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2012.06.30

米国高配当株-PIMCO High Income Fund (PHK)を買ってみた

4月27日のコラム「毎月高配当の米国株(High Yield Monthly Dividend Stocks)」を書いたとき、具体的に投資する銘柄については後日選定することになるだろう、と書いたが、5月18日付の株価水準から見た各銘柄の配当利回りなどをエクセルファイルに落として検討した結果、去る6月19日にPIMCO High Income Fund (PHK)を買ってみた。
当初、PHKの買付に使った資金はFacebook (FB)に投資する予定だったのだが、あまりにも期待外れで買うのをやめたため、結果的にPHKに投資することにしたのだ。
もっとも、これより配当利回りがいい銘柄もあったが、ファンドハウスが安定感のあるピムコ(PIMCO)であれば、中途で償還されたりする可能性が低いと思ったからだ。

ちなみに、この時のPHKの買付価格は1株13.2182ドル(約1,050円)、予想月額配当が1株0.122ドル(約9.6円)、年換算配当利回りが約9%、銘柄にファンドと名は付いているが、米国市場に上場されている普通株と同じように買えるので、私が口座を持っているTDAmeritradeの場合、手数料は何株買おうが、わずか9.99ドル(約790円)である。
同じような毎月分配型の投資信託を日本の証券会社で買うと、手数料がバカ高くてパフォーマンスが落ちるのと、タコ配ファンド(橘玲 毎月分配型投信の不都合な真実)の可能性もあるので、日本で投資する場合でもインターラクティブ・ブローカーズ証券など米国株に投資できるところを使って個別銘柄を買う方がいいだろう。

この類の銘柄のほとんどは高利回りの債券で運用されているようだが、株式の値上がり益も期待したいのならING International High Dividend Equity Income Fund (IID)や、Eaton Vance Enhanced Equity Income Fund II (EOS)といったところが面白そうである。
これなら株価が安いときに仕込めば、毎月の配当と、将来の値上がり益の二兎を追うことも可能だ。
参考までにブラジルの銀行株であるBanco Bradesco (BBD)も配当率は低いものの毎月配当が出ている。
今は新興市場が低迷しているが、長い目で見た場合、このような株に投資していくのもいいと思う。
新興市場株の場合、個人が個別株を買うことが難しい場合も多いが、BBDのような株は米国預託証券(ADR=American Depositary Receipt)として米国市場に上場されているので、そのような銘柄はStocksAbroad.comで探すといいだろう。
ちなみに、これらの米国株の情報を日本語で得たい場合は、MSN Money 株式から「株価検索」の「銘柄、指数、またはファンド名」に銘柄コード(ticker symbol)、国を米国にして検索すればよい。

そして、肝心の配当金の受取だが、しばらくTDAmeritradeのウェブサイトのDeposits & Withdrawals(入出金)のところを見ていなかったので気付かなかったのだが、cash transfers(送金)の項目でenter the transaction date(取引日)にfrequency(頻度)としてmonthly(毎月)を選択すると、自分で設定した日に指定口座に送金できることがわかったのだ。
これなら最初くらい本人確認の電話が英語であってもいいだろう。
今は小額しか投資していなので、配当金はそのまま再投資に回すことになるだろうが、将来まとまった金額を投資できるようになったときは、配当金を生活原資として有効活用することになる。
これで、また早期退職という目標に一歩近づいたという感じだ。

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2012.06.17

不死鳥の日本人ビジネスマンは再び世界で輝く

2009年7月8日号のニューズウイーク日本版は「世界が尊敬する日本人100人」という特集記事を掲載していた。
この雑誌では数年に1回、こうした「世界が認める日本人」といった記事を載せることがあり、非常に頼もしく思えたものだ。
ここに登場する人たちは、個人で才能を発揮して世界で認められている所謂職人肌の人が多かったように思う。
そして、今月6日付のFinancial Times紙は、アジア編集長デビッド・ピリング(David Pilling)氏の「日本を去る企業トップのパレードは、日本の経済界が世界から引きこもりつつあるかのような印象を与えた。日本の引きこもり具合を表す言葉として東京にいるとよく聞こえてくる表現が、「内向き」だ。しかし日本の経済界を見渡せば、「内向き」という印象にはささやかな欠点がひとつあるのが分かる。真実とは正反対だという。外国人重役たちは日本を離れているかもしれないが、日本人重役たちはこぞって海外へ出ているからだ。」から始まる「Sayonara decline! Japan is globetrotting again(衰退よ、さようなら!日本はまた世界を駆け巡る)」という記事を配信した。

かつて日本人ビジネスマンは日本の製品を売るために世界中を駆け巡った。
それが20世紀後半の世界第二位の経済大国の礎を築いたのは間違いない。
ところが、バブル経済が崩壊し、1990年代以降の失われた20年もの間、日本企業のほとんどは、まさに「内向き」思考で、ほとんど役に立たない政府を相手に景気対策してくれの合唱に明け暮れていたように思う。
しかし、今、再び日本人ビジネスマンは世界を相手に闘おうとしている。
時期的に言えば、海外志向が加速したのは東日本大震災の後だろう。
当時、日系メディアでは、日本企業が日本を捨てて出て行くといったネガティブなイメージばかりで書かれていたように思うが、リーマンショック後の円高基調と、大震災による電力危機が、海外に活路を見出すしかない、と腹を括らせたのも事実だろう。
まさに「座して死を待つよりは戦って死すべし」の心境だろうか。

内に引き篭もって「クレクレ!(何とか)シテシテ!」と言っている人が溢れているような記事で埋め尽くされている日系メディアの記事を読むとそんな感じを受けないが、日本人のポテンシャルはまだまだ高いのだ。
私の友人であるワールドインベスターズの石田和靖氏は言う。
「世界には日本人と仕事をしたいと言っている人がたくさんいるんだ!」と・・・
デビッド・ピリング(David Pilling)氏は、「多くの日本企業がどんどん海外に進出して行くこの事実は、日本経済界がまだまだ元気だという印であって、一部で言われるがような果てしない衰退の印ではない。(The fact Japan's companies are venturing forth in increasing numbers is a sign of continued vigour in corporate Japan - not, as some would have it, of interminable decline.)」と締めくくっている。

約2年前、楽天とファーストリテイリング(ユニクロ)が社内の公用語を英語化するといって世間の耳目を集めた。
「日本企業を脱し世界企業へ」といった楽天のような国際事業戦略を取る企業はこれからも加速度的に増えるだろう。
そんな時代に、英語なんて勉強したくありません、海外なんて行きたくありません、と言っていたらまともな就職先はないだろう。
多くの就活学生が、英語(外国語)ができないために、国内の狭き門に殺到して苦労している原因の一つに、国民に対してまともな英語教育を施さず、論理的思考を育まなかった文部科学省(政府)と、国際ビジネスマンを育てよと政府に要求した北欧諸国の企業とは違って、それを座して見ていたカビ臭い財界首脳、それらを全く批判しない日系メディアにあるのだが、それを今更嘆いても始まらない。
世界で輝く不死鳥のような日本人になるために、あるいは自分の子どもたちをそうするために、自分でできる限りのことをやろうではないか。

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Sayonara decline! Japan is globetrotting again (June 6, 2012 Financial Times)
衰退よ、さようなら!日本はまた世界を駆け巡る (2012.6.12 goo ニュース)

Michael Woodford of Olympus. Sir Howard Stringer of Sony. Craig Naylor of Nippon Sheet Glass. The cavalcade of foreign executives to leave the helm of Japanese companies in recent months is long. Shorter is the list of those who remain. Easily the most famous of whom is Carlos Ghosn, the Brazilian-born French businessman who still heads Nissan after coming to Japan a decade ago. No wonder people have started calling him Ghosn Alone.

オリンパスのマイケル・ウッドフォード、ソニーのサー・ハワード・ストリンガー、日本板硝子のクレイグ・ネイラー。ここ数カ月の間に日本企業のトップを去った外国人CEOの行列はかなり長い。残る外国人トップのリストはそれに比べると短い。おそらく一番有名なのは、ブラジル出身のフランス人ビジネスマン、カルロス・ゴーン日産社長だ。約10年前に来日して以来、今なお日産自動車を率いている。最近では「ゴーン・アローン」と呼ばれているのも無理もない(訳注・映画「ホーム・アローン」にひっかけている。「ゴーンだけ」「ゴーンは独り」などの意味)。

The parade of departures - Mr Woodford's after helpfully exposing a $1bn fraud - has given the impression that corporate Japan is retreating from the world. A word one hears a lot in Tokyo these days is uchi-muki (inward- looking) to describe the phenomenon of a country drawing in on itself.

日本を去る企業トップのパレードは、日本の経済界が世界から引きこもりつつあるかのような印象を与えた(ウッドフォード氏は10億ドル規模のスキャンダルを暴露してくれた後に、去っていった)。日本の引きこもり具合を表す言葉として東京にいるとよく聞こえてくる表現が、「内向き」だ。

But look at corporate Japan and this impression has one slight flaw: it is the exact reversal of the truth. Foreign executives may be leaving Japan but Japanese ones are flocking abroad. They may not be making the splashy deals that grab headlines. Yet Japanese companies are second only to those of the US in making foreign acquisitions. In the first five months of 2012 alone, according to Dealogic, Japanese companies spent $35.4bn on foreign targets. That puts them on track to equal last year's record of $83.7bn. This year, Japanese companies have accounted for 11 per cent of all cross-border deals by value, against 9 per cent for 2011 and just 2-3 per cent for most years in the past decade.

しかし日本の経済界を見渡せば、「内向き」という印象にはささやかな欠点がひとつあるのが分かる。真実とは正反対だという。外国人重役たちは日本を離れているかもしれないが、日本人重役たちはこぞって海外へ出ているからだ。海外で向かう日本人重役たちは大きな見出しになる派手な取引をまとめたりしないかもしれないが、海外での買収案件の件数で、日本企業はアメリカに次ぐ世界2位なのだ。調査会社ディーロジックによると、2012年の1~5月だけで、日本の企業は海外企業に対して354億ドルを使っている。このペースでいけば今年も、昨年1年間の837億ドルに匹敵するだろう。今年行われたクロスボーダー取引の全評価額の11%に日本企業が関連している。2011年は9%で、過去10年間は年わずか2~3%というのが専らだったのだが。

Japanese companies, in other words, are substantially ramping up their international push. Last year they spent $25bn more than Chinese companies. True, no one really noticed. That is because Japanese purchases, shocking in the late 1980s, have become routine. Who could forget, for instance, this year's $1bn grab by Glory, Japan's top cash-handling machine manufacturer, for Talaris Topco, its UK rival? (If truth be told, the deal never made the pages of the Financial Times.) Or Asahi Kasei's bold $2.2bn acquisition of Zoll Medical? Even deals that did make ripples, such as Marubeni's $5.6bn bid for Gavilon, a US grain trader, have hardly set the world alight.

つまり日本企業は、海外進出をかなり強化しているということだ。日本企業が昨年1年で海外に投じた資金は、中国企業よりも250億ドル多かった。確かに、これをまともに気に掛けた人はほとんどいない。なぜかというと、1980年代にあれほど大騒ぎされた日本企業による海外資産買収は、今では当たり前のものになっているからだ。たとえば今年、日本の通貨処理機大手グローリーがイギリスの競合他社タラリス・トプコを10億ドルで獲得した、あの買収劇を誰が忘れられようか(実を言えば弊紙『フィナンシャル・タイムズ』もこの取引を報道していない)。あるいは旭化成が22億ドルで米医療器具メーカー、ゾール・メディカルを獲得する大胆な取引はどうだ。丸紅が56億ドルで米穀物商社大手ガビロンを買収した案件は、多少の話題にはなったが、世界中が大騒ぎしたというわけではない。

Yet these are precisely the deals Japanese companies should be making. Of course, the merits of these particular acquisitions have yet to be tested. Glory was punished by the markets for what some considered a risky foray. But these are far from the vanity acquisitions of the Rockefeller Center or Pebble Beach for which Japanese companies were once famous.

しかし日本企業は今まさに、こういう取引を進めるべきなのだ。もちろん一連の買収が日本企業にどういうメリットをもたらすかは、これから試されることになる。グローリーによるタラリス・トプコ買収は危険な賭だという意見もあり、市場は否定的に反応した。それでもこれは、日本企業がロックフェラーセンターとかペブルビーチを見栄のために買収していたのとは訳が違う。日本企業による海外買収といえばそういうものと有名だったが、今では様相はまったく変わっている。

It is not just acquisitions. Japanese companies, spurred on to look overseas by a flat domestic market and fears of energy shortages, are quietly shifting production abroad. By 2014, according to Jesper Koll, director of equity research at JPMorgan, more than three-quarters of Japanese cars will be produced overseas. In 2005, it was just half.

話は買収に留まらない。停滞の続く国内市場やエネルギー不足の懸念から、日本企業は静かに、生産拠点を国外に移転させている。JPモルガン証券のイェスパー・コール株式調査部長は、2014年までに日本車の4分の3以上は海外で製造されるだろうと言う。2005年にはまだ半分に過ぎなかった。

It is hardly surprising that Japanese companies should be looking abroad. Emerging markets, in particular, offer faster growth while the strong yen, now at roughly 79 yen to the dollar, makes acquisitions seem cheap. In January, Yukio Edano, trade and industry minister, told the FT that Japanese businesses "should use the strong yen assertively to invest and buy things". They have taken him at his word.

日本企業が海外に目を向けているのは、まったく驚くに値しない。とりわけ新興市場の成長率は日本より高いし、現在1ドル=約79円で推移している円高のおかげで、買収コストは安く感じられる。枝野幸男経済産業相は今年1月、『フィナンシャル・タイムズ』に対して、日本企業は円高を積極的に利用して投資したり、ものを買った方がいいと話した。そして日本企業は、枝野氏の言うとおりに行動している。

Mr Edano also pointed out that Japan, with its nuclear plants closing one by one, was short on resources. "So we need to use this opportunity to firmly secure rights to energy and commodities." Again, Japanese companies are responding. Four of the top 10 deals made this year have been in oil and gas, with purchases in Australia, Canada, the US and UK.

枝野氏はさらに、原子炉がひとつひとつ停止していく日本は、資源に乏しい国だと指摘している。だからこその機会を使って、エネルギーや商品に対する権利をしっかり確保しなくてはならないと。この要請にもまた、日本企業は反応している。今年成立した買収上位10件のうち4件は石油・ガス関連で、オーストラリア、カナダ、アメリカ、イギリスの企業を買収している。

Foreign acquisitions are a logical step for Japanese companies. Still, they should be careful. They have a tendency to overpay. Since 2000, they have forked out an average premium of 28 per cent above the previous day's closing price, 5 percentage points above the global norm. They are also a little too honourable. Daiichi Sankyo stuck to its offer for Ranbaxy even when the Indian drugmaker’s share price wilted. Daiichi ended up taking a 360bn yen hit when it was found that Ranbaxy had serious regulatory problems in the US.

日本企業にとって海外企業買収は論理的な動きだ。その一方で、慎重さも大事だ。日本の会社は、払いすぎる傾向があるからだ。日本企業は2000年以来、前日終値に対して平均28%のプレミアムを払ってきた。これは世界的な標準より5%高い。日本企業はその上、いささか誠実すぎるのだ。インド製薬会社ランバクシーが株価を大きく下げても、第一三共は提示価格を下げようとしなかった。加えて、ランバクシーが米国で深刻な規制上の問題を抱えていると明らかになると、第一三共は3600億円の評価損を計上する羽目になった。

Nor have Japanese companies always been good at integrating their foreign acquisitions or at extracting synergies. They have at times lacked the nous to do well in emerging markets, producing goods that are too pricey for poorer consumers.

それに日本企業は、買収した外国企業の統合やシナジー(相乗効果)を引き出すのが、必ずしも得意ではない。あまり裕福でない消費者には値段が高すぎる商品を作るなど、新興市場で成功するための知恵に欠けることもあった。

Still, one should not exaggerate the pitfalls nor worry excessively about what is sometimes called "hollowing out". As Japan ages and its economy matures, it is right and proper that its companies look abroad for growth.

それでも、落とし穴を強調しすぎたり、時に「空洞化」と呼ばれる現象について過剰に心配したりするのは良くない。日本が高齢化し、経済が成熟するに伴い、日本企業が成長を求めて海外に目を向けるのは正しく、適切なことだ。

Some will doubtless fail. But the fact they are venturing forth in increasing numbers is a sign of continued vigour in corporate Japan - not, as some would have it, of interminable decline.

もちろん、失敗する企業も出てくるだろう。だが、多くの日本企業がどんどん海外に進出して行くこの事実は、日本経済界がまだまだ元気だという印であって、一部で言われるがような果てしない衰退の印ではない。

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2012.06.16

新政権がどうなろうとギリシャのデフォルトは避けられない

昨日のBBCニュースで、「ギリシャ新民主主義党(ND: New Democracy)のサマラス(Antonis Samaras)党首曰く、ギリシャ総選挙の争点はユーロに残るかドラクマに戻るかである(Greek election is euro versus drachma, Samaras says)」ことが書かれていた。
しかし、仮に救済合意順守派(Pro-bailout parties)が総選挙で過半数を占めたとしても、ギリシャが今後ユーロ圏に残るためには、緊縮財政という名の元に、ギリシャ国民は100キログラムを超えるデブがボクサー並のダイエットを強いられるような生活を長期間にわたって送らなければならず、それに彼らが耐え忍び続けることは客観的に見て不可能と思われる。

対する救済合意反対派(Anti-bailout parties)の多くは、緊縮財政はイヤだけどユーロ圏には残りたいと、とうていドイツが受け入れるとは思えない主張を掲げている。
ユーロを捨て去ってドラクマに戻れ、と明確に主張しているのは共産党(KKE: Communist Party of Greece)だけだ。
救済合意反対派(Anti-bailout parties)が5月6日の総選挙以上の躍進をすれば、ドイツはその時点でギリシャをユーロ圏から切り捨てることを考えるだろう。
そうした場合、ドイツ自身も甚大な影響を受けるだろうが、メルケル(Angela Merkel)首相が、このままズルズルとギリシャ支援を続けるよりマシだと判断すれば、脆弱なギリシャの金融システムは間違いなく終わりを告げることになる。

救済合意反対派(Anti-bailout parties)が躍進した5月6日の総選挙の後、5月16日付のFinancial Times紙はGreek withdrawals stop short of panic(預金流出に揺らぐギリシャの銀行システム)という記事を掲載していた。
明日の再選挙の結果、ギリシャの新政権がどのような形で発足するかにかかわらず、当分の間ギリシャが立ち直れないと思った人たちは、外国に出した資金をギリシャに戻すことはないだろう。
それはギリシャの新政権やユーロ圏の指導者たちが何と言おうと変わらない。
自分の資産を守れるのは国の制度や指導者の言葉ではなく、自分の判断だけだからだ。
そうなれば、いくらユーロ圏の指導者たちがギリシャをユーロから離脱させまいと努力しても、内部からギリシャは崩壊することになる。

また、6月23日号(6月11日発売)の週刊現代にポール・クルーグマン(Paul Krugman)のインタビュー記事「預金流出、そして恐慌が始まる」というものが掲載されていたが、そこで彼は「(ギリシャがユーロを離脱するのは)おそらく早ければ6月だ。6月17日に予定されている再選挙で、財政緊縮策に反対している急進左派連合が大勝すれば万事休す。少しは引き延ばすことができたとしても、6月中に50%の確率でギリシャはユーロを離脱することになる。たとえ6月にそれが起こらなかったとしても、最終的には90%の確率でギリシャはユーロを離脱するだろう。」と述べている。(参考:The Plan for Greece on May 18, 2012 - The Conscience of a Liberal

欧州危機で世界の目がギリシャに向けられている中で、藤巻健史氏は6月14日付で「欧州より日本の国債が心配だ」と書いている。
「南欧と日本、どちらもポピュリズム(衆愚)政治だとしても、南欧の場合は、世界中が注目し騒いでいる。多少なりとも、世界の目というチェック機能がある。それに加えて市場という強力なチェック機能も働いている。長期金利が上昇し警戒警報を鳴らしている。その結果、政治家もそれなりの危機感を持ち真剣に財政赤字問題に取り組んでいる。個人も危機に備えている。皆、シートベルトを締めて緊張しながら事態に対処しているのだ。一方の日本は、世界の目というチェック機能がまず働いていない。さらにまずいことに市場が政治に対するチェック機能を果たしていない。こんなに財政事情が悪いのに長期金利が低位安定してしまって警戒警報を発していない。だからマスコミも政治家も国民も、まだ大丈夫だと能天気でいる。チェック機能が効かないところではバブルは想像を絶するほど大きくなり破裂の衝撃は大きい。それも警戒感が薄いところにショックが来るのだから大混乱が予想される。だから私は南欧諸国より日本の方がよほど憂慮すべき状態だ、と言っているのだ。」

私たちは国家破産状態にある今のギリシャの惨状を見て、将来、自分の資産と生活を守るためにはどうすればいいかを学ばなければならない。
一つの方法は橘玲氏が書いているように「来るべき時代の衝撃に備えて、国家と個人のリスクを切り離せ」ということである。
私は先月、そして来週にも香港へ渡航する。
最初はHSBC香港で新規に口座を開きたいという知人のアテンド(付き添い)程度が目的だった。
しかし、世界情勢が大きく変わってきたため、自分の資産運用の見直しも兼ねるようになった。
それが結果的に「Toward a dream-come-true『経済的自由への扉は開かれた』」となったのは嬉しい誤算だったのだ。

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Greek withdrawals stop short of panic (Financial Times May 16, 2012)
預金流出に揺らぐギリシャの銀行システム (2012.5.18 JBPress)

Greek depositors pulled an estimated 1.2bn euro from their bank accounts on Monday and Tuesday, according to Athens-based bankers, but senior eurozone and Greek banking officials insisted there was no full-scale run on the countries' financial institutions.

アテネの銀行関係者によると、ギリシャの預金者は5月14日、15日の両日で銀行口座から推定12億ユーロを引き出した。だが、ユーロ圏やギリシャの銀行当局者は、金融機関での本格的な取り付け騒ぎは起きていないと主張する。

The Greek banking system could prove the weakest link in the country's efforts to stabilise its finances until a government can be formed after new elections on June 17. Any signs of depositor panic could force eurozone leaders to make bailout decisions without an elected Greek administration in place.

6月17日の再選挙後に政府が樹立されるまで、銀行システムはギリシャの金融安定化を図る取り組みの中で最も弱い部分になる恐れがある。預金者にパニックの兆しが見られたら、ギリシャ政府が発足していない中で、ユーロ圏の指導者は重大な救済の決断を迫られるかもしれない。

The eurozone's 440bn euro rescue fund, the European Financial Stability Facility, moved last month to shore up Greece's banks by transferring 25bn euro in bailout funds to the country's bank recapitalisation agency as part of the new 174bn euro rescue. The funds were released April 19, well before it was clear that Greeks would vote in droves against the terms of the bailout deal in the May 6 election.

4400億ユーロ規模のユーロ圏の救済基金、欧州金融安定機関(EFSF)は先月、ギリシャの銀行のてこ入れに乗り出し、銀行の資本増強を管轄するギリシャの機関に250億ユーロの救済資金を送金した。1740億ユーロの追加支援策の一環だ。資金が送られたのは4月19日。5月6日の選挙でギリシャ国民が大挙して救済策の合意内容に反対票を投じる前だ。

Those funds have not yet been sent to Greece's four largest banks, however, because of negotiations between Athens and bank executives over how much control the government will have in exchange for the influx of cash. Greek officials said the money should be distributed by the end of the week.

だが、この資金はまだギリシャの四大銀行に渡っていない。現金注入と引き換えに政府がどれほど支配権を持つかを巡り、ギリシャ政府と銀行幹部が交渉していたためだ。ギリシャの当局者は、救済資金のうち180億ユーロは週末までに分配される見込みだという。

In a sign of how concerned eurozone officials have become over the financial health of Greek banks, however, the European Central Bank stopped providing cheap loans to some of banks to fund their day-to-day operations because of the recapitalisation delay.

一方で、ユーロ圏の当局者がギリシャの銀行の財務の健全性に懸念を深めている兆候がある。欧州中央銀行(ECB)が資本増強の遅れを理由に、一部の銀行に対して日常業務を賄うための低利融資の供給を止めたのだ。

At present, Greek banks cut off from the ECB's normal funding operations get back-up funding from Greece's own central bank, a process known as "emergency liquidity assistance" or ELA. But even those funds are subject to ECB governing council approval, and the ECB by law is not allowed to approve funding for insolvent banks.

現状では、ECBの通常の資金供給オペから締め出されたギリシャの銀行は、ギリシャ自身の中央銀行から予備の資金供給を受ける。「緊急流動性支援(ELA)」として知られるプロセスだ。だが、こうした資金もECBの政策理事会による承認の対象となり、ECBは法律で、支払い不能状態に陥った銀行への資金供給の承認を禁じられている。

Without such "liquidity operations", Greece's entire banking sector would collapse, forcing eurozone governments to inject even more bailout money. If eurozone governments balked, Athens would be forced to begin printing its own currency.

こうした「流動性オペ」がないと、ギリシャの銀行部門全体が崩壊し、ユーロ圏の各国政府はさらなる救済資金の注入を余儀なくされる。ユーロ圏の政府が二の足を踏んだ場合、ギリシャ政府は独自通貨を印刷せざるを得なくなる。

As a result, a bigger than expected exodus of Greek depositors spooked by the prospect of their euros being turned into drachmas could quickly turn into a make-or-break decision for EU leaders, forcing the ECB or eurozone governments to approve additional funds without any assurances that a new government in Athens would live up to the terms of the new bailout aid. All told, the current bailout programme foresees 48bn euro going to Greek banks.

その結果、自分たちのユーロがドラクマに転換される可能性におびえたギリシャの預金者が予想を上回る規模で逃避すれば、欧州連合(EU)の指導者は運命を左右する決断を即座に迫られる恐れがある。その場合、ECBやユーロ圏の政府は、ギリシャの新政府から救済支援の条件に従うという言質を一切得られないまま、追加資金を承認せざるを得なくなる。現行の救済プログラムでは、全体で480億ユーロの資金がギリシャの銀行に渡る見込みだ。

Although the ECB is prohibited from continuing ELA funding to insolvent banks, it is unclear at what point Greek banks would be deemed insolvent. That gives the ECB considerable leeway to keep Greece's financial system functioning, even in a political vacuum.

ECBは支払い不能状態の銀行に対しELAの資金供給を継続することを禁じられているものの、どの段階でギリシャの銀行が支払い不能と判断されるのかは明白ではない。このためECBには、政治空白の最中でも、ギリシャの金融システムが機能し続けるようにする余地がある。

Senior eurozone officials involved in monitoring the region's banking system said the outflow of deposits from Greek banks thus far were of a manageable scale and fell short of indicating panic. A private banker based in Athens said outflows continued at a slower rate on Wednesday: "We were getting more phone calls from customers today asking for advice but fewer withdrawals."

地域の銀行の監視に携わるユーロ圏の高官らは、ギリシャの銀行からの預金流出は対処可能で、パニックを示唆するほどではないと語った。アテネ在勤のあるプライベートバンカーは、16日は以前より緩やかなペースで預金流出が続いたとし、「今日(16日)は助言を求める顧客からの電話が増えたが、預金の引き出しは減った」と言う。

Officials at the Bank of Greece were not available for comment but there was anecdotal evidence that the banking system was beginning to show strains.

ギリシャ銀行(中央銀行)の当局者からはコメントを得られなかったが、銀行システムが疲弊し始めたことを示す断片的な証拠がある。

Bank customers in Maroussi, a business and residential district in Athens, said several branches had run out of cash by midday. "You now have to place an order the day before if you want more than one or two thousand euros," said a restaurant owner.

アテネの商業・住宅街マルーシ地区にある銀行の顧客は、いくつかの支店で昼までに現金が尽きたと話している。「今では、1000ユーロ、2000ユーロ以上のお金を引き出したければ、前日に注文を出しておかなければならない」と、あるレストラン経営者は言う。

"It's manageable for the moment but the system has become very leaky," said another Greek banker.

また、あるギリシャの銀行関係者は「今のところ対処はできるが、銀行システムは極めて資金が漏れ出しやすくなった」と指摘した。

Charles Dallara, head of the Institute of International Finance, a global consortium of major financial groups, said on Wednesday that Greece's exit from the euro would cause Athens to default on all its liquidity loans from the ECB, forcing a massive recapitalisation of the central bank.

世界的な金融機関の団体である国際金融協会(IIF)のチャールズ・ダラーラ専務理事は16日、ギリシャがユーロから離脱すれば、ギリシャ政府はECBから受けている流動性融資を全額デフォルト(債務不履行)し、中銀は莫大な自己資本増強を余儀なくされると述べた。

"We would have a collapse of the Greek banking system, even more than we have today," Mr Dallara told a conference in Dublin. "I read that Europe was prepared for a Greek exit, that the markets had priced this in. Far from it. Who in Berlin, who in Frankfurt, who in London has priced in a wiping out of the capital of the ECB?"

「ギリシャの銀行システムは今以上に大々的に崩壊するだろう」。ダラーラ専務理事はダブリンで開かれた会議でこう語った。
「欧州はギリシャ離脱への備えができており、市場は離脱を織り込んだという記事を読んだ。とんでもない。一体ベルリンの誰が、フランクフルトの誰が、ロンドンの誰がECBの自己資本が吹き飛ぶ事態を織り込んだのか?」

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2012.06.13

ブル・ベア型ETFが日本にも上場

つい先日読んだ週刊SPAにブル・ベア型ETF(上場投信)が日本にも上場していたことが特集されていた。(2012年5月19日-マネー得捜本部 レバレッジ・インバース型ETFで勝負する方法
この中で注目すべきなのは、ベア型のETFで、4月5日に東証に上場されたTOPIXベア上場投信(1569)と、4月12日に大証に上場された日経平均インバース上場投信(1571)の2つ、これらのベア型ETFは、米国市場では非常にポピュラーなもので、Bear Market Central.comというウェブサイトもあるくらいだ。

今まで日本市場で下げ相場に対応するには、証券会社で信用取引口座を開いて株を空売りするか、ベア型の投資信託を買うか、eワラントを買うかしかなかった。
いずれの手法もあまりポピュラーなものとは言えず、ほとんどの日本株投資家は下げ相場に対して、ポジションを閉じてキャッシュにするか、長期投資という言い訳をしながら含み損が増えていくのを眺めているしかなかったように思う。
ところが、このベア型ETFは普通株と同じように取引できるし、追証が発生することも、決済期限があるわけでもない。
奇しくも上場された日が世界的な下げ相場の始まった頃だったため、これらに投資した人はさっそく儲けることができただろう。

私が参加しているワールドインベスターズという海外投資のSNSのメンバーは、これから成長が見込まれる新興国を見つけて開拓していこうというスタンスに満ち溢れている。
ところが、この中で日本株をメインにやってきた投資家のI氏はこう言う。
「皆、これからはタイ株がいい、インドネシア株がいい、モンゴル株がいい、とそれぞれに言うが、実際にはどこがいいか開けてみないとわからない。ところが全員の共通認識は日本株がダメだということだ。だったら日本株をショート(空売り)すればいいではないか。簡単なことだ。」

彼の言うことももっともだ。
もはや目ざとい企業が次々に日本から逃げ出す状況にあって、まともな政策を打ち出せない政府に期待することはできない。
ここ数年、日経平均は10,000円を超えるのに四苦八苦している状況、ならば10,000円の大台、場合によっては9,000円台に乗ったところで、ベア型のETFを仕込めばいい。
ちなみに、今度のターニングポイントは17日、ユーロ離脱懸念が高まるギリシャの総選挙、これを目指して仕込みに入るのも悪くないだろう。

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2012.06.09

スワップ狙いのFXデモトレードの成果

私は、去る3月25日に「スワップ狙いのFX投資で早期リタイアは実現するか」というコラムを書いた後、トレーディング・ポイントという海外FX会社で口座を開き、デモトレードを開始した。
FXで究極の海外投資 為替変動に左右されない金利貯蓄型運用(結喜たろう著)」に書かれている、豪ドル(AUD)/円(JPY)のロング(買)と、加ドル(CAD)/円(JPY)のショート(売)を組み合わせて、為替の激変リスクにヘッジをかけ、スワップの差額を抜くという戦略によって、どの程度枕を高くして寝れるか試してみようと思ったからだ。
幸か不幸か、私がデモトレードを開始して以来、欧州危機再燃で一気に円高局面になったため、この2ヶ月間は絶好の実験台になったが、結果も上々であった。
為替の激変リスクに対して、ヘッジはうまく効いており、期中の証拠金維持率も慌てふためくほどの低下は全くなかった。

私が3月にコラムを書いたとき、結喜氏が言うほどうまくいくわけはないだろう、と自分自身も半信半疑だったのだが、結果は次の通りだ。
最初にトライしたものは、スワップを増やしたいがために加えた米ドル(USD)/メキシコペソ(MXN)のショート(売)が足を引っ張った形だが、単純に豪ドル(AUD)/円(JPY)のロング(買)と、加ドル(CAD)/円(JPY)のショート(売)の組み合わせだけ見れば、枚数(数量)を増やしても安定度があることがお分かりいただけるだろう。
しかし、結論から言うと、証拠金を100,000米ドル入れて、スワップが月額300米ドル程度であるとすると、年利回りにして4%に満たない。

それではレバレッジを上げるか。
私が思うに、それだとポジションが不安定になり、かといって今のままでは投資効率がいいようには思えない。
FXに関しては私は素人同然なので、経験豊かな人からすれば、もっと他にやりようがあるだろう、と思うだろうが、これにて実験は終わりにしたい。
ただ、せっかく口座を開いたので、外貨MMF感覚でレバレッジ2倍の豪ドル(AUD)/円(JPY)のロング(買)だけやることにするか。
それともトレンドが明確になったポジションで一気に勝負に出るときのために何もせず口座だけ温存するか。
いすれにせよ、これでFXが私の投資の柱でなくなったことだけは確かである。

口座通貨:USD レバレッジ:10倍 証拠金:100,000ドル 証拠金維持率:378.92% 取引開始日:2012年4月4日
通貨ペア取引種別数量約定価格6/8現在の価格スワップ為替評価損益
AUD/JPYbuy100,00084.62078.725757.48▲7,421.73
CAD/JPYsell100,00082.72977.486▲245.906,593.89
USD/MXNsell50,00012.7687613.92536308.31▲4,152.85
合計(経過日数:65日)819.89▲4,980.69
口座通貨:CHF レバレッジ:10倍 証拠金:100,000フラン 証拠金維持率:351.14% 取引開始日:2012年4月17日
通貨ペア取引種別数量約定価格6/8現在の価格スワップ為替評価損益
AUD/JPYbuy150,00083.75278.725861.57▲9,111.61
CAD/JPYsell150,00081.48177.486▲280.247,230.34
合計(経過日数:52日)581.33▲1,881.27

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2012.06.03

Toward a dream-come-true「経済的自由への扉は開かれた」

去る5月28日、私はアップグレードされたランガムホテル(The Langham Hong Kong)のプレミアスイートの一室で、琥珀色の液体で満たされたグラスを片手に、今回の旅行を振り返っていた。

Hsbchk

この数日間、私は自分の未来が輝かしいものになるのでは、ということを予感させるほどツイていた。
台北行きのユナイテッド航空のフライトがビジネスクラスにアップグレードされたのを始め、HSBC香港のオーシャンセンター支店(海洋中心分行:九龍尖沙咀海港城海洋中心三階361-5號 Ocean Centre Branch: Shop 361-5, Level 3, Ocean Centre, Harbour City, Tsim Sha Tsui, Kowloon: tel 852-2233-3000)では飛び込みで行ったにもかかわらず、日本語が話せるジョン万次郎ことジョン・ラウ氏(John Lau:彼は本来プレミアの担当者だ)と資産運用の相談をすることができた。(参考:香港マイタン日記-HSBC香港口座開設を完全無料でする方法!
もっとも、私がアドバンス(Advance)の口座を持っていて、追加入金用に持参した豪ドル建の送金小切手が見せ金として効いたのかもしれないが、彼が在席していたことは非常にラッキーだった。

そこで、彼から勧められたAllianceBernstein - American Income Portfolio(fund code: U62407 毎月分配型、豪ドル建の年利回り約8%)は、自分の退職後の理想形とも思えるファンドであったため、即時に購入を決めた。
ちなみに、このファンドのパフォーマンスや配当率などはfact sheetの2ページ目に掲載されている。
2012年3月31日現在で、豪ドル建ファンドの1口当たりの基準価額(NAV: Net Asset Value)は15.32豪ドル、利回り(yield)は8.41%、1口当たりの月額配当(DIV: dividend)は0.1074豪ドルである。
このファンドと、今後投資するであろう、毎月高配当の米国株(High Yield Monthly Dividend Stocks)は、私の退職後の生活資金の両輪となるだろう。

今の私は仕事のことなど頭の片隅にもない。
また、今後は50代前半で早期退職するという自分自身の進路について悩むことはないだろう。
今回の旅行は、自分の進路が決して間違ったものではない、ということを強烈に暗示しているからだ。
そして、帰国後、私は旅行紀のタイトルを「早期リタイアの実現のために(1)-香港・マカオ旅行」と変えた。
私はもう後戻りする気はさらさらないのだ。

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10年以上前、私が木村昭二氏の「税金を払わない終身旅行者」という本に出会ったとき、終身旅行者(PT: Perpetual Traveler)になることは、単なる憧れであり、夢に過ぎなかった。
終身旅行者(PT: Perpetual Traveler)という概念を提唱したW.G.ヒル(W.G. Hill's)博士曰く、彼らは国籍を持つ国(Passport and Citizenship)、居住国(Legal Residence)、ビジネスを行う国(Business Base)、資産運用を行う国(Asset Haven)、そして、余暇を過ごす国(Playgrounds)の5つを目的に応じて使い分け、合法的な節税を行っているという。
そこまでいかないまでも、体力のある50代前半でサラリーマン生活におさらばをし、世界中を旅して歩きたいというのは私の夢であった。

もちろん、そうなるためには経済的自由(働かなくても暮らしていける状態)になる必要があり、その一つの方法が海外投資であった。
ところが、50歳でリタイアするとして、公的年金が受給できる65歳までに毎月30万円の生活費が必要と仮定すると、原資を年利4%(外貨建債券など)で運用できたとしても、最低約4,300万円の資金をリタイアまでに準備しないといけなくなるのに加え、これは65歳までに原資がゼロになる試算となるため、年金支給開始年齢の引き上げが政策課題となっている今の日本の社会情勢からして大きなリスクがあることは火を見るよりも明らかである。<資金係数表(Excel)の年金現価係数 (The present value factor for annuity)による試算>
当然ながら、これでは老後の不安が若干解消されるだけであって、少なくとも定年を迎える60歳まで働かなければならない、という現実から逃れることはできそうもなかった。

今年の3月16日、私は名古屋で親しい友人たちと飲んでいた。
その中の1人が言った。
「FXのスワップ金利だけで生活することは条件次第では可能だよ」と・・・
私は彼の話を聞いているうちに高揚感が増してきた。
そして、自分なりに整理したものが、3月25日付の「スワップ狙いのFX投資で早期リタイアは実現するか」というコラムだ。
それでもFXのスワップを生活資金の柱にするにはリスクが高すぎるため、私は別の資金源も模索していたが、今回HSBC香港で買った豪ドル建ファンドの予定利回りが、レバレッジ2倍の豪ドル/円のロングの予想スワップ金利とほぼ同じのため、FX投資は退職後の生活資金の候補から外すことにした。
もっとも、私のやってきたシミュレーションは、レバレッジ10倍の豪ドル/円のロング、カナダドル/円のショートの組み合わせで、為替相場の激変リスクにヘッジをかけ、スワップの差額を抜くというものだが、今後は、これについても熱心に取り組むつもりはない。

しかし、私が口座を持っているトレーディング・ポイントなど、日本語対応可能な海外FX会社で、現在、最強通貨と言われるスイスフラン(CHF)を口座通貨(Account Currency)とし、高レバレッジをかけておくことは、リーマンショック級の世界恐慌(例えば日本国債の暴落局面)に襲われたときのリスクヘッジとして極めて有効である。
もちろん、平時は送金ルートだけ確保しておいて、トレードは練習用としてデモ口座に留めておき、万が一のときに、トレンドが明確になったポジションで一気に勝負に出るのである。
もし、平時でもスワップが欲しいなら、レバレッジを1倍に落としてポジションを持てばいい。
これなら外貨MMF感覚で持っていられるし、ショートポジションがスワップを生むならそのようにもできる。
豪ドル/円のロングや、米ドル/メキシコペソのショートのスワップが、スイスフランで入金される。
こんなことは海外FX会社でなければできない芸当だ。

そして、次に私が考えたのがダイワ米国リート・ファンド(毎月分配型)への投資だ。
これについては4月22日付の「500万円の投資で毎月10万円、年率20%の分配金で束の間の宴を楽しもう」というコラムで書いたが、正直言って、これが退職後の生活資金の柱にできるならこれほど楽なことはない。
それができないのは、橘玲氏が「毎月分配型投信の不都合な真実」で書いているように、毎月の分配金が歪な形で出ていることで、このような状態が長続きすることはなく、それゆえ、束の間の宴を楽しもうという表題になったのだ。
しかし、今のところ、年率20%近い分配金は魅力的であることに変わりはなく、基準価額が下落した場合でも、それがリスクの許容範囲に収まっている限り、保有を続ける価値があるとして、私は投資に踏み切った。
貰った分配金は同じファンドの再投資には回さず、別の投資に回すか、在職中は1年に1回くらい、往復ビジネスクラスの長距離旅を楽しむというプランもいいかなと思っている。

この類のファンドへの投資は、懐疑的な意見も多いだろうが、私はあえて言おう。
日本の公的年金もすでに日本の毎月分配型投信と同じ運命にある。
学習院大学経済学部教授の鈴木亘氏は、2012年3月29日付のブログ「年金積立金は、本当はいくら残っているのか?」で、厚生労働省の第1回社会保障審議会年金部会へ提出された資料[基礎年金国庫負担について-P14『年金積立金及び取り崩し額の推移』」を元に、現在の40代の人たちが年金受給資格を得られる2030年代には公的年金の積立金の枯渇が避けられないと論じている。
日本の毎月分配型投信の分配金のほとんどはタコ配だが、日本の公的年金も大した違いはないとわかるだろう。
「同じタコなら食べられるうちに食べる」ということだ。
日本の公的年金は65歳まで待たないと貰えないが、毎月分配型投信の分配金を貰うのは今すぐにでもできるからだ。

4月27日付で書いた「毎月高配当の米国株(High Yield Monthly Dividend Stocks)」、これは退職後の生活資金の両輪の一つである。
実のところ、HSBC香港で米国株口座を開いて、これらの銘柄に投資しようと考えていたところに、ジョン・ラウ氏(John Lau)氏から提案があったのが、AllianceBernstein - American Income Portfolio(毎月分配型、豪ドル建の年利回り約8%)というわけだ。
私が追加入金しようと持参したのが豪ドル建の送金小切手だったので、余計にそうだったのかもしれないが、米国株の配当金の源泉税の扱いは彼らでもわからないらしく、結局のところ、自分で投資して確認してみないといけないようだ。(参考:投信フォーカス 取り戻せない「海外源泉徴収税」の実態を知る オフショアな海外投資日記-香港証券会社を通して米国株を購入すると、海外居住者であっても香港人扱いになる。

もっとも、私の場合はTD Ameritradeで投資をすれば済むことなのだが、マネーロンダリングの関係で、米国証券口座で得た配当金をHSBC香港へ送金するのに、本人確認の電話などの煩わしさがあるということを言っていた人もいて、オンラインでスムーズにできるかわからないので、香港で米国株に投資した場合、配当金の源泉税がどうなるか確認したかったのだ。
また、このとき自分なりに高配当株のリストをエクセルファイルにまとめてみたので、投資したいという方は参考にするといいだろう。(日本語の情報はMSN Money 株式から「株価検索」の「銘柄、指数、またはファンド名」に銘柄コード(ticker symbol)、国を米国にして検索すればよい)
主に、米国のハイイールド債を中心としたファンドが多いようだが、今後は、7~8%以上の高配当が期待でき、値動き(リスク)が小さい銘柄を見つけることに尽力しようと思っている。
もっとも、米国株口座の魅力の一つはショート戦略が自在に取れること、リーマンショック級の世界恐慌(例えば日本国債の暴落局面)に襲われたときに備えてETF Database - Inverse Equity ETF List、あるいはList of Inverse ETFs (Short ETFs / Bear ETFs)をブックマークしておこう。

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