがある豚インフルエンザ(swine flu)よりもはるかにタチが悪い鳥インフルエンザの無害化に成功したとのことだが、これは医療分野に転用するにはまだ未完成なのだろうか。

一見すると、ノーベル賞ものの功績、これが大きなニュースバリューを持っていないのは、ストリーマー放電が人体に影響を与える度合いが大きすぎて実用化には遠いとも思えるのだが、こうして見ると日本の技術もまだまだ捨てたものではない。
それにベトナムとの共同研究というのが何か新しい時代の到来を予感させる。
今までこうした研究は欧米の独壇場だったような気がしないでもないが、ベトナム国立衛生疫学研究所がWHOから評価されているあたり、同国が経済分野でもポストBRICsの候補の一つというのは正しい見方なのかもしれない。

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強毒鳥インフルを無害化 ダイキンの放電技術 (2009.5.26 共同通信)

ダイキン工業は26日、同社製の空気清浄機に採り入れた技術「ストリーマ放電」が、鳥インフルエンザウイルスを分解し無害化することを、ベトナム国立衛生疫学研究所との共同実験で証明したと発表した。
同社によると、実際に感染した人から採った鳥インフルエンザウイルスの完全な無害化は世界初という。
同社によると、ストリーマ放電は、蛍光灯やマイナスイオン発生機などで使われるプラズマ放電の一種。放電で生じた電子が空気中の酸素や窒素などと衝突、合体することで活性化し、ウイルス表面のタンパク質を酸化分解して感染力を失わせる仕組みだ。
実験では、ベトナムで感染した人の強毒性ウイルスH5N1型を動物の細胞に付着させ、市販の製品より強力に照射した。
ウイルスは1時間で3%まで減少、3時間後にはすべて除去されたという。
同社は、ノロウイルスや細菌などの分解も実証しており「新型インフルエンザの無害化も期待できるのではないか」としている。

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Daikin successfully tests technology to detoxify bird flu viruses (May 27, 2009 Japan Today)

OSAKA - Japanese air conditioner maker Daikin Industries Ltd said Tuesday it and Vietnam's National Institute of Hygiene and Epidemiology have successfully tested Daikin's streamer discharge technology to decompose and detoxify bird influenza viruses. Daikin's steamer discharger used for its air purifier took some three hours to completely detoxify H5N1 avian flu viruses that were collected from human patients and put on animal cells.

The test represented the world's first complete detoxification of bird flu viruses collected from humans, Daikin said. The streamer discharger is designed to generate electrons that collide and unite with oxygen or nitrogen to oxidize and decompose the protein of viruses. Daikin has also demonstrated that the transformer discharger can decompose noroviruses, known for food poisoning, and bacteria.
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2009.04.22

欠陥住宅補償保険の創設は果たして朗報か

三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)に罹った時に実質的に残りの住宅ローンの支払いが免除になる三大疾病保障特約付住宅ローンというものがある。
例えば三井住友銀行の住宅ローンを例にとると、一般のローンの場合、借入額3千万円、返済年数35年、年利3.94%(本日現在の全期間固定金利)として、資金係数表(Excel)で計算すると、年間返済額は1,594,200円である。
これに特約保険料分として年利0.3%が上乗せになるので、年間返済額は1,660,200円となる。
差額は年間で66,000円、これを安いと見るか高いと見るかは個人差があるだろうが、いずれにせよ保険料の負担者はローン債務者である。

そして、今度は耐震強度偽装問題でクローズアップされた欠陥住宅の補修に対して政府が保険制度を創設するとの記事が日経新聞の一面を飾った。
ただ、一見すると住宅ローン債務者に朗報に見えるが、実際のところはどうなのだろうか。
まず、記事では損保各社が共同で保険料を拠出するとあるが、最終的負担者は彼らではあるまい。
そうなると表向きはマンションの施工業者が負担することになるだろうが、それは確実に住宅購入者に転嫁されるだろう。
そして、一番の問題は最初から欠陥商品を売りつけておいて、後は保険で補修できるのだからいいではないか、というモラルハザードを生む危険性が大いにあるということだ。
まして、その方が金銭的に有利だとなれば、全国で欠陥マンションが乱立することになる。
また、こうした保険で補償をする制度は、常に保険金を出す出さないのトラブルのリスクが付きまとう。
どういった場合に保険が適用になるのか、揉めるのは宿命といっても過言でない。

私はかつて「耐震強度偽装を始めとする欠陥住宅の問題は、日本の住宅ローンがノン・リコース・ローン(non-recourse loan/非遡及型融資)になれば、ほぼなくなる。なぜなら債権者(銀行)が担保割れリスクを持つならば、いい加減な建設工事を厳重に監視するからだ。」と主張した。
それに担保価値を守ろうという経済行動から健全な中古住宅市場もでき得る。
しかしながら、今回もそういった視点で政策が取られることはないだろう。
それは第一に、銀行の融資部門がこうしたリスク査定をできるだけの実績があるとは思えないこと、第二に、ノン・リコース・ローンになれば、必然的に融資金利はリスクの分だけ上乗せされるので、多くの住宅ローン債務者がそれだけの負担に耐えられないと思われるからだ。
そして何より大きな理由は、日本の国策として「生かさぬように、殺さぬように」がサラリーマン奴隷化政策の根幹にあるからだ。
2009年1月18日号の日経ビジネスの特集にあった「日本の住宅ローンは世界から見れば変則です」というのは大きな反響があったという。
しかし、これが政策に反映されることはない。日本の悲しき現実がここにある。

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欠陥住宅補償に安全網 損保・政府が再保険立ち上げ (2009.4.21 日経新聞)

政府は10月に導入する欠陥住宅の被害を補償する新しい保険制度について、官民による再保険を立ち上げる。
巨額損失に備えて損害保険各社があらかじめ共同で保険料を拠出し、最大125億円まで保険金を支払う。それでも不足すれば政府の基金で補う。
住宅購入者は、大規模マンションなどで欠陥が見つかっても確実に補修してもらえる。
再保険による安全網が整うことで、欠陥住宅の補償制度の円滑な導入に弾みがつく。
これまでも新築住宅は、引き渡し後10年間に雨漏りなどの欠陥が見つかれば業者が補修や建て替えの責任を負っていた。
欠陥住宅の被害を補償する民間保険商品はこれまでもあったが、強制加入でなく、普及していなかった。
2005年に発覚したマンション販売、ヒューザーなどの耐震強度偽装問題では、販売業者などが倒産して補修がなされず二重ローンを背負う購入者も出た。
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2009.02.08

金融詐欺に引っかからないために

このところ健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー」(L&G)による組織的詐欺事件がメディアを賑わしている。
被害総額も史上3番目の規模になるとのことで、第三者からすると何でこんな「うまい話」に乗る人が引きも切らないのだろうと言いたいところだろう。(2009.2.5 産経新聞-【L&G事件】波会長を逮捕 組織的詐欺容疑
それに警察や金融庁でも事件があるごとに注意喚起をしても一向にこういった犯罪被害が減らないのは、究極のところ「自分たちだけが美味しい話を知り得た」という優越感と、第三者にセカンドオピニオンを求める勇気がなかったことによるものが大きいのではなかろうか。
このセカンドオピニオンというのは、神奈川県警の振り込め詐欺未遂事例にもあるように単純かつ効果がある。
振り込め詐欺もこのような出資金詐欺も金を騙し取ろうという犯意は同じだからだ。

また最近私が人づてに聞いた話ではmixiなどのSNS (Social Network Service)のコミュニティ(共通の関心分野、価値観や目的を持った利用者が集まるウェブ上のコミュニケーションエリア)を悪用した出資金詐欺まがいの事件が起こっているとのことで、こちらの方がより早く被害に遭いやすいとも言える。
なぜならアナログ社会では詐欺師が出資者を募るのに様々な舞台装置を作らなくてはいけないが、SNSの方は投資関係のコミュニティやフォーラムに餌を撒くだけで済むからだ。
特にオフ会などのイベントを通じてこうした餌を撒けば、友人同士になったことと相乗効果を生んで詐欺の舞台装置を形成することもある。
アナログ社会で起きているこうした事件も、今後はインターネット社会を通じて拡散することが多くなるのではと私は危惧している。

このような時こそ有効なのが、セカンドオピニオンを求めるということだ。
コミュニティで得た情報に違和感を感じたとき、恥を晒すようで嫌だとか思わずに日記にアップしてみる、あるいはブログで書いて見る。
そうすれば、友達からは「バカだな、お前は」とは言われるだろうが、第三者から見た冷静な意見が得られる可能性は大いにある。
あるいは日記を書くために物事を順序立てて整理することによって違和感を感じていたものが見えてくることがある。
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥(知らぬことを聞くのは、その場だけの恥ですむが、聞かないでいれば、一生知らぬことで恥ずかしい思いをしなければならない。)」というのは言い得て妙である。
それに普段からそういうことをしている人には詐欺師は怖くて近づいて来ないものだ。
2008年3月25日号のSPAに載っていた「犯罪者に聞いた『騙しにくい嫌な相手はコイツらだ!』」の中で、「ネットを多用する人。あらゆる犯罪について、被害に遭ったと気づくまでが非常に早い!」というのは意外とこういうことかもしれないからだ。

それと某掲示板で私の友人でもあり、タイ株「アジア株」海外投資ロングスティの管理人でもある阿部氏が悪意の中傷を受けている(日本ではこうした類の中傷主が名誉毀損罪で初めて逮捕された)ようだが、深読みすれば、これとて海外投資(出資金)詐欺をやろうとしている(現実に起きているかもしれないが)一味が絡んでいると言えなくもない。
なぜなら、彼に限らず、こうした本の著者の信用を失墜させることは投資家がセカンドオピニオンを求めにくくさせる効果もあるからだ。
仮にセカンドオピニオンを求めたところで、中傷の主からは「そんなやつの言うことを信じるのか」レベルのコメントが来ることは想像に難くない。
私は彼のことを信用しているが、それは友人としての付き合いもあるからで、無関係の人は掲示板の情報を鵜呑みにしないとも限らない。
今後はこうしたスパムを情報ソースから排除することもリテラシーとして求められることになろうか。

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2009.02.07

ノンIT公務員が国を亡ぼす

2月5日付の朝日新聞「ハッカーに逆襲、パスワード盗み返す 中3書類送検」という記事を読んで、私はなぜそうなるのか理解するのに少し時間がかかった。
やられたから、やり返した、私に言わせれば当たり前のことを、日本の警察はいつまで喧嘩両成敗などという江戸時代的な考えで裁くのか。
作家の柘植久慶氏が言うまでもなく防衛という概念がこの国には著しく欠如している。
集団暴行の恐怖から命からがら逃れた会社員が逃げる際に相手にケガをさせたとして傷害罪で起訴してみたり(2006年5月20日「共謀罪に対してだけ懸念しているのではない」)、銃撃を受けた警官を見殺しにしてみたり(2007年5月20日「あほ~な奴らがキチガイをのさばらす」)、店で暴れた酔客に対して警察を呼んだ店側に土下座しろと言ってみたり(2007年9月22日「何をやっているんだ高知県警」)と、枚挙にいとまがない。

この記事に出てくる中学3年生も、アメリカならヘッドハンティングされて奨学金をもらってITスペシャリストへの道を歩めるかもしれないものを、不正アクセス禁止法違反の疑いで書類送検されたばかりに腐ってしまうかもしれない。
書類送検といっても実際は説諭だけで終わるのだろうが、警察に説教されて終わりになる日本と、もしかするとヘッドハントされるアメリカ、この違いははるかに大きい。
愛知県警や、それを無批判に報じるメディアの態度からは、21世紀は情報戦争の時代、サイバー空間で戦争が行われているときに、彼のような前途ある人材は有用だという発想が全く感じられないからだ。

アメリカではハッカーの侵入を防ぐ正義のハッカー(ホワイト・ハット・ハッカー)の需要が増えているようだ。
要するに、悪意のあるハッカー(ブラック・ハット)から企業や官公庁のサイバー空間を守るのが仕事らしいが、彼のような人材は使いようによっては学校を卒業したらすぐにでもサイバー警察の捜査官として活躍してもらうことだって可能なはずだ。
私だったら彼に奨学金を与え、そういったスペシャリストの道を歩ませるだろう。
役所の組織にありがちなことだが、トップや幹部級職員がITに全く理解がなかったり、法律を杓子定規に適用するヤツが取り締まりの責任者だったりすると往々にしてこういう杓子定規なことが起こる。
元経済企画庁長官の寺澤芳男氏は「英語オンチが国を亡ぼす」という本を書いているが、ノンIT公務員が跋扈することも国を亡ぼす時代なのだ。
ITとはただパソコンを使って仕事をすることでなく、ネットワークをどう使い、サイバー空間の安全をどう確保するかが問われる時代だからだ。

先日就任したアメリカのオバマ大統領はITを駆使して当選したトップでもあるが、彼は当然の如く、経済再生のための重点政策の1つとしてブロードバンド技術の普及拡大を掲げている。(日経ビジネス2009年1月21日号-オバマ新政権のブロードバンド戦略に期待大
おそらく日本の方がブロードバンド自体は普及しているだろうが、それを総合的に活用していく戦略はアメリカの方がはるかに上だろう。
ITを国家戦略とするアメリカや中国、シンガポール、それらの国々と日本との国家戦略の差は開く一方だ。
選挙期間中のウェブ利用を禁じている公職選挙法さえも変えようとしない国会議員、ITの活用の要諦がネットワークであることを理解せず、旧来の縦割りの手法を踏襲する官公庁、諸外国で普及している個人IDカードの重要性を理解せず、いたずらに不安だけを煽るマスコミ、21世紀の情報戦争を勝ち抜くにはあまりにもお粗末な日本の実態がここにある。

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「ハッカー」に逆襲、パスワード盗み返す 中3書類送検 (2009.2.5 朝日新聞)

インターネットのIDとパスワードを盗もうとした「ハッカー」から逆にパスワードなどを盗み返したとして、愛知県警は5日、兵庫県尼崎市の中学3年の少年(15)を不正アクセス禁止法違反の疑いで書類送検した。
調べに対して、少年は「メールを盗み見たりして、困らせてやろうと思った」と話しているという。
生活経済課と西枇杷島署の発表によると、少年は2008年7月11~14日、長野県大町市の無職男性(20)=同法違反容疑で書類送検=からポータルサイト「ヤフー」のIDとパスワードを盗み、男性になりすまして計16回、不正にアクセスした疑いがある。

少年と男性はオンラインゲーム仲間。
男性が少年に「キャラクターを強くするプログラムをあげる」と偽って、実際にはIDやパスワードなど、パソコンのキー操作の履歴を盗み取るスパイソフト「キーロガー」をネット上から送りつけた。
少年はゲームの動きが悪くなったことからキーロガーに気づき、ソフトを解析。
盗まれた履歴の送付先になっていた男性のメールアドレスやID、パスワードを割り出したという。
男性は、キーロガーを使って別のゲーム仲間のIDとパスワードを盗んだとして2008年10月に書類送検された。
この捜査の過程で、男性が逆に不正アクセスされていたことがわかった。
男性は「自分がハッキングされているとは知らなかった」と驚いていたという。

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”正義のハッカー”米企業で引っ張りだこ (2008.1.8 産経新聞)

【ホノルル=USA TODAY(グレッグ・ワイルズ)】米国でハッカーの侵入を防ぐ正義のハッカー(ホワイト・ハット・ハッカー)の需要が増えている。
2002年に制定されたサーベンス・オクスリー法(企業改革法)により、上場企業の内部監視強化が義務づけされた影響が大きいようだ。
グレグストン・チューさん(33)は“侵入テスター”。「倫理的ハッカー」とも呼ばれるホワイト・ハットの1人。英大手会計事務所、アーンスト・アンド・ヤングのアドバンスト・セキュリティー・センター(テキサス州ヒューストン)の上級マネジャーを務める。

大手企業のコンピューター・システムをチェックし、悪意のあるハッカー(ブラック・ハット)が侵入可能なセキュリティーホールを見つけ、防護策を提案するのが仕事。
「見つからないと思われているものを見つけるのがハッカーの喜び。こちらは刑務所に入らなくてよい点が違う」と仕事を楽しむ。
だが、作業はハリウッドの映画のように10秒ですむ、ものではない。「普通、数週間は必要」という。

5年前から情報の安全管理事業を始めたセキュアDNA(ハワイ州ホノルル)のジェーソン・マーティン社長は「自社のシステムを難攻不落にしたいと願う企業が多いため、この分野の成長率は高い。
サーベンス・オクスリー法の施行も背景にある」と指摘する。
コンピューター・セキュリティー研究所によると、データ流出による企業・団体の被害総額(2006年)は5250万ドル(約57億7500万円)。不正侵入、パソコン盗難、固有情報の持ち出し、サイトの汚損、不正な情報通信、ウイルスなどが原因だという。
最近では、小売業のTJX社(マサチューセッツ州フラミンガム)がハッカーの侵入により、4560万件のクレジットカードおよび銀行決済カード情報が盗まれるという事件が起きている。
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2008.10.16

歴史の生き証人がまた逝く

第二次世界大戦の史実を知る人がまた1人、この世を去った。
元リトアニア総領事の杉原千畝氏の妻で「六千人の命のビザ」を執筆した幸子さんだ。
夫の千畝氏は、第二次世界大戦の際、外務省の訓令に反して、ユダヤ人が亡命できるようにビザを発給し、ナチス政権下のドイツによる迫害を受けていたおよそ6000人にのぼるユダヤ人を救ったことにより、1985年に日本人で唯一のヤド・バシェム賞(Yad Vashem memorial)を受賞し、「諸国民の中の正義の人(Righteous among the Nations)」に列せられた。
エルサレムにある栄誉の壁(Wall of Honor)には"Sugihara, Sempo"と刻まれており、彼によって救われたユダヤ人たちは「このビザのおかげで私はここに生きている。もしこれを杉原が書いてくれなかったらこの息子たち、孫たちの誰ひとりこの世に存在していない。これは私と私の一族の命であり魂である。」と語ったという。(みやもと小児科-coffee break-奇跡のビザ
第二次世界大戦中については歴史を語る上でいろいろ言われているが、当時、世界の孤児と言われたユダヤ人に対し、唯一とも言える博愛の情を持って接した日本人がいたことは誇りに思っていいだろう。
そして、先日、新聞の片隅に載った訃報、それは杉原千畝氏と激動の歴史を生き抜いてきた幸子さんが鬼籍に入ったというものだった。
私は日系メディアの英語版のウェブには掲載がなかったようなので、おせっかいと思いながら、それをJewish Virtual Libraryの管理人のMitchell G. Bard, Ph.D.に伝えた。
享年94歳、合掌。

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杉原幸子さん死去(外交官・故杉原千畝氏の妻) (2008.10.11 時事通信)

杉原幸子さん(すぎはら・ゆきこ=外交官・故杉原千畝氏の妻)8日午前1時、心筋こうそくのため神奈川県鎌倉市の病院で死去、94歳。岩手県出身。自宅は神奈川県藤沢市獺郷1591の7。お別れ会は11月9日午後1時から東京都港区南青山2の33の20の青山葬儀所で。喪主は次男千暁(ちあき)さんと四男伸生(のぶき)さん。
千畝氏は第二次大戦中、ナチス・ドイツの迫害から逃れた約6000人のユダヤ人難民に日本通過を認めるビザ(査証)を発給。ナチスの虐殺からユダヤ人を救ったオスカー・シンドラーにちなんで「日本のシンドラー」と呼ばれた。幸子さんは、千畝氏の活動を紹介した手記「六千人の命のビザ」を執筆、出版した。
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2008.08.24

あなたの隣の詐欺師たち

去る9日に、「インターネット上で謝礼金付きアンケートを装い、収集した個人情報を悪用する業者が横行している」という、一見するとチンケな詐欺事件めいたものが報道されたことを覚えているだろうか。
このニュース、似たようなケースを何かの本で見た記憶があるのだが、思い出せずに今まできた。
ところが、久しぶりに本棚から「あなたの隣の詐欺師たち」という本を取り出してパラパラとめくると出てきたではないか。
この本の初版が2003年5月、書かれている内容を見ると1990年代後半のインターネット黎明期(れいめいき)からITバブルの頃が時代背景のようだが、そこの手口が形を変えて出現したかのようだ。

要は、「あなたの隣の詐欺師たち」の中の銀行口座がFX口座に名前を変えただけだと思えばいいだろう。
わずかな謝礼に釣られて浅知恵なヤツらが騙されるという図式もほとんど同じだ。
それにしてもアンケートやモニターの謝礼のための住所、氏名はともかく、免許証のコピーを送れと言われたときにおかしいと思わないのか。
しかも銀行口座にしろ、FX口座にしろ、口座開設通知は原則として名義人が申請した住所にしか届かない(転送不可)はずだが、それが名義人でなく、詐欺師の元に届くような抜け穴があるのだろうか。
あるいは窃盗のリスクを冒して名義人のポストから郵便物を抜き取るという荒業を多用しているのか。
いずれにせよ、私が4年前に書いたようにIT社会で一番便利になったのは詐欺師だというのは確かなようで、こうした犯罪は形を変えて増えることはあっても減ることはないだろう。
もちろん、FX口座の偽装アンケート事件が1万円なんてはした金を掠め取るだけのもので終わると私は思っていない。

ところで、2006年(平成18年)12月31日から「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律」が「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」に変わり、いわゆる口座の売買が違法(第16条の2)とされたが、相変わらず架空口座の販売サイトは検索サイトでたくさんヒットするようだ。
中には「このサイトは(取り込み)詐欺ではありません」と謳っているところがあるのが笑える。
かつては、こういう架空口座売買にブラック詐欺(チンケな詐欺師を嵌める詐欺)の陥穽があったようだが、今はどうなのだろうか。
激裏情報の本堂昌哉氏曰く、「今の犯罪は、枝葉の小僧連中がやっているだけ」とのことだが、仮に警察が彼らを摘発したとしても単なる小遣い稼ぎだとされ、業でやっているとされなければ、たった罰金50万円を払うだけ。
これでは警察だって労多くして何とやら。
法律あっても機能せずということなのだろうな。

最後にアングラネットの住人を騙して大金を稼ぎ役所を辞めたという元公務員氏のセリフを紹介して終わりにしたい。

「詐欺を働くために大事なのは、一番最初にやること。つまりオリジナリティが必要なのだ。二匹目のどじょうを追ってもアガリは少ないし、引っかかるカモだって半分もいない。それにオリジナル手口の考案者というのは、たいてい捕まらない。短期間に荒稼ぎして、模倣犯がはびこる頃にはすでに次の手口を考えている。そういう見極めができるのだ。逆に下手打つヤツというのは、そのほとんどが考案者の手口を猿真似したにすぎない。引き際がわからないヤツは、この世界では生きていけないだろう。」

オリジナリティが評価されない日本において一番評価されるのがアンダーグランドの世界というのは痛烈な皮肉としか思えない。

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FX口座の無断開設にご用心=謝礼付きアンケートで個人情報収集 (2008.8.9 時事通信)

インターネット上で謝礼金付きアンケートを装い、収集した個人情報を悪用する業者が横行している。
個人情報を使い本人に無断で外国為替証拠金取引(FX)の口座を開設。
FX会社から報酬を得た上、口座開設者への払戻金まで懐に入れているという。
国民生活センターは「個人情報が口座開設以外に悪用される恐れがある」と警告、FX会社も「甘い話には気を付けて」と呼び掛けている。

関係者によると悪質業者はFX会社と広告掲載契約を結んだ上で、投資に興味を持つ人に対し架空のアンケートを実施。
回答者に2,000円程度の謝礼を支払った上で、住所氏名や免許証のコピーを送付させ、FX口座を開設している。
業者は1口座開設につき約8,000円のFX会社からの報酬と、口座開設者への払戻金の中間搾取で、1件あたり1万円以上を得ているとみられる。

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インターネット詐欺-ネット取引詐欺 (あなたの隣の詐欺師たち by 成田青央取材班)

■ネットは無法地帯の幻想

インターネットは匿名の世界だ。
実社会ではとても表に出せないような趣味を持った連中が、堂々とやり取りできる。
幼児愛時好-いわゆるロリコン趣味を持つ者、麻薬やピストルの愛好者、自殺願望者など、アングラネットの世界は今日も賑やかだ。

1998年末に起こった「毒物宅配事件」は、その典型と言えるだろう。
心に悩みを持つ人々の相談に答える掲示板を、ドクター=キリコと名乗る人物がインターネット上に開設、一部の相談者に青酸カリを売り渡していた。
ところが受け取った一人が実際に服毒して死亡、続いてドクター=キリコ本人も自ら命を絶ってしまった。
新聞には「ネットが凶器となって事件が引き起こされた」という見出しが躍り、インターネットは顔も知らない相手から簡単に青酸カリを入手できる恐ろしい場所だと訴える記事があふれた。

いい傾向だった。
マスコミがネット犯罪を盛んに取り上げ、当然の結果として一般大衆が踊らされる。
それは、俺たちの懐が潤うことを意味する。
「バカとマスコミは便いよう」とはよく言ったもので、俺たちの世界のプロパガンダを自ら引き受け、カモをおびき寄せてくれたのだ。ビタ一文払わずに。

ネットでは、非合法な物でも簡単に手に入る-。
それはマスコミが作り上げた、単なる幻想にすぎない。
確かにネットでは、人と接触することなく取り引きできる。
便利な世の中になったものだ。
だが、裏を返せば、接触がないからこそ危険にあふれているのだ。

<S(覚醒剤の隠語)あります>
<道具(拳銃の隠語)あります>

アングラ掲示板を覗けば、この手の書き込みが簡単に見つかる。
興味本位で手を出しても俺はなにも言わないが、これらの大半が取り込み詐欺だということは覚えておいてもいいだろう。
たいていは品物を渡す前に、架空口座への振り込みを要求される。
その後はもちろん音信不通だ。
騙されたと気がついても、ブツがブツだけにどうしようもない。
弱みのあるヤツにつけこむのは、この世界では基本中の基本というわけだ。

仮に詐欺じゃなくても安心はできない。
もともとこれらの商品は口コミだけで飛ぶように売れる。
だから本物のアウトローは宣伝などという馬鹿げた行為は一切しない。
ネットで販売しているのは素人か、せいぜい組織の三下連中しかいない。
彼らはもし捕まって尋問されたら、品物を売った先など簡単に口を割ってしまうだろう。
だからブツが届いたタイミングを見計らって警察の手入れが入る危険性だって十分にあるのだ。

ネットがらみで検挙される事件というのは、研究所で働く者がクロロフォルムをくすねてきたり、研修医がハルシオン等の向精神薬を転売したり、自分で栽培した大麻を販売したり-。
とにかく、そのほとんどが素人の手による一回性の悪戯という域を越えてない。
拳銃についても同じことで、ガンマニアが改造拳銃を作り、ネットで販売したにすぎない。
マスコミは、そんな素人の悪戯と本物のアウトローによる仕事を一緒にして垂れ流してくれる。

■架空口座の販売は アダルト業者・ネット詐欺の味方

身分証明書を偽造して作られた架空口座は、売る側はもちろん、購入する側も検挙の対象になる。
だが、合法的な銀行口座を大量に持っているだけで捕まったという話は、今まで聞いたことがない。
それどころか、どこの金融機関も口座獲得に躍起になっているのが現状だ。
そこに目をつけた俺は、銀行口座を合法的な手段で開設し、いかがわしいヤツらに売りつけて儲けることにした。
したがって俺が扱うのは厳密に言えば架空口座ではないのだが、そのあたりの事情はあとで説明することにしよう。

一昔前、架空口座といえば、脱税目的や横領した金を入れておくことくらいしか使い道がなかった。
ところが、IT犯罪の蔓延とともに、架空口座は俺たちの世界では必須アイテムとなった。
いつだったか、中学生がネットで取り込み詐欺を働いて逮捕された事件が話題になったが、アシがついたのは銀行口座からだ。
この件についてはあとで詳しく触れるが、とにかく中学生の浅知恵では、架空口座まで頭が回らなかったのだろう。

俺はまず、匿名でフリーメールを取得するところから始めた。
そして海外の無料ホームページを設置できるスペースに<架空口座売ります>というシンプルなホームページを設置する。
外国人は日本語がわからないだろうし、違法な画像は置いていないから、管理者に無断で削除されるようなことはない。
そのページには<匿名申込可、注文メール削除>と<半金申し込み、商品到着後残額入金>という2点を明記しておいた。
これは、架空口座を購入したという証拠が残らないこと、それに取り込み詐欺ではないことの2つをアピールして利用者を安心させる目的があった。

販売価格は通帳・印鑑・カード・暗証番号の4点セットで2万円。ネットバンクはなにかと便利だし、他銀行の口座が必要だったりして開設方法が面倒くさいので4万円。
郵便局の口座は、間をとって3万円。
もちろん、この振込先も架空口座で、用心のために毎月変更している。

サービスとして男性名義と女性名義を選べるようにしているが、注文が多いのは圧倒的に女性名義だ。
それは架空口座がおもに、男性のみ有料という出会い系サイトの振込先として使われるからだ。
男の心理として「株式会社○○」という素っ気ない口座名よりも女の子の名前のほうが嬉しいし、たとえ伝票がカミさんに見つかっても、個人名だとなにかと言い訳ができる。

また、ネット詐欺の場合も女性名義のほうが重宝される。
ネットの個人オークションなどは、売買成立から振込完了まで、すべてネット上のやり取りだ。
取引相手が男か女かもわからない。
しかし、口座名が女性の名前だと、相手は勝手に女性だと思い込んでくれる(あなたも「いや、俺はそうじゃない」とは言い切れないはずだ)。
そんなヤツらは、金を振り込んでから商品がなかなか届かなくても「○○ちゃん、忙しいのかなあ?」などと、逆に心配してくれたりもする。
騙されているのにも気づかずに。

■オリジナル架空口座の作り方 架空だけど架空じゃない

俺から買った架空口座で悪事を働いた末、捕まった連中もいるだろう。
しかし、俺に捜査の手が及ぶことはないと断言できる。
これまでは便宜的に「架空口座」という言葉を使ってきたが、さっきも少しだけ話したように、俺が売っている口座は架空ではないからだ。

やり方は、インターネットの掲示板へ<モニター募集!謝礼5,000円!!>と書き込むところから始まる。
問い合わせが来たら<ネットで口座開設を申し込んでから通帳が届くまでの日数を調べています>とかもっともらしい理由をつけて、銀行口座を作らせる。
そして、通帳が届いたという連絡があったら<口座の凍結はこちらでやりますから、通帳・印鑑・カード・暗証番号送ってください>とやるわけだ。
もちろん引き換えに、一口座につき5,000円のモニター代を出す。
成功率は、だいたい8割といったところだ。

モニターは使いもしない口座を持っていても仕方がないし、口座凍結の手続きをするのも面倒くさいのだろう。
まあ、ヤツらにしてみればネットから好きな時間に申し込んで、受け取った物を送るだけで2~3万円くらいになるのだから、いい小遣い稼ぎにはなる。
この口座が犯罪の温床になっているなんて、これっぽっちも思っていないはずだ。
その証拠に、一度引っかかったヤツが家族の名前を使って再び通帳を送ってくるケースも多い。
俺にとっては都合のいいリピーターというわけだ。

それとは別にもうひとつ、オリジナルの口座開設方法というのもある。
口座開設にあたっては、郵送で申し込む場合もネットで申し込む場合も、身分証明書の写しが必要になる。
逆に言えば免許のコピーさえあれば、いくらでも口座は作れるってことだ。
近ごろは個人情報の流出が問題になっているが、それでも免許のコピーを扱う仕事はそこらにゴロゴロ転がっている。
携帯電話屋のお姉ちゃんに金を握らせれば、いくらでも「コピーのコピー」を横流ししてくれるのだから。
あるいは「手配書(借金を踏み倒して逃げている者のリスト)」には、たいてい免許のコピーがついている。
たった一枚の免許証コピーから10以上の口座ができるわけだから、コピーを一枚一万円で買い取っても十分に元が取れる。

身分証明書が手に入るルートは、まだある。
知り合いの風俗店オーナー兼アダルトビデオ監督の布辺という男に少なくない金を握らせて、俺の仕事に協力してもらっているからだ。
彼の仕事はどちらも、女の子の年齢には非常に気をつかう。
ちゃんと警察に届出を出して営業していても、18歳未満の子を使うと児童福祉法違反でブタ箱入り。
「知らなかった」とか「俺たちも騙されていた」じゃ済まされない。
だからAVの時は、必ずプロダクションからモデルの身分証明書のコピーが回ってくる。
もちろん風俗店の面接の時も、身分証明書を持参するように徹底させているという。
こうした大義名分のもとに布辺の手元には大量の身分証明書が集まり、そいつが俺に流れてくるというわけだ。

架空口座は女性名義のほうがよく売れるということはすでに話した。
その意味でも、この入手ルートは非常に魅力的だと言えるだろう。
写真付きの運転免許証やパスポートなら身元の確認も確実だが、保険証の場合は姉の名前を語られたら確認する術はない。
ただし、銀行口座を作るだけなら保険証だけでもコトは済む。
だから俺は店で不採用にした女の子の保険証コピーをいただくことも多い。
もちろん、保険証に載っている家族全員の名義で口座を作ることだって簡単にできるが、さすがにそんなかわいそうなことはしない・・・基本的には。

使わせてもらうのは、たとえばこんな場合だ。
AVや風俗で働こうなんて思っている女の子のなかには、少々常識に欠けた子もいるそうだ。
何十万円もするスタジオを押さえたのに、当日になって撮影をすっぽかしたり、店で予約がたくさん入っているのに無断でバックれたりする子だって実際にいるらしい。
そんな子が出てくるたびに、布辺は俺に「お仕置き」および「損失補填」を依頼してくる。
そして俺は遠慮なく、家族全員の名義を使って口座を作らせてもらうのだ。
本人だけが被害を受けるというなら自業自得で済まされるが、こうして知らない間に自分や家族名義の口座が犯罪に使われることもあるというわけだ。
ということで、年頃の娘をもつお父さん、お母さん方たちにひとつ忠告。
彼女たちがAVに出演したり、風俗で働いたりするのを心配する気持ちはよくわかる。
とくに、娘が一人暮らしをしてる場合は他人事じゃないだろう。
だが、このように、もっと恐ろしい陰謀が口をぽっかり開けて待ち受けていることだってあり得るのだ。
くれぐれも娘さんの行動には目を光らせておいたほうがいい。
まあ、それでも手遅れになっている場合もあるだろう。
せいぜい俺の手元にある500件ほどの保険証のコピーのなかに、あなたの名前が載っていないことを祈っていただきたい。

この架空口座に関しては、さらに詐欺師を騙すためのテクニックというのも存在する。
<脱税・詐欺・違法物販売に使える架空口座を売ります>なんてインターネットに書き込んでおけば、浅知恵しか持ち合わせぬ素人詐欺師どもがわらわらと申し込んでくる。
その際、入金させる口座自体を架空口座にしておき、申込金だけをパクって消えることも可能だ。
もちろん被害者は後ろめたい気持ちがあるので、絶対に訴えることはない。

それでも、ここでチンケな取り込み詐欺を働いてもしょうがない。
もっと大きな獲物を狙うのだ。
無事に架空口座を入手したヤツらは、嬉々として悪事を働くだろう。
そもそも普通の口座じゃできないことをやるわけだから、莫大な闇の金が入金される。
だが、彼らはすでに致命的なミスを犯していることに気づいていない。
そう、ほかでもない、この俺に暗証番号を握られているという事実を忘れているのだ。
俺はただ、ネットバンキングで残高を確認していればいい。
時期が来るまでじっと待ち、適当なところで口座を解約する。
銀行には「印鑑をなくしたので、口座をストップしてください」と電話で伝えるだけで事足りる。
その後、銀行印を再登録し、入金されている金をすべて引き出して消えるだけだ。
実に簡単で、しかも完全な詐欺じゃないか-。

こうして詐欺師を騙す詐欺師のことを「ブラック詐欺師」という。
俺がこれまでに売った口座は500以上にのぼるだろう。
もちろん、すべての暗証番号を控えている。
人を騙すことに飽きたら、ブラック詐欺で完全犯罪としゃれこむのも悪くない。
俺が飽きる頃には、口座にたんまり黒い金が眠っているはずだ。
しかも俺自身がやるべきことは、それほど多くない。

ここまで話して、ようやくおわかりいただけただろうか?
最初のほうで俺が言った「ネット取引は、接触がないからこそ危険にあふれているのだ」という本当の意味を。
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2008.08.10

このままでは警察がパンクする

先月のことになるが、偽造免許対策として携帯電話を契約するときに免許証の情報を警察に照会できる旨の合意がされたと報じられた。
しかし、私が思うに、その照会は警察の持っている運転免許所有者情報をデジタルで照会できるものではなく、携帯電話会社が警察に電話で照会できるだけになると思われる。
今時?と思うだろうが、それが日本の実態であり、日本では下っ端スタッフが汗をかきかきヒーヒー言って仕事をするのが美徳とされているからだ。
少なくとも、この件に関して言えば、真偽照会に限ってアクセス権を設定した端末を携帯電話会社の本社にでも置けばいいではないか、と思うだろうが、日本はそういう発想でものを考える人が行政の上層部にいない。
かつて森喜朗元首相がITのことをイットと言ったとかでサイバー社会に対する無知をさらけ出していたが、私に言わせれば行政の上層部の人間も大同小異でしかない。

事実、日本では国や自治体にコンピュータシステムが導入されていても、それぞれのIT企業がバラバラにシステムを構築し、さらにそれらは互換性がないがゆえに相互に連携してもいないし、相互に連携していいという法律さえも作られていないし、国民が同じような書類を何枚も書いてそれぞれに届け出ないとならない、という法律もアナログ時代とほとんど変わりがない。
大前研一氏はこのことを「ロウワー・ミドルの衝撃」の中で、従来のゼネコンがITゼネコンに変わっただけがゆえの悲劇と呼んでいるが、追い討ちをかけるように、日本では政治家や役人がITセキュリティに無知がゆえに情報の相互連携に国民が不信感を抱いている。
その典型が住基ネットで、きちんとした使い方ができれば、日本も他の先進IT立国を上回ることができるものを、タヌキしか通らない高速道路と化しているのが現実だ。
それゆえにプライバシーを守るためと称するアナログ事務が全国津々浦々で見られることになり、役所の仕事は減るどころか増え続けることになっている。

ここでは携帯電話会社のことしか触れられていないが、今や偽造免許証を使った架空名義契約は銀行口座やネット証券口座はもとより、おそらくFX口座すらあると思われる。
その手続きに使われる運転免許証のすべてを警察が電話照会で応じていたらどうなるのか。
さてまた法人の代表取締役印を押した文書でも送らせるのであろうか。
それとも専用のコールセンターでも作って大量のアルバイトでも雇うつもりなのだろうか。
ちなみに、偽造免許の問題がクリアされても、未だに残る顔写真もなき、健康保険証問題はどうするつもりであろうか。

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携帯契約時、警察に照会 偽造免許証対策 (2008.7.17 読売新聞)

携帯電話を利用した「振り込め詐欺」を防ぐため、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルなどの国内携帯電話会社が、個人名義で契約できる電話番号を五つに制限するなど、利用に関する新たな自主規制ルールを導入することが16日、明らかになった。

窓口契約時の本人確認の約7割に使われている運転免許証の偽造対策として、警察が携帯電話会社からの照会に応じる。
新ルールは、携帯電話会社側の態勢が整い次第、実施するが、具体的な時期は調整中だ。

振り込め詐欺の被害額は過去4年間で1000億円を超え、被害者が自殺に追い込まれるなど、深刻な社会問題になっている。
特に、偽造の運転免許証を使って同一名義で数十回線(電話番号)の契約をし、不特定多数に一斉に電話をかける手口が目立つという。
このため、自民党の「振り込め詐欺撲滅ワーキングチーム」(座長・菅原一秀衆院議員)と携帯電話会社、警察庁で対策を検討し、新たに自主規制のルールを定めることで基本合意した。

合意によると、各携帯電話会社ごとに同一名義で所有できる回線数を5回線までに制限するほか、契約時に携帯電話会社側が必要と判断した場合、契約者の了解を得たうえで、電話で警察に運転免許証の確認を依頼する。
契約者が警察への照会を拒否した場合、契約は行わず、悪質と判断した場合は警察に通報する。

このほか、

1.過去に不正利用の発覚で通話サービスを停止した契約者の情報を、国内の携帯電話会社で共有する
2.警察の犯罪捜査の依頼で、携帯電話の位置情報を提供する時間帯を、これまでの平日午前9時~午後5時までから、週末や休日も含め早朝や深夜の時間帯に拡大する

ことなども、ルールに盛り込む。
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2008.08.02

ゆうちょ銀行のでたらめぶり

今日の毎日新聞で「盗難カードでローン契約書」という記事を見た私は呆れ果てて声も出なかった。
舞台は2007年(平成19年)10月1日に民営化されたゆうちょ銀行、盗難にあったキャッシュカードの情報だけを元にした、氏名、誕生日、電話番号、印鑑とすべてが虚偽のローンの契約書が銀行の審査をパスし、38万円余のローン契約が締結されていたという。
さすがにここまでずさんな審査、というより詐欺に加担したとも言うべき行為は例がないのではなかろうか。

かつて日本の銀行は、泥棒が盗んだ預金通帳と印鑑で預金払い戻し申請書を書き、それに書かれたものが本人の登録情報と違っていたとしても払い出しに応じた上、なおかつ本人が異議申し立てをしても、印鑑が合っていたから責任はないなどと強弁した実績がある(2003年3月6日-朝日新聞 印鑑頼み-狙われる預金)が、どうやら民営ゆうちょはその上をいくようだ。
記事では「ゆうちょ銀行東京貯金事務センター」の契約社員の失態のように書いてあるが、実際のところ、複数の友人曰く、最近ではアルバイトも賃金が低いので優秀な人は来ないということらしい。
社員は次々に辞める、残された人の仕事は過重気味、それを補完する臨時スタッフは今ひとつ、これではすでに倒産寸前のゾンビ企業と同じではないか。

その一方で、真正の本人が国民健康保険料とか市民税を口座振替にしようと、ゆうちょ銀行を指定し、依頼書を書いて送ったところ、口座名義に書かれた字体(例えば、山崎と山﨑など)が違うとか言われて送り返されたり、場合によっては役所に行って(戸籍上の)字を直してもらってくれとか言われることもあるという。
片や常用漢字かそうでないかの違いで撥ねられ、片やほとんど違っているのに通るという杜撰さ。
そう言われてみると、わが親も富か冨の違いで何のカンの言われたとか。
このままいくと、万が一のときに戸籍の字と口座の字の違いで別人扱いされる可能性もあるのが怖い。
最近の日本の「安心・安全」は全く信用できないだけに今のうちにきちんとするように言うか。

そして、かつての「ノルマ(野村)証券」を彷彿とさせる投信販売の実態、これが民営化の成果なのか。
記事は昨年の11月、要するにサブプライム問題本格化のベアマーケット入り前の話で、「わしゃ、だまされた!」というレベルだと、今やどうなっているのか火を見るよりも明らかだ。
今や、ゆうちょ社員は連日苦情の嵐で仕事にならないのではないだろうか。
私に言わせれば、昨年5月3日に書いた「郵政民営化の光と影」の影の部分が現実化したというだけになるのだが、何ともやり切れない気持ちだ。
厳しい言い方をすれば、これは、大前研一氏の言う、日本人が世界でも類を見ないほど「プロンプター人種(自分の考えを持たないがために扇動者に操られる人たち)」であるがための結果とも言えるだろう。
私はその郵政選挙のとき、小泉演説に群がって写真を撮り、喝采を送る人々のテレビ映像を見て、屠殺場に送られる羊の群れがカウボーイに拍手しているとしか思わなかったのだから。
少なくともそこには小泉政策によって果実を得られそうな人たち(富裕層)を見かけることはなかったからだ。

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ゆうちょ銀行-ずさんな対応・・・盗難カードでローン契約書 (2008.8.2 毎日新聞)

氏名、誕生日、電話番号、印鑑とすべてが虚偽のローンの契約書が審査をパスし、38万円余のローン契約が締結されていたことが分かった。
契約書は盗難キャッシュカードを基に作られたとみられ、郵便局のずさんな対応のため、被害男性の口座から計3回総額約83,000円が引き落とされた。
男性は「これほど審査がずさんでは、他にも被害があるのではないか」と話している。【小林直、苅田伸宏】

男性は千葉県船橋市のデザイン制作会社経営、矢田弘通(ひろみち)さん(41)。矢田さんは2月22日、自宅が空き巣被害に遭い、現金2,000円や郵便局のキャッシュカードなどが入った財布を盗まれ、同日、千葉県警と郵便局側に被害を申告した。

引き落としに気付いたのは5月21日。
妻が船橋東郵便局(船橋市)で記帳すると、3月27日に28,574円、4月28日に27,500円が引き落とされていた。
窓口で「調べてほしい」と申し出たが、5月27日にも27,500円が引き落とされ、郵便局側は毎日新聞が取材を申し込んだ翌日の6月27日になって初めて、口座引き落としができなくなる措置を取った。

「自動払込利用申込書」などによると、犯人はカード盗難3日後の2月25日、千葉県柏市の楽器店で384,720円のアコースティックギターを購入。
同申込書の氏名は1字違いの「矢田弘道」、生年月日は実際より10歳以上若い「昭和52年9月7日」。
自宅と携帯電話番号や印鑑も虚偽で、正しいのは氏名のふりがな「ヤダヒロミチ」と口座番号だけだった。

盗まれたキャッシュカードは、矢田さんの申告により使えなくなっていたが、口座はそのまま残るため、カードに記されていたカタカナ名と口座番号が使われたとみられる。

信販会社によると、楽器店からファクスで受領した申込書をチェックしたところ、電話番号の一致する「矢田」姓の人物(名前は異なる)について、過去の利用実績が確認された。
さらに「ヤダヒロミチ」と書かれたキャッシュカードを持っていたことなどから、過去の利用者の家族と判断し契約を認めた。

その後、信販会社が「ゆうちょ銀行東京貯金事務センター」(さいたま市)に申込書を郵送。
同銀行によると、センターの契約社員は3月中旬ごろ、パソコンに保存されているデータと申込書を見比べ、実際には異なるのに「届け出印の印影、氏名と一致した」と誤って判断し、引き落としが始まった。

ゆうちょ銀行広報部は「センターでの確認作業も矢田さんから指摘を受けた後の対応も不十分。深くおわびする」としている。

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お年寄りが「許せない」と泣いている
ゆうちょ銀行「投信売れ売れノルマ」で「悲鳴とトラブル」内部告発
(2007.11.2 週間ポスト

さっそく「代書契約」が発覚、システム不具合、年金振り込み遅ればかりじゃなかった。

古き良き時代の田舎の郵便局員は、独り暮らしのお年寄りの頼みで貯金をおろし、コメや味噌を買って届ける温かいサービスで地域社会に信頼されていた。ところが、民営化への過程で、投信などの販売ノルマが厳しくなり、「わしゃ、だまされた!」とお年寄りが声を震わせている。その実態を社員たちの内部告発をもとに報告する。

「なぜ結果を出せないんだ」

「いらっしゃいませ!今日はどのようなご用件でしょうか」
ゆうちょ銀行の窓口を訪れると、社員はそう愛想よく対応する。
が、その笑顔の陰で、彼らは厳しい“ノルマ”を背負っているという。
社員の一人が重い口を開いた。
「民営化にあたって利益をあげるために、“投資信託をどんどん売れ”という指示が出されているのです。支店長(郵便局長)が、『1ヶ月で100万円分の契約を取ってこい』などという言い方で部下にノルマを割り振っている支店もあります。売れない社員には『なぜ結果を出せないんだ』と叱責するから、現場は皆、必死です」

10月1日に日本郵政公社が民営化して「ゆうちょ銀行」が誕生して以来、顧客情報管理システムの不具合が1週間以上続いたり、年金振り込みが遅れたりとドタバタ劇が続いた。
そうした中、さらに深刻な問題が浮上し始めた。ノルマに追われる社員らが販売する投信をめぐるトラブルだ。
日本郵政グループ社員らの労組である「郵政労働者UNION」中央本部書記の下見徳章(しもみ のりあき)氏が語る。
「ノルマは『販売目標』という名目で全国的に徹底されていて、現場は悲鳴を上げています。それによって、数字に追われた社員たちが無理な販売をしている状況がある。このままでは、将来、多くのトラブルや苦情につながるのではないかと危惧しています」

実際に、民営化後のゆうちょ銀行でも、さっそく“問題契約”が発覚した。
都内の社員による内部告発である。
「23区の北部にある郵便局で、高齢の女性のお客様が投信の説明を受けていた。その際、専門用語などが多く、申し込みの必要記入事項も多岐にわたるため、『難しいから、書類はそっちで書いてよ』と言われて、本来は申し込みをした本人が書かなければいけないにもかかわらず、社員が代書していた。『お客様が書くという決まりなんです』と説明すべきだったのですが、『じゃあ、面倒だから契約しない』と言われたら元も子もないと思ったのでしょう」

代書は、ゆうちょ内部の『コンプライアンスマニュアル』で禁止されている。
もし、代書が横行すると、本人が希望していない商品が勝手に契約されるだけでなく、契約者が知らないままに勝手に商品を買わされるという犯罪行為まで引き起こしかねないからだ。
西川善文・日本郵政社長は民営化にあたってコンプライアンス徹底を打ち出し、「国民から信頼される郵便局を作る」と語っていたが、船出からルール違反の「代書契約」が行われていることをご存知なのか。

販売ノルマが前年の5倍に!

このままでは投信トラブルが続出する-前出・下見氏の危惧が、杞憂に終わるとは思えない。
と、いうのも、ゆうちょ銀行は前身の日本郵政公社時代から、販売ノルマを設定する中で、投信トラブルを頻発させてきたからだ。
複数の社員によれば、公社の時から郵便局内で、

1.ミーティングで「営業のできない者は、うちの局に必要な人材ではない」と言われる
2.毎朝、「1に投信、2に定期を勧めなさい」と言われる
3.投信販売資格のない人が、顧客を資格のある人に紹介するよう命じられる

などの「売れ売れ指令」が出され、民営化された現在も続いているという。

手元にある郵政公社の内部文書は、さらに生々しい。「新投資信託重点取扱局情報」と題されたA4判の書類である。
一番上に都内の拠点郵便局名が記され、すぐ下には、(客層 窓口 勤め人 訪問・主婦及び退職者)とある。
そして、(17年度目標額2億1200万円、販売実績2億8448万円)と、細かな数字が記されている。
目標をクリアすると、さらなる“ノルマ地獄”が待っていた。
(18年度販売目標額)の欄に、(11億4200万円)と、実に前年の5倍以上の“ノルマ”が課されていたのだ。
こうしたノルマによって販売開始から2年間で投信の純資産残高は急激に増加。9月末時点で、ついに1兆円の大台に乗せた。

なぜこんなに投信を売ろうとするのか。前出の下見氏が指摘する。
「10万円分の投信を販売した場合、その後10年間の手数料収入は約6500円で、国債の手数料収入約600円の10倍になる。厳しいノルマのもと、無理な販売が行われてしまう」

本誌が入手した郵政公社の別の内部文書「郵便貯金業務に係るリスク発生報告書」には、“ノルマクリア”のためのトラブルを匂わせる事案も記載されていた。
(投資信託の口座開設、新規申込みにおいて名義人××に面談することなく、××の代書により、受付けた。(中略)担当者は、代書、無面談はコンプライアンス違反という認識は持っていたが、退職を目前に控え自己目標を達成したいという意識が強かった)(××は黒塗り部分)
これは、岡山中央郵便局で今年2月に起きたケースだが、ノルマに追われてルールを破った例は、これだけと言い切れるのか。

1年半で334件のトラブル

本来、契約できない人にも投信は売られていた。
横浜港局で2006年10月に起きたケースである。
(お客様が営業責任者承知基準を満たしていない(70歳以上で年金を受給しておらず、年収が0円)にもかかわらず、受付口座を開設した)
この他にも、13歳、15歳、17歳2人、計4人の兄弟の名義で350万円の契約をしていたケースなど、未成年者に販売していた事例も複数あった。

個人情報に対する意識も疑問符がつく。
(投資信託口座の住所変更処理を行う際、簡易保険の顧客情報照会により電話番号を調査し、電話連絡した(中略)お客様から「電話番号をどこから知りの得たのか」との申告を受けた当該職員が管理職員に報告し、発覚)
こうした投信販売に関係する「リスク発生報告書」は、2005年10月から2007年3月分で334件もある。

顧客の高齢者に対して投信のリスクをきちんと説明しなかった疑いのあるケースも本誌取材の中で判明した。
東京都西部・檜原(ひのはら)村。
人口2918人のうち、1195人が65歳以上の高齢者だ。
同村では2007年3月、効率化に伴って檜原郵便局の12人いた職員が4人に減らされ、外務員がいなくなった。
代わりに担当になった隣のあきる野市の郵便局員が高齢者に売った投信が問題になっている。

田倉榮・檜原村村議の話。「契約したお年寄りは、投信のリスクを正確に理解せず、普通の貯金のつもりだったと言います。そして、“サブプライムローン問題で投信の顧客の2割に20万円以上の評価損が出た”という報道を見て、『騙された』『許せない』と泣いている。郵便局はお年寄りには特にしっかり説明をしないといけない」

これらのトラブルについて日本郵政とゆうちょ銀行広報部に取材したが、いずれも回答はなかった。
駅や街頭にポスターを貼り出して、イメージアップに躍起なゆうちょ。
その謳い文句のひとつが「あたらしいふつう」だ。社員に売れ売れノルマを押し付けた末に、投信のトラブルを続出させるのが、ゆうちょ銀行の“ふつう”のサービスでないことを願いたい。
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2008.07.27

詐欺師の高笑いが聞こえる

新聞報道によれば3年後の2011年7月24日をもって、現在の地上波テレビのアナログ放送が終了し、デジタル放送に完全に切り替わるらしい。(2008.7.24 読売新聞-地デジ移行あと3年 TV局・国、周知急ぐ)
私は最近、テレビをほとんど見なくなったので、家にあるテレビ受像機が地デジ対応なのか今ひとつわかっていない。
昨年あたりにテレビを買い換えたときに家電ショップの人が地デジ対応になっているとか、言っていたような気がするがさして気にも留めなかった。
あなたの家のテレビはどうだろうか。

ところで、これに関して一番の問題は高齢者単独世帯だ。
彼らはテレビが何より楽しみというレベルの人も多い。
NHKは24日から、アナログ放送を受信しているテレビ画面の右上に「アナログ」というロゴマークを常時表示させ、画面下に「ご覧のチャンネルは2011年7月で終了します」という告知を適宜表示させる、としているが、それは単に番組の終了のお知らせとしか受け取らない人も多いに違いない。
第一、アナログとデジタルの言葉の意味がわからない、という人もいるのではないだろうか。
そこで、政府やテレビ局は「NHKや民放のOBらを活用し、高齢者や障害者向けに頻繁に説明会を開く。民生委員やボランティアに協力してもらい戸別訪問も行う方針だ。」とのことだが、この地デジ対応の需要増を予想して2009、2010年あたりに家電業界の株でも買おうか、と思った人もいるかもしれない。
私は一方で「地デジ詐欺の大氾濫の予感」と見る。

現在ですら 振り込め詐欺被害が過去最悪、詐欺の被害金のうち全銀協加盟金融機関の凍結口座に滞留しているとされているだけで何と59億円もあるという。((2008.7.25 毎日新聞-振り込め詐欺:口座残金は59億円 全銀協が初集計)
実際の被害額は当然これより多いハズで、私ですらこんなに騙されているヤツがいるんだ、と思う反面、この一部をオレの口座に、と思うヤツもいるハズだとも感じるからだ。
私はこうした犯罪を助長させる気はさらさらないが、現実問題として、振り込め詐欺に騙された被害者はカモリストに登録され、地デジ詐欺のターゲットにもなり得るだろう。
事実、地デジ対応の受像機に切り替えないと2011年8月以降はテレビが見れなくなるし、その説明のためのボランティアが戸別訪問するという。
そして、政府は国民生活センターをリストラしようとさえしている。(2007年10月11日「今日の一言」
これだけ詐欺師に好条件が揃っていて何も起こらないわけがない、というより連夜のシャンパンファイトといった気分だろう。

ネット世代の我々はいい。
番組の内容がくだらないと思えば、テレビなど見ないという選択肢は当然にあり得るし、テレビの受像機自体が不要かもしれないからだ。
問題は、アナログ世代の自分の親だ。
彼らが騙されないためにはどうするか。
地道な親孝行をするのが一番だ。
騙されるなよ、いろんなヤツいるからなんて陳腐な言葉をかけることではない。
親のために自分らが手を出して地デジ対応のインフラを整えてやることだ。
こんな愚策のために金を出したくないという気持ちもあるが、親が詐欺師に金を毟り取られるよりはマシだ。
もし、親の家の近くに家電屋があるなら、そのときは多少高くてもそこから買ってやることだ。
そうすれば、何かあったときに親がそこに相談しやすくなる。
量販店は価格自体は安いがそういうアフターケアがない場合も多いからだ。
言わば、1万円を惜しんで20万円を騙し取られるというような愚だけは避けるべきということだ。

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犯罪者に聞いた「騙しにくい嫌な相手はコイツらだ!」 (2008.3.25 週刊SPA)

さまざまな犯罪撃退報告があるが、実際に犯罪者が「こいつは相手にしたくない!」と感じるのはどんなタイプなのか?
高齢者を対象に高額の布団を売りつけている悪徳訪問販売員A氏は”騙せない客”をこう分析する。
「玄関に”押し売りお断り”の警告を貼ったり、センサー式の防犯ライトをつけた家は、”被害に遭いたくない”という保守的な気持ちが読める。僕らがイヤなのは、逆に『かかってこい、撃退してやるから!』的な性格が会話や表情に出るタイプですね」
つまり、質問に質問で返してくる相手や、笑顔に無表情で返してくる人間が鬼門だという。

「こちらの会話を無視して質問責めしてくるのは、相手を論戦でやり込めるのを愉しむ性格の表れです。一方、販売マニュアルにも『人間の持つ、相手の笑みに無意識に笑みを返す本能を利用して警戒心を和らげる』といった項目があるのですが、これが通じない相手もダメ。日常生活でも、冗談の通じないヤツっていますが、そんなタイプは騙しづらいです。これは詐欺犯などにも当てはまると思いますよ」

一方、大胆不敵に見える痴漢常習犯にとっても、苦手な相手がいる。
「一目で、こいつはNGと判断できるのは、目が合ってからその目を逸らすまでの時間が長い相手ですね。駅のホームで初対面の他人と目が合い、5~10秒と相手を見続ける女は好戦的で警戒心も強いですから、絶対に狙わない」(痴漢犯B氏)

また、知識武装した人間も犯罪者が毛嫌いする相手だ。
「ネットに精通している人間は知識も充実していて怖いですね。こちらの弱みを知っているので、騙すどころか痛い目に遭うこともあります」(詐欺犯C氏)

結局、犯罪者への反撃を愉しむぐらいの余裕がある人問は、犯罪者も狙わないということか。

■犯罪者が騙しにくいと感じるタイプ

1.目が合ってから、その目を逸らすまでの時間が長い人。好戦的な性格の表れ!
2.会話の中で、質問に対してまったく違う回答をしてきたり、質問に質問で返してくる人。
3.身なりが安っぽい人。安い小物などを持つ人はプライドが低く、騙されたことを恥じない。
4.笑顔に無表情で返す人。笑顔に笑顔で返さない人は警戒心が強い!
5.ネットを多用する人。あらゆる犯罪について、被害に遭ったと気づくまでが非常に早い!
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2008.07.20

たかが旅行といえども、これでいいのか日本

先週の月曜日の日刊ゲンダイを読んでいて、何じゃこりゃ~という記事があった。
たかが旅行と言ってしまえばそれまでなのだが、「昔ながらの旗持ちパックツアー(添乗員付きフルパッケージ)に、団塊世代のリタイア組から若者まで飛び付いたおかげで米国本土の旅客数が増えた」というものだ。

同じ紙面にキャセイ航空を使って旅行すると燃油サーチャージが安く済むというのがあり、こちらがニッチもサッチもいかないほど混んでいるというのは理解できる。
事実、私も欧州旅行をキャセイで予約しているのだが、未だに空席が出たという返事が来ない。(おそらくKLMで行くことになるだろう)

話を戻すが、私がこうしたフルパッケージを使ったのは後にも先にも2002年の中国・長江三峡ツアーのときだけだ。
このときの中国はとてもじゃないが、中国語が話せない旅行者が個人旅行で行けるレベルではなかったのと、フルパックの方が合理的・経済的だったからだ。
しかし、それ以外の旅行は基本的に航空券とホテル以外の手配は現地でするというスタンスを取っている。
なぜなら、フルパックのような旅行は楽かもしれないが、面白みが全くないし、旅行記を書くのに四苦八苦するほど記憶に残らないからだ。
従って、1990年代も後半になると、日本人も旅慣れた人が多くなり、そういう人たちはお仕着せのパックツアーを次第に敬遠するようになってきたのだ。
それが先祖帰りするような感じになっていることに私は驚いているのだ。

片や作家の浜なつ子さんが「外こもり」と名付けた、日本ではなくバンコクなど海外の街で引きこもる若者が増えているともいう。
また、作家の下川裕治氏曰く、彼らにほぼ共通するのは、バンコクでの生活費を稼ぐために日本に舞い戻り、それが溜まるとまたバンコクへと旅立つ、という生活を繰り返していることだという。
おそらく、こうした人たちは外務省の海外在留邦人数統計や、日本旅行業協会の旅行統計には現れないだろう。
ましてバンコク行きの航空券を買うのにJTBなどの日系ブランド旅行社を使うこともない。
従って日系メディアに言わせれば、海外旅行者数は減っているとなるのだろうが、実際のところ、ただでさえ少なくなっているという若者が国内外で引きこもって(!?)しまう、さもなければひどく従順、こんなことで日本人は大丈夫なのだろうか。

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夏休み旅行-アメリカ本土が人気急上昇の不思議 (2008.7.14 日刊ゲンダイ)

夏休みの海外旅行がメタメタだ。旅行者数(予測)は前年比7%マイナスの17万人と散々な状態(JTB調べ)。
燃油サーチャージがともかく高い。ハワイ往復で4万円、米本土や欧州だと5万6000円も取られるから、行く気も失せる。
当然、旅客数は激減だ。ハワイで前年比3.7%減、欧州は1.9%減、オーストラリアも7.5%減。
ところが、なぜか絶好調な地域があった。米国本土だ。
サーチャージは5万6000円。2人で行ったら11万2000円も必要なのに、前年比3%増だという。不思議だ。

「秘密があります。米国本土へのツアーの中身をガラリと変えました。
アメリカ方面は長い間添乗員付きコースがほとんどなく個人旅行が中心でした。
ところが米国はヨーロッパと違って国土は広く移動も大変です。
中高年層から添乗員付きツアーはない?という要望が増えてきたことに対応しました。これが当たった」(JTB関係者)

旗を持ち「は~い、こちらで~す」とやる添乗員付きの昔ながらの団体旅行だ。
団塊世代のリタイア組から若者まで飛び付いたというから驚く。
「移動は楽だし、添乗員がいれば体調が悪くなっても安心です。昨秋から添乗員付きツアーを少しずつ増やしたところ燃油サーチャージが高くてもアメリカ旅行を選ぶ人が急増しました」(前出のJTB関係者)

ロスやサンフランシスコ、ラスベガス、グランドキャニオンなど西海岸を巡るコースが1番人気。NYなど東海岸方面も動きはいい。
近ツーやJALパックなどライバル会社も添乗員付きツアーを続々と投入し始めた。
海外で犯罪に巻き込まれることも少なそうだし、昔ながらの旅が大復活しそうな勢いだ。
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2008.06.29

エクスペディア・ベストツーリスト2008

オンライン旅行会社のエクスペディアが実施したベストツーリストランキングAnnual Global Best Tourist Survey=各国のホテルマネージャーによる、国別の旅行者のイメージ調査)で日本人がトップになったようだ。

これについて21日の朝日新聞は天声人語でこう言っている。
「ホテルの評判がいいとは、要するに扱いやすいということらしい。きちんと現れ、きれいに泊まり、黙して去る。お金だけ落としていく風。
加えて、日本語メニューの誤りを正してくれる優しさを持ち合わす。旅に出てまで気を使い、評判だけいいのは悔しくもある。
それで割引があるわけじゃなし、苦情や不満はしまい込まず、サービスのプロ集団にひと仕事させるくらいがいい。わがままな上客というのもある。」

何か違和感を感じたのは私だけであろうか。
「旅に出てまで気を使い、評判だけいいのは悔しくもある。」
確かに日本人観光客は外国語のハンディから不満があっても何も言わないことも多いが、それを割り引いてもホテルのスタッフの評判がいいのは嬉しいことなのではないのか。
また、割引がないとか言っているが、welcomeの観光客に対しては無形のサービスを受ける可能性があることがわからないのだろうか。

それに「苦情や不満はしまい込まず、サービスのプロ集団にひと仕事させるくらいがいい。わがままな上客というのもある。」と言うが、私の経験から言っても余程のホテルでなければ、不満たらたらというような目にあったことはないが、欧米人は何にそれほど不満があるのだろうか。
もちろんホテルの外なら、タクシーでぼられととか、観光地でしつこく付きまとわれるとか怒り爆発シーンはいくらでもあるが、常時、四つ星、五つ星に泊まるような人たちは私とは感覚が違うのだろう。

ところで、ホテルへの苦情の多さでトップに輝くアメリカ人について他の項目も見てみると、面白いことがわかる。
彼らは、部屋を汚くし、行儀も悪く、騒々しく、ファッションセンスは最悪、気前良く金を使うということがなければ、unwelcomeになることが一目瞭然だ。
この調査結果だけみれば、アメリカ人はチップをはずんでくれるから相手が我慢しているというのが実情だろう。

最後に、BRICs諸国の観光客はブラジルを除いていずれもワーストランキングに位置している。
まあ、それも仕方なかろう。
今まで海外旅行など夢の世界の国の人がいきなり海外デビューといった感じになったのだ。
そんな彼らに国際常識やマナーなど二の次だろう。
それに彼らは「オレたちの何が悪いんだ」とか言いそうだからね。

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朝日新聞-天声人語(2008.6.21)

外国の観光地では(日本語メニューあります)の掲示が珍しくない。
すし屋の直訳か、パリにはスシハウスを名乗る店があった。カタカナの看板は「ヌシハウス」「スンハウス」と微妙に間違えていた。
日本人客を呼ぼうと、店主が無理をしたのだろう。
団体、個人を問わず、日本人旅行者はどの国でもだいたい歓迎される。

米国の大手オンライン旅行予約会社、エクスペディアの調査「ベスト・ツーリスト2008」でも、日本人が「最良の旅人」に選ばれたという。
同社は今春、欧米などのホテルに質問メールを送り、旅行者のマナーや気前の良さなど10項目について、それぞれ最良と最悪の国を尋ねた。
約4千軒の回答を集計した結果、日本人の評判は2位の英国とドイツを引き離した。

わが同胞は行儀、静かさ、苦情の少なさなどの項目で点を稼いだ。
米国人は金ばなれの良さで首位ながら、騒がしさや服装の評価が集計対象31カ国のビリ。
総合の「ワースト」は中国、インド、フランスの順だった。
「かき捨て」たはずの恥まで、まんまと拾われたか。

ただ、ホテルの評判がいいとは、要するに扱いやすいということらしい。
きちんと現れ、きれいに泊まり、黙して去る。お金だけ落としていく風。
加えて、日本語メニューの誤りを正してくれる優しさを持ち合わす。
旅に出てまで気を使い、評判だけいいのは悔しくもある。
それで割引があるわけじゃなし、苦情や不満はしまい込まず、サービスのプロ集団にひと仕事させるくらいがいい。
わがままな上客というのもある。
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2007.09.22

何やってるんだ高知県警

毎週日曜日の朝に日本テレビ系列でやっている「いつみても波瀾万丈」という番組に安倍内閣の教育再生会議の委員でもあり、居酒屋チェーン「ワタミ」を経営する渡辺美樹社長が出演したことがある。
この番組中に彼のエピソードとして放映されたビデオの中で、彼が店長を集めた会議で放った一言は「お客様の言うことは絶対なんだ。たとえ録画していてお客様に非があってもお客様は正しいんだ!」という信じられないものだった。
これが通るなら警察も裁判所もいらないだろう。

それを絵に描いたような事件が高知で起きた。
この事件の主人公たる男女3人組が注文したものが出てくるまでにどれほど待たされたかはわからない。
しかし、余程のことがなければ、店側が一通り謝罪すれば収まるような問題だ。
たぶん、このとき、彼らが酔いにまかせて店員に「謝り方がなってない」などと難癖を付け、その挙句に皿を割って喚き散らしたからここまで騒動が大きくなったのだろう。
それに店の皿をわざと割れば通常はその時点で犯罪(器物損壊罪)が成立する。
それだけで警察に通報するようなマニュアルになっているかはさておき、警察を呼ぶような事態になったのは、店側が自力で騒動を収拾することができないと判断したからに違いない。

それにしても・・・と思う。
歓楽街の店には暴力団を必要悪としているところは多いが、この警察のだらしなさを見たら、ますます頼れるのはアンダーグラウンドピープルだけ、なんてことにもなるだろう。
しかも、店員に暴行した女性は妊婦、しかも夜中の1時・・・
子供のいない私でさえ妊婦が酒をかっくらって食事をするような時間ではないことは容易に想像がつく。

それに、たかが注文した物が出てこない程度で暴れるのであれば、(おそらく旦那もいたことだろう)子供が生まれたらどうするのか、と思う。
高知県警高知南署の上村和宏副署長は「不適切な対応だった」としつつ、「暴行した女性が妊婦だったため、(検挙などは)配慮した」と釈明しているが、私は彼の配慮は裏目に出るような気がしてならない。
そうした配慮を彼女はありがたがるどころか、彼女に対して、客(自分)にとって気に入らないことがあれば何をしてもいい、という誤ったメッセージを与えることになりかねないからだ。
もっとも、すでにそういう性癖を持っているとも言えなくはないがね。

それにも増して、近い将来、この夫婦から児童虐待や子殺しの事件が起こる可能性は相当に高いような気がする。
なぜかって?
子供がいつも親の期待通りに行動するわけないだろう。
それでムカついた、だとか、カッとしただとかで子殺しをするバカ親が何人いるのか。
そう考えれば「教訓」というものを彼女に与える意味でも少なくとも警察署に連れて行くことはすべきだっただろう。
それを高知県警高知南署員は、2時間も延々と時間を浪費した挙句、殴られた方に土下座を促し、さらに「酔客の車を運転して」家に送り届けたというのはどういう了見なのか。
それに、ドライバーが酒を飲むことに関しては厳しく罰せられるようになったのではなかったのか。
むしろ家に送り届けられるべきだったのは深夜3時に土下座させられた店長ら従業員の方ではないのか。

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弱腰警官:暴力酔客言いなり、従業員に土下座させる (2007.9.22 毎日新聞)

高知市の飲食店からの通報で駆け付けた高知県警高知南署員が、酔客が従業員に暴行するのを目撃しながら、騒ぎを収拾するため、酔客側が求めるままに従業員に土下座をさせていたことが22日、わかった。
同署幹部は24日に店に謝罪する。
上村和宏副署長は「不適切な対応だった」としつつ、「暴行した女性が妊婦だったため、(検挙などは)配慮した」と釈明している。
同署などによると、今月18日午前1時過ぎ、男女3人組の客が「注文した物が来ていない」などと皿を割るなどし騒いだ。
通報で駆け付けた同署員4人が、任意同行しようとしたところ、客の女が逆上し、女性従業員を平手で殴った。
同署員は客を店外に出すなどしたが、約2時間たっても客が店に土下座を求めるなど事態が収拾しないため、署員が「それで終わりにしましょう」と土下座を促し、店長ら従業員3人は客に土下座。
客の1人は酔っており、署員が客の車を運転し自宅まで届けたという。
上村副署長は「今後は店に対し、誠意を持って対応したい」と話している。【近藤諭】
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2007.07.22

公務員を目指すフリーター

読売新聞によると、「国家公務員中途採用者選考試験(再チャレンジ試験)」の申込者数が、採用予定152人に対し2万5000人を超える大人気となったそうだ。
受験者のターゲットに30代のフリーターを据えたとはいえ、これほどの人気になった裏側には民間企業、特に大企業が彼らをほとんど正規雇用しないという冷酷な現実があるのだろう。
1990年代、若手社員の採用を抑え、その分を非正規雇用を増やすことによって、バブル崩壊後の不況期を乗り切った企業は、その犠牲となった彼らにあまりに冷たいのではないだろうか。

ところで、業績が上向きになってきた企業が彼らを積極的に雇わない理由として、2005年10月4日号の週間SPAで、リクルートワークス研究所所長の大久保幸夫氏は、「景気の回復で人手が足りない企業が増えたが、誰でも彼でも採用するわけではない。企業にとって使えない人を採用することはゼロどころかかえってマイナス。会社の雰囲気を悪化させたり、損害をこうむらせたりするからだ。」と言っている。
また、「そもそも企業の人事は、1年以上のフリーター経験をキャリアのブランクとして見る。”雑用仕事に身を捧げ、成長が止まっている人”と考えられるからだ。20代という一番成長できる時期の多くをフリーターとして過ごしてしまった人などなおさらだ。」とも言う。

SPAの記事によれば、結果的に、フリーターは、社会人として当たり前のビジネスマナーや基本的なスキルがなく、大きな仕事の経験がないので責任感もないなど、どうしても「ないないづくし」の人材に見られるから正社員登用への道が狭き門となっているのだという。
もし、そうならば、「再チャレンジ」公務員試験に合格して採用された彼らを、金(税金)を払って雇う気分はどうなのかと聞きたい。
役所の場合は、正規職員でさえ使えないのが多いのだから元フリーターの方がマシとでも言えるのか。
確かに、私の経験で言っても「社会人として当たり前のビジネスマナーや基本的なスキルがなさそうなフリーター」は多い。
ただ、民間企業の中には彼らを書類選考の段階で門前払いしているところも多いのだ。
その結果が、この「国家公務員中途採用者選考試験(再チャレンジ試験)」の倍率だ。

小泉郵政選挙の直後に掲載された日刊ゲンダイの記事「官僚から東大法卒が消える日」は、今後の日本を示唆しているとも言える。(関連ブログ-官僚神話の崩壊に見るモチベーション理論 by 城繁幸)
私は必ずしも官僚を目指す東大法学部の学生が人間的にも優れているとは思わないが、少なくとも頭はいいだろう。
官僚を目指さなくなった東大生のみならず、近年では、財政破綻した夕張市役所や、不祥事が続き民営化が決まった社会保険庁、そして郵政公社からも続々と沈没船からネズミが逃げるような公務員の退職ラッシュが続いているという。

これを見て、チンタラ公務員が民営化された(激務になった)途端に辞め始めている、とか言う人がいるが、おそらく実態は違うだろう。
50代で退職後の生活設計が成り立つ人か、まだ市場価値の残る20代から辞めているのだ。
かつて民間企業で早期退職を募れば優秀な人間から辞めると言われたが、それが役所の世界でも起き始めているのだ。
まして今後、公務員の職歴などフリーター経験以下の扱いしかされないと思った若者が、先行きの暗い公務員になろうと思わないのは至極当然のことだ。

今回の試験で政府当局者は「これだけの倍率なら有能な人材を確保できる」という予測をしているが、もし、そうならなかったとき、今後、役所の前線窓口では、市民の怒号が今以上に増えることだろう。
なぜならば、「社会人として当たり前のビジネスマナーや基本的なスキルがない」職員がより増えることになるからだ。
彼らを教育しろって・・・
それが無理だと、大阪の人材コンサルティング会社のワイキューブは言っている。
大阪市内を走るタクシーに置いてあったこの会社のキャッチコピーは、「育たない人材は、どれだけ時間をかけたところで育ちません。その人材が”できる”かどうかは、採用段階で100%決まっているのです。」と・・・

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「再チャレンジ」公務員試験、152人枠に2万5千人応募 (2007.7.22 読売新聞)

政府が今年度から始めた「国家公務員中途採用者選考試験(再チャレンジ試験)」の申込者数が、採用予定152人に対し2万5000人を超える大人気となった。
再チャレンジ試験は、大学や高校卒業者の就職内定率が低迷した1990年代以降のいわゆる「就職氷河期」に、自分の意に反してフリーターになった人たちに新たな挑戦の機会を与える狙いで、受験資格を4月1日現在で29歳~39歳の人に限った。
難易度は高卒者を念頭においた国家公務員Ⅲ種試験と同程度で、行政事務、税務、刑務官、皇宮護衛官、入国警備官などの職種で採用を予定している。

9月に学科試験を行い、合格者をそれぞれの府省が面接した上で、11月に採用者を決定する。
7月上旬に申し込みを締め切った時点で、約2万5000人の応募があり、競争率は160倍を超える難関となった。人事院では、「もともと公務員希望だった人、今の職業に満足していない人など様々な動機が考えられる」と分析している。

今年度のⅢ種試験の申込者数は約1万7000人と昨年度比約2割減となるなど、若者の「公務員離れ」が懸念されている中、政府内には「これだけの倍率なら有能な人材を確保できる」(政府筋)と、公務員の人材確保策の観点から再チャレンジ試験に期待する声も出ている。

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官僚から東大法卒が消える日 (2005.9.2 日刊ゲンダイ)

■霞が関メルトダウン

霞が関の中央省庁は、選挙が終わるまで開店休業状態が続く。そんななか、各省庁の幹部が集まると決まって話題になるのが、来年度新規採用者のうち農水省が「東大法卒ゼロ」になるという情報である。
農水省といえば、霞が関では財務省と並ぶ東大法卒の牙城。
本省の局長以上8人のうち事務次官、有力局長、官房長など6人が東大法卒だ(7月現在)。
同省は、かねて東大法卒生からの人気が高く、国家公務員Ⅰ種試験トップ合格者とか、「田んぼを見たことがない」というガリ勉タイプなどがこぞって入省したものだ。
それがゼロというのだから、農水省関係者が「歴史的事件」と驚くのも無理はない。

もっとも、これは農水省だけの話じゃない。
宮沢内閣の頃、「事務系キャリアから東大法卒の割合を5割以下にせよ」と、官房長官だった加藤紘一が厳命したのがウソのようだ。
「ここ数年、どの省庁でも東大法卒の割合は3割前後にまで低下しています。この流れは年々加速しています」(関係者)

最大の理由は、学生の間でも「官僚神話」が完全に崩壊したこと。
10年ほど前、Ⅰ種試験の面接会場で東大法学部の受験者10人ほどの話を聞いたとき、彼らは志望理由を「カッコいい」「尊敬されるから」「試験が難しい」などと言っていた。
ところが最近は、「官僚=ダサイ」のイメージが定着してしまったようだ。
代わりに司法(弁護士、検事、裁判官)が人気になり、優秀な人材は外資系、ベンチャー企業に流れていく。

さて、当の官僚たちはどう思っているのか。
局長クラス数人に尋ねたところ、農水省の「東大法卒ゼロ」に驚きながらも、おしなべて「当然」と答えた。
さらに全員が「いま私が学生なら、官僚を志望しないでしょうね」と言うのである。
テクノクラート集団などと呼ばれ、東大法卒が支配してきた霞が関は急速に変貌(へんぼう)している。
「並の組織」になる霞が関がこれからの日本社会において、どのような役割を果たしていくのか。
それを決めるのは「政治」である。
官僚たちが霞が関改革を最大争点にみているのは間違いない。【生田忠秀】
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2007.06.26

10年遅い日本の観光庁構想

今でこそインターネットが発達によって旅行情報の収集も楽になったが、私が海外旅行に行き始めた1990年代、外国の観光情報を収集するには「地球の歩き方」というガイドブックを買い、そして東京都内にある政府観光局に資料を請求し、あるいは集めて歩くことだった。
そして、外国旅行中に、ふと思ったことがある。
外国に日本大使館や領事館はあっても観光庁(局)って見ないな、と。

一応、日本にも訪日外国人に対するサービス機関として国際観光振興機構(JNTO/Japan National Tourist Organization)というのがあり、海外13ヶ所に事務所があるらしいが、私の目から見ても日本の観光政策は影が薄い。
JNTOの目標ともなっている「2010年までに訪日外国人旅行者数を今の年間500万人から倍増させる」と言っているが、それでも観光立国と呼ばれる国々にはほど遠いらしい。
私に言わせれば、少なくとも、ワールドカップ日韓大会の開催が決まった1996年5月末、本来ならその時点で外国人観光客の誘致を国の基本政策の1つに掲げるべきだっただろう。(2004年9月20日「今日の一言」
やはり、ワールドカップというのは世界的に注目を浴びるイベントの1つであり、そこで集まった外国人の何割かをリピーターにできれば相当インパクトがあるはずだからだ。

ところが、日韓ワールドカップが始まってもそこに来たサポーターに日本を旅してもらおう、なんて発想は官民ともになく、開催地とキャンプ地だけが盛り上がっていた状態だった。
そして、「お祭りが終わった1年後(2003年3月26日)」に飛び出したのがVisit Japan Campaignというわけだ。
誠にもってマヌケな話としか言いようがない。
例えてみれば、メインパーティでもったいぶって軽食しか出さずにいたくせに、皆が帰ってから慌ててメインディッシュの献立をするようなものだ。

そして、ようやく日本にも観光庁なるものができるかという感じで、観光行政に本腰を入れるらしいが、あまりにも歩みが遅いと言わざるを得ない。(観光庁-国交省、来年度予算で新設要求へ-担当部署を統合
今や世界の主要観光国は来訪する外国人にいかに自国に金を落としてもらえるか、という知恵比べの時代になっているからだ。
それが最高にうまくいっていると言われるモナコでは一部のフランス国籍の人を除き所得税がかからず、住民税もかからない。(モナコインフォメーション・ビジネス
要は世界の富裕層が落とす金によって住民が潤っているという図式だ。

一方の日本は、富裕層を外国に叩き出すような政策によって残された住民が塗炭の苦しみを味わっている。
せめてシンガポールの観光政策(2006年5月27日「今日の一言」)でも見習えばいいものを、何を考えているのか「将来的には他省庁の観光関係部門の再編・統合も検討する方向」とかいう体たらくだ。
第一、国会議員たるものが「観光庁設置の実現を求めて決議」でもないだろう。
お前らは労働組合員か?決議でなくて法制化がお前らの仕事ではないのか。
他国では大臣が音頭を取るところもある観光を、官僚の調整に委ねる日本。
これではせっかくの円安の追い風もポジティブに生かすことはできないであろう。

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2007.06.03

「宙に浮いた年金」、どうなっているんだ社会保険庁

宙に浮いた年金記録が5000万件などという数字に何の根拠があるのか政治家もマスコミも検証しないのか、というのはさておいて、朝日新聞(年金、入力ミス2割-都内の台帳対象に調査)によると、東京都下に限った調査だそうだが、社会保険庁のオンラインシステムで見つからなかった年金の記録が紙台帳では見つかったというのが約2割もあったそうだ。
社会保険庁で年金記録がオンライン化されたのは1988年(昭和63年)だそうだが、その移行期に紙台帳からの移し漏れがないかどうかをダブルチェックするのは、どんな仕事でも基本中の基本ではなかろうか。

おそらく、スタートの期日ありきで、そういう基本的なことをやらなかったのだろう。
2002年(平成14年)4月のみずほ銀行のシステムトラブルがあったときも、現場の最終チェックをという声を幹部が無視して顧客が大迷惑を被ったと言われるが、これもそれと同じ図式ではないか。
それに、1988年(昭和63年)当時なら今よりも役所も財政に余裕があっただろうし、市町村と連携して記録を整備しようと言う人が幹部にいなかったのか。
要するに、当時の社会保険庁の幹部は、それこそ怠慢というより刑務所へ行くべきレベルのミスを犯していると言っても過言ではないだろう。
それがノウノウと高額の退職金と年金を手にしているのだから国民はいっそうやり切れないと思う。

一方で私が思うに、完全にこれらがクリアされていても当時の制度からして宙に浮いた年金記録というのは多数存在したのは間違いない。
要するに、基礎年金制度導入前は、厚生年金と国民年金のデータが同一人かどうかチェックできるキーが、氏名と生年月日しかなく、それだけでもって同一人とは確定できないからだ。
つまり、厚生年金のデータには住所が入っていないからで、従って、本人からの申告がなければ、それまでとなる。
この問題が発覚して以降、「社会保険庁の調査でもってすべてをやれ」と政治家やマスコミは言うが、どう考えてもそれは不可能だ。
簡単に言えば、これについては社会保険庁だけを一方的に非難しても問題は解決しない。

ちなみに、社会保険庁の怠慢でなしに年金記録が宙に浮く典型的なケースはこういったものだと思う。

・受給資格が得られなかった人が加入していた年金
・1996年(平成8年)12月以前に厚生年金と国民年金の双方に加入したことがある人が、1997年(平成9年)1月の基礎年金番号制度導入により社会保険庁から送られてきた「基礎年金番号等照会(回答)について」という調査票に回答していない場合
・1971年(昭和46年)4月以降に生まれた人で、1991年(平成3年)4月以降の学生強制加入開始に伴い、親が代理で加入手続きした国民年金
・転職歴が多いサラリーマンの厚生年金
・給与などの事務がいい加減な会社に勤めたことのある人(氏名や生年月日の社会保険事務所への誤申告があり得る)
・主婦が独身時代に勤めた会社で加入した厚生年金
・主婦がアルバイト感覚でやった生保レディの経験者(厚生年金加入を知らない)
・短期滞在の外国人が日本出国時に脱退一時金をもらっていない場合

おそらく、社会保険庁としても紙台帳と電子データの再照合以外にできることは、基礎年金番号導入後にやったような、「複数の番号を持っている人は申告を、あるいは職歴や引越しの履歴を書いてくれ」というレベルの調査を再度するしか手がないだろう。
もはやこれは一つの役所の問題でないのだから、安倍首相が過去の役人の怠慢の責任を取らせ(これこそ時効をなくすべきだろう)、この調査のための人員を官民問わず早急に手当てすべきだろう。
少なくとも紙台帳と電子データの再照合は人海戦術以外に方法がないのだから。
そうしなければ、普通の国なら暴動が起きていても不思議ではないのだ。

さらに言うならば、こういう事態が発覚しなくても社会保険事務所の窓口は大混雑と聞く。
2002年(平成14年)3月までは市町村の窓口でもやっていた年金の仕事を社会保険事務所に一極集中させたのだから当然と言えば当然なのだが、恒常的に混雑しているということは絶対的に人手が足らないのであろう。
私は日本の政治家やマスコミは、なぜこれほどまでにフレキシビリティ(考え方の柔軟性)が欠けているのか、と思うときが多いが、一つの方向性、要は今の時世は人減らしの時代とか、が決まるとそれに従わないのは悪と決め付ける傾向が強い。
社会保険庁の不祥事で、不必要な備品を大量に買っていたというのがあったが、そんな無駄金を使うなら窓口スタッフの充実に振り向ければいいと思うのは私だけではあるまい。
要は不要な部署の人間や予算を必要な部署に振り向ければいいだけの話だが、マスコミがそんなことを言うのを私はほとんど見たことがないし、まして政治家が実行する気配もない。
もし、それが国民の声だというなら国民自身がバカなだけである。

ちなみに、朝日新聞の記事(年金はどう確認するか-名前の読み方誤登録に注意)にある「夫婦の場合は、配偶者の年金に入っていた場合があるので、2人分の略歴を作っておく。」というのは大嘘だ。
おそらく、国民年金の第3号被保険者のことを言っているのだろうが、「配偶者の年金に入る」制度ではないからだ。
正しく言うならば、「配偶者の転職による手続き漏れがあるかどうかの確認のために」だろう。
これで、また意味のない問い合わせの電話が増えれば、迷惑を被るのは国民なのだ。
かつての社会保険庁の幹部の怠慢は犯罪とも言うべきだが、マスコミが問い合わせ電話や社会保険事務所の窓口の混雑に輪をかけるような嘘を書くのもやめてもらいたいものだ。
日本人は新聞の言っていることが未だに「すべて」正しいと信じきっている人も多いのだから。
もっとも小泉内閣の「100年安心プラン」などと銘打った年金改革よりは信用できるけどね。

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2007.05.28

ZARDの坂井泉水さん死去

1990年代を通じて好きだったアーティストの1人、ZARDの坂井泉水さんが亡くなった。(2007.5.28 毎日新聞-ZARDの坂井泉水さん死去、病院のスロープから転落
思い起こせば、ZARDを知ったのは「揺れる想い」がヒットしたとき、それ以来、彼女がアルバムを出すごとに買って聞いていた。
まだ、わずか40歳、あまりにも早すぎる死であった。
しばらくは彼女のアルバムでも聞きながらご冥福を祈ることにしよう。

Zard_sakai_izumi

ふとした瞬間に視線がぶつかる
幸運(しあわせ)のときめき覚えているでしょ
パステルカラーの季節に恋した
あの日のように輝いている
あなたでいてね

負けないでもう少し
最後まで走り抜けて
どんなに離れてても
心はそばにいるわ
追いかけて遥かな夢を・・・

Go to Youtube

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2007.05.23

バイアグラは時差ボケに効くのか

海外旅行や出張など、特に横への移動があるときに悩まされるのが時差だ。
これを解消するために、飛行機に乗ったとたんに時計を現地時刻に合わせ、眠たくもないのに酒を飲んで無理やり寝たり、逆に映画など見て起きていたり・・・
それでも到着から2日ぐらいは時差ボケになるときもある。
最近では東南アジアへ行くことが多くなり、ほとんど時差を意識しなくてもよくなったが、かつて欧州方面によく行っていたときは時差ボケの解消は重要なテーマだった。

ところが、これをバイアグラ(Viagra)に含まれる成分であるシルデナフィル(sildenafil)で多少なりとも解消できるのでは、と発表したのがブエノスアイレスにあるキルメス国立大学(Quilmes National University)のディエゴ・ゴロンベック(Diego Golombek)氏のチームだ。(バイアグラは「時差ぼけ」に効くと、アルゼンチン研究)(Viagra reduces hamster 'jet lag'
彼らはバイアグラが、人間の体内にある環状グアノシン1リン酸(cGMP=cyclic guanosine monophosphate)と呼ばれる分子を増やすため、時差ボケに対して効果があると信じているようだ。
この難しいcGMPというのは、簡単に言えば勃起(ぼっき)を助ける効果があるらしい。
要するに、脳に一種の興奮状態を作り出して脳の中の体内時計を早く進めているというわけだ。
でも、そうやって人為的、かつ一時的に時差ボケを解消できたところで、その副作用はないのだろうか。
彼らは、薬を使うことに対しての副作用はない(No 'side effects')とは言っているが、仮に飛行機でニューヨークからパリへ(時差は6時間、ニューヨークが午前9時のときにパリは午後3時、ちなみに夏の間は東京は午後10時)着いたとして、パリの到着日は元気でも、何日かたって薬効が切れ、時差ボケが文字通り時間差でやってきたら何の意味もないと思うがいかがだろうか。

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2007.05.20

あほ~な奴らがキチガイをのさばらす

18日付の読売新聞(SAT隊員死亡「今回は不運・・・」、迫られる装備改善)は、警察庁幹部の話として、「防弾チョッキのわずかなすき間が命取りとなったことは、手足への銃撃は命にかかわらないため、任務の性質上、隊員も覚悟しているが、今回は不運としか言いようがなかった」と報じている。
何が不運なものか。
キチガイが銃撃しているのに対して反撃させなかったあほ~がいけないのではないか。
それが「不運」で終りでは、23歳の若さで殉職した愛知県警特殊急襲部隊(SAT)隊員の林一歩(かずほ)氏と遺族の方が可哀想というものだ。
これは、保身しか考えない警察幹部、何かと言うと「拳銃の使用がどうのこうの」というマスコミ、そして、一番のガンはキチガイの人権を守れという頭の腐ったあほ~による人災だ。

身近な危機から身を守る本」の著者、柘植久慶氏はこう言う。
「現代は殺され損の時代である。被害者の人権など何処かへ吹っ飛んで、加害者の人権だけが何かと問題にされる。悪徳と呼びたくなる人権派弁護士が介在し、事件を別の方向へと持っていってしまうのだ。だから自己の生命は誰も助けてくれないし、たとえ殺されても誰も面倒を見てくれない。殺されないためには各人がそれなりの準備をし、襲撃者をたたき伏せねばならないだろう。
過剰防衛などという理解に苦しむ法律が存在している。防衛であることは認めるが、やり過ぎだから罪に服せというわけだ。ところが、不意に襲撃されたとき、手加減しながら戦えるかと言いたい。適当にあしらって勝てることなど子供相手でない限り、まったく考えられないのである。正当防衛がほとんど認められないのがわが国の実情である。これが適用されるのは警察官の拳銃使用と一部の例外くらいだろう。過剰防衛などという、こんな法律はなくすべきだ。」

柘植氏は、「正当防衛が適用されるのは警察官の拳銃使用と一部の例外くらい」と言っているが、どうやらそれも怪しいものだ。
甲府市の会社員のケース(2006年5月20日「今日の一言」)や今回の事件を見る限り、日本では正当防衛は認められないと思った方がいいのかもしれない。
おそらく、今回の事件も現場は射殺もやむなしと思っていても、幹部連中が過去(瀬戸内シージャック事件)のトラウマで制止したのだろう。
それに、人質は元妻だったということから、犯人が射殺されれば、逆に警察を逆恨みして何を言うかわからないし、それに便乗した、あほ~なマスコミが「犯人を殺さなくてもよかったではないか」などと警察を吊るし上げることが容易に想像できる。
要するに、日本の国民が「暴力はどんなときもいけない」などという常軌を逸したメンタリティを払拭し、あほ~なヤツらのプロパガンダに染まらないようにしない限り、ますますキチガイが跳梁跋扈する世の中になるのだ。

いずれにせよ、犯人の銃撃で死傷者が出ても警察が応戦できないばかりか、いくら人質がいるとはいえ、投降してくれと土下座するなどというのは常識では全く考えられないことだ。(「弾100発ある」説得で土下座の警官撃つ・・・住民恐怖の夜
これが悪しき前例にならなければいいと思うのは私だけではあるまい。
ちなみに、この警察官の銃器使用が正当かどうかというのが、日本の場合、イラクに派遣されている自衛官にも適用される(2004年11月4日「今日の一言」)という非常識さだ。
装備を充実すればいいなんていうのはチャンチャラおかしいとは思わないのか。

日本ではこの正当防衛という概念が希薄なことが、どれほどの弊害をもたらしているのか、机上の空論を振りかざしているあほ~どもには理解できないのだろう。
政府は、18日、銃器対策で新たな施策を検討するプロジェクトチーム(PT)(内閣官房や警察庁、法務省など関係省庁の課長級で構成)を立ち上げた(「銃器犯罪は断じて許されない」政府が新たな対策検討へ)ようだが、この銃器対策を担当するトップは高市早苗・内閣府特命担当大臣なのだそうだ。
彼女がどれほど治安対策に精通しているかどうかわからないが、銃器問題というのは、沖縄及び北方対策、科学技術政策、イノベーション、少子化・男女共同参画、食品安全を所管する大臣の仕事なのだろうか。
国家公安委員会委員長でもある溝手顕正・内閣府特命担当大臣(防災担当)がやるべきだと安倍首相は考えないのだろうか。
それに彼女がPTに検討課題として指示したという

1.銃刀法の罰則強化など関係法令の見直し
2.銃器の密輸防止のための水際対策の一層の強化
3.学校教育での銃器対策教育のあり方

だが、学校で教える銃器対策って何を指すのか。
銃声の聞き分け方と身の伏せ方を教えるっていうのならいいのだけどね。

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2007.04.24

アメリカこそ究極のテロ国家ではないのか

イラクやイランに対しては「悪の枢軸」などというレッテルを貼って武力攻撃も辞さないアメリカも、一応民主主義国家の日本や韓国に対しては武力戦争をするわけにはいかない。
だからというわけではないだろうが、ムチャクチャな論理を振りかざし、狂牛病テロでも仕掛けようというのか。
私にはここまで汚染された牛肉をかたくなに輸出しようとするアメリカの真意が常識では理解できない。

かつては多くの東大法学部の学生がキャリア官僚を目指したものだが、昨年度、彼らの官僚離れを象徴するかのように、いち早く見切りをつけられたというのが農林水産省だ。
この官庁、日本の国民の「食の安全」を守るのが一つの仕事のはずだが、何と、かねてからBSE疑惑の絶えない米国産牛肉の輸入条件を「緩和」するらしい。
隣の韓国で米国産牛肉からダイオキシンが発見されたのはわずか半年足らず前というのにだ。

腐臭プンプンの松岡農相が何の弱みを握られてここまで屈辱的な外交をしているのか私にはわからないが、「海外日本食優良店調査・支援事業(海外日本食レストラン認証制度」なんていうくだらないお遊びにうつつを抜かしている時間と金があるならば、もっと違うことをやれと言いたい。(【宋文洲氏のコラム】聞くだけで食欲がなくなる「日本政府認証」寿司
この問題に関しては、2006年2月21日の「今日の一言」でも書いたが、「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書(Annual Reform Recommendations from the Government of the United States to the Government of Japan under the U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative)」には「米国政府は、日本国政府に対し本要望書を提出できることを喜ばしく思うと同時に、日本からの米国に対する改革要望を歓迎する。(The Government of the United States is pleased to present the reform recommendations to the Japanese Government and looks forward to receiving Japan's reform proposals to the United States.)」とあるのだから、日本政府も堂々と対米圧力をかけてやればいいのだ。

第一、アジア諸国に対しては、農水省が「食の安全」をご指導されるそうではないか。
それがなぜ狂牛肉を輸出しているアメリカには「何でオレたちの牛肉を信用しないのか」などと恫喝されなければならないのか。
これではまさに植民地政府、よく言ってアメリカ合衆国日本行政特別区(The goverment of the Japan Special Administrative Region (JPSAR) of the United States of America)ではないか。
そもそも食糧自給率の低い日本、それが従事者の高齢化でますます低下しているという。
このまま円安と原油高が定着し、日本が誇った外貨準備高も少なくなっていくようだと、将来の日本の国民の食生活はおぞましい結末を迎えることになるかもしれない。
まあ、もうなっているっていう人が多いような気もするけどね。

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牛肉輸入条件緩和で日米合意・・・米が食肉施設査察を受け入れ (2007.4.24 読売新聞)

日米両政府は24日、米国産牛肉の輸入条件緩和の前提として日本側が求めてきた米食肉施設への査察を、米国側が受け入れることなどで合意した。
松岡農相が24日、閣議後の記者会見で発表した。
27日の日米首脳会談で合意内容が確認される見通しだ。
日米の主張が鋭く対立し、手詰まり状態だった米国産牛肉問題は、打開に向けて一歩前進した。今回の合意により日米首脳会談で牛肉問題の対立が先鋭化する事態はひとまず回避された形だが、輸入条件緩和に対する日本国内の慎重論は強く、先行きは不透明だ。
米国側が査察を受け入れる一方で、日本側は輸入された米国産牛肉の梱包を原則的にすべて開封して調べている「全箱検査」について、米国側の求めに応じ終了する。
日本側は、月齢20か月以下で特定危険部位(SRM)の除去を求めている米国産牛肉の輸入条件について、見直す場合は査察を受け入れるよう求めていた。
これに対して米国側は査察を拒否し、国際基準にもとづいて輸入制限を即時撤廃するよう求めていた。
松岡農相によると、19、20日に行ったジョハンズ米農務長官との電話会談で、基本合意し、23日までに正式合意したという。
査察の実施時期などは今後、調整する。

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米産牛肉からダイオキシン、韓国で検出・韓国メディア (2006.12.21 日経新聞)

【ソウル=共同】 韓国の聯合ニュースによると、同国農林省は21日、今月1日に輸入、骨の一部が発見されたため検疫不合格とした米国産牛肉から、基準値を超えるダイオキシンが検出されたことを明らかにした。
同省は米国に対し原因究明を要求した。
米韓は自由貿易協定(FTA)締結に向けて交渉中だが難航しており、ダイオキシン検出が新たな障害となりそうだ。
ダイオキシンが検出された牛肉10.2トンは返送もしくは廃棄処分されており、市場には流通していない。
韓国政府による検査の結果、基準値の1グラム当たり5ピコグラムを超える6.1ピコグラムのダイオキシンを検出したという。
韓国は、米国で牛海綿状脳症(BSE)感染牛が見つかったことから2003年12月に輸入を禁止。
今年10月30日に米国産牛肉の輸入を再開したが、牛肉から骨片が見つかり、検疫不合格としていた。

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「食の安全」を指導、アジア各国向けに農水省 (2006.11.5 日経新聞)

農林水産省は2007年度から、アジア各国向けに食の安全に配慮した農作物の育て方や動植物の検疫方法を支援する制度を始める。
日本の食料自給率は40%と他の先進国に比べて低く、安全な食料を安定的に輸入することが重要。
輸入食料の安全性を高めるための体制整備を後押しする。
農水省は各国・地域に専門家を派遣し、農薬を減らすといった安全な農作物の栽培法などを指導する。
動植物の検疫では、各国で検疫に携わる人を招いてセミナーを開催したり、技術指導する。
日本は東南アジア諸国連合(ASEAN)などと経済連携協定(EPA)交渉を進めている。
各国との食料貿易がさらに増えることも予想され、食の安全確保の体制を強化する。

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2006.12.29

「ソフトは海外で発表しなさい」か・・・

ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を開発、インターネットで公開し、ゲームソフトなどの違法コピーを手助けしたとして、著作権法違反(公衆送信権の侵害)ほう助罪に問われた元東京大大学院助手金子勇被告(36)の判決公判が去る13日に京都地裁(氷室真裁判長)であった。

利用者の違法行為で、ファイル交換ソフトの開発者の刑事責任が問われるのは国内では初めてで、司法判断が注目されていた。
案の定、判決後の反響も大きく、著作権の侵害に頭を悩ますメーカー側は判決を歓迎する一方で、プログラマー側は、NPO法人「ソフトウェア技術者連盟」の木村耕一郎氏の「金子さんの逮捕以降、技術者たちは何を作ったら捕まるのかと不安で、多くのプログラマーが開発をやめた。判決でその傾向が強まる。日本のITの発展は止まるだろう。」という言葉に代表されるように、利用者の悪意による責任が開発者に及んだことに戦々恐々となっている。(2006.12.13 読売新聞 ソフト開発に影響?「技術者不安に」・・・ウィニー判決受け支援者ら憤り

確かに洋の東西を問わず、著作権の侵害に悩む企業や個人は数多い。
しかし、利用者の悪意による責任を開発者に負わせるといったことが正論だとすれば、今までの科学技術の進歩をすべて否定しなくてはならないことにもなる。
千葉県市川市のプログラマー、佐野義彰氏の言うように、「誰かが悪用すれば、開発者の罪になってしまうのでは、自由に作れなくなる」というのが真理となってしまうだろう。
判決を下した氷室真裁判長をはじめ京都地裁の判事はそこまで考えているのだろうか。
一審で有罪判決を受けた金子勇氏は控訴したようだが、高裁で判決はどのようになるのだろうか。

そして、情報社会に関する研究機関「国際大学グローバル・コミュニケーション・センター」(東京都)の客員研究員、山根信二さん(37)は「匿名化技術を研究しているが、法に触れないかどうか、不安を訴える学生も多く『ソフトは海外で発表しなさい』と言っている」らしい。
もし、この流れが加速するようなことがあれば、優秀な技術者はどんどん日本を離れることになるかもしれない。

私がネットサーフィンしていて偶然見つけたウェブサイト、Download videos from YouTube、これはYouTubeにアップロードされている動画を自分のパソコンにダウンロードするためのツールで該当URLをコピーするだけでいいものだが、何のためにわざわざそんなことをするかというと、著作権に問題のある動画が、管理者によって消される前に保存するためのものであろうか。
ファイルの拡張子はflvで保存されるので再生ソフトが必要だが、これはウェブ上(検索サイトで、拡張子 .flv と入れる)を探せば、無料ソフト(フリーウェア)が簡単に見つかる。

ちなみに、このツールだって解釈によっては、「動画などの違法コピーを手助けする」ことになる可能性は十分にある。
なぜならば、YouTubeには著作権に問題のあるファイルが大量にアップロードされており、つい最近、それらの削除が行なわれたばかりだからだ。
で、このウェブサイトを見て気づいたことはないだろうか。
作ったのはどうやら日本人、しかしながらウェブサイトに日本語は一文字もない。
偶然かもしれないが、今後はそういうことになっていくのだろうか。

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プログラマー戦々恐々 -誰かが悪用すれば罪に- (2006.12.14 読売新聞)

ウィニーは、サーバーを介さず個人パソコン間で情報をやりとりする「P2P(ピア・ツー・ピア)」の技術を応用、使用者が特定されにくい匿名性と情報伝達の効率性を兼ね備えたファイル交換ソフトだ。
開発された当時、「世界最先端の技術」(ソフトウェア技術者連盟)と絶賛された。

プログラマーとしての金子被告の評価は高い。
民間企業から東大大学院助手にスカウトされ、「スーパープログラマー」を育てる人材育成課程の講義を担当した。
それだけに、有罪判決はソフト開発業界に重くのしかかる。

プログラマーや金子被告の支援者らでつくる「ソフトウェア技術者連盟」の新井俊一理事長(28)は「米国のソフトウェア業界では、動画を共有するソフトが主流になってきているが、こうした技術発展が日本では不可能になってしまう」と危機感を募らせる。
千葉県市川市のプログラマー、佐野義彰さん(31)も「ソフトは、開発段階で多くのユーザーに提供し、声を聞きながら手を加え、完全版をつくるプロセスが主流。誰かが悪用すれば、開発者の罪になってしまうのでは、自由に作れなくなる」と訴える。

教育研究分野への影響も少なくない。
情報社会に関する研究機関「国際大学グローバル・コミュニケーション・センター」(東京都)の客員研究員、山根信二さん(37)は「匿名化技術を研究しているが、法に触れないかどうか、不安を訴える学生も多く『ソフトは海外で発表しなさい』と言っている」と言う。
「素晴らしいソフトを作った技術者が日本では罪に問われる。教師も自信を持って学生らを応援できなくなる」と、山根さんは心配する。
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2006.12.13

愚民どもを甘やかしたツケ

香港での連夜の忘年会の余韻も覚めやらぬうちに帰国した翌日の読売新聞の朝刊一面を見て私は驚いた。
図書館の本、傷だらけ・・・「切り抜き」「線引き」横行」という記事が社会面でなく、トップニュースを飾っていたからだ。
ついにこんな日が来たのかという思いだ。

公立図書館の蔵書の実態については2005年6月5日の「今日の一言」でも触れたテーマなので、今更驚かない。
しかし、「(世田谷区立図書館で)3年ほど前、館内で若い女性が最新号のファッション雑誌からヘアスタイルの写真をカッターで切り抜いていた。驚いて注意すると、女性は悪びれる様子もなく「どうしていけないんですか」と言い放ったという。」一節を読むに及んで、2003年1月21日に川崎市川崎区で本の万引きを見つかって逃亡中に電車に轢かれたクソ餓鬼を捕まえようとした店主を「人殺し」などと責めるキチガイ市民が横行したという記事を思い出した。(少年非行現場の群像-川崎市古書店万引き少年逃亡死

要は、公立図書館で雑誌の切り抜きを注意されて、「どうしていけないんですか」と居直ったようなバカが、さらに年齢を重ねると、川崎の書店主を責め立てたバカのようになるという見事なまでの愚民化の構図だ。
双方に言えるのは社会常識が欠如しているという甘いものではなく、生きている資格がないというレベルにまで堕ちているということだ。
さらに、こいつらが子どもを持つとどうなるか。
9年間、コンビニで見た日本人-悪魔のような日本人・天使のような日本人」の著者、徐明成氏は言う。
どうしようもない親の元ではどうしようもない子どもしか育たない。
コンビニで非常識な振る舞いをする子どもを見れば、親もだいたい想像がつく。
親に子どもがしている非常識な行為を注意すると「だから外人はダメなんだ、日本人ならそういうことはしない」と言われると・・・
もはや、これ以上私には何も言う気がしない。

識者の中には今の日本の状況を見て、「かつて日本は二度の国難から立ち直ったのだから、三度目も必ずできる」と言う人がいる。
しかしながら私は言っておきたい。
過去の二回は日本に世界に誇れる知性と良識を備えた国民が残っていた。
今やそういう人は少数派に転落している。
グレシャムの法則(Gresham's Law)にいう「悪貨は良貨を駆逐する(Bad money drives out good.)」という言葉は、今の日本に最も相応しい。

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2006.11.05

月12万円の手当がもらえるなら

2003年10月27日号のNewsweek "Lost in Translation(通訳に困った)"で、FBIが特に困っているのは、アラビア語やペルシャ語など中東地域の言語専門家で、アラビア語40人、ペルシャ語25人しかいなかった要員をそれぞれ200人と75人に増員したが、テロ情報に関して連日送られてくる盗聴テープなどを翻訳するにはさらに人手が必要、という記事が載っていたが、どうやら国防総省でも事情は同じらしい。
ただ、国防総省が、中東諸国の言語に加え、中国標準語(Chinese Mandarin)をと言っているところを見ると、戦略的に中国を仮想敵国としているとも言える。

こちらは国軍のため英語の話せる外国人(市民権を持つ人を除く)を雇うわけにはいかないだろうから、自前で育てようというわけだ。
ところで、その外国語習熟手当だが、最高で月1,000ドル(約12万円)がプラスしてもらえるらしい。
当然、ネイティブ並みにならないとそれだけもらうことはできないだろうが、そこまでいかなくとも習熟度に応じて手当が出るのだろうから外国語をやろうという動機付けにはなると思う。

日本では特に英語以外の専門家は不足しているし、官民問わずアジア諸国の言語を話せる人は必要なのだから、アメリカのこういった姿勢は日本も見習ったらどうなのだろうか。
特に中国語や韓国語は国防上も必要だし、アジア諸国の言語は司法・警察は言うに及ばず、ポストBRICsと言われるタイやベトナムの言葉は今後ビジネスでも使う機会は多くなるだろう。
とりあえず、こうした制度を自衛隊と警察から導入して、徐々に広げていくのがいいだろう。
また、そうした専門家を民間などから中途採用して処遇していくことも必要だ。

ちなみに、私が今の職場で中国語ができれば最高12万円の手当をプラスすると言われればやるだろう。
ところで、あなたはいくらだったらやる気になるだろうか?

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米軍人よ語学を磨け・・・国防総省が手当増額 (2006.5.12 読売新聞)

【ワシントン=五十嵐文】 米国防総省は10日、外国語を習熟した職員に対する手当を増額する、と発表した。国防総省は2月に発表した「4年ごとの国防計画の見直し」(QDR/Quadrennial Defense Review)で、対テロ戦争や軍事情勢の変化を踏まえ、アラビア語、ペルシャ語、中国語などに通じた要員を育成する必要性を指摘している。今回の手当増額は、こうした言語の習得を促進し、中東・アジア地域で活動できる幹部要員を養成するのが狙いだ。具体的には、これまで月額300ドルを限度にしていた外国語習熟手当を6月から最高額1000ドルに引き上げる。州兵・予備役には年間で最高6000ドルの賞与を支給する。

原文:DoD Increases Foreign Language Pay
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2006.09.24

2ちゃんねるは閉鎖すべきだ

私は「2ちゃんねる」や「Yahoo!掲示板」などをあまり見たことがない。
趣味の関係で興味のあるところを見たことはあるが、匿名であることをいいことに罵詈雑言が飛び交っているスレッド(主に政治、経済、時事問題)を見てからイヤになったからだ。
それでも中には表の情報として出てこない鋭い書き込みなども散見されるが、完全にイヤになったのは、例のイラク人質事件以降だ。
それこそ名誉棄損やプライバシー侵害のオンパレードだった。
政府の大衆心理操作(関連:日本のマスコミがアンタッチャブルな理由)に乗せられた者たちの、まるで「小泉シンパに非ずんば日本国民で非ず」みたいなサーバー・リンチ的な書き込みにうんざりしたからだ。
2ちゃんねる名誉毀損を起こした有道出人(Arudou Debito)氏に対する書き込みの発端も、おそらく日本人のやることに逆らう外国人は成敗すべきとの短絡的な感情から出たものだろう。
そういうものを見た私は今後はそうやるであろう政府の情報操作手法に言いようのない恐怖感を覚えたものだ。

ところで、その「2ちゃんねる」がどうやら管理人の責任放棄によって閉鎖されるといった見方も出ているようだ。
9月22日付『2ちゃんねるの「ひろゆき」失踪・・・掲示板閉鎖も』という夕刊フジの記事が正しいとすれば、社会正義の見地からも早急にウェブサイトを閉鎖し、管理人を民事だけでなく刑事(名誉毀損罪など)でも裁く必要があるだろう。
そうしなければ、野放しになっている掲示板で何がされるかわからないし、それにも増して、こんな状況下でさえ彼がノウノウと「ひろゆき日記@オープンSNS。」で失踪日記などと悪ふざけを書いて、何の咎めも受けずにいられたらそれこそマネをするヤツはもっと激増するのだ。

特に、『週刊誌で「払える余力があっても払わない。相手からすれば債権だけど、こちらにとっては義務じゃない」と持論を展開し、ビタ一文払っていない。』などという下りは損害賠償請求訴訟の意義のすべてが雲散霧消(うんさんむしょう)してしまうような発言だ。
おおよそ社会的に大きな存在となったウェブサイトの管理者の言うことではない。
それに加え、ほかの記事を見ても、もはや彼を裁くのに法律によってどうこうというより、「怨み屋本舗(テレビ東京系列で毎週金曜日の深夜に放映)」の世界だ。
一時は英字紙Japan Timesにも紹介されたほどの時代の寵児だったが、こうなってはネット世界の表舞台から消えてもらう以外の選択肢はないだろう。
そうしなければ、本当に総務省がネット検閲を始めることになるだろうから・・・

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2006.08.28

ネット検閲の始まりか?

私は2005年2月7日の「今日の一言」で総務省と経済産業省がタッグを組んで始めた「迷惑メール追放支援プロジェクト」なるものを酷評した。
実際、続報がないので、その政策がどの程度効を奏しているのかわからないが、たぶんほとんど実効性がなかったのだろう。
もしかすると単に会議を開いて報告書を出して終わったということも考えられるが、興味のある方は、総務省の政策評価-平成17年度、平成18年度の施策実施状況調書-「48. 情報通信利用の適正化、情報セキュリティ対策及び情報通信ネットワークの安全性・信頼性の向上」も見るといいだろう。
このプロジェクトのどの程度金がかかっているかわかるはずだ。

それで、このトンチンカンなIT政策の大元締めの総務省が今度は何を始めたのかと思ってみると、どうやら総務省の委託を受けた研究機関がネット情報の「ウソ発見器」なるものを開発するそうだ。
記事を読んでみて、よくもこれだけバカバカしいことを思いつくものだと思うとともに、将来的に日本は中国のように露骨な情報統制を始めるのかと背筋がゾッとするものがあった。
要するに彼らが言いたいのは、ネット情報も多くのアナログメディア情報と同じく政府が検閲しなければならない、ということだろう。
実際問題として、日本のメディア情報の多くは記者クラブを通した権力側の発表記事で埋められ、実質的に検閲されているに等しい。(マスコミがこのプロジェクトを批判していないことからもそれは証明できる)
その風潮の中で、ネット情報も実質的に権力側に不都合なものは「デマ」として排除したいらしい。

おそらく、ここでいう「デマ率」なるものは、ネット上で流れる多数意見が正しく、少数意見はデマということになるのだろう。
例えば中東情勢など、英米のメディア(APやロイターの通信社を含む)が言っていることは正しく、フリーのジャーナリストが言っていることはデマという判定がされることにもなるのだ。
それにも増してプログラムの裏を衝いた情報操作によっていくらでも真実がデマに、デマが真実になることになりかねない。
極めて乱暴かつ危険なことだ。

第一、現状でも英和、和英の機械翻訳でさえ極めて不正確なのに、全世界のウェブ情報を集めて翻訳し、それが正しいかまで機械が判定できるのだろうか。
それとも中国のネット検閲みたいに権力側に不都合なことだけ「デマ」表示(中国は対象サイトへのアクセス禁止)するつもりなのだろうか。
日本政府の役人は、中国や北朝鮮のように専制君主や単一政党による独裁政治が理想だと思っているだろうか。
それとも西側の自由主義国でこんなことを本気でするつもりなのだろうか。

そもそも、そういう情報リテラシーというものは人間が学習と経験によって身につけるものなのだが、日本では政府がそういうことを子ども(国民)に教えないで、機械によって判定したものを鵜呑みにさせようということらしい。
ちなみに、「この情報はデマ率95%ですが表示しますか」と言われた情報を発信した当人が情報があくまで真実であることはどこで証明するのだろうか。
こんなくだらないことに予算を使うならもっと違うことに使おうとは思わないのだろうか。

このバカバカしいプロジェクトは誰がどう見ても頓挫するだろう。
しかし、政府が意図するネット情報の検閲と国民に対する情報操作を目的とする政策は、奇麗事を羅列して毎年きちんと予算化されることだろう。
そして、これらの政策がこっそりと法案として提出されるとき、国民の目をそらすような大事件が起きるに違いない。

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ネット情報「ウソ発見器」 総務省が開発へ (2006.8.26 朝日新聞)

真偽が見極め難いさまざまな情報が乱れ飛ぶインターネット。その中で、ウソや間違いらしい情報を自動的に洗い出し、ネットの利便性を高めるシステムの開発に総務省が乗り出す。
ネット上にある関連深い別の情報を探し出し、比較参照することで、情報の「デマ率」などを示す。
研究機関と協力し、2010年までの開発を目指す。2007年度予算では、まず3億円を要求する。

ネット上の情報は、何人もの目で事前に校閲された出版物などに比べ、誤った内容が少なくない。
信頼性を確かめるには、利用者が他の情報と付き合わせるなどの作業を行うしか手がない。

総務省が構築を目指すシステムは、この選別をコンピューターで自動的にやらせるものだ。ネット情報のウソや間違いの「発見器」といえる。
完成すれば、ある情報のデマ率を調べたり、ネットで検索するときに信頼性のある順番に表示したりできるという。「この情報はデマ率95%ですが表示しますか」などという注意表示もできるようになる。

扱う対象は、株式情報から国際情勢の解説、商品情報などさまざま。「この企業分析は適切か」「レバノン内政のこの記述は自然か」「オークションに出品されているこの外国電化製品の性能表示は本当か」などの疑問に答えられるようにするのが目標。

開発の焦点は、インターネットのなかから信頼できる関連情報を見つけ出せるかどうかだ。そのために、知識を関連づけて書かれた内容の意味を正確に判定する技術や高度な自動翻訳技術などを編み出す必要がある。
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2006.08.20

「ストリップ」ポーカー大会

この記事を読んで私は野球拳の西欧版だと思った。
「ストリップ」ポーカー大会というのはアイルランドのブックメーカー、Paddy Powerがエイプリルフールでの思いつきを実行に移したらしい。

一方、日本の野球拳は、本来は愛媛県松山市に伝わる郷土芸能・宴会芸であるが、1969年に放映されたテレビのバラエティ番組「コント55号の裏番組をぶっとばせ!」の影響で、じゃんけんで負けた相手の服を脱がせるゲームとして広く知られており、お色気ゲームとしての認識がより一般的である。
今でも温泉などでコンパニオンを呼んでやるオヤジの夜の遊びとなっているが、西欧版は女性も一般参加のようだ。

ところで、西欧版の野球拳、気になる参加費は男性でも無料(Entry is free for all participants.)らしい。
優勝賞金は1万ポンド(約218万円)、今年が第1回と銘打っているからには、よほどクレームが来ない限りは来年予定通りに第2回目が開かれることだろう。
参加登録画面を開くと、100人ずつの男女の参加を求めており、CNNの記事が誤植でなければ、今年は10倍の2000人が集まったということだ。

どうだろう。
来年の海外旅行、往路は格安海外航空券、帰りはファーストクラスか豪華客船でのクルーズを夢見ては?
開催地は今年はロンドンだが、来年は?
ついでに日本の温泉地も開催地に立候補してみては?

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「ストリップ」ポーカー大会が誕生、負けたらタオル1枚 (2006.8.19 CNN Japan)

ロンドン-勝負で負けたプレーヤーが衣服を一枚ずつ脱ぐ、トランプのボーカーの第1回国際大会が19日、ロンドンで催される。優勝賞金は1万ポンド(約218万円)。全裸に追い込まれた場合、タオル1枚が与えられる。
アイルランドのブックメーカー(賭け屋)の主催。今年のエイプリルフールで欺すつもりで打ち上げた企画が強い関心を引き、「実際にやってみよう」と実現した。

世界12カ国の男女、最大で2000人が優勝トロフィー、賞金を目指し、脱ぐか脱がされるかの、体をはった勝負に挑む。
衣服は主催者が供給する5枚が限度。「ずるい真似は許さない」と述べている。
ロイター通信は、タオルのサイズには触れていない。

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April Fool's joke sparks strip poker championship (July 28, 2006 Reuters.co.uk)

DUBLIN (Reuters) - It started as an April Fool's joke but an Irish bookmaker's proposal to hold the world's biggest strip poker contest will become reality next month.
Paddy Power floated the idea as a joke but it generated so much interest -- and hundreds of requests to take part -- that the Dublin-based company decided to organise a contest.
So next month, 200 poker buffs will risk baring all in an attempt to become the first World Strip Poker Champion -- and earn a place in the Guinness Book of Records.
The winner will also receive a "Golden Fig Leaf" trophy plus 10,000 pounds in cash.
"This will be the most fun you can have with your clothes on -- or off!" Paddy Power said in a statement for the tournament, which will be held in London on August 19.

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2006.07.10

凶悪再犯者に終身刑を

一般の人は「無期懲役」というと、犯人はずっと刑務所にいるもの、つまり終身刑だと思っているだろう。
しかし、刑法に絶対終身刑はなく、刑務所で模範囚として振舞えば(改悛していると認められれば)無期懲役でも早ければ10年超で仮出獄(刑法第28条)が可能だ。
ちなみに有期懲役の場合、原則として最高刑は20年、加重されて30年、その3分の1を経過すれば仮出獄の条件の1つを満たすことになる。
要するに、刑務所にいる間だけ嘘の涙を流し、懺悔でもして看守を騙せばそうなる可能性もある。
人を殴り殺しておいて(傷害致死でも)数年で出所するヤツがいるというのはこういう仕組みによるものだ。

ストッキさん宅の放火事件で、殺人(刑法第199条)、現住建造物等放火(刑法第108条)などの罪に問われた竹山裕二(38)に宮崎地裁が判決を言い渡したのは2005年6月30日のこと。
現行法でもこれらの犯罪の最高刑は死刑なのだが、宮崎地検はストッキさんに「直接殺害に及んでいない」と説明し、無期懲役を求刑した。

彼は、公判中も再三の意見陳述で犯人が社会に出られない判決を望み、閉廷後も「裁判をやり直してほしい。竹山被告は刑務所を何回も出入りしている。人を殺してもまた社会に出る。死んだ妻と娘がかわいそうだ。この国の法システムはおかしい。」と怒りをあらわにしたという。
その怒りの矛先は最高刑である死刑を求刑しなかった検察と、求刑を超える判断をしようとしなかった裁判所の双方にあるのだろう。
もっとも今の司法を見ていると冤罪事件が起こる可能性も十分にあるので、安易に死刑を言い渡せば取り返しがつかない事態もあろう。
だからといって被害者感情からすれば、放火殺人まで犯した者が、十数年で出獄する可能性があるというのは許しがたいものがある。
そういう死刑と無期懲役の間を埋める終身刑、あるいは超長期、例えば外国のように懲役100年とかいう有期懲役を導入するわけにはいかないのだろうか。

ストッキさんは「凶悪再犯者に終身刑を」という趣旨で署名活動しながら全国を回っているという。
しかし、署名活動が効を奏して法務大臣に提出できたとしても、誰がどんな理由で終身刑の導入に反対しているのかというのが白日の下に晒されない限り、彼の運動は身を結ばないだろう。
地方新聞や大新聞の地方版で彼の署名行脚が時折報じられているが、重要なのは署名を集めた後の法務当局、あるいは国会議員の活動なのだ。
当然ながら世論の後押しをし、政治家を動かすのはメディアの仕事の1つだ。
メディアにはストッキさんの活動報告をするだけでなく、最後までしっかりと仕事をしてもらいたいものだ。

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放火で妻子失ったストッキさん 「凶悪再犯者に終身刑を」 (2006.7.8 読売新聞横浜版)

自宅を放火されて妻子を失ったイタリア雑貨輸入業ストッキ・アルベルトさん(50)(イタリア・スイス両国籍)が、仮釈放のない終身刑の創設を求める署名活動のため(神奈川)県内を訪れている。
放火犯の竹山裕二(筆者追記、原文は単に男)は窃盗罪などで7回も服役し、出所から2年後の2004年に、ストッキさん方に侵入して56万円を盗み、火を放った。妻の公子さん(当時46歳)と、次女の友里恵さん(同12歳)を失った。
男は無期懲役が確定している。

ストッキさんは、男が早ければ十数年後に仮釈放されることを知り、「死刑と無期懲役の差がありすぎる。凶悪な再犯者は二度と刑務所から出られないようにすべきだ」と友里恵さんが好きだったバイクにまたがり、制度改正を求める署名活動の旅に出た。
走行距離は5万6000キロに達し、4万5000人以上の署名を集めた。
8日まで、県内の教会や寺、学校などを訪ねて署名活動をする。
10万人分の署名を集め、法務大臣に提出するのが目標という。

来日31年目のストッキさんは、広島市安芸区の小学1年木下あいりちゃん(当時7歳)殺害事件など子供を狙った事件で無期懲役判決が出ていることを批判し、「夜でも戸締りの必要のなかった安全な日本をもう一度取り戻したい。これ以上自分のような犯罪被害者を増やしたくない」と訴えている。

署名活動の問い合わせは、ストッキさんのメールアドレス minervai@rhythm.ocn.ne.jp へ。
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2006.06.18

自国民の支援より米国支援かい

ブッシュ大統領が募るイラク支援費について、日本は予想通り、最大の拠出国であり、かつ完納だそうだ。
ほかの国はどうかというと、支援費の支払いを渋っているためにアメリカの政府高官が派遣されるとのこと。
おそらく、アメリカの独善的な論理で始めたイラク戦争に懐疑的な国は、きちんとした説明を受けてから払おうと(拒否するかもしれないが)いうごく当たり前の姿勢を示している。
要するに、アメリカが一方的にしている演説なんぞ信用していないわけだ。

ところが忠犬ポチくん小泉率いる日本は違う。
アメリカ様の言うことは地獄の果てまでもとばかりに15億ドル(約1800億円)も気前よく援助し、おまけにそれを当てにして、ハドリー大統領補佐官(国家安全保障問題担当)(Stephen J. Hadley, Assistant to the President for National Security Affairs = commonly referred to as the National Security Advisor)は今年の10月か11月に「新規の対イラク支援を各国から募る」とまで言っている。
小泉後継の新首相がどれだけ忠犬ポチぶりを発揮するかの試金石にしようという魂胆だろう。
ここでいう各国とは実質的に日本とアメリカに脅された数ヶ国だけかもしれないからだ。

本来なら自国民が苦しんでいるのだから、首相・外相は外国政府が何を言おうが「今までと違って、ない袖は振れない」と言えばいいのだ。
そうはしないで、金をばら撒いて来る首相・外相って誰の味方なのだ?
そんな奴らに増額となった納税通知が送られても拍手喝采している有権者が悪いのか?
それとも御用メディアを使って3大NO税者(低所得労働者・専業主婦・年金生活者)を騙して味方にした小泉の作戦勝ちか?(World Report - 破壊される国民生活 きっこのブログ-30億円に笑うオヤジと1万円に泣くお年寄り
たぶん、両方なのだろうな。

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イラク支援費、未払い100億ドルを米「督促」へ (2006.6.18 読売新聞)

【ワシントン=貞広貴志】米政府はイラクの社会資本整備など復興事業の進展を加速するため、対イラク支援を表明しながら実施していない国々に高官を送り、援助の「督促」に乗り出すことになった。

マリキ(Nouri Maliki)政府の発足で政治プロセスが完結し、ヨルダン人テロリスト、ザルカウィ(Abu Musab al-Zarqawi)容疑者の死亡で治安対策にも光明が見えてきたのを受け、経済復興をテコ入れしてイラクの自立に道筋をつける狙いだ。

ブッシュ大統領は17日のラジオ演説(President's Radio Address)で、「米国は、国際社会がイラクの成功のため関与するよう努力する。各国はすでに拠出の意図を表明した援助を実現して欲しい (America will help the Prime Minister engage the international community in Iraq's success. We will encourage other nations to fulfill the monetary pledges they have already made to help the new Iraqi government succeed.)」と訴えた。
近く財務省のキミット副長官(Robert M. Kimmitt, Deputy Secretary of the Treasury)らを欧州やアジア、中東に派遣し、援助の早期実施を求める。

国務省の3月末現在の集計によると、2003年の支援国会合で米国を除く各国が表明した援助総計135億ドルのうち、実際に払い込まれたのは35億ドルにとどまっている。

最大の拠出国・日本は15億ドルの無償協力について「完全に義務を果たした」(国務省)状況で、2位の英国も表明した額の大半をすでに拠出した。

対照的に、イラク戦争に反対の立場をとるスペインやフランスは低い実施率にとどまっている。
治安が悪く復興事業の前提条件が整わないことや、復興目的の援助が治安対策に転用されることへの懸念が理由として挙げられている。

ハドリー大統領補佐官(国家安全保障問題担当)(Stephen J. Hadley, Assistant to the President for National Security Affairs = commonly referred to as the National Security Advisor)は、表明済み援助の未払い問題を早期決着させた上で、10月か11月にも新規の対イラク支援を各国から募り、包括的な事業を盛り込んだ「国際契約」としてまとめる方針を明らかにした。

イラク復興での米国の負担度を減らし、国際社会全体による支援の形を整える思惑だ。
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2006.06.11

法律あっても正義なし(2)

私は2003年7月28日と、2005年8月19日の「今日の一言」で内部告発のことを取り上げた。
どうやら、今回のケースも「西宮冷蔵」の内部告発の時と同じ結末を招くような感じだ。
ただ、前回のときはそういった内部告発者を守る法律がなく、今回は公益通報者保護法があるという違いはあるものの、当事者にしてみれば不利益を受けていることに変わりない。

そもそも内閣府の公益通報者保護制度ウェブサイトを見る限り、解雇以外の不利益取扱い(公益通報者保護法第5条)の例として「自宅待機命令」は明白に禁止事項となっている。
それにもかかわらず、大阪トヨペット経営企画部は「自宅待機が法に抵触しないか弁護士と相談したが、問題はないと考えている」などとほざいている。
何がどう問題ないのか、新聞記者が問いただしたともどこにも載っていないし、会社側の追加コメントもないようだ。
それとも自宅待機命令の禁止は、単なる内閣府の例示であり、条文には「降格、減給その他不利益な取扱い」としか書かれていないので、会社側は問題ないとでも思ったのか。
もし、そんなことがまかり通るのであれば、解雇、降格、減給さえしなければ、告発者に圧力をかけて不利益処分は受けてませんとでも言わせれば、法律はすべて骨抜きではないか。

今後、この告発者が会社や情報を漏洩させた弁護士を訴えるかわからないが、やったとしても日本の司法の実態から言っても徒労に終わるだけだろう。
そして、今回のケースはまさに体制側の大衆心理操作の萎縮効果を狙ったケースの典型ともなるだろう。
要は、法律などあっても保護は受けられないというメッセージを第三者に伝えることになるのだから・・・

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内部告発社員に自宅待機を指示-大阪トヨペット (2006.6.3 朝日新聞)

トヨタ自動車系列の販売会社「大阪トヨペット」(大阪市福島区)の社員が、4月に施行された公益通報者保護法に基づいて設置された販売会社グループの通報窓口に、「販売手法に不正な点がある」と内部告発した直後、同社から自宅待機を指示されていたことがわかった。
窓口を務めた弁護士事務所から告発者の氏名が同社に伝わっていたという。
同法は自宅待機を含め、告発者への不利益な扱いを禁じている。

内部告発したのは、同社営業担当の40代の男性社員。
この社員が勤務する店で、別の社員が無断で知人らの氏名を使って売買契約書を偽造し、販売実績を水増ししているとして、4月5日、トヨタ自動車販売店協会が設けた「トヨタ販売店ヘルプライン」へ電話で情報提供した。

同協会が契約している東京都内の弁護士事務所が受け付けたが、社員は実名を名乗っていた。
翌6日、店の上司から電話があり、10日間の自宅待機を指示されたという。

大阪トヨペットによると、社員は告発の前日、同社幹部と面談し、販売実績の水増しについて相談。
弁護士に対しても自分の所属や氏名を会社に告げて詳細な調査をするよう望んだため、社内調査の過程で同僚らとのトラブルを避けるために待機を指示したとしている。

同社経営企画部は「自宅待機が法に抵触しないか弁護士と相談したが、問題はないと考えている」としている。
社員は「弁護士に実名は告げたが、通報制度は当然、匿名が前提で、実名が会社に伝わるとは思っていなかった。自宅待機は事実上の処分だ」と話している。
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(お知らせ)エッセイのコーナーに「日本のマスコミがアンタッチャブルな理由」を追加しました。興味があればご覧ください。

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2006.06.04

法律あっても正義なし(1)

私は昨日の「今日の一言」で「何より問題なのは今の日本では法律があっても正義がほとんど通じないし、非常識な人間がことさらのさばれる環境にあることだ。」と書いた。
それを実感できるような記事が3日の新聞に掲載されていた。
最近では商店などに「万引きは犯罪です」という表示を多く見かけるが、これは万引きが窃盗罪であることをいちいち強調して教えないといけないほど、日本人がバカになっているという証左のような気もするが、どうやらキセル(不正)乗車も詐欺罪であることを教えないといけないらしい。

さて、問題の記事だが、事の発端は客の一人がキセルを疑わせるような行為をしたことが原因だ。
一昔前までなら、キセルがばれたら、すいませんと言って罰金を払って終わりになったものだが、こいつの場合、キセルがばれそうになったものだから、駅員に暴言を浴びせたあげく唾まで吐いたらしい。
それにも増して、事件から2ヶ月もたってこれが記事になったということは、駅員に反撃された客が、逆恨みの極みで「東急電鉄の不祥事」が新聞に出てないとでもほざき続けて、明らかになったとも考えられるような内容だ。

ところで、「お客様は神様」教に染まりきった日本の異常なビジネス風土の元では、サービススタッフは暴言までは我慢しろと言われ、またそこまでは聞き流すだけの訓練を受けていることも多い。
しかし、唾を吐かれたり、殴られたりしてまで我慢できる人間は少ない。
そこまでされたら相手を平手打ちにするくらいは当たり前のことだ。
それで客が訴えるとか言ったら、逆に問答無用で詐欺罪と業務妨害罪で告訴してやればいいのだ。
駅構内では監視カメラも回していることだろうから、それを使えばいいだけのことだ。
所詮、小心者が「客という立場」を利用して虚勢を張っているだけのこと。
その場で捕まえて警察に突き出すのが最善の方法だったのかもしれないが、そうしなかったとしても、駅員の上司が当人を諭旨解雇するなんて論外で、誰が何を言おうとも「客がそういうこと(犯罪行為)をしたことがすべての原因」と突っぱねるのが筋だ。

JRの駅員に対する構内(校内ではない)暴力が吹き荒れていた2003年頃、JR東日本東京支社によれば、駅員に暴力を振るう年代は50代がほぼ毎年トップを占めたという。
かなりの割合が酔客と推定されるそうだが、その後にJR東日本が駅員に対する暴行は「直ちに告訴する」と言った途端激減したそうだ。
ここでも、聖路加国際病院精神科部長の大平健氏の言う、「大人(中高年)は、相手が弱い立場で反撃できないとみると、徹底的に攻撃する。ずるいんですよ。」との言葉が蘇る。

要するに、「金を払えば何をしてもいい」と思い上がっているバカに対しては「客扱い」しないという国際標準に沿うのが最善の方法だ。
それを、いつまでも「お客様は神様です」なんてやってバカを甘やかしていると、彼らを付け上がらせて、いろいろなところで奴らは害毒を撒き散らすことになる。
嘘だと思うなら「お客様は悪魔です」という本でも読んでみるといいだろう。
そもそも「お客様は神様です」という言葉は、故三波春雄氏が「自分がこうして生活していけるのも、お客様がお金を払ってくれるからです。」ということで発したと言われるが、彼がこの言葉を使った時代は日本人が世界に誇れるほどの礼節を持っていた時代だ。
だから彼の言葉はビジネス界の人間が肝に銘じるものとして受け入れられたのだが、今や、礼節どころか知性や一般常識さえ爪のアカほども持ち合わせてないバカが溢れ、自分で「オレ様は神(お客)様だ、神に逆らうのか?」などとほざいている時代だから、そういうバカは徹底分別されるという常識を作らなくてはいけない。

ちなみに、私はガイドブックやWEBに書いてあるショップの論評で、「○○にあるまじき、○○では考えられないサービス・接客態度だ」というコメントを掲載している人をほとんど信用しない。
なぜなら少なからず、こういうバカで、非常識な連中が店を批判しているに違いないからだ。
そうでない常識的でまともなクレームの場合、○○では考えられないとか、あるまじきなどという大上段に振りかぶった言葉は使わないからだ。

残念ながら東急電鉄はJALと違って私の通勤路線で毎日使わないといけないから書かせてもらう。
この事件で、タダでさえ発見率が少ないキセル乗車は当分摘発されないだろう。
場合によっては東急電鉄はキセル天国の汚名を着ることになるかもしれないし、他の鉄道会社へ被害が波及するかもしれない。
なぜなら、逆切れする客と、バカな上司に囲まれているリスクを考えると、今後、東急電鉄の駅員は無論のこと、他の鉄道会社の駅員も不正乗車の疑いがあっても、ただ見張っているフリをするだけで何もしようとはしないからだ。(今でさえそうかもしれないが)
もし、そうなったときの直接の原因は、マジメに仕事をすればバカを見るということを示した東急電鉄の幹部と、客なら何をしてもいい(処罰もされないし、社会的制裁も受けない)という暗黙のメッセージを伝えたマスコミにあるのだ。
最後に、「都立大学駅員の暴力報道に思う」としてSansyo Infoの「雑言文紙 奢楽世哀」のページにコラムがあった。
私は正論だと思うが、いかがだろうか。

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客につばかけられて殴打 東急が渋谷駅の駅員解雇 (2003.6.3 朝日新聞)

東急東横線渋谷駅(東京都渋谷区)の男性駅員(34)が客を殴ったとして、諭旨解雇されていたことが2日わかった。 東急電鉄によると、駅員は4月2日未明、切符を出さずに改札を通り過ぎた男性を呼び止め、事務室で事情を聴いた。この際、男性から暴言を浴びせられ、つばを吐きかけられたため、腹を立てて顔を殴ったという。男性にけがはなかった。同社は「暴力はあってはならない」として同月10日付で諭旨解雇した。
東急では2000年に都立大学駅の駅員が乗客に暴行してけがをさせ、懲戒解雇されている。東急は「つばをかけられたなどの事情を考慮して今回の処分を決めた」としている。
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2006.05.30

またまたやってくれたねFIFA

4年前の日韓ワールドカップのときはチケット販売で、そして今度はホテルだ。
もうFIFAはこうしたビジネスに関わらないで欲しいと思う。
両大会とも日本やドイツの企業が主導すれば、こんな醜態を晒すようなことはなかったのだ。
FIFAを見ているとビジネスを知らない役人が(実際に役所みたいに硬直していそうな感じだが)運営をやっているような不快感を覚えるのは私だけだろうか。

もしかしてイギリス人というのはこういうことに向いていないのだろうか、とも思う。
英米は同じようなビジネス風土で、トップエリートは優秀で高給取りだが、現場のスタッフは低賃金だし、それゆえ事務処理能力も今一つなんてことも聞く。
もし、そうだったら現場の待遇をもっと良くして、もう少しまともにやってもらいたいものだ。
って、日本もここ数年はこんな英米の真似をしてるような気がするんだけどね。

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独ホテルとまらぬ怒り FIFA 100万泊キャンセル (2006.5.28 産経新聞)

【ベルリン=黒沢潤】 6月9日に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)ドイツ大会を直前に控え、国際サッカー連盟(FIFA)の関連会社がW杯関係者向けの宿泊予約を50%以上もキャンセルし、ドイツのホテル業界が”悲鳴”を上げている。手数料発生前とはいえ、その数は100万泊以上にも上る。祭典を控えた高級ホテルに大打撃を与えている。

独メディアによると、ホテルを斡旋(あっせん)するFIFA関連会社「WCAS (World Cup Accommodation Services)」は大会スポンサーやVIP、各国チーム向けに数年前から200万泊分を予約。
しかし、思うように注文が取れず、5月上旬までに100万泊分以上のキャンセルを通告した。

深刻な打撃を受けているのは、ホテル計76カ所8,000室のうち、62%の5,000室がキャンセルとなったベルリンだ。
アインシュタインやトーマス・マン、マレーネ・ディートリヒら著名人が投宿し東西ドイツ統一の”象徴”であるブランデンブルク門近くに位置する最高級ホテル「アドロン・ケンピンスキー(Adlon Kempinski)」まで、”犠牲”となった。

四つ星ホテル「エストレル(Estrel)」(全1,125室)の場合、半数近くの予約のうち60%がキャンセルに。
ホテル側は「注文を思うように取れないのなら、WCASは、その旨を事前に知らせるべきだった」(支配人)と怒り心頭だ。
同ホテルの6月の利用率は通常68%だが、キャンセルの影響で50%以下に低迷。
W杯期間中は「サッカーショー・イレブン」と銘打ち、特別割引キャンペーンをせざるを得ない状況だ。

一方、予約160室のうち数10室をキャンセルされた「シュタイゲンベルガー(Steigenberger)」は、「空室を埋めるために値下げをすれば、事前に(高額で)予約した別の顧客に失礼になる」(支配人)として値下げはしない方針。

ドイツでは毎年6月、会議やイベントがめじろ押しで、ホテル利用率は他の季節に比べて高い。
だが今年はW杯が開催されるため予約は不可能と思われ、一般の予約は多くなかった。

WCASは本社所在地も不明で、独紙は「FIFA関連会社」としているが、英紙フィナンシャル・タイムズは「FIFAそのもの」との表現で批判している。

ベルリンの旅行マーケティング会社「BTM (Berlin Tourismus Marketing)」は世界各地にホテル利用を呼びかけているが、W杯開催前にどれだけ回復できるか未知数だ。

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German hotel industry cries foul over Fifa room-booking (Financial Times May 18, 2006)

Finding a hotel room in during the Word Cup will not be as hard as one might imagine. It turns out that Fifa, football's governing body, massively overbooked the number of rooms it needed for the tournament and has now returned them to livid German hotel industry.

The organisation had initially reserved 2m room nights at hotels across with the aim of selling them to sponsors, dignitaries, teams and fans.

But with under a month to the tournament's opening, Fifa has sold less than 1m room nights and returned the rest back to hotel operators. The move has left German hoteliers with a mountain of unsold rooms only weeks before the biggest event in the history of the country's tourism industry.

The return or the rooms is also likely to dismay football fans who did not try to buy match tickets because of concerns about the available hotel accommodation.

"World Cup fans and regular leisure and business travellers will be able to find rooms across throughout June," said a spokesperson for the Inter Continental Hotels Group, which operates the Crown Plaza and
Holiday Inn brands.

The group, which has 64 properties in, said: "Football fans may have missed out thinking was sold out this summer, which is disappointing. But if they can get tickets they should be able to get rooms."

One hotel operator, which declined to be named, said: "The World Cup could suffer from 'sold out syndrome' where people don't even try to go because they think they won't be able to find a hotel. This is simply not the case."

"Fifa has let the German hotel industry down badly. We've seen this before at the Athens and Barcelona Olympics and hope that by the time the Olympics come to London (in 2012) better systems are in place to ensure the best deals for visiting fans and tourists."

Fifa said the rooms have been returned because the body would have incurred a fee from the beginning of May for the stock it had failed to sell.

It said the return of unsold room stock was normal for big sporting events such as the World Cup and the Olympic Games. "At some point you have to give back the room quota that you don't need."

Kevin Miles, international coordinator of the Football Supporters' Federation, said Fifa had block-blocked the rooms to prevent operators from raising prices during the tournament. But he added: "No one knew how to get the rooms from Fifa. Whatever Fifa's intention was, it clearly hasn't worked."

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2006.05.26

無理なノルマは不正を生む

最近になって相次いで官民の不祥事が報道されている。
1つは社会保険庁、こちらはもはや解体しかない、とお怒りの方々も多いだろう。
もう1つは損害保険ジャパン(8755)、こちらも2002年7月に安田火災海上保険と日産火災海上保険が合併して発足以来、今回で早くも3回目の業務改善命令を受けたことになる。
ちなみに現在の社会保険庁長官は、損害保険ジャパンの営業畑出身の村瀬清司氏だ。

これらの不祥事に共通しているのは、目標(ノルマ)設定が著しく現実と乖離し、尋常では達成不能なレベルであったことだ。
社会保険庁では国民年金保険料の免除や猶予申請の書類を自作し、損保ジャパンは、顧客の保険料を営業マンが立て替えたり、保険金の不払い行為をしなければならないほど、現場が追い詰められていたということを示唆している。
これらを単に現場スタッフが不正をしたことの責任だけ追求しても問題は解決しないだろう。

実際に、昨日付けの読売新聞社説は、「社会保険庁、ぬるま湯体質のあきれた不正」として

「社会保険庁職員の行為は結局、自分の業務成績のためだ。保険料の納付率を引き上げるために、未納者からの徴収に努力するのではなく、不正免除によって、手っ取り早く納付義務がある人の数を減らしたのである。姑息(こそく)と言うしかない。社会保険庁職員には民間から村瀬清司長官が乗り込み、保険料の納付率を80%に回復させるとの目標を掲げた。だが、いまだに60%台半ばにとどまっているため、長官は全国の職員に、納付率向上を強く号令している。目標に向けて厳しく取り組む村瀬長官の姿勢は、民間なら当然のことだ。問題は、安直な手段で成績を上げようとする社会保険庁職員の、ぬるま湯体質にある。長官は、一層厳しく職員に意識改革を迫るべきだろう。」

と書いている。
この社説自体は、一見すると正論ではあるが、根本的な問題として、村瀬長官の掲げる目標は、社会保険庁の職員が頭を下げ、納めてください、と未納者の自宅を訪問し続ければ達成できるレベルなのだろうか。
民間の保険や年金は、営業マンの口車に乗ったか乗らないかは置いておいて、自分で入りたいから手続きを取るものだ。
ところが、国民年金は20歳になれば、「加入したくなくても」強制的に加入させられてしまうものだ。
つまり、この中にいる確信的加入拒否層は納付の意思がそもそも芽生えるはずがない。
財産の差し押さえという法的強制手段はあるが、今回の不祥事の焦点である保険料の免除申請が可能な「財産が少ない、あるいは無資力の人」に対してはほとんど効力がない。
それを差し引いて計算を始めなければ目標自体が達成不能な夢物語でしかなくなるのだ。

おまけに、将来払った分に見合った年金額を貰えないかもしれないという不安や、今でさえ満額貰ってもとうてい生活できないという現実から、支払いをしなくなる者も多いという。
確かに社会保険庁関連の腐敗のニュースはおぞましいものがあり、バカバカしくて払ってられるか、と怒っている人もいるだろうが、少子化の加速で年金制度自体が破綻をきたしているのが鮮明になってきている上、国民年金の加入義務者は、小泉改革でより経済的弱者に転落させられた人たちも多い。
彼らは、目の前の生活が手一杯で、たとえ国民年金保険料の免除や納付の猶予をしてもらえる可能性があっても、役所へ書類を出す気力自体が失せてしまっていることも考えられる。
これらを総合して考えれば、納付率80%なんていう数字がいかに無謀かというのがわかる。

もはや現行の年金制度自体が維持できる状態ではないのだから、こういうときこそ政治が確固たる方向性を示して制度を改革すべきなのに、昨年夏の総選挙では、小泉自民党が争点とするのさえ放棄し、おまけにマスコミのバカげた報道姿勢がそれに輪をかけてしまった。
その中で実現不可能とも言える目標を達成せよと言われれば、そこに作為(不正)が生じるのは、「官民問わず」あり得ることだ。

読売新聞は「社会保険庁職員の行為は結局、自分の業務成績のためだ。」などと断罪しているが、そもそも民間並みに役所にも成績主義を導入せよ、と言ってきたのは誰なのか。
成績主義を導入した職場で、「自分の業務成績のため」に働くのは(不正は許されることではないが)当たり前のことではないか。
民間会社では、それが時として無理なノルマ達成を強いることになり、不正や数字の操作が行なわれることの弊害はかねてより指摘されていたことだ。
現に、保険料の違法な立て替え払いや、保険金の不払いが多数発覚した損害保険大手の損保ジャパンは金融庁から通算3回目の業務改善命令を受けた。
つまり過去2回の教訓は何も生かされてなかったと言えるだろう。
その民間の悪いところと、役所の悪いところが結合して生まれたのが今回の社会保険庁の不祥事とも言える。

最後に、「問題は、安直な手段で成績を上げようとする社会保険庁職員の、ぬるま湯体質にある。」と読売新聞は言うが、ぬるま湯体質だったら成績や結果なんかどうでもいい、ということになるのではないのか。
何でも「ぬるま湯」という言葉を使えば役所批判が完結するという、それこそマスコミの安易な報道姿勢だ。
そもそも、これは単なる役所の職員の不祥事と捉えず、根本的な問題がどこにあるのかを論じなければ意味がない。
おそらく、この問題は、現場スタッフが意識改革をしただけ(しないよりマシだが)ではなくならないだろう。
それは、今回のことに限らず、民間の生保・損保業界にたびたび起こる不祥事を見てもわかる。

根本的な原因は「トップが現場の実情を知らない(知ろうとしない)で無理難題を要求する」ことにあるのだ。
ノルマ達成に向けたメールを送ったことが営業現場への強いプレッシャーと指摘された平野浩志社長は「もっと社員の声を聞き、現場を把握すべきだった」と悔やんでみせたというが、所詮口先だけで、そんなことは心の片隅にも思ってないのだ。
別の大手損保幹部が毎日新聞のインタビューに対し、問題となった損害保険ジャパンの営業手法は、「前身の安田火災海上保険時代から続く社風」と言ったらしいが、そういう社風で育った2人のトップが同時に不祥事に見舞われたのは決して偶然などではない。
無理な目標であっても達成できなければ、成績が下がり給与や昇進に跳ね返ると思えば、いつかは不正をしてでも、となるのは想像に難くないからだ。
そして、最終的に実害を被るのは一般消費者(保険・年金の加入者)であることはいつの時代でも変わらないのだ。

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2006.04.22

オーストラリア政府は累積債務解消へ

オーストラリアのコステロ財務相(Treasurer Peter Costello)が累積債務に苦しむ各国政府には夢のような「債務なしの日("It is the day we pay off the mortgage.")」を宣言したことがニュースにあった。

オーストラリアは資源大国であり、それがここ数年の経済の活況を生んでいることも事実だが、日本から見れば「わずか8兆円余りの債務」を解消するにも10年の年月がかかっていることを考えれば、日本が庶民を叩きのめすハイパーインフレなしに累積債務を解消することは不可能であるように思える。

日本がどの程度債務があるかと言えば、財部誠一氏の「借金時計」というサイトを見る限り、天文学的な数字である。
当然ながら政府の上層部はこれを熟知しているだろうし、もはやそれを地道に解消することなどとうの昔に放棄しているとしか思えないようなことを平気でし続けている。

野村総合研究所(NRI)が掲載した2001年5月号のNRIオピニオンの中で「イタリアに学ぶ財政再建」というものがある。
記事としては古いかもしれないが、かつては日本と同じような巨額の財政赤字があった国の例として、今でも参考になるところはあるだろう。

本来であれば、こうした実情とナマの声を自国の政策に生かすのが「海外視察」の目的であったのだが、残念ながら日本の(国も地方も)議員がやってきたことは「視察団公害」と揶揄された物見遊山だけだった。
今でさえ、やっていることはこれらの成功例から学ぶことではなく、アメリカ型の市場原理主義をただ闇雲に真似ているだけだ。
それでもうまくいっているならいい。
しかし、実際は庶民だけがビジョンなき未来に向けて陰気な競争をさせられているだけだ。

かつての日本は国民全体の士気が高かったことが奇跡と言われた経済成長を生んだ。
今やその士気が完全に堕ちている。
その原因の多くは、1980年代のバブル時代以降の破廉恥なエスタブリッシュメントにある。
要は末端の人間にだけ競争と責任を押し付け、自らはぬくぬくとして破格の給与と退職金をもらって何の責任も取らずに食い逃げした連中だ。
1990年代以降、末端で芽生えた「誰がこんな奴らの(尻ぬぐいの)ために働くか」という気持ちが、今や社会全体を覆っているとすれば日本の将来は暗黒と言わざるを得ない。

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豪政府が30年ぶり債務解消-資産売却や好調な経済で (2006.4.21 共同通信)

【シドニー21日共同】 オーストラリア政府は累積債務を約30年ぶりに解消し、コステロ財務相が21日、「債務なしの日("It is the day we pay off the mortgage."」と宣言した。
政府の累積債務は1976-77会計年度から生じ、保守連合(自由党と国民党)のハワード政権が労働党から政権を奪還した1996年には過去最大の約960億豪ドル(約8兆3500億円)に上っていた。
ハワード政権は通信大手テルストラの株式などの資産売却で得た461億豪ドルを債務償還に充てたほか、好調な経済などにより、ほとんどの会計年度で財政黒字を達成、累積債務を減らしてきた。
2005-2006年度は115億豪ドルの黒字となる見通し。

英字記事
Govt eliminates net debt (April 20, 2006 News.com.au)
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2006.03.15

新聞人さんたち、何か勘違いしてないか?

日本新聞協会公正取引委員会に対し、独占禁止法第2条第9項に基づいて新聞の全国同一価格での販売などを定めた「特殊指定」(平成11年7月21日公正取引委員会告示第九号)を続けてくれと言っているらしい。

彼らの言い分だと、報道の自由は、同一紙同一価格で戸別配達により提供されることによって実現される、とのことだが、読んでいてバカバカしいと思うのは私だけではあるまい。
これだと世界中で報道の自由が保障されているのは日本だけであると言っているのに等しい。
それに戸別配達制度が崩壊すると、多様な新聞を読者が選択できなくなる、とまで言われては呆れてモノを言う気にもならない。

新聞の果たす役割はますます大きくなっているが、公の側からそれを果たしにくくする動きが出てきている、とも言うが、排他的な記者クラブに安住し、政府や企業の記者会見を単なるご意見拝聴会にしているのは自分たちであるという自覚もないようだ。
国民の「知る権利」に寄与しているなど、おこがましいにも程がある。
日本のメディアは、憲法で言論の自由があるのにもかかわらず、それを放棄し、政府や企業の広報紙に成り下がっていることは良識ある国民なら誰しも知っている。

国民には過酷な競争を耐え抜くべし、と言いながら自分たちはガチガチの新規参入規制と護送船団方式の経営に安住する権利があるなどと良く言ったものだ。
「特殊指定の改廃は、結果として一部読者の切り捨てにもつながる」といかにも過疎地の弱者に配慮したかのような言い方をしているが、政府の東京一極集中の政策を批判しないことからも、そんなことは全く考えていないことは火を見るよりも明らかだ。
一時期、ホリエモンがその規制業界に参入しようとしたとき、喝采を浴びたのはなぜか考えてみるといい。
確かにホリエモンは今や経済事犯として裁かれようとしているが、もっと悪い奴をのさばらしている原因の一つは、まともな報道をしない新聞人や広告業界、テレビ業界などメディアの人間にも大いにあるのだ。

お前ら恥を知れ!と言いたい。

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新聞の「特殊指定」堅持を・・・新聞協会が特別決議 (2006.3.15 読売新聞)

日本新聞協会は15日、第83回会員総会を開き、独占禁止法に基づいて新聞の全国同一価格での販売などを定めた「特殊指定」について、公正取引委員会が撤廃を含めた見直しを検討している問題で、「公取委に対し、特殊指定の堅持を強く求める」とした特別決議を全会一致で採択した。

特別決議は、新聞の使命を「憲法21条で保障された報道の自由を担い、国民の知る権利に寄与するもの」と強調し、「公正な競争を通じ、同一紙同一価格で戸別配達により提供されることによって実現される」と指摘した。
そのうえで、特殊指定の撤廃は「戸別配達網を崩壊に向かわせ、多様な新聞を選択できるという読者・国民の機会均等を失わせる」と訴えている。

会員総会後、記者会見した北村正任会長(毎日新聞社長)は「新聞の果たす役割はますます大きくなっているが、公の側からそれを果たしにくくする動きが出てきている」と公取委の姿勢を批判した。
同席した秋山耿太郎再販対策特別委員長(朝日新聞社長)も「特殊指定の廃止は(独禁法が定める新聞の)再販売価格維持(再販)制度を骨抜きにする」と指摘した。

また、新聞販売店の全国的組織である日本新聞販売協会(中畦光行会長)も同日、「多くの読者が戸別配達制度の継続を望んでいる。特殊指定の改廃は、結果として一部読者の切り捨てにもつながる」との会長談話を発表した。

◆決議全文◆

日本新聞協会は第83回会員総会にあたり、公正取引委員会に対し、新聞特殊指定の堅持を強く求める。

新聞は、憲法21条によって保障された報道の自由を担い、国民の「知る権利」に寄与するものである。
こうした使命は、自由で多様な新聞がつくられるだけでなく、公正な競争を通じ、住む場所を問わず、また災害など困難な状況下でも、同一紙同一価格で戸別配達により提供されることによって実現される。

新聞販売店による定価割引の禁止を定めた特殊指定は再販制度と一体であり、その見直しは再販制度を骨抜きにする。
販売店の価格競争は配達区域を混乱させ、戸別配達網を崩壊に向かわせる。その結果、多様な新聞を選択できるという読者・国民の機会均等を失わせることにつながる。

昨年7月施行の文字・活字文化振興法は、すべての国民が等しく文字・活字文化の恵沢を享受できる環境の整備を国に義務付けている。
公正取引委員会による特殊指定の見直しは、こうした時代の要請にも逆行している。
われわれ新聞人は、公正な競争に一層力を入れ、特殊指定の維持に向け活動を強化していく。
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2006.02.26

ニッポンは好感度世界一?

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トリノで行なわれている冬期オリンピックの女子フィギュアスケートで金メダルを取った荒川静香選手が現地のメディアで絶賛されているようだ。

私はエキシビションしか見てないのだが、それだけでも十分に良かった。
おそらく観客の多くも東洋から来た舞姫が美しく華やかに踊る姿に拍手したことであろう。

こうして日本のスポーツ選手が世界で称賛されることはたびたびあるようだが、今月はほとんど報じられることのなかった「いいニュース」がもう一本ある。

それは、国際世論調査機関グローブスキャン(GlobeScan)が、BBCの依頼を受け、米メリーランド大(University of Maryland)と昨年10月から今年1月にかけ、世界33ヶ国、約4万人を対象に実施された世論調査(poll)によると、日本は33ヶ国の中で最も好感度(positive influence)が高かったと報じられたことだ。

当のBBCはインドのことと、イランのことを大々的に報じているために、日本のことは単純に"Japan is most widely seen to have a positive influence."としか報じていないが、世論調査を行なったグローブスキャン(GlobeScan)が、BBC Poll: Attitudes towards Countriesという記事と、産経新聞が社説で詳しく報じている。

単純に言えば、世界に好影響を与えていると一番に評価された国は日本であり、日本が中韓両国の言う「アジア人民の感情を傷つけている」というのは一面でしかなく、インドネシアやフィリピンではむしろ好意的に見ている人の方が多いという結果が出たということだ。

もっとも、これは外面しか見てない調査のため一概に言うことはできないが、日本が世界から好意的に見られているということには自信を持った方がいいだろう。
そう、日韓ワールドカップのときにも「日本のホスピタリティ(hospitality)は素晴らしい」と言って帰っていった外国人も多かったのだ。(超民族性こそ身上-日本的カッコよさ
外国と変な付き合い方しかできないエスタブリッシュメントは一度くらい長期の休暇を取り、あるいはその職を離れ、自分の足で外国を歩いて日本を外から見つめ直して見るべきなのだ。
そうすれば今までわからなかったこともわかるようになるだろう。

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産経抄 (2006.2.6)

小泉純一郎首相が靖国神社参拝をやめないかぎり日本は世界で孤立する、と誰かが言っていた。ばかげたことを…と思ってはいたが、米国の大学などがBBC(英放送協会)の依頼で行った33ヶ国4万人に対する世論調査によると、世界に好影響を与えていると一番に評価された国は日本だった。

先週末に発表されたこの調査では、31の国で日本の影響力について肯定的評価が否定的評価を上回り、うち20ヶ国で肯定派が過半数を占めた。
回答国全体でも日本肯定派の平均は55%、否定派は18%で、孤立どころか相当な人気である。

日本否定派が半数を超えた2カ国が中国と韓国だったのはいわずもがなか。
留意すべきなのは日本肯定派が一番多かったのがインドネシア(85%)、次いでフィリピン(79%)と、ともに東南アジアの国だったことだろう。

中国は靖国参拝非難の際に「アジア人民の感情を傷つけた」といった常套(じょうとう)句を使うが、そういうプロパガンダは情報統制下の国内ではともかく国際社会ではもはや通用しないということだ。

東南アジアの国々にとっては、目の前にある中国の覇権主義の脅威の方が切実と映る。
日本への高い評価の背景には、政府開発援助も含んだ経済的貢献度の高さもあろう。
だがそれ以上に、巨大市場を背景にした経済的膨張に加え、軍事力増強を進める中国に対抗し、ものをいえる力を備える国はアジアでは日本をおいてない、という期待もあるはずだ。

友好という建前で大国の横暴に目をつぶることでは、世界の平和と安定は得られない。
人気者の座にこだわるわけではないが、せっかくうれしい結果が出たのだから、政府も国民も期待に応えるべく毅然(きぜん)とした姿勢を貫かねばならない。

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日本が好感度世界一に、33ヶ国4万人対象の調査 (2006.2.19 産経新聞)

【読者より】 2月6日の産経抄で、米国の大学などがBBCの依頼を受けて行なった世論調査で、世界に好影響を与えていると一番に評価された国が日本だったことが紹介されていたが、この内容を詳しく教えて欲しい。

japan-influence

【佐藤貴生】 国際世論調査機関グローブスキャンなどの資料によると、この世論調査はBBCの依頼を受け、グローブスキャンと米メリーランド大が昨年10月から今年1月にかけ、世界33ヶ国、約4万人を対象に実施された。
日本、米国、ロシア、中国、フランス、英国、インド、イランの8ヶ国と欧州のそれぞれについて、「世界に対してどんな影響を与えているか」を尋ねた。

日本については大多数の31ヶ国で、「良い影響を与えている」との回答が「悪い影響を与えている」を上回り、国別ではトップの”好印象”となった。
日本についての回答で「悪い影響」が多数を占めたのは韓国と中国。
韓国では「良い」と「悪い」が比較的拮抗しているのに対し、昨年、反日デモが広がった中国では「悪い」が7割を超えた。

フセイン政権崩壊後もイラクに駐留し続けている米国については、「良い影響」という回答が「悪い」を上回った国は13にとどまり、ロシアとともにワースト2。中国はワースト3で、ワースト1は核問題に揺れるイランだった。

さて、中韓両国民が日本をどう見ているのか、もう少し具体例を示そう。
昨年、日本のNPO法人「言論NPO」や北京大学などが日中両国の約3000人を対象に行なった調査では、日本の印象が「大変良くない」「良くない」との回答が、中国側で63%、その責任は、「すべて、もしくは大半は日本にある」との答えは93%に達している。

これに対し、韓国紙、中央日報が一昨年に行なった調査では、「最も嫌いな国は」との質問で日本(41%)が米国(24%)、北朝鮮(11%)に大差をつけている。
ところが、「最も見習うべき国は」との問いでも、日本(33%)が米国(14%)、中国(10%)を大きく引き離した。
嫌日・反日一辺倒の色彩が濃い中国と違い、「嫌いだが見習うべきだ」という複雑な対日感情がうかがえる。

冒頭の調査結果について外務省は、「全体としてみれば、戦後60年の平和国家としての日本の歩みが評価された結果と考えている。他方、近隣諸国における対日感情については、その背景に種々の要素があると考えられるが、これらの調査の結果を真剣に受け止めなければならない」とコメントした。

また、中西輝政・京都大大学院教授は、日本について

1.敗戦後に急速かつ高度な発展を遂げ、いわば世界に”奇跡”を示した。
2.自らの行動には抑制があり、外交・安全保障政策は平和的である。
3.民主主義や科学技術などは取り入れながら全面的に西欧化するわけではなく、固有の文化も残している。

などのイメージが世界に行き渡っていると指摘している。
その上で、「結果について日本は自信を持ってよい。
こうしたイメージは外交上もプラスになる。
が、何も発信しないから評判がよい、という面があるのも事実。
国際社会に提案してゆく方法を考えるべき分岐点に来ている」と話している。

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2006.02.11

マクドナルド社員の憂鬱

マクドナルド(2702)が2005年12月期の連結決算で大幅な当期減益になったようだ。
ニュースリリースを見る限り、売上は上がっているが、利益が上がらなかったといことらしい。
私は単純にマクドナルドといえば、アメリカの企業、米国産牛肉のイメージから消費者に敬遠されて、売上が減ったのかと思って、ウェブサイトを見ると、「マクドナルドハンバーガーのビーフパティはオーストラリア産・ニュージーランド産牛肉を使用している」とのこと。
要するに製造原価(コスト)が上がるのに、それに反して販売単価(商品価格)を下げれば、どうなるかわかりそうなものだが、経営陣は社員をこき使えば何とかなると思ったのが、裏目に出たということのようだ。

一方、ファーストフード(ジャンクフード(junk food)とも言うが)のもう一方の雄である吉野家(9861)が、何で未だに米国産牛肉輸入再開を心待ちにしているかというと、米国産牛肉でないと並盛280円という価格では販売できないからだ。(昨年の2月11日には300円で臨時販売した
このことからもファーストフードチェーンが持っている財務体質の脆弱さが窺えるような気がする。

消費最前線の企業が製造原価(コスト)の上昇分を販売単価(商品価格)に転嫁できないときに何をするかというかの選択肢は大きくわけて2つ。
リーズナブルな商品を目玉にして客を呼び寄せ、他の高額商品を売る戦略を取るか、従業員を安く使うかいずれかだ。
様々な価格帯(特に富裕層向け)の商品を売るビジネスなら前者の戦略が取れるが、低価格商品をセールストークにしているビジネスは後者以外の選択肢はほとんどない。
究極のところ、低賃金+長時間労働+違法労働(超過勤務に対する賃金未払い)というので凌いでいるの実情であろう。

アメリカのウォルマート・ストアーズ(Walmart Stores Inc./WMT)は(退職者を含む)社員との間で違法労働の件が訴訟になっているが、日本では後難を恐れて表立ってそういう動きをする人はほとんどいない。
時々表面化するのは労働基準監督署への密告をきっかけにした調査が入ったときだけだ。
それは後難のリスクに比べて、従業員側が勝訴してもメリットがあまりないからとも言われているからだ。
その中でマクドナルドの店長の高野氏が起こした裁判がどうなるかによって他の外食産業の社員の待遇にも影響を及ぼすであろう。

また、2005年10月24日号の日経ビジネスの特集「社員が壊れる-最高益に巣食う 現代版『モダン・タイムス』」では、マクドナルドの店長の高野氏の例をあげ、「現場が過酷な労働に喘いでいるのは、マクドナルドだけに限らない。効率化を追い求めてきた大規模チェーンの多くが同様の問題に直面している。」と書いている。
コストの面から言えば、たとえ米国産牛肉の輸入が政治的思惑の中で再開されたとしても、本国のマクドナルドの副社長すら懸念を表明し、また国内の消費者の目が厳しくなる中で、それを使うことができないことは十分に予想できる。(米国産牛肉輸入問題関連の記事

こうした中で従業員のまともな労働環境と企業の業績好転を両立させることは容易ではない。
つまり、格安ハンバーガーチェーン店は、安価であることが最大の売りなのであり、それ以上でもそれ以下でもないからだ。
要するに、米国産牛肉の禁輸で原材料(牛肉)のコストが上がり、原油高で輸送コストも上がる中、やれることは「人件費削減ぐらいしかない」のだ。
それが何を意味するかは、私が言わなくてもおわかりであろう。
マクドナルドに限らず、安価を売りにする企業の社員が抱える問題の根は同じということが言えるのだ。
だから慶応大学教授の金子勝氏はこう言うのだ。
「フリーターの若者を責めるのは間違っている。日本の労働環境はあまりに異常である(記事)」と・・・


関連記事一覧

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マクドナルド、大幅減益 未払い賃金と客単価低下が影響 (2006.2.10 朝日新聞)

日本マクドナルドホールディングスは10日に発表した2005年12月期連結決算で大幅な当期減益になった。
2003年8月から2年間に従業員に未払いだった超過勤務手当の負担が37億円にのぼったほか、昨春から「100円メニュー」を導入したことで客単価が下がったことが響いた。
同期の売上高は前年度比5.7%増の3256億5500万円、当期利益は同98.3%減の6000万円だった。
原田泳幸会長兼社長は「値頃感を打ち出す戦略は成功している。ただ、(売り上げを伸ばせる)核となる商品がもっと早く出てくればよかった。
今後はスピードをもっと上げていく」と述べ、低価格と高価格のメニューの「両面戦略」を継続する方針を示した。

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「昼休み抜きは違法」米ウォルマートに200億円賠償命令 (2005.12.24 産経新聞)

AP通信によると、米カリフォルニア州アラメダ郡地裁の陪審は22日、米小売り最大手ウォルマート・ストアーズが従業員に昼休みを与えなかったのは州法違反として、退職者を含む計約11万6000人に対する総額2億7000万ドル(約244億円)の損害賠償を命じる評決を下した。うち1億5000万ドルは懲罰的損害賠償。(Wal-Mart workers finally get a break)
同社は同日、上訴する方針を明らかにした。
同州では、1日に6時間以上働いた従業員には30分の昼食休憩を与えることを義務付けている。
賠償の対象となるのは2001-05年に同州内の店舗などで勤務していた全従業員。
元従業員数人が2001年、損害賠償を求め提訴していた。
会社側は昼食時間を取れなかった従業員にはその分の手当を支払ったり、法律が認める範囲で無休憩とすることで合意していたケースもあるなどと反論していた。
性差別や低賃金など従業員の待遇をめぐり、同社に対する批判は広がっており、訴訟も増加している。

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残業代求めマック提訴 現役の直営店店長 (2005.12.22 共同通信)

日本マクドナルドの埼玉県内の直営店店長高野広志さん(44)が2年間の未払い残業代785万円と慰謝料300万円など計1100万円の支払いを同社に求める訴訟を22日、東京地裁に起こした。
日本マクドナルドコミュニケーション部は「まだ訴状を見ていないので、コメントは差し控えたい」としている。
訴状などによると、日本マクドナルドは、高野店長が残業代支払い義務が生じない「管理監督者」と主張しているが、実態はアルバイトの採用権限がある程度で、業績目標や人件費コストに縛られ、経営者と一体といえるような権限がないほか、勤務シフトにも入るため出勤時間の自由もなく、管理監督者には当たらない、としている。

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ハンバーガー店”管理職店長”1日15時間労働で「死を思う」 (2005.10.24 日経ビジネス)

「死ぬ時はきっと事故死だろうな」
眠気で意識がもうろうとする中、ハンドルを握っていた男はふと思った。
時刻は深夜1時。連日の残業の疲れが極限に達していた。
高野広志さん、44歳。埼玉県北部の幹線道路沿いにあるマクドナルドの店長だ。
日本マクドナルドに入社して18年。
今の店に赴任するまでに3店の店長を務めてきた。
その高野さんのつい数ヶ月前までの生活は、常軌を逸するものだった。
かつて、徹底した効率経営で「デフレの優等生」と称された日本マクドナルド。
だが、チェーンシステムを支える現場は、”金属疲労”を起こしつつあった。

■睡眠時間は2~3時間

最も忙しかった頃の高野さんの1日を振り返ってみよう。
起床は朝4時10分。顔を洗い、身支度を整えると、車に飛び乗り、店に向かう。
4時半過ぎに家を出て、店に着くまで約1時間半。
6時30分頃からアルバイト1人と準備を始め、7時に店を開ける。
そして、朝食メニューを求める客を次々にさばく。
10時。「時間帯責任者」と呼ばれるベテランのアルバイトが出勤すると、車の中で仮眠。
時間帯責任者が来ない日は、弁当を食べながら、店の裏で待機する。

1時間の休憩が終わると、書き入れ時の昼。車から起き出し、店に戻ってアルバイトに指示を出す。
ピークの時間帯のアルバイトは、普通なら5人は必要。
だが、高野さんの店では、ここでも時間帯責任者が欠けることが多く、店長自身も接客に出なければ、注文をこなし切れない。
店頭での指示、接客は、そのまま夕方6時まで続く。
その後、2度目の休憩を挟んで、閉店時間の夜11時まで店に立つ。
シャッターを閉めてから、アルバイトが掃除をする横で、その日の売り上げを確認。
仕事から解放されるのは日付が変わる頃で、1日2~3時間の睡眠を確保するのがやっとだった。

こうした悲惨な生活は、前の店にいた昨年7月頃から約1年続いた。
月100時間を超える時間外労働で疲れがたまり、ぎっくり腰になって、店から病院に運ばれたこともある。
今年5月には、手にしびれを感じるようになり、病院に行くと、「軽い脳梗塞」と診断された。

高野さんの仕事は、なぜここまで過酷になったのか。
問題の根っこにあるのは、個店の業績管理制度だ。
店長が忙しすぎるのであれば、アルバイトを新たに採用し、人手を増やせばいい。
しかし、高野さんの場合は、そんな単純な方法で、問題を解決するわけにはいかなかった。
足かせとなったのは、本部との間で取り決める売り上げ、利益の目標だ。
日本マクドナルドでは毎年、店長とエリアマネージャーの話し合いで、店ごとの業績目標を決める。
そして、いったん決めた目標は、「よほどの理由がない限り下げられない」(高野さん)。
そうした仕組みの中で、高野さんは人を増やしたくても増やせないという状況に追い込まれた。

■経費削減策は人減らしのみ

まず売り上げの面では、BSE(牛海綿状脳症)の発生などでチェーン全体に逆風が吹きつけ、高野さんが現在店長を務める店では、近くに牛丼店ができるという競合問題も持ち上がった。
店の経営環境が厳しく、売り上げ目標は達成できない。
ならばせめて、利益だけでも…。
高野さんは自らの査定のことも考え、コストカットに乗り出したが、現実的にできることはアルバイトの人件費削減ぐらいしかなかったという。

アルバイトを減らせば、当然、店長の仕事はきつくなる。
そんな中で、高野さんには、人手とは別の面からも厳しい試練が襲ってきた。
日本マクドナルドは、ここ数年、6~8週間おきに複数の新商品を投入してきた。
2000年からの約5年間で発売した新商品、期間限定メニューは合計100近くに上る。
本部がこうした策を講じるのは、顧客にとっての店の価値を上げるためだが、現場には少なからず混乱が生じる。
増えた食材の発注作業が煩雑になり、調理や注文の取り方など、店長がその都度、従業員を指導しなければならない案件が増えた。

日本マクドナルドは2001年に株式上場した。
現場の負荷が増大した背景として、大株主である米マクドナルドからのプレッシャーを挙げる向きもある。
高野さん自身、「他の店長の中には、もっとうまく仕事をこなしている人もいる」と言うものの、業績目標に縛られる中で、長時間労働は避けられないものとなっていった。

疲労が限界に達しつつあった今年5月、高野さんの店をはじめとする日本マクドナルドの店舗数店に労働基準監督署の査察が入った。
その後、日本マクドナルドには労基署から改善要求文書が送られたと見られる。
しかし、それでも「労働環境は一向に改善されなかった」(高野さん)。
そこで、高野さんは独立系労働組合、東京管理職ユニオンを通じて、環境改善と残業代の支払いを求める交渉を始めた。
高野さんは多い時には1日15時間以上働いていたが、残業代を一切もらっていなかった。

この残業代の件に関して、日本マクドナルドは「店長は一般社員ではなく、管理監督者。支給対象にはならない」と主張し続けている。
交渉が9月に決裂したため、高野さんは11月にも争いを法廷に持ち込むことを決めた。
日本マクドナルドは基本的に、高野さんの問題は特殊なケースであり、組織全体に当てはまるものではないとしている。
原田泳幸・会長兼CEO(最高経営責任者)は店の労務管理について、「今後は現場の状況を本部が、より正確に把握できるようにする。だが、成果を上げられない人までフォローするつもりはない」と言う。

会社との交渉を続ける過程で、高野さんの店には新たに社員1人が配属され、労働時間は以前に比べると、大幅に短くなった。
だが、「改善策が全店に講じられたわけではないので、将来への不安は消えない」(高野さん)。
現場が過酷な労働に喘いでいるのは、マクドナルドだけに限らない。
効率化を追い求めてきた大規模チェーンの多くが同様の問題に直面している。

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日本マクドナルド 未払い賃金支払いへ (2005.8.2 読売新聞)

日本マクドナルドホールディングス(HD)は1日、アルバイトの賃金や社員の残業手当の計算方法が不適切だったとして、2年前までさかのぼり未払いの賃金を支払うと発表した。
同社ではこれまで、勤務時間を30分単位で管理していたため、30分未満の勤務時間は切り捨てていた。
今年5月下旬、兵庫県内の店舗を立ち入り調査した神戸西労働基準監督署が労働基準法に違反すると指摘し、問題が発覚した。
マクドナルドHDでは、1日付で、1分単位で勤務時間を計算するとともに、過去2年分について、アルバイトや従業員の申請に基づいて差額を支払う。
同社は社員が約4600人、直営店のアルバイトが約9万1000人いる。

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2005.12.20

英語ができない外交官?

私はこの記事を読んだときわが目を疑った。
外務官僚ともあろうものが国際共通語である英語は最低でもできると信じられていたからだ。
その信頼がにわかに怪しくなったのは2002年5月8日に起きた中国・藩陽の日本総領事館で起きた北朝鮮亡命者連行事件のときだ。
亡命者が手渡した英文の書類を領事館員が読めない、とか言ったと伝えられたときから私はまさかという疑念を抱いていた。

小泉首相は郵政民営化のために命を賭けるとか言ったが、ニューズウィークのファリード・ザカリア編集長が外務官僚のことをこき下ろしたという下の記事を読めば改革が必要なのは郵政より外務の方だということは明白だ。
今も昔も対外交渉能力の巧拙は国運を左右するのだ。
近世においてはフランス語、現代においては英語は外交当事者の必須の言語であるはずだ。
それが話せない外交官など何の価値があるというのだ。

むしろ日本にとってスポットライトが当たらない地味な在外公館のスタッフは有能な者もいると聞くが、国際政治を左右するような地位にある外務官僚の能力がここまでこき下ろされたままでいいわけがない。
小泉首相自身が外交音痴だからどうしようもないのだが、それを支える外交官も旅行会社の添乗員レベルの語学力しかないのだとしたら10年後にはそれこそ誰も日本のことを相手にしないだろう。
なぜなら国際政治に影響力のない小国の外交官でさえ、自国をアピールするために英語を駆使しているのが現実だ。
今や日本の近代化と繁栄に尽力した先人の努力が台無しになろうかという瀬戸際なのだ。

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外務官僚は英語ができない!ニューズウィーク編集長がボロクソ (2005.12.17 日刊ゲンダイ)

鈴木宗男議員に国会でボロクソにやられている外務省が、またまた、酷評された。
今度はニューズウィーク誌のファリード・ザカリア編集長(国際版)。
先週、経団連で行なわれた講演で、日本の外務官僚は英語ができないからダメだと、ばっさり切り捨てたのである。

講演でザカリア編集長はまず、「日本が国連安全保障理事国入りに失敗したのは信じられない。日本は世界第2位の経済大国で毎年100億ドルの援助を拠出している。それなのに、日本の常任理事国入りを支持した国はほとんどなかった。日本は外交が洗練されておらず、稚拙で長期的計画を持たず、世界の仲間入りをしていないからだ」と酷評。

返す刀でこう言った。
「日本の外交官は中国と比較すると、特に45歳以下は実に大きな差がある。中国の外交官は頭が切れ、皆、英語を話し、国際舞台でどう動けばいいかを熟知している。日本の外交官は上下関係にうるさく、官僚的で、非常に静かで英語ができない人が多い。英語は外交とビジネスの共通語だ。その国が世界とどの程度うまくいっているかを物語る。日本が国際社会で正当な地位を得るためにはこうしたことを変えなければならない」
外務官僚もここまで言われたら、形無しだろう。

ついでに言うと、現在、来日中の「ユダヤ人と日本人の不思議な関係」の著者、シロニー前ヘブライ大学教授はこう言っている。
「日本は外国に友人を持っておらず、金で友情を買おうとしてきた。国民の税金の大変な無駄遣いだ。これだけの金をつぎこんで得られたのは外国からの敵意だけだ」
外務省は反論できるか?
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2005.11.13

こんなことだから業績が悪化するんじゃ?

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制度利用者少なくフレックスタイム運用停止…三洋電機 (2005.11.12 読売新聞)

経営再建中の三洋電機(6764)は、本社(大阪府守口市)や東京製作所(群馬県大泉町)、洲本工場(兵庫県洲本市)の管理部門などを中心に、出退社の時間を社員が自分で決める「フレックスタイム制度」の運用を停止した。
停止期間は1年がめどで、将来は廃止も検討する。
業績悪化を背景に、業務を効率化するのが目的だ。

三洋電機は1989年12月にフレックス制度を開始し、製造現場を除く大半の職場で導入している。
ただ、管理職が部下の勤務の実態や時間を把握しにくく、定時に社員がそろわずに会議が開けないといったマイナス面がある。

本社では利用者が少なく、形骸化していたことから、労働組合側と協議し、停止を決めた。
同社は停止の理由を「生産性の向上や、上司と部下とのコミュニケーションの活発化のためで、賃金抑制が目的ではない」と説明している。
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このニュースを見て私は著しい違和感を感じた。
私もかつての勤め先でフレックスタイム制の恩恵を受けた者の1人であるが、当時後輩であったSE(システムエンジニア)がこの制度を導入する意義をずばり言ったセリフがあるので引用したい。

「カルロスさん、この制度は我々SE(システムエンジニア)にとってはありがたいですよ。だって深夜にまで及ぶ残業した翌日に朝の8時過ぎに出て来いと言われりゃ仕方なく来るけど、最初の2時間は仕事にならんですよ。その分遅く来ることができれば(睡眠時間が取れれば)、頭もすっきりとした状態で仕事にかかれるからいいんですよ。生産性が上がれば会社としては残業代も浮くでしょ。」

この2年目の若手SE(システムエンジニア)のセリフと以下の新聞記事の乖離をわかるだろうか。
それに今は、どこの会社も「仕事をした時間でなく成果が問題で、賃金も業績によって払われるべきだ。」と経営陣が言ってるのは嘘なのか?
それを報道しているメディアは詐欺師の片棒を担いでいるのか?
そうなってない公務員を非難しているのは悪質な嫌がらせなのか?

「生産性の向上や、上司と部下とのコミュニケーションの活発化のためで、賃金抑制が目的ではない。」
ほ~社員を全員定時出社させれば生産性は向上するのか?
それなら役所は一番日本で効率的じゃないか。
それに上司は部下が9時前に来てないとコミュニケーションが活発に取れんのか?
単に上司が朝礼で「意味なし訓示」を垂れるときに社員がそろってないと不愉快なだけだろう!
賃金抑制ではない!
経営再建中で、社員の給与はもうすでに十分過ぎるほど下げてるのだし、残業代もおそらくまともに払ってないのだから今更こんなコメントはしらじらしいだろう。

要するにフレックスタイムなど使えないくらい融通が利かない上司が多いか、ヘトヘトになりながらも来なければならないほど仕事量が膨大で、制度が有名無実化しているから廃止するのだろうだから、あえてこんな愚鈍なコメントを記事にしなくてもいいだろう。
それともこれをニュースにすることで対外的に何か期待するものがあるのか?
あると思って発表したのならここの経営者、広報部門の幹部は余程のバカだろう。

まあ、こんな会社からは即行で逃げるべきだな。
経営再建中ということらしいから既に第一陣、第二陣は逃げてるから遅いかもしれんが・・・
不幸にも住宅ローンを抱えている場合は、巷で市販されている借金整理本を買って夫婦で真剣に読んだ方がいいね。
もう住宅ロ-ンなど完済できないことを前提に戦略を練った方が家族の幸せのためだ。
今を頑張れば再建の暁にはコア社員として活躍できる、ってのはその可能性がある場合の話だから。
もっとも優秀な奴がもういないからこんなふうになるんだろうがね。

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2005.07.19

脱ぐ人と見る人の感覚の違い

昨日は「海の日」、猛暑に誘われて日本各地のビーチは人でいっぱいだったそうだ。
そう、ビーチと言えば忘れてはならないのは欧州のビーチリゾート、各地はトップレスの美女で埋め尽くされるなんて妄想を抱いていると期待はずれに終わることもある。

先ほどニュースリリースされた記事(イタリア人、裸の日光浴は「自然なこと」 美醜は無関係)では、イタリアのナチュリスト連盟(Unione Naturisti Italiani)の調査によれば、全裸の是非について、肉体美はあまり問題ではないようで、外見的に美しくない女性が全裸で日光浴することに、不快感を感じると答えた人は16%、同様の全裸男性について不快感を感じる人は9.7%にとどまった、とのことだ。

mykonos1

外見的に美しいとは言えない肉体の私としては嬉しいことだが、実際に鑑賞する立場になるとそうとも言えないのが事実だ。
要するに男も女も人間など我儘なもので、自分のことは棚に上げて理想なんぞを追求したくなる。
そういう記事が、かれこれ12年前になろうか、「夏のリビエラ・ビキニ騒動-魅力ある女性以外のビキニは禁止」というものだ。
その後、何と、ディアノ・マリーナ(Diano Marina)市長は、1996年に90-60-90条例(つまりスリーサイズがこういう理想形の人しかビキニ着用すべからず)というものを制定してしまった程で、さぞかし女性を敵に回したことだろうと思いきや2002年にも現行法として存在していたのだからイタリアというのはわからない。

要するに自分が脱ぐなら美醜はどうでもいいが、見る立場になったら醜いのは許せない、ということだ。
う~ん、極めて人間の本能が出ていて大変よろしい。
女性にしてみれば、そのビーチにビキニでいられるということがスタータスということなのだろう。
それで、自分に自信がある女性がわんさかと、そしてそれを見たい男がわんさかと・・・
おまけに基準に合致しないと見られると市の職員がメジャーを持ってサイズを計りにきて警告される。
この市の職員は「オトコ」だったように記憶している。
ほとんど日本じゃあり得ない・・・たぶんこんなことは・・・
まして市の条例で・・・例えば鎌倉市長がこんなこと言ったら貴方は支持するかい?

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2005.07.18

クールビズに見る日本の病理現象

クールビズ(cool biz)は、環境省が音頭を取って、温室効果ガス削減のために、夏のエアコンの温度設定を28℃に設定し、その中でも快適に過ごすために、夏のノーネクタイ・ノー上着ファッションを提唱したものだ。
これ自体は私は大賛成だし、むしろ遅すぎたくらいと思っている。

しかしながら、私がこれを日本の病理現象と言っているのは、1998年のスペイン旅行記でも書いたように

さしものスペイン人でも出勤前は慌ただしくしているのが、バル(bar)にいるとよくわかる。 でも、よく見ると、真夏にスーツにネクタイなんていう格好は皆無だ。一応は、襟付のシャツにスラックスを穿いているが、クソ暑くなるのがわかっていてそういうものを着て歩こうなんて思う人はいないらしい。もちろん、オフィスに行けば、来客用にそういうものが用意している人もいるだろうが、銀行などに入った時もスーツの上着を着ている人は、見かけなかったように思う。要は、夏でも涼しいオランダみたいな地方の人と、超エリートだけがそういう格好をしているのであって、日本のように酷暑の中で、そういう格好をするのは「主催者なき我慢大会」以外の何物でもないということに、日本のサラリーマンはいつになったら気づくのだろうか?(クールビズ-もう南の島基準にしちまおう

ということすら日本人は勇気(courage)を持って変えていこうという気概が全く感じられないことだ。
ベンジャミン・フルフォード(Benjamin Fulford)が「泥棒国家の完成」という著書の中で、官僚は改革を先送りする臆病者(coward)と言っているが、私は日本のサラリーマン全体が臆病者にしか見えない。
事はクールビズだけの問題ではない。
サービス残業や過労死の問題になぜ立ち上がろうともしないのか、同僚が真綿で首を締められるように(会社に)殺されていくのをむざむざ見殺しするのはなぜか?
途上国に比べて日本はマシだ、なんていう議論はあまりにもバカげたものだ。
ほかの民主主義国で職場の同僚が殺されても何もしない国があったら教えてもらいたいものだ。

話は元に戻るが、クールビズというのは、本質的に政府が音頭を取り、企業にやってください、と頭を下げるものだ。
そこには「主催者なき我慢大会」を強いられているサラリーマン本人、それにも増してオフィスや電車の冷房の効かせ過ぎで真夏に「冷え性」などという職業病を患うことになっている女性の姿を見ることはできない。
女性は懸命にSOSを発しているが、日本の企業論理でそれは全く無視され、サラリーマンは見えない何かに怯えて戦々恐々としている。

要するに、個人の健康や労働者に快適に仕事をやってもらおうというよりも、バカげた規則や慣習にいかに従えるかという忍耐力(協調性)を試し、「お前だけ快適に仕事をさせてなるものか」という妬みが渦巻いている職場が多すぎるのだ。
これをマゾヒストのメンタリティと、明確に言い切ったのは、元厚生省の役人で「お役所の掟」という本を書いた故宮本政於氏だ。
彼の著書は英訳されて「拘束衣社会(Straitjacket Society)」という本としても出版されたが、まさに酷暑の日本でスーツを着ているサラリーマンは、拘束衣を着ているとしか言いようのない感情を私は抱いているのだ。
何が彼らをそこまで怯えさせているのか?

各種調査でも、なぜクールビズができないか、という理由で、下位者(部下や下請け業者)が上位者(上司や発注業者、顧客)に気兼ねするというのが非常に多い。
しかし、そんなことぐらいで不利益を被ることはそれほど多いのか?
クールビズごときで小言を言われ、顰蹙を買うようであれば、今後、今まで(先輩たちが)やってきたことを否定しなければならない局面で、どうなるのか?
一部の政治家や官僚が抵抗勢力と言われて叩かれているが、私に言わせれば、そんな貴方の会社の上司や先輩、取引先、顧客も同じということになるだろう。

この記事(クールビズ:8割賛成だけど実践3割)だけでは即断はできないが、クールビズを実践しても、ほとんど何のトラブルもなかった、要は本人の気持ち次第と言っているのだ。
はっきり言おう。
今の日本、旧弊を打破しなければ何事も進まないのだ。
クールビズごときで、と言うなかれ。
私は少なくともサラリーマンの7割(国民の多数派)が臆病者(coward)のままで終わるかどうかの試金石にしているのだ。

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2005.07.09

ロンドン同時爆破テロに思う

7月7日にロンドンの地下鉄とバスが爆弾テロの犠牲となった。
通勤時間帯の公共交通機関を狙ったものとしては2004年3月11日のマドリードに次ぐものだ。
テロは「欧州の聖戦アル・カーイダ組織(the Secret Organisation Group of al-Qaeda of Jihad Organisation in Europe)」を名乗る集団が犯行声明を出したとされている。

マドリードのテロのときは、国際テロ組織アルカーイダ系の「アブハフス・アルマスリ旅団(The Abu Hafs al-Masri Brigade)」を名乗る組織から犯行声明(Purported Al-Qaida Statement: 抄訳あり)が届いたと報じられた。
その中で、「アスナール(スペイン首相)よ。だれがおまえや英国、イタリア、日本をわれわれ(の攻撃)から守ってくれるのか(Where is America to protect you today, Aznar. Who is going to protect you, Britain, Italy, Japan and other hirelings from us?)」という一節がある。

1年前にも、そして今回も「標的」と名指しされたイタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)首相が、テロの翌日に、イラク駐留軍(約3000人)について、9月に約300人を撤退させる方針を表明した。(イタリアとデンマーク、テロ対策強化/Italy sets date to pull troops out of Iraq
今まで強固な親米派政権であった彼が、こう決断したのは、イタリア本国内におけるテロ捜査を巡るCIA要員との摩擦(CIA要員、容疑者拉致で伊が逮捕状/Italy seeks CIA kidnap agents)や、去る3月にイラクで人質から解放されたイタリア人ジャーナリスト、ジュリアナ・スグレナ(Giuliana Sgrena)さんの乗った車に米軍が誤射して、イタリア特殊救出チームの司令官、ニコラ・カリパリ(Nicola Calipari)さんが殺された事件(イタリア人人質解放、米軍の発砲/Hostage's shooting no accident/State honours for slain Italian agent)などからアメリカと距離を置こうという意図なのかもしれない。

さて、わが日本であるが、相変わらず強気というか、それしか選択肢がないのか?という小泉首相。(国内テロ対策の強化も ロンドン同時テロで小泉首相
「今回の事件を教訓に」と毎度のように言うが、どう教訓にするのか。
彼もメディアも1年前のことなどほとんど覚えていないのだろうが、日本はもはや完全なアメリカの軍事的同盟国(属国とも言うが)だから、アルカーイダの声明通りにいつ標的になってもおかしくない。
今、日本がイスラム原理主義者の標的となっていてもテロが実行されないのは、彼らにとっての拠点やネットワークが築きにくいだけかもしれないのだ。「今日の一言(2004.3.13)

10年前に起こったオウム真理教による「地下鉄サリン事件」を、他国は衝撃をもって受け止め「化学兵器によるテロ」として位置づけ対策を講ずるように治安当局に命じたという。
対する日本は「テロ」として受け止めた風潮は全くなく、「破壊活動防止法」の適用を阻止する勢力が大手を振って世間を渡り歩いた。
そして、総合的なテロ対策をしないまま今に至っているのが現実であろう。
ちなみに私は当時成立した「サリン等による人身被害の防止に関する法律(サリン防止法)」と、鉄道のゴミ箱撤去を見て不謹慎にも笑ってしまった。
まさに日本の政治家を始めとする指導者層の頭の悪さがにじみ出ているのを象徴していたからだ。

日本政府の最大の欠陥は情報に対する感度だ。
優先順位の付け方と言ってもいい。
なぜ、「テロ対策法」といった法律を作らないのか、と当時も思ったほどだ。
そして、今、小泉首相の最大の仕事は郵政民営化でもなく、アメリカの対テロ戦争に自衛隊を派遣することでもなく、自国民の生活や安全を守ることではないのか?
麻生幾氏の小説である「宣戦布告」というのが単なる小説では済まされないリアルさがあるのも、いざというときはそうなるだろうと簡単に予測がつくからだ。
専属の情報機関を持つイギリスでさえ、長期にわたって緊張を強いられることが油断を生むということは、こちらの記事(英治安当局、テロ警戒レベル引き下げていた/Intelligence officials were braced for an offensive - but lowered threat levels)が示す通りだ。
これが日本の場合だと、政治家の不見識から、そうした情報を総合的に分析する機関さえないありさまだし、防衛庁や警察庁といったところに散逸する情報機関でさえ人員削減の対象になりかねない状況だ。

今、構造改革という美名のもとに貧富の差が拡大され、弱者はまともなセーフティネットもないままに放置されている。
今や食い詰めたホームレスや、リストラされたサラリーマンが金に釣られて詐欺の片棒を担ぐなんてことは珍しくもないし、安月給のアルパイトが個人情報を売るなんてことも日常茶飯事で起きている。
そして、今後はこうした人が、テロの片棒を担ぐといったことが起きないとも限らないのだ。
小説「宣戦布告」に出てくる東山という画商の営業マンはそんな意識もないままに高度なセキュリティ情報を北朝鮮の工作員に売っているという設定になっている。
むしろそうした場合の方が日本人は多くなるのではないだろうか。
歴代の首相は外国に訪問するたびに、多額のお土産を奉げて行くが、そんな金があるなら自国民のために使えと言いたいのは私だけではあるまい。

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2005.06.29

インドの女性も大胆に

私の持っているイメージではインドの女性はもっと慎み深かったような気がするが、最近ではこういったことをやるようになってきたのだろうか。
よく欧米では、毛皮に反対するグループが裸でデモをやっている光景がニュースになるが、インドでは犯罪者の逃亡幇助に一役買っているらしい。
ただ場所がインドということ、記事は裸身をさらし、とあるが果たしてどこまでやるのだろうか?
男としては興味があるところだが、慎み深い仏教国のこと、全裸とかでなく、「胸チラ」ぐらいな気がしないでもない。
それでも裸に免疫のない国では効果があるのだろうね。
日本も昔はそうだったような気もするが・・・今ではこんなに大胆
ちなみに、こういうところで、必死に原題の記事(Women stripping in Jharkhand forest to foil police)を探すと時事英語の勉強になったりもするんだよ。

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2005.06.28

意味のない自粛は日本の悪弊だ

最近は当コラムに書くようなネタがないな~と思いながらネットサーフィンしていたら「JR西、今夏の「SL北びわこ号」は中止・・・事故で自粛」という記事があった。
はっきり言おう。
これを決めたJR西日本の幹部、あるいはこういうことを要求した奴(女)はクズだ。

日本では何か事件があると、その関係者が主催するイベントや行事を「自粛」するのが、さもケジメのような意味で捉えられ、あるいは一部のバカがそういうことを喚きたてる傾向があるが、そのような行事を楽しみにしていた人の思いをどうするのか、という視点がいつも欠けていることに憤りを覚える。

代表的なのはミスコンテストだ。
特に自治体が関係するんなんていうと、金切り声をあげて反対する勢力があり、そのおかげでこの手のイベントは激減した。
特筆すべき観光資源のない自治体にとって、こういうイベントはメディアにPRできる唯一の舞台かもしれないのだ。
安易な二番煎じ、あるいはマンネリ化したイベントは金の無駄というのも事実だが、とにかく人に(それがメディア関係者だけでも)来てもらい、注目してもらうことが第一と思って頭をひねっている関係者も多いのだ。

もはや国家、地方自治体、あるいは企業を問わず、日本中がアイデアを競い合わなければならないのだ。
カジノだろうがストリップだろうが、外国からも観光客を呼ぶためには、奇麗事を言っていられる時代は終わったのだ。
確かに鉄道事故や組織の不祥事は重い出来事である。
しかし、必要なのはきちっとした後始末であって、ほとんどこじつけのような行事の自粛はそのために準備してきたスタッフの労力と金の無駄と知るべきだ。
日本ではあまりにもこういうバカげたことが多すぎる。
それも組織のトップが基本的なことを忘れているからだ。
このことについて西成のある串カツ屋のオヤジは明快に言い切る。
「利益をもたらす者だけがお客様だ!」
そういった意味では、商売のジャマをする奴は客ではないのだ。

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2005.06.05

図書館予算の削減に思う

緊縮財政の名の下で削減される経費の中で、一見すると誰の利害にも関係ないと思われているのか、図書館の予算が減額されているということがニュースになることは極めて少ない。
しかし、良書を読むというのが知性を育む上で重要なことだと認識している人は少なくないのだ。

そういった意味で最近の図書館予算の減額は寂しいものである。
確かに、本の著者からすれば新刊本が図書館で買われるということは売れ行きに影響することかもしれないが、街の本屋は活字離れと心ない万引きの被害で次々と廃業に追い込まれているのだ。
地方によっては公立図書館ぐらいしか本が置いてあるところがないというのも珍しくはないだろう。

また、本を読まないことによって、簡単な言葉の意味もわからない人や、文章を読むことすら面倒だ、と言って逆切れする人が増えている。
せめて次代を担う子供たちの多くはそうでないように願いたい。
そのためにも街の本屋が消え行く今、図書館という知的インフラを維持するための努力を惜しまないで欲しい。

しかしながら、知人曰く、公立図書館では、最近は本を借りたまま返しに来ない人ばかりでなく、雑誌などは中の記事を切り抜きしたり、書き込みしたりすることなどザラで、万引きする者すら絶えないという。
その損害額は年間で数百万単位に上ることもあるという。
これが予算の削減に繋がっているかもしれないとも言う。
かといってセキュリティシステムを導入するにも金がないという二重苦にあえいでいるらしい。
心ない一部の不心得者のためにほかの人が迷惑しているのだ。

私が思うに、経費削減で本の購入費が減っていくというなら、マスコミやネットで盛んにPRされているようなベストセラー本は、図書館になど置かなくてもいいのだ。
利用者(納税者)の意思としては、そういった本のリクエストが多くなるだろうが、ベストセラー本が必ずしも良書とは限らないし、移り気な日本人の性格からするとブームが去った後のそういった本の運命は押して知るべしである。
また、こういった本は、アマゾンや楽天などのネット販売で新刊を購入するのも、ブックオフなどの中古書店やオークションで購入するのも流通度が高いので、入手しやすいのだ。
むしろそういったところで入手しにくい専門誌や硬派のものなど、潜在的な良書の発掘のために予算を使ってもらいたいものだ。

最後にアメリカでは図書館にインターネット端末を置いて、パソコンが買えないような低所得者層のデジタルデバイド(情報間格差)の解消に役立てていると聞いた。
そこではボランティアがインストラクターとしてそういった人に簡単なレクチャーをしたりしているらしい。
日本の図書館もそういったことができないだろうか。

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図書館の予算が減っていく (2005.5.17 朝日新聞夕刊)

三重県立図書館が財政難から先月、雑誌142誌、新聞11紙の購読をやめた。専門誌から「アンアン」「週刊ベースポール」「AERA」まで軒並みだ。
硬派の論壇誌や語学の学習誌も中止した。雑誌は4割カットとなり、空き棚がずらり。
県の緊縮財政で、今年度の購入費は約2600方円。4年前の4分の1だ。本の購入も大幅に減らしたが、ついに継続性が必要な雑誌、新聞にも手をつけた。
中小の市立図書館並みだ。ホールや生涯学習施設なども兼ね備え、10余年前、430億円かけた総合文化センターの名が泣く。

三重だけではない。都道府県立の全国63館の昨年度の本や雑誌などの購入費は、前年より1億円減って35億円だ。
日本図書館協会によると、10万人あたりの図書館数は先進7カ国で平均6.4館だが、日本は最低の2.1館。
市町村の半数は図書館がなく、あっても予算はもっと厳しい。そこを補うべき県立の予算の削減は痛い。

そんな中で、9都府県は1億円を超える予算を維持した。
とりわけ鳥取県は県民1人あたり185円の予算で全国1位、平均の6倍だ。
「地方は書店で手に取ることが難しい」として、児童書は全部買うなど徹底している。
市町村立図書館の依頼で本を貸し出すことも多く、東京都内の区立図書館からも要請がある。
片山善博知事が「知的立県を目指す」として力を入れてきた結果だ。
結局はトップの姿勢ということか。いくら懐がさみしくても本代くらい、守りたいものだ。(伊藤哲章)
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2005.05.24

新幹線作っている余裕あるのかね?

毎日新聞に北海道新幹線着工のニュースが出た。

私は北海道民に何の恨みもないが、あえて言わせていただく。
北海道新幹線の整備計画ができたのは1973年(昭和48年)のことだ。
このときは、日本全国が眩くような輝く時代で、誰もが豊かになれることを疑わなかった時代だ。
それが今や時代は変わり、個人の破産や自殺は言うに及ばず、国家や地方自治体すらどうかと言われるようになった。
私は国会議員しろ、自治体の首長にしろ、20年も30年も前の幻想を未だに抱くような人間しか選ばれない(国民が選ばない)ことに憤りを超えた空しさしか感じない。

私はほかの整備新幹線計画や空港建設計画も辛らつに評価するが、ことに大阪府と北海道は、立場が個人ならまともな借金はさせてもらえない立場にあるのをご存知か。
2004年2月26日の朝日新聞の記事「日の丸ファイナンス-巨大化の果てに」の記事は、KABU247の仁科剛平氏の著書「郵貯崩壊」でも一部引用されているほど衝撃さは度を抜いている。

何を言っているかというと、まず北海道債の引受金融機関から三井住友銀行と東京三菱銀行という優良行の名が消えたことだ。
これは言い換えれば、貴方は信用度が今一つだから私は貸しません、貸すならデフォルト(債務不履行)のリスクに見合った金利に引き上げます、という宣告と同じだ。

そして、いつの時代もバカな政治家と提灯エコノミストが言う、地方への経済効果と、景気の起爆剤だが、仮に彼らの目論見通りに景気が良くなるとどうなるか。
そうなると長期金利も上がり、借金をしている国と地方が一たまりもないのだ。(インフレの足音が聞こえる
これが朝日新聞の記事の中で財務官僚の言っている「デフレが続かないと(財政が)持たない」ということなのだ。

要するに北海道新幹線に限らず、巨額の借金で賄われる公共事業は、デフレが続くと税収が減って借金の返済ができず、景気が回復すると長期金利が上がって利子がかさむというジレンマに陥る構図となっている。
インフレが起きて借金が目減りを始めるのは、その後だから、それまでにお陀仏になる可能性は大きい。
しかも、「確定申告:所得金額8年ぶり増 納税額は8年連続減少」の記事を見て欲しい。
北海道の税収は8年連続で下落を続けているのだ。

1964年に東海道新幹線ができたときは、国鉄は今と違って非常に儲かっていて、しかも東海道本線は列車を増発できないほど需要が飽和状態にあったのだ。
つまり、需要があるから作る、という資本主義経済の原則そのものだったのだ。
ところが山陽あるいは東北・上越新幹線あたりから、作れば需要(経済効果)が生まれるだろう、というバカげた論理が幅を利かせ、それは当然に沿線自治体に人口減(東京集中)と赤字しか生まなかった。
その結果、国鉄がJRになっても赤字体質は引き継がれたのだ。

おそらく北海道新幹線は、JR北海道にも日本の航空業界にも地方自治体にも赤字しか残さないであろう。
ただでさえ、沿線の人口減によって小さくなったパイを無理やり作った新幹線が分捕ればどうなるか。
JRと航空会社にはお定まりの人件費抑制とスピード競争が待っているのだ。
はっきり言う。
遺族感情を害して申し訳ないが、尼崎と同様の事故はいつか再発するだろう。
そういう構図にしたのは、こうした時代遅れの「地元の悲願」という名の見栄と欲望だからだ。

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2005.05.20

忘れられた餘部事故

今日の朝日新聞夕刊の2面、「論説委員室から」というコーナーで以下のような記事が載っていた。

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JR山陰線の餘部鉄橋は、兵庫県の日本海岸沿いに架かる。高さ41メートル。
1986年12月28日、強風にあおられた回送列車がこの鉄橋から転落し、車掌と、下のカニ加工場で働いていた主婦ら計6人が死亡した。
久々に鉄橋の下に立った。海からの風が強い。慰霊の観音像の台座に犠牲者の名が刻まれ、キクの花が供えてあった。鉄橋の下に住む岡本倫明さん(71)が毎朝、花の水替えを続けてきた。仕事納めだと出かけていった妻(当時46)を亡くした。

事故当日、私は横殴りの雪の中を地元の豊岡支局から車で現場入りした。途中の道路は倒木や落石だらけ。地元の漁師は「戦後2番目に強い風だ」と言っていた。

風速25メートル以上で福知山鉄道管理局の指令が列車を止める決まりだった。橋上の風速計は故障し、近くの計器が風速33メートルを示していた。だが、指令に携わる3人の職員は列車を止めなかった。彼らは有罪判決を受けたが、上層部の責任は問われなかった。
「停止措置をとっていれば。ただそれだけのことなのに・・・」。岡本さんは18年余りたった今でも無念さを口にする。

岡本さんから手渡された餘部事故の記録集の中に、事故の背景について労組員が書いた興味深い一文を見つけた。「1分でも遅延させると責任を追及され、新会社への選別の脅しに使われた」。事故は国鉄がJRに変わる3ヶ月前に起きた。山陰線は福知山線に接続し、尼崎の脱線現場へとつながる。兵庫県の北と南で起きた事故の様相はそっくりだ。(中村正憲)
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尼崎列車事故からそろそろ1ヶ月が経とうとしているが、歴史は繰り返すというか、18年前の事故から何も学習していないというか、何とも言えない思いだけが胸を締め付ける。

「上層部の責任は問われなかった」
日本という国はいつからこんなふうになったのだろうか。
戦前の日本軍や外務省も同じ体質だったと言われる。
要するに18年前でなくて、80年くらい前から何も変わっていないのだ。

しかし、一部の識者は、よき日本の伝統であった崇高な志と潔さを持った人たちが、高度成長の礎を築いたのも事実で、彼らは、概ね第二次オイルショックの時までに、自らの限界を知って身を引き後進に道を譲ったともいう。
要するに、その後にタナボタで居座った無能な人間が、醜態を晒し、さらに無能な人間を呼び、バブル崩壊後の「失われた10年」と呼ばれる日本経済の退潮を招いたということだ。(知性も責任感も失った白髪の貴族たち

今の日本で改革派と名乗る人間が、実は「失われた栄光」の一端を担った戦犯だということはよくあることなのだろう。
要するに、他人にだけ責任を押し付けて、自分はあたかも迷惑を被ったかのように振舞う人間だ。
そういう奴はどこかで馬脚を現す。
そうしたときに彼らの既得権を剥奪し、その地位から追放できるかどうかが社会の健全さを表すバロメーターでもある。
今の日本は、明らかにそれがない。

今回の事故でニューヨークタイムスには「尼崎脱線事故は時間への脅迫観念が原因(日本語訳付き)」というコラムが載っていた。
その中で「日本の人たちもこの事故に責任がある。これは、自主競争社会なのだ。柔軟性がない。だから高見運転士は1分半の遅れさえ取り戻そうとしたのだ。」というものがある。
過ぎたるは及ばざるが如し。
先人の教えには含蓄と教訓があるのだ。

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2005.05.07

別の目で見た尼崎脱線事故

この事故の第一報は、4月25日午前9時20分ごろ、尼崎市のJR福知山線塚口-尼崎間の第一新横枕踏切(警報機、遮断機付き)手前約100メートルで、宝塚発同志社前行き上り7両編成の快速電車が脱線した、というものだった。
この続報に関してはいろいろなメディアが出しているし、運転士を始めとする社員を取巻く異常とも思える職場環境も明るみに出ている。
最近では、JR西日本の社員が事故当日に宴会していたとか、ボーリングしていたとか、瑣末なことを取り上げて「こんなことでいいのか~」レベルの吊るし上げ報道に私はウンザリしている。
一連の報道から推測して、今後の再発防止に繋がるかどうかと言えば、私はまた別のところで、「こんなことでいいのか~」レベルの事件が起こると思う。
それは私の職場という可能性もあるのだ。

なぜか、ということを論じるために、私は一般メディアが注目しない記事に焦点を当てて書いてみたいと思う。
まず最初は事故を起こした快速電車に乗務していた松下正俊車掌(42)(高見隆二郎運転士(23)は死亡)に関するものだ。
私は決してJR西日本の体質を擁護するつもりはないが、彼らを含めてJR西日本の社員がたるんでいるとか、過密ダイヤがいけないとか、利益優先がいけないとか非難だけしても問題は解決しないと思うのだ。

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「おれの電車、脱線してもうた」-車掌、妻に (2005.4.30 神戸新聞)

「おれの電車が脱線してもうたんや」。
尼崎市のJR福知山線の脱線事故で、事故を起こした快速電車に乗務していた車掌(42)は事故直後、携帯電話を通じて、悲しげな声で妻(38)に伝えた。

「けがは?」「腰を打った程度や」。「いつごろ帰れるの?」「もう一本、桜島線に乗らなあかんから」。
それだけのやりとりで電話は切れた。

それ以後、夫は帰宅していない。
警察の事情聴取もあるのだろう。
それからは携帯電話のやりとりが二回ほど。
「警察の言うことをきちんと聞いて。ちゃんとしいや」と励ますと、涙声で「うん」。

伊丹駅でのオーバーランを高見隆二郎運転士(23)=死亡=と短く口裏合わせしたことについて「何でそんなことしたん」と疑問をぶつけると、「厳しいやん。高見君が処分を受けてしまう」。

高見運転士とは、かつて天王寺車掌区で同じ車掌として働いた仲。
昨年五月、京橋電車区で運転士と車掌として乗務するようになったのも「何かの縁」と感じていた。
「言わんといてくれ」。そう頼まれたら、断れない。「なれ合い」があった。

それにしても、妻から見ても、夫の勤務は過酷だった。
天王寺車掌区とは違って、運行区域は拡大した上、神戸、大阪、京都の大都市圏を縫う過密なダイヤ。
比較にならない乗降客と駅の多さで夫の神経はくたくただった。
帰宅しても、すぐ横になり寝息を立てることが増えた。

上司から課される厳しい切符の売り上げノルマ。
JR西日本を取り巻く経営環境が厳しいのは分かっている。
それでも京橋に移ってからは、夫はずいぶん息苦しそうだ。
「組合を通じて何か言うても聞き流すだけ。会社は冷たい」とこぼすのも聞いた。

百人以上の犠牲者を出した脱線事故。
安全神話を誇る日本の鉄道会社としてはあってはならないことだ。
自分の夫はその電車に車掌として乗務していた…。

一人一人の犠牲者におわびしなければならない気持ちは痛いほど感じている。
「事故は絶対に起こしたらあかん。ゼロや」が口癖だった夫。
「責任はかぶらなあかん」。そう思っているに違いない。
でも、大事なあの人がその重みに耐えることができるのか。自殺でもしたら…。
「気落とさんと、頑張りや」。夫への携帯電話で努めて明るく振る舞った。
「分かった」。夫はそう答えるだけだった。
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この記事を読んで何を思っただろう。
ほとんど人は関係ないと思うだろうが、記事の中ほどの部分を読んで、私は川人博弁護士(過労死弁護団全国連絡会議の事務局長)の書いた「過労死社会と日本」という本を思い出すのだ。

「比較にならない乗降客と駅の多さで夫の神経はくたくただった。帰宅しても、すぐ横になり寝息を立てることが増えた。」
はっきり言って、いつ突然死してもおかしくない状況とは言えないか。
日本の場合、過労死が問題になる前から、休養を罪悪視し、その結果、「疲れてるというのはお前がたるんでるからだ!気合を入れないか!」というバカが大量生産されてきた。
今では、それが利益を生まないと言って机上の空論で最小限にされることも数多く、「お前だけでなく、みんな同じような状態なんだ。」と日本人の大好きな「皆さん」教徒の自虐的発想が幅を利かせている。

疲れが嵩じてくると、突然頭が白くなって、「オレ何やってたんだろう!」という経験のある人は少なくないはずだ。
事故はそういうときに限って起こったりするものだ。
要するに、新聞で事件当事者が言う「頭がぼ~っとしてわけがわからなくなった」というやつだ。(もちろん凡ミスを隠すための嘘である可能性も否定しないが)
そういうとき、「疲れは理由にはならない!」と責め立てるバカがいるが、私に言わせれば「疲労の蓄積がミスの一番の原因」なのだ。
そう言うと、バカがますます居丈高になって吼えるから誰も正直に言わないし、問題の解決もされないのだ。
要は、机上の空論だけで人減らしが横行しているのが諸悪の根源なのだ。

それに最近のデフレ不況で恐ろしいばかりに軽視されてるのが、精神的、肉体的な負担のかかる仕事はそれなりの報酬を必要とするという当たり前のことだ。
例えば「パイロットの給与が世間の常識とかけ離れている」と言ったバカがいるが、私に言わせれば「そうでなければ誰もパイロットになんかならない」し、仮にマクドナルドのアルバイトと同じ給与で雇われるパイロットがいたとしたら、彼らの操縦する飛行機になんぞ乗りたいとも思わない。
その代表がAir Asia(AK)という航空会社だ。
私は友人からこれを紹介されたとき、どうやってパイロットの給与が捻出されてるのか、機体のメンテンスはどうしてるのか、考えただけでも恐ろしく未だに乗れないのだ。

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事故招いた深刻な運転士不足 - かつての人気職種も最近は敬遠されて (2005.4.27 日刊ゲンダイ)

JR福知山線の脱線事故で改めて明らかになったのは、電車運転士のなり手が不足している現状だ。
2000年4月入社の高見隆二郎運転士(23)は、運転士になった直後に100メートルのオーバーランをして、2週間近くも再教育を受けている。
それ以前にも、居眠り疑惑などで厳重注意や訓告処分を受けているが、運転席から追放されることはなかった。

「昔から運転士は駅員に比べて待遇が良く、人気面も上でした。
ところが最近は、『命に関わるから責任が重い』と嫌われるようになっています。
なり手が少なくなっている上に、今後は団塊の世代が大量に退職するから、鉄道各社にとって運転士の確保は至上命題。
JR西日本も、若い運転士の採用を増やしています」(事情通)

ハードな勤務形態も運転士が敬遠される理由になっている。
高見運転士は、事故前日の午後11時まで運転して宿泊所で睡眠、翌25日の午前6時48分から乗務している。
3日前も泊まり番だった。

「乗務員としては、昔からある一般的な勤務形態」(交通評論家・角本良平氏)というが、ダイヤの過密化で運転士のストレスは増しているから大変だろう。
こうした業界にこそ、「ゆとり教育」ならぬ「ゆとり運転」を導入してもらわないと、おちおち電車にも乗れない。
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マイケル・ムーア(Michael Moore)の書いた「アホでマヌケなアメリカ白人(Stupid White Men)」という本が数年前に流行ったと思う。
その中で彼も言っている。
「(アメリカン航空がパイロットに生活保護課へ行くなという通知を出したのを聞いて)俺は飛行機に乗りたくなくなった。人間の動物的な生存本能ってやつがこう言うのさ-タコベル(Taco Bell)のバイトのガキより安い給料の奴が運転する機械で、空なんざ飛んでいられるか。(I did not want to get on that plane. You see, there's something about us humans and our basic animal instincts for survival - and one of these instincts, probably traceable back to the caveman days, is: Never, ever let someone fly you up in the air who's making less than the kid at Taco Bell.)」

何を言いたいか。
要するに、ハイストレスな運転士の待遇がローストレスの事務職(人事管理部門など)や役に立たない管理職より低ければ、ますます運転士になりたいという人は減るということだ。
給与はJR西日本の財務の悪化と株価(9021)の下落でますます出せなくなる可能性が高いからよけいだ。
それに少子高齢化で、優秀な人の取り合いが激化し、それに輪をかけて外国人も入れないとなれば、これからは、質の劣る社員が大量に生まれる可能性があるのだ。
これはどこの会社でも起こりうることで、優秀な人ほど日系企業を見限る可能性すら否定できないのだ。
そもそもJR自体が、歴代の政治屋やそれに巣食うダニ共がこしらえた赤字を押し付けられ、無理やり収益を出せと言われていることが諸悪の根源なのだ。
それに加担したマスコミや国土交通省が今更何様のつもりで吼えるのかと言いたい。

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惨事の背景に遅れ嫌う社会 (2005.5.1 朝日新聞投稿欄)

JR宝塚線の脱線事故で107人もの犠牲者が出てしましました。
亡くなった方々やご遺族のことを思うと胸が痛みます。
原因や責任はJR西日本にありそうです。
JRは再発防止や被害者への補償を迫られるでしょう。

でも、背景には時刻表通りの運行を求め、遅れを嫌う社会の要請があるのではないかと思われてなりません。
僕は電車で10分ほどの予備校に通っています。
電車はダイヤ通りに走るものとあてにしています。
通勤・通学客は誰も同じでしょう。
正確さに頼るあまり、数分でも遅れたら不快な気分になったり苦情を訴えたりしませんか。

JR西日本をかばっているのではありません。
ただ正確さを求める利用客の要望に応えるのは、企業として当然とも言えます。

ニュースを見聞きして、「2、3分の遅れより安全を大切にしろ」というコメントが気がかりです。
その通りですが、コメントの主は日頃からそう考え、行動しているのでしょうか。
安全にためなら数分の遅れは仕方ないと利用客が本気になって意識を変えない限り、第二の惨事が起きる可能性の一つは消えない。
そう思えてなりません。(千葉市稲毛区 19才 受験生)
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マスコミのレポーターやコメンテーターより、この19歳の学生の方が相当に賢い。
最後のコメントはまさにその通りである。
1~2分の遅れで、居丈高に駅員をなじる人たち、それを謝る鉄道会社のスタッフ、世界の常識からは考えられない「時間のパラノイア(偏執狂/paranoia)」の戯言を、上層部やマスコミが取り上げるのをやめない限り、悲劇はまた起こると言えるだろう。

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90秒遅れ、欧米では「時間通り」-日本では定刻が常識 (2005.5.2 朝日新聞)

JR脱線事故での「90秒の遅れ」に海外の鉄道関係者が関心を寄せている。
欧米では、この程度の遅れは「時間通り」と見られている。
感覚の違いには国民性や文化の差もありそうだ。

事故を起こした快速電車は、オーバーランで伊丹駅出発が約1分30秒遅れ、制限速度時速70キロのカーブに100キロ以上で入ったことが判明している。
米紙ニューヨーク・タイムズ(4月27日付)は「原因には時間への強迫観念?(In Japan Crash, Time Obsession May Be Culprit)(日本語訳付)」との記事を1面に載せ、「世界中どこでも、90秒遅れはおそらく定刻通りとみなされるだろう」と指摘した。

ニューヨーク市交通局(New York Metropolitan Transportation Authority)が列車の遅れと認めるのは「最終駅到着が5分遅れた」ときだ。
原因不明の遅れがあれば運転士から事情を聴く。
「スケジュールを本来のものに戻すためで、処罰が目的ではない。
でも、速度制限違反は罰する」と広報担当のディアドレ・パーカーさん。

「列車の遅れとは3分以上のこと。90秒程度では客から苦情を受けたこともない」
ベルリンで通勤電車を運行する独エスバーン・ベルリン社(S-Bahn Berlin GmbH)の広報担当バルデン・マーティンさんはそう話す。
ドイツではどれだけ遅れたのかではなく、遅れの原因を問題にするという。
「我々も定時運行を大切にしているが、秒単位は現実的に考えにくい」

英国の大手鉄道会社バージン・トレインズ(Virgin Trains)は「短距離の列車では、ラッシュアワーで4分を超えたら『遅れ』とみなす」という。

鉄道大国フランスも、90秒を遅れとは考えない。
仏国鉄(SNCF)によると、1988年の列車衝突事故後に自動制御システムを導入。
遅れを取り戻すために上げることのできる速度の許容範囲もシステムが制御している。
広報担当者は「許容範囲を超さないと取り戻せない遅れは、放っておくしかない」と話した。

イタリアで列車の遅れは日常的だ。
オーバーランも多く、ホームの外れに止まった列車に乗客が走り寄る光景も珍しくない。
鉄道会社トレンイタリア(Trenitalia)は「5分から15分程度の遅れは乗客も認めていると思う」と言う。
イタリア最大の労組イタリア労働総同盟のフランコ・ナッソ交通労組書記長は「『遅刻はなるべくしないようにする』くらいの認識でいいのでは」と話す。

海外との受け止め方の違いについて、鉄道評論家の川島令三さんは「遅れに文句を言う客が日本では多い。海外はあきらめているところが多いが、日本ではきちんと来るのが当たり前という感覚だ」と語る。
日本では戦前から鉄道の正確性が国民の常識となっており、JR西日本に限らずどの鉄道会社も精密にダイヤを作る。
川島さんによると、通勤線区では30秒程度の遅れなら調整できるが、90秒の遅れは「日本では大きい」。

交通評論家の角本良平さんは、鉄道に限らず正確さを求める日本の国民性の背景には、人口密度の高さがあるとみる。
「運行の精密さが安全の前提であり、時間の正確さの上に安全が成り立っている」という。
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