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2008.08.24

あなたの隣の詐欺師たち

去る9日に、「インターネット上で謝礼金付きアンケートを装い、収集した個人情報を悪用する業者が横行している」という、一見するとチンケな詐欺事件めいたものが報道されたことを覚えているだろうか。
このニュース、似たようなケースを何かの本で見た記憶があるのだが、思い出せずに今まできた。
ところが、久しぶりに本棚から「あなたの隣りの詐欺師たち」という本を取り出してパラパラとめくると出てきたではないか。
この本の初版が2003年5月、書かれている内容を見ると1990年代後半のインターネット黎明期(れいめいき)からITバブルの頃が時代背景のようだが、そこの手口が形を変えて出現したかのようだ。

要は、「あなたの隣の詐欺師たち」の中の銀行口座がFX口座に名前を変えただけだと思えばいいだろう。
わずかな謝礼に釣られて浅知恵なヤツらが騙されるという図式もほとんど同じだ。
それにしてもアンケートやモニターの謝礼のための住所、氏名はともかく、免許証のコピーを送れと言われたときにおかしいと思わないのか。
しかも銀行口座にしろ、FX口座にしろ、口座開設通知は原則として名義人が申請した住所にしか届かない(転送不可)はずだが、それが名義人でなく、詐欺師の元に届くような抜け穴があるのだろうか。
あるいは窃盗のリスクを冒して名義人のポストから郵便物を抜き取るという荒業を多用しているのか。
いずれにせよ、私が4年前に書いたようにIT社会で一番便利になったのは詐欺師だというのは確かなようで、こうした犯罪は形を変えて増えることはあっても減ることはないだろう。
もちろん、FX口座の偽装アンケート事件が1万円なんてはした金を掠め取るだけのもので終わると私は思っていない。

ところで、2006年(平成18年)12月31日から「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律」が「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」に変わり、いわゆる口座の売買が違法(第16条の2)とされたが、相変わらず架空口座の販売サイトは検索サイトでたくさんヒットするようだ。
中には「このサイトは(取り込み)詐欺ではありません」と謳っているところがあるのが笑える。
かつては、こういう架空口座売買にブラック詐欺(チンケな詐欺師を嵌める詐欺)の陥穽があったようだが、今はどうなのだろうか。
激裏情報の本堂昌哉氏曰く、「今の犯罪は、枝葉の小僧連中がやっているだけ」とのことだが、仮に警察が彼らを摘発したとしても単なる小遣い稼ぎだとされ、業でやっているとされなければ、たった罰金50万円を払うだけ。
これでは警察だって労多くして何とやら。
法律あっても機能せずということなのだろうな。

最後にアングラネットの住人を騙して大金を稼ぎ役所を辞めたという元公務員氏のセリフを紹介して終わりにしたい。

「詐欺を働くために大事なのは、一番最初にやること。つまりオリジナリティが必要なのだ。二匹目のどじょうを追ってもアガリは少ないし、引っかかるカモだって半分もいない。それにオリジナル手口の考案者というのは、たいてい捕まらない。短期間に荒稼ぎして、模倣犯がはびこる頃にはすでに次の手口を考えている。そういう見極めができるのだ。逆に下手打つヤツというのは、そのほとんどが考案者の手口を猿真似したにすぎない。引き際がわからないヤツは、この世界では生きていけないだろう。」

オリジナリティが評価されない日本において一番評価されるのがアンダーグランドの世界というのは痛烈な皮肉としか思えない。

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FX口座の無断開設にご用心=謝礼付きアンケートで個人情報収集 (2008.8.9 時事通信)

インターネット上で謝礼金付きアンケートを装い、収集した個人情報を悪用する業者が横行している。
個人情報を使い本人に無断で外国為替証拠金取引(FX)の口座を開設。
FX会社から報酬を得た上、口座開設者への払戻金まで懐に入れているという。
国民生活センターは「個人情報が口座開設以外に悪用される恐れがある」と警告、FX会社も「甘い話には気を付けて」と呼び掛けている。

関係者によると悪質業者はFX会社と広告掲載契約を結んだ上で、投資に興味を持つ人に対し架空のアンケートを実施。
回答者に2,000円程度の謝礼を支払った上で、住所氏名や免許証のコピーを送付させ、FX口座を開設している。
業者は1口座開設につき約8,000円のFX会社からの報酬と、口座開設者への払戻金の中間搾取で、1件あたり1万円以上を得ているとみられる。

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インターネット詐欺-ネット取引詐欺 (あなたの隣の詐欺師たち by 成田青央取材班)

■ネットは無法地帯の幻想

インターネットは匿名の世界だ。
実社会ではとても表に出せないような趣味を持った連中が、堂々とやり取りできる。
幼児愛時好-いわゆるロリコン趣味を持つ者、麻薬やピストルの愛好者、自殺願望者など、アングラネットの世界は今日も賑やかだ。

1998年末に起こった「毒物宅配事件」は、その典型と言えるだろう。
心に悩みを持つ人々の相談に答える掲示板を、ドクター=キリコと名乗る人物がインターネット上に開設、一部の相談者に青酸カリを売り渡していた。
ところが受け取った一人が実際に服毒して死亡、続いてドクター=キリコ本人も自ら命を絶ってしまった。
新聞には「ネットが凶器となって事件が引き起こされた」という見出しが躍り、インターネットは顔も知らない相手から簡単に青酸カリを入手できる恐ろしい場所だと訴える記事があふれた。

いい傾向だった。
マスコミがネット犯罪を盛んに取り上げ、当然の結果として一般大衆が踊らされる。
それは、俺たちの懐が潤うことを意味する。
「バカとマスコミは便いよう」とはよく言ったもので、俺たちの世界のプロパガンダを自ら引き受け、カモをおびき寄せてくれたのだ。ビタ一文払わずに。

ネットでは、非合法な物でも簡単に手に入る-。
それはマスコミが作り上げた、単なる幻想にすぎない。
確かにネットでは、人と接触することなく取り引きできる。
便利な世の中になったものだ。
だが、裏を返せば、接触がないからこそ危険にあふれているのだ。

<S(覚醒剤の隠語)あります>
<道具(拳銃の隠語)あります>

アングラ掲示板を覗けば、この手の書き込みが簡単に見つかる。
興味本位で手を出しても俺はなにも言わないが、これらの大半が取り込み詐欺だということは覚えておいてもいいだろう。
たいていは品物を渡す前に、架空口座への振り込みを要求される。
その後はもちろん音信不通だ。
騙されたと気がついても、ブツがブツだけにどうしようもない。
弱みのあるヤツにつけこむのは、この世界では基本中の基本というわけだ。

仮に詐欺じゃなくても安心はできない。
もともとこれらの商品は口コミだけで飛ぶように売れる。
だから本物のアウトローは宣伝などという馬鹿げた行為は一切しない。
ネットで販売しているのは素人か、せいぜい組織の三下連中しかいない。
彼らはもし捕まって尋問されたら、品物を売った先など簡単に口を割ってしまうだろう。
だからブツが届いたタイミングを見計らって警察の手入れが入る危険性だって十分にあるのだ。

ネットがらみで検挙される事件というのは、研究所で働く者がクロロフォルムをくすねてきたり、研修医がハルシオン等の向精神薬を転売したり、自分で栽培した大麻を販売したり-。
とにかく、そのほとんどが素人の手による一回性の悪戯という域を越えてない。
拳銃についても同じことで、ガンマニアが改造拳銃を作り、ネットで販売したにすぎない。
マスコミは、そんな素人の悪戯と本物のアウトローによる仕事を一緒にして垂れ流してくれる。

■架空口座の販売は アダルト業者・ネット詐欺の味方

身分証明書を偽造して作られた架空口座は、売る側はもちろん、購入する側も検挙の対象になる。
だが、合法的な銀行口座を大量に持っているだけで捕まったという話は、今まで聞いたことがない。
それどころか、どこの金融機関も口座獲得に躍起になっているのが現状だ。
そこに目をつけた俺は、銀行口座を合法的な手段で開設し、いかがわしいヤツらに売りつけて儲けることにした。
したがって俺が扱うのは厳密に言えば架空口座ではないのだが、そのあたりの事情はあとで説明することにしよう。

一昔前、架空口座といえば、脱税目的や横領した金を入れておくことくらいしか使い道がなかった。
ところが、IT犯罪の蔓延とともに、架空口座は俺たちの世界では必須アイテムとなった。
いつだったか、中学生がネットで取り込み詐欺を働いて逮捕された事件が話題になったが、アシがついたのは銀行口座からだ。
この件についてはあとで詳しく触れるが、とにかく中学生の浅知恵では、架空口座まで頭が回らなかったのだろう。

俺はまず、匿名でフリーメールを取得するところから始めた。
そして海外の無料ホームページを設置できるスペースに<架空口座売ります>というシンプルなホームページを設置する。
外国人は日本語がわからないだろうし、違法な画像は置いていないから、管理者に無断で削除されるようなことはない。
そのページには<匿名申込可、注文メール削除>と<半金申し込み、商品到着後残額入金>という2点を明記しておいた。
これは、架空口座を購入したという証拠が残らないこと、それに取り込み詐欺ではないことの2つをアピールして利用者を安心させる目的があった。

販売価格は通帳・印鑑・カード・暗証番号の4点セットで2万円。ネットバンクはなにかと便利だし、他銀行の口座が必要だったりして開設方法が面倒くさいので4万円。
郵便局の口座は、間をとって3万円。
もちろん、この振込先も架空口座で、用心のために毎月変更している。

サービスとして男性名義と女性名義を選べるようにしているが、注文が多いのは圧倒的に女性名義だ。
それは架空口座がおもに、男性のみ有料という出会い系サイトの振込先として使われるからだ。
男の心理として「株式会社○○」という素っ気ない口座名よりも女の子の名前のほうが嬉しいし、たとえ伝票がカミさんに見つかっても、個人名だとなにかと言い訳ができる。

また、ネット詐欺の場合も女性名義のほうが重宝される。
ネットの個人オークションなどは、売買成立から振込完了まで、すべてネット上のやり取りだ。
取引相手が男か女かもわからない。
しかし、口座名が女性の名前だと、相手は勝手に女性だと思い込んでくれる(あなたも「いや、俺はそうじゃない」とは言い切れないはずだ)。
そんなヤツらは、金を振り込んでから商品がなかなか届かなくても「○○ちゃん、忙しいのかなあ?」などと、逆に心配してくれたりもする。
騙されているのにも気づかずに。

■オリジナル架空口座の作り方 架空だけど架空じゃない

俺から買った架空口座で悪事を働いた末、捕まった連中もいるだろう。
しかし、俺に捜査の手が及ぶことはないと断言できる。
これまでは便宜的に「架空口座」という言葉を使ってきたが、さっきも少しだけ話したように、俺が売っている口座は架空ではないからだ。

やり方は、インターネットの掲示板へ<モニター募集!謝礼5,000円!!>と書き込むところから始まる。
問い合わせが来たら<ネットで口座開設を申し込んでから通帳が届くまでの日数を調べています>とかもっともらしい理由をつけて、銀行口座を作らせる。
そして、通帳が届いたという連絡があったら<口座の凍結はこちらでやりますから、通帳・印鑑・カード・暗証番号送ってください>とやるわけだ。
もちろん引き換えに、一口座につき5,000円のモニター代を出す。
成功率は、だいたい8割といったところだ。

モニターは使いもしない口座を持っていても仕方がないし、口座凍結の手続きをするのも面倒くさいのだろう。
まあ、ヤツらにしてみればネットから好きな時間に申し込んで、受け取った物を送るだけで2~3万円くらいになるのだから、いい小遣い稼ぎにはなる。
この口座が犯罪の温床になっているなんて、これっぽっちも思っていないはずだ。
その証拠に、一度引っかかったヤツが家族の名前を使って再び通帳を送ってくるケースも多い。
俺にとっては都合のいいリピーターというわけだ。

それとは別にもうひとつ、オリジナルの口座開設方法というのもある。
口座開設にあたっては、郵送で申し込む場合もネットで申し込む場合も、身分証明書の写しが必要になる。
逆に言えば免許のコピーさえあれば、いくらでも口座は作れるってことだ。
近ごろは個人情報の流出が問題になっているが、それでも免許のコピーを扱う仕事はそこらにゴロゴロ転がっている。
携帯電話屋のお姉ちゃんに金を握らせれば、いくらでも「コピーのコピー」を横流ししてくれるのだから。
あるいは「手配書(借金を踏み倒して逃げている者のリスト)」には、たいてい免許のコピーがついている。
たった一枚の免許証コピーから10以上の口座ができるわけだから、コピーを一枚一万円で買い取っても十分に元が取れる。

身分証明書が手に入るルートは、まだある。
知り合いの風俗店オーナー兼アダルトビデオ監督の布辺という男に少なくない金を握らせて、俺の仕事に協力してもらっているからだ。
彼の仕事はどちらも、女の子の年齢には非常に気をつかう。
ちゃんと警察に届出を出して営業していても、18歳未満の子を使うと児童福祉法違反でブタ箱入り。
「知らなかった」とか「俺たちも騙されていた」じゃ済まされない。
だからAVの時は、必ずプロダクションからモデルの身分証明書のコピーが回ってくる。
もちろん風俗店の面接の時も、身分証明書を持参するように徹底させているという。
こうした大義名分のもとに布辺の手元には大量の身分証明書が集まり、そいつが俺に流れてくるというわけだ。

架空口座は女性名義のほうがよく売れるということはすでに話した。
その意味でも、この入手ルートは非常に魅力的だと言えるだろう。
写真付きの運転免許証やパスポートなら身元の確認も確実だが、保険証の場合は姉の名前を語られたら確認する術はない。
ただし、銀行口座を作るだけなら保険証だけでもコトは済む。
だから俺は店で不採用にした女の子の保険証コピーをいただくことも多い。
もちろん、保険証に載っている家族全員の名義で口座を作ることだって簡単にできるが、さすがにそんなかわいそうなことはしない・・・基本的には。

使わせてもらうのは、たとえばこんな場合だ。
AVや風俗で働こうなんて思っている女の子のなかには、少々常識に欠けた子もいるそうだ。
何十万円もするスタジオを押さえたのに、当日になって撮影をすっぽかしたり、店で予約がたくさん入っているのに無断でバックれたりする子だって実際にいるらしい。
そんな子が出てくるたびに、布辺は俺に「お仕置き」および「損失補填」を依頼してくる。
そして俺は遠慮なく、家族全員の名義を使って口座を作らせてもらうのだ。
本人だけが被害を受けるというなら自業自得で済まされるが、こうして知らない間に自分や家族名義の口座が犯罪に使われることもあるというわけだ。
ということで、年頃の娘をもつお父さん、お母さん方たちにひとつ忠告。
彼女たちがAVに出演したり、風俗で働いたりするのを心配する気持ちはよくわかる。
とくに、娘が一人暮らしをしてる場合は他人事じゃないだろう。
だが、このように、もっと恐ろしい陰謀が口をぽっかり開けて待ち受けていることだってあり得るのだ。
くれぐれも娘さんの行動には目を光らせておいたほうがいい。
まあ、それでも手遅れになっている場合もあるだろう。
せいぜい俺の手元にある500件ほどの保険証のコピーのなかに、あなたの名前が載っていないことを祈っていただきたい。

この架空口座に関しては、さらに詐欺師を騙すためのテクニックというのも存在する。
<脱税・詐欺・違法物販売に使える架空口座を売ります>なんてインターネットに書き込んでおけば、浅知恵しか持ち合わせぬ素人詐欺師どもがわらわらと申し込んでくる。
その際、入金させる口座自体を架空口座にしておき、申込金だけをパクって消えることも可能だ。
もちろん被害者は後ろめたい気持ちがあるので、絶対に訴えることはない。

それでも、ここでチンケな取り込み詐欺を働いてもしょうがない。
もっと大きな獲物を狙うのだ。
無事に架空口座を入手したヤツらは、嬉々として悪事を働くだろう。
そもそも普通の口座じゃできないことをやるわけだから、莫大な闇の金が入金される。
だが、彼らはすでに致命的なミスを犯していることに気づいていない。
そう、ほかでもない、この俺に暗証番号を握られているという事実を忘れているのだ。
俺はただ、ネットバンキングで残高を確認していればいい。
時期が来るまでじっと待ち、適当なところで口座を解約する。
銀行には「印鑑をなくしたので、口座をストップしてください」と電話で伝えるだけで事足りる。
その後、銀行印を再登録し、入金されている金をすべて引き出して消えるだけだ。
実に簡単で、しかも完全な詐欺じゃないか-。

こうして詐欺師を騙す詐欺師のことを「ブラック詐欺師」という。
俺がこれまでに売った口座は500以上にのぼるだろう。
もちろん、すべての暗証番号を控えている。
人を騙すことに飽きたら、ブラック詐欺で完全犯罪としゃれこむのも悪くない。
俺が飽きる頃には、口座にたんまり黒い金が眠っているはずだ。
しかも俺自身がやるべきことは、それほど多くない。

ここまで話して、ようやくおわかりいただけただろうか?
最初のほうで俺が言った「ネット取引は、接触がないからこそ危険にあふれているのだ」という本当の意味を。
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コメント

こんな記事を載せることが、

「バカとマスコミは便いよう」とはよく言ったもので、俺たちの世界のプロパガンダを自ら引き受け、カモをおびき寄せてくれたのだ。ビタ一文払わずに。

とならんように祈ってますよ(爆)

投稿: カルロス | 2008.08.25 22:07

うわーthunder
すごすぎる話ですねwobbly

投稿: tora | 2008.08.25 11:12

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