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2006.10.08

景気拡大局面が続くって本当か?

内閣府は今月12日に公表する10月の月例経済報告で、「景気は回復している」という骨子の報告をすると読売新聞は報じた。
ただ、一般庶民の感覚からすると、どこが景気がいいのかと疑問を持つ人は非常に多いと思う。
この政府統計がはじき出す数値からくる経済報告と、一般庶民感覚のずれがどこにあるのかということを明快に論じたコラムが、今年の3月7日付ブルームバーグのジョン・ベリー氏のコラム「好景気の下で豊かさ実感できない米国民(Many workers' finances not improving under Bush by John M. Berry)だ。
この論文は米国のことを書いているが、小泉政権下で経済体質まで完全に米国色に染まってしまった日本も全く同じなのである。

ただ、最近数ヶ月間の報告書に見られる、「(景気の)先行きについては、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。」というのはどう考えても違うだろう。
民間企業のサラリーマンの給与が8年連続で減り、生活保護世帯が増え、そうでなくとも税金や社会保険料の負担が増えているのに家計部門が好転するわけがない。
ところが、政府が所得税・住民税の定率減税を全廃し、消費税率をアップするためには景気回復が続き、それが家計部門にも波及している状態でないと、いくら御用マスコミ相手とはいえ、理屈をこねられないので、そうしているだけなのだ。

それに、「雇用情勢は厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。」との実態は、同じ読売新聞が9月28日付の記事で「景気回復により雇用は改善されたものの、雇用形態が正社員からパートやアルバイトに移行し、平均給与が減少したとみられる。」と言っているのだから、改善されたのは名目上の失業率だけで、国民生活の実情はお寒い限りというわけだ。
さらに言わせてもらえば、平均給与が下がっている以上に、可処分所得(名目賃金から税・社会保険料を差し引いた所得)が大幅に減っているのが実情だ。
このことは政府の公式統計としても、平成15年版平成17年版の国民生活白書に触れられているが、メディアで大々的に報じられたようには思えない。
また、2006年3月13日付の日銀調査レポート「近年における個人消費の底堅さとその背景」の中で、「消費性向の上昇は、裏を返せば、貯蓄率の低下を意味するが、わが国の家計貯蓄率の水準は、最近では国際的にみても低い部類になってきている。」「ここ数年にわたる消費性向の上昇は、もっぱら高齢層によってもたらされている。」とあり、個人消費が底堅いという裏では、実質的な平均値が富裕高齢者層によって平均値が引き上げられてきたということと、現役世代においては、従来の家計モデルであった「貯蓄をした残りで消費をする」といった堅実なプランが崩壊していると言えるのではないだろうか。

要するに「統計で作られた景気回復」という虚構が崩壊するのにそれほど時間はかからないということだ。
高齢者層の消費が毎年のように伸びるとはとうてい思えないし、現役世代の貯蓄の取り崩しによる消費はいずれ止まる。
個人消費が伸びない中で良好な企業業績がこの先も持続するとはとうてい思えないからだ。
また、団塊の世代の退職により、彼らの受け取る退職金が個人消費を支えるとも言われているが、果たしてそれだけで経済成長と景気を維持できるのであろうか。

関連ニュースリリース

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【米経済コラム】好景気の下で豊かさ実感できない米国民 (2006.3.7 ブルームバーグ)

堅調な成長と失業率低下という一見して良好な経済環境の中で、ブッシュ政権の人気が全くさえないのはなぜだろう。その答えは、米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した最新の家計調査を見れば分かる。

調査では、世帯のインフレ調整済み所得と純資産が、2001-2004年の間にほとんど増えていないことが示された。その前の3年間には、どちらも大きく伸びていた。これが、米国民の多くが豊かになったと感じられない理由だ。

ブッシュ政権の当局者らは、4月末の第1四半期(1-3月)の国内総生産(GDP)統計発表に合わせて経済運営の成果を喧伝(けんでん)しようと待ち構えている。
第1四半期のGDPの伸びは、年率5%に達するとの予想が多い。しかし、高成長が景気に関する米国民の感じ方を変えることはなさそうだ。多くの勤労者の経済的状況は、数年前ほど急速には改善していないからだ。

実質所得と実質純資産残高の伸び停滞を見て、政治家は苦境に陥った国民を救済する公的安全ネットの縮小について考え直すべきだろう。
家計調査の結果は、通常の所得の道が閉ざされた場合の家計の対応能力の低さを示した。

例えば、調査に答えた家計の約半数は過去1年に全く貯蓄をしていなかった。さらに、7%の家計は金融資産の保有がゼロだ。資産を持つ家計でも、その額は2004年の中央値で23,000ドル(約271万円)にすぎない。2001年の29,800ドルからは大幅な減少だ。

持ち家や別荘を保有している家計は概して、住宅価格上昇の恩恵で純資産額が増えている。一方で、これらの家計でもその多くは、3年の間に負債が増えている。住宅ローンの借り入れを増やしているためだ。

■不均衡

米ゴールドマン・サックス・グループのエコノミスト、エド・マッケルビー(Ed McKelvey)氏は3日付のリポートで、当局の家計調査は所得と資産の配分の「強い不均衡とその持続傾向」を示していると書いている。
同氏によると、「上位10%の富裕層が、資産の約3分の2を保有している。その数字は過去10年で変わっておらず、富を蓄積できない家計が多い状況が浮き彫りになっている (The lowest-wealth quartile has no net worth on balance, while the next quartile has controlled only about 3 percent of the total, and the top 10 percent have held about two- thirds. These figures have changed little over the past decade, a fact that attests to the difficulty that many households have in accumulating wealth.)」という。

現在、失業率は再び5%を下回ったが、これが所得の伸び加速につながっていると明言することはできない。国民所得に占める利益の割合が労働費の割合を通常よりも大きく上回っている実態は、失業率低下が家計所得の伸びにはつながらないことを示唆している。

金融資産以外を見ると、住宅価格(中央値)は13万1000ドルから16万ドルに上昇し、住宅を担保とした負債が拡大したことを差し引いても、居住者の持ち分の価値は上昇した。2001-2004年にかけては概して金利が低下したため、負債増にもかかわらず、返済負担はそれほどには増加しなかった。しかし、前の3年には負担が低下したことを考えると、この数字が家計と米経済の状況に対する国民の見方を改善させることはなかっただろう。

■低い伸び

その点では所得と資産の数字も同じだ。1998-2001年には、税引き前家計所得(中央値)は10%近く伸びた。これに対し、2001-2004年の伸びは1.6%にすぎない。 高成長と失業率低下がブッシュ政権と共和党の追い風とならないのも、国民の大多数の実質所得が伸びていないことを考えれば、当然のことだろう。

原題: Many workers' finances not improving under Bush by John M. Berry

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民間企業の平均給与436万円、8年連続で減少 (2006.9.28 読売新聞)

民間企業に勤める人が2005年の1年間に得た平均給与は436万8000円で、前年を2万円(0.5%)下回り、8年連続で減少したことが28日、国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。
平均給与が300万円以下の人の割合は4年前から3.2ポイント増え、給与所得者間の“格差”がじわり広がっている。

昨年1年間を通じて民間企業に勤めたサラリーマンやOLなどの給与所得者は、前年比41万人(0.9%)増の4494万人。給与総額は前年比8669億円(0.4%)増の196兆2779億円で、給与所得者数は4年ぶり、給与総額は8年ぶりにそれぞれ増加に転じた。

景気回復により雇用は改善されたものの、雇用形態が正社員からパートやアルバイトに移行し、平均給与が減少したとみられる。
また、給与所得者のうち、300万円以下は1692万人(37.6%)で、2001年から3.2ポイント増加。100万円以下も356万人(7.9%)おり、低所得者の割合が高くなっている。

一方、源泉徴収による所得税額は、前年比1642億円(1.9%)増の8兆9630億円で、2年連続で増加した。これは、2005年分の所得税から老年者控除(50万円)が廃止されたことが要因とみられる。

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あなたは税金を、いくら払う? (2006.9.28 朝日新聞-「荻原博子の”がんばれ!家計”」

安倍内閣が、誕生しました。参院選を控えて、増税の話はタブーにしているようですが、ただ、確実に増税で私たちの暮らしは大変になるでしょう。

すでに、今年、庶民の減税である定率減税が半減し、来年は全廃になります。
そうなると、所得税で20%、住民税で15%あった減税がゼロになります。
年収400万円前後のサラリーマン家庭だと、所得税と住民税で4万円前後の増税となります。

しかも、その先には、消費税アップが待っています。
消費税アップについては、参院選があるので、それまでは政府もはっきりした発表をしないと思いますが、選挙で勝てば、そこから積極的な検討が始まるでしょう。
なぜなら、現在、給付されている基礎年金は、3分の1が税金から、3分の2が年金保険料から負担されています。これを、2009年には、2分の1づつの比率にすることになっていて、この財源として消費税をアップするというのが、ほぼ既定路線となっているからです。(平成18年5月26日-「今後の社会保障の在り方について」

さらに、参院選が終わると、配偶者控除の廃止、給与所得控除の縮小などの実質増税の話も現実の問題として検討されてくるはずです。(政府税調-平成17年6月21日-個人所得課税に関する論点整理

こうしたもの以外にも、実は、私たちは、知らないところでかなり税金を払っています。
たとえば、先日、値上げになったタバコですが、20本の入っているうちの約12本は税金です。ガソリンも、リットルあたり約60円の税金ですから、100メートル走ったら、40メートルぶんは税金ということ。

お酒も、350ミリリットルのビールの税金は77円。同じ容量で、発泡酒なら税金47円。第三のビールで、税金は28円。
さらに、道路を走れば通行代(通行税のようなもの)を取られ、お風呂に入れば入湯税を取られます。

年々値上げされていく社会保険料も、税金のようなものと考えると、こうしたものすべてカウントしたら、収入の半分を国に支払う日も近い。
こうした暮らしの現実に対して、充分な対応をしてくれる新政権であることを祈ります。

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生活保護、初の100万世帯 13年連続増、過去最高 (2006.10.6 産経新聞)

厚生労働省は6日、平成17年度の生活保護の受給対象世帯が、月平均で前年度比4.3%増の104万1508世帯となり、過去最高を更新したと発表した。(平成17年度社会福祉行政業務報告(福祉行政報告例)結果の概況
保護世帯は1993年度(平成5年度)以降、13年連続で増加しており、昭和26年度の調査開始以来初めて100万世帯を突破した。
厚労省保護課は、近年まで続いた景気低迷傾向の影響をまだ引きずっているのではないかとした上で「保護世帯は増加しているものの、最近の景気回復傾向や失業率の低下などを背景に伸び率は減少傾向にあると考えている」としている。

保護世帯の内訳を見ると、最も多いのは高齢者で451,962世帯。前年度に比べ2.9%減ったが、高齢者をこれまでの男65歳以上、女60歳以上から、男女とも65歳以上に統一、対象世帯が減ったため。
それ以外では障害者・傷病者が389,818世帯、母子が90,531世帯、その他が107,259世帯となっている。
昨年9月に新たに保護対象となった15,662世帯の理由をみると「傷病による」ものが最も多く42.8%。
次いで「働きによる収入の減少・喪失」が19.5%、「貯金等の減少・喪失」が14.8%などと続く。

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景気拡大「いざなぎ」に並ぶ57か月、月例報告判断へ (2006.10.7 読売新聞)

政府は6日、今月12日に公表する10月の月例経済報告で、「景気は回復している」との基調判断を示す方針を固めた。
これにより、2002年2月に始まった現在の景気拡大局面は4年9か月に達し、高度成長期の「いざなぎ景気」(1965年11月から1970年7月)に並んで戦後最長となることがほぼ確実になった。
10月の月例経済報告は景気の先行きについて、「国内の民間需要に支えられた回復が続くと見込まれる」とし、景気拡大が当面続く見通しを示す方針だ。

一方、内閣府が6日発表した8月の景気動向指数(速報値)でも、景気の現状を示す一致指数は77.8%と景気判断の分かれ目となる50%を5か月連続で上回った。
内閣府は「現状は改善を示す水準にある」との判断を14か月連続で据え置き、景気回復が続いているとの認識を示した。

景気動向指数は、景気に敏感な複数の経済指標を3か月前と比較し、上回った指標の数が全体に占める割合を示す。8月の一致指数では、6日までに公表された9指標のうち、大口電力使用量など3指標が過去最高を更新するなど、7指標が3か月前を上回った。

政府は景気の「山」や「谷」の日付を有識者で構成する内閣府の景気動向指数研究会で確定している。
今回の景気拡大期の正式認定は、拡大局面が終わった1年ほど後に内閣府が決めることになる。
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