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2010.10.24

アフリカを食い荒らす中国

私の手元に「アフリカを食い荒らす中国」という本がある。
この中では、冷戦が終わってから旧宗主国のフランスが政治的にも経済的にもアフリカから身を引いていったのとは全く対照的に、21世紀になってからは中国が深くコミットメントしていることについて書かれている。
その最も大きな理由は、プロローグに書かれているコンゴ共和国(Republic of the Congo)の大統領顧問セルジュ・モンブリ(Serge Mombouli)が言う「中国人がくれるものはわかりやすい。欧米人がくれるのものは、目に見えない高貴な観念ばかりだ。電気も仕事もないところで、『透明性』や『グッド・ガバナンス』など何の役に立つのだろうか。民主主義では食えないのだ。(Tangible development means you can see, you can touch. We need both. We cannot be talking just about democracy, transparency, good governance. At the end of the day, the population does not have anything to eat, does not have water to drink, no electricity at night, no industry to provide work. So we need both. People do not eat democracy. - Congo and China Forge Economic Partnership -)」という一言に集約されるだろう。

つまり、IMF(国際通貨基金)を始めとする国際機関や西側諸国の援助には「民主主義、良き統治、人権の尊重」という(アフリカ諸国の統治者にとっての)規制が課されているのに対し、中国の援助はそんなことを棚上げしても構わないものであるからだ。
元より「民主主義」や「人権」のない中国政府自身がそんなことを言える立場でない。
従って、お互い(中国人とアフリカの政府要人)が稼げればそれでいいではないか、という中国の態度は「民主主義、良き統治、人権の尊重」と全く無縁なアフリカの独裁者たちを大いに喜ばせた。
このことが中国のアフリカでの成功の一因であると同時に、特筆すべきは、「中国人がリスクを負い、長期的にアフリカと関わってきたことが大きい。」と筆者は書いている。

かつて、帝国主義時代にはアフリカを舞台に英国とフランスが覇権争いをしてきたが、今や中国と米国が覇権争いを演じていると言われている。
中国は経済力で、米国は軍事力で、ということらしいが、その中国にも大きなアキレス腱がある。
民衆の支持が得られていない、ということだ。
カネ(職)をくれるから付き合っている、というのが本音だろうか。
事実、独裁者や取り巻きは中国礼賛であっても、民衆レベルでは蛇蝎のように嫌われているというところもあるようだ。
一番嫌われている原因は「郷なんかクソくらえ、中国様のお通りだ!」という態度と、世界中で非難轟々の、マナーなんかクソ食らえと言わんばかりの「痰吐き」の習慣だ。
これがある限り、他国にも十分、もちろん日本にも付け入る隙はありそうなのだが、そうとは言えないのがアフリカたる所以だろう。

なぜ日本には無理なのか。
アフリカには今でも2つの「汚さ」があるからだ。一つは衛生面、もう一つは政治・行政の「汚さ」だ。
かつて、商社マンがアフリカの奥地までセールスに行ったと、言われた時代なら十分過ぎるほど可能性はあっただろう。
ところが、今では若者が「海外旅行」や「海外出張」すら嫌がるレベルになってしまったのだ。
それでアフリカに行け、などという出張命令を下したならば、黙って辞めてしまうか、「パワハラ」だと言ってモンスターペアレンツが出て来かねない(社会人の子どもに対して親が出てくる)のが日本の現状だ。
まして「清潔はビョーキだ」という藤田紘一郎氏に言わせるまでもなく、極度の清潔空間で育てられた日本人の多くは、アフリカなどに出張できるレベルではない。

それをクリアして、豪気な人がアフリカに行ったとする。
しかし、ここで問題なのは、日本の経済官僚、本社のお偉方の言う「コンプライアンス(compliance)」だ。
ここで一押し、贈り物をすれば契約が成就するという局面で、これは大きな足枷になる可能性が高い。
この「コンプライアンス(compliance)」という概念は、アフリカでは唾棄され足蹴にされるレベルにもかかわらず、水戸黄門の印籠のように大事にされる日本ではそれが大きな問題になるからだ。
事実、東南アジアで契約を取ろうと政府要人に贈り物をした企業が、贈賄の疑いがある、などと言われて処罰の対象になることがある。
私に言わせれば、相手国の政治体制が北欧のようにクリーンでないのに、そんなことを持ち出してどうする、と思うのだが、「コンプライアンス(compliance)」が呪文のように唱えられる内地では、そういった現場の声はかき消されてしまうだろう。
極端な場合、アフリカで契約を取ろうとした有能な社員は犯罪者のレッテルを貼られ、アフリカに進出を目論んだ企業は、それを断念させられ、内地の消費不況の中でさらに喘ぐ。

それに覇権争いには政府の全面的なバックアップも欠かせない。
しかし、トヨタ自動車がアメリカにおいて、「リコール問題」で苦境に陥った時の日本政府の態度を見る限り、期待すべくもない。
結果的に、この問題はトヨタ自動車の責任でなく、2010年7月31日付の読売新聞が報じたように、「トヨタ自動車の大量リコール(回収・無償修理)問題で、急加速の原因が運転者の操作ミスとみられる複数の調査結果を、米高速道路交通安全局(NHTSA)が意図的に公表しなかった疑いがある」ということのようだが、これがわかった後も政府がアメリカに抗議したということは報じられていない。
まさか、一民間企業のために政府が出る幕ではない、と考えたのではないだろうが、トヨタ自動車は日本を代表する企業なのだ。
これが他国の政府なら何もしないなどということは考えられない、と思うが、この日本政府の脆弱ぶりではアフリカで中国や米国と張り合うなどというのは夢物語である。
ましてアフリカで中国と利権が衝突したとき、日本政府がどういう態度を取るかは尖閣諸島の衝突事件を見れば容易に想像できるだろう。(苦笑)

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