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2009.02.28

日本株に投資するなら

先週発売の日刊ゲンダイの記事に「東証1部上場企業の6%-3期連続増益115社の命運」というものが掲載されていた。
その115社のリストをエクセルに落としたのが2006-2008三期連続増益115社リストなのだが、件(くだん)の記事にもあるようにブルーチップ銘柄は全く見当たらない。
「あたかも日本の産業地図が一変してしまったのではないかと思わせるほどの衝撃だ。」と記事にはあるが、多くの人は所詮夕刊紙が大げさに書いているだけで、ブルーチップ銘柄は今が底値圏、仕込むにはいいチャンスだ、という見方も多いだろう。
私もその見方が間違っているとは思わない。

ただ一つ懸念がある。
日本を代表する企業は歴史がある。
あるがゆえに思い出されるのは2003年2月8日号の週刊現代にあった「退職給付債務が高額な会社」(Excelファイル)の一覧だ。
この企業リストを見れば一目瞭然、誰もが名前を聞いたことのある著名企業がズラリと並んでいる。
そして、このリストにある企業を退職した団塊サラリーマンに対する企業年金(退職給付)の支払いが本格化するのはむしろこれからだ。
要するに奇跡的に経済情勢が好転したとしても、日本の著名企業の業績見通しは極めて不透明であると言える。
ちなみに、「金持ち父さん、貧乏父さん」の著者であるロバート・キヨサキはアメリカのブルーチップ銘柄について同じようなことを言っている。
一方、共産党や社会民主党などの野党や彼らの支持者たちは、大企業が過去数年間の景気回復期にしこまた溜め込んだ内部留保を少し吐き出せば、リストラによる社員の解雇や、派遣切りなどしなくともいいはずだ、と主張する。
この見方は極めて正しいと思うが、企業経営者の立場からしてみれば今後四半世紀にわたって払い続けなければならないであろう企業年金債務に恐れをなしているとも言えるかもしれない。

そう考えると、たかが夕刊紙の記事と言えども一考の余地があると言える。
つまり、低迷する世界市場の中でも気を吐いているこれらの会社は投資を検討するに値するだろう。
もちろん、好業績だからといって今の市況の元で逆行高を演じ続けられるほど甘くはない。
それでも株主優待などの楽しみを持ちつつ投資できる銘柄を探るのも悪くないだろう。

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東証1部上場企業の6%-3期連続増益115社の命運 (2009.2.20 日刊ゲンダイ)

別表を見てもらいたい。
東証1部上場企業の中で、3期連続経常増益を見込むところをまとめたものである。
未曽有の不況で大赤字に転落する企業が続出している惨状にもかかわらず、これら企業は業績を伸ばし続けている。その数は115社。
東証1部企業は約1800社だからわずか6%にとどまる。アッパレというほかない。
まず、驚くのが「ブルーチップ銘柄」が見当たらないことだ。
トヨタやパナソニック、ソニーなど、何年にもわたって高収益を続けてきた常連が姿を消した。
あたかも日本の産業地図が一変してしまったのではないかと思わせるほどの衝撃だ。

目立つのは内需型産業が揃っていること。
「なかでも寡占業種と円高メリットを享受している業界がいい」
こう指摘するのは、SMBCフレンド証券ストラテジストの中西文行氏だ。
「電話関連のKDDIやNECモバイリング、財務会計ソフト“勘定奉行”で知られるオービックなどは競争相手が比較的少なく、極端なダンピングもないことが好業績の背景にあります」
医薬品業界はもともと高収益体質だが、再編が他業種以上に進んで競争相手が減ったことも大きい。

円高の恩恵を受けたのは、小売業や食料品。
「世間には不景気風が吹いていますが、スーパーを中心に食料品や生活用品の値段を消費者が求める水準まで下げることができました。これはまさに円高のおかげです」(中西文行氏=前出)

たしかに、あちこちで円高還元セールを大々的にやっていた。
ただ、連続増益を手放しで喜んではいられない。
レアメタルや石油などの資源高の恩恵を受けてきた商社は、1バレル=147ドルまで暴騰した原油価格の暴落で、来期苦戦は避けられない。
建設業は倒産が相次いだ昨年のリストラ効果であり、機械は受注が6カ月前という業界の特殊事情によるもの。
昨秋以降の受注が大きく落ち込んでいるため、来期には大打撃を被る恐れが大きいのだ。

経済ジャーナリストが言う。
「製造業と取引している会社は、今後、再編、淘汰の波をかぶります。同じ事業部門同士を統合する動きが活発になるため、見る見るうちに納入先が減ってしまう。小売業にしても、円高頼みの安売りだけでは先行きが危うい」
3期連続増収企業であっても一寸先は闇。
1年後、「4期連続増益」となる企業は果たしていくつあるか。
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2009.02.22

新春オフ三昧で株価上昇のジンクスは生きているか

今年は何だか1月、2月と毎週のようにオフ三昧の週末だと感じていたのだが、先日のmixi仲間との京都オフが終わったのを機に書き出してみると、何とも凄いことになっている。
詳しいことはWeekly Party during winter in 2009というところにまとめたのだが、本当に毎週のように飲んでいる。
これだけの金があれば、円高による追い風で、キャンペーン料金が次々に提示されている海外旅行に行けたのではないかという気がしないでもない。

Kisoji

しかし、ここで私は面白いことに気がついた。
何年かに一度はこうしたネット仲間によるオフが集中することがあって、最初は2003年2月の「東京・京都宴会旅行」のとき、次が狂気とも言える2週連続京都行きとなった2005年3月の「内需拡大貢献オフ」のときだった。
2003年2月は言わずもがなの日米市場はITバブル崩壊後のドン底のとき、2005年3月は「低迷する日本市場」とか書いているが、本当にそうだったのか調べてみると、厳密に言えば2003年5月からの反騰相場が一服し、横ばいになっていたときだったようだ。
そして、昨年はグリーンスパン(Alan Greenspan)前FRB議長の「1世紀に一度の信用不安の津波の中にいる(once-in-a-century credit tsunami)」発言に象徴されるような恐慌前夜の様相を呈し、今年になってもそれは続いている。

こうしてみると過去2回のときは、私が2月、3月に狂気のようなオフ三昧となった年は夏頃から相場が上昇していることがわかる。
言うまでもないが、2003年のときは夏頃から日米市場は反騰を始め、2005年の日本市場は1月4日の大発会の初値11,458.27円から12月30日の大納会の終値16,111.43円まで4,653.16円(約40%)上昇し、世界の主要市場で一番上昇率が高かった。
そして、今年は1月、2月とまさにWeekly Party during winterである。
果たして「2度あることは3度あるのか」、それとも2007年11月のときのように3度目は外すのか。
私としては「新春オフ三昧で株価上昇のジンクス」が生きていることを祈りたい。

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2009.02.08

金融詐欺に引っかからないために

このところ健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー」(L&G)による組織的詐欺事件がメディアを賑わしている。
被害総額も史上3番目の規模になるとのことで、第三者からすると何でこんな「うまい話」に乗る人が引きも切らないのだろうと言いたいところだろう。(2009.2.5 産経新聞-【L&G事件】波会長を逮捕 組織的詐欺容疑
それに警察や金融庁でも事件があるごとに注意喚起をしても一向にこういった犯罪被害が減らないのは、究極のところ「自分たちだけが美味しい話を知り得た」という優越感と、第三者にセカンドオピニオンを求める勇気がなかったことによるものが大きいのではなかろうか。
このセカンドオピニオンというのは、神奈川県警の振り込め詐欺未遂事例にもあるように単純かつ効果がある。
振り込め詐欺もこのような出資金詐欺も金を騙し取ろうという犯意は同じだからだ。

また最近私が人づてに聞いた話ではmixiなどのSNS (Social Network Service)のコミュニティ(共通の関心分野、価値観や目的を持った利用者が集まるウェブ上のコミュニケーションエリア)を悪用した出資金詐欺まがいの事件が起こっているとのことで、こちらの方がより早く被害に遭いやすいとも言える。
なぜならアナログ社会では詐欺師が出資者を募るのに様々な舞台装置を作らなくてはいけないが、SNSの方は投資関係のコミュニティやフォーラムに餌を撒くだけで済むからだ。
特にオフ会などのイベントを通じてこうした餌を撒けば、友人同士になったことと相乗効果を生んで詐欺の舞台装置を形成することもある。
アナログ社会で起きているこうした事件も、今後はインターネット社会を通じて拡散することが多くなるのではと私は危惧している。

このような時こそ有効なのが、セカンドオピニオンを求めるということだ。
コミュニティで得た情報に違和感を感じたとき、恥を晒すようで嫌だとか思わずに日記にアップしてみる、あるいはブログで書いて見る。
そうすれば、友達からは「バカだな、お前は」とは言われるだろうが、第三者から見た冷静な意見が得られる可能性は大いにある。
あるいは日記を書くために物事を順序立てて整理することによって違和感を感じていたものが見えてくることがある。
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥(知らぬことを聞くのは、その場だけの恥ですむが、聞かないでいれば、一生知らぬことで恥ずかしい思いをしなければならない。)」というのは言い得て妙である。
それに普段からそういうことをしている人には詐欺師は怖くて近づいて来ないものだ。
2008年3月25日号のSPAに載っていた「犯罪者に聞いた『騙しにくい嫌な相手はコイツらだ!』」の中で、「ネットを多用する人。あらゆる犯罪について、被害に遭ったと気づくまでが非常に早い!」というのは意外とこういうことかもしれないからだ。

それと某掲示板で私の友人でもあり、タイ株「アジア株」海外投資ロングスティの管理人でもある阿部氏が悪意の中傷を受けている(日本ではこうした類の中傷主が名誉毀損罪で初めて逮捕された)ようだが、深読みすれば、これとて海外投資(出資金)詐欺をやろうとしている(現実に起きているかもしれないが)一味が絡んでいると言えなくもない。
なぜなら、彼に限らず、こうした本の著者の信用を失墜させることは投資家がセカンドオピニオンを求めにくくさせる効果もあるからだ。
仮にセカンドオピニオンを求めたところで、中傷の主からは「そんなやつの言うことを信じるのか」レベルのコメントが来ることは想像に難くない。
私は彼のことを信用しているが、それは友人としての付き合いもあるからで、無関係の人は掲示板の情報を鵜呑みにしないとも限らない。
今後はこうしたスパムを情報ソースから排除することもリテラシーとして求められることになろうか。

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2009.02.07

ノンIT公務員が国を亡ぼす

2月5日付の朝日新聞「ハッカーに逆襲、パスワード盗み返す 中3書類送検」という記事を読んで、私はなぜそうなるのか理解するのに少し時間がかかった。
やられたから、やり返した、私に言わせれば当たり前のことを、日本の警察はいつまで喧嘩両成敗などという江戸時代的な考えで裁くのか。
作家の柘植久慶氏が言うまでもなく防衛という概念がこの国には著しく欠如している。
集団暴行の恐怖から命からがら逃れた会社員が逃げる際に相手にケガをさせたとして傷害罪で起訴してみたり(2006年5月20日「共謀罪に対してだけ懸念しているのではない」)、銃撃を受けた警官を見殺しにしてみたり(2007年5月20日「あほ~な奴らがキチガイをのさばらす」)、店で暴れた酔客に対して警察を呼んだ店側に土下座しろと言ってみたり(2007年9月22日「何をやっているんだ高知県警」)と、枚挙にいとまがない。

この記事に出てくる中学3年生も、アメリカならヘッドハンティングされて奨学金をもらってITスペシャリストへの道を歩めるかもしれないものを、不正アクセス禁止法違反の疑いで書類送検されたばかりに腐ってしまうかもしれない。
書類送検といっても実際は説諭だけで終わるのだろうが、警察に説教されて終わりになる日本と、もしかするとヘッドハントされるアメリカ、この違いははるかに大きい。
愛知県警や、それを無批判に報じるメディアの態度からは、21世紀は情報戦争の時代、サイバー空間で戦争が行われているときに、彼のような前途ある人材は有用だという発想が全く感じられないからだ。

アメリカではハッカーの侵入を防ぐ正義のハッカー(ホワイト・ハット・ハッカー)の需要が増えているようだ。
要するに、悪意のあるハッカー(ブラック・ハット)から企業や官公庁のサイバー空間を守るのが仕事らしいが、彼のような人材は使いようによっては学校を卒業したらすぐにでもサイバー警察の捜査官として活躍してもらうことだって可能なはずだ。
私だったら彼に奨学金を与え、そういったスペシャリストの道を歩ませるだろう。
役所の組織にありがちなことだが、トップや幹部級職員がITに全く理解がなかったり、法律を杓子定規に適用するヤツが取り締まりの責任者だったりすると往々にしてこういう杓子定規なことが起こる。
元経済企画庁長官の寺澤芳男氏は「英語オンチが国を亡ぼす」という本を書いているが、ノンIT公務員が跋扈することも国を亡ぼす時代なのだ。
ITとはただパソコンを使って仕事をすることでなく、ネットワークをどう使い、サイバー空間の安全をどう確保するかが問われる時代だからだ。

先日就任したアメリカのオバマ大統領はITを駆使して当選したトップでもあるが、彼は当然の如く、経済再生のための重点政策の1つとしてブロードバンド技術の普及拡大を掲げている。(日経ビジネス2009年1月21日号-オバマ新政権のブロードバンド戦略に期待大
おそらく日本の方がブロードバンド自体は普及しているだろうが、それを総合的に活用していく戦略はアメリカの方がはるかに上だろう。
ITを国家戦略とするアメリカや中国、シンガポール、それらの国々と日本との国家戦略の差は開く一方だ。
選挙期間中のウェブ利用を禁じている公職選挙法さえも変えようとしない国会議員、ITの活用の要諦がネットワークであることを理解せず、旧来の縦割りの手法を踏襲する官公庁、諸外国で普及している個人IDカードの重要性を理解せず、いたずらに不安だけを煽るマスコミ、21世紀の情報戦争を勝ち抜くにはあまりにもお粗末な日本の実態がここにある。

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「ハッカー」に逆襲、パスワード盗み返す 中3書類送検 (2009.2.5 朝日新聞)

インターネットのIDとパスワードを盗もうとした「ハッカー」から逆にパスワードなどを盗み返したとして、愛知県警は5日、兵庫県尼崎市の中学3年の少年(15)を不正アクセス禁止法違反の疑いで書類送検した。
調べに対して、少年は「メールを盗み見たりして、困らせてやろうと思った」と話しているという。
生活経済課と西枇杷島署の発表によると、少年は2008年7月11~14日、長野県大町市の無職男性(20)=同法違反容疑で書類送検=からポータルサイト「ヤフー」のIDとパスワードを盗み、男性になりすまして計16回、不正にアクセスした疑いがある。

少年と男性はオンラインゲーム仲間。
男性が少年に「キャラクターを強くするプログラムをあげる」と偽って、実際にはIDやパスワードなど、パソコンのキー操作の履歴を盗み取るスパイソフト「キーロガー」をネット上から送りつけた。
少年はゲームの動きが悪くなったことからキーロガーに気づき、ソフトを解析。
盗まれた履歴の送付先になっていた男性のメールアドレスやID、パスワードを割り出したという。
男性は、キーロガーを使って別のゲーム仲間のIDとパスワードを盗んだとして2008年10月に書類送検された。
この捜査の過程で、男性が逆に不正アクセスされていたことがわかった。
男性は「自分がハッキングされているとは知らなかった」と驚いていたという。

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”正義のハッカー”米企業で引っ張りだこ (2008.1.8 産経新聞)

【ホノルル=USA TODAY(グレッグ・ワイルズ)】米国でハッカーの侵入を防ぐ正義のハッカー(ホワイト・ハット・ハッカー)の需要が増えている。
2002年に制定されたサーベンス・オクスリー法(企業改革法)により、上場企業の内部監視強化が義務づけされた影響が大きいようだ。
グレグストン・チューさん(33)は“侵入テスター”。「倫理的ハッカー」とも呼ばれるホワイト・ハットの1人。英大手会計事務所、アーンスト・アンド・ヤングのアドバンスト・セキュリティー・センター(テキサス州ヒューストン)の上級マネジャーを務める。

大手企業のコンピューター・システムをチェックし、悪意のあるハッカー(ブラック・ハット)が侵入可能なセキュリティーホールを見つけ、防護策を提案するのが仕事。
「見つからないと思われているものを見つけるのがハッカーの喜び。こちらは刑務所に入らなくてよい点が違う」と仕事を楽しむ。
だが、作業はハリウッドの映画のように10秒ですむ、ものではない。「普通、数週間は必要」という。

5年前から情報の安全管理事業を始めたセキュアDNA(ハワイ州ホノルル)のジェーソン・マーティン社長は「自社のシステムを難攻不落にしたいと願う企業が多いため、この分野の成長率は高い。
サーベンス・オクスリー法の施行も背景にある」と指摘する。
コンピューター・セキュリティー研究所によると、データ流出による企業・団体の被害総額(2006年)は5250万ドル(約57億7500万円)。不正侵入、パソコン盗難、固有情報の持ち出し、サイトの汚損、不正な情報通信、ウイルスなどが原因だという。
最近では、小売業のTJX社(マサチューセッツ州フラミンガム)がハッカーの侵入により、4560万件のクレジットカードおよび銀行決済カード情報が盗まれるという事件が起きている。
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2009.02.03

米国金融再生ビッグバンは功を奏すか

オバマ政権が銀行が抱える不良資産の一掃と信用市場回復のための「ビッグバン」を準備していると1月30日付けのフィナンシャル・タイムズが伝えている。
一昨年来、火を噴き続けている米国のサブプライム問題により、欧米の金融機関のほとんどが不良資産を抱える事態となった。
バッドバンク(金融機関の不良資産を買い取る専門銀行)による不良資産を買い取り、あわせて住宅差し押さえ件数を減らすことによって市場の回復を目指そうというものだが、結局のところ多額の公的資金が投入されることになるのは間違いない。
また、金融機関を救済するにあたって、経営幹部による税金の略奪とも言える行為にストップをかけるための措置が取られるというが、どこまで効き目があるものか。
おそらく、彼らのうちから何人かは刑務所に行く人間が出ないと米国民は納得しないような気もするが、そのあたりのニュースはあまり報じられていないようだ。

そもそも米国のサブプライムローン(信用力の低い個人を対象とした住宅ローン)の多くは「228ローン (2/28 ARM = Adjustable Rate Mortgage)」と呼ばれるもので、最初の2年間は数%の固定金利だが、後の28年は変動金利に移行し、しかも金利は10%前後の高水準になるというものだ。
住宅ローン会社は、その回収リスクの一部を転嫁する目的でその債権を小口証券化し、住宅ローン担保証券(RMBS=Residential Mortgage-Backed Securities)として売り出し、そのRMBSは米国債などに比べて利回りが高かったため、ヘッジファンドなどがこれを購入していた。
住宅価格が右肩上がりで、債務者が低金利のうちに住宅を転売できるか、クレジットヒストリーが積み上げられて低金利のプライムローンに借り換えできているうちは、このシステムが有効に機能するが、そんなものが長続きしないのは歴史が証明しているところでもある。
RMBSの価格はローンの焦げ付きの増大に伴って下落し、住宅ローン会社がそのあおりを食って破綻し始めると、RMBSに投資していたヘッジファンドも、その資金を提供した金融機関も連鎖的に損失を被ることになっていく。

アメリカの場合、日本と違って住宅下落のリスクは、融資を行った金融機関が持つ(ノン・リコース・ローン=借主責任限定型ローン)ことになっているため、住宅価格の下落はそのまま金融機関の損失となって跳ね返る。
債務者は住宅を手放せばやり直しがきくのだが、支払い継続が困難なローンに対する救済事業を用意しているところを見ると、あまりの差し押さえ物件の多さに市場原理に任せておけばいいなどと言っていられないのだろう。
この施策は、実質的には家計が破綻する可能性のある債務者に対する延命措置的な意味合いしかないようにも見えるが、住宅の実質価値を超えるローンの削減支援も行われることになれば、債務者にとっても朗報と言えるかもしれない。
それに住宅ローン問題にケリがつけば個人消費も上向くことが期待できる。

ただ、この「米国金融再生ビッグバン」が本当に功を奏すかと言われれば、懐疑的にならざるを得ない。
しかし、住宅の購入はすべて個人の責任と言われ、放置される日本の住宅ローン債務者よりマシだと私は思う。
日本のメディアでは米国のことばかり書いているが、雇用情勢が悪化すれば日本でも住宅ローン問題が火を噴くのは明らかだ。(2007年9月9日「今日の一言」-日本でも起こりうるサブプライム問題
そのようなリスキーな時代、しかも政府は全く機能していない状態で日本国内の消費が上向くわけがない。
オバマ大統領の政策がどうのこうの言う前に少しは自国民のことを顧みるメディアは一つもないのかと思う。

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US set for ‘big bang’ financial clean-up(米国、金融システムの「ビッグバン」的大掃除を準備)
(January 30, 2009 Financial Times By Krishna Guha in Washington) (日本語訳:翻訳gooニュース by 加藤祐子)

The Obama administration is gearing up for a "big bang" announcement within the next two weeks that will combine a bank clean-up with measures to reduce home foreclosures and probably steps to kick-start credit markets.

オバマ米政権は2週間以内に発表する「ビッグバン」計画の準備を急いでいる。この計画は、金融システムの刷新と併せて、住宅差し押さえ件数を減らすための施策や、信用市場を一気に勢いづける具体案も含むものと見られている。

The plan will involve an overhaul of the troubled asset relief programme - the $700bn bail-out fund - including strict curbs on compensation at banks receiving public aid. The Tarp overhaul is intended to restore public confidence in what is a deeply unpopular programme and ensure that taxpayer money is not used to fund excessive pay, bonuses and dividends to shareholders.

この新計画は、7000億ドル規模の金融機関救済「不良資産買い取り制度(TARP=Troubled Asset Relief Programme)」の全面見直しが柱となる。その中には公的資金支援を受けた金融機関での報酬額を厳しく制限する施策も含まれる見通し。きわめて不人気な「TARP」を見直すことで、「TARP」への国民の信頼を回復し、高額すぎる給料や賞与、株主への配当金のために国民の税金が使われないようにする。

"There will definitely be a cap of some sort on bonuses," said a Wall Street executive who has taken part in talks with the authorities. "The political climate is such that there is a need to punish Wall Street."

「ボーナスに何らかの上限が設けられるのは確実だ」政府との協議に参加しているウォール街企業の重役はこう言う。「今の政治の雰囲気からして、ウォール街に灸をすえる必要があるのだ」

The announcement, which officials said was likely late this coming week or the week after, will follow Friday's news that the US economy contracted at an annualised rate of 3.8 per cent in last year's final quarter - less than analysts were expecting, but still the worst quarter since 1982. The fall was cushioned by ballooning nventories, which suggest the economy could shrink faster than expected in the first quarter.

複数の政府関係者によると、金融再生計画の発表は来週か再来週になるという。これに先立ち1月30日には、昨年の最終四半期(10-12月期)の実質国内総生産が、前期に比べ年率換算で3.8%減少したという発表があった。下げ幅はアナリスト予想よりは少なかったが、1982年以来最悪の四半期だったことには変わりない。急落の緩衝材となったのは膨れ上がる在庫だ。そのため、2009年第1四半期(1-3月期)の経済縮小は予想よりも急速に進むと思われる。

The "big bang" approach reflects the belief of Tim Geithner, Treasury secretary, and Lawrence Summers, National Economic Council director, that the Bush administration was wrong to dribble out policy initiatives. Mr Geithner intends to present a "comprehensive" plan that policymakers hope will command market confidence.

予定される「ビッグバン」方式は、対策を五月雨式に小出ししたブッシュ政権の手法は誤りだったという、ティモシー・ガイトナー新財務長官と国家経済会議(NEC)のローレンス・サマーズ委員長の考えを反映したものだ。ガイトナー長官が提出予定の「包括的」な計画によって、市場の自信回復につながるよう、政策担当者たちは期待している。

Details of the financial overhaul are being finalised and have yet to be approved by President Barack Obama, but it may include both the purchase of toxic assets by a "bad bank" and insurance-style guarantees for problem assets remaining on bank balance sheets.

金融再生計画は今、詳細をつめている段階で、バラク・オバマ大統領の承認を得なくてはならないが、おそらく「バッドバンク(金融機関の不良資産を買い取る専門銀行)」による金融機関の不良資産の買い上げや、銀行の財務諸表にまだ残る不良債権を保証する仕組みが含まれるはずだ。

Anti-foreclosure efforts are likely to focus on subsidising programmes that reduce unsustainable monthly mortgage payments, though there may also be support for schemes that subsidise the partial writedown of loans that exceed the value of the home. Treasury may also unveil new efforts to revitalise dysfunctional securitisation markets.

住宅差し押さえに対抗する手段としてはおそらく、支払い継続が難しい月々のローン返済額を減らす事業を、政府が支援していくことになるだろう。そのほかにも、住宅の実質価値を超えるローンの部分削減支援も組み込まれるかもしれない。また財務省は、機能不全に陥った債権の証券化市場を復活させる方策も発表するのではないかと見られている。
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