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2010.11.04

カウチサーフィング(couch surfing)はIT時代の究極の異文化交流か

海外旅行は私の趣味の一つであるが、つい最近までカウチサーフィング(couch surfing)というのを知る由もなかった。
このカウチサーフィングというのは、世界中を旅する人たちが、お互いに一宿一飯(本来の意味は旅の途中で、一晩泊めてもらったり、食事を恵んでもらったりして、他人の世話になること。カウチサーフィングは原則として泊めてもらうだけである。)の恩義に預かるもので、究極の格安世界旅行とも言われている。(mixiのアカウントを持っている人はコミュニティがあるので参加してみるといい)
私がこれを知ったきっかけは、橘玲氏の著書「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」の中の「バックパッカーのサーフィン」という一節で紹介されていたからだ。

実のところ私もインターネットを介して知り合った人のところへ泊まりに行ったことはあるが、その前段として飲み会で会ったりして、お互いが信頼できるということを確信した上で泊まりに行っていた。
ところが、このカウチサーフィングはウェブ上だけのやりとりで完結させてしまうという。
このサイトにおけるメンバーの信頼度を保証するのは、ネットオークションと同じように、現に取引(交流)した者同士の評価である。
言わば、ネットオークションにかけるのは「自分自身」というわけだ。

ずいぶんと大胆なシステムだと思うが、よくよく考えてみると、そうでもないことがわかる。
要は、ドミトリーなどで知り合った者同士が、次の宿泊先ではゲストハウスのツインルームで泊まるということはよくあることだ。
そう考えれば、最初に知り合うのがドミトリーかネット上かの違いでしかない。
ドミトリーだったらリアルに会っているからネット上より安全では?というのは私が思うにあまり関係ない。
なぜなら数日程度は悪人がネコを被っていることは十分に可能だからで、そのリスクはネット上で知り合うのと大差がない。

一方、橘玲氏は、「ネットオークションでは悪人が善人になり得る」とも言う。
この論理が正しければ、カウチサーフィングで知り合う人の方が、ドミトリーで知り合う人よりもリスクが少ないということが言えるかもしれない。
その理屈はネットオークションで悪事を働こうとする者が、事前準備として一生懸命にネコを被り善人としての評価を積み上げると、結果として悪事を働こうとするときに、このまま善人としての評価を維持した方が得ではないか、というジレンマに陥り、最終的には悪事を働く必要がなくなる、ということだ。
このような不思議なことが起こるのは、ネットオークションがネガティブな評価よりポジティブな評価に高い価値があるからだといい、その理屈でいくとカウチサーフィングがごく少数のトラブルで済んでいるということの説明がつく。

ここまで来てカウチサーフィングで知り合った男女が泊まった場合、俗に言う「出会い系」サイトと何が違うのかと思うだろう。
一番の違いは評価がオープンなのかクローズなのかの違いだろう。
私は「出会い系」サイトのことをよく知っているわけではないが、この種のサイトで○○さんは誠実度10点です、という評価が掲載されることがあるだろうか。
インターネット黎明期のネットオークションがこうした第三者評価の制度がなく、しばしば詐欺の舞台となっていたことを考えれば、クローズのサイトのリスクがわかるのではなかろうか。

私もここまで様々なインターネットを介して多くの人と知り合った。
普通に生活していれば会うことはなかっただろうし、会ったとしてもお互いに通り過がりの旅人で終わっていたはずだ。
一時期、異業種交流会などというものが流行ったことがあったが、そんなところへスーツを着て名刺を配りに行かなくとも、私たちはインターネットを介して知り合った職業も世代も生活スタイルも違う友人たちと、”リアル”に何も意識することなしに交流している。
考えてみれば、これはIT時代が生んだ奇跡とも言えるのではないか。
未だにネット上の交流なんて危なくないのか、などと言っている旧世代の人から見れば、私たちはロケットに乗って月へ飛んでいく宇宙飛行士のようなものかもしれない。

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バックパッカーのサーフィン (橘玲著 「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」)

バックパックひとつで世界じゅうを旅するとき、これまではドミトリーと呼ばれる相部屋に泊まるのがふつうだった。
ところが アメリカ人のプログラマー、ケーシー・フェントンは、休暇でアイスランドを旅行したとき、もっと安くて便利な方法があることを思いついた。
アイスランド大学の学生1500人に、もしよければ泊めてもらえないか、とメールしてみたのだ。
そうしたら驚いたことに、50人を超える学生から、「カウチ(ソファ)でいいならどうぞ」という返事がきた。
そこでフェントンは、カウチの交換をコミュニティにしたら便利なんじゃないかと思いつき、これを「カウチサーフィング」と名づけてホームページを開設した。
ここに登録すると、ホストとなって無料でカウチを提供したり、カウチサーファーとなってカウチを貸してもらったりできる。
このホームページには200ヶ国130万人のメンバーが登録されていて、カウチをサーフィンしながら宿泊費ゼロで世界じゅうを旅している。

なぜこんな仕組みが可能になったのだろうか。
その背景には、誰かと部屋をシェアするのが当たり前、という欧米の若者たちの文化がある。
朝起きたらルームメイトの友だちがカウチで寝ているなんて日常茶飯事だから、知らない人間がいたって彼らはたいして気にしないのだ。
でもこれは、当然のことながら、かなり危険な企てでもある。
宿泊者がバックパッカーを装った犯罪者だったり、ホストが若者を狙う変態だったりする可能性があるからだ。

そこでカウチサーフィングでは、登録者の評判をネット上で閲覧できるようにした。
ホストやサーファーが利用後に相手を評価し、それが自己紹介欄に表示されるのだ。
いちどホームページを見ればわかるけど、メンバーの多くは実名と顔写真をアップしている。
彼/彼女がポジティブな評価をたくさんもらっていれば、安心して泊まりにいくことができる(安心して泊めることができる)。
宿泊依頼に応じるかどうかは自由だから、カウチサーフィングでは、誰もが相手に親切にして高い評価を得ようとする。
すなわちこの仕組みでは、「親切」がゲーム化されている。
それ以外にも、カウチサーフィングで知り合った友だちのリストがアップされていて、メンバーの人間関係がわかるようになっている(評価の高い友人がたくさんいれば信用度も上がる)。
主要メンバーによる保証制度(ヴァウチング)や、クレジットカードを使った身分確認の仕組みもある。

こうしたさまざまな「評判」機能によって、2004年の開始以来何百万件もの利用があったにもかかわらず、トラブルはきわめて少ない(2009年に、香港人の女性カウチサーファーがイギリスのホストにレイプされたと訴える事件があった)。
こんなことが可能になるのは、インターネットの登場によってグローバルな人間関係が可視化できるようになったからだ。
ネット上で知り合うだけではなくて、いまでは誰もが世界じゅうに”リアルな”交友関係をつくれるようになった。
これは、スゴいことだ。
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関連サイト

世界中に無料の宿泊先カウチサーフィン
カウチサーフィン体験記

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受信: 2010.11.06 02:20

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