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2015.08.09

日本の新たな安全保障体制を後押しするアキノ大統領演説

2015年6月3日、国賓として来日したフィリピンのベニグノ・アキノ大統領(Philippine President Benigno Aquino)は、第21回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社.・日本経済研究センター共催)の講演で、現在の中国政府とかつてのナチスドイツを比べ、いつまでも国際社会が、南シナ海における領土拡張の主張をする中国をなだめ続けることはできないと述べた。(ABS CBN News - President Benigno Aquino III drew a parallel Wednesday between present day China and Nazi Germany during a speech in Japan, hinting the world cannot continue to appease Beijing as it claims ever-more territory in the South China Sea.)
フィリピンのアキノ大統領が、「現在の中国政府はかつてのナチスドイツのようだ」(ナチス中国演説)と非難したことは、大きな見出しとなって、フィリピンは元より、英米やオーストラリア、マレーシアのメディアに掲載されてインターネット上を駆け巡った。
しかしながら、中国政府に阿(おもね)る日本の主要メディアは、アキノ大統領の「ナチス中国演説」について、産経新聞を除いてインターネット版の記事はほぼ黙殺、主催者の日経新聞のアキノ大統領講演要旨でも一言も触れられていない有様だった。
こういった日系メディアの実態に対し、Darkness DUAを運営している鈴木傾城氏は「国民の知る権利を封じているのは、政府ではなくマスコミだ(2013年12月10日)」と酷評している。

アキノ大統領は2015年6月2日から5日まで日本に滞在したが(外務省-アキノ・フィリピン共和国大統領の来日)、この間、参議院本会議場での国会演説(6月3日)宮中晩餐会(6月3日)、そして、安倍首相との首脳会談(6月4日)(英語版:Japan-Philippines Summit Meeting)が行われた。
この首脳会談で、安倍首相は「アキノ大統領の国会演説は場外ホームラン(President Aquino's address was an "out-of-the-park homerun.")」と褒めちぎった。
おそらく、アキノ大統領が「日本は、現在、我が国が戦略的パートナーシップを築いている2ヶ国のうちの1ヶ国です。(Japan is one of only two countries with whom we currently have a Strategic Partnership.)」と述べたことが一つの要因だろう。
前出の「ナチス中国演説」と合わせたアキノ演説に鼓舞された安倍首相は中国の脅威に対峙する決意を固めたのだろう。
2015年7月21日付で産経新聞が報じた「“『中国脅威論”を誇張』 防衛白書に中国 韓国も竹島で反発」(英語版:Japan Times - Defense white paper stresses threat posed by China)、7月22日付でロイターが報じた「日本政府、東シナ海の中国ガス田開発の写真公表 16施設を確認」(英語版:Japan demands China halt oil exploration in part of East China Sea)、そして、7月29日付で産経新聞が報じた「安倍首相、中国「名指し」にシフト 国民理解へ身近な“脅威”指摘」(英語版:Nikkei Asian Review - Abe reaffirms need for greater defense reach)という流れになっているのがその証左と言えよう。

ところで、今から遡ること2年ほど前の2013年9月10日、アメリカのオバマ大統領がテレビ演説で「米国は世界の警察官ではない(America is not the world's policeman.)」と述べた。(2013年9月11日-毎日新聞:米大統領:「世界の警察官」否定)(The White House - September 10, 2013 - Remarks by the President in Address to the Nation on Syria
これについて、鈴木傾城氏は、2013年10月28日付の記事「Darkness DUA-2013年9月10日に日本の運命が大きく変わる出来事があった」の中で、「今後、世界中で何が起きても、アメリカは必要最小限の関与しかしなくなるし、できなくなる。軍の縮小も同時に進行するのだから、韓国からも撤退し、日本からも撤退する。事実、アメリカは2013年7月18日に、韓国に対して『2015年末となっている戦時作戦統制権(統制権)の韓国軍移管を、予定通り進める』と伝えた。(WSJ - July 17, 2013 - Seoul Asks U.S. to Delay Transfer of Military Command) さらに、2013年10月には日本の集団的自衛権行使を支持した。(2013年11月7日 産経新聞-積極的な役割「米は支持」 日本の集団的自衛権容認と敵基地攻撃能力)(collective self-defense and US-JAPAN security cooperation by Ian E. Rinehart)(Japan's New Defense Strategy by Patrick Cronin)その理由を考える必要がある。それは、もうアメリカには日本を守る金も気力もないから、日本は自分たちで国を守れという意味なのである。つまり、アメリカはもうアジアから出て行きたがっており、後はどうなっても構わないと考えているフシがある。」と分析している。

また、同時期に国際ジャーナリストの田中宇氏は、「従属のための自立(2013年12月4日)」の中で、「米国は、日本に防衛や外交的に自立を求め、自立しないと日米同盟を維持できないと言っている。日本は、しかたなく防衛力強化や国家安全保障会議(日本版NSC)設立をやっているが、それらの自立策は、対米従属の維持のためだ。従属を続けるために自立するという、矛盾した策をやらざるを得ないのが近年の日本だ。」と書いている。
要するに、鈴木傾城氏や田中宇氏は、オバマ大統領による「米国は世界の警察官ではない(America is not the world's policeman.)」演説は、将来的には、現行の日米安全保障条約(Japan-U.S. Security Arrangements)の実効性は保証できないと言っているに等しい、と述べているわけだ。

私は基本的に第三国(例えば中国・韓国・北朝鮮)が日本を攻撃してきた場合の対処方法は以下の3つしかないと思っているが、現行の安全保障体制でもある2番目の「誰かに守ってもらう」という誰かが、アメリカでなくなった場合にどうするか、自分たちで体制を考えろというのが、日本政府に付きつけられた命題であり、その答えが安倍内閣の提出した「安全保障関連法案(package of security bills)」だと思っている。
つまり、この法案に反対する人たちの言っている「アメリカと一緒になって世界中で戦争をするためのもの」というのは、前提条件からして全く違っているのだ。
中国・韓国・北朝鮮、及び彼らに扇動された確信犯的に日本の安全保障体制を妨害しようという人たちは論外として、安倍首相がこういった説明を怠っていることが、現場の自衛隊員や国民の間に法案に対する懸念を抱かせる原因の一つになっている気もするのだ。

1.自ら武器を取って戦う-これがグローバルスタンダードだ。

永世中立を言っているスイスでも自国の防衛のためには国民総出で武器を取る。
いくら中立などと言っても、それをかつてのナチスドイツはせせら笑いながら中立を踏みにじった歴史がある(1940年4月9日 デンマークとノルウェー)のだから、そのような宣言がいざというときに何の役にも立たないことを彼らは知っている。
また、かつては世界の権力者のダーティマネーを引き受けることがスイス独立維持に役立ったことは言うまでもない。
日本が外交努力を続けていれば攻めてくる国はないと言う人は、世界史をもう一度学び直す必要があるだろう。(2007年9月14日-世界史を学ぶということ

2.誰かに守ってもらう。これが今の日本の姿である。

私は日本の実質的地位はアメリカ合衆国日本行政特別区(The goverment of the Japan Special Administrative Region (JPSAR) of the United States of America)であると書いたことがあるが、軍事的には世界最強の軍隊を雇っているに等しい。
つまり米軍は一種の傭兵なのだから、彼らに対価を支払う(在日米軍駐留経費負担)のは当然の成行きであるが、条約交渉における契約の決定権は雇い主である日本にはない。
イラク戦争当時の小泉首相の「イラク問題に関する対応について」(英語版)の記者会見(2003年3月20日)は、そのことを認識したものという評価を英国のBBCから受けている。(Japan's binding ties to the US on 19 March, 2003)
ただ、傭兵に頼りすぎて国が潰れたというのも過去の世界史が示す通りである。

3.無条件降伏。運命だと思ってあきらめる。

自力で逃亡するが、日本の周囲は海であるから無事に安全地帯まで行けることを神に祈ろう。
一部の反戦・平和団体や政治家の主張を忠実に実行するとこれしか選択肢はない。
また彼らは、現行憲法上、自衛隊は違憲の存在であるので憲法を改正して正規軍として位置づけよ、ではなく、武装解除(自衛隊の廃止)と米軍の撤退を要求している。
中国の人民解放軍の進駐なら喜んで認めるのかと聞きたい。

私は今国会(第189回常会)で審議中の安全保障関連法案は憲法第9条の改正を行ってから提出すべきと思う。
しかし、日本の国内には憲法改正の議論すら妨害する勢力が多く、一筋縄ではいかないための苦肉の策と考えられるが、こうした無理筋な解釈改憲を続ければ、将来的に法治国家として禍根を残す可能性も十分にある。
それに、2年前のオバマ演説直後に開かれた第185回臨時会(2013年10月15日から12月8日まで)では、わずかに11月6日の衆議院国家安全保障に関する特別委員会次世代の党の藤井孝男氏(当時は日本維新の会所属の衆議院議員)が、米国の国際的プレゼンスの低下を懸念した質問をした程度で、日本の安全保障体制にも影響がありそうなオバマ演説に対して、安倍首相の答弁からはそれほど深刻には受け止めていない様子が窺えるが、この2年間に目まぐるしく変わった国際情勢を目の当たりにして、政府もようやく目が覚めたというのが実際のところだろうか。(2014年3月21日-Darkness DUA:アメリカに見捨てられた事実を認識するようになった日本人

オバマ演説後、ロシアや中国といった新たに覇権を狙う国々が近隣諸国に対して露骨な武力干渉を始めた。
中国はアメリカに代わってアジア太平洋地域の覇権を握ろうとしており、最近ではそのことを隠そうともしなくなっている。
アメリカが中国の軍事行動を牽制しても、今や中国は意にも介していない。(2015年5月31日 CNN Japan-米国防長官、中国に南シナ海埋め立て作業の即時中止を要求)(WSJ - May 30, 2015 - Defense Chiefs Clash Over South China Sea
2015年6月10日付のフィナンシャルタイムズ(Finacial Times)はUS v China: is this the new cold war? - The Chinese programme of island reclamation is testing America's reach(日本語訳:Japan Business Press-南シナ海で優位に立つ中国 米国vs中国、これは新たな冷戦なのか? 日経新聞-南シナ海で中国がつくる既成事実に何もできぬ米)と米中戦争(冷戦)をほのめかす記事を配信した。

アメリカがかつてのスーパーパワーを持っていないとすれば、それこそ日本の安全保障は自分で構築しなければならないところにきている。(防衛省-我が国を取り巻く安全保障環境-南シナ海における中国の活動)(2015年5月22日-Darkness DUA:敵側の中国に関わっていると、大きなツケを払うことになる)(2015年7月9日-Japan Business Press:南沙諸島埋め立てはヒトラーのラインラント進駐と瓜二つ
安倍内閣が提出している安全保障関連法案はそうした趣旨の元に出されているものだし、集団的自衛権(right of collective self-defense)とは、個人で言えば、刑法第36条第1項(正当防衛)の「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。」という中の「他人の権利を防衛する」と同じことだろう。
日本を愛するアメリカ人、ケント・ギルバート(Kent Sidney Gilbert)氏も2015年8月1日付のコラム、「不安を煽る政治家やメディアは無知な上に無恥」で同じことを書いている。
ただ、日本の法曹界やマスコミは、作家の柘植久慶氏が酷評する、刑法第36条第2項「防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。(過剰防衛)」の考え方、要は防衛する側は加害者に対して手加減しなさい、という概念を前面に押し出し、それがために自衛隊や警察の防衛行動を著しく制約している実態があるため、現場自衛官の身体的リスクを懸念する人も多いのだ。(2007年5月20日-あほ~な奴らがキチガイをのさばらす

さて、集団的自衛権と言われると、実戦を想定している人が多いと思うが、今ではサイバー空間での言論戦争が盛んに起きているし、残念ながらそちらは中国や韓国にボロ負けの状態だ。(2015年6月9日-Darkness DUA:中国が『超限戦』という卑劣な犯罪行為を仕掛けてきている
理由は単純、指導者層やエリート層の英語発信力の差、政府要人が記者クラブという閉鎖空間でしか発言しないこと、そして唯一の愛国メディアと言われる産経新聞が英語版を出していないことだ。
信じられないようなら英語で「criticize(非難)、Japan(日本)、China(中国)」と入れてみればいい。
日本が中国の軍事行為を非難していることがあるかもしれないと思っていると、そのようなものはほとんどなく、国際社会(英語世界)のサイバー空間では、圧倒的に中国が日本を非難しているという記事がヒットする。
2015年6月17日付で共同通信が発信したJapan criticizes China's land-building in S. China Sea(日本が南シナ海における中国の埋め立てを非難)を見つけるのも相当に苦労した。(日本語版の記事は産経新聞の「菅長官、中国の南シナ海埋め立て批判」だが、実はこれを見つけるのも大変だ)
これらの劣勢を一発逆転したのがアキノ大統領のナチス中国演説で、言わばサイバー空間上の集団安全保障体制の始まりだ。
先ほどの検索語からJapan(日本)を除けば、今度はフィリピンが中国を非難しているという記事が上位に来る。

私が「尖閣衝突事件に思う(2010年9月28日)」で書いているように、今の中国はかつて流行語となったモンスター○○の大親分だ。
それをアキノ大統領は「ナチスドイツのような国家」と表現した。
そういう無法な輩に蹂躙されないための体制の一つが、周辺親日諸国との集団安全保障体制の構築だ。
もはや日本がスーパーパワーをなくしつつあるアメリカだけに安全保障を委ねられないがゆえの次善策と言ってもいい。
2015年7月27日付の現代ビジネスの記事「反対しているのは中韓だけ!集団的自衛権『世界の常識』が理解できない左派マスコミにはウンザリだ」で嘉悦大学教授の高橋洋一氏は以下のように書いている。
安全保障関連法案が提出されている背景も国際情勢も知らずに、暴力がイヤだからというだけで反対している人はもう一度冷静になって考えるべきだろう。
それこそ日本の子供の将来に降りかかる問題なのだ。
少子高齢化で日本人の若者が減っているということは、日本を防衛する自衛官のなり手も減るということだ。
法案に反対する人たちが喧伝する徴兵制の復活以前に、日本が集団安全保障体制の枠組みを作らねば、今やモンスター国家となった中国に蹂躙されてしまうだろう。

「世界の国では、日本の集団的自衛権の行使について、ほとんどの国が賛同している。ここ1、2年のニュースを調べただけでも、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、ベトナム、マレーシア、タイ、インドネシア、ミャンマー、インドなどの国のほか、EU(欧州連合)、ASEAN(東南アジア諸国連合)も賛同のコメントを出している。
しかし、例外もある。中国と韓国は日本の集団的自衛権の行使について、支持していない。
まず、中国が反対であるのは、中国が海洋権益を拡大するには日本が障害になるので、中国の国益を考えると納得できる。
中国は武力衝突も国益のためにはやむを得ないと考えるので、日本の防衛力強化には反対なのだ。
逆に日本にとって、これは看過できない。
中国が反対で、世界の国が賛成ということは、日本の集団的自衛権の行使は間違っていないという証になるだろう。
もし、集団的自衛権の行使で、日本が戦争する国となるなら、世界の国が賛成するはずないからだ。」

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中国をナチスになぞらえ批判 比大統領 (2015.6.4 産経新聞)

フィリピンのアキノ大統領は3日、都内で講演し、南シナ海で地域の緊張を高めている中国の動きを戦前のナチス・ドイツになぞらえて批判した。
中国の動向と米国の戦略について聴衆から質問を受けたアキノ氏は「もし力の空白が生じ、大国の米国が『関心がない』といえば、他の国の野心を食い止めるものはない」と述べた上で、第二次大戦前にナチス・ドイツの領土拡張を阻止する動きがなかったことを指摘した。
ロイター通信などが伝えた。
これに対し、中国外務省の華春瑩報道官は3日の記者会見で、「ばかげた発言に深く驚くとともに、強烈な不満と反対を表明する」などと批判した。

関連英文記事

ABC Net - South China Sea: Philippine president makes veiled comparison between Beijing and Nazi Germany (3 June, 2015)
ABS CBN News - PNoy likens China to Nazi Germany (June 3, 2015)
Guardian - China behaving like Nazi Germany in South China Sea, says Benigno Aquino (3 June, 2015)
Japan Times - China is acting like Nazi Germany, says Philippines' Aquino (June 3, 2015)
Japan Today - Aquino compares China to Nazi Germany (June 4, 2015)
Malaysia Star Online - Aquino likens China to Nazi Germany (June 4, 2015)
TIME - Philippine President Slams Beijing for Acting like Nazis in the South China Sea (June 3, 2015)

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フィリピン大統領:ナチス台頭の戦前を連想-アジアの現状で (2015.6.3 ブルームバーグ)

フィリピンのアキノ大統領は3日、現在のアジア情勢は第2次世界大戦前に国際社会がナチス・ドイツを封じ込めることができなかった事態を思い起こさせると述べた。
同大統領は東京都内での講演後、アジアへの米軍事力の「リバランス」について問われた際、ナチス・ドイツの隣国占領に関する記録映画を思い出すと言及した。
アキノ大統領は「成り行きをうかがっていたナチス・ドイツは、例えばもしフランスがやめろと言えば、退却する用意があった。だが残念なことに誰もやめろとは言わなかった。このドキュメンタリーのコメンテーターは、もし誰かが当時のヒトラーもしくは当時のドイツにやめろと言っていたらどうなっていたのだろうかと指摘していた。われわれは第2次世界大戦を回避することができたのだろうか」と語った。
国賓として日本を訪れているアキノ大統領は、強硬姿勢を続ける中国をけん制するため、両国の安全保障面での関係強化を目指している。

英文記事:Aquino Says Asia Tensions Remind Him of Pre-War Nazi Germany (June 3, 2015)

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日・フィリピン首脳が会談、中国の埋め立てに「深刻な懸念」 (2015.6.4 ロイター)

安倍晋三首相とフィリピンのアキノ大統領は4日に会談し、南シナ海における中国の埋め立て対し、深刻な懸念を共有した。
また、日本から防衛装備品を供与するために必要な協定の締結に向け、交渉を開始することで一致した。

両首脳が会談するのは6回目。
日本はアキノ大統領を国賓として招き、中国と南シナ海で領有権を争うフィリピンを重視する姿勢をアピールした。
会談の中で安倍首相は、南シナ海情勢について「大規模な埋め立てや拠点建設などの一方的な現状変更について、深刻な懸念を共有したい」と表明。「各国と連携し、法の支配の実現に向け、ともに努力をしたい」と述べた。
一方、アキノ大統領は「日本がASEAN(東南アジア諸国連合)に働きかけたり、G7(主要7カ国)に支持を呼びかけるなど、声を届けていることに感謝したい。フィリピンは外交努力による解決を重要視したい」などと話した。

日本は、南シナ海で中国と緊張関係が続くフィリピンの海洋安全保障の能力向上を支援していく方針で、この日の会談では防衛装備品の供与についても協議した。
第三国への流出を防ぐ取り決めなど、日本からの輸出に必要な協定の締結に向けた交渉を始めることで合意した。

このほか、日本は3000億円規模のフィリピンの鉄道事業に対し、資金と技術の両面で支援していくことを表明。
また、橋の耐震強化と道路整備に340億円を拠出することも決定した。

英文記事:Philippine's Aquino revives comparison between China and Nazi Germany (June 3, 2015)

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ヒトラー引き合いに中国けん制=南シナ海、米の関与要請-比大統領 (2015.6.3 時事ニュース)

国賓として来日したフィリピンのアキノ大統領は3日、東京都内で講演し、南シナ海での中国の埋め立てを念頭に「私は歴史学についてはアマチュアだが、(第2次大戦前に)ドイツがどのようにして海洋権益を拡大し、それに対する当時の欧州諸国の反応がどうだったかを思い起こさせる」と述べ、ヒトラーのナチス・ドイツを引き合いに中国を強くけん制した。
同大統領は南シナ海における米国の役割について「もし大国が関与しないというのであれば、それは困ると思う。
そういうことになれば、海洋権益を拡大する向きが出て来る」と指摘、米国が積極的に関与するよう求めた。

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比大統領、新安保法制を評価 国会で演説「最大限の関心」 (2015.6.3 共同通信)

国賓として来日しているフィリピンのアキノ大統領は3日、参院本会議場で演説し、政府が今国会での成立を目指す安全保障関連法案の審議について「最大限の関心と敬意を持って注目している」とし、安保法制の整備を前向きに評価した。
アキノ氏は、中国による南シナ海での岩礁埋め立てを念頭に、「国際法により明確に付与された範囲を超えて、新たに地理的境界や権利を書き換えようとする試みによって、繁栄が損なわれる危険にさらされている」と言及。 また、アキノ氏は「繁栄を支えてきた物や人の自由な移動が阻害されようとしている」と危機感をあらわにした。

英文記事:Chicago Shimpo News from Japan (Kyodo) - Aquino sees Japan ties key to maritime security amid China tensions (3 June, 2015)

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中国を念頭・・・比大統領が日米との連携強化訴え (2015.6.5 読売新聞)

来日中のフィリピンのアキノ大統領は5日、東京都内の日本記者クラブで記者会見した。
「フィリピンの戦略的パートナーは米国と日本だけだ」と語り、南シナ海で岩礁の埋め立てを進める中国を念頭に置き、日米との連携強化の必要性を訴えた。
アキノ氏はまた、将来的に自衛隊の航空機や艦艇が補給などでフィリピンの基地を利用することについて、「協議を開始する用意がある」と述べた。
日本との地位協定締結を念頭にした発言だが、フィリピンは憲法で外国軍駐留を禁じているため、実現に至るかどうかは不透明だ。
今回の5日までの来日でアキノ氏は、日本からの防衛装備品の移転協定の交渉開始で合意するなど、協力強化に努めた。
ただ、アキノ氏の任期は残り約1年で、憲法で再選を禁じられている。
その一方で、次期大統領候補として国民に人気の現副大統領は、中国との「距離感」が近いとされる。
こうした情勢もにらみ、日本はフィリピンへの支援を急ぐ構えだ。

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比大統領、安保法案を支持 「日本の積極的な役割期待」 (2015.6.4 日経新聞)

フィリピンのアキノ大統領は3日、都内で日本経済新聞のインタビューに応じ、日本の国会で審議中の新たな安全保障関連法案について、「世界の安定を確保するために日本は積極的な役割を果たすべきだ」として支持を表明した。
比は南シナ海で中国との領有権争いを抱えており、同海域も含めた自衛隊の活動の拡大に期待を表明した。

南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島では中国が埋め立てを急速に進め、日米などが懸念を表明している。
7カ所に及ぶ埋め立ての一部は、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあり、アキノ大統領は「埋め立ての必要性を理解できず、強く警戒している」と述べた。

安保法案は、集団的自衛権の行使容認や米軍などの後方支援拡大が柱。
アキノ大統領は「世界での平和維持に資するのであれば、フィリピンは歓迎する」と述べた。

アキノ大統領は3日午前に国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社・日本経済研究センター共催)の特別セッションで講演した後、同日午後に国会で演説した。
日本の戦後の取り組みに触れ「日本が平和に貢献してきたことに疑いの余地はない」と評価した。

関連記事:南シナ海「深刻な懸念」 日比首脳会談で共同宣言(2015.6.4)

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アキノ・フィリピン大統領:南沙諸島、中国埋め立て批判 都内で講演 (2015.6.4 毎日新聞)

国賓として来日中のフィリピンのアキノ大統領は3日、東京都内で講演し、中国とフィリピンなどが対立する南シナ海情勢について「中国が不法に領有権を主張している」と指摘し、南沙(英語名スプラトリー)諸島での岩礁埋め立てを厳しく批判した。
中国の海洋進出について「日本や米国だけでなく、欧州連合(EU)やその他の国々も同様の懸念を抱いている」と説明した。
同海域の航行の自由や法の支配が地域の発展には重要で、国際社会と連携して「中国に再考を促したい」と述べた。
また、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国との間で、法的拘束力のある「行動規範」を早期に策定するよう改めて求めた。

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「繁栄が脅威に」フィリピン大統領、国会で中国批判 (2015.6.4 朝日新聞)

国賓として来日中のフィリピンのアキノ大統領(55)が3日、参院本会議場で演説した。
「新たな地理的境界や権限を書き換える試みがなされ、繁栄が脅威にさらされている」と述べ、中国の南シナ海での領有権主張や埋め立てを批判。地域の安定のため、安倍政権の掲げる「積極的平和主義」に期待を示した。
演説で大統領は、中国を念頭に「我々両国が対応に困難を感じているある国」に対し、「繁栄の必要条件である安定を維持するのが政府の責務だ。なぜ緊張を高めるのか」と批判した。その上で日本との関係を「自由を確保する最前線」と表現。
「積極的平和主義」や安保法制の整備については「最大限の関心と強い尊敬の念をもって注目している」と発言。
地域の安定に日本が関与を深めることに期待感をにじませた。
一方、戦後70年の節目として「先の大戦は我々全員にとって悲惨なものだった」と歴史を振り返りながら、「日本は過去の傷を癒やす義務を果たす以上のことを成し遂げ、利他的に、自国の復興だけでなく我々の復興にも尽くした」と、戦後に好転した両国関係への評価に力点を置いた。

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(注)本件の安全保障関連法案は、平成27年9月19日に成立した我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律(平成27年9月30日 法律第76号)と、国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律(平成27年9月30日 法律第77号)の二法です。

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