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2010.07.19

サラリーマンがどんどん貧乏になる@消費税ってそんなに悪いものなのか

日本の歴代内閣の多くがタブー視しているものの一つに消費税がある。
要するに、財政再建のためには増税(税率アップ)は避けて通れない道であるが、国民の拒否反応が強く、内閣を一つ潰す覚悟でなければ発言することすら憚られるものがある。
確かに「増税は歳出削減とセットでなければならない」のは正論ではあるが、元々消費税の導入は直間比率の是正を目的としていたはずだ。
つまり、直接税のシステム自体が不公平なものであるために、より公平な消費税を導入する、ということではなかったのだろうか。
従って、(財務省の役人に操られていると言われる)菅直人首相の消費税を上げ、法人税を下げるという発言は、歴史的な経緯からすれば間違いではない。

しかし、菅直人首相に限らず、歴代の首相・財務相が根本的に間違っていることは、消費税導入のメリットとデメリットをきちんと説明しないことだろう。
私が思うに消費税のメリットは次のようになる。

1.来日する外国人観光客や一時滞在のビジネスマンから税金を取れる。このことは作家の三田誠広氏が「スペインと私-観光立国と消費税の効用」というコラムを書いているので読むといいだろう。ちなみに私たちが渡航する多くの国では高額商品を買った場合の消費税(付加価値税)の還付制度があるが、Global Refundを見る限り、日本では導入されていないようだ。

2.アンダーグラウンドの住人から税金を取れる。彼らは高級品を持つことにステータスを感じる人が多い。

3.法的に所得(利益)がないことになっている人から税金を取れる。彼らは政府に税金を納めるくらいなら、その分消費(経費計上)したいと考える。

4.住所不定者から税金を取れる。

これを見て、特に2と3を見てどう思うか。
これに対して目くじらを立てる、几帳面(punctual)で潔癖過ぎる(fastidious)人の多くは言うことが決まっている。
「役人(国税庁や自治体の徴税部門の職員)がちゃんと働けばいいんです」
アンダーグラウンドの住人から徴税することがいかに困難であるか、経費計上が嘘と立証するためにどれだけのコストがかかるか考えれば自ずと答えは出るのだが、思考停止をしている人にはどんな理屈も通用しない。
しかも彼らの多くは自分が正義だと信じ込んでいるから始末に負えない。
従って、首相・財務相を始め、財務省の役人でさえ、こうしたメリットを説明しようとはしないのだろう。
もちろん、できない大臣も多いのは事実であるがね。

一方で、消費税と言えば、セットメニューで出てくるのが「逆進性による弱者切り捨て」という意見だ。
これについては、生活必需品の軽減税率を設ける、もしくは非課税とすることである程度は救済できるのではないかと思う。
財務省の資料「主要国の付加価値税の概要」を見る限りでも、こうした税制を導入している国は複数あるのだから、それほど導入に困難なこともないだろう。

日本では「弱者」と言えば「人権」と同じくらい正義に聞こえるが、私はこれらについて極めて懐疑的だ。
なぜなら消費税に反対している人たちは、NO税者(直接税を負担していない人)も多いように感じるからだ。
それに生活必需品を除けば、カネのない人は消費などしないのだから税金(消費税)も払わないだろう。
ちなみに、民主党が今年の参議院選挙前に言っていた「生活必需品相当分の還付」をするくらいなら税率を上げない方がいい。
何でここまでバカなのかと言いたいが、消費税の還付申告などする方も、申告書を受け取る方も手間とコストがかかることが理解できないのだろうか。

ところで、私は約3年前に「冷たい政府(unkindly government)に成り果てる日本」というコラムの中で、「地方税(個人住民税)の徴税システムには大きな欠陥があり、それを是正しない限り、日本は『小さな政府』どころか『冷たい政府』に邁進する結果となる。」と書いた。
このことを全国に幅広く知らしめたのは小泉内閣当時の竹中平蔵元総務相、彼は地方税法第318条(個人の市町村民税の賦課期日)の規定を逆手に取り、1月1日現在の居住地を外国にすることによって日本の住民税を逃れたという疑惑を持たれたことがある。
私は、彼が地方税法の欠陥条項を修正することなしに、三位一体改革の一つである地方への税源移譲(所得税は減税、住民税は増税)を行ったことに対し、得をするのは「外資の渡り鳥くん」であると断じた。

そして、私が3年前にこのコラムを書いたときには、あまりにも刺激的過ぎて書かなかったことが一つある。

法律は金持ちのために作られる。
外資の渡り鳥くんのために多くのサラリーマンは貢くんに成り果てる。

地方税法の欠陥については、7月31日号の週刊現代のコラム「報酬8億9000万円なのに ゴーンさん住民税がゼロ円ってどうよ」という中でも赤裸々に書かれている。
彼らは竹中平蔵元総務相のように1月1日現在の居住地を外国にすることによって合法的に住民税を支払わずに済ませている。
この穴埋めをしなければならないのは誰なのか。
給与明細すらまともに見ないサラリーマン夫婦は頭を捻って考えた方がいいだろう。

私に言わせれば、個人住民税を各自治体が徴収するという制度をやめて、所得税と一体化させるか、住民税の制度自体をやめて、その分をすべて消費税で賄えばいいとさえ思う。
そうすれば、全国の地方自治体にいる徴税部門の職員はかなり不要になるし、滞納者に対する税務調査による金融機関などの負担も減るだろう。
所詮、地方自治体が国の従属物でしかない日本において、独自の財源など単なるお題目でしかないし、終身雇用と年功序列賃金が磐石だった時代の遺物である個人住民税は21世紀に相応しい税制とは思えないからだ。

「ゴーン氏は日本での所得8億9100万円に対して20%、つまり1億7800万円を源泉課税されている。しかし、日本で払っている税額はこれだけである。『生活の本拠』がフランスであれば、フランスで所得税、住民税を納税するが、この際日本で払った20%分は控除される。フランスの最高税率は所得税率の40%は日本と同じだが、住民税率は日本の10%よりずっと安い(地域ごとに税率が決められている)。フランスでは住民税が安い分、19.6%の付加価値税(間接税)がかけられ、買い物をするたびに高率の税金を納める必要があるが、ゴーン氏は日本にいる限り、消費税5%を払えば済む。」

これが世の金持ちの行動である。

「日本で働き、日本で収入を得ている以上、日本で納税するのが基本だと思います。それをしないのは、企業人として許されない行為です。発生した収入の源は日本ですし、なにより日本の企業ですからね。しかも長期にわたって日本に滞在している。それでいて日本には最低限の税金しか納めず、フランスヤアメリカに納税するのはまったくおかしいですよ。脱税とはいえませんが、間違いなく節税です」

こんなことを言っている人が多数いるようでは、日本の税制改正など覚束ないだろう。
私は消費税の議論も直間比率の是正という当初の理念に立ち返るべきだと思う。
「金持ちから税金を取ればいいんです」というのがいかにナンセンスかというのは週刊現代のコラムを読めばわかるだろう。
こういったバカげた議論に振り回され、ババを引くのはエセ弱者に「救済してくれ」と言われ続けている現役サラリーマンに他ならない。
日本では弱者と言えば、高齢者に低所得者、障害者を指すことが多いが、彼ら全員が弱者なのか、そのカテゴリーに入らない現役サラリーマンは果たして「強者」なのか。
そして、消費税は本当にサラリーマンにとって悪税なのだろうか。

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報酬8億9000万円なのに ゴーンさん住民税がゼロ円ってどうよ この国の財政のためにも納税を!
週刊現代 2010年7月31日号)

「私は自分が付加価値を提供し、力強い目標を掲げるかぎり、社長をやり続けるペきだと思っている」-最近のインタビューでカルロス・ゴーン氏は自信満々に語った。
カリスマ社長は巨額の報酬を得ているが、その納税に、疑問の声が上がっている。

■日本で納税してほしい

ある国税OBは、公表された上場企業役員の報酬額の一覧を見てこう憤る。
「日産のゴーン社長は、9億近い報酬を得ていながら、一円も住民税を払っていない。いくらなんでもそれはないでしょう。日本の企業で働いて、日本の企業から報酬を得ているんだから、日本で納税するのが当然。上場企業のトップには社会的責任もあるでしょう。国税関係者は、みな怒っていますよ」

今年の改正内閣府令によって、上場企業の経営者のうち1億円以上の報酬(給与、賞与、ストックオプションなど)を開示することが定められ、6月末までに金融庁に提出された有価証券報告書でいっせいに公開されたが、そのなかで、報酬の額が上場企業中1位の8億9100万円と抜きん出ていたのが日産自動車のカルロス・ゴーン社長(56歳)だった。

そのゴーン社長はじめ、多数の外国人経営者は実は日本で住民税を納税していないケースが多い。
日本企業から多額の報酬を受け取りながら、日本の税務署に納税しない-そこに問題はないのだろうか。
日産自動車はほかにも外国人役員のカルロス・タバレス副社長に1億9800万円、コリン・ドッジ副社長に1億7600万円を払っている。
通常であれば、所得税率40%と住民税10%の最高税率の50%が適用され、ゴーン社長の場合税額は4億4500万円、タバレス副社長は9900万円になるはずだが、実際の納税額はもっとずっと少ない。

「そもそも住民税は、その年の1月1日、どこに住所地があるかで決まります。
ゴーン氏はおそらく、1月1日現在フランスにいるので、日本での住民税は発生しません。というより、日本の税金は世界一高いので、『フランスにいることにしている』というのが適切でしょう。
一般的な感覚では『日本法人のトップがなぜ非居住者なのかJという感情を持ちますが、税制上は『非居住者』といえてしまいます」(税務コンサルタント・久保憂希也氏)

久保氏によると、ゴーン氏は日本での所得8億9100万円に対して20%、つまり1億7800万円を源泉課税されている。しかし、日本で払っている税額はこれだけである。
「生活の本拠」がフランスであれば、フランスで所得税、住民税を納税するが、この際日本で払った20%分は控除される。
久保氏が言うように、フランスの最高税率は所得税率の40%は日本と同じだが、住民税率は日本の10%よりずっと安い(地域ごとに税率が決められている)。
フランスでは住民税が安い分、19.6%の付加価値税(間接税)がかけられ、買い物をするたびに高率の税金を納める必要があるが、ゴーン氏は日本にいる限り、消費税5%を払えば済む。
「カルロス・ゴーンの主たる居住地はフランス、カルロス・タバレスは米国、またコリン・ドッジの主たる居住地は日本です。いずれも法に則った手続き、及び納税処理を行っています」(日産・国内企業広報部)

納税地を決める場合、「主たる居住地」がどこにあるかがポイントになる。仮に1年の半分以上海外に住んでいても、日本に立派な自宅を残していると「主たる居住地」が日本だとして課税されるケースもある。
日本が「あくまで仮住まい」と主張する場合、ホテルなどに滞在することが多いという。
ゴーン氏の場合は、どうだろうか。ゴーン氏の日本での住居は東京・元麻布にある29階建ての超高級マンション。人気女性シンガーなど有名人も多数住んでいるという豪華マンションだ。部屋は賃貸で、約150平方メートルの広さ。賃貸料は月100万~120万円程度とみられる。

「ゴーンさんは、大学生を筆頭に一男三女の父。数年前までは、奥さんと4人の子どもとともに、同じマンションの最上階のもっと広い部屋に住んでいた。しかし数年前に奥さんと子どもたちがパリに移ったため、ゴーンさんは”単身赴任”の状態になり、狭い部屋に移った」(日産関係者)
ゴーン氏の日本滞在日数について、日産は「ルノーのCEOを兼ねているため、日本にいるのは1ヶ月のうち1週間から10日くらい」と説明しているが、リタ夫人は以前、雑誌のインタビューに対して、(夫は仕事で2週間をパリで、残りの2週間を東京で過ごしています)(日経ビジネスアソシエ臨時増刊2008年4月8日号)と答えている。夫人の説明どおりだと、日本が「主たる居住地」にあたるかどうか微妙なラインになってくる。

■エコカー減税との兼ね合いは?

いずれにせよゴーン氏は納税について専門のアドバイザーの意見を聞いているという。
日本、フランスの滞在日数やマンションの契約などについても、国税から指摘を受けないように慎重に検討されているはずだ。もちろん、タバレス氏も同様だろう。
だが、日産については、次のような批判もある。「政府は2009年6月から2010年9月までの期間に6300億円のエコカー減税予算を組んでいるが、日産の国内シェアは15%前後ですから、これによって日産は950億円程度の恩恵を受けたことになる。

それだけではありません。日産は本社移転に伴い、神奈川県と横浜市から合計48億円もの補助金を受けている。これらの原資はすべて税金です」(全国紙経済部記者)国や自治体から多額の補助金を得ている企業のトップが、高額の報酬を得ていながら、日本を居住地とせず、稼ぐだけ稼ぐ。それでいいのかということだ。

■ストリンガー氏は米国に納税

今回公表されたなかには、ほかの企業の外国人経営者の名前もある。
ソニーはハワード・ストリンガー会長兼社長が8億1000万円、ニコール・セリグマン取締役が2億700万円の報酬を受け取っている(ストックオプションを含む)。「住民税は、居住地である米国にて納税しています。
ハワード・ストリンガーについては、主たる居住地は米国です。日本の滞在日数はおおよそ、1年の半分弱となっています。
ニコール・セリグマンについては、主たる居住地は米国です。月に一度の来日、一度の来日で1週間程度の滞在となっています。
弊社の経営者は、日米の税法にのっとって、しかるべく納税しております」(ソニー広報センター)

ストリンガー氏はウェールズ出身で、イギリスにも自宅があり、日本、イギリス、アメリカを行き来しているが、この3カ国のなかでもっとも税率の低いアメリカを「主たる居住地」とし、納税している。
ちなみにソニーも、政府が2946億円(2009年度)を支出したエコポイント制度によって大きな恩恵を受けている。「基本的には稼いだところ、仕事をした場所におカネを落としてほしい。ソニーはどこの会社かと言えば、日本の会社なんですから」(『ソニーインサイドストーリー』などの著書があるノンフィクション作家・立石泰則氏)

居住地と課税の問題では、国税当局と高額所得者の間で問題になったことが何度かあった。
2006年には 「ハリー・ポッター」の翻訳者として有名な松岡佑子氏が「2001年からスイスに住み、スイスで納税している」と主張したが国税当局は「日本に生活の本拠がある」として35億円の申告漏れを指摘した。
消費者金融大手・武富士の武井保雄会長の長男は、1650億円の関連会社株を相続したが、「主たる居任地が香港」と主張して日本で相続税を払わなかった。
しかし、国税は「東京・杉並区の武井氏宅に本拠がある」として課税し、裁判で争っている。
ちなみに、メジャーリーグに移籍し10億円以上の年俸を得ている松井秀喜、イチローらも、日本では納税していない。

多くの資産家が、高額な日本の税率を避けようと知恵を絞るなか、国税はそれに厳しい目を向けている。
「外国人で、日本の非居住者に対しては、一定のルールで課税されています。どこかの国の居住者であれば、その国のルールに基づいて課税される。脱法行為ではありませんし、おカネ持ちにとっては当たり前のことだと思います。
私はむしろ給与所得控除のほうに、不公平感がある気がします。8億稼ごうが、1000万円だろうが一律5%の控除が認められていますが、その部分については必要ない、という議論があると思います。それと、非居住者に対して払った役員報酬は一部課税が漏れるわけですから、その分を法人のほうで経費に認めないようにする方法も考えられます」(宝田・寿原会計事務所、宝田健太郎代表税理士)

経済評論家・明治大学政治経済学部教授の高木勝氏は、こう疑問を呈する。
「日本で働き、日本で収入を得ている以上、日本で納税するのが基本だと思います。それをしないのは、企業人として許されない行為です。発生した収入の源は日本ですし、なにより日本の企業ですからね。しかも長期にわたって日本に滞在している。それでいて日本には最低限の税金しか納めず、フランスヤアメリカに納税するのはまったくおかしいですよ。脱税とはいえませんが、間違いなく節税です」

900兆円を超える日本の財政赤字を救うためにも、「大企業トップ」の社会的責任にふさわしい納税態度を示してもらいたいものだ。
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