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2008.05.24

日本の司法はコンピューターになるのか

巷の本で日本の司法が悪しき判例主義に陥っていると言われることは多い。
その判例主義の伝統を守るべく、最高裁が稼動させたものが「量刑検索システム」だ。
最高裁は、「類似の事件で量刑に極端な差が出ないよう、裁判員が過去の事例を参考にできるためのシステム」だというが、それが果たして単なる参考資料の検索だけにとどまるのだろうか。

ところで、裁判員制度は、地方裁判所で行われる刑事裁判について導入され、対象事件は、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条の規定に従い、死刑又は無期の懲役・禁錮の判決が下される可能性のある罪と、裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件のうち、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪となる。
具体的には、殺人罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪、危険運転致死罪などがあげられているようだ。

はっきり言ってこういう重罪被疑者を前にどれだけの人が正常な感情を持ちえるのだろうか。
まして、どう考えても死刑だろう、なんてケースはあまりないだろう。
そうなると人の一生を左右するプレッシャーは半端なものではない。
それに2007年8月24日の「今日の一言」でも書いたように、日本で擬似陪審制を導入する場合の最大の問題は、多くの人が自分の意見を公の場で主張することが苦手で、また一つのテーマについて議論をして結論を出すという下地に乏しいこともあげられよう。

それを補完するための道具がこの「量刑検索システム」ということも言えそうだが、この基準±αという安易な判決が続くようなら何のために人間が裁くのだという根本問題になりかねない。
まして、人間が裁いている今でさえ、日本の司法はコンピューター裁判、などと揶揄されるものが、「量刑検索システム」を参考にしなさい、みたいな形で裁判員に暗黙の強制をするようなら、ますます悪しき判例主義が蔓延ることになるだろう。
暗黙の強制という書き方が決して誇張でないのは、門田隆将氏の「裁判官が日本を滅ぼす」に書かれている事例を読むといい。
5月24日号の週間ダイヤモンドの特集「裁判がオカシイ!」の中には、こういう下りもある。
「裁判が抱えている問題の一つは、裁判官のコミュニケーション能力の向上であり、自分が偉いと勘違いしている人も多い。裁判員の意見を尊重し、議論を上手に進行する調整能力も求められる」と・・・

裁判員の制度を導入したことについては、裁判官が世間知らずだから新しい風を入れるべき、それがこの制度なのだ、とも言われている。
しかし、世間知らずなのは本人の資質も問題のみならず、年間3ケタにのぼる残業を強いられていることにも原因があるだろう。
自宅と職場の往復で終わる生活を送っていれば、民間サラリーマンだって「会社人間」と呼ばれる恐ろしいばかりの世間知らずになるのだ。
これらの根本的な問題を解決をしなければ、そのうち「逆切れ裁判官が裁判員を怒鳴る」なんてコラムが週刊誌を賑わすことにもなるだろう。

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量刑のバラツキ防止、裁判員制度へ「検索システム」稼働 (2008.5.23 読売新聞)

来年5月に始まる裁判員制度に向け、最高裁は先月から、裁判員裁判の対象事件の判決をデータベース化し、キーワードを入力するだけで類似事件の刑の重さが検索できる「量刑検索システム」の運用を始めた。

裁判員裁判では、有罪・無罪だけでなく、量刑の判断にも国民の意見が反映される。
最高裁は、類似の事件で量刑に極端な差が出ないよう、裁判員が過去の事例を参考にできるためのシステムを開発した。

全国の地裁・支部にデータベースの端末を設置。
裁判員裁判の対象になる事件の判決を言い渡した裁判官が、

1.事案の概要
2.凶器の種類
3.被害の程度
4.共犯者の有無
5.反省の度合い
6.被害者の処罰感情

など、十数項目の情報を入力していく。
既に約100件が集まり、来年5月までには3000件を超えるデータが蓄積されるという。

この端末に複数の条件を入力すると、類似事件の量刑一覧が検索できる。
例えば、路上で起きた強盗致傷事件の場合、「路上」と「強盗致傷」の二つのキーワードを入力すると、刃物で2週間のケガを負わせ60万円を奪った事件は懲役10年、工具で襲ったが現金は奪えず、被害者との示談が成立している事件では懲役6年など、類似事件の一覧表が示され、どんな事情が量刑に影響を与えているかが一目で比較できる。
また、各事件の量刑分布が棒グラフでも示される。

裁判員裁判では、裁判官がこれらの一覧表やグラフを印刷し、裁判員に示すことになるほか、検察官や弁護士も利用できるようにするという。
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2008.05.17

第1回ジョニーゲームの会&赤坂オフ

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去る5月10日に、九州在住のジョニーさんが試作した「キャッシュフローゲームのジョニー版」をWorld Investorsのメンバーでやってみようと有志が集まった。
キャッシュフローゲーム(cash flow game)とは、「金持ち父さん貧乏父さん」の著者、ロバート・キヨサキ(Robert Kiyosaki)が考案したボードゲームで、遊びながら投資や財務について深く学ぶ事が出来るという優れモノなのだが、ジョニーさんはそれをWorld Investors風にアレンジして、商品化できないかと試作品を作ったのだ。

そして集まった面々は総勢9名、ソナタさん、アンチャイさん、harukataさん、そして紅一点のみのこさんのチームと、ジョニーさん、石田さん、オダッチさん、メガネ王子さんに私のチームに分かれた。
私たちのチームはゲーム製作者のジョニーさんがバンカーを務めたが、ソナタさんのチームはみのこさんがプレイヤーとバンカーを兼務して大忙しだった。
ジョニーさん曰く、このゲームは原作の趣旨を損なわないように作ったとのことだが、ドバイ株の購入や、アクシデントカードに「世界恐慌」とか「金融危機」いった、いかにも海外株式投資家たる私たちにマッチするような要素が入っている。
そして、このアクシデントカードを引きまくったのがソナタさん、彼がメンバーに入っているチームの面々は次第に悲鳴を上げ始め、最後は彼がサイコロを振った瞬間から「カード引くな~」コールが起こったほどだ。(爆)
それでも投資用不動産をたくさん買い集めて大勝したアンチャイさん、さすが引きの強さは折り紙つきとの声も・・・
静かにゲームが進行した私たちとは対照的だったソナタチーム、果たして第2回ジョニーゲームの会はいつやるのかな?

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ゲームが終わった後は、隠れ野赤坂店で反省会という名の飲み会だ。
こちらは女性陣もかなり増え、coco pocoさん、Marieさん、ジョニーさんと同じく九州からお越しになった伽羅さん、そして、今回は取材(週刊SPA-2007年9月18日号「海外投資マニアのワールドワイドなオフ会に潜入!」)でなくプライベートで参加した週刊SPAの島影さんも加わってのオフ会となった。
ただ、残念なことにジョニーゲームの話題の主、ソナタさんとharukataさんが所用のために飲み会は欠席だった。
ところで、ゲームの中でのアクシデントカードは笑いで済まされるが、現実の相場の方は今後どうなるだろうか。
世界的にきな臭い空気も漂う中、本物のアクシデントカードを引かないようにしたいものだ。

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2008.05.07

富を軽蔑するな

Believe not much them that seem to despise riches; for they despise them that despair of them; and none are worse when they come to them. Be not penny-wise; riches have wings, and sometimes they fly away of themselves, sometimes they must be set flying to bring in more.
富を軽蔑するという人間をあまり信じるな。富を得ることに絶望した者が富を軽蔑するのだ。
そして、こういう人間がたまたま富を得ると、何よりも始末が悪い。 小銭を溜めようとさえしなければ、富は翼を持ち、時として自ら飛び去ってしまう。時としてもっと多くの稼ぎを飛ばし始めるに違いない。

イギリスの哲学者、フランシス・ベーコン(Francis Bacon)の名言だ。
実際、「金なんかなくたって」という人に限って金を持っている人はいないし、心の中では人一倍金に執着しがちだ。
あまり人前で金の話ばかりするのも大人げないだろうが、他人が金持ちになりたい、という欲求を軽蔑すれば、それは自分に跳ね返ってくるというものだ。

金に興味がないといったことを言い続けている人に限って、晩年になってうまい話にコロリと騙されるということはよくあることだ。
何でか、というと心の片隅に宿る嫉妬心なのだ。
そういう人は、テレビのブラウン管の向こう側で金持ちが何人いようが平気だが、隣人が小銭を儲けたという話を聞くと、嫉妬心がメラメラと燃え盛り、頭が真っ白になるに違いない。
今に見ていなさい私だって・・・これが陥穽にはまる最大の原因だ。
それに、成功者は人にも成功してもらいたいと思い、そうでない者は人の足ばかり引っ張りたがる。
あなたは人の成功を妬み、グチグチ言い続け、晩年に詐欺師に騙されてむせび泣きたいか。
もし、そうしたくないならば、自分が発する言葉から変えることだ。

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2008.05.06

無期限のイラク駐留米軍の費用を肩代わりさせられる日本

去る4月8日付のガーディアン紙(The Guardian)に、Secret US plan for military future in Iraq(イラクの軍事的未来におけるアメリカの秘密計画)と題された記事が掲載された。
「秘密」と題され、記事には漏れた草案(leaked draft)とあるが、オープンになったとしてもこの協定案を土台としてアメリカ政府はイラクの傀儡政権との間に軍事協定を結べる自信があったに違いない。
しかし、アメリカがイラクと締結しようとしているものは、軍隊の地位協定(SOFA/status of forces agreement)と、長期戦略枠組協定(long-term "strategic framework")からなっているものだが、これを政府当局者は、安全保障条約(security treaty)ではなく、しかも"temporary"(暫定)であって、"permanent"(恒久的)ではないと主張していることが、両政府の議会関係者の反発を招いているようだ。
この協定の行方がどうなるかはわからないが、米軍が無期限(without time limit)にイラクへ駐留することになれば、その費用を日本が一番多く分担させられるに違いない。
私の知る限り、この記事は日本のメディアには紹介されていないが、こういった可能性をどれくらいの日本政府関係者が危惧しているのだろうか。

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Secret US plan for military future in Iraq (イラクの軍事的未来におけるアメリカの秘密計画)
Document outlines powers but sets no time limit on troop presence (軍事を説明する文書に駐留軍の期限の定めがない)
by Seumas Milne, The Guardian, April 8 2008

A confidential draft agreement covering the future of US forces in Iraq, passed to the Guardian, shows that provision is being made for an open-ended military presence in the country.

ガーディアン紙に手渡されたイラクにおける米軍の将来に関わる機密の協定案は、その規約が無期限の米軍のイラク駐留をもたらすことを示している。

The draft strategic framework agreement between the US and Iraqi governments, dated March 7 and marked "secret" and "sensitive", is intended to replace the existing UN mandate and authorises the US to "conduct military operations in Iraq and to detain individuals when necessary for imperative reasons of security" without time limit.

3月7日付で「機密」及び「取扱注意」と印字された、このアメリカとイラクの両政府間の戦略枠組協定草案は、それが現在の国連のマンデート(委任)の代わりとなるように意図されたもので、アメリカが無期限に「イラクで軍事作戦を行い、治安上のやむを得ない理由により必要があるときは特定の個人を拘束するための権限」をアメリカに与えることになっている。

The authorisation is described as "temporary" and the agreement says the US "does not desire permanent bases or a permanent military presence in Iraq". But the absence of a time limit or restrictions on the US and other coalition forces - including the British - in the country means it is likely to be strongly opposed in Iraq and the US.

この権限は「暫定」のものとして記述されており、また協定はアメリカが「イラクにおいて恒久的な軍事基地や駐留を要求していない」としている。しかし、イラクでの駐留期限、あるいは米軍とイギリスを含む同盟軍に対する制約がないことから、この協定はイラクおよび米国で強い反対にあうことが予想される。

Iraqi critics point out that the agreement contains no limits on numbers of US forces, the weapons they are able to deploy, their legal status or powers over Iraqi citizens, going far beyond long-term US security agreements with other countries. The agreement is intended to govern the status of the US military and other members of the multinational force.

イラク人の協定反対派は、この協定が多数の米軍兵士と彼らが配備可能な武器が無制限に入ってくること、彼らがイラク市民より上位の法的地位と権限を持つこと、さらにほかの国々とアメリカが結んでいる長期的治安協定よりもはるかにかけ離れたものであると指摘している。協定は、本来、米軍と多国籍軍兵士の地位を統制するためのものである。

Following recent clashes between Iraqi troops and Moqtada al-Sadr's Mahdi army in Basra, and threats by the Iraqi government to ban his supporters from regional elections in the autumn, anti-occupation Sadrists and Sunni parties are expected to strong opposition in parliament to the agreement, which the US wants to see finalised by the end of July. The UN mandate expires at the end of the year.

イラク政府軍とムクタダ・アル・サドル(Moqtada al-Sadr)のマフディ軍が最近バスラで衝突したあと、また、秋の地方選挙からイラク政府がアル・サドル師の支持者の参加を禁止すると脅したあと、占領に反対するサドル師派とスンニ派諸政党は、議会で協定に強く反対することが予想されている。アメリカはこの協定を7月末までに実現したがっている。国連のマンデート(委任)は今年末で終わることになっている。

One well-placed Iraqi Sunni political source said yesterday: "The feeling in Baghdad is that this agreement is going to be rejected in its current form, particularly after the events of the last couple of weeks. The government is more or less happy with it as it is, but parliament is a different matter."

しかるべきイラクのスンニ派の政治筋は昨日、「イラクでは、特にここ2~3週間の出来事を考えれば、この協定が今の形では受け入れられないと思われている。政府は今のままでも多かれ少なかれこの協定に満足しているが、議会はそうではない。」

It is also likely to prove controversial in Washington, where it has been criticised by Democratic presidential candidate Hillary Clinton, who has accused the administration of seeking to tie the hands of the next president by committing to Iraq's protection by US forces.

協定草案はアメリカでも物議を醸しかねないことがわかっている。民主党の大統領候補ヒラリー・クリントンはこの草案を批判し、米軍がイラクを守ることを確約することで次期大統領の手を縛ろうとするものであると現政権を批判する。

The defence secretary, Robert Gates, argued in February that the planned agreement would be similar to dozens of "status of forces" pacts the US has around the world and would not commit it to defend Iraq. But Democratic Congress members, including Senator Edward Kennedy, a senior member of the armed services committee, have said it goes well beyond other such agreements and amounts to a treaty, which has to be ratified by the Senate under the constitution.

2月、ロバート・ゲイツ国防長官は、計画中の協定はアメリカが世界中で持っている類似した多くの「軍隊の地位」に関する協定であり、イラクを防衛するための約束をするわけではない、と主張した。しかし、軍事委員会(Armed Services Committees)の上級委員でもあるエドワード・ケネディ上院議員を含む民主党議員たちは、イラクとの協定案はほかの協定とは大きく事なり、条約に相当するので、憲法にしたがって上院の批准が必要であると述べた。

Administration officials have conceded that if the agreement were to include security guarantees to Iraq, it would have to go before Congress. But the leaked draft only states that it is "in the mutual interest of the United States and Iraq that Iraq maintain its sovereignty, territorial integrity and political independence and that external threats to Iraq be deterred. Accordingly, the US and Iraq are to consult immediately whenever the territorial integrity or political independence of Iraq is threatened."

政府高官は、もし、この協定がイラクの安全保障を含むことになっているならば、それは議会に提出されるべきであると認めた。しかし、漏れた草案は、イラクが主権、領土的一体性、政治的独立を保持し、イラクへの外部の脅威が抑止されることは「アメリカとイラク相互の利益」である。それに従って、米国とイラクは、イラクの領土の統一と政治的独立が脅威にさらされたとき速やかに協議する、と述べるに留まった。

Significantly - given the tension between the US and Iran, and the latter's close relations with the Iraqi administration's Shia parties - the draft agreement specifies that the "US does not seek to use Iraq territory as a platform for offensive operations against other states".

米国とイランの緊張、そしてイランがイラク政権内のシーア派諸政党と近いことを考えたときに重要な点として、協定草案は、「米国はイラク領土を、ほかの国々への攻撃作戦の踏み台に用いることはしない」としている。

General David Petraeus, US commander in Iraq, is to face questioning from all three presidential candidates on Capitol Hill today when he reports to the Senate on his surge strategy, which increased US forces in Iraq by about 30,000 last year.

イラク駐留米軍司令官デビッド・ペトラウス将軍は、本日(4月8日)、連邦議会(Capitol Hill)で、兵士増派作戦-昨年イラク駐留米軍兵士数を約3万人増やした作戦-について上院に報告する際、大統領候補3人から質問を受けることになっている。

Both Clinton and Democratic rival Barack Obama are committed to beginning troop withdrawals from Iraq. Republican senator John McCain has pledged to maintain troop levels until the country is secure.

クリントン氏と民主党のライバル候補であるバラク・オバマ氏はともに、イラクからの米軍撤退開始を約束し、共和党のジョン・マケイン上院議員は、イラクが安全になるまで駐留軍の水準の維持を公約している。
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ところで、日本の政治の世界で"temporary"(暫定)と言えば、1973年(昭和48年)の第一次オイルショックを機に上乗せされた道路特定財源暫定税率が、今年の3月末に期限切れとなったものの、4月30日に衆議院で関連法案(第169回国会における所得税法等の一部を改正する法律)が3分の2以上の特別多数で再可決されたことによって、向こう10年間は継続されることになったことは記憶に新しいところだ。

さて、この道路特定財源については、暫定税率が期限切れとなる直前に、福田首相がねじれ国会の閉塞状況を打破するため、道路特定財源を平成21年(2009年)度から全額一般財源化するとの新提案を示した。(2008.3.27 産経新聞-道路特定財源を全額一般財源化 首相表明、21年度から
このとき民主党は暫定税率即時廃止を主張したため平行線を辿ったが、今考えると、何かこの福田首相の提案にウラがあるのではなかろうか。
もし、福田首相が本当に道路族の利権の牙城に斬り込むつもりなら、上杉隆氏が言うように「政治力も情熱もない福田首相に道路改革など無理な話だ」とほとんどの人は思うだろう。

それゆえ、アメリカとイラクの軍事協定がリークされた時期と微妙にかちあうのは非常に意味深い。
私の考えすぎであればいいが、福田首相のウラでアメリカの意を汲む狸どもの思惑があるとすれば、将来的に道路特定財源が一般財源となって、それがさらに対米援助資金に代わる可能性もあるからだ。
このままアメリカとイラクの軍事協定の協議が順調に進展すれば今年の夏ごろには結論が出る。
一方の道路特定財源の一般財源化論議が始まるのもおそらくその頃だ。
これを偶然の一致とみるか、それとも・・・・
そう、産経新聞も半年前の社説(2007.11.15 【主張】道路特定財源 どこへ行った一般財源化)で言っているではないか。
「税の性格も国民皆ドライバー化で普通税に近い。環境への負荷を考えれば、一般財源化したまま一部を近い将来、導入も予想される環境税に組み替えることだってできるのだ。」
ここの環境税を対米援助資金と言葉を変えれば、そのまま私の主張するロジックとなる。

最後に、 あなたは小渕内閣のときに"permanent"(恒久的)とされた所得税・住民税の定率減税が小泉内閣時代の法改正により失効したことを覚えているだろうか。(All About - 2007年、あなたの「手取り」が減る!
そう、"temporary"(暫定)は"permanent"(恒久的)であり、"permanent"(恒久的)は"temporary"(暫定)なのだ。
まさにこれはジョージ・オーウェル(George Orwell)が書いた「1984年」(日本語訳本)にある「二重思考(ダブルシンク)」の概念そのものだ。
彼は言う。「War is peace.(戦争は平和である)」「Freedom is slavery.(自由は屈従である)」「Ignorance is strength.(無知は力である)」と・・・
この「二重思考(ダブルシンク)」とは、例えば、実際は戦争状態なのに平和であると自ら信じ、相手に対してそう言いくるめることができる能力のことをいい、以下、自由であるのに相手には違うと信じ込ませる、無知な相手に力があると信じ込ませる、といったことだ。
この本は、スターリン時代のソ連を連想させる全体主義国家によって分割統治された近未来世界の恐怖を描いているものだが、今の日米にも当てはまることではなかろうか。

関連サイト
Falluja, April 2004 - the book - 英語を通して日本から「イラク」を見る
防衛省・自衛隊:防衛関係条約等(日本語)
Japan-U.S. Security Treaty
Agreement regarding the Status of United States Armed Forces in Japan
CNN - U.S., Iraq sign plan for long-term relations (November 26, 2007)
Washington Post - U.S., Iraq Negotiating Security Agreements (April 11, 2008)

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2008.05.03

Unwelcome to Japan?

4月15日の世界の流れをつかむ『World Report』のコラムに「観光立国を笑う(出入国管理システムの欠陥)」というのがあった。
それを読んで思い出したことがある。
去る2月にタイに旅行したときのことだ。
成田空港の出国審査場で、外国人出国者だけがわずか二つしかないブースで長蛇の列を作っていた。
ブースの電光掲示板には、日本人と外国人を区別する表示はなく、ただ空港の警備員らしき人が紙で書かれたボードを持ち、片言の英語で「外国人はこちら」と叫んでいるだけだった。
日本人のブースは比較的スムーズに流れていたので、ある外国人旅行者が、その警備員らしき人に「こっちで並んではいけないのか」という質問をしていたが、英語があまり理解できない彼は単に「外国人はこちら」と繰り返しているだけだった。
少なくとも観光立国を標榜する他の国では、たとえ「** nationals」という電光表示がブースにあったとしても、そこがガラガラになれば、外国人を誘導することさえあるにもかかわらず、生真面目な警備員氏はそうしてはいけないという指示があるかのように振舞っていた。
その光景を異様だと思った日本人が何人いるかわからないが、私の記憶が間違っていなければ、こんな光景を見たのは今年になってからだ。

いったい何が起こっているのか?
『World Report』では、出入国管理を担当するスタッフの絶対数が足りない、とある。
それはそうだろう。
成田空港を運営する母体が特殊法人(公団)から成田国際空港株式会社に変わったのは平成16年(2004年)4月だが、その平成19年(2007年)度中間期の実績を見る限り、航空機発着回数及び航空旅客数は前年同期比で増加し、過去最高を記録、また、Visit Japan Campaign (Yokoso! Japan)などにより外国人旅客数が増えている、とある。
そうであるならば、出入国審査のスタッフを増やさないと捌き切れるものではない。

私の記憶によれば、21世紀に入ってしばらくはスムーズに進んでいたように見える出国審査も、特に昨年あたりは長時間待たされることが多くなったように思える。
1990年代の円高による海外渡航ラッシュの時代、長蛇の列にしびれを切らして執拗な苦情を言い続けた旅行者に逆切れした現場の出入国管理責任者が叫んだ一言が思い出される。
「そういう(もっとブースを増やせとか人はいないのか、などという)ことは国民のあなたが外務大臣に言うことです!今ここで我々に何ができるんですか!」
『World Report』によれば、その外国人バーションが今の成田で起きているという。

一方、入国審査の方はもっと評判が悪そうだ。
世界の空港や航空会社、飛行機の乗り心地のレビューが書かれたSKYLAXというサイトがある。
その中の成田空港(Tokyo Narita Airport)のところを読むと、昨年11月20日から施行された改正入管難民法(出入国管理及び難民認定法)により、訪日外国人に指紋押捺が義務付けられたこと(2007.11.20 産経新聞-外国人の指紋採取始まる 全国の空港、港で)が不満の原因ではなさそうだ。
当時、この改正入管難民法に対し、一部の左派的なブロガーは「外国人差別」と言い、それに対するナショナリスティックなブロガーは、「そんなに(日本の出入国審査が)不満なら来なければいい」などと言っていたが、評点の悪いJ. Davidson氏や、Alan Chick氏の投稿を読むと、指紋押捺に対して文句を言っているのではないことがよくわかる。
要は、入国審査にものすごく時間がかかっていること、その原因として、数少ない外国人ブースと、日本人専用ブースが空いていても誘導してもらえなかったことに対する不満のようだ。

民営化されても、相変わらず臨機応変な対応ができない(そうしてはならない?)のか、とも言えそうだが、ひょっとすると日本人専用ブースには指紋押捺の機械が置いていないとも考えられる。
これは硬直的な思考で生きている中央省庁の天下り幹部が会計責任者であれば十分あり得ることだが、もし、そうであるならば、それこそ笑止千万と言わざるを得ない。
何がwelcomeなのか!
それこそ、「そんなに行列が不満なら日本へ来るな」と言っているようなものだろう。
私は3年前に「外国人観光客増やすなら空港から変えよ」と書いたが、それはどうやら悪い方向に変わっているようだ。
"I have always loved Japan and unlike many foreigners I have never had any problems in Japan.(私は日本が好きだし、多くの外国人と違って日本では少しも問題なく生活している)"と言う在日3年のJ. Davidson氏のような人を日本嫌いにさせるとしたら、紛れもなく日本の玄関である成田空港がその一因となるに違いない。

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2008.05.01

ニューリッチを目指してみれば

今日は奇しくもメーデーである。
労働者の日、金持ち父さん・貧乏父さんを書いたロバート・キヨサキが言うE-Quadrant(従業員のカテゴリー)に属する人たちが8時間労働を求めて立ち上がったのが最初の起源と言われるものだ。
そんな日に読んだ2冊の本、それは現代の日本における対極同士にある人たちのことが書いてあった。
1冊は臼井宥文氏の「3年で富裕層になる!-4000人の新世代リッチと会ってわかった方法」、もう1冊はNHKスペシャル「ワーキングプア取材班」の編集した「ワーキングプア 日本を蝕む病」だ。
この2冊の本を通勤電車の中で交互に読むと心の中が揺れ動く自分を感じることができる。

一般的な庶民感情からすると、前者は夢の世界の話、後者はいつ自分がそうなるかわからない身につまされる現実という捉え方がされると思う。
特に後者はテレビでも放映されたものだけに頭の中がフラッシュバックする人もいるだろう。
ところが、臼井宥文氏はニューリッチに関してこうも言っている。

富裕層をめぐる誤解として、昔と違って今ではグローバル化の進展により、さまざまな成功のルートがあり、庶民でも3年あれば富裕層(ニューリッチ)の仲間入りができる時代になっている。
高校中退であろうと、無名の大学出であろうと、いい会社の入社試験には全部落ち、聞いたこともない小さな会社に入った人であろうと、突然富裕層になれるチャンスがある時代である。
もともと資産家の家に育った2代目、3代目といったオールドリッチと違って、一代で富裕層になるニューリッチの人はついこの間まで、3ヶ月前、3年前まではあなたと同じ地点にいた。
要は、将来価値が上がりそうなものにいち早く目を付けることが大事である。

また、絶対富裕層になれない人の考え方として

1.周囲の似たような人と比べて「この程度でしかたない」と甘んじている人
2.「どうせ自分なんか・・・」と思っている人
3.「コツコツやっていれば、いつの日か・・・」と考える人
4.自分より下層の人を蔑む気持ちを持っている人
5.お金持ちを妬み、ひがむ気持ちを持っている人
6.「富裕層なんて、いかがわしい」、「お金儲けはけがらわしい」と思っている人
7.「お金持ちなんて自分とは関係のない特別な人たちだ」と思っている人

つまり、従来の日本的価値観から抜け出せない人は、残念ながら富裕層にはなれない、と断じている。
逆にそれができれば、元が貧乏であろうが、不遇であろうが関係ないとも言っている。
ワーキングプアに陥った人の中には家庭の事情などで不遇になっている人も多いと聞く。
しかし、今の自民党政権が崩壊しても新政権ができたとしても昔のような時代には戻ることはないだろう。
それならば、せめて「こういう時代だからこそ誰にでもチャンスは来る」と信じようではないか。
なぜならば、ネガティブ思考で夢も目標も志もない人のところにはチャンスは来ないし、たとえ来たとしても見逃してしまうハメになるからだ。

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