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2012.12.22

正月は家族と一緒に資産運用と未来の人生について語ろう

朝倉智也氏が自身のブログで、国民生活センターに寄せられる「投資信託の苦情相談件数」が過去最高を更新していると書いていた。
相談者の約80%が60歳以上の高齢者で、購入ルートも対面の証券会社や銀行が9割以上、とのことらしい。
こういった記事が掲載されると、それを引用したブログなどで「ファイナンシャルリテラシーのない人が投資云々」というものが載ることがある。
去る5月3日の橘玲氏が「毎月分配型投信の不都合な真実」というコラムを書いたときもそうだった。
そういったコメントを吐く人は自分の親がその当事者である可能性を考えないのだろうか。

なぜ私が「正月は家族と一緒に資産運用について語ろう」という表題のコラムを書く気になったか。
それは、藤原敬之氏がPresidentに寄稿した記事が原因でなく、最近、定年退職した世代の人たちと飲む機会があって、彼らがこういうセリフを言っていたからだ。
「私、最近○○ファンドを始めた」「もう退職金と年金(60歳から支給される報酬比例部分の年金)だけでは凌げないよね」
彼らは在職中に投資の話をするような人たちではなかった。
つまり投資に関しては、定年退職デビューなのだ。
果たして「私の親は投資なんかとてもとても」と言っている貴方の認識は何年前のものだろうか。

私は彼らの話を聞いていて大丈夫なのかと思った。
彼らは証券会社でリスクの説明をされているか否かにかかわらず、損することに対する耐性がないように思えたからだ。
つまり、国民生活センターや金融庁へ苦情を言っていく人の中には、こうした人も大いに含まれる可能性があるのだ。
仮に、自分自身が金融業界に勤めていたとしても、親は自分に投資のことを相談しに来るだろうというのは大きな間違いだ。
親にもプライドがあり、自分の買った商品を人に、例え実の子であっても、反対されることに耐えられない人も多いのだ。
実際のところ、親子であっても正面きって資産運用のことを聞くのは抵抗があるだろう。
普段離れて住んでいればなおさらだ。

そういうときは別のアプローチをするといい。
私が実際にやっている方法は確定申告の代行だ。
国は高齢者の確定申告の手間を省かせるために、今年(2011年分)の確定申告から公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、原則として確定申告を不要とした。(国税庁-公的年金等の課税関係
つまり、サラリーマンと同じような扱いになったのだが、それでも税金の還付を受けるためには確定申告が必要なことに変わりない。

「年間10万円以上の医療費(通院のための交通費を含む)がかかったとか、地震保険を掛けているとか、被災地や赤十字などに2,000円を超える寄付していると、税金が戻ることがあるんだよ」と言えば、何らかの反応があるだろう。
中には面倒なので、税金の申告なんてしていない、とかいう返事が返ってくることもあるだろう。
そこで、貴方がやってあげるからと言って関係する書類を集め、ついでに投資のことなども聞いてみよう。
もちろん、そうするためには貴方自身も国税庁の確定申告書作成コーナーを使った申告ぐらいできない(プリンタで申告書を印刷すればe-Taxを使う必要はない)と困るのだが、そうやって国が進める愚民化政策、要は税に興味を持たせない政策に対抗していくのだ。

もし、この過程で親が投資をやっていたことがわかったら、インターネットなどを使って商品のリスクや評判などを調べてみるといい。
もしかすると、とんでもない商品を掴まされている可能性があるからだ。
「そんなことを言われても私だって投資のことなんか・・・」と言いたい人はいるだろう。
そういう人は親を不幸にしないために、自分の未来を切り拓くために投資の勉強を始めるといい。
スティーブ・シーボルト(Steve Siebold)著、弓場隆訳の「金持ちになる男、貧乏になる男」(How Rich People Think)には、こんなことが書いてある。
「貧乏になる男はお金を『貯める方法』を子どもに教え、金持ちになる男はお金を『投資する方法』を子どもに教える。」(筆者はお金を貯めること自体が悪いということでなく、恐怖にかられた安全思考が悪いと言っている。要は損するのが怖い、失敗するのが怖いという気持ちで貯金に走るのが良くないということだ。)
「貧乏になる男は資産形成と家庭生活が『両立しない』と考え、金持ちになる男は資産形成と家庭生活が『両立する』と考える。」
これをどう取るかは貴方次第だ。

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国民生活センターに寄せられる「投資信託の苦情相談件数」が過去最高を更新している。(2012.10.29 モーニングスター朝倉智也が投資信託を語る!)

2011年度は1792件で、リーマンショックが起こった2008年度も上回った。
2012年度も6月末迄に既に前年同月比で100件以上増加しているという。
相談者の約80%が60歳以上の高齢者で、購入ルートも対面の証券会社や銀行が9割以上。

「投信の時代」と言われて久しいが、家計全体に占める投信の比率はわずか4%、投信全体の残高も依然として60兆円程度である。
投資家へのきちんとした説明がなされず、相変わらずの販売姿勢が続く限り、本格的な投信の時代は訪れないだろう。

現在、金融庁で行われている投信に関する改善策の中でも、毎月分配型ファンドに関わる規制は、各社の差別化戦略として、その運用や販売は各社に委ねられ、規制そのものはどうやら見送られそうである。

投信投資家の裾野を拡大しようとしても、今まで通りの販売姿勢であれば、何も変わらない。
ただ、逆に投資家一人一人の投資目的にあったアドバイスがきちんとなされれば、それ自体が大きな差別化要因となる。
運用力や商品力は、他社にはいずれキャッチアップされる。
当たり前のことだが、販売員一人一人が投資家に真摯な姿勢で向き合うことこそが、競争優位の源泉となる。

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世界の大金持ちは、どんな金融商品を選ぶのか
(2012.7.2 President by 藤原敬之)

■ゾッとする日本の証券営業

日本人はなぜ投資下手なのか。
ひとつの原因として私が思うのは、投資家に対するきちっとしたアドバイザーがいないことです。
日本の証券会社の営業マンや、銀行窓販の人たちは、アドバイザーでもなんでもありません。

私が以前、知人に頼まれてアドバイスをした方がいらっしやいます。
旦那さんが亡くなられて、遺産を相続された女性なのですが「では相続された金融遺産をちょっと見せてください」とお願いしました。
実際に目の前にしてビックリしました。
ぜんぶ投資先やリスクも似た類似商品でした。
これではリスクの分散になりません。

証券会社も銀行窓販も、全く同じような商品を、資産分散も何もせず、一人の人間にどんどんはめ込んでいたのです。
お客さんのことを考えたら、この商品をこれ以上この人に売ってはいけない。
そう考えるのが本当のコンプライアンスだと私は思うのですが、そんなことは何もされていない。
私はゾッとしました。
もちろん相当解約させていただきました。

これが日本の証券、または銀行の、個人の客に対しての営業のやり方なんです。
自分たちが売りたい、今売らなくてはならない商品在庫を捌く。
それしか頭にありません。
本当にお客さんのことを考えてアドバイスができるところはないのではないかと思います。
証券会社や銀行がこのスタンスでは、日本で投資家が育ちにくいのも無理はないと私は思ってしまいますね。

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